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Psychic TVやThrobbing Gristleでの活動も知られるPeter 'Sleazy' ChristophersonとJohn Balanceが率いたカルト・インダストリアル/エレクトロニック・ユニット、Coil。そのメンバーDrew McDowallが単独で録音した粗いデモ・テープを、バンドメイトのJohn BalanceとPeter Christophersonが完成させた、最小限のポスト・プロダクションで録音された4編のドローンを収めた傑作『Time Machines』が〈Dais Records〉よりアナログ再発。チベットやその他の宗教の儀式音楽からインスピレーションされ、音楽に没入して瞑想したり、トランス状態になることを目的とした、まさに時間を溶かすような深遠で幻覚的な長編ドローンの史上に残る傑作アルバム。
2005年にリリースされた、音響職人パードン木村とBLACK SMOKER RECORDSの主宰KILLER-BONGによる奇想天外ヒップホップ・ジャムの名盤が初アナログ化。
旧式シンセサイザープログラムを駆使して前人未到の音楽接点を探る、独創的音楽家/音響職人パードン木村。かたや、まったり濁音に、一筋縄ではいかない黒煙ヘッドトリップ・ライムと独特の笑いが人気、ニップスやデリ、ゴアテックスといったラッパーへの客演やレーベル「ブラック・スモーカー」の諸作品で知られる、KILLER-BONG。
この2人の強烈な個性が意気投合、奇想天外ヒップホップ・セッションを敢行!オフビートなユーモアに予想不可能な韻踏み。クセになるダラダラ感、他に類を見ない縦横無尽なポリリズム・ブレイクビーツ。黒煙VSデジタル演奏。アナーキーな様でいてどこかがハマる、中毒性摩訶不思議ヒップホップ・ジャム。2005年にCDでリリースされ現在は廃盤となっている本作が、パードン木村による編集とリマスターでついに初アナログ化!

ウクライナのアーティストXTCLVRによる、アンビエント・トラップ×ダブ・テクノの靄がかったヴェイパー感が特徴的なデビュー・アルバム『Blessed Loops』が〈Sferic〉から到着。逃避的な美しさと幻覚的で不安定な音の風景は、キエフでの戦時下、宵闇の中の外出禁止令と砲撃音に囲まれながら制作されたという背景が、そのまま音の質感に刻み込まれているよう。全体を通して、言葉にならない声が霧のように漂い、ビートはくぐもり、テクスチャはぼやけ、感情はにじむ。逃避と現実、パーティの余韻と破壊の残響が同時に鳴っているような感覚で、BSW948、OB3TH、Indyら多彩なゲスト陣も幻影に拍車をかけている。幻想的な逃避と、残酷な現実の記録のはざまに存在する、退廃と美の入り混じる音のドキュメント。
uon / shy / Caveman LSDなど多様な活動でも知られるSpecial Guest DJがここ10年かけて築いてきた、実験的エレクトロニックの地下迷宮。その集大成のような一枚『Our Fantasy Complex』が自身のレーベル〈3XL〉から登場。Special Guest DJはベルリンを拠点にダブ・アンビエントや滲んだクラブ・テクスチャ、ローファイな夢想空間を行き来してきたが、本作は、その入り組んだ美学を凝縮したもので、怒り、官能、夢といった感情のもやを音に転写したような内容。シューゲイズやダブテクノ、D&Bのエッセンスが断片的に浮かびつつも、ジャンルには還元されないまま、呪術的な音響の絡まりとなっている。、Ben Bondy、mu tate、Arad Acidといった盟友たちの手も加わり、奥行きを増したサウンドは、内省とクラブの残骸を曖昧に溶かすような、よりダークで汚れたサイケデリア。
