NEW ARRIVALS
1195 products
デンマークのトランペッター Hugh Steinmetz と Franz Beckerlee らによる Contemporary Jazz Quintet が1967年に録音しながら未発表のまま眠っていた音源を初めて公式にまとめた『Action A B C E』。1965リリースの名盤『Action』の続編にあたる内容で、ヨーロッパ最初期のフリー・ジャズ、フリー・インプロヴィゼーションの生々しいエネルギーがそのまま刻まれている。鋭い集団即興、緊張感のあるアンサンブル、そして Steinmetz の爆発的なトランペットがぶつかり合う、1960年代北欧アヴァンギャルドの失われたピースとも言える歴史的発掘。

ギリシャを拠点に活動する音楽家、ヴォーカリストで、クラブ・カルチャーと実験音楽の境界を横断する作品を発表してきたEvita Manjiが、個人的な喪失体験を背景に「存在の意味」を問い直す、哲学的なテーマを持つアルバム『Spandrel?』を〈PAN〉からリリース。ヴェイパーウェイブの空気感、バロック・ポップの構造美、実験的サウンドデザインを組み合わせた複雑な音響で、人間の身体性や感情の断片を再構築。クラブ的なリズムの強度と、室内楽的な緻密さを行き来しながら展開し、喪失と再生、孤独と相互接続性といった二項対立を音楽的に表現している。哲学的な問いを音響化した存在のドキュメントともいうべき深みのある一枚。

ノイズ・ロックバンドLANDEDの創設メンバーとして知られるJoel KyackのDREAM_MEGA名義による2ndアルバム『Control / You Are Not The Center』。2020年、タイ滞在中に体験した臨死体験を契機に始動したプロジェクトの続編であり、恐怖・悲しみ・生存への渇望といった極限の感情を、電子音と肉声の衝突として刻み込んだ作品。地の底で唸るようなサブベース、金属的な残響、ざらついたノイズの粒子が重なり、クラブの残響だけが残ったような抑制されたビートが意識の奥に鳴り響く。古代の木管楽器とデジタル・シンセが対置され、変異した行進曲や呪術的なダンスホールの影のようなリズムが儀式的な緊張を生む。叫びとも祈りともつかない声の断片が電子音の荒野に影を落とし、恐怖と陶酔が同時に立ち上がる。インダストリアル、ノイズ、エクスペリメンタルが混ざり合う漆黒の音響儀式。

アメリカ出身の作曲家 John McGuire が晩年に取り組んだ二つのストリング・トリオのための作品をまとめたアルバム『Double String Trios』。二組の弦楽三重奏が精密に重なり合い、ミニマル・ミュージックの反復性とヨーロッパ前衛の構築性が滑らかに融合していく。電子音楽の研究で培われた精密な時間感覚がアコースティック楽器に応用され、透明で結晶のような響きが持続しながら、絶えず微細な変化が生まれている。緻密でありながら温度を感じる独特の音世界は、時間・響き・構造が多層的に折り重なる、現代音楽の中でも特に静謐で美しい結晶のような音楽!

限定200部ナンバリング入り、クリアヴァイナル仕様。イタリア・アンビエントの巨匠 Gigi Masinによる静謐で内省的なアンビエント作品『Implodendo in una accecante oscurità Pt. 2』。Masin のロマンティックなメロディよりも静的・瞑想的な側面が強調された作品で、柔らかなドローン、かすかに残るピアノの残響、微細な音の揺らぎが重なる音響は、タイトルが示すように「眩い闇の中で内側へと崩れ落ちる」かのよう。Lumen(光)と名付けられた連作で構成された、光と闇の境に目を凝らし、聴く者を深い内省へと誘うアンビエント・スイート。Pt.2ではLumen 06〜10が収録され、Pt.1 の世界を引き継ぎつつ、ピアノや声、サックスのような有機的な要素が時折浮かび、闇と光が統合されるような印象も受ける。

