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1万越えの高値を付けたこともある激レアなオリジナルは、2018年に自主レーベル〈CCQSK Records〉より限定100部のカセット作としてリリース。ゼロ年代後半に圧倒的人気を誇ったものの、ギタリストのChristopher Reimerの突然の死によって解散することとなってしまった現代カルガリーの伝説的ノイズ・ロック・バンド、”Women”(当時私も大好きでした...!!)のリード・シンガー、Patrick Flegelが展開してきたソロ・プロジェクト、Cindy Leeの傑作が初のアナログ・リリース!
まさにカタルシス。今は去りし全盛期のローファイ・インディ/ドリーム・ポップへの憧憬、陰鬱と寂寞と不可解・・・不気味に歪むギターと霊能的なヴォーカル・ワーク、インダストリアルなコラージュ音塊が混ざり合い、極めてオブスキュアな音像へと収束したヘヴィ・ドローン“A Cold Fog Is Still Descending (KCP Sound Collage)”、一筋縄ではいかない脱臼的センスを披露したエクスペリメンタル・ノイズ・ロック”Model Express”、Trey GruberやCharlie Megira辺りのアウトサイダーなサウンドがよぎる”Diamond Ring”といった傑出した楽曲揃い。個人的にもテン年代ベストの一角に挙げたいマスターピース!
デンマークの声楽集団Valby Vokalgruppeによる、電子機器を使わず声だけでリズムと構造を探求する実験的作品『Solids For Voices』。声を旋律ではなく素材として扱うアプローチで、ポリリズムや反復構造を用いてミニマルトランスな瞑想的音響空間を構築。紀元前128年の古代ギリシャの賛歌を再構築した楽曲も収録した、神聖な雰囲気漂う声の幾何学で、柔らかな不協和音と直感的な構造が深い集中へと誘う。声という最も原初的な音を用いて、静寂と響きの間にある間を丁寧に編み上げた、知的かつ感覚的な音響!

Giovanni Marco Citivengaによるプロジェクト、Detraex Corpによる、ダブ、ベース・ミュージック、トライバル・エレクトロニクスが交錯する幻覚的サウンドスケープ『Live at Pompeii』が〈Sagome〉より登場。本作は、ポンペイという歴史的・神秘的な場所を舞台にした音響による幻想で、土着的で呪術的なグルーヴを感じさせるベースライン、酩酊的で夢幻的に加工されたウードの音色、重く粘着質なビートが90年代Wordsoundの幻影を未来的に再構築したような印象を残す。クラブ的なグルーヴと古代的で幻覚的な儀式を思わせる音響が融合し、朽ちた祝祭のような雰囲気となっている。ダブと実験音楽の境界を押し広げながら、聴覚の深層へと誘う音響考古学とも言うべき一枚。

アンビエント、インダストリアル、実験音楽といったジャンルで活動するイタリアのギタリストEraldo Bernocchi、ブラジルのヘヴィメタルバンドSepulturaの元ドラマーとして世界的に知られるIggor Cavalera、そしてご存じMerzbowという、一見すると異質な3者のコラボレーションから、熱帯雨林の夜をテーマに予測不可能なサウンドを生み出した作品が〈PAN〉より登場。Bernocchi が手がける重層的なギターと電子処理が土台を形作り、Iggor Cavalera が肉体的で原始的なリズムを叩き込む。さらに Merzbow がノイズの嵐を注ぎ、全体を圧倒的な音響体験へと押し上げている。激しいインダストリアル・ドローンや環境音的テクスチャーの中に、時折ジャングルを思わせるプリミティヴな打楽器の呼吸が浮かび上がるそのサウンドは、単なる轟音ではなく、森の闇に包まれるような没入感と儀式的な高揚を兼ね備えている。深夜に聴くと、音の密林に迷い込むようなトリップ感のある一枚。
