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日本語ロックの始祖、ジャックス解散後にリリースされたセカンド・アルバム「ジャックスの奇蹟」(1969年発売)が、96年のLP再発以来、30年振りのアナログ復刻!!
60年代後半の東京で生まれた、フォークでもGSでもジャズでもニューロックでもない強烈なオリジナリティを持つ孤高のバンド、ジャックス。ファースト・アルバム「ジャックスの世界」発売時に、ギターの水橋春生が脱退し、ドラマーとして角田ひろ(現つのだ★ひろ)が加入。しかし本作の制作中に、早川義夫が脱退、収録11曲中、早川のヴォーカル曲は6曲。残りは新加入の角田が担当。早川が不参加の曲では、脱退した水橋や加藤和彦も参加、変則的な内容であり、本作リリース時にはバンドは既に解散していた。このようなカオスな状況で作られたアルバムだが「堕天使ロック」「花が咲いて」「ロール・オーヴァー・ゆらの助」「敵は遠くに」等の圧倒的な世界観は、今も新たな衝撃をもたらしてくれる。ヴォーカルの早川義夫は、ジャックス脱退後、69年にソロアルバム「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」をリリース後、書店を経営。94年に音楽活動を再開している。初回限定プレス。

東京とロンドンを拠点に活動するシンガーソングライター、作曲家、Koichi Yamanohaによる音楽プロジェクトで、2014年頃より活動を展開。Le Guess Who?やAll Tomorrow’s Partiesなど、各国のオルタナティヴ系音楽フェスティバルに出演するほか、ゲームクリエイターの小島秀夫との協働、Death Stranding 2への楽曲提供およびカメオ出演など、映画やゲームなど多分野でも活動しているGrimm Grimm。その4作目のスタジオアルバム『Eternalise』。収録曲のうち3曲が『Death Stranding 2: On The Beach』に使用され、ピアノに石橋英子、ドラムに山本達久も参加!マスタリングは、Mica LeviやDean Blunt周辺のサウスロンドン・DIYシーンで活動するエンジニア、Amir Shoatが担当。アンビエント色の強いインストゥルメンタルと歌モノが交差する没入感に満ちた音像。

かつてはロンドンのバンドScreaming Tea Partyのフロントマンとして活動し、その後、My Bloody ValentineのKevin Shieldsが設立した〈Pickpocket Records〉からソロ名義でデビュー、欧州インディー、実験音楽シーンで確かな存在感を築いてきた東京出身でロンドンを拠点に活動するKoichi Yamanohaによるソロ・プロジェクトで、ネオフォーク、バロック・ポップ、エクスペリメンタル・ロックを横断する独自の音楽性で知られているGrimm Grimm。『Untitled II』は、Grimm Grimmが4トラックカセットで録りためたデモ、海の音、母親のハミング、睡眠中の声、スーパーのフィードバックなど、生活の中で偶発的に生まれた音を素材として組み上げた非常に個人的な記録。アコースティック楽器の柔らかい響きが、音素材と自然に混ざり合い、まるで生活そのものが曲になったような感覚を覚える。フォークの柔らかさと、日常の音をそのまま扱う大胆さが交差する、プライベートで、実験的な一枚。
かつてはロンドンのバンドScreaming Tea Partyのフロントマンとして活動し、その後、My Bloody ValentineのKevin Shieldsが設立した〈Pickpocket Records〉からソロ名義でデビュー、欧州インディー、実験音楽シーンで確かな存在感を築いてきた東京出身でロンドンを拠点に活動するKoichi Yamanohaによるソロ・プロジェクトで、ネオフォーク、バロック・ポップ、エクスペリメンタル・ロックを横断する独自の音楽性で知られているGrimm Grimmの、静謐なフォークと実験的な音響処理が洗練された形で結びついた2020年作『Ginormous』。アコースティック楽器の柔らかい響きと、祈りのように反復するメロディを中心に据えながら、ミニマルな電子音や淡いノイズが薄く重なり、静けさの中に複数の層がゆっくり立ち上がる独特の音像。Paz MaddioやStereolabのLaetitia Sadierが参加することで声のレイヤーが増え、複数の人格が同じ夢を語るような多層的な響きが生まれている。チェロやアコースティックギターが、電子音や不穏な倍音と自然に混ざり合い、壊れかけた室内楽のような世界観をつくり出す。The XX、Björkなどを手掛けるMarta Salogniのプロダクションによって、親密さと実験性のバランスがさらに研ぎ澄まされた一枚。

