Ambient / Minimal / Drone
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ミニマリズム、ジャズ、クラシック、音響アートを融合させた独自のスタイルが特徴的なスウェーデン出身の作曲家、演奏家、インスタレーションアーティストEllen Arkbroの4枚目のアルバム『Nightclouds』が、ニューヨークを拠点とする〈Blank Forms Editions〉から登場!本作には2023〜2024年に中央ヨーロッパで録音されたソロオルガンによる5つの即興演奏が収められており、これまでの作品よりも一層ロマンティックで内省的な雰囲気を持っている。シンプルでありながら深く響く和音と、彼女ならではの緻密な音の構造を使って、冷徹な美しさの中に感情の幅を見事に表現している。彼女の音楽的進化を象徴する重要な作品であり、聴くものを深い内面の探求へと導く一枚!
アンビエント殿堂入りとも呼べる、William Basinskiの2003年発表の傑作が待望のリマスター再発。元は80年代に録音していたものを集め、自身のレーベルから発表していたCD-R作品。ピアノやサックス、テープのループから生み出される空間はどれも憂鬱ともなう小さな響きでいて、それらが何曲も集まることで退廃的で静謐な美しさが広がります。マスターピース!

11月上旬入荷予定。1984年に吉村弘や芦川聡らとともに日本の環境音楽の歴史を切り拓いた巨匠・磯田健一郎。キャリア40年超の集大成にして、過去のアーカイヴや構想を八丈島での現在の視点から解体・再構築した『Epilogue』。自身の原点である環境音楽の美学に立ち返りつつ、八丈島で採取された希少鳥類の鳴き声や水流のフィールド・レコーディング、そしてフルートやナイロン弦ギター、ヴィブラフォン、メロディオンなどの温もりあるアコースティック楽器が電子音と静かに交錯。maya ongakuの園田努によるヴォーカルや、80年代の未完カセット・テープの現代的な復元も交え、自然のゆらぎと人の記憶が解け合うような優美で親密な室内楽アンビエントを立ち上げている。単なるノスタルジーにとどまらず、時間とともに移ろいゆく音楽そのものの息づかいを封じ込めた静かな祈りのようなドキュメント。
Julius EastmanやArthur Russell、Ellen Fullmanらとともに80年代ニューヨーク・ダウンタウンのアヴァンギャルド/ミニマリズム・シーンを切り拓いた重要作曲家Mary Jane Leachによる、1989年の傑作『Pipe Dream』に続く、パイプオルガン探求の最新録音『Pipe Dreams II / III』。ベルギー・ヘントのホールとドイツ・ケルンの聖ペテロ教会にて録音された本作は、極限まで伸ばされた持続音とストップの精緻な切り替えが織りなす極上のドローン/サイコアコースティック作品。身体を揺らす重低音の脈動と高域できらめく倍音群が交差するアンサンブルは、音高の追及というよりも音響現象そのものをダイナミックに捉え直した神秘的な響きを提示。巨大な楽器と建築残響が共鳴し合い、多次元的な立体音響空間を立ち上げる圧巻の一枚!
10月下旬入荷予定。限定クリア・ヴァイナル仕様。Theoretical Girls、The Staticで70年代末のNYノー・ウェイヴ・シーンを駆け抜けたGlenn Brancaが、1980年に初めてソロ名義で放った記念碑的作品。NYの伝説的ポストパンク/ダンス・レーベル〈99 Records〉の第一弾としてリリースされ、後のSonic YouthやSwansをはじめとする数多くの若いバンドに決定的な影響を与え、NYダウンタウンのアート・パンクを形づくった重要作。
疾走するビートと幾重にも絡み合う反復パターンによって、Neu!を彷彿させる反復ビートとPhilip Glassのミニマリズムを接続したかのような強烈な音響運動を展開。反復は単純な循環に留まらず、ギター、ベース、ドラム、キーボードが重なり合うことで巨大さへと変容し、ロックの原始的エナジーとミニマリズムを陶酔的な高揚へと合一。
一方、B面はその対極で、暗く、不穏で、予測不能な音響のなか、ギター、キーボード、ベース、ドラム、そしてスレッジハンマーまでを含む編成が、工業的な轟音と緊張を幾重にも積み重ねていきます。構築と破壊、反復とノイズ。その両極をひとつの巨大な音響空間へと統合した本作は、ロック・バンドという形式そのものを拡張し、80年代以降の実験的ギター・ミュージックの新たな地平を切り拓いた、Glenn Brancaの原点にして極めて重要な一枚。
10月14日発売予定。1999年にリリースされた知られざるギター・デュオ・ユニットのアルバム。ハーモニクスを多用したギターのみによる楽曲は、アンビエント的な静けさを進えた美しいもので、当時のライヴでは 8mm 映像などとコラボレートなどもしていました。しかし、当時の反応は一部で高い評価を得たものの、それはとても小さいものでした。当時のインディーズ・シーンではまだアンビエント的なサウンドの見直しもなく、ここまでシンプルなインストウルメンタルものをライヴの現場で演奏しているユニットなど皆無で、非常にカテゴライズしづらく、立ち位置の難しい音楽だったのだと思います。
しかし、ジャパニーズ・アンビエントが世界的に見直された 2010年代になってから、本作は再発見され、CDのデッドストックが一気に完売。再発の声もある中、今回初のアナログ化で改めてこの音楽を解き放ちたいと思います。現在 URBAN VOLCANO SOUNDSで知られるKENKEN もゲスト参加。
知られざる秘宝作品にじっくり触れてみるのもよし、日々のBGMとしても空気に染み入るような美しい時間を生み出してくれる、音響ギター・インストウルメンタル・アルバムです。

