MERCHANDISE
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安然『悉曇蔵』から、湛智『声明用心集』へ。日本最古の声・声明の理論として展開し、中世の諸声楽の旋律生成に大きな影響を与えてきた声明の音楽理論の形成過程を解明。
日本音楽史の新地平を拓く。
序章
一 本書の目的と背景
二 本書の対象
三 先行研究
第一章 安然とその著作
第一節 平安期の仏教儀礼
一 経典の受容と儀礼の展開――「金光明経」の場合
二 日本人が受容した唐代の儀礼――『入唐求法巡礼行記』より
第二節 安然の悉曇・声明の伝承および著作
一 略歴
二 声明実唱の伝承
三 仏教史書にみる安然像
四 四家・三師および円仁からの伝承
第三節 安然の著作および『悉曇蔵』
一 著作概観
二 『悉曇蔵』概要
三 第三科「二方音」概要
四 第三科「二方音」引用文献
小括
第二章 安然における音・声――『悉曇蔵』巻第二第三科とその後の著作より
第一節 外教における音・声――『悉曇蔵』巻第二第三科「二方音」より
一 五行・五音
二 四声・四音
三 陰陽五行・律呂五音
第二節 内教における音・声――『悉曇蔵』巻第二第三科「二方音」より
一 偽経――外教から内教へ
二 顕密の音声と発声・発音
三 直韻・拗韻
四 五音と羹瓔
五 三聚声・八梵音
六 四時声・四種念誦
七 三密における声――結び
第三節 『悉曇蔵』以降の著作にみる声と儀礼
一 儀礼実践における声
二 『諸阿闍梨真言密教部類総録』にみる声と儀礼
小括
第三章 『悉曇蔵』以後『声明用心集』以前における音律論・旋律論
第一節 『梁塵秘抄口伝集』
一 概要
二 音律論
三 旋律論
四 五行論
第二節 『懐竹抄』
一 概要
二 「横笛篇」――『悉曇蔵』の影響
三 「懐竹抄」――音律論
第三節 『管絃音義』
一 概要
二 内容
三 智顗・湛然および『悉曇蔵』の影響
四 『管絃音義』における音・音楽
小括
第四章 湛智とその著作
第一節 湛智の声明の相承とその時代
一 概要
二 湛智の声明――『弾偽褒真抄』より
三 声明を取り巻く状況――平安中期~鎌倉前期
第二節 湛智の著作と『声明用心集』
一 湛智の著作
二 『声明用心集』の概要
三 『声明用心集』に引用・言及される文献等
小括
第五章 湛智の声明理論と声明観――『声明用心集』を中心として
第一節 上巻「音楽」
一 序
二 横笛図
三 九條律呂
四 一條三種五音
五 両條三箇変音曲
六 三律三呂
七 紫竹唐笙
八 絃
第二節 中巻「法楽」
一 序――口声
二 一條三種五音曲
三 両条三箇変音曲
四 声由
五 博士
第三節 下巻「器量」「問答」
一 器量
二 問答
第四節 湛智の声明観と稽古観
一 『音律序』
二 『声明口伝集』
小括
第六章 湛智以降の音律論・旋律論
第一節 主要文献
一 大原流関連
二 妙音院流ほか
第二節 音律論
一 律曲と中曲
二 塩梅と嬰
三 反音(変音・返音)
第三節 旋律論
一 翔(振舞)・直・?
二 五音の機能および由
三 重
小括
結章
一 総括
二 むすび
資料一覧
引用・参考文献一覧
あとがき
索引
判型・ページ数 A5・462ページ
澤田 篤子
1950年 東京都世田谷区生まれ。 1975年 お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。2020年 博士(人文科学)取得(お茶の水女子大学)。現在 大阪教育大学名誉教授・洗足学園音楽大学名誉教授。論文に「真言声明の音構造―柴田南雄理論を用いて」「薬師寺最勝会の形成過程の研究」ほか。LPレコード解説書に『真言宗豊山派声明―御影供二箇法要』『薬師寺の四季』『長谷論義』『真言声明大伝法院流伝法灌頂』『曹洞禅』『マンダラ―チベット仏教音楽の世界』ほか。「薬師寺「最勝会」復興上演」(平成15年度文化庁芸術祭賞大賞受賞)の監修・構成。

民俗学・宗教学・芸能史・演劇史という学問的枠組みを超えて、神楽の継承に携わる全ての人に向けて、神楽とは何だったのかを問う。
第一章は神楽研究の始まりになった備後の荒神神楽を取り上げて、伝承を維持してきたものとは何かを問い直す。
第二章は神楽の神がかりに焦点を当てて、担い手である巫者の変遷を論じ、社会の変動と関連付けて検討する。
第三章は石見の大元神楽を取り上げ、備後の荒神神楽と比較して伝承の維持・継承の状況を検討する。
第四章は強固な伝承を維持してきた南信濃の霜月神楽の意味と機能を探る。
第五章は神楽の近代を主題とし、東北の修験系神楽である大乗神楽を検討して近代の在り方を再考する。
第六章は中国との比較の観点を入れ込み、「目連の能」を手掛かりに死者供養の神楽の考察を行う。
第七章は神楽を研究の主題とすることとは何かを問い、学術研究に至る過程や、芸能の舞台化という近代の実践に着目する。
第八章は神楽に関する研究方法が不安定なことに鑑み、今後の神楽研究の課題を提示した。
目次
まえがき
第一章 伝承を持続させるものとは何か――比婆荒神神楽の場合
1 伝承とは何か
2 比婆荒神神楽を巡る「名付け」と「名乗り」
3 比婆荒神神楽との出会い
4 大神楽の構成
5 前神楽
6 本神楽
7 神がかり
8 灰神楽
9 大神楽の変遷
10 祖霊加入の儀式としての荒神神楽
11 荒神と土公神の複合的性格
12 「古海の一夜」から浄土神楽へ
13 荒神神楽を支える人々
14 文化財への道
15 博物館展示
16 竹森の大神楽
17 映像の暴力