Lucy DuncombeとFeronia Wennborgによる、人工音声ツールを駆使して4年かけて作られた、ヴァーチャル合唱シンフォニーとも言うべき作品『Joy, Oh I Missed You』が〈Warm Winters Ltd.〉より登場。詩的なサウンドと、機械の故障じみた奇妙さが入り混じった音像は、音声合成やAIボイス解析などの技術を使い倒し、あえて人間の声を完全に模倣せず、失敗やひずみに耳を澄ますアプローチで、。フランソワ・デュフレーヌやオノ・ヨーコ、Phewらの声の実験を、現代のツールでアップデートしたような内容とも言える。Duncombeの奇怪な電子声と、Wennborgの硬質なサウンド処理が絶妙に絡み合い、どこからが人間の声でどこからがデジタルの模倣か判別がつかない。時には機械の故障のように、時には祈りのように、ピッチがずれ、破裂し、ため息のような断片が折り重なって、異形のコーラスが立ち上がる。タイトルどおり、喜びと喪失の間で揺れるような感情の振幅をもった作品で、コンセプトは実験的だが、音楽としての美しさや感情的な深みもしっかりとしており、聴き応えある充実作。
ロンドンとマンチェスターのスタジオで長年かけて作られたダークで幻覚的な音世界を描いたDemdike StareとCherrystonesによるコラボ作『Who Owns The Dark?』。ジャンルを飛び越えるその音像は、ノーウェーブ、プロト・テクノ、インダストリアル・コンクレート、サイケの残骸を混濁させたもので、Cherrystonesの過去作『Peregrinations in SHQ』の世界観を引き継ぎつつ、Demdike Stareらしいねじれたサウンドスケープと、レコードディガーならではの特異な音素材が交錯。ぼろぼろのテープ編集や、粗野で即興的なリズム、ヒップホップ的サンプルの断片、幽霊のような声が渦巻く。次々と音の地形が変化していく構成で聴き手は不穏な夢の中をさまようような感覚に陥るが、要所に差し込まれるLaura Lippieのボーカルが、狂気寸前の世界にかろうじて人間味を残しており、混沌の中のかすかな灯となっている。ECM的静謐さ、Earthの重量感、Dilloway的ローファイ・アヴァンギャルドを結びつけるような、まさに音による降霊術。

今UKで最も注目を集める奇才プロデューサーVegynと、スポークンワード・アーティストFrancis Hornsby Clarkの新プロジェクトHeadacheによるアルバムがリプレス!
Frank Oceanをはじめ、Travis ScottやJames Blakeなど著名アーティストとのコラボレーションでその名を知らしめるVegynと、スポークンワードのアーティストFrancis Hornsby Clarkによる最新プロジェクトHeadacheのアルバム『The Head Hurts but the Heart Knows the Truth』が、Vegynが主宰する〈PLZ Make It Ruins〉から発売!
Headacheは、Vegynがプロデューサーを務め、Francis Hornsby Clarkが作詞を手がけ、それをAIが演奏するというシュールで新しいプロジェクト。
Vegynが紡ぎ出す爽やかで心休まるインディーポップに、Francis Hornsby Clarkが作詞したリリックを、AIがまるで狂人の戯言のように、愛や失恋、絶望などについて延々と語っている。その体験から得られるエフェクトは決して「Headache(頭痛)」ではなく、聴く者は、むしろカタルシスを感じ、頭もスッキリするであろう、アブストラクトで未来的、サイケデリックかつユーモラスな全16曲を収録。
キャリア屈指の人気を誇る名曲「Girl/Boy Song」を収録したエイフェックス・ツインの代名詞的作品。
自らの本名を冠し、同名の亡き兄へと捧げられた作品(1996年リリース)。アナログ・シンセからソフトウェア・シンセへと制作機材もシフトし、痙攣するビートにクラシックやトイ・ミュージックを掛け合わせ、無二のポップ・ミュージックへと昇華された90年代を代表するアルバム。ドラマチックにたゆたう弦楽器とエモーショナルにのた打ち回るビートとのコントラストが琴線を直撃する名曲「Girl/Boy Song」は本作に収録。
