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Wilco、The Feelies、Califoneなど後続に大きな影響を与えたとされる1986年にシカゴで結成されたオルタナティヴ・カントリーのカルト的存在Souled Americanによる、アンビエント・アメリカーナの先駆的作品とされるバンド後期の作品『Frozen』。極端に抑制されたテンポ、音数を削ぎ落としたアレンジ、そして淡く揺れる残響。どの曲も時間が止まったような静けさをまとい、深夜の風景をそのまま音にしたような独特の世界が広がる。アコースティック楽器の素朴な響きと、乾いたカントリーの骨格が基盤にありながら、ヴォーカルは前に出すぎず、楽器と同じレイヤーで淡々と歌われ、音の風景の一部として溶け込んでいく。静けさの中に深い情感が宿る一枚。
オリジナルは1983年にリリースされたアメリカのアートパンク、NYノーウェイヴ・バンド Circle X のデビュー・アルバムで、NYノーウェイヴの殺伐とした熱量とアヴァンギャルドな知性が結晶した異形の名作『Prehistory』。制御不能なノイズ、突発的に崩れ落ちるリズム、叫びにも近いボーカル、そして演奏そのものが破壊の衝動として立ち上がるかのような暴力性と、反復の構造を意図的に崩すアレンジ、音の隙間を計算して配置するミニマリズム、不協和音をあえて美学として扱うような作曲感覚の両立は、都市の地下ならではの混沌を体現しているかのよう。この時代に、まだ一般的でなかったテープ操作やDIY的な加工を駆使し、何が鳴っているのか判別できない音像を意図的に作り上げた点も特異。ポストパンクの枠を越え、実験音楽の領域へ踏み込んだ本作は、退廃的でありながらどこか神秘的な美しさを秘めた、強烈な存在感を放つ一枚。
1979年にアメリカでひっそりと制作された、USルーツ・レゲエの隠れた名盤がついに復刻。More Relationはニューヨークのジャマイカン・コミュニティで活動していたバンドで、MelodiansやLarry Marshallなど数多くのシンガーのバックを務めてきた実力派。ジャマイカ録音とは少し異なる、USルーツ特有の乾いたビートと、都会的なメロディセンスが絶妙に混ざり合い、スピリチュアルでメッセージ性の強い歌詞が静かに胸に響く。「Jahoviah’s Kingdom」「Solve Them」など、ラスタファリズムを軸にした曲が多く、穏やかなサウンドながらも深みのある内容。バックバンド出身ならではの緻密なアンサンブルも心地いい一枚。
ベルギーのジャズ・ピアニストMarc Moulin率いるPlaceboによる1971年発表のデビュー作で、ジャズ・ファンクの深淵とヨーロピアン・クールネスが交差するレアグルーヴの名盤『Ball Of Eyes』。Marc Moulinによるエレピとシンセの浮遊感あるプレイを中心として、ブラック・ミュージック由来のグルーヴとヨーロピアン・ジャズの洗練が融合。J DillaやMadlibなどのヒップホップ・プロデューサーがサンプリングしたことで再評価された本作は、ベルギー産ジャズの最高峰として、今なお新鮮な輝きを放っている。
クラウトロックの伝説CANが、BBC Radio 1「John Peel Session」で残した1973〜74年の貴重なライブ録音を収めた『Peel Sessions 1973–74』。John Peel Session は、英国BBCの伝説的DJ John Peel が行ったライブ録音企画で、最も実験性が高く、ライブでの即興演奏が評価されたCANの黄金期の生演奏を捉えた貴重な音源。特に「Up The Bakerloo Line With Anne」は約19分に及ぶ圧巻のジャムで、Damo Suzukiの即興的な声の使い方が、セッションの混沌と美しさを際立たせている。
80年代初頭、日本アンダーグラウンドの唯一無二の残像のような一枚、Daisuck & Prostituteによる『Dance Till You Die』。「踊り尽くせ」という命令と警告が同時に響く、妥協のないポストパンクのエネルギーが詰まったサウンドは、ニューヨークのNo Waveを思わせる尖ったギター、ノイジーで異物感のあるテクスチャー、ざらついたヴォーカルに支えられつつ、どこか儀式めいたグルーヴを持っているのが特徴的で、無秩序なようでいて、身体を突き動かす強烈なリズムがあり、ダンスフロアでも異様に機能してしまう。その一方で、聴き心地は決して容易ではなく、鋭利な音の断片が次々と突き刺さってくる。当時は商業的な動きとはまったく無縁で、伝説の地下音源というべきその異様な存在感や妥協のなさは、時代を超えてなお鮮烈に響く。日本のポストパンクが世界的な爆発の只中でどう独自の形をとったのかを物語る重要なドキュメント。
オリジナルは1969年リリースの、ベルギー・アントワープ産、カルト的人気を誇るサイケロック・シングルが待望の再発。A面には、湿り気を帯びたギターリフと荒々しいブルースロックの衝動がぶつかり合う、ベルギー産サイケ特有の暗さが際立つ一曲「The Sun」を収録。英国初期ハードロックの重さと、ヨーロッパ・サイケの陰影が同居する独特のムード。B面には、よりメランコリックなスロウ・サイケ「Wait Until Sunrise」を収録。A面の荒々しさとの対比が効いていて、短いシングルながら強い印象が残る。

