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フランス出身、ギリシャ在住の異端DJ、OKO DJによる、原始的なDIYテープモンタージュから現代のホームスタジオ技術まで、幅広い手法を用いて、ダウンテンポ、トリップホップ、実験シンセポップ、ダブという多様な要素が混ざり合ったアルバム『As Above, So Below』。スピリチュアルな語り、テープノイズ、フィールド録音的な要素が交錯し、夢幻的なサウンドスケープを構築。トラックには「Exolition」「La Colline au Ciel」「είμαι ή δεν είμαι(feat. onarrivenow)」など、多言語・多文化的なタイトルが並び、地理や時代、ジャンルを越えた感覚を誘う。レーベルによる紹介文では、「コミューン出身の女ゲリラたちがボウリングに行く」という奇妙な物語が語られ、幻想的で詩的なナラティブが音楽と並走しており、〈STROOM〉の共同的な美学とも共鳴して聴き手の想像力を刺激する、聴く体験そのものが拡張されるような詩的でコンセプチュアルなアルバム。

(数量限定/日本語帯付き/ステッカー封入)1999年リリースされたエイフェックス・ツインの代表曲でもある「Windowlicker」は17分を超える怪作で、リチャード自身の顔を合成した不気味な女性キャラクターが登場するミュージックビデオは(再びクリス・カニンガムが監督)は大きな話題を呼んだ。トリッキーで複雑なリズム、妖艶なヴォコーダーボイス、甘美でありながら退廃的な旋律が一体となり、エレクトロニック・ミュージックの新たな表現領域を開拓した。ポップミュージックと前衛音楽の境界線を破壊し、クラブシーンとアートシーンを同時に魅了した、時代を象徴する名盤シングル!

(数量限定/日本語帯付き/ステッカー封入)1997年に発表され、世界中の音楽ファンを震撼させた一枚。表題曲「Come To Daddy」は、ノイズの塊のようなサウンドに歪んだシャウトが重なり、攻撃性と不気味さを極限まで高めた衝撃作。クリス・カニンガムが手掛けた悪夢的なミュージックビデオは当時のMTVで放送禁止となり、その映像と共にカルト的な人気を獲得した。他にもアンビエント、実験音響、ブレイクビーツ的要素を縦横無尽に盛り込み、リチャードの多面的な才能を提示。過激さとユーモアが紙一重で同居する、エイフェックス・ツインの“狂気の象徴”ともいえる作品。
インドネシアのミュージシャン兼プロデューサー、Bambang Pranotoによるプロジェクト、Banjar Teratai Capungによるオリジナルは2003年CDでリリースの静謐なアンビエント傑作『Tunggak Semi』がリマスター、初のヴァイナル・リイシュー!自然への瞑想的なまなざしをテーマに、アコーディオン、アコースティック・ギター、フルート、パーカッションなどを用いた穏やかで詩的なサウンドで、東洋と西洋の記譜法が交差する独自の作曲スタイルで、ジャンルを超えた世界のあいだの世界を描いている。DIY的なスタイルで制作され、物悲しくも懐かしい旋律と自然の美しさと喜びを反映したハーモニーが、深いノスタルジーをもたらす。ドン・チェリーやジョン・ハッセル、モノ・フォンタナなどの精神性とも共鳴する、静かで深い音の旅へと誘割れる一枚。

打楽器の旋律的な可能性にフォーカスした、Sarathy Korwarのパーソナルで内面的な作品『There Is Beauty, There Already』が、新たに立ち上げた自身のレーベル〈Otherland〉から登場。本作は、Peter GabrielのReal World Studiosでわずか4日間で録音され、ドラムを中心とした40分の組曲として構成されている。繰り返しに繰り返しを重ねるミニマルな構造は、インド民俗音楽の円環的なリズム、Max Roachのようなジャズ・パーカッション・アンサンブル、そしてTerry RileyやSteve Reichの現代音楽的ミニマリズムを思わせる音楽性で、タブラ、ガタム、バラフォン、マリンバなど様々な打楽器に加え、電子音が微かに重なり、常に流動し続ける川のようなリズムの旅が展開される。Floating PointsやShabaka Hutchings、Anoushka Shankarらとのコラボを経たKorwarが、キャリア10年の節目に放つ極めて純度の高い打楽器表現であり、ジャンルを越えて鳴り響く、反復と変化を讃える音による曼荼羅。