18 神楽を持続させるものとは何だったのか
19 伝承母体の変容
20 将来に向けての課題
第二章 神楽の中の巫者
1 巫女とは何か
2 精霊統御者
3 修験道の影響
4 神楽と女性
5 神楽の歴史的変遷
6 荒神
7 法者
8 死霊の鎮め
9 能舞の変遷と神殿
10 荒平の出現
11 土公祭文
12 周縁の衰退
13 巫者の行方
第三章 大元神楽の変容
1 大元神楽とは
2 大元神楽との出会い
3 大元神と大元神楽
4 大元神楽の変容
5 明治以後の変動
6 大元神楽の構成
7 五龍王
8 神歌
9 神がかり
10 式年の特色と神がかりを巡る言説
11 大元神楽の特徴
12 伝承の変化と持続
13 再興とイベント化
14 伝承の持続と再検討
第四章 湯立神楽の意味と機能――遠山霜月祭の考察
1 湯立神楽
2 天龍川中流域の祭祀
3 遠山霜月祭の特徴
4 冬の到来を告げる季節祭
5 起源伝承
6 供物と湯立
7 山と竈と土公神
8 五大尊法と不動明王
9 九字護身法
10 立願と湯立
11 死霊の鎮めと湯立
12 湯立とは何か
第五章 神楽の近代――大乗神楽の事例から
1 神楽の近代という問題設定
2 山伏神楽
3 大乗神楽の発見
4 江釣子の「大乗會」
5 「大乗會」以前――岩崎の伍大院
6 「大乗會」の出現―南笹間の萬法院
7 幕末期の修験の動向
8 「大乗會」から大乗神楽へ――煤孫の貴徳院
9 神仏分離と「大乗會」
10 法印の意味の変化
11 巡行と権現舞と火防祭
12 文化財から文化遺産へ
13 行政の関与と「大乗會」の復元
14 「大乗會」の意味の変化
15 コスモロジーの行方
第六章 目連の系譜――死者供養の神楽
1 目連とは
2 目連と盂蘭盆会
3 備後の「目連ノ能」
4 「目連ノ能」と浄土神楽
5 「目連ノ能」の特徴
6 「目連ノ能」の時代的背景
7 「語り物」としての目連
8 盆踊りの目連
9 目連救母の読み替え
10 「目連ノ能」と祭文の比較
11 東アジアの中の目連戯
第七章「民俗藝術」の発見――小寺融吉の学問とその意義
1 民俗芸能研究の始まり
2 小寺融吉の位置付け
3 小寺家の人々
4 小寺融吉と舞踊
5 小寺融吉の著作活動
6 小寺融吉の研究の特徴
7 小寺融吉の転機
8 文化財行政の展開
9 日本青年館と小寺融吉
10 「郷土」と「民謡」
11 民俗藝術から民俗芸能へ
12 澁澤敬三の貢献
13 「民間学」としての舞踊研究の誕生
14 「民俗藝能の会」の成立
第八章 神楽研究の再構築へ向けて
1 神楽研究への視座
2 神楽の発生と御神楽
3 鎮魂の近代
4 鎮魂と神楽
5 近代における神楽の創出
6 中世神楽という視座の再検討
7 中世神楽論の問題点
8 浄土神楽をめぐって
9 『神楽源流考』への疑義
10 再び中世神楽へ
11 死者供養の神楽
12 神楽研究の可能性
参考文献
図版クレジット
あとがき
索引
判型・ページ数 4-6・514ページ
鈴木 正崇
1949年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。慶應義塾大学名誉教授。前日本山岳修験学会会長。 主な著書に、『中国南部少数民族誌』(三和書房、1985年)、『山と神と人』(淡交社、1991年)、『スリランカの宗教と社会』(春秋社、1996年)、『神と仏の民俗』(吉川弘文館、2001年)、『女人禁制』(吉川弘文館、2002年)、『祭祀と空間のコスモロジー』(春秋社、2004年)、『ミャオ族の歴史と文化の動態』(風響社、2012年)、『山岳信仰』(中央公論新社、2015年)、『東アジアの民族と文化の変貌』(風響社、2017年)、『熊野と神楽』(平凡社、2018年)、『女人禁制の人類学』(法藏館、2021年)、『日本の山の精神史』(青土社、2024年)、『山岳信仰と修験道』(春秋社、2025年)。受賞歴として、1997年に義塾賞、2014年に第11回木村重信民族藝術学会賞、2016年に第18回秩父宮記念山岳賞(日本山岳会)を受賞。 受賞歴として、1997年に義塾賞、2014年に第11回木村重信民族藝術学会賞を受賞。2016年,「日本の山岳信仰と修験道に関する宗教学的研究」の業績で第18回秩父宮記念山岳賞(日本山岳会)を受賞。
神々の血筋を引くクル王家の系譜と、一族を破滅へ導く大戦争への道のりを数世代にわたって描く大叙事詩『マハーバーラタ』。実現する呪い、秘められた過去、果たされる誓い……絡み合う因果に翻弄されながらも自己のダルマ(正しいあり方)を求め、英雄たちは聖なる戦場で対峙する。第一巻はクル王族の子孫と祖先の物語。王子たちの驚異の誕生と長い確執のはじまりがここに語られる。
信頼すべきサンスクリット原典訳の待望の復刊。
【目次】
まえがき
家系図
主要登場人物
マハーバーラタ関連地図
第1巻 最初の巻(アーディ・パルヴァン)
(1)筋書き(第一章)
(2)各巻の要約(第二章)
(3)パウシャ王(第三章)
(4)プローマン(第四章―第十二章)
(5)アースティーカ(第十三章―第五十三章)
(6)最初の家系の降下(第五十三章―第五十八章)
(7)起源(第五十九章―第百二十三章)
(8)ラックの家の火災(第百二十四章―第百三十八章)
法蔵館文庫版『原典訳 マハーバーラタ』の刊行にあたって 川村悠人
判型・ページ数 文庫・496ページ
上村 勝彦
