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シアトル発の人気ソウルジャズ・トリオDelvon Lamarr Organ Trioによる、『I Told You So』期のセッション音源と、次回フルアルバムへとつながる最新の雰囲気を同時に味わえる、約4年ぶりの完全新曲を収録した7インチ。A面「Chicken Leg」は、Delvonのオルガンが跳ね、Jimmy Jamesの鋭利でファンキーなカッティングギターが絡み、Grant Schroffのドラムが深いポケットを刻む、超ファンキーなソウルジャズ・グルーヴ。60〜70年代のオルガン・トリオの伝統を継ぎながら、現代的なドライブ感にあふれた一曲。B面「If I Could」は一転してスロウで情感豊かなソウル・バラード。オルガンの温かいトーンと、ブルージーなギターのフレーズがじっくり沁みる、夜のムード漂うスロウ・ジャム。両曲のコントラストが美しく、トリオの表現力の幅をそのまま感じられる一枚。

シカゴを拠点に活動した独学の作曲家で、ピアノを中心に膨大な量の楽曲を書き、自分の頭の中にある物語世界を音楽で表現していたアウトサイダー作曲家 Charles Joseph Smith。子どもの想像力と大人の作曲技法が混ざったような独特の世界観を持ち、音楽業界やアカデミックな世界の外側で誰にも知られることもなくひたすら自分の世界を作り続けた彼の、特に異彩を放つ楽曲をまとめた決定的アーカイブ『Charles Joseph Smith – Collected Works and War of the Martian Ghosts』。クラシック、SF、ミニマル、電子音楽、そして彼独自のストーリーテリングが混ざり合う非常にユニークな音楽性で、伝統的なクラシックの語法をベースにしながらも、構造は独特で、反復や奇妙なフレーズが続く。どこか懐かしく、しかし奇妙に歪んだ音の風景はどこにも属さない個人的なもの。頭の中の宇宙をそのまま音にしたような、唯一無二のアウトサイダー作品。

Kassel Jaeger、Stephan Mathieu、Akira Rabelais ら現代音響からサウンドアートにおける重要人物3名によるコラボレーションで、トーマス・マン『魔の山』から着想を得た聴覚による山岳巡礼『Zauberberg』。スイスの山中に残る記憶と気配を音で辿るというコンセプトで、小説の舞台であるスイス・ダヴォスの Schatzalpでフィールド録音を行い、その素材をパリのGRMスタジオで再構築している。風の流れ、建物の残響、木々のざわめき、空気の密度を閉じ込めた録音素材と遠くで誰かが弾いているような楽器の音、電子音の微細な揺らぎを重ね合わせ、現実の風景と記憶の影が溶け合うような音の地層を形作る。Jaeger の音響彫刻的な構築、Mathieu の柔らかいテクスチャ、Rabelais の幽玄で夢のような処理が自然に融合した、聴き進めるほどに、霧の中の道をゆっくり登っていくような、静かで深い没入感が広がる音響芸術。

Funkadelicの2ndアルバムで、デビュー作からわずか数か月後に発表された、ロック、ファンク、サイケデリアを融合し始めた初期の重要作。10分超の表題曲を筆頭に、フィードバック・ギター、エフェクトまみれのヴォーカル、空間を歪ませるオルガンが渦巻く、サイケデリック・ファンクの極北と呼べる内。LSDを用いたマラソン・セッションで制作されたという逸話が有名で、混沌と恍惚が同居するそのサウンドは、Eddie Hazelのロック的なギターと、ファンクのグルーヴがせめぎ合う、初期P-Funkならではの衝撃的なもの。サイケデリック・ロック、ファンク、P-Funkのルーツを辿るうえで欠かせない、歴史的マスターピース。
PC Musicの中心人物にしてハイパーポップの父、A. G. Cook による、Charli XCX主演のモキュメンタリー作品映画のオリジナル・スコア『The Moment』。全10曲は、Cookが得意とする 硬質なエレクトロニックと、緊張感のあるシンセのうねりを軸に、クラブ・トラックの推進力と映画音楽としての陰影が同居する仕上がりになっている。Cookの作品らしく、メロディの断片や質感の変化がシーンの切り替わりのように立ち上がり、ポップと実験性を知的に融合させる独自の美学が研ぎ澄まされている。

