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ジャズとファンクを常に、一貫して効果的に融合するような音楽性を持つサンディエゴの9人組インストゥルメンタル・コンボ、The Sure Fire Soul Ensembleのニューアルバム『Gemini』がリリース!2021年末から2024年初頭にかけて、彼らの本拠地であるカリフォルニア州レモン・グローブのザ・キッチンIIでレコーディングされた本作は、ブレイクビーツを多用したファンク・ソウル・ジャズが彼らのサウンドの根幹であることには変わりはないが、KPMミュージックなどのライブラリー・ミュージック・レーベル、トライブやブラック・ジャズ・レコードなどのスピリチュアル寄りのジャズ・レーベル、カル・チャダーやドロシー・アシュビーなどのエキゾチカ寄りのジャズ・アーティストへの接近が感じられる。ファンキーに徹するというこだわりはそのままに、あえて今まで行ったことのないところへ行き、その結果、サウンド全体において内省的なパーティー・ミュージックとも言えるような興味深い新境地を開拓した意欲作!


スザンヌ・ランジルの音楽的遺産を讃える、豪華アーティスト32組によるトリビュート・アルバムが、アートと音楽の境界を自由に行き来する〈Feeding Tube Records〉よりCD2枚組で登場!ローレン・コナーズとのコラボで知られるランジルの歌は、ブルースとアートソングの融合、そして彼女特有の深みのある歌詞で長年にわたり多くのファンを魅了してきた。本作『The Suzanne Langille Songbook』では、ランジルの代表的な楽曲群を、多彩なアーティストたちが独自の解釈で再構築。喪失や憧れ、自然への愛をテーマにした深遠な歌詞と、引き潮のように、聴く者を静かに、しかし確実に引き込んでいくと言われるメロディが、蘇る。詩的で繊細な言葉が心に残り、どこか懐かしくも新しい、スザンヌ・ランジルの世界に浸れる一枚!!


フィンランドはヘルシンキを拠点とする、北のクルアンビンとも呼ばれるコンテンポラリー・ソウル・ミュージックバンドRosettesの新アルバムが同郷の名門Timmion Recordsからリリース!このアルバムに見られるサイケデリック・ソウル、ジャジーなファンク、内省的なグルーヴなどの要素は、Rosettesがジャンルを融合させた傑作を作り上げる能力を証明している。ソウルフルなオープニング曲「The Call」、アイザック・ヘイズにインスパイアされたタイトル曲「Lifestyles」、内省的なグルーヴァー「Spiral」など、傑出した楽曲を収録!


活動26年目を迎えるロサンゼルスを拠点に活動する変幻自在のエクスペリメンタル・プロジェクト、Sissy Spacekの新作『Entrance』が大名門〈Shelter Press〉より登場!1990年代のアメリカン・ノイズとグラインドコアの結びついた文脈から生まれたSissy Spacekは幾多の変遷を経てノイズの極限にフリー・インプロヴィゼーションやミュジーク・コンクレートへの繊細で洗練された探求を是としている。本作では中核メンバーであるJohn WieseとCharlie Mummaが、Tim Barnes、Marco Fusinato、Aaron Hemphill、Brad Laner、Katsura Mouri、C Spencer Yehに加え、ドイツの代表的なエレクトロニック・ノイズ集団P16.D4のRalf Wehowskyから提供された生の素材を加工し4つのテープ作品として再構築している。これらのテープ・コンポジションは、没入感のある崇高で、抽象化された、奇妙で先鋭的なサウンドスケープで、現代におけるミュージック・コンクレートをディープに掘り下げた内容!