地下音楽の未来。その輪郭をなぞる一枚!UKレフトフィールド・シーンの最深部を更新し続けるDemdike Stare主宰の名門〈DDS〉より、正体不明の新鋭NZOによるデビュー・アルバムが登場!荒廃した都市の残響、ポスト・インダストリアル以降のリズム感覚、儀式的とも言えるノイズの処理が交錯する、まるで異界から届いた呪術的サウンド・アーカイヴ。〈Blackest Ever Black〉や〈PAN〉の系譜に連なる亡霊音響としての強度を感じさせる、謎めいた必聴作。Rashad Beckerによるマスタリング仕様というお墨付き。

2025年リプレス!Rashad Beckerによるマスタリングにて30周年記念エディションとしてヴァイナル再発!ボーナストラック付属。Brian EnoやRobert Frippからインスパイアされた音響ドローン・ギター・サウンド!90年代には「最も才能豊かで革新的なギタリストの一人」と称され、そして、Sonic Youthのメンバーたちにも愛されたポルトガルの一大音響作家、Rafael Toralが同国のAnAnAnAより1994年にリリースし、ジム・オルーク氏の名音響レーベル、Moikaiからも再発されているファースト・アルバム名作。
長らく廃盤であったトラル初期の重要作品が嬉しい再発!イーノのアンビエント作品を爪弾くJohn Faheyのごとく、美麗で優しい極上アンビエント・ドローン。彼が実際に影響を受けている通り、My Bloody Valentineを感じる人もいるでしょう。ゆっくりと動くノスタルジックな音色は懐かしいフィルム写真の情景を心に浮かばせるかのようであります。たとえ雑多な街角にいても、自然の中へと還るような、そんな穏やかで優しい気持ちになる響きです。私たち生きとし生けるものの原風景というと大げさかもしれませんが、私はそのようにすら感じます。まさにタイムレスな一枚。

Matthew Youngの新作『Undercurrents』が〈Drag City〉より登場!ニューエイジ、実験音楽、アウトサイダー・ポップの狭間を旅する夢のようなサウンドスケープで、ハンマーダルシマー、電子マリンバ、ハープ、ピアノを中心に、きらびやかで少しずれた感触の音が全編に漂い、どこか夢遊状態のような聴覚体験へと導かれる。ミヒャエル・オシェア、ダニエル・シュミット、ムーンドッグあたりを思わせる音世界は、リズムと旋律がゆらゆらと交差するリズメロディックな構造のなかで展開される。なかでも12分に及ぶタイトル曲「Undercurrents」は、ジャズ的なブルースフィールとアヴァン・クラシカルな展開が織りなす異次元のサウンドコラージュで、徐々にドローンがにじみ出す後半には、まるで別タブが開いてしまったかのような奇妙な感覚すらある。幅広い音楽性を内包しながら、奇妙にもしっくりとまとまっており、実験と親しみやすさ、冷たさと温かさが共存する、まさにMatthew Youngの世界。
ラトビア/ロンドンを拠点にするmu tate、音響作家のNEXCYIA、そしてExzald S名義で活動するSarah Foulquiereらによる『Labège』が〈Good Morning Tapes〉からヴァイナルで登場。フランス・トゥールーズ郊外の街Labègeでレーベル主導のレジデンスを行い、南仏のゆったりとした時間の流れに身を委ねながら制作された。即興演奏や直感的なサンプリング、家庭的な空間での制作プロセスを通じて、儚くも穏やかな楽曲が綴られている。音響的には、フィールドレコーディングや抽象的なサウンド加工、断片的なリズムが組み合わさり、柔らかく触感的なサウンドスケープが展開。ふわりと漂うような空間の中に、深いサブベースとささやくような声が浮かび上がる。官能的とも言えるアンビエンスと90年代的な感覚が交差する、甘美でエモーショナルなサウンドトリップ。静謐ななかにも現代的なエッジがある一枚。