ポートランドの作曲家Derek Hunter Wilsonによる、霧に包まれた岬や、波が静かに寄せる砂浜といった風景をテーマに、ハープのループを中心に構築されたアンビエント/ポストクラシカル作品『Sculptures』。ハープ奏者Joshua Wardとの長時間の即興で生まれた生の素材を、時間をかけて削り、磨き、形にしていくという独特の制作プロセス制作。そこにピアノ、ストリングス、ペダルスティールが柔らかく重なり、湿度を帯びた空気や、時間がゆっくりと流れる海辺の静けさが音として立ち上がる。派手さはないが、聴くほどに深く沈み込んでいくような、内省的で美しいアンビエント作品。

ジョージアの新鋭 Anushka Chkheidze と、ドイツ実験音楽のベテラン Robert Lippok が共作した、思考が静かに流れ、形を変え、また沈んでいく、その内側の動きを電子音で描いた作品『Uncontrollable Thoughts』。Chkheidze の透明感あるシンセや淡いメロディの影が、感情の粒子のように浮かび上がり、Lippok のミニマルなパルスや緻密な音響処理が、構造を精密に刻む。音は決して大きく語らず、むしろ内側へ沈む方向へと導かれ、静けさの中に微かな緊張が走る独特の空気が全編を包む。アンビエントの柔らかさと、エレクトロニカの構造美が自然に溶け合い、音の粒子がゆっくりと漂いながら、聴く者の内面に静かに触れてくる。

アメリカのミニマリスト詩人ロバート・ラックスによる詩の朗読を中心に構成されたサウンド・ポエトリー作品『Living in the Present』。1990年代にギリシャ・パトモス島で録音された音源をもとに、電子音響とフィールド録音、トランペットが繊細に絡み合いなだら、彼の静かな語りが展開され、静けさと言葉の余白を重視した詩の世界が音と共に穏やかに広がってゆく瞑想的な空間を生み出す。言葉と音が互いに干渉せず、静けさの中で共存する構成が印象的で、今この瞬間、というテーマが、音と語りを通じて穏やかに伝わってくる。音楽というよりも詩と環境音の対話ともいうべきもので、詩の余白と音の静けさが溶け合い、聴くという行為そのものに深い気づきをもたらす、稀有な音のドキュメント。