ジョージアはトビリシを拠点に活動する日本人デュオ、Heavenphetamineによる初のフル・スタジオアルバム『The Sun On A Winter Day』。本作は、メンバーがジョージアとウクライナで過ごした日々の体験をもとに制作され、特に2022年12月、戦時下のキーウで録音されたセッションが核となっている。停電、ミサイル警報、シェルターでの待機といった極限状況の中で収録された音は、単なる音楽作品を超えた現場の記録としての強度を持っている。ポストロック、朗読、ノイズ、叙情歌が交差する独自のスタイルで、静寂と爆発が交互に訪れるダイナミクスが印象的。語りのような歌、金属的なノイズ、深い残響を持つギターが重なり、凍える空気と緊張感をそのまま封じ込めたような音像が広がる。雪、血、祈り、喪失、再生といった強烈なイメージが曲ごとに立ち上がり、映像的な連作のように物語が進む。美しさと残酷さが同居し、希望と絶望が同時に存在する矛盾した感覚が、作品全体を貫くテーマとなっている。
1972年に日本でのみリリースされた伝説のライヴ・アルバム。
一切の駆け引きなし。抜き身のロイ・エアーズがグルーヴの神髄に迫る。
世界を虜にしてきたヴィブラフォン奏者、ロイ・エアーズ。名作を挙げればキリはないが、なかでもその内容と希少性から支持されてきたのが本作『Live At The Montreux Jazz Festival』だ。ユビキティ名義での最初期作品であること、数少ないライヴ録音であること、そして日本盤のみしか制作されなかったこと。いくつかの要素が重なり、その存在は伝説となっている。熱に浮かされたような「Daddy Bug」、クールかつサイケデリックな「In A Silent Way」、ハリー・ウィテカーのヴォーカルをフィーチャーした激グルーヴィな「Move To Groove」、緩急のある展開がエキサイティングな「A Cup Of Tea」。エッジの効いた演奏はこの時期のロイ・エアーズの充実と、来たるべきユビキティの黄金時代を思わせる。これぞまさに、熱狂のライヴである。

USプレスの180g重量盤ブラック・ヴァイナル、帯付きラミネート加工Stoughton社製チップオン・ゲートフォールド・ジャケットの豪華な仕様。Cohranファミリー提供による未公開写真+Adler Planetariumのオリジナル・プログラムノートを掲載した4ページ・インサートも封入。
Stones Throw Recordsが新たに立ち上げるインプリント〈Listening Position〉の第1弾リリースとして、Kelan Phil Cohran & Legacyによるスピリチュアル・ジャズの名作『African Skies』が待望のリイシュー。
2010年に限定1,000枚のみでアナログ・リリースされた本作は、長年にわたり廃盤状態が続き、ジャズ・コレクターの間では“聖杯(ホーリー・グレイル)”と称される幻の一枚。中古市場では500ドル以上で取引され、Discogsでは数千人が「Want」登録するなど、再発が強く望まれてきた作品だ。今回のリイシューは、この深遠な録音作品の決定版とも言える内容となっている。
Kelan Phil Cohranは、アフロ・フューチャリズムを切り拓いた伝説的集団Sun Ra Arkestraのメンバーとして活動し、数々の名盤に参加。さらに1960年代には、自身のバンドThe Artistic Heritage Ensembleを率いてオリジナル作品を発表し、マルコムXへのトリビュート作品など、現在も高い評価を受けるコレクターズ・アイテムを残している。
また彼は、Earth, Wind &Fire、Chaka Khanらに影響を与えた教育者・メンターとしても知られ、8人の息子たちが在籍したシカゴのブラス・バンドThe Hypnotic Brass Ensembleの精神的支柱でもあった。

