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エストニア出身、ロンドンを拠点に活動するピアニスト、作曲家Hanakivの最新作『Interlude』が〈Gondwana Records〉から登場。前作の深く美しい瞑想的なピアノ・アルバム『Goodbyes』などの作風から一歩踏み込み、本作ではソングライティングと声の表現を取り入れている。自身のヴォーカルをフィーチャーした楽曲が収録され、ピアノの余白に溶け込むような囁き声が、作品全体に暖かみを与えている。静謐でありながらどこか生命力を帯びた、柔らかく光を放つピアノ、繊細なストリングス、控えめな電子処理が重なり、時間が止まったような瞬間を丁寧にすくい取る。エストニアの自然や聖歌の記憶と、ロンドンの先鋭的な音楽環境が交差した、懐かしくもあり、新しくもある一枚。
チェロのJudith HamannとオルガンのJames Rushfordによる、古楽の旋律の断片と現代音楽的アプローチが交差する室内音響作品『Midmeste』。スイス・サン=ヴァレール大聖堂の15世紀オルガンをはじめ、複数のオルガンとチェロを素材に、倍音の揺らぎや微細な音の重なりを丁寧に編み上げていく40分の長尺作品で、チェロは線のように細く伸び、木質の響きを残しながら、オルガンの息づかいと寄り添うように進行する。旋律というより、空間の圧や響きの変化が音楽の中心にあり、ときに古楽的な和声がふっと姿を見せる瞬間がアクセントになっている。静けさと緊張が同居する音の配置は、室内楽とサウンドアートの境界を自然に往復するかのよう。
琉球民謡ファンもビーチボーイズ・ファンもアヴァンポップ/アンビエント好きも腰を抜かした衝撃の70sウチナーポップ秘宝。 誰が呼んだか《琉球ペットサウンズ》 。内外のリクエストにお応えし新装リプレス。
2026年版仕様:
装丁はマルフクレコードの旧譜復刻シリーズ(FMシリーズ)へのオマージュ/折り込みフラップ形状で背面柄はマルフクのカスタムスリーブをイメージ/沖縄の紺碧の海をイメージした半透明カラーVINYL仕様。
「かじゃでぃ風節」は琉球古典音楽・琉球舞踊を代表する曲で、めでたい祝いの席で演奏される大定番。通常、少人数で三線を伴奏に歌われるものだが、新崎純(あらさきじゅん)というミュージシャンの好奇心から、ビッグバンドで演奏したらどうなるか?と70 年代に実験されたのが本ヴァージョンだ。人間国宝の照喜名朝一をはじめとする演奏家がスタジオに集められ、5 人の三線奏者、4 人の管楽器奏者、ピアノ、エレキギター、エレキベース、パーカッションとドラムの総勢13 人で、なんとリハ無しぶっつけ本番、一度きりの演奏で吹き込まれたまさにミラクル録音。新崎によると和声が無い琉球古典ゆえに編成と編曲には苦心したというが、出てきた音は重厚な荘厳さを漂わせ、更に音楽マニアには琉球音階の『Pet Sounds』に聞こえてしまうというオマケ付き。リリースにあたり当時記録用に録音したカセットテープを発掘できたのはこれもまた奇跡である。このテイクにノックアウトされたヴィジブル・クロークスによるリミックスは、あの世でもこの世でもない<第四世界>の傑作ヴァージョン。
なお、シープス(sheeps)は綴り間違いだが、原題のままにしている(英題では修正)。
Tracks:
Side-A: 新崎純とナイン・シープス「かじゃでぃ風節」(1977)
Side-AA: Visible Cloaks「かじゃでぃ風節 (Visible Cloaks Remix)」(2018)

1980年代末のマンチェスターで活動し、正式な作品を残せずに消えていった幻のバンドJoannaが1989年に録音していた未発表デモが、35年の時を経て屋根裏から発見され、『Hello Flower』としてリリース。The Stone Roses、Happy Mondays、Charlatansが躍動していた真っ只中で生まれた音源だけあって、跳ねるビート、軽やかなベース、煌めくギターが絡み合うダンス・グルーヴとサイケ感の絶妙なバランスが魅力的。淡いサイケデリックなギターとポップなメロディが自然に溶け合い、ブリットポップ前夜の空気がしっかりと漂っている。デモ録音ならではのラフさも本作の味で、スタジオの空気がそのまま残ったような生々しい質感が心地よい、もし当時リリースされていたらマッドチェスターの歴史を変えていたかもしれない失われたデビュー作。