(数量限定/日本語帯付き/解説書封入)鬼才スクエアプッシャーが幻のアルバム『Stereotype』の再発盤を〈Warp Records〉よりリリース。
1994年にステレオタイプ名義でひっそりとセルフリリースされた知る人ぞ知る『Stereotype』は、当時若干19歳のスクエアプッシャーによる約1時間にわたる原初のダンスフロア・トラック群。海賊ラジオとレイヴ文化を燃料に生み出された、荒削りながらも爆発的なエネルギーを放つ初期音源が、ついにオリジナル・テープからリマスターされて蘇る。オリジナルでは無理やり1枚の12インチに収められていた音源を、2枚組LPとして新たにカット。〈Rephlex Records〉からのデビュー作『Feed Me Weird Things』(1996)と同時期に制作され、いわば“もうひとつのデビュー・アルバム”とも呼べる伝説的音源。スクエアプッシャーの原点を体現する本作はキャリアを語る上で重要な一枚である。
1973年から1984年にかけての未発表音源を集めた、天才ギタリスト新津章夫の貴重なベストアルバムがLP形式で登場。名作「I/o」(1978年)の制作過程から、無印良品BGM制作期、「PETSTEP」(1982年)、「ウィンター・ワンダーランド」(1985年)時代のデモ音源まで、幅広い時期の作品を収録。倍速ギターと多重録音による独創的なサウンドスケープは、今なお世界的な評価を受けています。Side-AとSide-Bの全12曲を通じて、新津章夫の実験的かつアンビエントな音楽世界を体験できます。J.S.バッハとジミ・ヘンドリックスの影響を受けながら、独自の音楽性を確立した彼の創造的なアプローチが、この作品集に見事に表現されています。重量300グラム。音楽史に残る重要な記録として、ファンはもちろん、実験的音楽に興味を持つリスナーにもお勧めの一枚です。
Side-A
1. From Eternity To Schaffhausen Information - Demo (未来永劫)
2. Thumpin (どんつく)
3. Heidelberg - Demo 1 - (ハイデルベルグ 1)
4. India style 02 - 1975 - (インディア 02 -1975-)
5. Ludwig II - Demo - (ルートヴィヒ2世)
6. The Earliest Overdub Demo (最初の多重録音)
Side-B
1. Forest Of Maze - Ideation and Testing - (迷宮の森 -インスピレーション-)
2. Shonan Wave Waltz (湘南の漣)
3. Black Hole - Before Effect Processing - (ブラック・ホール)
4. Mandalas Take 4 (曼荼羅 4)
5. Mandalas Take 1 (曼荼羅 1)
6. PETSTEP Original Version (PetSteP オリジナル)
プロフィール 新津章夫(1952-2002)
10代初めよりギターを弾き始め、J.S.バッハとジミ・ヘンドリックスを師とし、全ての奏法を極める。1976年、自室にプロ用ミキシング・コンソールを持ち込み、3年半かけ、エンジニアも含め全てをまったく独りで「I/o」(日本フォノグラム1978年)を完成させる。無印良品スタート(1980年)時に店内BGMを共に手掛け細野晴臣をアドバイザーに迎えた「Pet Step」(ジャパンレコード1982年)、「ウィンター・ワンダーランド」(スイッチレーベル1985年)を発表。1980年代半ば、音楽の世界から身を引く。「I/o」がギターマガジン(2017年8月号)「ニッポンの偉大なギター名盤100」に選ばれ、「和レアリック・ディスクガイド」(ele-king books 2019年)に「I/o」と「Pet Step」が取り上げられるなど評価され続けている。「I/o」発売当時、新津章夫は「今にコンピューターで音楽を創る時代になる。そんな時代がやってきた時、ギター1本とわずかな楽器でこんな馬鹿な音楽を創ったヤツがいたって笑ってもらいたいんだよね。でも、その未来のミュージシャンたちにギターと多重録音だけで、このアルバムと同じ音は絶対に作れっこないという自信はあるけどね」と、常々語っていたという。
フォークを土台にしながらも、サイケデリック、トロピカルなラテン音楽、ローファイ・ポップ、そしてヒッピー的な精神世界を溶け合わせた、とびきり自由で奔放な作品『Cripple Crow』。アシッド・フォークを21世紀にアップデートしたかのような、2005年に〈XL〉から発表されたデヴェンドラ・バンハートの名作は、「Freak Folk」や「New Weird America」といったムーブメントの先駆けとして、当時のインディ・フォークに大きな影響を与えた。今回、そのリリースから20周年を記念してデヴェンドラ自身の新レーベル〈Heavy Flowers〉から初の再発盤が登場。オリジナル2LPに加え、クリア・グリーン・スモーク仕様のボーナスLPを追加した全3枚組仕様。ボーナスLPには未発表デモ5曲、未発表ライヴ2曲、当時録音された埋もれた名曲1曲、そしてB面トラック1曲の計9曲が収録。デヴェンドラならではの子どもじみた無垢さと老成したスピリチュアリティが再び!