Roy Ayersが ジャズ・ファンク路線を確立しつつあった黄金期のUbiquityが、NY・Electric Lady Studiosで録音した1974年の名作『Change Up The Groove』。ファンク、ソウル、ジャズが溶け合い、よりポップで洗練された都会のグルーヴへと進化した一枚。カバー曲が多いのも特徴で、Stevie Wonder「Don’t You Worry ’Bout A Thing」やRoberta Flackの大ヒットでも知られるEugene McDaniels作詞作曲「Feel Like Makin’ Love」など、当時のブラック・ミュージックを象徴する名曲を、Ayers流のメロウネスとファンクネスで再構築。ヴィブラフォンの透明感、エレピの柔らかいタッチ、タイトなリズム隊が織りなすグルーヴは、70年代NYの空気をそのまま閉じ込めたような心地よさ。中でも「The Boogie Back」は、重いドラムブレイクとファンキーな展開でクラブ/レアグルーヴ文脈でも人気の高いキラートラック。メロウで都会的、かつファンキーなUbiquityサウンドの魅力が凝縮された一枚。
オリジナルは$200は下らないChic Chocolate他、レア音源満載!インド映画音楽の宝庫から、魅力的なインストゥルメンタル・トラックにフォーカスした人気シリーズ第2弾『Bollywood Nuggets Vol. 2』。Charanjit Singh、R.D. Burman、S.D. Burman、O.P. Nayyar、Kalyanji-Anandji など、ボリウッド黄金期を支えた巨匠たちのレア音源を多数収録した、濃厚な内容。サイケデリックなシンセ、ホーンの強烈なリフ、タイトなファンク・ビートが入り混じる、ボリウッドならではのエネルギッシュなグルーヴが満載。映画音楽らしいシネマティックなアレンジが随所に光りつつ、エキゾチックなメロディや独特のパーカッションが生み出す辺境感も魅力的。映画音楽としては数が多いわけではないにも関わらず、ボリウッドの魅力が凝縮されたインストゥルメンタルという切り口で彼の地の深い音楽文化を楽しめる一枚。

スペイン電子音楽のパイオニア、Eduardo Polonioの初期キャリアを総括する決定的アーカイヴ作品『Obra electroacústica 1969–1981』。Alea Electronic Music Laboratory、Phonos、Electroacoustic Music Cabinet など、スペイン各地の電子音楽スタジオで制作された1969〜81年の重要作を、マスターテープからのリストアして収録した本格的アンソロジー。荒々しい電子ノイズがむき出しの初期作品から、環境音や声をコラージュした音響作品まで、Polonioの創作の幅と実験精神がそのまま刻まれている。エレクトリック・ギターとベースを素材に、アンビエントの萌芽とフリージャズ的な揺らぎ、サイケデリアが交差する独特の質感を持った異色のエレクトロアコースティック「Continuo」など、珍しい音楽性も光る。電子音楽がまだ手作業の実験だった時代の空気と、技術の進化に伴う音響美学の深化を一望できる構成は、アーカイヴ作品としても非常に秀逸。スペイン電子音楽史の核心に触れられる一枚。