10月30日発売予定。Fatima Al Qadiriが、West Asiaのフォーク/ダンス音楽への愛情を込めて放つ新作EP『3TWI』。クウェート・アラビア語で「女たらしの年配男性」を意味するタイトルを軸に、地域のクラブ・ミュージック、伝統的なダンス音楽、クィアな視点を大胆に交差させた4曲を収録。長年の友人でもあるBobo Secret、Lama3an、Gumarを迎え、挑発的なスポークンワードから切実なアンセムまで、ユーモアと欲望、ジェンダーやパフォーマンスをめぐる物語を描き出す。
クウェートや湾岸地域の音楽文化を中心に、イラン系の3eemi、古典アラビア語まで複数の言語・方言を横断し、国境を越えて共有される音楽的伝統を祝福。伝統とクラブ、ローカルな言葉とグローバルな電子音楽を繋ぐ、妖しくユーモラスで刺激的なEP。

ミニマル・ミュージックの先駆者 テリー・ライリーを父に持つギャン・ライリー (Gyan Riley) と、2005年のアルバム『Cripple Crow』共同プロデュースをはじめ、長年の盟友であるデヴェンドラ・バンハート (Devendra Banhart )、ノア・ジョージソン (Noah Georgeson) のトリオによる新たなコラボレーション・プロジェクト HUG (ハグ)。特別編成トリオとして幾度か来日公演も行い、夢見心地で温かく会場を包み込むような演奏を披露してきた3人が、ついに HUG として、セルフタイトルとなるデビューアルバムを発表。国もジャンルも超越する多彩なリリースで多くの音楽マニアを魅了し続けてきた〈Luaka Bop〉から9月11日 (金) に世界同時発売となる。
自然な流れに身を任せるように、オーガニックに紡がれた本作『HUG』は、旧知の3人が童心に還り、ピュアな好奇心のもと生み出した作品だ。同時に独立したアーティストでもある彼らの奥深さや親密で内省的な側面も併せ持ち、アンビエントな要素や、時に謎めいた瞬間も訪れる。デヴェンドラ、ギャン、ノアが交互にリードを取りながら、各楽曲はフォークの伝統とジャンルを横断しながら溶け込んでいく。
先行シングルにして、アルバム冒頭を飾る「 Cow With Half Moon Parasol」は、鳴り響くカエルの声からはじまる。他にもインドの聖なる丘やベネズエラとコロンビアを流れる川など、トリオにとってそれぞれ意味を持つ固有の場所における環境音が、本作のサウンドスケープを彩っている。
深い親交のもと、一心同体となったトリオ HUG は、単なるギター・トリオの枠には留まらない。
ギャン・ライリーとノア・ジョージソンはネヴァダ・シティを同郷に、幼少期からの親交を持っている。ギャンはアーティスト兼ツアー・ミュージシャンとして複数のアルバムをリリースし、アルージ・アフタブ、ジョン・ゾーン、ポール・サイモン、そして父のテリーなど多彩なミュージシャンとコラボレーションを重ねた。一方、ノアはフレッド・フリス、ポーリン・オリヴェロス、アルヴィン・カランに師事しながらサンフランシスコで独自の実験音楽家として実績を築いた。その後、10代でアートスクールを中退したデヴェンドラと出会い、2000年代を定義する音楽を共に生み出した。ベネズエラとカリフォルニア南部で育ち、授業をサボってストリートでバスキングをしながらギターと共に過ごしていたデヴェンドラ・バンハートは、このトリオ結成時について「すべてが輝いていて、まるで子供に戻ったみたいだった」と振り返る。「だから確信したんだ... 一緒に演奏しなければって。」
アルバム自体は3週間でまとまったが、その後も3人が長い時間をかけて本作と向き合ってきたことを示す痕跡が、各トラックのあちこちに散りばめられている。ラストの曲には、ノアとデヴェンドラが20年前、まだヴェニス・ビーチで共に暮らしていた頃に作ったループが含まれている。それは、これまでどう完成させればいいかわからなかった、ある曲の断片だった。そしてアルバムのラストには「Well I went down…!」と叫ぶ声が、かすかに聴こえ、新たに未完成の断片を残して幕を閉じていく...。それはおそらく、これから来るプロジェクトへの予告かもしれない。