マルコによる福音書第16章17〜18節の記述、「信じる者には次のしるしが伴う。…彼らは蛇をつかみ、また、毒を飲んでも決して害を受けることはなく、病人に手を置けば、彼らは癒されるであろう」を文字通りに解釈し、神の言葉に対する絶対的な服従を証明するため、礼拝中に、信徒はトランス状態でガラガラヘビやマムシなど毒ヘビを手に持ったり、ストリキニーネなどの毒物を飲む。主にアメリカ合衆国のウェストバージニア州アパラチア山脈周辺に存在する、孤立した一部のホーリネス・ペンテコステ派の教会で行われる宗教儀式、ヘビ取り信仰を録音した貴重なドキュメント。グラミー受賞プロデューサーのイアン・ブレナンが完全ライブ・無修正で録音した本作は、ヒルビリー・ロック・ギター、トランス的なリズム、叫ぶようなヴォーカルが入り混じる混沌と熱狂が記録されている。過激な信仰と、その音楽に表れるワイルドで抑制のないプリミティブなロックンロールの根源を捉えた、異色の音響人類学的記録。〈Sublime Frequencies〉初のアメリカ音楽リリースとしても注目の一枚。

インドネシアの伝統音楽ガムランや大衆音楽ダンドゥットをベースに、ガバ、ノイズ、レイヴ、トランス、フットワークなどの欧米のダンスミュージックを融合したガムラン・ガバとも呼ばれる、超高速・超過激・儀式的なサウンドで知られるインドネシアのGabber Modus Operandiの共同創設者であるKasimynのソロ・プロジェクト、Hulubalangによるデビュー・アルバム『Bunyi Bunyi Tumbal』。Kasimynは、オランダ植民地時代の写真や戦争記録を長年にわたって閲覧し、そこに写る無名の犠牲者や歴史の周縁にいる人々に対して抱いた強い感情的反応を精神的な出発点として、「Tumbal(犠牲)」という概念を軸に、匿名的な痛みや怒りを儀式的なビート、断片的なノイズ、トライバルなリズムで表現し、歴史的暴力の記憶を身体的・感覚的に再現。視覚資料から生まれた感情を聴覚体験へと変換するかのように、聴く者の身体と記憶に直接訴えかける。歴史の中で声を持たなかった人々の存在を音によって可視化し、痛みと怒りをカタルシスとして昇華する、極めてラディカルで詩的な音響ドキュメント。

