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元Lissのドラマー兼プロデューサーTobias Laust Hansenと、映画監督から音楽家へ転向したAlbert HildbrandによるデュオA Good Yearによる最新作『Play』。タイトル通り、二人が遊びの感覚を軸にしながら、コラボレーターとの対話を重ねて作り上げた親密で人懐こいインディー・ポップ作品。アコースティック・ギターの素朴な響きに、淡い電子音がふわりと重なり、ローファイの手触りとエレクトロニックの軽やかさが同じ地平で揺れる。バギーなドラムや控えめなベースが風景を切り替え、ロードトリップのような広がりを感じさせるサウンドが印象的。MØやTiffi Mなど多彩なゲスト陣の声が、曲ごとに異なる色彩を与え、親密なポップネスと実験的な質感を自然に共存させている。Smerz、Astrid Sonne、SNUGGLEなど、北欧の実験的ポップの系譜に連なる一枚。

日野浩志郎率いるリズム・アンサンブルgoatが、スイスの振付家Cindy Van Ackerの舞台作品「Without References」のために制作したスコアを収録した一枚。金属打楽器やガムラン、ベル、チェロの擦過音など、音階よりも拍・反復・空間を中心に構築されたミニマルな音楽。録音は日野自身が担当し、ミックスに西川文章、マスタリングにRashad Beckerを迎えた万全の布陣。サックス不在の特殊編成で制作された本作は、goatの通常のポリリズム路線とは異なる、打楽器のみで組み上げた純度の高い構造美が際立つ。反復するパターンが徐々にズレ、干渉し、空間そのものがリズムを帯びていくような感覚は、舞台芸術とミニマル・ミュージックの交差点。徹底したストイシズムが限界を超えたときに現れる、沈黙よりも雄弁なリズムの宇宙。
ラゴス出身で、パリ、ヨハネスブルグ、ベルリン、コートジボワールなど複数の土地での経験を持つAdey Omotadeによる、ヨルバの伝統現代的な音響を融合した、スピリチュアルかつ実験的なサウンドアート作品『Eero : Eesu』が南アフリカのレーベル〈Afrosynth〉からリリース。ヨルバの儀礼、Ifa信仰の祈祷・詠唱に、祭礼、川辺、神殿などのフィールド録音や打楽器、ベル、チャント、電子音響が重層的に組み合わされる。各曲は「祠」のように構築され、
一つ一つが供物であり、祈りとして機能するというヨルバの精神世界が深く反映された唯一無二の音世界。
USアンダーグラウンドの新鋭Evanora Unlimitedによる、破壊と詩情が同居する異形のポップ作品『Perfect Answer』。金属的なビート、ざらついたノイズ、冷たく歪んだシンセによるインダストリアルの硬質さと、ポストパンクの冷静な視線が交差し、短尺曲の連続が連作短編のような切れ味を生む。一方で、歌詞には海や潮、崖、光といった自然のイメージが多く、人工的な音像との対比が作品のテーマを浮かび上がらせる。また、Maria M、RockangelZ、She Diamond、Taranehら個性の強いゲスト陣が参加し、曲ごとに異なる人格が宿るような構成が、アルバム全体の奥行きを増している。全曲のインスト版も収録され、歌ものとインストの二層構造で作品世界を提示するアルバム
東京・西麻布Space Lab YellowのDJブースで出会って以来、30年年来の友人François KとDimitri From Parisによるコラボ作『The Nassau Excursion』。80年代バハマの名門Compass Point Studiosへの鮮烈なオマージュとして生まれた本作は、Grace Jones、Gwen Guthrie、Wally Badarou、Talking Headsらが残したディスコ/ニューウェイヴ/ダブの交配サウンドを、現代のクラブ仕様にアップデートした内容。Compass Point直系の乾いたファンクネス、太くうねるベース、タイトなドラムマシン、80sシンセの煌めきに加えて、François Kによる深いダブ処理とDimitri From Parisのディスコ/ブギー感覚が、カリブ海の湿度とNYクラブの熱気を同時に感じさせる音像を作り上げている。
ブダペストのマルチメディア・アーティストRéti Virágが、同じくブダペストを拠点とする〈Blue Sun〉のよりダークで実験的、そして内省的な音楽的ビジョンを提示する新ラインBlue Seriesの第1弾として発表する最新作『Peremidő』。ハンガリー語で「境界の時間」を意味するタイトルの通り、夜明けから月明かりまでの移ろいを6つのアンビエント小品で描き出す。空気のようなテクスチャーがゆっくりと構造的思考に移り変わり、パーカッションが前面に出てくるにつれて、穏やかな無秩序や予期せぬ音が表面化してゆく。自然を抽象化したような、冷たさよりも湿度と体温を感じさせる音像で、東欧アンビエント特有の陰影と詩情が静かに滲む。曲名にはすべて現地の動植物の民俗名が使われ、幼少期に川辺で過ごした時間の記憶がモチーフ。都市のノイズから離れた、静かなエスケープ・ゾーンのような音楽が丁寧に紡がれている。