限定200部ナンバリング入り、クリアヴァイナル仕様。イタリア・アンビエントの巨匠 Gigi Masinによる静謐で内省的なアンビエント作品『Implodendo in una accecante oscurità Pt. 1』。Masin のロマンティックなメロディよりも静的・瞑想的な側面が強調された作品で、柔らかなドローン、かすかに残るピアノの残響、微細な音の揺らぎが重なる音響は、タイトルが示すように「眩い闇の中で内側へと崩れ落ちる」かのよう。Lumen(光)と名付けられた連作で構成された、光と闇の境に目を凝らし、聴く者を深い内省へと誘うアンビエント・スイート。
2025年に韓国の女性SSW・HERHUMS(ハーハムズ)の3作目のアルバムがデジタルのみでリリース。デジタル配信半年後に京都のGG RECORDSからレコードとしてリリースする運びになりました。最初に聞いた時KIMBANOURKが思い浮かんだサウンドにドキドキしました。ジャケットのような淡い彼女の世界に連れて行ってくれるアルバムに、25年のベストの1枚に入れる方もチラホラ見られました。日本語訳をつけたいという彼女の希望から歌詞と翻訳された歌詞カードをつけてます。また、今回はエンジニアの甲田徹氏によりレコード用にマスタリングもし直してます。

〈Melody As Truth〉主宰として、そしてGaussian Curveのメンバーとしてアンビエント、バレアリックの現在を形作ってきたJonny Nashが、より内省的な領域へと踏み込んだアルバム『Point of Entry』。柔らかなギターのアルペジオと淡いシンセのレイヤーが静かに呼吸し、音が空気そのもののように空間へ溶けていく。バレアリックの開放感と、室内楽のような親密さが同時に漂う。Joseph Shabason のサックスが差し込む瞬間も美しく、アンビエントの透明感に人肌の温度が重なる。Nashの音楽が持つ静けさの深さを純度高く感じられる、静かに内側へ向かうアンビエント・フォーク。

ベルリンのアンビエント作家Florian TM Zeisigが、2022年から2025年にかけて、さまざまな状況で録られた複数のコラボレーターから寄せられた断片的な素材を集め、選び、並べ替え、長い時間をかけて再配置しながら、アンビエントジャズからドリームポップまでも横断させた作品『The Thinking of the World Began Pounding in Our Ears the Moment We Hit Shore』が、カルト的なキュレーションに舵を切った実験的レーベルである〈STROOM.tv〉から登場。作曲、録音、編集、アレンジ、ミックスといった工程が明確に分かれることなく、すべてが連続した作業として扱われたことで、個々の音が別々の場所から集まってきたにもかかわらず、最終的にはひとつの流れとして聴こえる構造になっている。参加メンバーにはMoreEaze名義でも知られるMariRubioをはじめ、RóisínBerkeley、DonLyons、CalFish、K、SeánBeing、JQなどが名を連ね、各曲の共同作曲クレジットも明記されている。声や電子音、環境音の断片が重なり合う静かな音像を中心にして、素材の組み替えを通して少しずつ形を変えていくような、スタジオ制作ならではの質感が作品全体を支えている。断片が集まり、時間をかけて磨かれ、別の文脈へ置き換えられながら、ひとつのまとまりへと収束していく、その過程そのものが刻まれた一枚。

LAの音楽家で、Build An Arkや多くのコラボレーションで知られるCarlos Niñoが鈴、ボウル、チャイム、各種ドラム、ゴング、金属・木製キーボード、植物の葉束、シェイカー、声など膨大な種類の楽器・音具を自ら演奏し、サウンドデザインまで手がけた作品『Bubble Bath for Giants』。自然物の響きと宇宙的なアンビエンスが溶け合う、瞑想的で有機的なサウンドで、水面の揺らぎのような柔らかい音、倍音豊かな金属音、木の温度を感じるパーカッションが重なり、ゆっくりと呼吸するように音が広がっていく。儀式的な打楽器のリズムと、風のようなシンセやささやく声が混ざり合い、スピリチュアル・ジャズとアンビエントの境界を漂うような質感を生み出している。多彩な打楽器と倍音のレイヤーが深いリラクゼーションと覚醒感を同時にもたらす、Carlos Niño & Friendsの世界観をじっくり味わえる一枚。