1944年、東京浅草に生まれる。1967年、東京大学文学部卒業。1970年、同大学院人文科学研究科(印度哲学)修士課程修了。サンスクリット詩学専攻。元東京大学東洋文化研究所教授。主な著訳書に、『屍鬼二十五話』(平凡社東洋文庫)、『カウティリヤ実利論』(岩波文庫)、『インド神話』(ちくま学芸文庫)、『始まりはインドから』(筑摩書房)、『インド古典演劇論における美的経験』(東京大学出版会)、『バガヴァッド・ギーター』(岩波文庫)、『インド古典詩論研究』(東京大学出版会)、『真理の言葉・法句経』(中央公論新社)などがある。2003年、逝去。

これまで多くの人々の心をつかんできた『般若心経』。その中でも特に有名な「色即是空、空即是色」という句は、インド、チベット、中国、日本などの注釈家によって多様に解釈されてきた。つまり色と空、迷いと悟りの関係も各地の文化的伝統に応じて理解されてきたのである。「色即是空、空即是色」を理解するということは、それぞれの伝統を理解することに他ならない。
本書では、『般若心経』の空思想が諸文化においてどう解釈され、日本でいかに受容されているかを考察する。
【目次】
はじめに
『般若波羅蜜多心経』本文
序 章 『般若心経』の魅力
第1章 禁欲と瞑想
第2章 仏教における否定と聖化
第3章 インド仏教史と『般若心経』
第4章 『般若心経』の翻訳と注釈
第5章 「五蘊は自性が空である」
第6章 「色即是空、空即是色」―インド人の解釈―
第7章 チベット仏教における解釈
第8章 「色即是空、空即是色」―中国人の解釈―
第9章 宗教行為のパターン―空性と時間―
第10章 般若波羅蜜多に依れ
第11章 色と空の溶け合うところ―日本人の場合―
文献一覧
あとがき
文庫版あとがき
判型・ページ数 文庫・294ページ
立川 武蔵
1942年、名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒。文学博士(名古屋大学)。Ph.D.(ハーバード大)。名古屋大学文学部教授、国立民族学博物館教授、愛知学院大学教授を経て、現在、国立民族学博物館名誉教授。専門はインド学・仏教学。著書に『中論の思想』『中論講義 上・下』(法藏館)、『空の思想史』『日本仏教の思想』『ブディスト・セオロジー』(5巻)(講談社)、『マンダラ観想と密教思想』『三人のブッダ』(春秋社)、『最澄と空海』『死と生の仏教哲学―親鸞と空海を読む―』(KADOKAWA)など。

遺稿「親鸞」、いま甦る――
戦前戦中を代表する哲学者・三木清(一八九七〜一九四五)。治安維持法違反容疑で拘留され、獄中死した彼の未完の論稿が、「親鸞」である。
長らく読者に違和感を与えてきた絶筆を、思索の流れがたどれるよう整理・翻刻し、執筆に至る背景を物語るエッセイ2本を併録。
さらに、若き日の構想をふまえつつ、戦後をも見据えた三木による〈新たな哲学〉構築の試みとして「親鸞」を捉え直す解説と、複雑な未定稿の構造を紐解く解題も付す。
稀代の哲学者・三木清最後の思索を掘り起こし、異彩を放つ親鸞論の真価に迫った決定版!
■目 次■
解説 三木清「親鸞」にいたる道程とその構造(岩田文昭)
親鸞 本文
親鸞 断片
幼き者の為に
我が青春
解 題(岩田文昭)
編者あとがき
判型・ページ数 文庫・248ページ
岩田 文昭
1958年愛知県名古屋市に生まれる。1990年京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。京都大学博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。大阪教育大学講師、助教授、教授を経て、現在同大学名誉教授。著書に、『フランス・スピリチュアリスムの宗教哲学』(創文社)、『近代仏教と青年──近角常観とその時代』(岩波書店)、『浄土思想』(中央公論新社)などがある。
伝統的な真言宗乗を深く体解した那須政隆。その一貫した学人かつ真言行者である姿が表われた三篇を文庫版として新編。解説:福田亮成
第一篇では、真言密教の確立とその原理を概観し、その独自性を踏まえ、戦後日本における新たな価値観や社会との連携の可能性を論じる。第二・第三篇では、密教教説の実践的意義が日常生活に即して説かれ、信仰者としての確固たる姿勢を明らかにする。
その一貫した学人かつ真言行者である姿が、本書新編の戦後から後年にわたる三篇に現れる。
Ⅰ 真言密教の精随
一 宗史
インド時代/中国時代/日本の密教/密教の祖師
二 教判論
顕教と密教(横の教判)/十住心(竪の教判)
三 即身成仏の原理
世界観/宇宙の三面/自我の実相/即身成仏偈
四 即身成仏の実現
序説/発心と信心/実現の手段
五 即身成仏の世界
生の自由/世は仏土
六 即身成仏の生活
朝礼暮懺/持戒/人生は利他の方便行/真言三昧
七 仏身論
法界法身(大日如来)/四種法身/大日と釈迦
八 加持祈祷
*
Ⅱ 真言道を往く
一 欲望と現実
二 如実知自心
A 本不生観/B 三摩地/C 二種の立場は一に帰する
三 真言陀羅尼
A 真言の原理としての声字観/B 陀羅尼の真言学的意義/C 真言陀羅尼の功力
四 世界観
A 『吽字義』の所説
1 訶字因不可得/2 阿字本不生/3 汙字損減不可得/4 麽字吾我不可得
B 三大論
1 三大の意義/2 六大体大/3 四曼相大/4 三密用大
五 即身成仏論
六 発心・修行・無明煩悩
A 発心/B 修行/C 修行が自心である/D 無明・煩悩
七 むすび
八 人生篇
A 三界は客舎のごとし/B 宗祖の御述懐/C 人生は相身互い/D 仏法王法不二―真俗二諦不二―
*
Ⅲ 本覚より帰命へ