Monolakeが1999年に発表していた『Interstate』が、オリジナルリリースから27年を経て初2LPヴァイナルとして登場!
初期のダブ・テクノ的アプローチから一歩進み、Max/MSPを駆使した音響設計はさらに深化。ミクロなリズムと精緻に変化するテクスチャーが有機的に絡み合い、実験電子音楽の多くの系譜に影響を与え続ける独自のサウンド・エコシステムを構築。全8曲はそれぞれ異なる音の生態系を形成しつつ、緻密なグルーヴが根のように張り巡らされる。Robert HenkeとGerhard Behlesが完全共同で制作した最後のアルバムにして、IDM/エレクトロニカ史に刻まれるマイルストーン的名盤。

バリの革新的作曲家Dewa Alitが率いるGamelan Salukatによる最新作。Dewa Alit自身が設計した11音階の独自調律のガムラン楽器群と、インドネシア出身のピアニストSri Hanuragaを迎え、ガムランとピアノが衝突しながらも一体化していくダイナミックな構造。金属的な倍音が渦を巻くガムランの層に、ピアノの打鍵が切り込むことで生まれるポリリズムは、アコースティックでありながら電子音楽のような鋭さを持つ。高速反復やミュート奏法が生む異常に精密で推進力のあるリズムの塊、そしてガムラン特有の揺らぎが共存し、聴くほどに迷宮へ引き込まれる。安易なクロスオーバーではなく、異なる調律とリズム体系がぶつかり合うことで生まれる新しい音響による先鋭的なリズム・サイケデリア!

限定シルクリクリーン・スリーブ仕様。 1962年、ニューヨークChoreographers Workshopで録音されたSun Raの名演「The Nile』が初の7インチ化。「The Nile」は、Sun Raがアフロ・フューチャリズムを音楽的に深めていった時期の象徴的な楽曲で、複数のドラマーとパーカッショニストが重層的に絡み合い、大河のうねりのようなリズムが延々と続く。その上を、Marshall Allenのフルートが鋭く舞い、John Gilmoreのテナーが時折影のように差し込む。音の密度は高いのに、どこか空間が広がっていく感覚があるのが印象的。Sun Raのピアノは、一定のパターンを保ちながら突然の鋭い音で、水面に光が反射するような瞬間的なきらめきを生む。エレクトリック・セレスタの金属的な響きが加わると、古代の儀式と未来の宇宙航行が同時に起きているような独特の時間感覚が立ち上がる。Sun Raの「神話科学」がもっとも生々しく響く録音のひとつを、ぜひ7インチの音質で!