まさしく、ハロルド・バッドとエリック・サティの音楽が黄泉の果てで出会ったかのように深く沈み込むモダン・クラシカル奥の境地。一般的なアンビエント音楽というよりは、CanやFaust、King TubbyにMiles Davisなどに影響された彼のバックボーンもじわりと感じられる、少しフリーキーでサイケデリックな世界観が表現されています。William BasinskiやKrzysztof Penderecki、Mika Vainioまで手がけるベテラン技師、Denis Blackhamによるマスタリングも本作の薄ぼんやりとした音像をより際立たせており、冷たい霧の中を歩いているかのようです。ミニLPスリーブ仕様。アンビエントからモダン・クラシカルが好きな方から、全ての静謐と安らぎの音楽を求める人々へ。


当店でも長年ベストセラーでもお馴染み現行ドローン界隈でも最高峰の名作家!Maria w Hornと共にカルト名門〈XKatedral〉を主宰。〈Hallow Ground〉や〈Total Black〉〈iDEAL Recorings〉といった重要レーベルから傑出したタイトルを発表してきたストックホルム在住の女性ミニマリスト、Kali Maloneの最新アルバム『All Life Long』が、Stephen O'Malley運営の名レーベル〈Ideologic Organ〉よりアナウンス!2020年から2023年にかけて作曲されたパイプ・オルガン、合唱団、金管五重奏のための音楽集!2019年の画期的なアルバム『The Sacrificial Code』以来となるオルガンのための作品や、Macadam Ensemble & Anima Brassによる声と金管のための作品など、反復と変奏の間の常に変化する緊張感の中で煮えたぎる圧巻の全12曲を収録。Stephan Mathieuの手により〈Schwebung Mastering〉にてマスタリング。Matt Coltonがカッティングを担当。Stephen O’Malleyによるカヴァーフォトを採用と万全の布陣です!20ページのブックレット付属。



2016年に発表後、入手困難でレア化していた中で嬉しいリプレス!Meditationsでもベストセラーな1960年代から活動するエチオピアの女性ピアニスト、Tsege Mariam Gebruの1960年代の秘蔵音源。
Erik Satie, Debussyなどの西洋音楽のエッセンスとエチオピア教会音楽の悠久の歴史が物語る神聖美が邂逅し、アフリカの約束の大地の上にて魂の脈打つ鼓動と瞑想の響きが混ざり合った孤高の音楽であり、女性版Dollar Brandとも言える感動的なモダン・クラシカル。ピアノのみの純粋な音楽性とレトロな音質がたまりません。スピリチュアルな音源がお好きな方は当然マストですが、幅広い音楽ファンへとお薦めしたい果てなき霊性漂うマスターピース。




凄いのが出ます!合成音、インスタレーション、パフォーマンスを通じて感覚知覚や聴衆の聴覚体験を探求するドイツの実験的サウンド・アーティストであり、Aphex TwinやRussell Haswell、Mark Leckey、刀根康尚といったアーティストともコラボレーションを行ってきたHeckerことFlorian Hecker。〈Mego / Editions Mego〉や〈Rephlex〉、〈PAN〉、〈Presto!?〉といった各地の先鋭レーベルに傑出した作品を残してきた同氏による、2017年の13チャンネル・インスタレーションでの高い達成を収めた10枚組CD BOXセット『Resynthese FAVN』が登場!版元は、Catherine Christer Hennix、鈴木昭男、小杉武久、高柳昌行、Graham Lambkin作品など、数々の前衛的作品を手掛けるブルックリンの〈Blank Forms Editions〉。元々は、オーストリアの首都ウィーンの美術センター〈クンストハレ・ウィーン〉での展覧会『Halluzination, Perspektive, Synthese』にて展示されたもので、本作には、2016年のプロジェクト『FAVN』で初めて発表されたアイデアを発展させた10作品が収録されています。名匠Rashad Beckerによるマスタリング仕様。

エレクトロニック・ミュージックの先駆者として、テクノの生みの親として、結成から54年が経過した今なお愛され続ける伝説的なドイツのグループであるKraftwerk。カスタムメイドの電子楽器を製作し、最先端の機器を使用して独自のサウンドを生み出し、アルバム『アウトバーン』などで世界的に高い評価を得た彼らが1970年から1981年にかけて放送していた音源を一挙収録したCD5枚組ボックス!