フリージャズ を消化した高柳昌行が、激動の70年代にピリオドを打つ、ひとつの回答。原点回帰となるレニー・トリスターノ、リー・コニッツへのオマージュは、新時代に向け更なる高みへ到達するための儀式なのである。(シリーズ監修:塙耕記)重量盤
シカゴ拠点のサウンドアーティストKikù Hibinoと、Merzbowによる初のコラボレーション作品『Rococo ∞ Echomatter』。シカゴと東京のあいだで音素材を交換しながら制作され、スポークン・ボイス、サックス、ヴィオラといった生の音が、Merzbowのノイズの運動体へ鋭く切り込む。Hibinoの編集は、声や楽器をノイズの上に乗せるのではなく、ノイズそのものを切断し、構造を変形させる要素として機能させている。Merzbowのノイズは飽和した壁ではなく、密度の変化や加速が連続する運動体として扱われ、そこに声が物質的な存在感を持って割り込む。生の音がノイズの密度に別種の方向性を与え、音の増殖と断片化をさらに複雑にしている。非常に現代的な実験音響。限定100部
Émile Omar監修による、1987〜1998年のアフロ・カリブ圏クラブ文化を横断する決定的コンピレーション『Émile Omar présente Déclic, Kaz A Zouk : Zouk – Créole Rap & Ragga – Kompa – Gwo Ka Modern (1987–1998)』。Zouk、Kompa、Créole Rap & Ragga、Gwo Ka Modernが同じダンスフロアで響いていた黄金期の空気を、〈Déclic〉レーベルの豊富な音源から再構築。2LP仕様で、当時のオリジナル・スリーブを再現したインナージャケットと、Omarによる詳細なライナーノーツが付属し、クラブ文化の背景や地域性が丁寧に解説されている。乾いたドラムマシン、艶のあるシンセ、跳ねるベースラインが中心となり、そこにヴォーカルはクレオール語の歌唱とラガ調の語りが交差し、地域の言語文化がそのまま音楽のエネルギーになっている。ローカルなクラブの熱気、多ジャンル混交の自由さ、90年代特有の電子音の艶感がひとつのコンピに凝縮されたタイトル。カリブ圏のダンスミュージックの特別な瞬間を体験できる名盤。

Hype Williams、Dean Blunt周辺の文脈で活動してきたUK のアーティスト、Lolinaが長くライブで育ててきた「gg」を、Extended VersionとArca/NEW YORKのリミックスを加えて提示する 12インチ。都市的な少し張り詰めた空気とポップの奇妙な軽さが同居する、彼女らしい、ずれを軸に、語りのようなボーカルと鋭い電子音が交差し、曲全体が不確かさを抱えたまま前へ進む独特の構造が魅力的。Extended Versionは、反復の中で少しずつ形を変える電子音がレイヤーを作り、街のざわめきが抽象化されたような音像を描く。Arcaのリミックスは原曲の不安定さをさらに拡張し、音が折れたり跳ねたりする予測不能なエネルギー。NEW YORKのリミックスはクラブ寄りの直進性を加えつつ、原曲の曖昧な空気感を別角度から照らす再構築になっている。都市的で、少し不穏で、しかし妙にクセになる一枚。