アンビエント・映画音楽界の知られざる巨匠
マイケル・ブルックの2作品が2枚組で〈4AD〉より奇跡のリイシュー
名作『Cobalt Blue』の35年ぶり初ヴァイナル再発に加え
同年録音された『Live at the Aquarium』も初ヴァイナル化
アンビエントの先駆者ブライアン・イーノをはじめ
ロジャー・イーノ、ダニエル・ラノワら豪華メンツが参加
U2の楽曲などに使用された改造ギターとして有名なinfinite guitarの発明者としても知られるカナダ人ミュージシャンのマイケル・ブルック。1992年に〈4AD〉から発表した『Cobalt Blue』は、静かに、息をのむようなサウンドスケープで構成された、時代を超える名作として、年月を経て再評価されている。同作には、アンビエントの先駆者ブライアン・イーノ、作曲家/マルチ奏者としてロジャー・イーノ、そしてグラミー受賞プロデューサーのダニエル・ラノワが参加。同年後半に録音された『Live at the Aquarium』は、ロンドンで行われた貴重なソロ・パフォーマンスを収録したもので、マイケル・ブルック特有の催眠的なサスティン、広がりのあるテクスチャー、そして大気のような深い音の世界を捉えている。
85年のデビュー・アルバム『Hybrid』から92年のセカンド・アルバム『Cobalt Blue』リリースまでの7年間。マイケル・ブルックはブライアン・イーノのレーベルでありマネジメントでもある〈Opal〉と契約し、故郷のトロントからイギリスへ移住。イーノやラノワとのコラボレーション、ジョン・ハッセルとのツアー、ロジャー・イーノやハロルド・バッド、ララージらと共に伝説的なライブ・プロジェクト Opal Evenings に参加しながら、ステージでのループ処理、シーケンサーや音響処理における実験的な新境地を切り開いた。しかし、『Cobalt Blue』が完成した直後、〈Opal〉は配給契約を失い、リリースは中止。マイケル・ブルックは当時について「〈4AD〉のアイヴォ・ワッツ=ラッセルと友人だったので、彼がアルバムを出してくれると申し出てくれた。しかし、リリース後も長い間、十分な反応は得られなかった。音楽プレスがジャンル分けしにくいものを避けていたから...。だから当初は世間の評価がわからなかったんだ。まるで荒野で泣くギターのようだった。」と語っている。同期間、ピーテル・ノーテンと共作の〈4AD〉アンビエントの名作『Sleeps with Fishes』(87年) をはじめ、精力的な活動の中でヌスラト・ファテー・アリー・ハーンやユッスー・ンドゥールらワールド・ミュージックの巨人たちともコラボレーションを行った。それらの膨大な刺激と経験を吸収していた結果生まれたのが『Cobalt Blue』であり、リリース当時は十分に評価されなかったものの、年月を経てその名声と影響力は高まり続け、卓越したキャリアにおける重要な転換点であることが証明されている。
その後、1996年にはヌスラトとのアルバム『Night Song』でグラミー賞にノミネート。2008年には名作映画『Into the Wild』のサウンドトラックでゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。『El Infierno』では2011年ハバナ映画祭の最優秀音楽賞を受賞。映画音楽作曲家としても卓越している彼は、50本以上の映画に携わっている。2024年にプロデュースしたヌスラトのアルバム『Chain of Light』は、Guardian紙のワールド・ミュージック・アルバム・オブ・ザ・イヤーに選出。もちろん、これらの輝かしい功績は、『Cobalt Blue』の制作を始めた頃には、まだ未来の話だった。『Cobalt Blue』で生まれたサウンドは「厳密にはアンビエントではない」とマイケル・ブルックは語る。よりリズミカルでメロディアス、彼はそのマテリアルを Wordless Songs (言葉を持たない曲) と表現している。この推進力と変化への志向は、優先順位の転換 ーある種の反逆心ー を表していた。

オーストラリアの名バンドThe Triffidsのペダル・スチール奏者であり、さらに、The KLF名作『Chill Out』の中で、特にハイライトである「Baltimore to Fair Play」において、その情感豊かなペダル・スチールの音色がソウルフルな中心的役割を果たしたことで知られるEvil Graham Leeが、72歳にして初のソロ作を完成。長年のキャリアを静かに凝縮したような、ゆっくりと滲むトーン、空間に溶ける倍音、そして音がほとんど動かないのに情景が変わっていくような没入感。タイトル曲「I Think I’m Alone Now」は15分に及ぶ深いドローンで、孤独・祈り・静けさがひとつの風景として立ち上がる。一方で「Seeking Beauty In Sadness」など、メロディの残り香を感じさせる曲では、カントリーの哀愁が柔らかく顔を出す。ジャケットはBradley Pinkerton、ライナーノーツはThe KLFの盟友Bill Drummondが担当。永い時間をかけて熟成された、ペダルスティールで描く孤独な宇宙。※入荷時よりスリーブに若干ダメージございます。予めご了承くださいませ。

