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ドイツのプロデューサーDisruptがSFサンプルを散りばめた奇天烈なデジタル・リディムを軸に、チープなシンセや8bit音源、異世界的エフェクトを自在に操って描き出す、2009年に〈Jahtari〉初のLP作品としてリリースされ、レーベルの方向性を決定づけた8bitダブ宇宙の決定盤『The Bass Has Left The Building』がめでたくリイシュー。ローファイながら奥行きのあるコズミックな質感が全編を包み込み、ベルリンのDubplates & MasteringでPeak Time CGB1が手がけたローエンドが、サウンドシステム仕様の強烈な重低音を実現している。美空ひばり「リンゴ追分」をチップチューン×デジダブ化した異色カヴァー「SEGA Beats」、ゲーム音楽的センスが炸裂する「Berzerk Dub」、Kiki Hitomi「Nightwalkers」のインスト版「Echobombing」など、ファン垂涎の重要曲を網羅。オリジナルから時を経てもなお、その革新性と中毒性はまったく色褪せない大名盤。

ベニン音楽史の中でもひときわ謎に包まれた人物Antoine Dougbéが、ベナン最強バンドOrchestre Poly‑Rythmo de Cotonouと共に残した1977〜82年の音源をまとめた〈Analog Africa〉の発掘盤。Dougbéはベニン南部アボメイ出身の作曲家で、自身も ヴォドゥン信仰のイニシエート。悪魔の宰相と自称したことでも知られ、精霊信仰の儀礼音楽をポップへ落とし込む独自の作風を築いた。興味深いのは、彼が歌手でも演奏者でもなく、作曲家としてPoly‑Rythmoに楽曲を提供する形で作品を残した点で、歌唱はLohento EskillやAmsou Williamが担当し、バンドの圧倒的な演奏力がドゥーベの楽曲を鮮やかなアフロ・グルーヴへと昇華させている。収録曲では、コンゴ風ダンス・リズム、ルンバの軽快さ、重層的に絡むギター、熱気あふれるホーンが炸裂。アフロ・ラテン、ファンク、そしてヴォドゥン儀礼のリズムが交差するサウンドは、1970年代西アフリカ音楽の最も創造的な瞬間を捉えたものと言える。ヴォドゥンの精神文化とアフロ・ラテンの躍動が溶け合う、ベニン音楽の知られざる傑作。

Meditationsでもベストセラーだった人気ボックスセットが、待望の再プレスです。さすが、INA-GRM!Bernard Parmegiani、Luc Ferrari、Francois Bayleなどの箱物に続き、またしても名編集盤が登場です!チベットと電子音楽を合一させたグル、Eliane Radigueのディスコグラフィーを辿る14枚組ボックス・セットが豪華ブックレット付きでリリース!フランスのRTFスタジオでミュージック・コンクレートの創始者である、Pierre SchaefferやPierre Henryといった巨星に師事し、数十年間に渡り、深淵なる電子音楽を作り上げてきた彼女の歴史的アーカイブがここに!今では入手困難なタイトルを含む、CDフォーマットでリリースされた名作の多くを収録した14枚組ボックス。MetamkineのミニCD「Biogenesis」まで収録した、ラディーグ・ファン必携のアイテムです。80ページにも渡るブックレットが付属(仏/英)。
フィンランド、オランダを拠点に活動、Mohlao名義でのダブ・テクノや、VC-118A名義でのエレクトロなど、多岐にわたる実験音響プロジェクトを展開している才人Samuel van DijkによるプロジェクトMulticast Dynamicsが、名門〈Astral Industries〉に帰還して放つ最新作『Circles』。A面「Circle One」、B面「Circle Two」の長尺2曲による構成で、深層意識へ沈み込むような深いサウンドを描き出す。透明なドローンがゆっくりと揺らめく静謐な前半から、洞窟の奥へ進むような低音の脈動と暗い残響が広がる後半へ。音数は極端に少ないのに、風景が変化し続けるようなシネマティックな音響空間で、長尺でも緊張感が途切れない〈Astral Industries〉らしい音の旅の感覚。深い意識へと潜る、終わりなき音の円環!
ベルギーのコンセプチュアル・アーティスト、マルセル・ブロタースが1970年に私設美術館Musée d’Art Moderne, Département des Aiglesで録音、初めて作品として出版・流通した1995年の限定50部CDも高値で取引されている、伝説的音声作品が片面プレスLPとして復刻。現代美術の潮流や市場について等難解な質問に、猫が「ミャオ」とだけ返す。ブロタースの落ち着いた声と、猫の気まぐれなミャオだけで構成される極端にミニマルな音響は、美術館の広い空間の中に響く残響のように乾いていて、静かで、妙にユーモラス。猫の返答は意味を持たないはずなのに、繰り返し聴くと意味があるように聞こえてくる不思議さと、美術界の会話そのものが実は猫のミャオと大差ないのではないかというシンプルゆえに鋭い皮肉、ユーモアが同居するブロタースの核心をそのまま封じ込めた一作。
ブラジル・リオ生まれ、2002年生まれの新世代プロデューサーDJ Ramon Sucessoが、世界的ブレイクのきっかけとなった『Sexta dos Crias』の続編となる『Sexta dos Crias 2.0』をリリース。本作はバイレ・ファンキのエネルギーをさらに過激に推し進めた全2曲、34 分の長尺ミックス作品。A 面「Rompendo o Espaço-Tempo」、B 面「Distorcendo o Universo」は、どちらも16分超のシームレスな展開で、断片化したサンプル、歪んだボーカル、Tresillo系のビートが衝突し続ける、まさに未来志向・低レイテンシーのサウンド。TikTokでのバイラル感覚とクラブの身体性が一点で衝突する、バイレ・ファンキの最前線。マスタリングはDubplates & MasteringのKassian Troyerが担当。バイレ・ファンキ、ベース・ミュージックの可能性を拡張し続ける異才の重要作。