日本のポストロック/エクスペリメンタルを代表するMONOのデビュー作『Under The Pipal Tree』が、リリース25周年を記念して〈Temporary Residence Ltd.〉から限定再発。オリジナルはジョン・ゾーン主宰の〈Tzadik〉からリリースされ、ソニック・ユース、モグワイ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニール・ヤングなど多彩な影響を受けた若き4人組が、野心的で激しいパフォーマンスを刻んでいる。MONO初期の代名詞ともいえる 静寂から轟音へと一気に駆け上がるダイナミクス、深い残響とドローンが織りなす瞑想的でサイケデリックな音像、そして後年のシンフォニック路線とは異なる 生々しいギターの熱量が魅力的。長尺の反復がじわじわと熱を帯び、ギター・フリークアウトが静寂へと溶けていく構成は、デビュー作にしてすでにMONOの核が形成されていたことを物語っている。バンドのサイケデリックな初期衝動がそのまま刻まれた、原石感あふれる作品。

フィンランドの名門〈Timmion Records〉が誇るハウスバンド、Cold Diamond & Minkが、同レーベルの看板シンガーEmilia Siscoの人気シングルをインストゥルメンタルとして再構築した7インチ作。しなやかに揺れるリズムと、深みのあるベースが主役の ヴィンテージ・ソウル・グルーヴ。Emiliaの歌が抜けたことで、ホーン、ギター、オルガンの細かなニュアンスが前面に浮かび上がる。B面「It Will Get Better (Instrumental)」など、コードの移り変わりが美しく、歌がなくても物語が進む、バンドの職人技を純粋に味わえる。70年代ソウルの空気をそのまま閉じ込めたような、レーベルの美学を堪能できる一枚。

1960年代後半にノースカロライナ州ハイポイントで結成された名ソウル・グループThe Barrino Brothersが、1969年にデトロイトの〈TCB〉からリリースしたレア・シングルが、待望の再発。60年代末デトロイトらしいタイトなリズムとソウルフルなメロディが際立つミッドテンポ・ソウル「Just A Mistake」と、ゴスペル的な熱量とデトロイト・ソウルの硬質なグルーヴが混ざり合う圧巻のディープ・ソウル傑作「I’ll Take My Flowers Right Now」を収録。

限定カラーヴァイナル仕様、最終入荷です。Delvon Lamarr Organ Trio の魅力をもっともダイレクトに味わえる、シアトルのラジオ局 KEXP に出演した際のスタジオ・ライブを収めた作品『Live at KEXP!』。Hammond B‑3 オルガンを操る Delvon Lamarr、ブルージーで切れ味鋭いギターを聴かせる Jimmy James、タイトなグルーヴを刻む David McGraw のトリオが、60〜70年代のソウル・ジャズやオルガン・ファンクの精神を現代に蘇らせるように、熱量の高い演奏を繰り広げていく。Curtis Mayfield「Move On Up」のカバーをはじめ、長尺のジャムや即興的な展開が次々と飛び出し、スタジオ録音とはまた違うライブならではの勢いと躍動感が全編を貫いている。オルガン・ソウルの醍醐味を凝縮したライブ盤。

NYC発のバンドSay She Sheの最新作からフロア映えする2曲を抜き出した強力な7インチ。グループの代名詞である3人のハーモニーが大きく広がり、ファンクのベースラインが全体を強く前へ押し出すキラートラック「Cut & Rewind」とストリングスやホーンが煌めくアップビートなディスコ・ファンク「Disco Life」を収録。70’sディスコの質感を現代的にアップデートしたディスコデリックなサウンドが際立つ、Say She Sheの個性が凝縮された一枚。
シカゴ・ソウルのレジェンドSyl Johnsonが1980年代後半に残したプライベート・プレス音源から、「Tripping On Your Love」と「Foxy Brown」の2曲をカップリングした7インチが〈Numero〉より登場。跳ねるベースと軽快なシンセが牽引する ブギー×ステッパーズのダンス・ソウル「Tripping On Your Love」と、タイトなリズムと粘りのあるグルーヴが続き、しっとりした熱気を帯びたモダン・ソウル/ブギー「Foxy Brown」を収録。

ロサンゼルスのジャズ・シーンで頭角を現すマルチ奏者Aaron Shawのデビュー・アルバム『And So It Is』が〈Leaving Records〉から登場。骨髄疾患という深刻な診断を受けた直後に制作されたという強い個人的文脈を背景に、静けさとサイケデリアの間を行き来するような作品で、ウェストコーストのジャズ・ミュージシャンたちがその音像を支えている。柔らかなサックスのブレスと淡いエレクトロニクスが重なり、スピリチュアル・ジャズとアンビエントの境界を漂うような音世界を形成。重い文脈を持ちながらも、LAジャズ特有の開放感が差し込み、祈りのような静けさと再生への意志が同居する。シネマティックな構成で、曲ごとに心の旅路が描かれるような深い精神性と静かな光を湛えた一作。