オーストリアのバンドRadianの中心人物である打楽器奏者、音楽家Martin Brandlmayrによるソロアルバム『Interstitial Spaces』。本作では彼の特徴である緻密で非定型なリズム、グリッチ・ノイズ、そして静謐な音響デザインが融合。自身の演奏に加え、フィールド録音やテレビ広告、演奏準備のざわめきなど、何気ない音を精密に編集し、聴覚の感度を研ぎ澄ます。その音響構成は、音楽と非音楽の境界を曖昧にしながら、聴く者に聴くことそのものへの意識を促し、何も起きていないように見える瞬間に潜むドラマを、音の配置と沈黙の間で巧みに描き出している。打楽器奏者としての精密なタイム感と、サウンドアーティストとしての空間的な感性が交錯することで、聴覚的な映画ともいうべきリスニング体験をもたらしている。現代音楽、サウンドアート、映画音響の要素が交錯する、静けさの中に深いドラマを秘めた作品。
アウトサイダー風味抜群のボコーダーによるプロト・ハウス・サウンド。エレクトロニック・ミュージックの先駆者と言うべき偉人、Bruce Haack!未発表音源の数々を含む、ブルース・ハークの貴重な音源をコンパイル。本作は、彼のビジネスパートナー、Ted Pandelによって発見された213ものリール・テープに収録されていた未発表音源の編集盤で、1960年代から1970年代にかけて活躍した氏の素朴でポップなシンセ・サウンドやボコーダーなどによる時代を越えたミステリアスさを届ける奇妙で愛らしいトラックの数々を収録したユニークな一枚。電子サイケからモンド、ライブラリー・ミュージック辺りのキーワードに引っかかる方も必携ですよ!
忘れた頃にやってくるオメガポイントとエム・レコードのお騒がせ合同リリース。今回は、人間の脳波を用いた最初の音楽作品として知られるアルヴィン・ルシエの「一人の演奏家のための音楽」を、あろうことか60年代のジョン・ケージ一派が実演した壮絶な意味不明爆音塊。もう一つは、初期オメガポイントのリリースで現音マニアを震撼させた一柳慧の傑作「アピアランス」のマスターテープ音源という強烈二本立て。単なる希少価値を超えた、プロト・インダストリアルといえるこれら実験音楽の精髄をアンビエント流行の今爆音で浴び歴史的弁証法に問う!!
2月27日発売。今回の音源は一柳慧が自宅で発掘したテープから発見されたもので、1967年にミシガン州ホープ大学で行われたケージ、デイヴィッド・チュードア、一柳慧らによるコンサートの生録音である。
60年代中盤は、ケージとチュードアが電気的に増幅したパフォーマンスサウンドを開発していた只中であり、このホープ大学コンサートでも容赦のないアンプリファイド・パフォーマンス技法による爆音が放たれていた。ルシエの「一人の演奏家のための音楽」(1965年)は、現在、耳にできる中で最も作曲年に近い録音で、今回、世界初公開となる。この1967年版は、1982年にルシエとポーリン・オリヴェロスがLovely Musicから発表したものとは全く趣の異なる、ケージ一派の電気的リアリゼーション技術が施された内容で、事情を知らなければ近隣の道路工事にしか聞こえない形而下意味不明音塊。脳波の実演奏は名手チュードアが担当している。
一柳慧の「アピアランス」(1967年)は、かの『Source Magazine』誌上の巻頭で発表された当時の最新曲で、生演奏のエレクトロニクスとアコースティック楽器を混合した爆裂演奏にはケージも参加。この演奏自体は、2006年にオメガポイントからリリースされたものと同一内容だが、本作で使用したソーステープはマスターテープと考えられ、明らかにリニアリティが高く、音質が大幅に向上している。また、2006年版にはない聴衆の反応も収録された長尺版となる。
本作には、オメガポイントによる序文(テープ発見の経緯を解説)、一柳慧の「アピアランス」2006年解説の再掲、ルシエ作品の研究家で生前より作家と交流のあったサウンドアーティスト佐藤実による解説を収録。(※ジャケット図版は「一人の演奏家のための音楽」のセット図)