フィンランドはカレリア地方のカンテレ奏者Iivana Mišukka(1861–1919)が、1916〜17年にワックスシリンダーへ残した貴重なフィールド録音をもとに、現代のカンテレ奏者Arja Kastinenが再構築した歴史的アーカイブ作品。古い蝋管録音のノイズや揺れをそのまま生かしつつ、Kastinenが丹念に採譜し、当時の奏法を忠実に再現した新録を重ねることで、100年前の音と現在の音が同じ空間で響き合う。収録されるのは、ポルカ、ワルツ、マアニトゥスなどの舞曲、さらには教会の鐘の音の模倣演奏など、伝統的なルノ歌から新しい舞曲へという当時のカレリアにおける音楽文化の変容を象徴する内容。1〜3分台の小品が並び、素朴でありながら神秘的なカンテレの響きが、森の奥に残る古い歌の記憶を呼び起こすように広がっていく。時間の層が折り重なるような幽玄のサウンドで失われかけたカレリアの音楽文化を現代に蘇らせる価値ある一作。
1976年に日本のみでリリースされた、Marion Brownの70年代の探求を象徴する知られざる名盤。ブラウンは60年代フリージャズ以降、より構造的でリズムを軸にした音楽へと移行しており、アフロ・カリビアン的なポリリズム、ファンクの切れ味、レゲエの揺れが、曲ごとに異なる地層のように積み重なる。アルトは、旋律を吹くというより、リズムの上を滑りながら物語を紡ぐような語りのニュアンスが強く、ギターやベースはグルーヴを前に押し出すのではなく、リズムの層に陰影を与える役割を担う。全体として、黒人音楽のリズム的遺産を抽象化し、ブラウン独自の構造としてのリズムへと昇華。鋭いアルト、豊かなポリリズム、そして集団即興の熱量が交わり、ジャズの枠を越えたコミュニティの音楽として響く一枚。

後年、職業音楽家として名を成すある若者が1984年に自費出版した幻の異端シンセLP、ここに遂に公式復刻!! 80年代初期ニューヨークのアヴァンギャルド・ムーブメントの熱気にくらったいち日本人のアウトサイダーDIY精神爆発の刻印。シンセ一台とヴォイスのみで表現されたこのウルトラローファイな初期衝動的探求は、シニシズムが蔓延する時代、内なる「人間」DNAを揺り起こす。これは現代の神話である。
『Music in DNA』は、1980年代初頭のニューヨークに滞在し、故郷のしがらみから解放された日本人青年、Yasuhito Ohnoが自主制作したLPで、音楽、絵画、パフォーマンスといった当時の様々な前衛的ムーブメントと80年代ニューヨークの地産地消エネルギーにインスパイアされた、「外部」としてのDIY精神が溢れ出る情熱の結晶体。Ohnoはポリフォニック・シンセサイザーの傑作、Roland Juno-60と4トラックマルチレコーダーのたった2台の機材と自身のヴォイスを用いて、若々しい「エッジ」を開放的なローファイ音楽の探求へと注ぎ込みました。全体が奔放な魅力に満ちており、それは、新しい世界に飛び込んで戯れる生々しくフレッシュな人間の精神の開放。Ohnoは、DNA研究、パーソナルコンピューティング、初期のコンピュータグラフィックスといった当時の技術開発全般がもたらす人間的な可能性にも触発されており、収録曲の一部は初期CGのデモ映像のバックグラウンド音楽に使われ、また、本作のジャケットは初期のCGアートです。その後、彼は日本で職業音楽家となりますが、『Music in DNA』は、表現技術を磨く以前の、ひとりのアーティストの作家性の始原を記録したドキュメントであり、極限状態にある剥き出しの無垢が、啓蒙以前の先史神話のように我々に迫ります。シニシズムが蔓延する時代、『Music in DNA』は、寛大な無邪気さとありのままの自分を蘇らせる唯一無比の作品です。ライナーに掲載したYasuhito Ohnoの寄稿は、我々が失っているものを肩の力を抜いて鋭く問いかける名文!
