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LAの音楽家で、Build An Arkや多くのコラボレーションで知られるCarlos Niñoが鈴、ボウル、チャイム、各種ドラム、ゴング、金属・木製キーボード、植物の葉束、シェイカー、声など膨大な種類の楽器・音具を自ら演奏し、サウンドデザインまで手がけた作品『Bubble Bath for Giants』。自然物の響きと宇宙的なアンビエンスが溶け合う、瞑想的で有機的なサウンドで、水面の揺らぎのような柔らかい音、倍音豊かな金属音、木の温度を感じるパーカッションが重なり、ゆっくりと呼吸するように音が広がっていく。儀式的な打楽器のリズムと、風のようなシンセやささやく声が混ざり合い、スピリチュアル・ジャズとアンビエントの境界を漂うような質感を生み出している。多彩な打楽器と倍音のレイヤーが深いリラクゼーションと覚醒感を同時にもたらす、Carlos Niño & Friendsの世界観をじっくり味わえる一枚。

テープループとエディット技法を駆使し、Instagramで10万人近いフォロワーを持つアーティストBlankFor.msことTyler Gilmoreの待望のフル・アルバムが〈Leaving Records〉から登場。本作は、ジャズの初期経験やハウス、ドラムンベースへの愛情を背景に、テープループの不完全な循環性を時間の瞑想のメタファーとして扱うコンセプトで構築。テープの揺らぎや劣化をそのまま活かしたローファイな質感で、ピアノの断片、環境音、ノイズ、微細なビートが重なり、霧の中で記憶を拾い集めるような曖昧な音世界を形成する。抽象的ミニマルハウスとフォギーなアンビエンスが断片的にも関わらず強い物語性を生んでいる、印象に残る一枚。

待望のリプレスです!Meditationsベストセラー!2018年に自主プレスとして当初限定50部のみでリリースされていた大人気作!ジャズ・トリオ、Ingaのリーダーとしても知られ、サイケデリックやアウトサイダー、メディテーティヴと評される自由でユニークなサウンドを営んできたLAのサックス奏者のSam Gendelと、同地のベーシストSam Wilkesのコラボレーションよる、ジョン・ハッセルの第四世界にも通じるアヴァンギャルド・ジャズ作品がLeaving Recordsより登場です!一聴してドープ極まりない音楽の渦の中へとただただ吸い込まれます。洗練されたジャズ・マインドを、西海岸らしい自由な気風溢れるユニークで実験的なサウンドへと落とし込み、瞑想的ですらある独特の響きへと昇華した自信作。絶妙な塩梅にくぐもった音像が尚更聴き手を気持ちよくさせます。一推し!


Flying Lotus主宰の〈Brainfeeder〉にも作品を残しているだけでなく、「モダン・ニューエイジ」の提唱者として近年のリバイバルを牽引してきたMatthewdavid率いるLAの大名門〈Leaving Records〉より注目タイトルを漸くストック!Sam GendelやAna Roxanneとも並び、昨今のLAのインディペンデントなシーンを代表するアクトとして注目を集めるノンバイナリーのミュージシャンOlive Ardizoniによるソロ・プロジェクトGreen-Houseの最新作『A Host For All Kinds of Life』がアナログ・リリース。〈Leaving〉レーベルメイトのDiva Dompé、Ami Dang、Nailah Hunterといった鬼才たちとはニューエイジ/アンビエント・グループ、"Galdre Visions"でも活動を共にしている人気作家!「植物のためのアンビエント」作品というコンセプトが話題を呼んだ前々作以来、卓越したアンビエント作品を送り出してきましたが、今作はより瞑想的かつピースフルな仕上がりのコスミッシェ・アンビエント絶品に!まさにミニチュアサイズのTangerine Dreamの様でもあり、耽美で愛らしく、幅広い音楽好きにオススメできる一枚です。
Loris S.Sarid『Music for Tomato Plants』、岡田拓郎+Duenn『Urban Planning』を思い起こす傑作!!抽象的でサイケデリックなビート・ミュージックから瞑想的なニューエイジまでもつなぐ名作家であり、Flying Lotus率いる〈Brainfeeder〉にも在籍していたMatthewdavid主宰の〈Leaving Records〉からは、Sam GendelやAna Roxanneとも並び、昨今のLAのインディペンデントなシーンを代表するアクトとして注目を集めるノンバイナリーのミュージシャンOlive Ardizoniによるソロ・プロジェクトGreen-Houseの最新作。昨年には〈Leaving〉レーベルメイトのDiva Dompé、Ami Dang、Nailah Hunterといったミュージシャンとニューエイジ/アンビエント・グループ、”Galdre Visions”(ここではヴォーカリストとして参加)を結成し、ケルトの神秘主義、宇宙、そして、古典/現代のニューエイジからインスピレーションを得た傑作を発表していた気鋭作家!前作のミニマルな構成から愛嬌のあるメロディーや感情的なアークが感じられる世界観へとシフトし、パンデミックの最中に録音されたものながら憂鬱さをかき消してくれるような浮遊感を帯びたアンビエント・アルバム。吉村弘やVirginia Astley、Mort Garsonなどが好きな方にも是非!