唯一無二のドローンサウンドでカルト的人気を博すSarah Davachiによる最新アルバム『The Will of Tongues』がリリース!本作は、3枚組のLP(CDは2枚組)におさめられた2時間以上に及ぶ、これまでで最も野心的な大作となっている。作品には米国・カナダ・オランダ各地で録音されたオルガンのサウンドに加え、EMPAC(ニューヨーク)やアイルランドのLouth Contemporary Music Societyの為に制作された楽曲も含まれている。
参加アーティストはDavachi自身のオルガン演奏に加え、Whitney Johnson(viola)、Eyvind Kang(viola)、Lucy Railton (cello)、さらにはマイクロトーナル金管アンサンブルDiapasonや、スイス拠点の古楽フルート・コンソートPhaedrus、Chamber Choir Irelandなどが名を連ねている。
本作は、反復、調律理論、音色変化、長大な持続時間、垂直的和声といった彼女の作曲的探求を深化させたものであり、ミニマリズムの系譜に連なる精緻な構造を持ちながらも、より意図的で明確な構築性を備えている。各楽器・アンサンブル間でモチーフが受け渡され、時間とともにゆるやかに変容していく。
聴取そのものへの深い敬意を主題とする本作は、容易なリスニング体験を拒みながらも、音そのものと向き合う行為を促す。長大な時間軸の中で生成される音響とその精神的空間は、極めて内省的かつ没入的な聴取体験をもたらす作品となっている。

電子音楽家・作曲家として知られるSarah Davachiによるアーカイヴ・コンピレーション・シリーズの第一弾が自身のレーベル〈Late Music〉と〈Disciples〉の共同にてリリース!
これまでの作品、カセット、EP、シングル、オリジナルの映画音楽、ライブやスタジオ録音など、過去のカタログから選曲された本作は『Selected Works I』と『Selected Works II』というタイトルで分けられており、LPは各タイトルごと、CDはまとめた2枚組となっている。
初期カセットリリースからのトラックやBoomkatからリリースされたアルバム『Gathers』の別トラック、映画「A Woman Escapes」(2022)のオリジナルスコアからのキュー、自主制作のデジタル限定EP『Horae』(2020)からのトラック、そして未発表トラックなど、いずれもこれまでにアナログでは入手不可だったものが収録されている。


(数量限定/日本語帯付き/解説書付き)エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムス。若くして「テクノモーツァルト」の称号を得たエレクトロニック・ミュージック界の最高峰であり、誰もが認める〈WARP RECORDS〉の看板アーティストである彼が、ポリゴン・ウィンドウ名義で発表され、エレクトロニック・ミュージックの歴史を変えた伝説のアルバムが帯付き盤LPで待望のリイシュー決定!
1992年、〈WARP〉がリリースした革新的コンピレーション『Artificial Intelligence』の冒頭を飾ったのは、エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムスによる「Polygon Window」という楽曲だった(ただし同作ではThe Dice Man名義)。そして翌1993年、若くして“テクノ・モーツァルト”と称された彼が〈WARP〉から初めてリリースしたアルバムこそ、エイフェックス・ツインではなくポリゴン・ウィンドウ名義で発表された伝説的作品『Surfing On Sine Waves』である。当時22歳のリチャードによって生み出された本作は、エレクトロニック・ミュージックのその後の方向性を大きく変える画期的なアルバムとなった。アルバム・タイトルはリチャード自身の発言をもとにRob Mitchellが選定したもので、UKダンス・チャートでは初登場2位を記録。同年には続編としてEP『Quoth』もリリースされ、表題曲のほか、このEPで初登場となる楽曲も収録された。
そして2025年、32年の時を経て登場する『Surfing On Sine Waves (Expanded Edition)』は、オリジナル・バージョンのアルバムとEPをひとつにまとめたエクスパンデッド・エディションとしてリリースされる。