「ホーム・ビフォア・ダーク」はエム・レコードの再発で知った大好きな曲。この曲を、大好きなバンドゑでぃまぁこんがカバーしたら最高だろうな、と思っていたらやはり最高!夢が叶いました。」(坂本慎太郎)
ゑでぃまぁこんが、ノラ・ガスリーの名曲を、坂本慎太郎とゑでゐ鼓雨磨の共作オリジナル日本語詞でカヴァーした、良き出会いの繋がりが生んだ二重三重の夢の結晶。トルソ(TORSO)によるドリーミー管弦楽リコンポジション版をカップリングした夢のWサイダー。(ポップスの神様はまだ日本にいらっしゃいました。)
ノラ・ガスリーのたった1枚のシングル「Emily’s Illness c/w Home BeforeDark」(1967年)は、2009年の復刻リリース以来、マニアの秘匿曲を越えて内外に拡がりました。当初は、19世紀アール・ヌーヴォー的耽美をビーチボーイズ『Pet Sounds』風のサウンドで綴った美しい奇曲「Emily’s Ilness」推しだったのですが(※1)、しだいにB面曲「ホーム・ビフォア・ダーク」がミュージシャン達を魅了しはじめ(※2)、伝えられるところではエゴラッピン、ティーンネイジ・ファンクラブ、テニスコーツ & yumboがライブで取り上げて流布していった模様。しかし、まさかこのような予想もしない素晴らしい録音に出会えるとは!!本作は、もともと坂本慎太郎の発案で、ゑでぃまぁこんバンドでプライヴェート録音したもの(同氏の「P」審美眼にリスペクト)。公開目的ではなかったこの隠密録音の噂がエムに届き、長きにわたる円(縁)のループが繋がったような作品をお届けすることになりました。装丁画はゑでゐ鼓雨磨。
=カップリング曲秘話=
カップリング曲の制作は元曲を知らないトルソに打診し、ゑでぃまぁこん版のヴォーカルと旋律楽器パートを抜いたベーシックトラックを渡して、ほとんど目隠し状態でのリコンポジションを依頼(制作中はググり禁止)。当初はシンプルにOrieとKenjiの演奏を被せた合奏で……という趣旨でしたが、この無茶な実験要求に応えたトルソは、最終的にベーシックトラックをも抜きとった叛逆的かつ優雅なリコンポジションを送りつけてきて、このオリジナル曲の出来栄えに一同平伏!
注釈:
1)「Emily’s Illness」は、19世紀アメリカの詩人、エミリー・ディキンソンへのトリビュートと思われる。
2)ガスリーと作者エリック・アイズナーは当時アストラッド・ジルベルトの大ファンだった。初期アストラッドのたどたどしいボサノヴァ歌唱とノラの歌う「Home Before Dark」を頭の中でダブらせて再生してみてほしい。
=作品仕様=
+ 3 面折り込みジャケット
+ 歌詞掲載
TRACKS:
Side A - ホーム・ビフォア・ダーク
Side B - ホーム・ビフォア・ダーク(Recomposed by TORSO)
![Takao - Stealth [2026 repress/original artwork] (LP)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/a0453915452_10_{width}x.jpg?v=1775196337)
クラシック音楽の素地とゲーム音楽的感性をニューエイジ・リバイバル下で結びつけた、Takaoのデビュー作にしてタイムレスな名盤『ステルス』(2018)。内外からの要望にお応えしLP版を再プレスします。本エディションは、TakaoがBandcampでの自主リリース時に使用した本人デザインのオリジナル・アートワークを再現。Takaoによる作品解説も新たに掲載しています。
濱瀬元彦、武満徹、新津章夫、ヤン富田、Sean McCann等々に影響を受けたと語るタカオですが、これら先達に新旧有名無名の区別はなく、ただアクセスした特定の作品が作家の創作意欲を突き動かしたのみで、そこから得たインスピレーションを衒いなく定着させたのがこの『Stealth』です。極めて抽象性の高い『ステルス』の楽曲群は、静かな美しさと深さを備えるいっぽう、圧倒的な存在感を放っています。1年半かけて仕上げたという本作は、13曲で33分という、この種のアルバム作品では異端的な短さであり、かつ、ひとつとして同じ体裁の曲がないにもかかわらず、シームレスな音響体験ができます。それらは装丁にあるような晴れた日の海の表情を映し出しているかのようです(写真はTakaoが湘南で撮影したもの)。