Florian Heckerによる、音響合成と知覚を探求する実験的電子音楽作品『Natural Selection』。旋律・リズム・ハーモニーといった伝統的要素は排除され、代わりにHecker特有の電子音響合成による、音の質感・空間性・変化に焦点を当てた内容で、9曲構成の各曲は独立した音響実験でありながら、音色や構造の共通性によって緩やかに連関。星座が個々の星が意味を持たずとも並びや関係性によって象徴的な形を成すように、物語やテーマではなく、音そのものの性質がつながりを生んでいく。聴く者が意味を見出すのではなく、音そのものが意味を生成する、音楽を聴くという行為そのものを問い直すような音響芸術の最前線!

1980年代初頭のパンクバンドThe Freezeから発展した、スコットランド出身のアーティスト、CinderによるソロプロジェクトCindytalkの3rdアルバム『The Wind Is Strong - A Sparrow Dances, Piercing Holes in Our Sky』は、イギリス人監督イヴァン・アンウィンの実験映画のサウンドトラックとして制作されており、フィールドレコーディング、物悲しいピアノの小品、そして不穏な金属音が交錯する、Cinder自身が「ambi-dustrial」と表現した独特のサウンドパレットが特徴的。長らく入手困難だった本作は、Cindytalkのディスコグラフィーの中でも、最も捉えどころがなく、冒険的な作品の一つで、ミュジーク・コンクレート、心に響く夢想、荒涼とした美しさが融合しており、映像がなくても、夕暮れの森や薄暗い廊下といった、映画的な情景を思い起こる。Cinder自身は「Cindytalkの脱線」と注記していたものの、歌を中心としたポストパンクから大胆に逸脱し、未知の領域へと足を踏み入れた、キャリアを俯瞰する上で重要な作品。

BLAWANことジェイミー・ロバーツは、長年にわたってエレクトロニック・ミュージック界で高い評価を受けてきた。独自のサウンドづくりに対して非常に几帳面な姿勢を貫いており、南ヨークシャーのポスト工業都市・バーンズリーで育つ中で、10代の頃に出会った音楽的影響を絶えず作品に取り入れている。14歳の頃からウジ虫農場で働き始め、そのとき耳にしていた業務用ミートグラインダーの金属音から、音楽的なインスピレーションを得たと言う。メタル・バンドでの演奏経験を経て、リーズの伝説的な会場・West Indian Centreを訪れる中で、エレクトロニック・ミュージックの多様なスペクトラムに触れ、音楽的な視野を広げていった。
2010年代初頭に〈Hinge Finger〉や〈Hessle Audio〉といったカルト的レーベルからのEPリリースをきっかけにBLAWANとしてのキャリアをスタートすると、批評家たちから高い評価を受け、その後もソロ活動では、常に実験を重ねながら音楽の境界線を押し広げてきた。一方で、イギリスのプロデューサー・Pariahとの共同作業も継続。ライヴ・テクノ・アクトのKarennや、メタルに影響を受けたバンド・Persher、さらにはレーベル〈Voam〉まで、数々のプロジェクトを共に展開。本作『SickElixir』は、そんな彼の唯一無二で革新的なアーティストとしての立ち位置を、さらに確固たるものにする。
ベルリン、リーズ、パリ、リスボンで制作された全14曲入りの本作は、彼にとって最も個人的な作品であり、音楽や自己に対するスタンスを示すマニフェストでもある。喪失に対する深い悲しみや、家族の問題、人生の激動を原動力に、近作EPのサウンドをさらに発展させ、混沌としつつも緻密に構築された音の世界へとリスナーを引き込んでいく。過去を見つめながらも、未来への大胆なビジョンを描き出す本作は、アルバム全体に通底する激しさと内省的な要素が感じ取れる。BLAWANは、他の誰とも交わらないスタイルで独自の道を突き進んでいる。
スイスの新興レーベル〈Fabrique d’Instruments〉から、現代音楽の最前線で活動する謎めいたデュオ、Anichy & Lyemnによるデビュー作。長く引き延ばされた旋律、消え入りそうな弦楽器の響き、遠くから聞こえる音色、そして使い古されたメロディの断片が焦点の中に入っては消えていき、聴くというより思い出す感覚に近い音世界を形づくる。その佇まいは、William Basinski『Disintegration Loops』や、The Caretaker、Gavin Bryarsを思わせるもので、極限まで削ぎ落とされた電子音、ゆっくりと変化する和声、カノン、反復するフレーズが、時間を緩やかに侵食する。ミニマルでありながら、同時にむしろ人肌の温度を感じるような柔らかさも漂い、微細な揺らぎや、遅れて入る声部の感情の余韻に耳を澄ませることで、音の奥に潜む情緒が静かに立ち上がる。