Moodymannによる2003年リリースの4thアルバムで、UKの〈Peacefrog Records〉からリリースされたデトロイト・ディープ・ハウスの名盤『Silence In The Secret Garden』が久々のヴァイナル・リイシュー。 ジャズ、ソウル、ファンクの要素を織り交ぜながら、内省的かつ官能的なブラックネスを表現した作品で、代表曲「People」や「Sweet Yesterday」を収録。 都市の孤独と美しさを音で描くような、詩的で深みのある音像は、ブラック・ミュージックの心と魂に深く迫る、極めてパーソナルかつスピリチュアルな旅路!
Visible Cloaksのスペンサー・ドーランによる「不確定性室内楽」プロジェクト、コンポニウム・アンサンブルの初リリース。紀元前に始まる自動生成音楽の概念をバーチャルスタジオ上で発展させ、未来の音楽構想と美的基準を先取りするかのような驚くべきサイバーヒューマンミュージック作品集です。
本プロジェクトは、古代ギリシャのアルキメデスに始まり、9世紀バグダッドのバヌー・ムーサー兄弟によって発展した自動演奏楽器の長い歴史から着想を得ています。後者は水圧を利用し機械的に制御されたフルートと先見性のあるプロト MIDI 構造を持つパンチカード機構という、プログラム可能な自動演奏のコンセプトを初めて完成させていますが、この機械的な音楽制作は、千年後、筐体それ自体で自動作曲できる「コンポニウム」という機械音楽システムを発明したディートリッヒ・ニコラス・ウィンケルによって偶然性の原理を用いて拡張されました。ドーランは《コンポニウム・アンサンブル》でこの系譜をさらに発展させ、デジタル技術で膨大な数の仮想楽器を自動化し不確定性の要素を導入する機能を活用することで、人間の衝動や恣意の限界を超えた仮想演奏者という「新たな形態の出現」に扉を開いています。このサイバーヒューマン・ミュージックともいえる形態の先駆者であるノア・クレシェフスキーに捧げられた『八つの自動作曲作品集』は、プリペアドピアノ、ハープシコード、チェレスタ、バスクラリネット、フルート、チェロ、バリ島のティンクリックなど、多岐にわたる楽器を複数の仮想アンサンブルで演奏しています。一見難解にみえる理論的基盤にもかかわらず、その音楽は聴きやすくかつ魅力的で、想像を超える広がりと新鮮さを持っています。軽やかなタッチと洗練された旋律感覚は、ポップスファンとクラシック/コンテンポラリー音楽のリスナーの双方に響くことでしょう。音源はドーランの長年のコラボレーターであるジョー・ウィリアムズ(Motion Graphics、Lifted)がミキシングを行い、音楽を視覚面から解説するハイパーリアリスティック・アートは日本のビジュアルアーティスト/グラフィックデザイナ ー、吉澤風生(Kai Yoshizawa)が担当。10インチ・レコード/CD/デジタルのリリースで、CDエディションにはカール・ストーンによるリミックスがボーナストラックとして収録されます。
=作品仕様=
+ DLコード付き
+ シュリンク封入、ステッカー
+ 解説:スペンサー・ドーラン、英語・日本語併記
TRACKS:
A1. ブロック(三台のプリペアド・ピアノと室内アンサンブルのための)
A2. エフロレッセンス(三台のボウ・チェンバロ、二本のバス・クラリネット、フルートとチェロのための)
A3. オートマタ(チェレスタ、グロッケンシュピールとスプリングタンク・ギターのための)
A4. ロージン(四本のギター、五本のチェロ、クラリネット、オーボエとボウ・ピアノのための)
B1. ダイニーマ(フルート・アンサンブル、ピアノとティンクリックのための)
B2. インスタニテイション (三台のプリペアド・ピアノ、弦楽四重奏と金管アンサンブルのための)
B3. エア(三本のバスクラリネット、一本のトランペットとスティールドラムのための)
B4. カイト(弦楽四重奏とティンクリックのための)