シカゴを拠点とするマルチインストゥルメンタリスト、作曲家、即興演奏家Macie Stewartのジャズとエクスペリメンタルの名門<International Anthem>からのデビュー作『When the Distance is Blue』が到着!本作は、完全インストゥルメンタルの「組曲」と銘打たれており、「私たちが合間に過ごすひとときへのラブレター」と本人が表現する、プリペアド・ピアノ、フィールド・レコーディング、弦楽四重奏曲のコラージュによって生み出される即興的で豊かなハーモニーとテクスチャー。2023年の大々的なツアーの間に空港、階段の吹き抜け、混雑した市場など場所で集められた旅のオーディオ・ジャーナルともいうべき素材のコラージュと再文脈化。さまざまな景色や風景を列車で旅することを思い起こさせるような、窓の外を通り過ぎるすべてを目の当たりにしているような印象的で映像的な作品!




ギタリストのグレゴリー・ウルマン、サックス奏者のジョシュ・ジョンソン、ベーシストのサム・ウィルクスの豪華メンバーによるトリオのデビューアルバムがリリース!即興演奏家/作編曲家/プロデューサーであるこの3人の幅広い音楽的キャリアとスタイルが感じられるプログレッシブなエレクトロ・アコースティック・チェンバー・ミュージックにジャズを取り入れたとも言えるような広々として叙情的な好内容。ウールマンの指弾きエレクトリック・ギターの哀愁を帯びた美しさ、ウィルクスによるハイブリッドなリズム・リード、ジョンソンのアルト・サックスのテクスチャー豊かなハーモニーなどトリオの楽器による演奏に高度なエフェクトを駆使することで不思議な心地よさがある。また音楽的な要素だけではなく、共に学生時代からの友人であるトリオの友情や信頼も感じられる幸福なムードも素晴らしい!


ベルギーのチェリストGwen Sainte-Roseが、ガウム地方とソワーニュの森の風景からインスピレーションを得て制作した2つの長編チェロ・ドローン作品を収録した新作『Collines, Racines』を〈Okraïna〉レーベルの新シリーズ〈By The Bluest of Seas〉からリリース!本作は、25分を超える2つの楽曲を収録しており、ループステーションを駆使し、チェロの音色を幾重にも重ねながら、森林や草原を見渡すような壮大な音風景を描き出す。「Collines」は緊張と解放が劇的に交錯しながら上昇し、「Racines」は夜の静寂の中で広がり、Richard Skeltonを思わせるポストロック的な響きから、めくるめく高揚感へと昇華する。大自然を映すチェロの響きに満たされる。また、本作は、木製ボックス入りの特別仕様CDでまるで小さな「好奇心のキャビネット」のように、Beata SzparagowskaとCorentine Jaunardによる写真や、羽・石・葉・苔など、音楽家たちが自然の中で拾い集めた小物が同梱され、作品の世界観をより深く体感できる。パッケージのこだわりも音楽と見事に調和した一作。

ボーナストラック1曲を追加収録した、ツアー限定CDです。2020年に〈Morphine Records〉から発表したコスミッシェ・エレクトロニクス傑作『Sonus Ruinae』でも話題を呼んだ、ローマ育ち、ベルリン拠点のイタリア人女性サウンド・デザイナー/ミュージシャンであり、23年からは、ベルリンのマスタリング・スタジオの〈Lathesville〉でカッティング・エンジニアという役割も務めている昨今の要注意作家、Marta De Pascalis。同じくイタリアの現行電子音楽を牽引する巨星=Caterina Barbieriが2021年に始動させた先鋭的レーベル〈Light-years〉より23年11月に発表した傑作『Sky Flesh』を漸くストック出来ました!Vangelisが象徴的な「ブレードランナー」のスコアを作成するために使用した巨大なアナログシンセサイザー「CS-80」のスリムな兄弟である「Yamaha CS-60」という1つの楽器だけを使って作曲された本作では、初期音楽とルネッサンス音楽からインスピレーションを受けた、エレクトロニック・ミュージックがまだ未来へと向かっていた時代を思い起こさせる音色による迷宮的な宇宙音楽を展開しています。Giuseppe Ielasiによるマスタリング仕様。