オランダのマルチ奏者Ronald Langestraatが、1984年に自宅のリビングで4トラック・テープを使い、全楽器をひとりで演奏・録音した、ローファイ・ソウルジャズ、ラテン、ジャズファンクが自然に混ざり合う宅録系音楽の秘宝『Searching』。ピアノやローズの柔らかいタッチ、Farfisa Organの少し古びた響き、サックスのメロウなフレーズが重なり、宅録ならではの親しみ深さと、都会的ジャズの滑らかさが同居する。時折、Moogの低音やオルガンベースの反復が初期ハウスの影をほのかに感じさせる瞬間もあり、80年代の宅録ジャズが未来のダンスミュージックに触れているような面白さがある。時代を超えた、一人のミュージシャンの内側をそのまま覗き込むような、親密な小宇宙。

LAのシンガーソングライターDanny Garciaのソロ名義Reverend Baronによるアコースティック・インストゥルメンタル作品。父から祖父へと受け継がれ、自身の手に渡った一本のメキシコ製ナイロン弦ギターを携え、LA、メキシコシティ、ネブラスカを旅しながら紡いだ11曲を収録。録音にはほぼこの一本のギターのみが使用されており、その枯れた温かみのあるトーンが作品のアイデンティティとなっており、メキシコの伝統的ギターワークとアメリカーナの静けさが自然に混ざり合う。どの曲も短いスケッチのように風景が立ち上がり、歌がないことでかえって旅の記憶や土地の空気がそのまま音に染み込んでいるような親密さがある。山火事でスタジオを失った後に生まれた作品という背景もあり、音には語らない物語のような深い陰影が漂う。ニックドレイクにも通じるような、一本の古いギターが繋ぐ、一冊の旅日記のようなアルバム。
限定200枚。徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbowによる、〈iDEAL Recordings〉からの最新7インチ作品『Pendulum』。金属的な質感のノイズが揺れ動く「Part 1」と、より荒々しいフィードバックが展開する「Part 2」で構成され、短尺フォーマットならではの密度と即効性が際立つ1枚。

(帯付/数量限定盤/日本独占流通)クルアンビンの一番人気タイトルはこの作品!ライブ定番曲からYMOバージョンでも知られる「Firecracker」のカバーも収録されたロングセラー・アイテム!タイ・ファンクをルーツに持ち、独自のメロウ・グルーヴを纏ったその越境的なサウンドで今や世界中のオーディエンスから指示されるテキサスのグルーヴ・トリオ、クルアンビンが全公演ソールドアウトとなった2019年3月の初来日ツアーに続く、待望のフジロック出演を記念して日本独自企画盤『全てが君に微笑む』をリリース!本作には、日本ツアーでも披露され、ライブの定番曲としても人気の高い「The Infamous Bill」や「The Number 4 」、YMOバージョンでも知られる「Firecracker」や、セルジュ・ゲンズブールの名曲「LaJavanaise」のカバーなどこれまでに発表されたシングル、EPからアルバム未収録かつ初CD化となる全10曲を収録。また彼らの日本愛が現れたオリジナル・アートワークを纏ったファン必携の一枚!