民俗音楽のルーツと言語を軸にしつつ、声・アコーディオン・ギターを再構築するアコースティック・アヴァン・トリオRadisによる、イタリアとノルウェーをまたぎ、3年にわたる録音を経て完成した初録音作『Radis』。Andrea Giordanoが歌うのは、絶滅の危機にあるピエモンテ語の詩人たちのテキストで、言語そのものの響きを音として扱うアプローチが、静けさの中に深い情感を浮かび上がらせる。Kalle Mobergのアコーディオンは微細な揺らぎや空気の震えを強調し、Jo David Meyer Lysneのギターは楽器というより、木材や弦の振動そのものを触っているような質感が前に出ている。オープニング曲にはMario Gabolaがゲスト参加し、拡張奏法によるアルトサックスがさらに音響的な奥行きを加える。息づかいやノイズの細部まで丁寧に浮かび上がらせ、空間そのものが音楽として立ち上がるような立体感あるミックスも含めて、フォークの影とアヴァンギャルドの実験精神が自然に溶け合う、静謐かつ前衛的な北イタリア音楽。
デンマークのプロデューサー Mikkel Metal によるダブ・テクノの深さと、よりメロディックで構造的なテクノの側面が交差する12インチ『Rebuild』。長年の〈Kompakt〉周辺での活動で培われた、沈み込むような低域と霧のような残響処理はそのままに、ビートやテクスチャを組み替えながら新しい方向性を提示している。トラックはどれも、重心の低いキック、深く揺れるダブ処理、ミニマルな反復を軸にしつつ、メロディやパッドが静かに浮かび上がる構造。硬質なテクノの推進力と、アンビエント的な空間の広がりが同居し、音数は少ないが、その分ひとつひとつの音が立体的で、時間の流れとともにじわじわと変化していく。深さと静かな緊張感”が凝縮された一枚。
コロンビアの名門〈Llorona Records〉から、伝統音楽とダブの最前線を示すコンピレーション『Cerrero Dubs』が登場。レーベルの中心人物Cerreroが、カリブ海沿岸、アフロ・パシフィック地域の名グループの音源を大胆に分解し、未来派ダブとして再構築。参加しているのはLos Gaiteros de San Jacinto、Son Palenque、Sexteto Tabalá、Bejuco、Semblanzas del Río Guapiなど、コロンビア伝統音楽の中核を担うアーティストたち。ガイタ、マリンバ、太鼓のフレーズが深いエコーと重低音の中で揺らぎ、民族音楽の影がダブ空間に漂うような独特の音像が生まれている。クラシック・ダブの手触りを残しつつ、クンビアやジュガ、バンブーコといったコロンビア固有のリズムの魂をしっかりと芯に残すダブ処理。音数はミニマルなのに、レイヤーがじわじわと変化していくことでサイケデリックでトリップ感が強く、伝統音楽の未来図を描くようなアルバム。
中国出身、現在はロンドンを拠点に活動するプロデューサーYu Suの2ndアルバム『Foundry』が〈Short Span〉から登場。dip in the poolの甲田益也子、Memotone、Seefeelといったジャンルを横断するアーティストが参加。「Sunless」の水中に沈むようなアンビエント、「Foundry」のアシッド気味の4/4、「A Jewel」のアートポップ的な透明感など、クラブとリスニングの境界を自在に行き来する柔らかな推進力が全編を貫く。金属的なパーカッションが冷たく響いたかと思えば、次の瞬間には甲田益也子の歌声やMemotoneの柔らかな旋律が、その冷たさを優しく包み込んでいく。コラボレーターの協力も得て、Yu Suならではの「間の音楽」が広がる、現代的で美しい一枚。
UKデジタル・ルーツの名門Conscious Soundsを率いるDougie WardropとLove GrocerのChris PetterによるユニットDub Specialistsが90年代に残した名作『Dub To Dub Beat To Beat』の音源を、〈Mysticisms〉がDubplateシリーズ第11弾として再編集した12インチが登場。本作は、オリジナルのデジタル・ルーツ/ファンク混合の素材をLexx、Miles J Paralysis、Chuggy、Vanity Projectの4名がそれぞれの視点で再構築したクラブ・ダブ。ステッパー、ダウンテンポ、ブレイクス、ライブ・ダブと、同じ素材がまったく異なるダンスフロア仕様に変貌する。Atari 1040、Cubase、Soundcraftミキサーを使った90年代デジタル・ダブの質感はそのままに、現代的な編集でアップデートされた一枚。
北欧ジャズの象徴Bugge Wesseltoftと、ドイツ電子音楽の革新者Henrik Schwarzによる名作『Duo』が、Kuniyukiによるリマスタリング、Joji Nakamuraによる新アートワークで15周年復刻。ピアノとエレクトロニクスが完全即興で交わる、ジャズと電子音楽の融合における金字塔的デュオ作品。Wesseltoftの透明感あるピアノと、Schwarzの緻密な電子処理がリアルタイムで反応し合う会話性があり、ECM的な静謐さを保ちながら、ミニマルテクノ的な脈動が自然に立ち上がる。ベルリンやルクセンブルクでのライブ録音も含まれ、即興ならではの緊張感と、音が生まれる瞬間のスリルがそのまま刻まれている。ピアノのダンパーが離れる瞬間の微細な音や、電子音のレイヤーの重なりまでが鮮明になった今回のリマスターは、この繊細なデュオの魅力を再発見させる決定版。

〈Kompakt〉が毎年送り出す名物シリーズ「Pop Ambient」の最新作。Wolfgang Voigt(GAS)によるキュレーションで、2026年版はMicå、Pass Into Silence、Morgen Wurde feat. Tetsuroh Konishiなど、日本勢の存在感も大きいラインナップ。ビートレスのシンセ・レイヤーがゆっくりと揺れ、ポストクラシカルな質感のストリングスや淡いメロディが霧のように立ち上がる、純度の高いアンビエントが中心。Micåの緻密な音響、Pass Into Silenceの静謐なドローン、そしてトランペットが溶け込むMorgen Wurdeの楽曲など、透明度の高い音響美がアルバム全体を貫く。瞑想的でありながら、曲ごとに微細なドラマが潜む構成は「Pop Ambient」シリーズならではの魅力。
NYの伝説的レーベル〈Wackie’s〉が1983年に送り出した、女性デュオLove Joysの代表作『Lovers Rock Reggae Style』がリイシュー。プロデュースはもちろんLloyd “Bullwackie” Barnesの、深い残響と霧のようなエコーが漂う、〈Wackie’s〉特有のダブ処理が全編を包み込む名盤。柔らかく甘いラヴァーズ・ロックの歌声に対して、バックはWackies Rhythm Forceによる重心の低いルーツ、ダブ。この甘さと重さの組み合わせが、ジャマイカ産ラヴァーズとはひと味違う、NYアンダーグラウンドの影を帯びた都会的なラヴァーズ・ロックとしての魅力を放っている。Rita Marley「One Draw」のカバーや、Errol Dunkley「Black Cinderella」を引用した「Long Lost Lover」など、名曲も多数収録。甘くて、深くて、少しミステリアスな、〈Wackie’s〉の魅力が美しく結晶したラヴァーズ・ロック名盤。