Bitchin Bajasとの共演でも知られるJoshua Abrams率いるシカゴの異能集団、Natural Information Societyによる、ジャズ、モード音楽、伝統音楽の要素が融合した35分間にわたるミニマルな音の瞑想空間。一つのテーマを35分間にわたり反復・変奏し続けることで、音の持続と変化の微細さを探求。北アフリカの弦楽器ギンブリによる反復リフがが一定のグルーヴを保ちつつ、微細に変化する中、ハルモニウムやバスクラリネットが浮遊するように絡み合い、空間的な広がりが生まれてゆく。リズムは明確な拍子を持たず、緩やかでありながらも内的な緊張感が持続しており、今ここにいるようで、どこか遠くへ漂っているような、揺らぎのある音楽空間となっている。さらに深く、音と時間の哲学的探求を進めた作品。
デトロイトの新世代ハードコア・ジッターことHi Techが、地元直系のジット/ゲットーテックを現代に問う自主リリース第2弾『Honeypaqq Vol.1』が登場。全14曲を30分未満で駆け抜ける本作は、160BPMのスカッド・ビートにサンプラーでのカットアップを炸裂させる、ラフでファンキーな一撃!Omar-Sの〈FXHE〉からのLPや、ライブパフォーマンスで評価を得た後、デトロイト新世代ゲットーテックの顔役として台頭。シカゴのフットワークとも共振しながら、よりジャジーでデトロイトらしい「ミュータント・バウンス」を体現するゲットー育ちのHi Techの未来派ビート、そしてジャズとエレクトロの幽霊がさまよう摩訶不思議な音響世界。ジットやデトロイト・テクノの文脈に惹かれる人はもちろん、シカゴ派フットワークやUKのベースミュージック、あるいは最近のR&B実験派までアピールするであろう重要作。これは踊るだけではなく、生活圏と幻想のあいだをスキップで渡るためのサウンドトラックと言うべき一枚!
Low Jackことフランスの電子音楽家 Philippe Hallaisによる、喪失と救済をめぐる精神的・音響的なレクイエムとも言うべき作品『Lacrimosa』。本作はAlice Coltraneの1976年作『Eternity』の霊性と死者のためのミサの構造に触発された、8つの楽章からなる深遠なアンビエント作品で、作曲者自身の人生と深く結びついた喪失の物語。特に「Dies Irae(怒りの日)」と「Lacrimosa(涙の満ちる者)」の章を再解釈し、魂の救済を求める音楽的祈りとして展開。機械が悲しみの味を学ぶという詩的なモチーフが、金属的なフィルター、グリッチ、詩的なノイズが交錯する爆撃された後の静寂のような音響として表現されている。ヴォーカル・アンサンブルやゲスト参加による宗教的・儀式的な深みも加わって、「沈黙が血を流す」ような音の余白と緊張感が、聴く者の内面に静かに語りかける内容となっている。


(数量限定/日本語帯付き)現代ジャズを代表するドラマー、コンポーザー、プロデューサーのマカヤ・マクレイヴン。〈International Anthem〉からの諸作、ギル・スコット・ヘロンやブルーノート作品の再構築盤などで一躍名を挙げる、現代ジャズを代表するドラマー、コンポーザー、プロデューサーの彼が、4枚のEPをまとめた作品『Off the Record』を、〈XL Recordings〉〈International Anthem〉〈Nonesuch〉よりリリース。純粋な即興演奏の瞬間、ライヴでのパフォーマンス中に録音された音源が収録され、空間や観客の存在までもが音に反映されている。互いに独立しながらも有機的につながり合う4枚のEP『Techno Logic』『The People’s Mixtape』『Hidden Out!』『PopUp Shop』で構成されている。
本作は、GRAMMY が「マクレイヴン史上もっとも野心的な作品」と評した2022年の傑作『In These Times』以来の作品であり、マカヤが2015年のデビュー作『In the Moment』で確立し、その後の『Highly Rare』(2017年)、『Where We Come From』(2018年)、『Universal Beings』(2018年)で深めてきた “オーガニック・ビート・ミュージック”の真髄があらためて表現されている。マカヤは彼のライブ音源をシカゴの自宅スタジオで、編集・オーバーダブ・ポストプロダクションを重ねることで、彼独自のサウンド世界へと再構築している。そんな4つのEPまとめた『Off the Record』は、単なる音源集ではなく、創造性と共同性に満ちた、“その場にいた”からこそ生まれた音楽の瞬間を祝福するドキュメント作品でもある。