90年代レイヴの熱気と現代アンダーグラウンドのスピード感が真正面からぶつかり合う、ロウで即効性のあるアルバム『Cash Back』。ザラついた質感のビート、太いベースライン、ガラージやブレイクスの影を引きずる疾走感。どのトラックもどこかDIY的な雑味が残っていて、中毒性の強い音。懐古ではなく、90sのエネルギーを2020年代の耳で再構築したような作品で、ストリートの雑多さとクラブの熱がそのまま真空パックされた、現場直結の一枚。
英国作曲家 Bryn Harrison による、二台ピアノと電子音響のための45分の大作『Towards a Slowing of the Past』。神秘的で細密なピアノの連続と、反転・変速・ピッチ変化を施した録音素材が重なり合い、時間と記憶が曖昧になるような知覚の迷宮を作り出す。音楽は全体を通して二オクターブ下降し、速度も半分まで減速。中盤の電子音による二分間の静止和音を経て、終盤では電子音響が支配的となり、生演奏との境界が曖昧に。Mark Knoop と Roderick Chadwick の精密な演奏が、一見静かに見えて、内側では絶えず変化が起きているこの複雑な構造を鮮やかに浮かび上がらせている。理解するよりも浸ることがふさわしい、現代ピアノ作品の到達点。

栗原ペダル、荒木優光、DISTESTによる、2009年結成のトリオ音楽グループ「NEW MANUKE」初のアルバム。
サウンドは主にサンプリングとコラージュ、シーケンスされたビートとループされたミキサーフィードバック、それらの上で極少量のポップスと共に破壊と脱構築を繰り返す。
ライブはまったく踊れないビートによる逆トランスの誘発。それらはライブハウスやクラブ、アンダーグラウンドと場所を変えては日夜、爆音で鳴らされる。
2009年にアニメーション作家の故・相原信洋氏とのコラボレーション。相原氏より大量のアニメーションデータを預かりNEW MANUKEのライブ時にVJとして使用。この時には未発表のプリミティブな新作アニメーションもプロジェクションされた。コラボレーション時の相原氏の名義は『サイケ相原』。
2011年、自主カセットテープ「nannomondaimonainiwa」をリリース。収録曲の『Junkroad Bandass』がライブペイント集団Whole9の360°Gopro動画に使用される。
2017年、goat率いるKoshiro Hino主催レーベルbirdFriendより東京のKuknackeとのスプリットカセット『Kuknacke/NEWMANUKE』をリリース。
2018年、カセットテープ『 iPad,lick finger and swipe,grandson gets angry 』をリリース。original mix、M/D/G remix、KAZUMICHI KOMATSU remixが収録。
2025年、初のアルバム『SOUR VALLEY』をリリース。
Pedal Kurihara(sampler、guitar、drum effect)
Masamitsu Araki(sampler、voice、mixer feedback)
Distest(sampler)