シカゴで最も重要かつ革新的なハウス・ミュージック・レーベルのひとつである〈Dance Mania〉、その決定的な回顧録として高い人気を誇っている2014年にリリースされた〈Strut〉による超名作コンピレーション『Hardcore Traxx: Dance Mania Records 1986-1997』がこのたびめでたく再プレスされました!!80年代半ば、〈Trax〉や〈DJ International〉といった老舗レーベルに代わる生々しいレーベルとして誕生した〈Dance Mania〉は、90年代に入ってもシカゴのストリート・クラブ・ミュージックを代表し続け、ゲットー・ハウス・サウンドのパイオニアとなった。本作は1986-1997とレーベルの全盛期からのストーリーをたどるもので、マーシャル・ジェファーソンの卓越した「7 Ways」のようなクラシックから、ヴィンセント・フロイド、ティム・ハーパーのディープなカット、DJディオン、ポール・ジョンソン、DJファンクのゲットー・ハウス・フロアバーナーまで、〈Strut〉によるこのレーベルへの究極のトリビュートとして、クラシック、ゲットー・ハウスのアンセム、隠れた名曲を綿密にキュレーションしたコンピレーションとなっている。〈Dance Mania〉の協力を得て制作され、ダフト・パンクにインスパイアされた人気のティーチャーズ・ミックスのクリエイターであるコナー・キーリングが、ランサムノートのマイルズ・シンプソンと共にコンパイルしている。

ロンドンとマンチェスターを拠点に活動するスポークンワード・アーティストにして詩人、哲学者、サックス奏者Alabaster DePlumeによる最新アルバム『A Blade Because A Blade Is Whole』がシカゴ拠点の現代ジャズ大名門レーベル〈International Anthem〉から登場!デプルームのこれまでの作品は、集団セッション、即興、編集から生み出されたものだったが、本作は、デプルーム自身が作曲、編曲、プロデュースを手がけてお理、そこから、マシー・スチュワート(ストリングス)、ドナ・トンプソン(バッキング・ヴォーカル)、モモコ・ギル(ストリングス&バッキング・ヴォーカル)ら奏者や共同編曲者に楽曲を提供し、彼が長年関わってきた集団芸術スペース、トータル・リフレッシュメント・センターでセッションを行った。人々は癒しを必要としている。しかし、なぜ、そして癒しとはどういうことなのだろうか?という問いかけを通じて生まれた『自分の価値を探して:刃のプロローグ』という70ページに及ぶ詩が歌詞の半分以上を占める本作は思索的で瞑想的で、全体が自分の感情と向き合うような重苦しい吐息のようであるが、同時に長い間水中に潜っていた後、水面にたどり着いたときのような感覚を覚える。なんとも深みのある作品。



「GREEN」「SURROUND」の続編として制作されながら、20年近く正式にリリースされなかった知られざる作品をTemporal Drift が世界初再発!! オリジナル盤はCDのみとなり、アナログ・レコード化は本邦初となる。
環境音楽の代表的な作品として知られ、近年再発された名盤である「GREEN」「SURROUND」。この2作に続く形で制作、1987年に完成したが当時発表されることはなかった。2003年に吉村が逝去、3年後の2006年にCDフォーマットで未発表音源としてリリースされた「FLORA 1987」。
植物を連想される楽曲タイトル、「GREEN」「SURROUND」と比較する限り色彩感覚が刺激される旋律が、受け手の想像力を柔和に包み込む。
『Flora』というアルバムが聴きつづけられている、聴きつがれている、
そこには、吉村弘という音・音楽を愛でるひとのかわいらしさが、
それとなく漂ってくるからかもしれません。
ちいさな花のかおりのように。
小沼純一
初の公式再発、吉村弘遺産管理団体の全面協力、小沼純一によるライナーノーツ付属、John Baldwinのリマスタリング
CD:デジパック