今の時代、人はスマートフォンやヴァーチャルな世界で容易につながれるようになった。だがその一方で、何が本物で、何が偽物なのか、その境界線はどんどん曖昧になってきている。本当に大切なのは、実際に“そこに居た”ということ。その現場に身を置き、音を体で受け止めたという体験に、勝るものはない。
−マカヤ・マクレイヴン
以下各EPに関して:
『Techno Logic (feat. Theon Cross & Ben LaMar Gay)』
ベン・ラマー・ゲイとセオン・クロスが参加。2017年のロンドン、2024年のベルリン、そして2025年のニューヨークでのライヴ録音から構成されており、この3人の間に築かれてきた約8年間にわたる音楽的な信頼関係が刻まれている。彼らの最初の出会いは、Worldwide FMのかつてのロンドン北部スタジオでのセッションだった。
『The People's Mixtape』
2025年1月にブルックリンのPublic Recordsで行われたライヴ録音を土台としている。この公演は、マカヤが自身の代表作『In the Moment』の10周年を記念して開催したものであり、同作のセッションを通じて確立した即興言語に、意図的に立ち返る試みでもあった。この特別な夜にマカヤと共演したのは、ベーシストのユニウス・ポールとトランペット奏者のマーキス・ヒル。いずれも『In the Moment』において重要な役割を果たした演奏者たちだ。さらに、『Universal Beings』(2017年)のセッション以来の常連コラボレーターであるヴィブラフォン奏者のジョエル・ロス、そしてマカヤにとって初共演となるアンビエント・ジャズ・プロジェクト、SMLの共同リーダーであり、〈International Anthem〉所属のシンセ奏者、ジェレミア・チウも加わった。
『Hidden Out!』
2017年6月にマカヤがシカゴのThe Hideoutで行ったレジデンシー企画での録音を基に構成されている。この期間、彼は毎週入れ替わりのメンバーとともに即興演奏を行っており、参加者にはユニウス・ポールに加え、トータスのメンバーであり、〈International Anthem〉のレーベルメイトでもあるギタリスト/作曲家のジェフ・パーカー、さらに同じくSMLの共同リーダーでありグラミー賞受賞歴を持つアルトサックス奏者/プロデューサーのジョシュ・ジョンソンが名を連ねている。
『PopUp Shop』
2015年にマカヤがロサンゼルスのDel Monte Speakeasyで初めてパフォーマンスを行った際の録音を基に制作された。このとき彼は、シカゴのDJ/キュレーターであるキング・ヒッポと、サンフランシスコ発の前衛的な音楽プラットフォーム、Grown Kids Radioが企画したイベント「RAWS:LA」に出演し、ギタリストのジェフ・パーカー、ヴィブラフォン奏者のジャステファン、ベーシストのベンジャミン・J・シェパードと即興セッションを行っている。
自身は〈Ampoule〉を主宰し、14歳の頃から音楽を作り続けてきたグラスゴー出身のアンビエント/エレクトロニカ界の鬼才、Pub。アンビエント・ダブとIDM、エレクトロニカを融合させた抑制された美しさの漂う音響作品『Mamor EP』が自身のレーベル〈Ampoule〉からリリース。空間系エフェクトと深いサブベースを活かした、静謐で浮遊感のある音響構造を核として、Basic Channel以降の影響を受けた低音と残響処理によるミニマルなグルーブに、IDM、エレクトロニカ的なメロディと構造美が映える。微妙に音程がズレた複数の音が重なり合いが背景のように宇宙的なシンセのアルペジオを包み込む様子が印象的。Pubの20年以上にわたるキャリアの集大成的な位置づけとも言える充実作。
Mark Fellが自身の新レーベル〈National Centre for Mark Fell Studies〉を立ち上げ、約10年ぶりのフロア志向エレクトロニック作品をリリース。ポリリズムと現代ダブが交錯する、前衛的かつダンサブルなマシンファンクの最前線『Nite Closures EP』。Fell特有の微細なポリメトリック構造と有機的なリズム操作、Sensate Focus名義のEP群を継承しつつ、より現代的なダブ処理と空間性を強調した音作りで、複雑な拍子の中に潜むグルーヴ感が、DJユースにも対応する仕上がりとなっている。Mark Fellが10年以上の沈黙を破って再びクラブへと回帰した重要作であり、前衛電子音楽とダンスミュージックの境界を再定義する作品。