アンナ・バターズ(ベース)、ジェレマイア・チウ(シンセサイザー)、ジョシュ・ジョンソン(サックス)、ブッカー・スタードラム(ドラム)、グレゴリー・ユールマン(ギター)によるロサンゼルス拠点のクインテット、SMLが最新作『Spontaneous Music Live』をリリース!
本作は、編集されていない即興演奏による長尺の2曲で構成されており、2025年12月にロサンゼルスの会場Zebulonで行われたバンドの3夜にわたるレジデンシー公演中にライブ録音されたものである。これは、バンドのセカンドアルバム『HOW YOU BEEN』のリリースからわずか数週間後のセッションだった。録音とミックスは、ジェフ・パーカー・ETAカルテットの美しいライブ記録でも知られるエンジニア/“魔術師”ブライス・ゴンザレスによって、ステレオ・アナログテープにライブで収められている。
『HOW YOU BEEN』と2024年のデビュー作『SMALL MEDIUM LARGE』(いずれも大幅にエディットされ、ポストプロダクションが施されている)を通じて、SMLは緻密に構築されたサウンドで評価を確立してきた。そこではメディアとしての“編集”そのものが前面に出ており、最も美味しい断片が選び抜かれ、編集されることで作品が構築されている。
しかし、これら2枚のアルバムの元となった素材はすべてライブ録音であり、長く、荒々しいグルーヴを持ってうねりながら展開する即興演奏だった。さらに重要なのは、バンドのこれまでのすべての公演が、その精神に基づいた完全な即興で行われているという点である。
この二重性は、彼らの思想的な近親者とも言えるアーティストたちにも見られる。たとえば、カンの『Live in Paris 1973』における長大で奔放な演奏と、同年のよりコンパクトな『Future Days』。あるいはマイルス・デイヴィスの『Dark Magus』におけるスピード感あるファンクの混沌と、『On The Corner』や『Big Fun』に見られる徹底的に解体された構築性などがその例である。
『Spontaneous Music Live』は、こうしたキュレーション的な視点を取り払い、編集プロセスの幕を引き剥がす作品である。そこに残るのは、ロサンゼルスという土地において、その瞬間に存在し、集合的に即興演奏を行うバンドのサイケデリックなリアリズムである。完全にその場にいる状態で、発見の瞬間を掘り出していく音楽だ。そこでは音の一つ一つが、将来のSMLの楽曲になりうる断片として、集合的な混沌と統制のあいだに星のように散りばめられている。
ピアノ×ダブテクノの実験音響。即興と反復が織りなすミニマルで幽玄な作品。
探究的コンポーザー、リチャード・パイクによる本作は、ダブテクノとミニマル、クラシカルなピアノを解体/再構築した音響作品。カセット由来のループとピアノによる“リアルタイム・コンポジション”を軸に、親密で粒子的、そして埃をまとったような質感のサウンドが展開される。2023年初頭、坂本龍一の逝去をきっかけにピアノへと回帰したパイクは、日々の即興演奏とテープループの反復を重ねる中で本作を形成。スタジオで収集したループ素材を基に、1950年代製Eavestaffミニピアノで旋律と和声を重ねるプロセスは極めて直感的で、後編集を前提とした純度の高い記録となっている。Romeo PoirierやDeepchord、初期ミュジーク・コンクレートに通じる質感と、“クリック&ポップ”のノスタルジアが交差する、静謐かつ実験的な一枚。

1976年、フランスのアンダーグラウンドでひっそりと録音され、翌77年に わずか200枚だけ自主制作された、Mar‑Vistaによるコズミック・プログレの秘宝『Visions of Sodal Ye』。多楽器奏者J. SkowronとC. Cuvelierのデュオによって4トラックのホームレコーディングで作られた音は、ローファイでありながら、ミニマル・ミュージック、クラウトロック、アヴァンギャルド電子音楽の要素が独自のバランスで溶け合っている。A面は短い楽曲が連なる組曲形式で、霧の中を進むようなサイケデリックな流れを形成。B面は22分の長尺曲「Sodal Ye」が収録され、低音のうねりと反復が続く儀式的で暗いコズミック・ジャムが展開される。手作りの宇宙船で旅しているような質感で、音の粗さも逆に魅力となる、70年代フランスのDIY精神がそのまま封じ込められたような一枚。