廃盤。ナッシュビルを拠点に活動するペダルスティール奏者Luke Schneiderが、〈Third Man Records〉での2作を経て〈Leaving Records〉から初めて発表する、ペダルスティールとエフェクトのみを用いた 牧歌的アンビエント/ドローン作品『For Dancing In Quiet Light』。テネシーの田園風景やLou Reedの「Hudson River Wind Meditations」からの影響を受けた収録曲はいずれも長尺のアンビエント・ドローンで、ペダルスティールの滑らかなサステインが空間に溶け、光がゆっくりと揺れながら漂うような音像を描き出す。メロディよりも質感が前面に出る構成で、タイトルの通り、身体がわずかに揺れるようなリズムの気配があり、完全な静寂ではなく、微かな運動が音の奥に潜んでいる。静寂と温かみが同居した、穏やかで内省的な一枚。
テープループとエディット技法を駆使し、Instagramで10万人近いフォロワーを持つアーティストBlankFor.msことTyler Gilmoreの待望のフル・アルバムが〈Leaving Records〉から登場。本作は、ジャズの初期経験やハウス、ドラムンベースへの愛情を背景に、テープループの不完全な循環性を時間の瞑想のメタファーとして扱うコンセプトで構築。テープの揺らぎや劣化をそのまま活かしたローファイな質感で、ピアノの断片、環境音、ノイズ、微細なビートが重なり、霧の中で記憶を拾い集めるような曖昧な音世界を形成する。抽象的ミニマルハウスとフォギーなアンビエンスが断片的にも関わらず強い物語性を生んでいる、印象に残る一枚。
MAJESTIC ARROWSの唯一作、シカゴのスウィート・ソウルの隠れた名盤『The Magic of The Majestic Arrows』が〈Numero Group〉よりめでたくも50年ぶりに再発!オリジナルは70年代にArrow Brown自身のレーベル〈Bandit〉から発表したもので、制作はシカゴ・ブロンズヴィルの彼の拠点にて。そこは自宅であり、ハーレムであり、地下スタジオでもあったという、まさにDIY精神が詰まった空間だった。50年代ドゥーワップのストリート感と70年代ソウルの豊かなストリングスが交差するような仕上がりになっている。歌っているのは彼の10代の娘Tridiaと、The Moroccosのファルセット使いLarry Brown。バックはChosen FewとScott Brothers、アレンジはBenjamin Wright、ジャケットはThe WindのEugene Phillipsが担当。個人的でいてどこか魔法めいた響きを持つ、まさにソウル史の知られざる宝石のような一枚。

TVAMことJoseph Oxleyが喪失と向き合いながら、自身の表現を根本から見つめ直すことで生まれた『Ruins』。創作から意図的に距離を置いた時間を経て、Oxleyは喪失は何もなくなることではなく、その後の自分の感じ方・考え方・世界の捉え方を根本から変えてしまうことだという視点にたどり着く。ここでは希望と絶望、語られることと語られないこと、公の顔と内側の真実といった緊張が交差し、TVAMがこれまで扱ってきたテーマがより深く掘り下げられている。ポストパンクとシンセウェイヴの冷たさに、エモーショナルな熱が宿り、喪失の痛みと、その中に潜む奇妙な美しさを同時に描くことで、暗闇の中に微かな光を見つけるような感覚が続く。シネマティックな陰影を帯び、瓦礫の中に差し込む光のような一枚。