ナイジェリア人パーカッショニスト、Gasper Lawalが1980年に自主レーベルである〈CAP〉から放った衝撃的デビュー作『Ajomasé』が名門〈Strut〉より遂に正規再発。Stephen StillsやFunkadelic、Vangelisら数々の巨匠と共演し研ぎ澄まされた感覚を、自作楽器や緻密な多重録音で結晶させた唯一無二の作品です。アフロ・リズムの深みと実験性を兼ね備え、当時John Peelらによるラジオ・プレイをきっかけに国際的評価を獲得した歴史的名盤。第四世界的サイケデリア、底流に流れるファンクネス、西アフリカ的霊性と多彩なリズム、エスノ・エクスペリメンタル的前衛精神までもが交錯するジャンル越境の傑作。オリジナル・テープからのリマスタリング仕様。


2025年リプレス!今の時代にこの音を鳴らすとは恐るべし。ゼロ年代後半〜テン年代前半への愛慕に濡れるローファイ・インディの究極系!ゼロ年代後半に圧倒的人気を誇ったものの、ギタリストのChristopher Reimerの突然の死によって解散することとなってしまったカルガリーの現代の伝説的ノイズ・ロック・バンド、”Women”(当時私も大好きでした!)のリード・シンガー、Patrick Flegelが展開してきたソロ・プロジェクト、Cindy Leeの最新アルバムが、古今東西の前衛音楽を世界へと再提示する大名門[Superior Viaduct]のサブ・レーベル[W.25TH]から満を持してリリース!今は去りし全盛期のローファイ・インディ/ドリーム・ポップへの憧憬、陰鬱と寂寞と不可解さに溶けながらも、イーサリアルな魅力を抜群に発揮したロマンス溢れるヴォーカル・ワークが途轍もなく素晴らしい。Womenが好きだった人も、知らない人もこのうつくしさには溶けるはず。弟のAndrew Flegelもドラムで参加。亡きWomenのメンバー、Christopher Reimerに捧げる最終曲”Heavy Metal”(B4)にも呑まれてください。筋金入りの大傑作!

ロサンゼルスを拠点に活動する大人気ベーシストSam Wilkesが新たな一歩踏み出した7インチ『104.3』が登場。本作はベースを封印し、友人Brian Robert Jonesから借りたストラトキャスターを手に、思いつくままに音を重ねていったセッションから生まれた作品で、A面には最初の夜に一発録りしたのはトム・ペティ「Learning to Fly」のループ演奏。その後にベースとコーラスを加えたという。数週間後、ギターを返す前の最後の夜にはフリートウッド・マックの「I Know I’m Not Wrong」を再構築。どちらも作り込むというより、楽器との出会いをそのまま封じ込めたような即興性に満ちている。本人の「ベースでは半分くらいベースじゃない音を探している。だから違う楽器を弾くことがすごく解放的だった」という言葉通り、気負いのない自然体の演奏が心地良い。
日本のアヴァンギャルド音楽の巨匠・灰野敬二を中心とするプロジェクトNijiumu(滲有無)による、深遠で幽玄な音響世界を記録したアルバム『When I sing, I slip into the microphone...』が、〈Black Truffle〉より再発。今回の再発では、1990年代初頭にP.S.F.からリリースされたオリジナル音源に加え、灰野が1973年に自作電子機材で録音した未発表ノイズ作品や未発表音源も収録し、彼の音楽的探求の軌跡をより広く捉える内容となっている。鉄や弦楽器のアンプリファイ処理による金属的な響き、リバーブに包まれた幽玄な音像、そして灰野の声が祈りのように空間を漂う構成は、チベット音楽やミニマリズム、フリー・インプロヴィゼーション、サイケデリックの要素が混在する独自の世界観を形成。ジャンルの枠を超え、音そのものが感情や霊性と結びつくかのような瞬間を捉えた本作は、灰野敬二の「音を祈りとして扱う」哲学が色濃く反映された、Nijiumuの本質を捉える貴重な記録。
1980年代UKダブ最高峰!トラディションの名盤アルバム『キャプテン・ガンジャ・アンド・ザ・スペース・パトロール』がカラー・ヴァイナルで日本盤LPで復刻。2025年最新リマスタリングによる高音質復刻!!