2017年に棄世されたフィンランド電子音楽の巨星であり、Pan Sonicでの活動も広く知られる鋼鉄の漢、Mika VainioがØ名義名義で残した最後の作品『Sysivalo』。2017年の逝去直前まで制作していた未発表の素材をもとに、Rikke Lundgreen と Tommi Grönlund が遺されたメモに基づいて仕上げたもので、まさに遺作と呼ぶにふさわしい一枚。全20曲、約60分にわたる構成は、Ø名義の作品の中でも特に短い楽曲を連ねたエチュード形式を採用しており、断片的ながら連続性をもった音のスケッチ集のように展開する。ビートのない楽曲が多くを占め、電子音やドローン、残響の中に細やかな旋律や音響的な陰影が浮かび上がり、静止した時間や感情の余白を強く意識させながら、ノイズや低周波が持つ物質感と、儚いメロディのきらめきが共存する、Vainioの音響的探究の到達点。特に、彼の最も美しい作品のひとつと評される最終曲「Loputon(Endless)」は、透明感と静謐さをたたえた楽曲で、まるでレクイエムのようにVainio のキャリアにおける理想的な結びとなっている。
オリジナルは1970年リリースの、ブリティッシュ・アンダーグラウンドの中でもひときわ異彩を放つ、Third Ear Bandのセルフタイトル・アルバムがリイシュー。68年に機材を盗まれるという不運をきっかけに、全てアコースティックでやるという方向に舵を切り、電化サイケ全盛の時代に逆行するような独自の道を歩み始めた。編成はリーダーのグレン・スウィーニーのハンドドラムに、ポール・ミンズのオーボエやリコーダー、リチャード・コフのヴァイオリン/ヴィオラ。そこから生まれる音は、インド音楽のラーガと室内楽の響きを掛け合わせたようなもので、グルーヴではなく漂うようなリズムに、旋律が絡み合いながら反復し、徐々にトランス状態を形づくっていく。カウンターカルチャーと直接結びつくわけではなく、むしろそこから距離を取ったがゆえに、よりストイックで孤高の響きを放っている点が特徴的。アコースティック・サイケデリアの到達点を打ち立てたとも言える本作は、後年のPopol VuhやTräd, Gräs och Stenarといったグループにもつながる、電気を使わないサイケデリックの系譜を示す一枚となっている。

タカオが長い月日をかけた待望のニューアルバムを携えて帰ってきた。『The End of the Brim』は、普遍的な聴きやすさを理想に掲げ、前作『Stealth』の抽象的エレメントから一転、具象的強度をもった曲、しなやかなリズム、メロディーの展開、洗練されたハーモニーに焦点を合わせている。タカオの未来を見据えたビジョンは、本作を他に類を見ないタイムレスな作品へと昇華させ、ポップミュージックの可能世界を示す。この不思議な「非絶対音楽」的アルバムを解読した柴崎祐二の解説も必読!
『Stealth』(2018年)、同作をセルフ・リメイクした『Stealth (Gold Edition)』(2021年)に次ぐ通算3作目、完全新曲では2ndアルバムとなる『The End of the Brim』は、『Stealth』発表直後に着手されました。小品を組み立てたトータルピースである『Stealth』と風景の違う、一曲一曲が強度をもち自立してもいる世界を構想したタカオは、自分にとってこれまでにない試みのため協力者を必要とし、DJのeminemsaikoをスーパーバイザーに起用。このチームでトライ&エラーを繰り返していく過程で、堀池ゆめぁ(「Music Room」)、クリステル・ベレ(「Fall」)、カラード・ミュージックの藤本敦夫(「Main Theme」)をヴォーカリストに迎え、ミツメの川辺素、細野晴臣やムーンライダーズ等の仕事でも知られるエンジニア、原口宏も加わってアルバムは精妙に彫刻されていきました。『The End of the Brim』は、形式上は音楽家の個人的なものを表明するはずの「ソロ」アルバムですが、その表明の様式は直接的なものではなく、そこには委嘱作を請け負うコマーシャルな職業音楽家へのオマージュというタカオのユニークな意志が埋め込まれています。ゆえに本作は、音楽理念を職業音楽家=客観的な遂行者という一種の概念を介して記述しようと試みた「自身が発注者でありその発注者であるところの自身を表明する標題音楽」といえるような二重・三重の手順を踏んだ重層的な作品です。皆さんの未来の密やかな愛聴作になることを願ってやみません。本作の装丁画は大谷透、デザインを坂脇慶が担当。
=作品仕様=
+ 12インチVINYL、高音質プレス
+ DLコード、インサート付き
+ 解説:柴崎祐二、英語・日本語併記
+ シュリンク封入+ステッカー
TRACKS:
Side A
1. Long
2. Mar
3. Music Room (歌詞と歌:堀池ゆめぁ)
4. ARP
5. SPE
Side B
1. Images
2. Fall (歌詞と歌:クリステル・ベレ)
3. CF
4. Main Theme (歌詞:川辺素、歌:藤本敦夫)
5. The End of the Brim