(数量限定/日本語帯付き/解説書封入)ナラ・シネフロの来日公演を記念して、アンビエント・ジャズの傑作として名高いデビュー作
『Space 1.8』が日本語帯付きLPにてリリース!
米Pitchfork【Best New Music】 獲得!!〈WARP〉が惚れ込んだ新鋭 ナラ・シネフロ。ジャズの感性、ハープとモジュラー・シンセが奏でる、瞑想的なサウンドで称賛を集めるデビュー・アルバム!!
ロンドンを拠点に活動する、カリブ系ベルギー人の作曲家で、プロテューサー兼ミュージシャンのナラ・シネフロが、待望のデビュー・アルバム『Space 1.8』のCDを名門〈Warp〉からリリース。
本作は2021年9月にデジタル/ストリーミング配信、そして超限定数のみアナログ盤でリリースされ、Pitchforkが【Best New Music】に選出したのを筆頭に、主要音楽メディアがこぞって絶賛、あっという間に入手困難となっていた。
アルバムの作曲、プロデュース、演奏、エンジニア、レコーディング、ミキシングのすべてを、若干22歳のシネフロ自らが手がけ、モジュラー・シンセサイザーの他、ペダル・ハープも演奏している。
このアルバムで、彼女がコラボレートした友人たちには、サックス奏者のヌバイア・ガルシア、同じくサックス奏者でエズラ・コレクティヴで活躍するジェームス・ モリソン、ヌバイア・ガルシアも所属するマイシャからはギタリストのシャーリー・テテとドラムのジェイク・ロング、サンズ・オブ・ケメットのドラム、エディ・ヒック等、現代UKジャズ・シーンを牽引するリーダー的存在が顔を揃えている。
楽曲名の通り、それぞれの曲に吹き込まれた “スペース” は、暖かい光に満たされた部屋でレコーディングされた。アルバム制作中、彼女は、色のそれぞれ異なる周波数を引き出すために、溌剌とした色彩を思い浮かべた。それは共感覚 (ある音である色を感じるというようなこと)の世界で、それをリスナーが逃避して没入できる空間として提供している。どの楽曲も、最初のテイクで、何か食べたり、談笑したり、瞑想した後でレコーディングされている。
「Space 1」は、黄色やオレンジに光り輝くゼロ地点で、彼女が家と呼ぶ様々な場所について描かれている。それは、彼女が子供の頃によく遊んだベルギーのソワーニュの森を思い起こさせるサウンドだ。やがて曲調はもっと湿り気のある音風景に取って代わる。それは彼女の家族が住んでいたマルティニーク島のサン=ジョセフにある緑豊かな山の尾根を表現している。
黄暗青色の霞に包まれた「Space 2」は、蛹のような変化の空間で、柔らかなキーボード、キラキラと揺らめくギター、低音域と高音域の間を滑らかに歌うサックスを経て、曲の後半で鳴り響くシンセサイザーに導かれ、自由落下する至上の喜びが広がっていく。
アルバムは「Space 3」で遊びの領域に着地する。ここではドラマーのエディー・ヒックとプロデューサー兼マルチ・インストゥルメンタリストのドゥェイン・キルヴィングトンとの3時間におよぶ即興演奏が短く切り取られている。
焦げたオレンジ色を想起させる「Space 4」は、ジャン=ミシェル・バスキアの作品にインスパイアされており、純真無垢なサウンドに溢れている。
「Space 5」のパルス音は、ジェイク・ロングのドラムを加工しており、鼓動をイメージしている。
「Space 6」もまた長時間の即興セッションから生まれた。ここでは故意に調子外れにした音の効果が素晴らしく現れ、濃い青と紫が頭上で渦を巻き、下から上昇するように展開するサックスと推進力のあるパーカッション、そして後半では左右にパンするシンセサイザーが溶け合うように一つになっていく。
「Space 7」は献身と祈りのための聖域であり、夏の間の瞑想の直後、真夜中に作られた楽曲だ。金色とピンクの色調を持つこの曲は、彼女が奏でるハープと様々なシンセサイザーの組み合わせによるソロ曲となっている。
アルバムは、黄色のベルベットと新しい夜明けの幻想を包 み込むような「Space 8」でクライマックスに達する。
モジュラー・シンセを通してレコーディングしたハープ音をさらに10層と、モジュラー・シンセのサウンドを8層と、そして自ら演奏したギターを7層を重ねて完成させている。この曲は、音響心理学に対するシネフロのユニークなアプローチを基に、音の持つカタルシスを表現している。深い広がりとシンプルさの絶妙なバランスが未来的な新しい創作を示唆するサウンドは、アルバム全体にも共通している。

(数量限定/ブラック・ヴァイナル/日本語帯付き/解説書封入)現代音楽シーンにおいて、静かに、しかし圧倒的な影響力を持つワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)が、アルバム『Tranquilizer』を〈Warp〉よりリリース。OPNならではの幻想的で超現実的なサウンド世界が姿を現す。
精神安定剤を意味する『Tranquilizer』の出発点は偶然の光景だった。歯医者の椅子に横たわり、歯に響く振動を受けながら、ふと見上げた蛍光灯のカバー。灰色のタイル天井に貼られた、青空とヤシの木のプリント−−安っぽい人工の楽園。その瞬間、OPNは問いかける。この世界の音とは何か。日常と非日常がかろうじて均衡を保ちながら共存する、この薄っぺらな現実の音とは。
さらに、数年前、インターネット・アーカイブから、巨大なサンプル・ライブラリがインターネットから忽然と消えた事件も創作の引き金となった。90年代から2000年代にかけての何百枚ものクラシックなサンプルCD−−シーケンス、ビート、パッド、バーチャル楽器。『サイレントヒル』から『X-ファイル』まで、数え切れない作品に陰影を与えてきた音源たちが、一瞬にして闇に呑み込まれたという出来事。それは文化の断絶、時代の記憶を繋ぐ回線が無慈悲に断ち切られるような体験だった。幸いにも、失われかけた音の断片は再び救出され、文化的アーカイブとして息を吹き返す。本作は、過去への逃避とは何を意味するのか、そしてその先に何が待っているのかを問いかけ、超現実的でディープなテクスチャーで聴く者を包み込む。
失われた音の断片をもとに、『Tranquilizer』は音の幻覚を描き出す。静謐なアンビエンスがデジタルの混沌へとねじれ、日常の質感は感情の奔流へと変容する。忘却と廃退に形づくられたレコード。現実と非現実の境界はぼやけ、サンプルはノイズへと溶け込み、夢の中で扉がきしむ音を立てる。今作のOPNは、これまで以上に没入的だ。ノスタルジーではなく、失われた音を新しい感情の器として再構築している。
アートワークは、インディアナ州を拠点とするアーティスト、アブナー・ハーシュバーガーによって描かれた絵画で、アブナーが育ったノースダコタの平原を抽象的かつ有機的に再構築している。忘れ去られた素材や農村風景に根ざしたそのビジュアルは、『Tranquilizer』のテーマである崩壊、記憶、クラフト感と呼応する。
過去20年にわたり、OPNは世界有数の実験的エレクトロニック・ミュージックのプロデューサー/作曲家としてその名を確立し、21世紀の音楽表現を刷新し続けている。初期の『Eccojams』はヴェイパーウェイヴを生み出し、『R Plus Seven』や『Garden of Delete』といった作品はデジタル時代のアンビエント/実験音楽を再定義した。さらに、サフディ兄弟の『グッド・タイム (原題:Good Time)』と『アンカット・ダイヤモンド (原題:Uncut Gems)』やソフィア・コッポラの『ブリングリング (原題:The Bling Ring)』の映画音楽を手がけ、今年最も注目を集める映画のひとつであるジョシュ・サフディ監督作『Marty Supreme』の音楽も担当。またザ・ウィークエンド、チャーリーXCX、イギー・ポップ、デヴィッド・バーン、アノーニとのコラボレーションでも知られている。