Dennis Taylorによる、1983年に300枚のみ自主制作された幻のソロギター作品『Dayspring』。60〜70年代にガレージロックやジャズ、フォーク・フュージョンで活動していたTaylorが、Leo Kottkeとの出会いをきっかけに10年以上かけて書き溜めた楽曲を、全曲ワンテイクで録音したというストイックな一枚。John Fahey、Leo Kottkeの流れを汲みつつも、より柔らかく、朝の光のように澄んだ音像が印象的で、フィンガーピッキングの美しさと間の感覚が際立ち、それぞれの楽曲は風景を見るようにイメージが広がる。フォークロアな実験精神とニューエイジ的な透明感が自然に溶け合い、アメリカン・プリミティヴとアンビエントの境界を漂う独自の世界観を形成している。

奇才Michael Masleyが、1985年に自主制作で発表した異色作『Cymbalom Solos』。東欧の伝統的打弦楽器ツィンバロムを、自作の指装着型ハンマーと弓デバイスを用いて、叩く・弾く・擦るを同時に行う独自の奏法で操り、オーバーダブなしのソロ演奏とは思えない多層的な音世界を構築。音階やフレーズには東欧の民族音楽の影響がありつつ、反復構造はミニマル・ミュージック的。倍音がきらめき、ケルト音楽の旋律感や、ニューエイジ、コズミッシェ的な浮遊感までが自然に溶け合う。ストリート・パフォーマーとしての素朴さと、音響探求者としての超越性が同時に息づく、路上で生まれた音がそのまま宇宙へ飛び立つような独特のスケール感に満ちた人力瞑想音楽。

磯田健一郎とausことYasuhiko Fukuzonoによる、世代とスタイルを超えたコラボレーションから生まれた静けさ、余白、音の呼吸を徹底的に追求した、静謐で深い作品『Interwoven』。磯田健一郎の伝説的作品「Oscilation Circuit – Série Réflexion 1」に通じる精神性と aus の繊細なメロディと電子処理が溶け合い、日本アンビエントの系譜を継ぐ、深い静寂と透明感を醸し出す。余白を活かしたピアノ、霞のようなシンセ、風景の断片のようなフィールドレコーディングにより構成されるミニマリズムを極限まで蒸留したサウンドで、八丈島と東京で録音された自然音と都市の静けさが混ざり合う、独特の空気感が魅力的。心が整う環境音楽の到達点。
![ジャックス Jacks - ジャックスの世界 Vacant World [EMIレッド・ヴァイナル] (LP)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/4988031802946_{width}x.jpg?v=1767949601)
日本のロック黎明期に生み出されたジャックスによる比類なきデビュー作を、1968年9月10日発売の東芝音楽工業オリジナル赤盤を模したカラーレコードにて再発。心の奥底を抉り出したかのようなダークでフリーキーな歌詞とサウンドが、後のシーンに大きな影響を与えたアルバム本編全10曲に、同時期にリリースされたアルバム未収録のシングルA面曲「この道」を追加収録。
トラックリスト:
Side A
1. マリアンヌ
2. 時計をとめて
3. からっぽの世界
4. われた鏡の中から
5. 裏切りの季節
Side B
1. ラブ・ジェネレーション
2. 薔薇卍
3. どこへ
4. 遠い海へ旅に出た私の恋人
5. つめたい空から500マイル
6. この道*
*ボーナス・トラック

2026年リプレス!シカゴのポストロックを象徴するバンドTortoiseが1996年に発表した2ndアルバムで、ポストロックというジャンルを世界的に定着させた決定的作品。冒頭を飾る20分超の大作「Djed」 は、ミニマル、ダブ、ジャズ、エレクトロニカ、クラウトロックの要素が有機的に連なり、ロックの枠を越えた構造的な音響作品として高く評価されている。新加入した元SlintのDavid Pajoを含む当時のメンバーによる緻密なアンサンブルと、John McEntireの透明感あるプロダクションが、画期的なサウンドを生み出した。静と動を往復する構築美に満ちた楽曲群は、ジャズ的な柔軟性とロックのダイナミズムを併せ持ち、今なお多くのアーティストに影響を与え続ける名盤。