ニュージーランドのギタリストRoy Montgomeryと、ロンドンのシンガー、作曲家のMartha Skye Murphyによるコラボレーション作『Nebular』。遠隔地での文通のような制作から生まれた静謐なドローン・フォークで、深夜に音声ファイルを送り合いながら形作られたという背景がそのまま音に刻まれ、どこでもない場所で時間がゆっくり漂うような感覚がアルバム全体を貫いている。ジャケットに描かれた青い光に包まれた孤立した家のイメージとも響き合う、内側と外側の境界が溶け出していきそうな音世界。Montgomeryのギターは減衰しながら円を描くように反復し、ドローンとフォークのあいだを漂う。Murphyの声は言葉の輪郭は曖昧で、響きとして機能しながらギターの余韻に溶け込む。近くで囁くような親密さと、宇宙へ向かうような広がりが同時に存在する。静けさの中でゆっくりと光が変化していくような、深い余韻を持つコラボレーション。

メルボルンのアンダーグラウンドから登場したフィメール・デュオSynergy Trilogyによるセルフタイトルのデビュー作。ドリームポップ、ミニマル・ウェイヴ、ゴシック・ミニマリズム、ドリーム・フォーク、そしてスポークンワードのコラージュが滑らかに交差する、静かで鋭い感性に貫かれており、詩と夢の論理を軸に、歌と語りが同じ地平で溶け合う。霧のように淡いシンセと、骨格だけ残したミニマルなフック。ドラムマシンは影のように控えめに脈打つ。スポークンワードは親密で、語りがそのままメロディへ変わる瞬間があり、曲というより場面の連続として聴こえる。硬質なミニマルウェーブの冷たさの中に、フォークの柔らかい温度がふっと差し込み、ロマンティックさと不穏さが同居する独特の空気を生む。From Nursery to Misery、Carla dal Forno、Rose McDowallといった系譜に連なる、メルボルン・アンダーグラウンドの新しい感性を示す一枚。静かな緊張感と繊細な詩情が同時に立ち上がる注目作。
ポルトガルのエレクトロニック・バンドSensible Soccersと、UKダブの巨匠Mad Professorが初タッグを組んだコラボEP『EP#1 Dub Versions』。サイケデリックな電子音と深いダブ処理が溶け合う、ポスト・ダブ・サイケデリアとも言える内容で、前半2曲はゆったりしたテンポながら、クラウトロック的な反復と、Mad Professorの立体的なダブ処理が重なり、トランシーなダブ・グルーブ。重心の低いベース、深いエコー、空間を縦横に動く残響がサウンドシステム映えしそうな強度を持っている。ラスト曲「Dub Discreto」は、ClusterやKlaus Schulzeを思わせるコズミックなシンセが主役となり、ビートを排したアンビエント・ダブ、コズミック電子音楽へと飛翔。サイケデリックな電子音とクラシックなUKダブが現代的な感覚で融合した一枚。