60〜70年代のミニマル音楽、バロック音楽、スタジオ環境における実験から影響を受け、アナログ・シンセサイザー、ピアノ、電子オルガン、パイプ/リード・オルガン、ヴォーカル、テープ・サンプラー、管弦楽といった多彩な音色を用いた楽曲制作を行うカナダ出身のアーティスト、Sarah Davachiが最新アルバム『Two Sisters』 を自身のレーベル〈Late Music〉からリリース!
本作には室内アンサンブルとパイプオルガンのソロが収録されている。カリヨン(非常に大きな鋳鉄製のベルで構成された鍵盤楽器)、合唱、弦楽四重奏、低音木管楽器、トロンボーン四重奏、そしてサイントーンや電子ドローンを含む多様な楽器が使用されている。
パイプオルガンは、1742年製のイタリア製トラッカーオルガンで、現在はアメリカ南西部の砂漠地帯に設置されている、非常に珍しいパイプオルガンのサウンドが収録されている。

2024年11月末、冥丁は、別府市制100周年記念事業の一環として、温泉文化をテーマにした滞在制作に招かれ、別府を訪れた。
「失日本」シリーズで知られる冥丁は、忘れ去られた日本の時代や風景を音として再構築する表現で注目を集める音楽家。今回の制作では、海辺に佇む築100年の旅館「山田別荘」の蔵に約1週間半滞在し、雨水が火山岩に染み込み、癒しの湯となって地上に戻る循環に耳を澄ませた。その結果生まれた作品『泉涌』は、温泉文化の内なる精神をたどるものである。
冥丁は竹瓦温泉、坊主地獄、へびん湯、そして山田別荘の内湯や貸切湯など別府の象徴的な温泉地を訪れ、泉源の音、泥の泡立ち、噴気孔の響き、竹林を渡る風、湯を楽しむ人々の会話などの環境音を丁寧に録音した。これらのフィールドレコーディングとその深い聴取体験を楽曲の音の土台とし、立ちのぼる湯気や体感した湯加減の塩梅までも音として描き出そうと試みている。
この作品は、一連の楽曲として展開し、硫黄と火山岩の風景の中を湯気のように漂っていく。坊主地獄に潜む狂気、山田別荘の内湯に響く幽玄な残響、苔むした竹瓦温泉の風情の中で交わされる日常の語らい。そうした断片が静かに織り込まれている。そこには水の静けさや土地に宿る記憶、そして代々ここで湯に親しんできた人々への深い敬意が込められている。
『泉涌』は、失われた日本の記憶を主題とする冥丁の探求を継承しつつ、新たな領域に踏み込んでいる。別府の風土や記憶を音 で巡礼するかのように、リスナーを深い没入体験へと誘う。マスタリングはStephan Mathieuが担当。また、本作は「失日本」 プロジェクトの新章『失日本百景』の幕開けを飾る作品。このシリーズでは、現代の生活の中でひっそりと息づく「憧憬の残る場」を探求していく。
日本の古い文化をモチーフにした唯一無比のオリジナリティーで、世界のエレクトロニック~アンビエントシーンで脚光を浴びる広島在住のアーティスト冥丁が、2020年の傑作アルバム『古風』の続編をリリース!
「LOST JAPANESE MOOD」(失われた日本のムード)をテーマに、アンビエント・ミュージックやミュージック・コンクレートを融合させて、時とともに忘れ去られる日本の古い歴史の瞬間をノスタルジックな音の情景に再構築した3部作『怪談』『小町』『古風』で非常に高い評価を得てきた冥丁。前作『古風』をリリース後、冥丁は『古風』制作のために完成させたトラックがまだ47曲ほどあることに気づき、『古風』の世界観をさらに拡張しながら、より深く日本人のアイデンティティーについて思いを巡らせた本作『古風 II』を制作した。
アルバムは陽気な口笛から虫の音や和楽器などの賑やかなハーモニーで幕を開ける。続く「八百八町」(M-3)ではピッチシフトしたボーカル・サンプルやユニークなビートでかつての江戸の活気を表現し、メランコリックな雰囲気の「カヲル」(M-4)では、冥丁が亡き祖母に捧げたアルバム『小町』制作時のセッションを用いて彼女に送る最後のレクイエムを奏でている。アルバム後半の「茶寮」(M-10)では、一音一音が筆の運びのようなシンセ音の繰り返しの中に静けさを感じさせる。この曲は、冥丁が祖母の家で眺めていた水墨画からインスピレーションを得たもので、彼が以前訪れた茶室の印象と結び付けたという。「朽ち果てた土壁や色褪せた畳に感動を覚え、その小さな部屋に漂う宇宙的な時間の流れを音楽にしてみようと思った。」と冥丁は語る。また、非常にドラマチックな展開を見せる「黒澤 明」(M-11)では、日本の豊かな伝統と第2次世界大戦後の混乱を等しく描いた黒澤作品と深く共鳴している。
冥丁は長年に渡り、彼の思い描く日本らしさや日本人らしさを見つけ出そうとしてきたが、過去3枚のアルバムでその答えを求めた後、本作でさらに多くの疑問を投げかけている。過去を振り返ることで、より明確な現在を得ることができるのか?「LOST JAPANESE MOOD」をとらえた後、現代社会の中で日本はどこへ向かうのか?『古風Ⅱ』は、さまざまなムードと質感のある音の断片の中で、我々に過去との関係を見直すことを提案している。
広島在住の音楽プロデューサー。 現代的技巧と日本への深い敬意を融合させた三部作、『怪談』、『小町』、『古風』で国内外の好評を博す。
日本古来の音楽と豊かな歴史、文化の多様性を世界の国々へ伝える、近年のアンビエント・ミュージックの先駆者の一人。