ピエール・シェフェールによって設立されたフランス音楽研究グループ[INA-GRM]の最重要人物にして、Aphex TwinやAutechre、Keith Fullerton Whitmanにも影響を与えた仏の電子音楽家Bernard Parmegiani。2008年にGRMの50周年を記念して編纂されて大人気を博し、今や入手困難となっていたCD12枚組電子音楽作品集が遂に再プレス!フランスACCディスク大賞にて共和国大統領賞受賞作品(!) 1964年から2007年までに制作された音源が12枚の大ボリュームで収録。92ページにも及ぶブックレット(英語/仏語併記)が付属。これは問答無用に全電子音楽~実験音楽ファン必携です。

クラシック音楽から音楽を学び始めた氏が、非西洋音楽や即興ジャズ、世界中の民族音楽やポップスへと惹かれていったそのリサーチの過程を存分に味わえる一枚!Seth GrahamやKara-Lis Coverdaleといった現行のアーティストの感性にも連なる幻想ニューエイジ大曲"Banteay Srey"、"Sonali"、ジョン・ハッセルの第四世界の目覚めを感じる霊性トライバル・アンビエント"Woo Lae Oak"、一種のグリッチ的なミニマル・ループが独特の余韻を残していく"Mae Yao"といった、アンビエント~ニューエイジ・リスナーにも大推薦の長曲四篇を収録。肩肘張らずにゆったり聴ける味わい深い一作ですよ。

Pitaの生前に〈Editions Mego〉が〈INA-GRM〉と共に立ち上げた先鋭レーベルであり、現在は〈Shelter Press〉がその運営を引き継いでいる〈Portraits GRM〉より最新スプリット・アルバムが登場。実験的レーベル〈Archaic Vaults〉主催者で、〈PAN〉の傑作アンビエント・コンピ『MONO NO AWARE』への参加や〈Modern Love〉からの傑作ソロ・アルバムでも知られるロンドン出身の中国系マレーシア人プロデューサー、Flora Yin-Wongと、〈IRCAM〉で音楽アシスタントを務め、MAX / MSPのプログラムを開発しただけでなく、〈Room40〉や〈12k〉からも作品をリリースしているパリ在住のサウンド・デザイナーSebastien Rouxによる作品をそれぞれ収録。
大名門〈Jagjaguwar〉のカタログ300番目を飾った世紀の傑作!ラブレターでもあり、宗教のように自己理解を探求してきた20年間の終焉の地。そして、おそらくその理解を決して見つけることができないという内なる決意。米国のインディ・ミュージック・シーンを代表するフォーク・ロック・バンド、Bon Iverが2016年に〈Jagjaguwar〉から発表した3枚目のスタジオ・アルバムにして世紀のヒット作『22, A Million』がリプレス!ウィスコンシン州オークレアにあるリードメンバーのJustin Vernonのスタジオ〈April Base〉で録音されたアルバムである本作は、カニエ・ウェストと共にした以前の仕事からインスパイアされ、電子音楽とヒップホップの楽曲制作の要素を組み込んだ、より実験的な内容となっています。2011年の『Bon Iver, Bon Iver』が物理的空間に根ざした生息地を築いたとすれば、『22, A Million』は場所への執着を手放すことを目指したと言えるでしょう。

ニュージャージー州出身で現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動し、Moor Motherとのノイズ・ヒップホップ・ユニット700 Blissでも知られるプロデューサーのDJ Haram。Rinse FMやThe Lot Radioからフックアップを受け、Sonar、Dekmantel、Boiler Roomといったイベントへの出演も果たすなど活躍の場を広げる彼女がデビュー・アルバム『Beside Myself』をリリース!