栗原ペダル、荒木優光、DISTESTによる、2009年結成のトリオ音楽グループ「NEW MANUKE」初のアルバム。
サウンドは主にサンプリングとコラージュ、シーケンスされたビートとループされたミキサーフィードバック、それらの上で極少量のポップスと共に破壊と脱構築を繰り返す。
ライブはまったく踊れないビートによる逆トランスの誘発。それらはライブハウスやクラブ、アンダーグラウンドと場所を変えては日夜、爆音で鳴らされる。
2009年にアニメーション作家の故・相原信洋氏とのコラボレーション。相原氏より大量のアニメーションデータを預かりNEW MANUKEのライブ時にVJとして使用。この時には未発表のプリミティブな新作アニメーションもプロジェクションされた。コラボレーション時の相原氏の名義は『サイケ相原』。
2011年、自主カセットテープ「nannomondaimonainiwa」をリリース。収録曲の『Junkroad Bandass』がライブペイント集団Whole9の360°Gopro動画に使用される。
2017年、goat率いるKoshiro Hino主催レーベルbirdFriendより東京のKuknackeとのスプリットカセット『Kuknacke/NEWMANUKE』をリリース。
2018年、カセットテープ『 iPad,lick finger and swipe,grandson gets angry 』をリリース。original mix、M/D/G remix、KAZUMICHI KOMATSU remixが収録。
2025年、初のアルバム『SOUR VALLEY』をリリース。
Pedal Kurihara(sampler、guitar、drum effect)
Masamitsu Araki(sampler、voice、mixer feedback)
Distest(sampler)

現代UKジャズの最高峰として、シーンの最前線を更新し続ける存在、シャバカ (・ハッチングス)が、ソロ名義として3作目となる最新アルバム『Of The Earth』をリリース。本作は、自身が新たに立ち上げたレーベル〈Shabaka Records〉からリリースされる初のアルバムとなる。
『Of The Earth』は、全編にわたってシャバカ自身が作曲・プロデュース・演奏・ミックスまでを手がけた、極めてパーソナルな作品だ。本作では、サンズ・オブ・ケメットやザ・コメット・イズ・カミングで展開してきたダンス志向/リズム重視のアプローチと、近年のソロ作品(『Perceive its Beauty, Acknowledge Its Grace』『Afrikan Culture』)で追求してきた、緻密でテクスチュラルなサウンド世界とを有機的に結びつけながら、インストゥルメンタリスト/プロデューサーとしてのシャバカの新たな輪郭を明確に提示している。
ツアー移動中にポータブル機材で制作されたビートやループが楽曲の基盤となり、その上を合唱的なフルートの旋律が大きく舞い上がる。電子的なリズム・シークエンスは、ディアスポラ的な歩みの物語を描き出す。またシャバカは、本作でラップにも挑戦しており、次のように語っている。
『アンドレ・3000が恐れや気負いなく、誠実に新たな次元を探求していく姿勢に刺激を受けた。だからこのアルバムで、自分自身の声を見つけようと決めたんだ。- Shabaka』
2025年半ば、シャバカは南アフリカのドラムの巨匠ルイス・モホロの追悼コンサートでのパフォーマンスをもって、自らに課していたサックス演奏の休止期間に終止符を打った。『Of The Earth』は、約1年半にわたってサックスを演奏しなかった期間を経て制作された最初のレコーディング作品であり、フルートを中心に向き合ってきた時間が、今後の楽器との関係性にどのような未来をもたらすのかを見つめ直す、ひとつの総括でもある。
ディアンジェロの『Brown Sugar』は、私が初めて買ったCDで、セルフ・プロデュース/セルフ・パフォーマンスによるアルバムが持ちうる感情的な可能性について、長く続く好奇心を呼び起こしてくれた。この作品は、創造的な自己表現における自由を祝福するためのレコードなんだ。コロナ以前の私は、クラリネットとサックスしか演奏できず、音楽制作やフルートの演奏方法についても何も知らなかった。だからこれは学びの旅であり、その結果として生まれた音楽を振り返る作品でもある。
- Shabaka

マーク・オランデル率いるベルギーのチェンバー・ロック・バンド、アクサク・マブールの1980年発表のセカンド・アルバム。前作「偏頭痛のための11のダンス療法」で確立したスタイルをバンド編成で更に洗練させた、最高傑作の呼び声高い作品。チェンバー・ロック界の歴史的名盤。
ドローンマスター、チベットと電子音楽を合一させたグルEliane Radigueによる、11世紀のチベット仏教の聖者であり詩人であるミラレパに捧げた、魂の奥底に語りかけてくるような響きの涅槃を示した霊的チベット・ドローン大名作『Songs Of Milarepa』。ARPシンセによる極めて緩やかな周波数変調と音色の変化を特徴とする持続音と、この瞑想的な持続音をバックに、ラマ僧クンガ・リンポチェによるチベット語の朗読と、米国の実験音楽家ロバート・アシュリーによる英訳詩の朗読が絡み合い、電子音響と精神世界が融合した稀有な世界を描き出す。1983年と1987年の録音を収めた本作はRadigue自身の精神的探求が色濃く反映されており、ドローン/ミニマル音楽の文脈にありながら、宗教的・哲学的な深みを持ち、聴く者の意識を内面深くへと導く霊的ドローンの金字塔!