国際的評価を集めるエレクトロニック・ミュージック・アーティスト冥丁が、
『古風』三部作を追伸し辿り着いた最新作『瑪瑙』をリリース。
公演を重ねる中で深化し続けた楽曲の構造が再編され、鮮烈な哀愁をもって結実した。
2020年から2023年にかけて発表された三部作『古風』において、冥丁は“自明でありながらも幽微な存在として漂う日本”の印象を「失日本」と名付け、日本文化から失われつつある感覚や記憶を現代的な感性で再構築してきた。最新作『瑪瑙』は、『古風』を追伸し、進化させた作品である。
長い時間をかけて層を成し、圧力と沈殿を経て形成される鉱物・瑪瑙の生成過程を音楽的思考の比喩とし、粒子が積み重なり、層をなし、やがてひとつの質感となるように、冥丁は過去の作品と向き合い続けてきた。
本作には、『古風』三部作の楽曲を再構築・拡張した作品群に加え、新曲も収録されている。日本・欧州・アジアを巡るツアーで、ライブハウスや文化財、歴史的建造物など多様な空間で演奏を重ねる中で変化してきた楽曲の構造や時間感覚が再編成され、現在の冥丁の視座から再提示されている。環境によって息遣いや佇まいを変え、時間の流れとともに革新してきた音。その堆積が本作に刻まれている。
20代の頃より京都に身を置き、自転車で町を巡りながら夜の路地や寺社仏閣、池に浮かぶ月影、暮らしの奥に潜む気配を見つめ続けてきた冥丁にとって、日本とは単なる固定された様式ではなく、辺りを漂い続ける印象であった。そこで着想を得た音楽を「失日本」と名付け、誰もが感じる言葉にならない繊細な感覚を音として提示してきた。
『古風』三部作は、民俗、怪談、演劇、忘却された都市の記憶といった断片を素材としつつ、単なる歴史の再現ではなく、現在の視点から過去を見つめ直す試みでもあった。『瑪瑙』では、その視線がさらに内側へ向かう。過去を参照するのではなく、過去を抱えながら今を前進する姿勢が鮮明に表れている。朽ちゆく音の層を漂う声、非伝統的に用いられる古楽器、明確な終止を持たない旋律。そこには、日本的感性を問い続けてきた冥丁の現在地が示されている。
本作のジャケット原画は、京都・西陣の唐紙工房「かみ添」による京唐紙作品を基に制作された。京唐紙とは、版木を用いて和紙に文様を写し取る、京都に古くから伝わる装飾技法である。平安時代より、寺社や町家を彩り、日本の美意識と共に受け継がれてきた。冥丁が「失日本」という視点から日本的感性を再解釈してきたように、「かみ添」もまた伝統技法を現代の感性で再構築している。本作では、その原画をもとにアルバムのアートワークの仕様として印刷再現している。
タイトルの書は、冥丁が自ら台北で声をかけたBio Xieによるもの。海外公演の折に台湾で感じた、現代の日本から失われつつある時代を越えて残る記憶の残り香。そのような背景とBio Xieの漢字表現が響き合い、本作への参加が実現した。
ライナー写真は、前作『泉涌』のビジュアルも手がけた写真家・岡本裕志によるもの。冬の海、孤高の断崖、砕ける波。それらは、広島で過ごした十年間の内面的な孤独な葛藤を象徴している。
マスタリングは、Flying Lotus、Madlib、J Dillaらの作品を手がけてきたKelly Hibbertが担当。
『瑪瑙』は、「失日本」という視点を掲げ続けてきた冥丁が、さまざまな経験を重ねた先に見出す現在の姿。
それは、時間の堆積の中から立ち上がる、新たな音楽の結晶である。
【Tracklist】(*カッコ内は説明)
1. 覇王(未発表新曲)
2. 新花魁(古風 2020年「花魁Ⅰ」再編成)
3. 新貞奴(古風 2020年「貞奴」再編成)
4. 新和蝋燭(古風Ⅲ 2023年「和蝋燭」 再編成)
5. 旧劇(古風Ⅱ 2021年「忍」「黒澤明」再編成)
6. 新花魁Ⅱ(古風 2020年「花魁Ⅱ」再編成)
7. 新江戸川乱歩(古風Ⅲ 2023年「江戸川乱歩」再編成)