一 如来様を求めて
二 なりきる
三 本来さながら
四 力がものに
五 行為する
六 本覚より帰命へ
存覚の『六要鈔』は、親鸞の主著『教行信証』を体系的に註釈した最初の書物であるが、難解な『六要鈔』に現代語訳を試みたのが本書である。章・段落分けは円爾の『六要鈔会本』に準拠しつつ、重要な語句には註解を加え、さらに解説として「存覚略伝」「存覚の著述と思想的立場」「『六要鈔』制作事由と教学史上の位置」を収載。
【目次】
現代語訳 六要鈔 第一(序・教巻)
現代語訳 六要鈔 第二(行巻)
現代語訳 六要鈔 第三本(信巻)
現代語訳 六要鈔 第三末(信巻)
現代語訳 六要鈔 第四(証巻)
現代語訳 六要鈔 第五(真仏土巻)
現代語訳 六要鈔 第六本(化身土巻)
現代語訳 六要鈔 第六末上(化身土巻)
現代語訳 六要鈔 第六末下(化身土巻)
註 記
解 説
存覚略伝/存覚の著述と思想的立場/『六要鈔』制作事由と教学史上の位置
あとがき
文庫版あとがき
曹洞宗の基本聖典である『修証義』全5章31節を一文ごとに取り上げ、語句と内容の丁寧な解説を行った入門書。さらに本書では、見過ごされがちな『修証義』と道元の主著『正法眼蔵』との関係を明らかにしつつ、難解な言葉を避け、平易な表現で解説を加えた。『修証義』を正しく理解し、道元の思想、仏道の教えを深く学びたいと考える方にとって、最適な一冊。『修証義』原文、現代語訳、出典一覧付。
■目次■
まえがき――『修証義』と『正法眼蔵』
一、『修証義』と『正法眼蔵』
二、『正法眼蔵』について
三、『正法眼蔵』の新しいテキスト
四、『正法眼蔵』の注釈書
五、『正法眼蔵』の現代語訳
『修証義』入門――『修証義』とはいかなるものなのか
一、『修証義』成立の経緯
二、『修証義』の構成と要旨
第一章 総序
第一節 生死の問題を明らかにする(総序1)
第二節 最善最勝の生き方(総序2)
第三節 無常の風と命のはかなさ(総序3)
第四節 因果応報と善悪の問題(総序4)
第五節 三時(現世・来世・来来世)と行為の帰結(総序5)
第六節 今生の我が身の大切さ(総序6)
第二章 懺悔滅罪
第七節 仏の慈悲の広大無辺さ(懺悔滅罪1)
第八節 まごころと懺悔の功徳力(懺悔滅罪2)
第九節 仏も昔は凡夫、私たちも未来は仏(懺悔滅罪3)
第十節 懺悔すれば、必ず仏の助けがある(懺悔滅罪4)
第三章 受戒入位
第十一節 仏道は仏法僧の三宝を敬うことから始まる(受戒入位1)
第十二節 三宝への帰依こそ解脱と菩提の基である(受戒入位2)
第十三節 三宝への帰依こそすべての戒の基本である(受戒入位3)
第十四節 三宝への帰依こそ最尊最上の功徳である(受戒入位4)
第十五節 三つの誓願と十項目の行動指針(受戒入位5)
第十六節 仏のみ子の自覚としての受戒(受戒入位6)
第十七節 世界のすべては仏の声と姿の現れである(受戒入位7)
第四章 発願利生
第十八節 自己より先に他者を救う発菩提心(発願利生1)
第十九節 老若男女を問わない発菩提心(発願利生2)
第二十節 人を成仏得道に導く発菩提心(発願利生3)
第二十一節 布施は人に法と財を施すことである(発願利生4)
第二十二節 愛語は人をも天をも動かす(発願利生5)
第二十三節 利他行こと自他共に救われる行為である(発願利生6)
第二十四節 社会は自他一如の同事行で成り立つ(発願利生7)
第二十五節 発菩提心の実践は最高の功徳である(発願利生8)
第五章 行持報恩
第二十六節 この世に生れ仏に出会う喜び(行持報恩1)
第二十七節 正しい教え(正法)にあうことを願う(行持報恩2)
第二十八節 人類は報恩感謝の念を忘れてはならない(行持報恩3)
第二十九節 日々の行持が仏恩感謝の正道である(行持報恩4)
第三十節 諸仏の行持も一日の行持から始まる(行持報恩5)
第三十一節 心がそのまま仏とはどういうことか(行持報恩6)
あとがき
註
付録 『修証義』現代語訳・原文・出典一覧
文庫版あとがき
大乗仏教の思想的核となった『中論』。龍樹は言葉が否定されるべき「迷いの世界にあるもの」であることを知っていた。『中論』は、言葉(プラパンチャ)が自らを否定し、そしてその否定(空性)によって蘇った言葉(仮説)となるプロセスを描いている。『中論』研究の泰斗が偈一つひとつを解説して龍樹の論法を明らかにする。
第一六章 束縛と解脱の考察
第一七章 行為と結果の考察
第一八章 我と無我の考察
第一九章 時の考察―過去・現在・未来―
第二〇章 結合の考察―因と縁―
第二一章 生成と消滅の考察
第二二章 如来と構成要素の考察
第二三章 錯誤と真実の考察
第二四章 最高真理と世間的真理の考察
第二五章 涅槃の考察―存するものと無―
第二六章 十二因縁の考察―仮説としてのアビダルマ教説―
第二七章 誤った見解の考察
略語および文献
判型・ページ数 4-6・310ページ
立川 武蔵
1942年、名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒。文学博士(名古屋大学)。Ph.D.(ハーバード大)。名古屋大学文学部教授、国立民族学博物館教授、愛知学院大学教授を経て、現在、国立民族学博物館名誉教授。専門はインド学・仏教学。著書に『中論の思想』(法藏館)、『空の思想史』『日本仏教の思想』『ブディスト・セオロジー』(5巻)(講談社)、『マンダラ観想と密教思想』『三人のブッダ』(春秋社)、『最澄と空海』『死と生の仏教哲学―親鸞と空海を読む―』(KADOKAWA)など。