emerことMarija RasaとシンガーUgnė Umaによる、夢の中で出会ったような感覚から始まったと語られる、眠りと記憶のあいだに漂うようなコラボアルバム『you and me』。emerが紡ぐのは、柔らかい残響と淡いシンセが揺れる白昼夢的ダブ・アンビエンス。ビートは控えめで、音の輪郭は曖昧。時間が少しだけ伸びるよう。そこに重なるのが、Ugnė Umaのスモーキーな歌声。囁くような発声が多く、耳元でそっと語りかけられているような近さが印象的。言葉の隙間に感情が滲み、曲に温度と人間味を与えている。サウンドはアンビエント、フォーク、エレクトロニックの境界線を自然に行き来しながら、歌ものアンビエントと呼びたくなる独自のバランスを保っており、魔術的リアリズムのような世界観で、現実と夢の境界がゆっくり溶けていくような感覚が続く。全12曲、どれも短い物語のようにまとまっていて、日常の中にある小さな魔法を音で掬い取ったような一枚。

オランダの名門ジャズ・レーベル〈Timeless Records〉の膨大なアーカイブから、Rush Hourの創設者であり世界的ディガーAntalが、個人的フェイヴァリットだけを選び抜いた珠玉のコンピレーションが登場。1974〜1991年の録音を中心に、スピリチュアル・ジャズ、モーダル、コンテンポラリーの名演が2LPに凝縮。Pharoah Sanders、Art Blakey、Woody Shaw、George Adamsなど、ジャズ史に深い爪痕を残した巨匠たちの音源が収録、祈りのように伸びるサックス、空間を震わせる低音のうねり、鋭いインタープレイが交差し、70〜80年代ジャズの精神性がそのまま刻まれている。Antalらしい視点で選ばれた楽曲は、ジャズ・コレクターだけでなく、時代や場所を越えて響くもので、スピリチュアル、モーダル・ジャズの核心を現代の耳で再発見できる一枚。
NYを拠点に活動する音楽家Urnerによるデビュー作『Afterimages』。サヌカイト・リトフォン(石琴)の澄んだ音、VGMサウンドフォント、PCMループやモジュラーシンセの揺らぎ、自身の声という多様な素材がレイヤーされ、鉱物の世界と霧の世界が重なり合っているかのような独特な音世界が広がる。楽曲は質感の変化で進行し、風景がゆっくりと移り変わるような物語性を帯び、硬質な響きと柔らかな電子音が溶け合い、ポスト・ニューエイジの空気感をまとう。DIY的な実験精神と高解像度のサウンドデザインが共存し、アンビエント・エレクトロ・アコースティックの新しい可能性を感じさせる一枚。

ドローン最重要アーティストの一人Abul Mogardと、現代音響の名手Rafael Anton Irisarriによるコラボレーション作『Where Light Pauses in the Silence of the Sun』。2025年、ベルリンのMorphine Raumにて3日間にわたり行われたレジデンシーでのライブ演奏をマルチトラック録音し、その後ローマとニューヨークで両者が素材を往復しながら再構築。深いローエンドが地層のように積み重なり、モジュラーの揺らぎやギターの残響がゆっくりと浮かび上がる。ライブ録音特有の空気の動きがそのまま残されており、電子音でありながら有機的な呼吸を感じさせる。さらにチェロのMartina Bertoniやヴァイオリン/声のAndrea Burelliが参加し、幽玄な光が差し込むような瞬間と深い陰影が生まれている。両者の美学が交差する、スケール大きなアンビエント・ドローン作品。