シカゴ・ハウスの創始者のひとりにして、ディープ・ハウスの精神そのものと言えるLarry Heard=Mr. Fingers。その最新アルバム『Leev Ur Mynd』が、自身のレーベル〈Alleviated Records〉からリリース。低く沈むキックと柔らかなパッドが重なり、深海のような静けさを持つグルーヴ、夜の都会を思わせる洗練されたムードを形成するジャズ/R&Bのニュアンスを含むコードワーク、宇宙的でアンビエントなサウンドデザインが溶け合う、成熟したMr. Fingersの現在地を示す2LPで、収録曲には、浮遊感のあるシンセが広がる「Enceladus 5」、タイトル曲「Leev Ur Mynd」のミスティックなグルーヴ、シンガーBriannaを迎えた温度感のあるボーカル曲など、深い没入感とソウルフルな質感が共存。ディープ・ハウスの歴史を更新し続けるレジェンドだからこそ提示できる、普遍的かつ新しい到達点。深淵なる平穏に満ちた、自室と宇宙を繋ぐマスターピース。
8月上旬再入荷。〈Numero〉が発掘した、イリノイはエルジンのスクリーモ第二波を象徴するバンドThe Lazarus Plotの全録音集。1998〜2000年の短い活動期間に残された7インチ2枚、スプリット、EP『The End』、コンピ提供曲、さらに未発表2曲までを網羅した決定的アーカイブ。ざらついたギター、突進力のあるドラム、Laura Laurentの張り裂けるような叫びが、90年代中西部DIYシーンの空気をそのまま閉じ込めた生々しい質感を生んでおり、メロディと爆発的なスクリームが交互に現れる構成は、エモとハードコアの境界に位置し、感情の振れ幅をそのまま音に刻みつける。1〜3分台の短い曲が多く、感情の瞬間を切り取ったような断片性がバンドの儚い活動期間とも響き合う。ローファイでありながら、距離の近い親密さと強烈な情緒の濃度を併せ持つ、あの時代のスクリーモの核心を捉えた作品。24ページのフルカラーブックレットも付属。
![Frail - No Industry [Paperback Edition] (LP)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/NUM951V2_{width}x.jpg?v=1776598543)
フィラデルフィアを拠点にしたハードコアパンク、エモバンド、Frailの活動を総括したコンピレーションアルバム『No Industry』が大名門〈NUMERO〉より登場!!Frailは強烈な音と政治的なメッセージでシーンに大きな影響を与えたバンドで、彼らの音楽は、鋭く荒々しいサウンドで知られ、ストレートエッジの姿勢を貫きながらも、パンクとエモの枠を超えた革新的なアプローチを取っていた。本作は2025年に30年ぶりの再結成ライブを果たした彼らの、90年代初頭に短期間活動していた時期の音源が収められている。〈Yuletide〉〈Bloodlink〉〈Kidney Room〉といったレーベルからリリースされたシングルを中心として、さらに、数多くのコンピレーションアルバムに参加した曲も含まれており、Frailの音楽の多様性を感じられる内容となっている。バンドの音楽は、単なるノイズや攻撃的なサウンドにとどまらず、社会的な不満や政治的なメッセージを強く打ち出しており、90年代の硬派なエモやハードコアの精神を色濃く反映している。