UKラヴァーズ、ダブが花開いた1970年代後半から80年代にかけてUKで活躍した人気グループ、トラディション。甘い歌声でメロディアスなラバーズロックを展開した彼等はメジャーデビューも実現し数々の傑作アルバムを残したが、同時期に平行して彼等がインディーレーベルVENTUREに残したダブ作品は80年代のUKダブ作品の中で最も美しく、そして最も入手困難な作品としてダブ・フリーク垂涎のコレクターズ・アイテムとして知られている。
特に80年に発表された本アルバム『CAPTAIN GANJA AND THE SPACE PATROL』は彼等のダブアルバムの最高傑作とされ、現在ではダブファンだけでなく、バレアリックシーンでも高い評価を得ている。

12月上旬再入荷。オリジナルは1973年リリースの、修道女Sister Irene O'Connorによる自主制作作品として長らくカルト的評価を得てきた伝説的アルバム『Fire of God’s Love』。オコナーはフランシスカン・ミッショナリーズ・オブ・メアリー修道会に所属するカトリック修道女で、教育や奉仕の傍ら音楽活動に携わってきた。1960年代にはシンガポールでギターを手にし、子どもたちと歌う中で作曲を始め、70年代に入り、同じ修道女で録音技師でもあったシスター・マリミル・ロブレガットとともにシドニーのカトリック放送局のスタジオでこのアルバムを制作。オルガン、ピアノ、アコースティックギターを主体に、チープなリズムボックスやベースペダル、そして大量のリヴァーブを駆使し、オコナーはソプラノで英語・ラテン語・マレー語の詞を歌い、同時にオルガンの全パートを演奏している。マリミルの技術と感性による録音・ミキシングは、清らかでありながら異世界的。霊的で恍惚感のある響きとなっている。歌詞のテーマは「慈悲」「光」「救済」といった聖書的題材に根差していながらも、音楽的には形式的な讃美歌ではなく、フォークや当時のサイケデリック、さらには早すぎたシンセポップを思わせる響きを含んでいるようで、モンド、電子音楽、カルト・アンビエント、フィメール・フォークなど多様な文脈で語られる稀有な作品となっている。修道院という閉ざされた環境から生まれながらも、時代もジャンルも超えてリスナーを魅了し続ける奇跡の一枚であり、無二のスピリチュアル・ポップ/サイケデリック・フォークの古典。長らく入手困難だったが、〈Freedom To Spend〉によってリマスターが施され、公式に復刻。詳細なライナーノーツと歌詞を収めたブックレットも付属した価値ある再発。

ハードコア・パンクというジャンルにおいて初のアフリカ系アメリカ人バンドとして知られ、音楽的にも文化的にも非常に重要な存在でもある、ワシントンD.C.の伝説的ハードコア・バンドBad Brainsの代表作で、ハードコア・パンクにレゲエやメタル、ファンクを融合させた革新的な1986年作『I Against I』。特筆すべきは、真の意味でジャンルを横断する多様性で、ギターはメタル的なリフとファンクのカッティングを行き来し、ベースラインは跳ねるようなファンクの要素を持ちつつ、ドラムはジャズ的なフィルやレゲエの裏打ちを織り交ぜる。ヴォーカルのH.R.は、怒りとスピリチュアリティを同時に表現するような独特のスタイルで、シャウト、メロディ、語りを自在に使い分けている。アルバム全体を通して、ジャンルの境界を越える実験精神が貫かれており、音楽的価値だけではなく「パンクとは何か」「黒人アーティストがロックをどう再定義するか」といった文化的問いにも応える、思想性の面でも後世に大きな影響を与える重要作。