オハイオ州デイトンの地下ファンク・バンドStone Coal Whiteが残した、1970年代の激レア音源を再発した7インチ。〈Remined Records〉と〈Colemine Records〉の協力による発掘シリーズの一環で、ローカル・ファンク特有の、乾いたドラム、土臭いベース、ワイルドなワウ・ギターが暴れ回る音像は、洗練とは真逆のプリミティヴな魅力に満ちている。Curtis Mayfieldの名曲を、ストリートの勢いで一気に押し切るような高速ファンクへと変換した解釈と、プライベート・プレス特有のローファイ感が漂うオリジナル音源の組み合わせが、デイトンのローカル文化を鮮烈に浮かび上がらせる。70年代の地下ファンクが持つ制御不能なグルーヴを体感できる、濃密な7インチ。
ロサンゼルス拠点のアナトリアン・サイケデリックロック・グループÖLÜMによる最新7インチ『Kara Dünya/Yeşil Güneş』。1966年から82年のアナトリアン・ロック黄金期を現代に再構築するスタイルで、ファズ・ギターの荒々しい歪み、FarfisaやMoogのアナログ感、土臭いリズムが一体となり、トルコ・ロック特有のエキゾチックな旋律を力強く押し出している。イズミル出身のフロントマンAykut Özenの歌声が持つフォーク的哀愁と、サイケデリックさが自然に重なり、70年代の熱量を現在の音像で鳴らす現行アナトリアン・サイケの正統派といえる仕上がり。アナトリアン・ロック再興の流れの中でも、オリジナル楽曲で勝負する数少ない現行バンドによる、強い存在感を放つ7インチ。
シンシナティのプロデューサーJason Grimesによるソロプロジェクト、Doctor Bionicの新作7インチ。レーベルが得意とする太いドラム、ジャズ鍵盤、ギター、止まらないグルーヴをそのまま凝縮したインスト・ファンクソウル・ジャズの小粒ながら強力な一枚。Doctor Bionicの特徴であるサントラ的な作風がここでも際立ち、ヒップホップ的なサンプリング感覚と生演奏の温度が自然に同居する。A面は跳ねる鍵盤とギターが推進力を生むファンキーなグルーヴ、B面はメロウで余白のある音像が静かに広がり、7インチらしい二面性がはっきりとした構成になっている。土臭い質感と、の都会的な編集センスが交差することで、短いフォーマットながら現行インスト・ファンクの良質さがしっかり伝わる仕上がり。
8月21日発売。オーストラリア出身、レバノン系のバックグラウンドを持ち、その文化的ルーツにあるDabkeやレバノン・ポップのリズム、音階 をクラブミュージックへ直接的に取り込むスタイルで知られるプロデューサー、DJのDJ Pleadによるアルバム『Please』。2023〜2025年に制作された120以上のデモから選び抜かれた楽曲で構成されており、一度完成させた別アルバムを丸ごと破棄したのち、より生々しく、むき出しの素材を集めて再構築されている。複雑なパーカッションのレイヤーと、ゆったりとした有機的なタイム感は、これまで以上に内省的で、感情も含めて、素のままが残されているように感じられる。後半には、アンビエント、ダウンテンポ、鍵盤の即興演奏、マイクロトーナルな装飾音が現れ、クラブ音楽から離れた私的な音のスケッチのような瞬間も多く、DJ Pleadがこれまで築いてきたハードドラムとレバノン音楽というスタイルを土台にしつつ、よりパーソナルでな繊細さが同居している。ダンスミュージックを一度壊したからこそ辿り着けた、美しく、孤独な一枚。

8月21日発売。ニューヨークを拠点に活動するシンガー、作曲家のFrances Changのジャンルレスなアートポップ作品『been thinking bout confession』が〈RVNG Intl.〉より登場。100年前のベビーグランドピアノを中心に作曲され、ストリングス、電子音響、フィールド録音、ドラムマシンが複雑に絡み合う、室内楽とエクスペリメンタル・ポップの中間にある独自の音世界が広がる。楽曲はポップなメロディを持ちながら、構成は予測不能。静かなピアノ曲が突然電子ノイズに切り替わったり、ストリングスが不穏な影を落としたり、美しさと違和感が同時に立ち上がる。Changは作詞作曲から演奏、プロデュース、ミキシングまでほぼ全工程を担当。アルバム全体に、ひとりの内面を覗き込むような親密さがあり、実験性とともに、自己探求やアイデンティティ繊細なテーマも自然と響いてくる、内容のある一枚となっている。

10月中旬再入荷。Bing & Ruthの中心人物として知られるピアニスト、作曲家デヴィッド・ムーアがピアノのみを素材に制作したソロ・アルバム『Graze the Bell』。1987年製ハンブルク・スタインウェイ Model Dピアノの息をのむような音色を基盤とし、繊細なタッチと沈黙に触れるほどの微妙なダイナミクス。内省的かつ静謐な音楽世界は、日常のささやかな瞬間が永遠へと触れるかのよう。デヴィッド・ムーアがこれまでの活動の流れから一歩退き、「最も純粋な自分自身」としてピアノに立ち返った作品。グラミー賞受賞エンジニア、ベン・ケーンによるその呼吸や揺らぎを極限まで捉えたプロダクションも見事。