南條麻人が最も長く続けたプロジェクトのひとつで、High Rise、Musica Transonic、Toho Sara とは異なる、もう一つのサイケデリック宇宙を示す存在とされる、1990年代東京アンダーグラウンドの深淵、狼の時間。1992年に録音されながら、当時は南條麻人自身のレーベルである〈La Musica〉の限定ハンドメイド・カセットやCD-Rとしてのみ流通した作品が初のヴァイナル化!収録されているのは、当時「Black Tape」用に録られながら未使用だったテイクや初期スタジオデモで、アシッド感の強いギター、重心の低いベース、暴発寸前のドラムが渦を巻き、粗削りで幻覚的なサウンドが生々しく立ち上がる。ローファイな録音質がむしろ魅力となり、地下深くでうごめくようなサイケデリアと即興性がそのまま封じ込められた一枚。南條麻人の音楽世界の未踏領域を照らす重要作!

20世紀アラブ音楽を語るうえで欠かせない巨匠Farid El Atrache。シリア生まれ、レバノンで活動し、歌手・作曲家・俳優、そしてウードの名手として数百曲を残した彼の1930〜40年代の初期録音をまとめたコンピレーション『The Early Years』。「Eel Youm Dah Youm Eltekana」「Gamil Gamal」「Wayak Wayak」など全8曲はいずれも黄金期アラブ歌謡の原型ともいえる名演で、深く伸びる歌声としなやかなウードの旋律が、シンプルな編成の中で鮮烈に響く。初期録音ならではの親密な空気感があり、旋律の美しさと声のニュアンスがそのまま立ち上がる。アラブ古典歌謡、ウード音楽、ヴィンテージ録音の魅力を凝縮したような一枚で、Farid El Atracheの原点に触れられる貴重なアルバム。

後年、職業音楽家として名を成すある若者が1984年に自費出版した幻の異端シンセLP、ここに遂に公式復刻!! 80年代初期ニューヨークのアヴァンギャルド・ムーブメントの熱気にくらったいち日本人のアウトサイダーDIY精神爆発の刻印。シンセ一台とヴォイスのみで表現されたこのウルトラローファイな初期衝動的探求は、シニシズムが蔓延する時代、内なる「人間」DNAを揺り起こす。これは現代の神話である。
『Music in DNA』は、1980年代初頭のニューヨークに滞在し、故郷のしがらみから解放された日本人青年、Yasuhito Ohnoが自主制作したLPで、音楽、絵画、パフォーマンスといった当時の様々な前衛的ムーブメントと80年代ニューヨークの地産地消エネルギーにインスパイアされた、「外部」としてのDIY精神が溢れ出る情熱の結晶体。Ohnoはポリフォニック・シンセサイザーの傑作、Roland Juno-60と4トラックマルチレコーダーのたった2台の機材と自身のヴォイスを用いて、若々しい「エッジ」を開放的なローファイ音楽の探求へと注ぎ込みました。全体が奔放な魅力に満ちており、それは、新しい世界に飛び込んで戯れる生々しくフレッシュな人間の精神の開放。Ohnoは、DNA研究、パーソナルコンピューティング、初期のコンピュータグラフィックスといった当時の技術開発全般がもたらす人間的な可能性にも触発されており、収録曲の一部は初期CGのデモ映像のバックグラウンド音楽に使われ、また、本作のジャケットは初期のCGアートです。その後、彼は日本で職業音楽家となりますが、『Music in DNA』は、表現技術を磨く以前の、ひとりのアーティストの作家性の始原を記録したドキュメントであり、極限状態にある剥き出しの無垢が、啓蒙以前の先史神話のように我々に迫ります。シニシズムが蔓延する時代、『Music in DNA』は、寛大な無邪気さとありのままの自分を蘇らせる唯一無比の作品です。ライナーに掲載したYasuhito Ohnoの寄稿は、我々が失っているものを肩の力を抜いて鋭く問いかける名文!