カリフォルニアのアンダーグラウンド・サイケデリアを象徴するエクスペリメンタル・ジャム・バンド、The Beat Of The Earthが1970年に残した2ndアルバム『The Electronic Hole』。前作のフリーフォームな長尺ジャムから一転、より曲としての構造を持ったプリミティヴ・サイケへとシフト。メロディックなモチーフを持ちながらも、ファズにオルガン、さらにはシタールまでが舞い込み、方向性が読めない不思議な浮遊感が生まれている。Phil Pearlmanの淡々としたボーカルは影を帯び、ヴェルヴェッツ的な静けさとジャム・バンドの熱量が同居する曇ったサイケの魅力が強い。フランク・ザッパの「Trouble Every Day」のワイルドなカヴァーまで収録した、当時の西海岸アンダーグラウンドの熱気がそのまま封じ込められた異形の一枚。。
メロディカ奏者としてRockersサウンドを確立したAugustus Pabloと、ダブの魔術師King Tubbyが残した名演をまとめたコンピレーション『Augustus Pablo At King Tubby’s』。Bunny Leeが制作した秘蔵トラックを中心に、King Tubby’s Studioで録音された音源を収録。パブロのメロディカは、単なる旋律ではなく歌う楽器のように感情を帯びて響く。柔らかく影のある音色が、Tubbyの精密なダブ処理と重なり、深い余韻を生む。リズム隊はBunny Lee流のシンプルで強靭なルーツ・グルーヴ。余白の多い演奏だからこそ、Tubbyのフェーダー操作や残響のコントロールが際立ち、音が消えたり戻ったりする瞬間の緊張感が心地よい。メロディカの柔らかな響きと、Tubbyの静かな強度を持つダブ処理が絶妙に溶け合った一枚。
Bunny Leeプロデュース、Aggrovators演奏、そしてKing Tubbyミックスという70年代中期ジャマイカ・ダブの黄金ラインが揃ったクラシック『King Tubby Meets The Aggrovators At Dub Station』。Tommy McCookのサックスをフィーチャーした、ホーンが主役のダブとして知られており、サックスは、旋律というより空気の流れのように響く。Tubbyの丁寧なダブ処理によって霧のような残響が立ち上がる。Aggrovatorsの演奏は装飾を排したストイックなルーツ・グルーヴで、その余白をTubbyがフェーダー操作と残響のコントロールで巧みに加工。ダブの魔術が、各トラックで際立つ。派手なエフェクトよりも、じわじわと空間が揺らぐような処理が中心で、深夜のスタジオで鳴っているような静かな緊張感が漂う。黄金の時代だけに許された完璧で幽玄なダブ。
ミュンヘンのジャズロック、クラウトロック集団Embryoによる、デビュー作『Opal』の流れを受けつつ、民族音楽、ジャズ、サイケデリックを大胆に混ぜ合わせた、旅するジャズロックのスタイルが開花し始めた初期代表作『Embryo’s Rache』。パーカッションの躍動とフルートのアーシーな響きが絡み合い、土臭さとサイケデリックな広がりが同時に押し寄せる。ソプラノサックスの鋭いフレーズやレスリー・ピアノの揺らぎはエスニックなモチーフと結びつき、音が有機的に変化し続けるEmbryo特有のジャム感を生み出している。ロックの枠を越え、 民族音楽の要素を大胆に取り入れた音作りは、Amon Düül II 周辺のジャーマンロックとも共振しながら、よりエスニックでアグレッシヴなEmbryoらしい進化が刻まれた一枚。
UKダブの重鎮TNT RootsとWinston DreadによるEarthquake Studioが1993年に残したレア盤『Dub Harder Than Steel』。オリジナルは小ロットの自主制作で、長年、高額で取引されてきた伝説的UKダブがついに本格リイシュー。音の核となるのは、極太の低域。地面を揺らすほど深く沈むベースと、乾いたキックが前へ突き進むストイックなリズムは、90年代UKサウンドシステムの現場感をそのまま伝えてくる。音数が少ないのに一音一音が異様に重く、精神性の強いダブとして響く。荒々しいエフェクトは、その粗さも含めて、UKダブが進化していく過程の生々しさが刻まれているかのよう。重量級UKダブの金字塔。