HTRKが20年以上にわたり築いてきた楽曲群を、現代を代表する重要アーティストたちが再解釈したカバー/リワーク集『String of Hearts (Songs of HTRK)』。HTRK がこれまでほとんど行ってこなかった公式リワーク集で、Loraine James、NWAQ、Perila、Coby Sey、Liars、Kali Malone & Stephen O’Malley、Sharon Van Etten など、ジャンルも背景も異なるアーティストが集まり、原曲の繊細な陰影を尊重しながらも、時に微妙にずらし、時に大胆に解体。アンビエント、エレクトロニック、ドリームポップ、アメリカーナ、ノイズが自然に交差し、原曲の冷たさと温かさが、別の角度から照らされる。全体として、深夜の部屋でひっそりと聴きたくなるような、静かな没入感に満ちた一本。

大阪拠点の音楽家・YPYこと日野浩志郎を中心に結成されたリズムアンサンブル"goat(ゴート)"による約8年ぶり、通算3枚目となるアルバム『Joy In Fear』がリリース!
今年結成10周年を迎える"goat(ゴート)"の新作アルバム。日野が自身が運営するレーベル〈NAKID〉からの発売。アートワークは五木田智央、録音は西川文章、マスタリングはRashad Beckerが担当。ポリリズム、変拍子、シンコペーションを巻き込む変則的グルーヴを各インスツルメントが絶えず追求、駆け引き。そして前作とも印象を変えるのがゴングや笛(フルート)が与える新たな妖艶さ。ミニマル/トライバリズムへ対する独自アプローチも感じる7曲。限定300部。

ポルトガルの電子音楽家によるプロジェクトPersonal Systemによる、海沿いの夜をテーマにした『Transcoastal Night Drive』。柔らかいシンセの揺らぎと、夜景の光を思わせる淡いフレーズが重なり、深夜の海岸線をゆっくりと走る静かなムードを描き出す。昔どこかで見た景色のような既視感がほのかに漂い、過去の残像と現在の夜景がゆるやかに重なり合う。色褪せた映像を思わせる柔らかな音像に、バレアリックな開放感が自然に溶け合い、時間が少しゆっくり流れるような心地よさを生んでいる。「Last Gas Station Before the Horizon」「Blurred Streetlights」「In the Midnight Breeze」など、曲名がそのまま情景を喚起し、夕暮れから深夜へと移り変わる海辺の空気が丁寧に描かれる。都会の喧騒から離れた夜の海沿いの静けさとエアポケット的な感覚をそのまま閉じ込めたようなチルアウト作品。


J.TRIPPによる、静けさとざらついた電子音が交互に現れ、どこか掴めない感覚と奇妙な心地よさが同時に漂うような独特の世界を描く『Hylic』。不思議な感触がありながら、聴き進めるほどに一つの世界がゆっくりと形を取り、現実と非現実が混ざり合う未来の都市のサウンドトラックのように感じられてくる。音は柔らかく広がったかと思えば、急に鋭く歪み、遠くで誰かが歌っているような声の影がふっと差し込む。無機質な電子音の中に、フォークやポップの気配が微かに浮かび上がる瞬間があり、人工的な世界の中に人間味がにじむ。整いきらないまま変化し続ける世界の中で、私たちがどこに立っているのかをそっと照らすような一枚。

プロデューサー/作曲家/アーティストとして、これまでにデーモン・アルバーン、ソランジュ・ノウルズ、ロイル・カーナー、ヌビア・ガルシア、ブラック・コーヒー、サンファ、ティルザー、セラ・スーなど、数多くのアーティストとコラボレーションを行ってきたサウス・ロンドン育ちのクウェズ。8年ぶりに〈Warp〉へ帰還しリリースされた本作『Kinds』は、娘の誕生をきっかけに書かれた、広がりと直感性を備えた作品であり、音と色が持つ回復の力を探求している。
『Kinds』は、クウェズにとって新たな転換点となる作品であり、再び音楽という太陽系の最果てを探し求める試みでもある。燃え尽きの時期を経てリセットした後に制作された本作は、アンビエントとクラシック音楽の作曲法を融合させつつ、シューゲイズの荒々しい質感とも交錯する。短く、緻密に構築された『Kinds』はミニマリズムを受け入れている。外の世界がますます騒がしくなるなかで、本作は静けさと安らぎを生み出しつつ、音楽の新たな地平に旗を立てる作品である。