「180g重量盤/ピュア・ヴァイナル」仕様。ピアニスト、福居良が見せてくれた淡く心地良い夢。繊細なタッチ、豊潤な音色、美しい楽想。より深く自己を表現した、快作セカンド・アルバム。
『Scenery』の約1年後に録音されたセカンド・アルバム。繊細でいながら情感豊かなプレイは健在だが、本作ではそこに力強さも増していて、福居の描き出す世界がより明瞭な輪郭と立体感をもって迫ってくる。甘美で切ない旋律に心打たれる「Mellow Dream」や躍動感と疾走感が溢れる「Horizon」など、眩いほどの快演が並ぶ。また、前作では1曲のみだったオリジナル曲が本作では3曲になっており、より一層福居の音楽性を堪能できるのも嬉しい。その成熟と内容の充実を鑑みると、ファースト・アルバムを凌ぐ名作と言っても良いだろう。惜しくも2016年に他界した福居良。繊細なタッチ、豊潤な音色、美しい楽想。彼が見せてくれた“心地良い夢”に深い感謝を。
text by 尾川雄介 (UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)
※世界が注目する“Made in Japan”クオリティ。
音質に影響を及ぼすカーボンなどの着色材を一切排除した“無着色ヴァージン・ヴィニール”を贅沢に採用。純度の高いストレート塩化ビニールのみを原料に、盤重量を180gへと高めることで回転の安定性と豊かな音場表現を実現。
研ぎ澄まされた音像を堪能できる「180g重量盤/ピュア・ヴァイナル」仕様。

「180g重量盤/ピュア・ヴァイナル」仕様。萌える緑、眩い清流、澄明な空、音もなく落ちる雪・・・。
北海道が生んだ名ピアニスト、福居良がが紡いだ美しき風景=シーナリィ。ここに、永遠に。
その瑞々しく繊細なプレイは多くのリスナーを魅了し、ファースト・アルバムである本作『Scenery』は世界的にも高く評価されるようになった。22歳でピアノを始めた福居が本作を録音したのは28歳のとき。若き日のひたむきな演奏が聴く者の感情を心地良く揺さ振ってくる。闊歩するように大らかにスウィングする「It Could Happen To You」、爽快で歓びに満ちた「Early Summer」、晩秋の夜気を含んだような「Scenery」。福居の資質に溶け込んだ、スケールの大きさと機微を兼ね備えた“北海道的情感”が心地良い。ここには、福居良が紡いだ美しき風景=シーナリィが永遠に息づいている。
text by 尾川雄介 (UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)
※世界が注目する“Made in Japan”クオリティ。
音質に影響を及ぼすカーボンなどの着色材を一切排除した“無着色ヴァージン・ヴィニール”を贅沢に採用。純度の高いストレート塩化ビニールのみを原料に、盤重量を180gへと高めることで回転の安定性と豊かな音場表現を実現。
研ぎ澄まされた音像を堪能できる「180g重量盤/ピュア・ヴァイナル」仕様。