ブルックリンを拠点に活動するピアニスト、作曲家のEva Novoaが、初のソロ・ピアノ作品『Solo (I)』を〈577 Records〉からリリース。2024年10月、NYの名門Sear Sound Studiosにて録音された本作は、すべてオリジナル曲で、ピアノを中心にしながら、フェンダーローズ、エレクトリック・ハープシコード、チャイニーズ・ゴング、パーカッション、声、口笛など多彩な音具を用い、ひとりでアンサンブルを構築するような立体的な音響が特徴。静謐な内省から、突発的なエネルギーの爆発まで、自由即興と作曲的構造が交差するダイナミックなソロ表現が展開される。音の余白や残響が空間を描き、映像が浮かぶような音像は、Eva Novoaが自身の音楽の核心をさらけ出した、深く個人的なソロ作品。
スコットランドの即興サックス奏者Raymond MacDonaldと、イタリアの民族音楽研究者、音楽家のChristian Ferlainoによるデュオ作『A Jig in the Future』。録音はすべて、機械仕掛けの彫刻が動き続けるグラスゴーのSharmanka Kinetic Galleryで行われ、彫刻の軋み、モーター音、機械音がそのまま演奏に混ざり込むという唯一無二のライブ録音となっている。サックス、バグパイプ、ベル、玩具、アコーディオン、パーカッション、声など、多彩な音具をその場で持ち替えながら、事前の打ち合わせなしの完全即興で展開。カラブリア地方のフォークロア的旋法と、MacDonaldの自由度の高い即興が交差し、民族音楽、前衛即興、機械音響が溶け合う、機械仕掛けの森の中のセッション。

crys cole & Oren AmbarchiとGiuseppe Ielasiのスプリットで指し示すエレクトロアコースティックの現在地。cole & Ambarchiの「Sparkling or Silent」は、ギターや小物音、接触ノイズ、空気の揺れのような微細な音が静けさの中にきらめくような変化を描き出す。音がほとんど動かないようでいて、耳を寄せるほど細部が立ち上がり、記憶の残像や、ふとした感覚が浮かんでは消えるようなミニマルなエレクトロアコースティック。一方、Ielasiの「unfamiliar music (paris)」は、長年ライブで蓄積してきた音の断片を再構築したもので、都市の残響や気配が折り重なるような、乾いていながら温度を感じる音響空間が広がる。どちらも派手な展開はないが、音の縁や影にフォーカスすることで、静かな深みへと引き込む力を持つ一枚。GRMの文脈にも自然に接続する、精密で静謐な電子音響作品。

1980年に自主制作でひっそりと発表され、長らく埋もれていたCathy Hamerのプライベート・プレス作品『Lady Full Of Dreams』が〈Numero〉より再発。70年代末〜80年代初頭のヒッピー文化の残り香をまとった独特の空気感が魅力的で、アコースティックギターを中心にしたフォーク、カントリー基調の楽曲は、どれも短く、日記のようでもあり、部屋録りらしい温度感がそのまま刻まれている。タイトル曲「Lady Full Of Dreams」をはじめ、シンガーソングライターの夢見心地と、カントリーの素朴さが同居する、静かで、親密で、どこか遠くへ連れていってくれるようなかけがえのない瞬間。
待望の2026年リプレスです!伝説のレゲエシンガー達を現代に召喚したMark ErnestusとMoritz von Oswaldによるドリーム・プロジェクトRhythm & Soundの2004年名盤。10インチ・シングルをコンパイルしたもので、底なしに深く響く無機質なトラックにCornell CampbellやTikiman, Love Joys等、歴代の名シンガー達の枯れたボーカルが木霊するベルリン最深瞑想的ダブ傑作。あまりにディープな内容で、今尚全くもって色褪せる事を知らないクラシック・アルバム。