大乗仏教の思想的核となった『中論』。龍樹の論法とは、いかに形式論理学によったものであったのか。『中論』研究の泰斗が『中論』の約四五〇の頌を最新研究をもとに訳し、その論議の仕組みを丁寧に解き明かす。『中論』研究必備の書。
序
第一章 因縁の考察―ものと生ずること―
第二章 運動の考察―歩く人と歩くこと―
第三章 感覚器官の考察―見るものと見られるもの―
第四章 構成要素(蘊)の考察―原因と結果―
第五章 元素(界)の考察―特質と特質づけられるもの―
第六章 煩悩と煩悩に染められた人の考察
第七章 有為と生・住・滅の考察
第八章 行為と行為者の考察
第九章 見る働きとそれに先行する者の考察
第一〇章 火と薪の考察―能動と受動―
第一一章 始まりと終わりの考察
第一二章 苦と個我の考察
第一三章 現象の考察―自性と変化―
第一四章 和合の考察―感官と対象―
第一五章 自性の考察―自体と他体―
略号および文献
判型・ページ数 4-6・328ページ
立川 武蔵
1942年、名古屋市生まれ。名古屋大学文学部卒。文学博士(名古屋大学)。Ph.D.(ハーバード大)。名古屋大学文学部教授、国立民族学博物館教授、愛知学院大学教授を経て、現在、国立民族学博物館名誉教授。専門はインド学・仏教学。著書に『中論の思想』(法藏館)、『空の思想史』『日本仏教の思想』『ブディスト・セオロジー』(5巻)(講談社)、『マンダラ観想と密教思想』『三人のブッダ』(春秋社)、『最澄と空海』『死と生の仏教哲学―親鸞と空海を読む―』(KADOKAWA)など。

“哲学書”としての『教行信証』――
浄土真宗宗祖・親鸞の主著である『教行信証』を、仏教学・真宗学のみならず、ヘーゲルやハイデッガーをはじめとする西洋哲学の知識を縦横無尽に駆使して初めて読み解いた意欲的試み。
強靱な思索によって親鸞思想を伝統宗学の世界から哲学思想の領域へと一挙に押し上げ、三木清や田邊元といった名だたる哲学者たちにも示唆を与えるなど、その後の宗教哲学研究に多大な影響を及ぼした当該分野の古典的名著。
解説=石田慶和・岩田文昭
【目次】
改訂版のために
序
第一章 『教行信証』への通路
第一節 『教行信証』における方便化身土巻の位置
第二節 方便化身土巻成立の由来
第三節 正像末の史観と三願転入との関係
第二章 三願転入の問題
第一節 三願に対する従来の解釈
第二節 その難点
第三章 第十九願の解明
第一節 臨終現前の願
第二節 顕彰隠密の義
第三節 三心釈の顕彰隠密
第四章 第二十願の解明
第一節 罪障の自覚
第二節 念仏申さんと思ひ立つ心
第三節 信不具足(第十八願への転入)
註・補註
解 説(石田慶和)
文庫版解説(岩田文昭)
※本書は2002年11月25日に法藏館より刊行された『新装版 教行信証の哲学』の文庫版です。

ヒンドゥー教は信仰と生活実践を一体化した宗教であり、ヒンドゥー教世界の原型は紀元前後に編纂された『マヌ法典』で整備された。本書では今日もインドの社会や人々の価値観に影響を与える『マヌ法典』を紹介する。
まえがき
第一章 『マヌ法典』の世界観――世界創造とヴァルナ体制
世界の創造
創造主ブラフマンの誕生 世界の創造 世界の生滅 四ユガ(完全から堕落へ) 世界創造とヴァルナ体制
ヴァルナ体制とその理念
四ヴァルナ 社会機能・天職・正業の固定 同一ヴァルナ婚 家長の道 ヴェーダ=ダルマの価値体系
ヴァルナ体制と統治
理念と実践との間のギャップ 二重構造世界と二頭支配 統治のための装置
第二章 『マヌ法典』の人生観
人生モデル(アーシュラマ)
二つの価値の対立 人生についての最初の論議 ダルマスートラにおける人生モデル 『マヌ法典』における人生モデル(1) 『マヌ法典』における人生モデル(2)
人生の成就
欲望と行為の肯定 人生の成就とは何か 滅亡・地獄・再生 行為の因果作用と善因善果悪因悪果 欲望の制御と正しい方向づけ
第三章 行動の準則
幼児期
学生・修業期(ブラフマチャーリン)
入門式(ウパナヤナ・第二の誕生) 学生の服装 ブラフマチャリヤ サンディヤーの儀式 乞食(ビクシャー) アーチャマナ ヴェーダ学習 師に仕える 師の妻に仕える 長上者に対する振る舞い 禁欲生活
家長期(グリハスタ)
家長の意義 配偶者の選択 結婚式の意義 家長の基本的な心構え 夫婦 妻の貞節 五大祭儀 ヴェーダの学習と教授 祖霊祭 祖霊祭の招待客 祖霊祭から排除される人間 祖霊祭の式次第 死・誕生の汚れ(アーシャウチャ) 食事マナー 禁止される飲食物 食物の受け取りを禁止される人間 肉食 不殺生 贈物の授受 その他の諸行動規則 生計
老後期
柱住(ヴァーナプラスタ) 遍歴(パリヴラージャカ) ヴェーダサンニヤーサ
第四章 罪の除去
罪
ブラーフマナの罪概念 罪の分類 罪の分類表
罪の除去
清めの仕組 罪の除去の宣示 罪の除去の摘要(1)――罪が公にされる場合 罪の除去の摘要(2)――罪が公にされない場合
ヴァルナの喪失儀式と喪失者の生活そして復帰
第五章 犯罪と刑罰
刑罰の創造
裁判と刑罰の宣告
罪の除去と刑罰
刑罰の摘要
一般則 刑罰摘要の実例
犯罪の監視
あとがき
参考文献
法蔵館文庫版での再刊にあたって
大宇宙と小宇宙の対応の思想は、最高実在ブラフマンと個体の本質アートマンの一致の自覚へと深化される。生の根源を洞察する古代インドの叡知、神秘思想の本質を、初期ウパニシャッドをもとに解明した最良のインド思想入門。
法蔵館文庫版の刊行によせて
はしがき
プロローグ
第一章 古代インドの叡智