フリージャズ を消化した高柳昌行が、激動の70年代にピリオドを打つ、ひとつの回答。原点回帰となるレニー・トリスターノ、リー・コニッツへのオマージュは、新時代に向け更なる高みへ到達するための儀式なのである。(シリーズ監修:塙耕記)重量盤
限定20部スペシャルエディション、ナンバリング入り。ポストカード他付属。徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbow。その秋田昌美がアナログからデジタルへの移行していった時期1999年〜2000年に掛けての絶頂期に生み出された2004年発表の『Yoshinotsune』が、新たにLasse Marhaugによるリマスタリングでの2LPエディションでヴァイナル再発!テープ・コラージュや自作電子回路を駆使した初期作品から一歩進み、本作ではデジタル・プロセッシングによる巨大で緻密な音響構築へと到達。恐らく、平安時代末期から鎌倉時代初期の武将であった源義経の伝記等をコンセプトに制作された作品で、鳥の鳴き声、ラジオノイズ、断片的な電子音が交錯する導入部から、自然とテクノロジー、往古と現在、それらが技術的精密さと直感的な衝動が高次元で融合した、2000年代初頭のMerzbowを代表する没入感溢れる傑作です。CD未収録の未発音源2曲を追加収録。
伝説の中華街ライブ初LP化を記念して、POP UPで先行発売していた「絹街道」、「北京ダック」7"の一般発売も開始!
トラックリスト:
Side A:北京ダック
Side B:ブラックピーナッツ
細野晴臣率いるティン・パン・アレーが、1976年5月8日、横浜・中華街の老舗中華菜館「同發新館」で行った伝説的なライブ。その夜の空気を克明に記録した音源が、半世紀の時を経て“ステレオ・ミックス”として蘇る。
今回のリリースでは、新たに発見されたステレオマスターをもとに、エンジニアの保土田剛氏による新たなミックス/マスタリングを実施。当時の会場の空気感、臨場感を感じる素晴らしいMIXを是非アナログでお楽しみください。50年という時間を超えてなお輝き続ける一夜のライブ音源が遂にLP化!
また本作のリリースを記念し、ライブの舞台となった中華菜館「同發新館」と横浜・中華街に2025年11月にオープンしたばかりの「TRAN.SCENDER_ H_TEL Yokohama」にて期間限定のポップアップイベントの開催も決定。LPは一般発売に先駆けて当時のライブ会場だった中華菜館「同發新館」にて先行販売。一般発売は6月24日に決定。POP UP 会場で先行販売していた7インチシングル「絹街道」、「北京ダック」も同日に一般発売が決定。中華街でのPOP UPでは今回のリリースに関連したアイテムの販売や展示なども予定。
伝説の中華街ライブ初LP化を記念して、POP UPで先行発売していた「絹街道」、「北京ダック」7"の一般発売も開始!
トラックリスト:
SideA:絹街道
SideB:ハニー・ムーン
細野晴臣率いるティン・パン・アレーが、1976年5月8日、横浜・中華街の老舗中華菜館「同發新館」で行った伝説的なライブ。その夜の空気を克明に記録した音源が、半世紀の時を経て“ステレオ・ミックス”として蘇る。
今回のリリースでは、新たに発見されたステレオマスターをもとに、エンジニアの保土田剛氏による新たなミックス/マスタリングを実施。当時の会場の空気感、臨場感を感じる素晴らしいMIXを是非アナログでお楽しみください。50年という時間を超えてなお輝き続ける一夜のライブ音源が遂にLP化!
また本作のリリースを記念し、ライブの舞台となった中華菜館「同發新館」と横浜・中華街に2025年11月にオープンしたばかりの「TRAN.SCENDER_ H_TEL Yokohama」にて期間限定のポップアップイベントの開催も決定。LPは一般発売に先駆けて当時のライブ会場だった中華菜館「同發新館」にて先行販売。一般発売は6月24日に決定。POP UP 会場で先行販売していた7インチシングル「絹街道」、「北京ダック」も同日に一般発売が決定。中華街でのPOP UPでは今回のリリースに関連したアイテムの販売や展示なども予定。