オプティミズムの結晶にして、内省的で耽美なチルアウト・アンビエント・ミュージック。DJ Sprinkles名義にて本邦の名門ダンス・レーベル〈Mule Musiq〉から発表した傑作『Midtown 120 Blues』で知られるプロデューサー/DJであり、〈Comatonse Recordings〉の運営者でもあるTerre Thaemlitzが〈Instinct Ambient〉より1994年に発表した記念碑的デビュー・アルバム『Tranquilizer』が30周年記念拡張再発!
視聴-040468
視聴-Fat Chair
視聴-Hovering Glows (Little Guy Mix)
視聴-Meditation of the Mountain Oyster§
視聴-Fina†
視聴-Raw Through a Straw
--- 主に「DJデニム」こと私の弟との冗談でつけたバカげた曲名。 よくあるひどい条件のレコード契約。 すっぽり抜け落ちたタイトルトラック。 詩人の愚かさについてのフランス語の気取った詩。 日本の聴衆がヘロインの袋と誤解し、私がヘビーユーザーだという作り話を生んだ、格子状の枕のジャケット。 超90年代的なPhotoshopの渦巻きのエフェクト。 UFOが牡蠣の殻に変形し、その殻を開けると中に山があるというグラフィックまでも? これらは私のファースト・フル・アルバム『Tranquilizer』の30周年記念復元拡張版を準備する際、私が折り合いをつけなければならなかった恥ずかしいことのほんの一部だ。 ニューヨークのレーベル、Instinct Recordsから1994年にリリースされた『Tranquilizer』は、確かにめちゃめちゃだ。 このアルバムは、1993年にセルフリリースしたアナログEPのデビュー作『Comatonse.000』に続くもので、A面に「Raw Through a Straw」、B面に「Tranquilizer」が収録されている。 このアナログEPは、レコードをプレスするという体験のために出したもので、実際に誰かが買ってくれたり聴いてくれたりするとは思っていなかった。 ディストリビューターがいなかった私は、バックパックにレコードを詰め込んで、地元のレコードショップを回り、そのうちの何軒かは委託販売をしてくれた。 後でわかったことだが、ほとんどの店は委託販売にお金を払わないし、売れ残ったレコードを返品することもない。結局ほとんどを無料で配ったということになる。 その後、びっくり仰天する出来事があった。 David MancusoがA面を定期的にDJするようになり、ロフト・ハウスの名盤へと変貌を遂げていた。 同様にB面はMixmaster MorrisやBill Laswellといったアンビエント・プロデューサーの目に留まった。 こうした偶然の話題は、日本のレコード販売会社シスコ・ミュージックの米国拠点バイヤー、Tak Uchidaの目に留まり、同社は2008年に経営破綻するまで、コマトンズ・レコーディングスのレコード・リリースの主要な支援者であり続けた。 そのすべてが、Instinctの目に留まるには十分な宣伝効果となり、Instinctは私に教科書通りのめちゃくちゃなアルバム2枚のレコード契約を持ちかけてきたのだった。 私はカモにされたくなかったので、正真正銘本物のバカ弁護士と契約交渉にやってきた。 弁護士はろくなアドバイスのかけらもくれなかったが、契約書は署名され、『Tranquilizer』は現実のものになりつつあった。 Instinctの計画は単純だった。 私(あるいは彼らが契約した他の誰か)が、彼らのドル箱アーティストである次のMobyになるかもしれない可能性を考えて、できるだけ多くのトラックの契約を手にいれることだった。 典型的な音楽業界の手口で、アルバムのタイトル・トラック「Tranquilizer」はカットされ、コンピレーションとして別にリリースされた。 その結果、契約上、追加のアルバム曲を考え出す必要がありました。 これでタイトル・トラックが消えてしまった謎が解けただろう。 このアルバムに収録されている曲の大半は、実はInstinctと契約する前にすでに完成していた。 1993年から1994年にかけて、かなりこだわって音源を編集したKorg M1とE-MU Vintage Keysシンセサイザー、そして2台のカシオFZ-10Mサンプラーを使って趣味で作っていた。 ばかげた曲名と趣味的なアプローチにもかかわらず、社会的なメッセージが込められていた。 その多くは、構成主義、インダストリアル・アンビエント・レコード、ディスコ、クィア・サブカルチャーに対する私の長年の関心から生まれたものだ。 これらはすべて、アメリカのアンビエント・ミュージックを支配していたニューエイジ・スピリチュアリズムや「ジッピー」なテクノ・ヒッピー・レイバーとは相容れないものだった。 