11月27日発売予定。Floating Points、Leon Vynehall、The Fieldなどファンにも推薦!Barcelonaを拠点に活動するカタルーニャ出身のプロデューサー/電子音楽家/DJ、OR-Oriol Riverola。John Talabot名義で発表した2012年のデビュー・アルバム『ƒIN』によって世界的な評価を獲得した彼が、実に10年以上の歳月を経て発表する待望のニュー・アルバムが名門〈AD93〉より登場。色彩豊かなシンセサイザーのフックが複雑に絡み合い、ループする電子音と細かな音の変化が次々と折り重なることで、反復を基盤としながらも、単純なミニマリズムには収まらない豊かな展開を形成。旋回するようなシンセのフレーズと刻々と姿を変える電子音のレイヤーによって、ダンス・ミュージックとエレクトロニック・ミュージックの境界を横断する一作。
エレクトロニック・ミュージック・シーンでは John Talabot として広く知られている Oriol Riverola は、これまでのキャリアを通じて、ツアー/ライブ、スタジオでの制作、そして音楽家としての日々の暮らしから生まれる、創造的かつ社会的な刺激を原動力としてきた。
しかし、2020年に世界が一斉に閉ざされたことで、その原動力は突然失われることになった。本当に以前の日常が戻ってくるのかさえ分からない、先行きが不安な状況のなか、ダンス・ミュージックを作ることはどこか奇妙で、意味を失ったようにも感じられた。音楽シーンの多くが、自宅で過ごす時間に寄り添う曖昧なアンビエントへと大きく傾いていくなか、Oriol Riverola はひとつの問いを抱くようになった。
「もし、もっとも多幸感に満ちたアンビエント・サウンドがあるとしたら、それはどんな音楽だろう?」
本作『Music for Empty Stadiums』は、その問いに対する答えとして生まれたアルバムである。全17曲、約95分にも及ぶ本作は、Riverola のキャリアにおいて最も壮大な作品であると同時に、これまでで最もパーソナルな作品のひとつでもある。だからこそ彼は、本作を OR という名義でリリースすることを選んだ。OR は彼のイニシャルを表すだけでなく、カタルーニャ語で「金 - ゴールド」を意味する言葉でもある。

長年にわたり、岡田拓郎は静かな問いを抱き続けてきた。
「日本人の音楽家として、アフリカ系アメリカ人の音楽を単に借用することなくどう敬意を払えるのか?」
――その探求が新作アルバム『Konoma』を形作った。
東京を拠点に活動するギタリスト/プロデューサー/バンドリーダーである岡田は、幼少期からこの葛藤の中で生きてきた。ブルース、ジャズ、ファンクのレコードに惹かれ育ちながらも、そこに刻まれた歴史の重みに直面し、また日本人として日本に生まれ育った自分自身の起源、そしてそれらの音楽との接点について考えを巡らせていた。そんな彼に道を示したのが、アーティスト・シースター・ゲイツ(Theaster Gates) の展示で知った「アフロ民藝」だった。
ゲイツは、ブラック・アートの美学と日本の民藝運動を結びつけ、いずれも“抵抗”の精神に根ざした文化であることを示した。「Black is Beautiful」という言葉が人種差別への抵抗を象徴したように、民藝運動もまた、産業化によって消えゆく日常の美を守るために生まれた。この2つの精神の共鳴が、岡田にとっての『Konoma』の羅針盤となった。本作は文化と時間の境界を越えて鳴り響く余韻に耳を澄ませた作品である。
『Konoma』には、6曲のオリジナルと2曲のカヴァーが収録されている。
どの曲も、この“対話”の中で形づくられた。優雅でゆったりとした「Portrait of Yanagi」は、まるでぼんやりとした記憶の中にある、別の時代のスタンダードのように漂い、短くも濃密な「Galaxy」では、後期サン・ラのエレクトリック・オルガン実験、初期フライング・ロータスのビートテープの分裂的推進力、そしてトリップホップの影のような空気感を想起させる。カバーの選曲も、岡田の思想と対話を鮮明に映す。
ヤン・ガルバレクの「Nefertite」は、1970年代ECMを象徴する冷ややかな美をまとい、ヨーロッパの音楽家たちがジャズの中で自らのアイデンティティを探していた時代を再構築する。一方、鈴木宏昌の「Love」は1970年代日本ジャズ・シーンの電気的な熱気を呼び起こす。当時ミュージシャンたちはサイケデリック、ファンク、フォークを融合させ、独特の"ローカルな方言"を生み出した。両者を通じて『Konoma』は、借りた形式を新たな表現へと“ねじ曲げてきた”アーティストたちの系譜に連なっていく。
ISC Hi-Fi SelectsとTemporal Driftの共同リリースによる本作『Konoma』で、岡田拓郎はこれまでで最もパーソナルかつ広がりのある表現を提示した。
それは、つながり、影響、そして文化を超えて生き続ける美についての瞑想。