ベルリン拠点のAlexandra ZakharenkoことPerilaによる、『7.37/2.11』の延長線上にありながら、よりスロウコア的な即興性と声の質感を前面に押し出した『The Air Outside Feels Crazy Right Now』。ピアノ、ギター、囁くような声、湿ったシンセがゆっくりとほどけるように重なり、柔らかい陰影を帯びたアンビエントとスロウコアの中間地帯を描き出す。Perila特有の声は、歌というより空気の中に浮かぶ感情の粒のように扱われ、メロディよりも質感として耳に残る。静けさの中に薄い緊張がありながら、どこか温度のある人の気配が漂うのが魅力的。声が風景として漂う、幽玄で繊細な音のドキュメント。

ベルリン拠点のAlexandra ZakharenkoことPerilaが、過去EPやコンピレーション収録曲を再編集してまとめ上げた作品『7.37/2.11』。フィールド録音、囁き声、微細な電子音を織り交ぜながら、日常の奥に潜む揺らぎを静かに描き出すアンビエントで、低音の柔らかな揺らぎと曖昧な輪郭のドローン、音が空気に溶けていくような質感に、生活音のようなノイズや遠くの囁き声がゆっくりと浮かび上がる。ドローン主体でありながら、音の配置にはモダン・クラシカル的な構築感があり、細部の変化が静かなドラマを生む。眠気と不安が同居するような独特の空気が漂う、Ulla、Romance、Hoaviなど現行アンビエントに通じる音世界。派手さはないが、耳を近づけるほどに豊かな質感が現れる一枚。

デンマークの音響作家øjeRumが、2014〜17年に録音した初期オルガン作品をまとめた『Selected Organ Works』が、幽玄なドローン/アンビエントの聖地としてカルト的な人気を誇るベルリンの名門レーベル〈Vaagner.Archive〉から待望の2LP化。2018年にカセットのみで発表され、現在は入手困難となっていた音源を、リマスター&美しいゲートフォールド仕様で再構成。廃屋で見つかったヴィンテージのポンプオルガンを使い、冬の寒さの中で録音されたという背景そのままに、音は静かに揺らぎ、呼吸し、淡い光のように立ち上がっては消えていく。メロディは最小限、構造は曖昧で、時間の流れがゆっくりとほどけていく。鍵盤の空気、ポンプの圧、微細なノイズまでが触覚として耳に届き、静寂と反復の美学が極限まで研ぎ澄まされている。øjeRumの原点ともいえる親密で内省的な音世界を、じっくり味わえるアナログ・リイシュー。限定300部