――ウパニシャッドが現代に伝えられるまで
1 ウプネカット
2 ショーペンハウアーからインド古典学へ
3 古ウパニシャッド
4 神秘思想
第二章 祭式から哲学へ
――ブラーフマナとウパニシャッド
1 大宇宙と小宇宙の対応
2 ウパーサナ(念相)
3 先科学的科学
4 主知主義への道
5 祭式の内面化
第三章 ブラフマンとアートマン
――最高実在と個体の本質
1 ブラフマン(梵)
2 プラーナ(気息)
3 アートマン
第四章 「有」の哲学
――ウッダーラカの学説
1 有と非有と高次の有
2 三要素による現象世界の構成
第五章 「非ず、非ず」のアートマン
――ヤージニャヴァルキヤの思想(1)
1 生命原理としての火
2 認識から成るアートマン
第六章 輪廻と解脱
――ヤージニャヴァルキヤの思想(2)
1 輪廻説とアートマン論
2 睡眠の考察
第七章 アートマンと外界
――『カウシータキ・ウパニシャッド』の教説
エピローグ
講談社学術文庫版あとがき
講談社学術文庫版解説 赤松明彦
引用文献索引
近代と近代以前、東洋的伝統と西洋的伝統、宗教の歴史的変容などについての哲学的思索の土台の上で、広く深い視界から現代世界において仏教が抱える問題をやさしい言葉でわかりやすく語る。七〇歳代の西谷が語った講演の記録。
【目次】
仏教についておもうこと
教団の内と外
自己を世界に開く
仏教の近代化ということ
近代化とは何か
「個」からの出発
良心について
人間関係を支えるもの
自分を確かめること
解説 西谷先生と「大地の会」[藤元正樹]
解説 西谷啓治における哲学と仏教[氣多雅子]
日本における浄土教の展開を、教理的観点から分析するとともに、社会一般の情勢とも関連づけて評価した恰好の概説書。
【目次】
はしがき
第一章 序説
浄土教の発祥/浄土経典/「浄土三部経」の内容/竜樹・世親の浄土思想/シナにおける初期浄土教/曇鸞/慧遠と智顗/道綽/善導/その後の浄土教
第二章 浄土教の移植と定着
聖徳太子と浄土教/仏像・繡帳/浄土経典の将来/祈りの信仰/信仰の純化/智光と浄土教/浄土信仰の展開/平安初頭の浄土信仰/円仁と常行堂/山の念仏/念仏の普及/良源の念仏/禅瑜の思想/知識階層の信仰
第三章 源信をめぐる浄土教
勧学会/二十五三昧会/源信/『往生要集』の内容/『往生要集』の念仏/『観心略要集』と『阿弥陀経略記』/源信の念仏の特色/源信が後に与えたもの/源信のあとをうけたひとたち/迎講と浄土願生/念仏の夾雑性
第四章 末法と浄土教
末法思想/阿弥陀像/地蔵/聖と沙弥/四天王寺と異相往生/『末法燈明記』の成立
第五章 院政期の諸宗浄土教
諸宗の念仏の受容/三論系 永観・珍海/真言系 実範・覚鑁・仏厳/天台系 良忍・真源・忍空
第六章 本覚思想と浄土教
源信の偽撰/『菩提要集』/『真如観』/『観心往生論』/『菩提集』/『真如観』の成立年代/『自行念仏問答』
第七章 法然・親鸞の浄土教
黒谷と法然/法然の著作と『選択集』/法然の二つの性格/法然の念仏/法然の後をうけたひとたち/邪義異端/幸西と一念義/一念の思想系譜/親鸞/親鸞の念仏思想
第八章 結語
解説 梯 信暁
索引

『涅槃経』の成立過程や思想内容をわかりやすく解説した好著。日本の仏教にも多大なる影響を与えた『涅槃経』の真髄とは何か。
序
前篇 総説
第一章 序説
第二章 涅槃経の歴史的地位
第三章 涅槃部の経典
第四章 涅槃経の成立過程
第五章 仏の入滅と涅槃経
第六章 純陀と迦葉菩薩
第七章 涅槃経の要旨
第八章 涅槃経の伝訳
第九章 涅槃経の流伝
後篇 本文解説
第一集 仏寿の巻――寿命品・金剛身品・名字功徳品
集衆/鶴林/二施/純陀/純陀と文殊/三徳/常楽我浄/客医乳薬/迦葉菩薩/問偈/長寿の業/愛念呵責/変化身/護持正法/名字功徳
第二集 如来性の巻――如来性品・大衆所問品
如来性/四法/断肉/制戒/秘密蔵/大涅槃/一闡提/人の四依/正法の余八十年/涅槃経の義味/知法と持戒/法の四依/邪正/悉有仏性/護戒/四諦/四倒/悉有仏性/一帰依処/半字満字/鳥喩/月喩/断善根/微密の教/本有今無偈/三乗/法華経と涅槃経/純陀の供養/不入涅槃/有余義/一闡提の定義/少分の一切/文殊付嘱
第三集 五行の巻――現病品・聖行品・梵行品・嬰児行品
五行/病因/三種病人/有病行処五種人/五行と如来行/聖行/護持禁戒/観四聖諦/上智中智/二諦/盲人乳色を知らず/二種転法輪/五味相生の譬/血写/雪山求道/梵行七善四無量心/極愛一子地/仏は煩悩の因縁とならず/空平等地/四無礙/本有今無偈/世諦即第一義諦/常住法と証得/法滅時の諍論/闍王入信/天行品/嬰児行
第四集 十徳の巻――光明遍照高貴徳王菩薩品
十事功徳/微密の義/光明遍照/涅槃常住/一闡提と仏性/売身供養/六難値遇/一篋四蛇/如来不定/涅槃と大涅槃/八十種神/無勝世界/涅槃/心の本性/闡提発心/性空修空/非仏説
第五集 師子吼説の巻――師子吼菩薩品
催問/仏性とは何か/涅槃無因/仏性正因/拘尸那城涅槃/無相定/業と修行/仏性と修行/大信心/不退
第六集 迦葉説の巻――迦葉菩薩品
迦葉菩薩/善星比丘/二十一諍論/善見太子/不解我意/恒河七衆生/十想
第七集 破邪の巻――憍陳如品
憍陳如/唯仏是真/先尼梵志/十外道帰伏/阿難は何処/須跋陀/得益
大涅槃経序
涅槃経略科及び要項
涅槃経三本対照表
文庫版解説
仏典研究の歴史性――横超慧日『涅槃経』を再読する―― 下田正弘