例えば、オープニング・トラックの「040468」は、アメリカの公民権活動家Martin Luther King Jr.が暗殺された日であり、加害者であるJames Earl Rayの追跡と逃走の際の警察無線がフィーチャーされている。 キング牧師の「I Have a Dream」(私には夢がある)の演説が、まだハウス・アンセムに延々とサンプリングされていた時代に作ったこの曲は、夢から醜悪な現実へ向けて、全く逆の形で表現したものだった。 しかし案の定、音楽ジャーナリストたちは、ミュージシャンのエゴの単純な投影に過ぎないと思い込んで、このタイトルを私の誕生日だと勘違いしていた。 「Fat Chair」は、当時のほとんどのエスノ・アンビエント・ミュージックに潜んでいた植民地主義的幻想に対する批評である。 リスナーを心地よいアームチェアに座って第三世界の楽園への旅に誘うのではなく、1960年代後半のナイジェリア・ビアフラン戦争の際の音源にフォーカスしている。ナイジェリア・ビアフラン戦争では、西側ジャーナリストの干渉によりビアフラ人の人質が殺害された。 「A City on Springs」のタイトルは、芸術よりも工学を優先させるよう呼びかける構成主義者のマニフェストの一節に由来する。 私は、共産主義であれ他の原理原則であれ、社会的平等を達成する人類の能力に対する構成主義の楽観的な信念に共感したことはないが、その言葉は、芸術や音楽の社会的・経済的機能に対する私の生涯にわたる批判への動機づけを与えてくれた。 そして「Hovering Glows」では、Hal Hartleyの映画のモノローグで、虐待的な家族の絆のメタファーとして、傷ついたレコードについて語られる。 私は『Tranquilizer』のオリジナルCDのブックレットにこれらのテーマに関するテキストを掲載するつもりだったが、Instinctはすぐにそれは無理だと明言した。 聴衆を遠ざけることを恐れたのだ。 そんなことがあったので、代わりに私は冒頭にあるような、詩に対抗する「匿名の」小さな詩を書いた。 最初は英語で書いたが、Instinctのスタッフが理解しにくいように、友人で当時の仕事先の同僚、かつコマトンズ・レコーディングス のレーベルメイトであるErik Dahlにフランス語への翻訳を依頼した。 最終的には、ロマンティックな雰囲気を加えるグラフィック要素として盛り込まれたが、私の批判的なテーマが詩の中に密かに隠されていた。 それでも私には不満が残った。 それから2年後、私はInstinctからの2作目にして最後のアルバム『Soil』のデザインに、より意味のあるイメージを挿入することに成功したが、やはりテキストを入れることは許されなかった。 この30周年記念版では、ディスク1には、私が当初リリースする予定だったフル・レングスのアルバムが、タイトル・トラック「Tranquilizer」 を含めて収録されている。 CDの時間の制約上、「Meditation of the Mountain Oyster 」を削除した。 また、エンディング・トラックの 「Fina•Departure 」を長いオリジナル・バージョンに差し替えた。 完全主義の方のために、両曲の1994年アルバム・バージョンはディスク2に完全収録されている。 さらに、ディスク2には、Instinctの『Untitled Ltd. Edition Ambient Double Vinyl Pack』(US: Instinct Records、1994、EX-291-1)に収録された「Hovering Glows」の貴重なビニールミックスが収録されている。 もうひとつのレアな曲は、コンピレーション『Muting the Noise』(DE:Innervisions、2008年、IV CD02)と『Comp x Comp』(JP:Comatonse Recordings、2019年、CxC)で限定リリースされた「Get In and Drive」。 「20min. Epoch」、「Fina」、「Fina•Departure (Original Long Version)」及び「Hovering Glows (Little Guy Mix)」は、私の『売れ残り品アーカイブ(全集)』(JP: Comatonse Recordings、2009、C.018)にMP3隠しボーナストラックとして収録されていたもので、今回初めてちゃんとしたハイファイ・フィジカル盤としてリリースされる。 「アーカイブ」の現存枚数の少なさを考えると、ほとんどの人には新鮮に聴こえるはずだ。 最後に(でも本当に必要な曲かどうかわからないけれど?)、「Pome 」と 「Day Off」は未発表曲だ。 ああ、念のために言っておくと、Little Guyは私の猫の名前だ。彼は、私のスピーカーの前に一斤のパンのように箱座りして、「Hovering Glows 」の808スタイルの重低音を感じるのが大好きだった。 テムリッツ・テーリ 2024年