本作は、日々の闘争の中で精神がいかにして生き延びるかを描いた作品であり、Armand Hammer、Bbymutha、SHA RAY、Moor Mother、Dakn、August Fanon、El Kontessa、Kay Drizz、Aquiles Navarro、Abdul Hakim Bilalといった数多くのコラボレーターたちと共に、痛みと怒りを乗り越える旅を描きつつ、時折訪れる束の間の喜びの中で苦悩を嘲笑してみせる。
Haramは自らを「マルチ分野にまたがるプロパガンディスト、現代の反権威的アラブ、ジェンダー化された労働階級、神を畏れる無神論者」と称し、「アンチ・フォーマット、オーディオ・プロパガンダ、アンチ・ライフスタイルの没入型音響」を制作しているという。生み出される音楽はまさに彼女の言葉を証明するものとなっている。
そのサウンドは明らかに彼女自身の作品とわかる一方で、明確に分類することは困難である。ジャージークラブ、パンク、ノイズ、中央アジアおよび中東のパーカッション、シンセサイザー、808、うねるような重低音、ざらついたライブ・プロダクションなど、さまざまな要素が絡み合うことによってその独創的なサウンドが生み出されている。
その中心には、作家、詩人、フェミニストのAudre Lordeを思わせる詩的な悲しみと、Kim Gordon(ex Sonic Youth)を想起させる物質的な現実と抽象的な概念が同等に探究されている。
彼女の描く荒んだ未来像には安易な救済は存在しない。しかし、その中に込められたドラマとカタルシスは、毅然とした形で提示されている。
5枚組CD「楽の道」は、従来の音楽概念を打ち破る壮大な実験。電子音楽とサウンドスケープが融合し、聴く者の意識を無限の宇宙へと誘う。作曲家・エロアは、この作品で「音の道」を追求し、聴覚体験の新たな地平を開い「楽の道」は、1977-781にNHK電子音楽スタジオで3度にわたり、合計1200時間以上かけて制作された。作曲家・エロアは、この作品で、西洋音楽の伝統と東洋の思想を融合させ、独自の音楽世界を構築。
「楽の道」は、単なる音楽作品ではなく、聴く者の意識を深淵へと誘う瞑想的な体験。時間の流れ、空間の広がり、そして自己との対話を促す。「楽の道」は、視覚的な要素を一切排除し、聴覚にのみ訴えかける。聴衆は、音の洪水の中に身を投じ、独自の物語を紡ぎ出す。
アルバムレビュー(小坂井雄三)
フランスの作曲家、ジャン・クロード・エロアが1977~78年にNHK電子スタジオで東京のサウンドスケープを元に制作した電子音楽「楽の道」の素材集CD5枚組!実は購入する前はフルヴァージョンにオマケで素材集が付いてくるのかと思ったいたのだが、来てみたらなんと全部素材。正直言って「あちゃー、これははしまった。」と後悔しました。エロアはこれらの素材を慎重にリアルタイムでミックスしながら仕上げたということで「そんじゃ、これをミックス、アレンジして自分なりの『楽の道』を作ってみるべか。」と半ば諦めの気持ちで聞き始めたのですが、聞くととんでもはっぷん。一つ一つの音の密度が高くて独立した作品として聞けることに気づいて驚愕です!特に梵鐘の音を再生速度を落として再生したと思しきテイクはその重厚さと繊細さに圧倒されました。またパチンコ屋のサウンドスケープがちょっとフィルタリングを施したりしてるだけなのに、とんでもない異世界に飛べるような音響になっていてこれも圧倒されました。流石に単独で聞くにはちょっと厳しいかな、というテイクもありましたが、迫力の電子音響の渦に溺れそうになります。「自分なりの『楽の道』」なんてこれを聞きこんだ後の遠い先の世界になりましたね。
電子音楽というとどうしても高価なモジュラーシンセや自作の発振器などの個性のある音源の使用を想起しがちですが、エロアはそうした音源に頼るのではなく(ストリングアンサンブルぽいシンセが使われていた。)、東京の街角のサウンドスケープ(右翼の街宣車や歩行者天国終了のナレーションは日本人以外では理解しにくいのでは?)にフィルタリングなどの編集を施すことで斬新な音響をクリエイトすることに主眼を置いているようだ。そうした姿勢は自分の制作のコンセプトにも共鳴するところが多い。(宇宙エンジンの2ndでもそんな音が聞けるよー。)
いやー、清水の舞台からダイブして全身骨折しながらゲットした甲斐があったってもんです。万人にお薦めとはちょっと言い難いですが、それだけの価値は十分あるものだと思います。

Tujiko Noriko (ツジコ・ノリコ)やJulianna Barwick参加!OPNも作品を残す〈NNA Tapes〉からの作品『Heaven Come Crashing』がPitchforkのBest New Music獲得、さらにはThe New York Times、Stereogum、Fader、GQといったメディアの年間ベストにも選出されて大きな話題を呼んだ作曲家/プロデューサー/マルチ・インストゥルメンタリストのRachika Nayarとチェロ、ピアノ、クラリネット、フルートなどを操る注目の逸材Nina Keithによるコラボレーション・プロジェクト、Disinibludがデビュー・アルバムを名門〈Domino〉傘下の〈Smugglers Way〉よりリリース!