西洋的近代を超え、何ものにも縛られることなく無礙自在に生きる「絶対的自律」への道を考究し続けた稀代の哲人・久松真一。その哲学の核心を示す論考と自叙伝的エッセイ「学究生活の想い出」を収録。解説=星野元豊・水野友晴
無神論
人間の真実存
悟り―後近代的(Post-modern)人間像―
禅―近代文明における禅の意義―
東洋的無の性格
幽玄論―特に能における―
学究生活の想い出
〈解説〉無礙の生涯(星野元豊)
〈文庫版解説〉絶対的自律の実現(水野友晴)
「縁起」とは何か。そして誰が説いたのか。仏教史を貫く根本思想の起源と展開を探究し、その本来の姿を明らかにする画期的論考。
まえがき
Ⅰ 「縁起」とは何か
第一章 縁起思想の歴史
第二章 縁について
第三章 「縁起」と「一即一切」―「即」について
第四章 縁起説の根原の無常・苦・無我
Ⅱ 「縁起」と「関係性」
第五章 関係性の思想―仏教における自己ないし自己の現実との関係
第六章 関係(縁)・関係性(縁起)・関係主義(縁起説)
—「縁」から「縁起」への二つの仮説
第七章 関係と認識―十二支縁起説について
Ⅲ 初期仏教の縁起説
第八章 初期仏教の縁起説
第九章 「これがあるとき、かれがある」
第十章 此縁性(イダッパチャヤター)
第十一章 縁起説の正しい理解
第十二章 縁已生と縁起
第十三章 パーリ律「大品」とサンスクリット『四衆経』との縁起説
第十四章 縁起思想史におけるサーリプッタとナーガールジュナ
初出一覧
解説 一色大悟
索 引
一切衆生とは、仏性とは何か。はたして全ての人にほとけになれる本性が具わっているのか。仏教を本当に知るための最重要論考。
改版に当って
はじめに
Ⅰ
如来蔵と仏性
仏性の話
一切衆生悉有仏性
如来と如来蔵
Ⅱ
如来の出現
宝性論入門
Ⅲ
如来蔵思想と密教
Ⅳ
道元の仏性論
Ⅴ
悉有仏性・内なるホトケを求めて
釈尊の原像
生死はほとけの御いのち――道元に学ぶ生死観――
本証妙修ということ
初出一覧
文庫版解説 仏教思想における言説様相の差異について 下田正弘
ウィトゲンシュタインは「哲学者」か、それとも「宗教者」か?ひとつの孤独な魂が、強靭な理性と「神との和解」のはざまで悩みぬく。
はじめに
文献略号一覧
凡 例
第一章 ウィトゲンシュタインの生涯
一 カトリック様式による埋葬
二 音楽と自殺
三 数学から哲学へ
四 ケンブリッジへ
五 第一次世界大戦の後
六 ふたたび哲学へ、ケンブリッジへ
七 ケンブリッジ大学での講義など
八 最後の日々
第二章 第一次世界大戦とトルストイとの出会い
一 戦場のウィトゲンシュタイン
二 福音書の男
三 『草稿一九一四―一九一六』
第三章 「語りえないもの」としての宗教
一 『論理哲学論考』と「語りえないもの」
二 論理実証主義とウィトゲンシュタイン
第四章 『秘密の日記』にみる『論理哲学論考』の基本的性格の成立
一 『秘密の日記』が書かれた時期とその内容
二 『草稿』にみられる「一九一六年六月一一日」という日付
三 ブルシーロフ攻勢
四 『論考』の基本的性格の決定
五 「語りうるもの」と「語りえないもの」の相補性
六 ふたたび『論考』六・五二二にかえって
七 自らを「示す」神――『論考』の「六・五二二」の解釈
第五章 『哲学宗教日記』にみる「宗教者」ウィトゲンシュタイン
一 「神との和解」
二 変転する魂の記録
三 人は新しい言語ゲームを学ぶ
四 神からの要求と告白
五 絶対的なものを目指す努力
六 光の輝きとともに
七 生の問いは「宗教的な問い」である
八 太陽を待つ
九 「そのあるがままに」
一〇 「神のみがほめたたえられるべし!」
第六章 ユダヤ人意識と同性愛をめぐって
一 ウィトゲンシュタインのユダヤ人意識
二 同性愛
第七章 ウィトゲンシュタインの宗教観
一 「絶対的価値」と「相対的価値」
二 「証拠」の拒否と、生活を「統制する」ものとしての宗教
三 制度としての宗教の批判
四 寛容の精神
終章 自分が「神に対して」語ることと「神について」他人に語ること
一 ウィトゲンシュタインの「矛盾」
二 「矛盾」を解く鍵
むすび
ウィトゲンシュタイン略年譜
宗教者としてのウィトゲンシュタインをさらに知るための読書案内
増補版へのあとがき
皇居での御進講をもとに寄稿。著者の仏教理解を簡潔に、しかも余すところなく述べた、定評ある名著。
序
第一講 大智
第二講 大悲
判型・ページ数 4-6・126ページ
1870(明治3)年、金沢市本多町生まれ。本名貞太郎。1891年、鎌倉円覚寺の今北洪川について参禅。洪川遷化後、釈宗演に参禅。1892年、東京帝国大学哲学科選科入学。1897年、渡米。1909年に帰国、学習院大学・東京帝国大学の講師に就任。1921(大正10)年、真宗大谷大学教授に就任。大谷大学内に東方仏教徒教会を設立、英文雑誌『イースタン・ブディスト』を創刊。1946(昭和21)年財団法人松ヶ岡文庫を創立。1949(昭和24)年文化勲章受章。同年より1958年まで米国に滞在し、コロンビア大学他で仏教哲学を講義。1956(昭和31)年宮谷法含宗務総長から『教行信証』の翻訳を依頼される。1960(昭和35)年大谷大学名誉教授となる。1961年英訳『教行信証』の草稿完成。1966(昭和41)年7月12日逝去。
差別は、誰かが作りあげたものではなく、「自分」の心が作り出している。
利害を現したあからさまな差別から、「かわいそうな人」といったやさしさや思い遣りに隠された意識されない差別まで、さまざまな差別の裏に隠れた自己中心的な罪悪性を明らかにする。さらに、自己中心性を克服する道を示して、あたたかい心で繋がった人間の連帯と、真の平等社会の実現を説いた講演録。