(数量限定/日本語帯付き/解説書封入/ホワイト・ヴァイナル)音楽史を紐解く際において欠かすことのできない説明不要のアイコン、キム・ゴードンが、3作目のソロ・アルバム『PLAY ME』を〈Matador Records〉からリリース。
2019年に発表されたキム・ゴードンのソロ・デビューアルバム『No Home Record』は、彼女がいまなお最前線のサウンド感覚を保ち続けていることを証明する作品だった。アヴァン・ラップやフットワークを取り込み、音によるコンセプチュアル・アートとして再構築されたその作品は、彼女の現在地を鮮やかに示していた。続く2024年の2作目『The Collective』は、さらに重厚で、より大胆な一作となり、持ち物リストと怒りのラップを融合させたインダストリアルな轟音が支配する「BYE BYE」を筆頭に、2部門でグラミー賞ノミネートを果たした。間髪入れずに届けられた『PLAY ME』では、彼女ならではのやり方で、億万長者階級がもたらした「巻き添え被害」が処理されていく。民主主義の解体、テクノロジーや専門家がすべてを決める社会がたどり着く息苦しい管理体制や、AIによって「心地いい雰囲気」だけが量産され、文化が均されていく感覚−−そこでは、ブラックユーモアが現代社会の不条理を語り出す。しかし、その視線がしばしば外側へ向けられているにもかかわらず『PLAY ME』は本質的には内省的なアルバムでもある。高まった感情の振幅がフィジカルなジャムの中で脈打ち、断定的なメッセージを拒みながら、問い続ける姿勢そのものを原動力として、常に完成形にとどまることなく、変化し続けている。
『PLAY ME』は研ぎ澄まされ、即効性のある作品であり、キム・ゴードンのサウンド・パレットを、よりメロディックなビートや、クラウトロック特有の機械的な推進力へと拡張している。ロサンゼルスのプロデューサー、ジャスティン・ライセン(チャーリー xcx、スカイ・フェレイラ、イヴ・トゥモア)との継続的なコラボレーションについて、キム・ゴードンはこう語る。「曲は短くしたかった。とにかくスピーディーに作りたかった。よりフォーカスされていて、たぶん前作よりも自信に満ちている。私はいつもリズムを起点に曲を作るタイプだし、今回は前作以上にビート重視の作品にしたいと思っていた。ジャスティンは私の声や歌詞を本当によく理解していて、私のやり方も分かっている。その感覚が、このアルバムではさらに強く表れていると思う」。『PLAY ME』に通底する、現実が際限なく掘り下げられていくようなコラージュ感覚、ピッチシフトされたヴォーカル、不穏な不協和音のレイヤーのなかにあっても、彼女の楽曲は、私たちを気晴らしによって思考停止へと追い込もうとする世界に、はっきりと注意を向け続けている。「正直に言うと、いちばん影響を受けたのはニュースだった」と彼女は語る。「いま私たちは、ある種の“ポスト帝国”的な時代にいて、人があっさり消えてしまうような世界にいる」。これは『PLAY ME』収録曲のひとつのタイトルとも呼応する発言だ。

フランコ、グラン・カレ、ドクター・ニコと、数多の伝説的な偉人たちに彩られたコンゴ音楽。彼の地の音楽への深い愛情と確かな審美眼で、超高内容の作品を復刻する〈Planet Ilunga〉より、コンゴ音楽の「神」と称されるギタリスト、Franco Luambo Makiadiと彼が率いたO.K. Jazzによる、キャリアの重要な移行期を捉えた貴重な2枚組LP。フランコが1968年に設立した自身のレーベル〈Les Editions Populaires〉のために録音された、1968年から1970年にかけての音源をコンパイル。フランコの特徴であるグルーヴ感あふれるギター・ソロと、複数のギターが絡み合う複雑で催眠的なアンサンブルがすでに確立されており、ルンバの持つ切ないメロディと洗練されたダンス・リズムが際立っている。後の全盛期と比べて簡潔だが、クリティカルな極めて質の高い音源となっている。心地よさの中に黒人音楽の奥深い本質を見ることができる、永遠のクラシック。

マリを代表する国営オーケストラSuper Biton de Ségouが残した歴史的録音をアーカイブした編集盤。バンバラ王国の旧都セグーを拠点に、1960年に前身となるOrchestre Régional de Ségouとして結成。政府主催のコンペティションで幾度も優勝し、1976年にはマリ初の国立バンドへと昇格。200曲以上のレパートリーを持っていたとされ、本作はその中から1970年から1980年までの間に録音され当時LPやカセットとしてリリースされていたという音源を、Modibo Diarra、Mama Sissoko、Aboubacar Kissaら生存メンバー3名が選曲し、丹念にリマスターしたもの。伝統的なバンバラ音楽を基盤にしながら、エレキギターやホーンを加えて力強く現代化したもので、アフロ・キューバン、ルンバ・コンゴレーズの影響も織り交ぜ、独自のバンバラ大衆音楽を創造しようとする意気込みが鮮烈に伝わる。70年代アフロ・モダンの洗練された宝石のような音楽の数々。