スウェーデン人プロデューサー、Henrik JonssonがPorn Sword Tobacco (PST)として名を馳せる以前、Stress Assassin名義で2002年にCDで発表したトランス・ダブの秘宝的名作が、20年以上の時を経て初のヴァイナル・リイシュー。本作は、ヘンリク・ヨンソンがヨーテボリの屋根裏部屋で制作した初期の作品であり、ミニマルなビートとスペーシーなシンセが織りなす音響空間は、アンビエント、ダウンテンポ、トランス、エレクトロニカ、そして深遠なダブの要素が融合し、静謐でありながらエモーショナル。チルアウトとトランスの境界を曖昧にするような深い没入感と浮遊感のなか、メロディアスなベースラインと、澄み切った透明度の高いハーモニーを基調としつつ、フィールドレコーディングされた音やテープヒス、浮遊する声などが混じり合う。Harold BuddやTangerine Dreamからの影響を感じさせつつも、Lee "Scratch" PerryやMoritz von Oswaldといったダブの巨匠たちからの手引きも見受けられ、スモーキーで優美なビートと空間を漂うような音響処理が織りなすサウンドスケープは、まるで夢の中で聴くダブ・ミュージックのよう。2000年代初頭のスウェーデン地下シーンから生まれたこの作品は、今なお色褪せることのない、アンビエント/ダブ/エレクトロニカの交差点に立つ静かな金字塔!

英国を拠点とする匿名的な電子音楽家SDEMによる2024年に英国リーズの廃墟クラブで匿名の観客1人に向けて一発録りされたライブ録音作品『At Quadrant Park』が、〈Frozen Reeds〉傘下の新レーベル〈Quadrant Park〉から限定500枚CDとしてリリース。音楽的にはIDM、ポスト・クラブ、初期ヒップホップの要素を融合し、AutechreやGescomに通じる断片的で歪んだ電子音響を展開。ディストピア的なアンビエンスと、Jim O'Rourkeによるマスタリングが施された生々しいパーカッシヴなドライブ感も印象的で、録音にはクラブの残響や環境音も取り込まれ、即興性と空間性が強調されている。また、各ジャケットが未公開のショートフィルムの一コマになっているというRobert Beattyによるアートワークも特徴的。曲名やトラックリストは記載されておらず、聴覚体験そのものに集中させる設計となっており、SDEMの匿名性と物理メディアへのこだわりが貫かれた、コンセプチュアルかつ挑戦的な電子音楽作品。
〈Organic Music〉や〈Revelation Time〉などと並んで国内からオブスキュア以降のリバイバルを牽引した名レコード店〈ONDAS〉運営でも知られる、日本屈指のレコード・ディガーことDubbyと〈Rush Hour〉のボスAntalが共同で編纂した、新時代に向けた日本のテクノ・ポップのショーケース・アルバム『TECHNO KAYŌ VOL. 1 - JAPANESE TECHNO POP 1981 - 1989』が堂々リリース!SHOGUNへの参加も知られる名アーティスト・大谷和夫の手掛けたオブスキュアな映画サントラ『恋子の毎日』収録のネオ・クラシカル/ミュータント・ファンクな「ラスト・バトル」、近年人気再燃する大名盤『KOIZUMI IN THE HOUSE』からの小泉今日子によるバレアリック・ハウス聖典「マイクロWave」にいたるまで、ポスト・バレアリックやオブスキュア・シティポップ視点を巧みに交差させながら、2025年の現在地点における、ディープな国産テクノ・ポップの数々を寄りすぐった画期的コンピレーション・アルバム!