9月下旬再入荷。maya ongaku3年ぶりとなる待望の2ndアルバム『Nothing Space Music』の12inch VINYLが、Guruguru Brainからリリース!
2023年『Approach to Anima』での世界デビュー以降、国内外で精力的にライブ活動を展開し、各地で高い評価を獲得してきたmaya ongaku。 本作では、その経験を経た先にある「沈黙」に焦点を当て、より内省的かつ深度のあるサウンドへと歩みを進めた。反復するグルーヴと繊細なアンサンブル、アンビエントな空間性、即興性を兼ね備えながらも、 本作には人の記憶や感情に寄り添うポップスとしての親密さがあり、時間や境界の感覚をほどいていくような没入感に満ちている。 その一方で、制作の過程で浮かび上がった「Nothing Space」というひとつの空間のイメージ。
それは単なる無ではない。過去・現在・未来、あらゆる時間の記憶が漂い、空と海、陰と陽、音と沈黙といった境界が溶け合う広大な場所。 「Vanishing Waves」から「Permanent Waves」へ。 ジャンルを横断しながらも、そのどれにも属さない独自のサウンドは、国内インディーシーンのみならず、 海外リスナーにも高い親和性を持つ作品として、maya ongakuの新たな到達点となる全8曲を収録した珠玉の名作。

南米の先住民族のひとつマプチェ族にルーツを持つ音楽家Eli Wewentxuと、リトアニアの伝統弦楽器カンクレス奏者Indrė Jurgelevičiūtėによる、「雨上がりに」を意味するタイトルの通り、湿った空気と静かな生命の気配をそのまま音にしたような、アコースティック・アンビエント作『Después de llover』。2025年夏、Indrėの自宅で行われた即興セッションを軸に、文化も言語も異なる二人が、音だけを頼りに共有できる世界を探る対話として生まれた作品で、カンクレスの澄んだ響き、ヴァイオリンの湿った倍音、そして口琴の素朴な振動が重なり、水滴、霧、草木の光といった雨上がりの細やかな情景が立ち上がる。相手の音に耳を澄ませながらそっと返すような、呼吸のようなやり取りが続く。音楽は完成された構造ではなく、自然の中で音が生まれては消えていくような、静かで有機的な流れ。伝統楽器は新しい表情を見せ、音数は少ないが、ひとつひとつの音が空気を震わせるように響き、静けさの中に確かな生命感が宿る。雨上がりの世界をよりしろとして、世界への祈りをそっと音へと結晶させたような、美しいアコースティック・アンビエント作品。

9月下旬再入荷。David Augustが新名義Argentoで描き出す、ベルリンとイタリア・トスカーナ沿岸を往復しながら制作された、地中海の光、風、風景をテーマにした架空のサウンドトラック『Miraggi』。〈Music From Memory〉らしい柔らかい電子音と、1970〜80年代イタリアン・ライブラリー・ミュージックの抽象的な質感が自然に重なる一枚で、パーカッションにはLorenzo Settiが参加し、生のニュアンスが作品全体に有機的なグルーヴを与えている。シンセは地中海の陽光が揺れるような柔らかいトーンで、砂浜、潮風、夕暮れの色彩がレイヤーとして静かに立ち上がる。アコースティック・パーカッションは水面の反射のように細かなニュアンスを刻み、フィールドレコーディングは遠くの波や風の気配を思わせる空気として配置。穏やかな広がりと、地中海の精神性、イタリアン・ライブラリーの映画的な抽象性が美しく結びついた、風景を描く電子音楽。

A.R. KaneのRudy Tambalaと、CranesのAlison Shawという90年代UKアンダーグラウンドを象徴する2人が、1991年に残したコラボ録音『Rise』を、〈Music From Memory〉が新装、復活。当時のセッションは、初期サンプラー、ドラムマシン、アコギ、囁くようなボーカルを最小限に使い、空間そのものを音楽にするというコンセプトで進行。ドリームポップの儚さ、アンビエントの静けさ、そしてA.R. Kane由来のダブ的低音処理が溶け合い、霧の中で音が浮かんでは消えるような、親密で幽玄な世界が広がる。オリジナルEPの音源に加え、2012年録音の未発表曲「Biology」を追加収録。DATからの丁寧なリマスターにより、当時の未完成の美しさをそのまま保ちながら、音の奥行きがより鮮明に立ち上がる。ドリームポップ、アンビエント、ダブ、実験音楽が静かに交差し、90年代UKインディの空気をそのまま閉じ込めた、静かに広がる作品世界。