https://hozokan.tameshiyo.me/9784831879196(試し読み)
マイクロアグレッション等にご興味ある方にも推薦。
一 人間、この深重なるもの
一、病めるもの/二、意識より深い罪業性/三、いのちが抱える矛盾/四、自分は正しいという罪/五、宗教心が開く世界/他
二 真に私を支えるもの、生かすもの
一、まあまあという意識/二、人生に対する態度決定/三、まいらせ心わろし/四、見つめあうということ/五、自身の在り方を悲しむ心/他
三 願いによって開かれる平等社会
一、差別心に気づくことのない差別/二、差別意識を増幅するこだま/三、責任転嫁の生き方/四、ざわめきに生きる鈍感さ/五 差別するものの問題/他
資料「水平社宣言」「業報に喘ぐ」
あとがき……蒲地義秀(真宗大谷派普賢寺住職)
判型・ページ数 A5・116ページ
1931年、京都市に生まれる。大谷大学文学部卒業。大谷専修学院講師、教学研究所所員、真宗教学研究所所長を歴任。真宗大谷派本福寺前住職。九州大谷短期大学名誉教授。2008年11月21日逝去。主な著書は、『宮城顗選集』全17巻、『正信念仏偈講義』全5巻、『“このことひとつ”という歩み―唯信鈔に聞く―』『後生の一大事』『念仏が開く世界』『真宗門徒の生活に自信を持とう』『僧にあらず、俗にあらず』(法藏館)など。
日本を代表する僧侶である親鸞は、なぜ自らを「非僧非俗(僧侶でもなく、俗人でもない)」と宣言したのか。有名なその言葉に導かれ、あらゆる縛りから解放されて、ありのままに生きるとはどういうことかを説いた名講話。
https://hozokan.tameshiyo.me/9784831879202(試し読み)
非僧非俗の精神
俗世間を生きることの意味/国が求める僧としての型/非僧非俗は「人間とは何ぞや」という問いかけ/外道とは自分の外なるものに寄りかかる道/生き方に迷う意味/退屈の裏に感動を求めている/求めていればこそ、空しい/私をうながし続けていたものに出遇う/本当に生きたことがあるか/事実を受けとめる勇気/わかったという立場が破られる/どうかその道意に目覚めてほしい
ねんごろの心――『御消息』に学ぶ――
言葉の響きを聞く/言葉は声である/「往生」とはただ亡くなったことだけをいうのか/生き方に迷うことは、人間に与えられた能力/「往生」は名詞でなく動詞である/「ねんごろ」とはいのちを共にしているということ/つながりをいのちとして生きている/いのちの願いによってあなたは生れ出た/この私を私として愛する/いのちの叫びを聞き取る/さあ、いのちの事実に帰ろう
あとがき……松林 了(真宗大谷派西岸寺前住職)
判型・ページ数 A5・142ページ
1931年、京都市に生まれる。大谷大学文学部卒業。大谷専修学院講師、教学研究所所員、真宗教学研究所所長を歴任。真宗大谷派本福寺前住職。九州大谷短期大学名誉教授。2008年11月21日逝去。主な著書は、『宮城顗選集』全17巻、『正信念仏偈講義』全5巻、『“このことひとつ”という歩み―唯信鈔に聞く―』『後生の一大事』『念仏が開く世界』『真宗門徒の生活に自信を持とう』『僧にあらず、俗にあらず』(法藏館)など。
金子先生の生前最後の講話で語られる他力念仏の教えは、人類の救いを根源的に明らかにする永遠不滅の教えである。『歎異抄』の真髄を簡潔な言葉で語りかける入門書の決定版。
師訓篇
第一講 人生観の基本的な意義
歎異抄は日本の聖典
歎異抄の構成
人生観と生死観
人生観と人間観
往生極楽の道とは
人と人との間柄
愛憎の悲しみ
すべての人の救われる場
浄土は個人的ではない
生と死の恐れ
人生における念仏の意味
第二講 仏教の世間化か世間の仏教化か
死と生きがい
人生と摂取不捨
罪悪観
利他の心
大乗教のめざすもの
時代は仏教の要求に応ぜよ
慈悲とヒューマニズムと平和の問題
世間の仏教化と浄土
追善追福をしない
教育の心
時代とともに救われる道
第三講 人生を生きる根拠
人生観から人間観への深まり
断念 あきらめ の教え
障り多い人生と無碍の一道
幸・不幸に支配されない
善悪を超える
断念のない寂しさ
念仏の実践は非行・非善
人生に喜びを与えるもの
仏に喜びを与えるもの
仏に予定される世界
名残りを惜しむ人生
『歎異抄』の良さ
歎異篇
第四講 宗教の実習
知識人に敬遠される歎異篇
宗義学の嫌われる理由
歎異された二つの異義
信心で救われるか、念仏で救われるか
宗教の実習
仏の大悲の心の表れ
南無阿弥陀仏とお呪い
他力の念仏
名号の功徳と念仏の功徳
体全体が念仏になってしまった
第五講 凡夫の救われる道
『歎異抄』の問いかけ
学問でも道徳でもない道
学問と信心
知識の限界を知る知識人
他人の口を封じるための学問
来世の往生
煩悩具足の身をもってさとりをひらく
六根清浄
有限なるこの世と無限なる浄土
普遍なるもの
凡夫の救われる道
第六講 宿業と自由
宿業にあらずということなし
宿業と自由
生業と道心
道心
悲しみを感じる
悲しみを通して無限を知る
信心歓喜
限りなき願いに生きる
『歎異抄』本文
あとがき
判型・ページ数 4-6・211ページ
1881年新潟県高田に生まれる。真宗大学卒業。1911年浩々洞の雑誌『精神界』の編集担当。東洋大学教授、真宗大谷大学教授、広島文理科大学講師、1951年大谷大学名誉教授に就任。1976年10月20日逝去。主著 『金子大榮著作集』(春秋社)、『金子大榮選集』(コマ文庫)。