オーストリア系エチオピア人のハーピストMiriam Adefris、英国サックス奏者Isaac Robertson、パーカッショニストDillon HarrisonによるトリオFlurのデビュー作『Plunge』が〈Latency〉より登場。本作はロンドンの即興シーンに育まれた繊細かつ広がりのある音の対話で、ハープ、サックス、打楽器という独自の編成を通して、フリー・ジャズ、アンビエント・ジャズ、現代音楽の要素が有機的に交錯する、静かに高揚するような一枚。即興と構築されたパートがスムーズに入り混じり、Alice ColtraneやKaija Saariaho、Azimuth、Angel Bat Dawidなどの影響を感じさせる一方で、音の余白や間合いにおいては〈Latency〉レーベルらしい親密さと抽象性が光っている。スピリチュアル・ジャズに、室内楽の繊細さを注ぎ込んだ、祈りにも似た三者の対話!

25年の時を経て輝きを増す、異端のポスト・ロック金字塔!2000年にリリースされたThe Mercury Programによる『From The Vapors of Gasoline』が〈Numero〉より再発。本作は、当時のポスト・ロックの文脈にありながらも、それとは一線を画すサウンドを確立しており、ルイヴィル、シカゴ経由の90年代後半のポスト・ロックの熱が冷めつつあった中、ヴィブラフォンを大胆にフィーチャーし、ギター主体の構造から離れたアプローチで独自の音響世界を切り開いた。ポスト・ハードコア的な緊張感とニューエイジや現代音楽的な静謐さを同居させた構成美が魅力的で、時間の流れに寄り添うような滑らかな展開と、瞬間的に鋭く切り込むような不協和の挿入があり、聴くたびに新しいディテールが浮かび上がる。リズムセクションはあくまで有機的でありながら、構築的でもあり、トリオ編成の限界を超えた広がりを感じさせるアンサンブル。今回の再発のリマスターでは、繊細な音の階層がより明瞭に浮き上がり、当時のプロダクションでは聴き取りにくかったハーモニクスや残響のニュアンスが豊かに表現されている。
弊店でも大人気のLA拠点の実力派ベーシスト/作曲家、Sam Wilkesの自主レーベル〈Wilkes Records〉のTシャツです。ボディはHanes Beefy Tee。
The Trilogy Tapesを代表するユニット、メルボルンを拠点とするConrad Standish と Sam Karmel によるCS + Kremeの2作目『EP #2』がめでたくも2025年リプレス。本作は、2016年のデビュー作『EP #1』と対をなすように構成された作品で、ダウンビートの枠を越えて、アンビエント、アブストラクトなソウル、DIYフォークやニューエイジ的要素をも取り込み、独自の引き算の美学で練り上げられた楽曲群が並ぶ。シンプルに削ぎ落とされた音像が漂い、呼吸し、夢と現実の境界を漂うような世界観を築き上げており、ハイライトのひとつ「Roast Ghost (Swimming Thru The Pillars Mix)」は、808の脈動と深くうねるベース、そしてConradの声がろうそくの灯のように揺れながら9分間を染め上げる陶酔的なトラック。HTRKの Nigel Lee-Yang を迎えた「Whip」ではギターの旋律が陰影を加え、終盤の「Portal」では、しなやかなベースと鍵盤、コンガ、そしてJack Doepelのサックスが加わり、The Necks や Bohren & der Club of Gore を想起させる広大なパノラマを描き出す。全体を通して、冷ややかなシンセの揺らぎや、光沢を放つ音の粒、神秘的なリズムが組み合わさり、どこでもない場所で鳴っているような、超現実的で映像的なサウンドを形作っている。『EP #1』と並んでCS + Kremeの美学を決定づけた作品であり、メランコリックな美しさをたたえた現代クラシックとして、長くリスナーに愛されている一枚。