80年代、A‑Class Studioに残されながらサウンドシステム関係者のみに共有されていたDub Organiserの秘蔵ダブプレートをまとめて公式化した発掘盤『Original & Vintage Dubs From The A‑Class Studio』。A‑Class Studioらしい 乾いたドラムと深く沈むベース。80年代ジャマイカの空気をそのまま封じ込めたようなストイックな質感で、余計な装飾を排した現場のダブが生々しく響く。エフェクトは過剰ではなく、むしろ手触りの粗さが残っていて、80年代の現場感をそのまま伝えるタイプのダブで、サウンドシステムで鳴らしたときの物理的な圧を想像させる仕上がりには、Dub Organiserの職人的なミックスが光る。
UKダブの重鎮TNT Rootsが〈Earthquake Studio〉に残していた未発表ダブプレート音源が公式12"化。A面「Time And Space」は、TNT Rootsらしい地を揺らすほどの低域が圧倒的。太く沈むベース、乾いたキック、ざらついたエコーとディレイが空間を切り裂き、デジタル的な硬さとアナログ的な揺らぎが交差。一方B面「Righteous Vibration」は、より霊性を帯びたムードが強く、反復するベースラインが儀式的な高揚を生む。荒々しいエフェクト処理が逆に祈りの強度を際立たせるタイプのダブで、TNT Rootsの精神性がより直接的に響く
JB’sのベーシストとして知られるSweet Charlesが〈People〉レーベルに残した唯一のソロ作『For Sweet People』。James Brown人脈らしいタイトなファンクと、柔らかいメロウソウルが自然に往復する構成で、レアグルーヴ文脈でも長く評価されてきた名盤。Fred WesleyやDave Matthewsがアレンジを担当し、ホーンの切れ味、リズムの押し出し、ベースの跳ね方がどれもJB’s直系の強度を持つ。A面はファンク寄り、B面はメロウ寄りという流れで、グルーヴと情感の両方を楽しめる構造になっている。JB’sの流れを汲むタイトなファンクと、メロウソウルの柔らかさが結晶化した1974年のレアグルーヴ名盤。
ラテンジャズの名ヴィブラフォン奏者Cal Tjaderが、Verve黄金期に残した代表作『Soul Sauce』。Dizzy Gillespie「Guachi Guaro」を再解釈したタイトル曲は、Willie Boboのティンバレスが火をつける強烈なラテン・グルーヴで、60年代モダン・ラテンジャズを象徴するクラシックとして知られる一曲。Tjaderのヴィブラフォンは軽やかで透明感があり、アフロ・キューバンのリズムの上で 涼しさと躍動感が同時に立ち上がる独特の響きを放つ。Donald Byrd、Jimmy Heath、Kenny Burrell、Grady Tateらジャズの名手が揃った編成は、踊れるラテンの熱とジャズの洗練を自然に両立していて、都会的なシャープさや、メロウで夜に似合う柔らかな質感など、曲ごとに異なる表情が楽しめる。ラテンジャズの魅力をジャズ的洗練とともに提示した1965年の金字塔。
Strata‑East黄金期を象徴するベーシストCecil McBeeが、精神性とルーツを深く刻み込んだ初リーダー作『Mutima』。タイトルはスワヒリ語で心、魂を意味し、その言葉どおり、祈りのような静けさとアンサンブルの熱が同居するスピリチュアル・ジャズの重要盤。冒頭「Mutima」は、柔らかなピアノと管楽器のハーモニーが広がり、McBeeの深いベースがゆっくり沈み込むように響く。静けさの中に高揚が立ち上がり、続く「Voice Of The 7th Angel」ではDee Dee Bridgewaterの声が加わり、アンサンブル全体が儀式的な熱を帯びる。リズムの縦横が曖昧になり、アンサンブルが呼吸するように展開するタイプの演奏が続く。精神性と叙情が自然に溶け合った、ポスト・コルトレーン系のモーダル〜スピリチュアル・ジャズ名盤。

Strata‑Eastを代表する名ピアニストStanley Cowellが、父への追悼を込めて録音したソロ作品『Musa: Ancestral Streams』。1973年NYの静かな空気をそのまま封じ込めた本作は、スピリチュアル・ジャズの精神性をピアノ独奏で表現したレーベル屈指の名盤。全編ほぼソロピアノで構成され、Cowellのタッチは非常に繊細。音を詰め込むのではなく、余白を大切にした語り口で、一音一音が空気に溶けるように響く。静けさの中に精神的な深さと高揚感が同居しているのが印象的。唯一のデュオ曲「Travelin’ Man」では、カリンバの素朴な響きとエレピの柔らかいトーンが重なり、アフリカン・ルーツとモダンジャズの橋渡しのような独特の質感を生む。静かな祈りと深い内省のスピリチュアル・ソロピアノ作品の金字塔。