DJ Sprinkles名義にて本邦の名門ダンス・レーベル〈Mule Musiq〉から発表した傑作『Midtown 120 Blues』で知られるプロデューサー/DJであり、〈Comatonse Recordings〉の運営者でもあるTerre Thaemlitzが”Kami-Sakunobe House Explosion” (K-S.H.E)名義で2006年に発表し、〈Skylax〉からも世界リリースされたアルバム『Routes Not Roots (ルーツではなくルート)』が2024年度リイシュー!〈Resident Advisor〉でも五つ星の高い評価を得た人気作品!2004年の2月から11月にかけて〈Meow, Kawasaki〉にてレコーディング。クラシックNYディープハウスと悪名高い『Fagjazz』のサウンドとが組み合わせた内容であり、ブラックユーモアと厳しい現実で満たされた、広がりの在る、低音の激しいダンスミックスの大作に仕上げられています。
視聴-Down Home Kami-Sakunobe / 上作延村立
視聴-Hobo Train / 浮浪者
視聴-Black is the Color of My True Love's Hair / 愛しい人の黒い髪
視聴-Head (In My Private Lounge, My Pad) / プライベート・ラウンジ

大推薦!90年代、ニューヨークのトランスセクシュアル系クラブで活躍し、現在日本を拠点に活動しながら世界中を飛び回り、ハウス・ミュージックを切り口にアーティスティックな音楽展開を続けるカリスマDJ、Terre ThaemlitzがDJ Sprinklesとして発表したデビュー・フル・アルバムであり、オリジナルは高値で取引されている人気作『Midtown 120 Blues』が自身によるカスタム・パッケージで〈Comatonse Recordings〉から再リリース!RAこと〈Resident Adviser〉にも2009年の年間ベスト・アルバムに選出されたディープ・ハウスのマスターピースが待望の復刻。ニューヨーク・ハウスがリバイバルし、それらのユートピア的なフィクションを構築されていく一方で、ハウス・ミュージックの奥深くへと到達した傑作。空っぽのミッドタウンのダンス・フロアのリズムが、トランスジェンダーのセックスワーク、ブラックマーケットのホルモン、ドラッグ&アルコール中毒、人種差別、ジェンダー&セクシュアルクライシス、失業、検閲の困難さと共鳴していく様を眺めているような珠玉のディープ・ハウス・アルバム。両面インサート(100mm x 100mm)や新聞紙ポスター・インサート(472mm x 472mm)がヴァイナル・ポーチに付属。
視聴-Midtown 120 Intro・ミッドタウン120イントロ
視聴-Midtown 120 Blues・ミッドタウン120ブルース
視聴-Reverse Rotation・後戻り
視聴-Grand Central, Pt. II (72 hrs. by Rail from Missouri)・グランドセントラル駅 パート2(列車でミズーリ州から72時間)


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