ベトナム中部高原に暮らすJarai、Bahnar、Ede、Rơngaoなどの少数民族による伝統音楽を収めたコンピレーション・アルバム『Music From the Mountain People of Vietnam』。Jarai、Bahnar、Ede、Rơngaoといった民族の伝統的な演奏を、現地でのフィールド録音によって収録した本作は、旋律や構造よりも、音色の揺らぎやリズムの呼吸に重きを置いており、極めて素朴でプリミティブだが鮮烈な印象を残す。収録されているのは、竹製打楽器や弓琴、銅鑼、ギター、そして声といった限られた音素材による演奏で、シンプルでありながらその響きは驚くほど豊か。まるで山間の集落に流れる時間そのものを聴いているかのような空気は、音楽というよりも音の営みに近く、耳を澄まさなければ聴こえないような静かな音は、都市の喧騒から離れ、音楽の原初的な力に触れたいと願うリスナーにとって、耳で旅するための最良のパスポートとなっている。これまでも、ミャンマー、ラオス、インドネシアなどアジア各地のローカル音楽を記録してきた〈Sublime Frequencies〉による、ベトナムの少数民族文化に深く踏み込み、消えゆく音の風景を丁寧に掬い取った一枚。現地に溶け込んで撮られた写真と詳細なライナーノーツが付属し、音だけでなく背景にある生活や文化への理解も促してくれる構成となっている。

(数量限定/日本語帯付き/解説書付き)エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムス。若くして「テクノモーツァルト」の称号を得たエレクトロニック・ミュージック界の最高峰であり、誰もが認める〈WARP RECORDS〉の看板アーティストである彼が、ポリゴン・ウィンドウ名義で発表され、エレクトロニック・ミュージックの歴史を変えた伝説のアルバムが帯付き盤LPで待望のリイシュー決定!
1992年、〈WARP〉がリリースした革新的コンピレーション『Artificial Intelligence』の冒頭を飾ったのは、エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムスによる「Polygon Window」という楽曲だった(ただし同作ではThe Dice Man名義)。そして翌1993年、若くして“テクノ・モーツァルト”と称された彼が〈WARP〉から初めてリリースしたアルバムこそ、エイフェックス・ツインではなくポリゴン・ウィンドウ名義で発表された伝説的作品『Surfing On Sine Waves』である。当時22歳のリチャードによって生み出された本作は、エレクトロニック・ミュージックのその後の方向性を大きく変える画期的なアルバムとなった。アルバム・タイトルはリチャード自身の発言をもとにRob Mitchellが選定したもので、UKダンス・チャートでは初登場2位を記録。同年には続編としてEP『Quoth』もリリースされ、表題曲のほか、このEPで初登場となる楽曲も収録された。
そして2025年、32年の時を経て登場する『Surfing On Sine Waves (Expanded Edition)』は、オリジナル・バージョンのアルバムとEPをひとつにまとめたエクスパンデッド・エディションとしてリリースされる。