Beverly KetchとRobert Thomasを中心に、同地域のミュージシャンが多数参加する共同体的なアンダーグラウンド・フォーク・プロジェクトStella Kolaによる、静かなメランコリーと60年代フォークの香りをまとったアルバム。アコースティック・ギター、フルート、ハープ、弦楽器が柔らかく重なり、あの時代の香りを現代的に編み直したようなサウンド。Linda PerhacsやJudee Sill、Karen Daltonの系譜に連なる静かで芳香のあるフォークが広がっている。曲によっては歌が語りのように流れ、古い寓話を現代に語り直すような物語性が立ち上がる。派手さはないが、アンサンブルの温度感や、複数のミュージシャンが自然に溶け合う空気が心地よく、共同体的なフォークの温かさがしっかり息づいている。淡い光と静かなメランコリーが同居する、丁寧に編まれた現代フォークの秀作。
カナダ出身のプロデューサーDeadbeatことScott Monteithと、Basic Channel、Rhythm & Sound等の作品で知られるPaul St. Hilaire(Tikiman)によるコラボレーション作『The Infinity Dub Sessions』が2026年リイシュー。深く沈み込むベース、果てしない空間処理、そしてTikimanのスモーキーでスピリチュアルな声が重なり合い、独自の深遠な音響世界を構築する。ミニマルな反復が生む瞑想的なグルーヴは、深海のように沈み込む静けさに満ち、Deadbeatの精密なプロダクションがいっそうの奥行きを与える。今回のリイシューではリマスタリングによって音像がよりクリアに整えられ、アナログ向けに低域の存在感も強化。ゆっくりと深い場所へと誘う、現代ダブの金字塔。
1999年に東京の〈FORM@ Records〉からCDのみでひっそりとリリースされたリミックス・コンピレーション『Re-Form Ver-1.0』 が、〈WRWTFWW Records〉によってついに初アナログ化。参加しているのは Missing Project、Virgo、Tensor、Penance、Led-Mといった東京アンダーグラウンド電子音楽シーンの重要アーティストたち。The Black DogやCarl Craig、B12と並べて語られるほどのクオリティを持ちながら、長らく埋もれていた東京の90年代後期エレクトロニックの貴重な記録。音楽的には、テクノ、ハウスの推進力にIDM的な複雑さが日本的に混ざり合ったサウンドが中心で、シンセの揺らぎやビートの丸みには、当時のクラブの空気を思わせる温度のあるマシン・サウンドが宿っている。ヘッドフォンで細部を味わう楽しさもある、今聴いても古びない存在感を放つ一枚。
複数人が集まり、五・七・五(長句)と七・七(短句)の詩句を交互に詠み連ねる、中世に流行した日本の伝統的な文芸、連歌。ガク・サトウと横川理彦による、連歌から着想を得たコラボレーション作品『Renga』。アンビエント、ジャズ、ブレイクビーツ、エレクトロニカ、環境音楽、テクノ、ライブラリー、ミュージック・コンクレートまで、多様なジャンルが直感的に連なり、ひとつの流れとして展開。各曲は前の曲の質感やモチーフを受け取りながら、新しい方向へと自然に枝分かれしていく。電子音と生音が溶け合う都会的なサウンドは、静謐でありながらシネマティック。夜の街の光や雨上がりの空気を思わせる詩的なムードが漂い、ジャンルを越えた自由な音楽性がアルバム全体を貫いている。

6月19日発売。Floristの中心人物として知られ、アンビエント/環境音楽の作家としても高い評価を受けるEmily A. Spragueが、〈RVNG Intl.〉から限定7インチ『Double Moon』をリリース。Spragueは近年アンビエント作品を深化させてきたが、本作は 数年ぶりにモジュラー中心の作曲へ回帰した作品で、彼女自身が語るところによれば、長年寄り添ってきたモジュラー機材との再会が創作の核となり、新しい始まりを象徴する楽曲として「Double Moon」が生まれたという。透明なレイヤーがゆっくりと重なり合う霧のようなモジュラー・シンセの揺らぎを中心に、V Haddadのコーラスが淡く漂い、音が現れては消える呼吸するかのような静かな音楽。Andrasのダブ・バージョンは、原曲の繊細さを保ちながら低域の揺れと残響の奥行きを強調し、もうひとつの「月」を提示している。

学生時代に参加した"グループ音楽”での先鋭的な音楽活動、また1964年からはフルクサスへ参加した事でも知られる塩見允枝子氏。1990年に招聘されたヴェネチアのフルクサス・フェスティバルは、その後の氏の活動に大きな変化を与える出来事となり、同年に創始者であるジョージ・マチューナスへの追悼を込め鎮魂曲をカセットフォーマットにて自主出版。
シンセサイザーのチェンバロとオルガンの音色で演奏した自作曲、逆再生した自身の声をテープに記録、その音源を業者に持ち込みヴェネチアの会場で録音した環境音と合成/編集を行ったテープ音楽作品。ラ・モンテ・ヤング、マリアン・ザジーラ、エリック・アンダーセン、ウィレム・ドゥ・リダー、ケン・フリードマンらフルクサスの重要作家らの声も使用、テープの特性を利用しユニークなアイデアと構造を盛り込んだ、氏の音源の中でも特殊な位置付けとなる作品。
塩見氏が本再発版の為に書き下ろした新たな解説文、会場で撮影された当時の写真資料やスコアを掲載した、A4サイズの全8ページブックレット付き(日本語/英語)。LP版はDLコードが付属。マスタリングはGiuseppe Ielasiが担当。