Ninaはこの作品を、"自分とRachikaの若い頃の自分がかばんに荷物を詰め、手をつないで一緒に感傷と驚嘆の世界に逃げ込んで、ポスト・ロック、グリッチなインディー・エレクトロニカ、ネオ・クラシック、ポップといったジャンルを融合して、予期せぬ音楽を作り出したような感じだ"と話す。
また、本作には、Tujiko Noriko(ツジコノリコ)、Julianna Barwick、Cassandra Croft、ASPIDISTRAFLY、Katie Dey、June McDoom、Willy Siegel(Ponytail)らがゲスト参加している。
先行シングル「Blue Rags, Raging Wind (ft. Amigone)」はミニマルな鉄琴がユーフォリックに鳴り響く中、IDM/エレクトロニカ由来のビートや豊かなメロディと歌声がエモーショナルに展開していく必聴曲!

西川文章の録音&ミキシング、Rashad Beckerのマスタリング&カッティング、五木田智央の装丁という布陣でおくるミラクル物体。
日野浩志郎(YPY)が率いるインストゥルメンタル・グループ、ゴート(goat)初のヴァイナルLPアルバムは、1st『New Games』と2nd『Rhythm & Sound』のベスト・パフォーマンスを再編成したLP版独自の選曲。ベルリンのDubplates & Mastering(Rashad Beckerがゴートのファン)でマスタリングして研ぎ澄まされたサウンドは再生音量が大きければ大きいほど本領を発揮する。
ゴートは楽器を発音させる際に生じるノイズ、ミュート音、パルス音から楽曲を制作し、全員が「人間ドラムマシーン」となった神経症手前テンションの身を削った演奏で世界中のオーディエンスを釘づけにする。一点集中で演奏に没頭する姿は、複数要素をかき集め広範なアピールを行う足し算手法が常態になっている現代ポップ音楽とは真逆。本作はゴートの名刺代わりとなる決定版だ。

星野源、突然段ボール、Ogre You Asshole、坂本慎太郎など、アンダーグラウンドやコンテンポラリーといった枠を超えて、名だたるアクトたちを支えてきた現代の日本が誇る名SSW=石橋英子と、シーンの枠組みを越えて多大なリスペクトを浴びてきた我らがジム・オルークとの5作目の共作が〈Drag City〉より登場!本作は、2023年のフランス、スイス、イタリア、アイルランドを回った欧州ツアーでの即興ライブ録音を素材にしたサウンド・コラージュ。各地の演奏から響きや音の関係性を拾い集め、コンピューター生成音、フルート、ハーモニカなどが交錯する動的な音世界を作り上げている。二人は事前に打ち合わせをせず、それぞれ準備した音素材を持ち寄って現場で即興的に対話し、日ごとに異なる演奏を展開。ライブ中に録音した素材もその場で再利用するなど、旅の途中で生まれる偶然や状況の変化がそのまま音楽に反映された。『Pareidolia』では、ツアーの様々な瞬間をリミックスし、たとえばパリのジム・オルークの音とダブリンの石橋英子の音を重ねるような形で、理想的な記憶を描いている。無作為に見える音の流れにも、どこか意味や構造を感じ取ってしまう──そんな「Pareidolia(錯視)」的な感覚をテーマに、聴く人それぞれが自由に解釈できるような、柔らかくも謎めいた電子音響作品。
1998年にCDのみでリリースされたMitsuto Suzuki(鈴木光人)による幻のコンセプト作品『Electric Satie』が、〈ISC Hi-Fi Selects〉から初のアーカイブ再発。タイトル通り、エリック・サティのピアノ作品を電子音楽で再構築した一枚で、ボサノヴァ調のダウンテンポからチルアウト、IDM、アンビエントまで、ジャンルを横断しながらサティの旋律が現代的な響きで蘇る。「ジムノペディ」「サラバンド」「家具の音楽」などサティの代表曲が、デジタル処理と柔らかな電子リズムで大胆に再構成されながらも、原曲の甘美な旋律とモーダルな浮遊感をしっかりと継承。Music From Memoryの『Virtual Dreams』や、Warpの『Artificial Intelligence』系コンピに通じる空気感も漂わせる、隠れたエレクトロニック名品!
