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かつて巨大なボックスセット『Merzbox』の一部としてリリースされていた音源『Red Magnesia Pink』が、今回初めて単体作品として〈No Holiday〉よりリイシュー!1995年録音の本作は、90年代絶頂期の作品で、濡れたような質感のノイズや金属的な音が渦巻く、サイケデリックで凶暴な電子音の嵐が展開される。今回の再発では、同時期に制作された未発表のボーナストラック2曲も追加収録されている。

限定250部、ナンバリング入り。クレア・ラウジーが米シカゴ名門〈Thrill Jockey〉からリリースした、アンビエント、ドローンや実験音楽とインディー・ロックを横断する傑作『sentiment』のリミックス・アルバム『sentiment remix』が登場!本作は単なるリミックス集というより、原作アルバムの“拡張”や“共同作業”としての側面が強い作品。ルーセイ本人も「もしこれらがオリジナルとして記憶されてもかまわない」と語るほど、各曲が独立した新しい表現として成立している。リミキサーには、モア・イーズ、パトリック・シロイシ、アンドリュー・ウェザーズなど彼女と縁の深いアーティストが集い、それぞれ自由に曲を選び再構築。それぞれのリワークは、原曲の親密さや静けさを尊重しつつも、新たな音響世界を描き出している。グリッチノイズ、ジャズ、R&B、アンビエントが自然に交差し、クレア・ラウジーの音楽世界をさらに奥行きのあるものにしている。『sentiment』の別視点としても、彼女の“もう一つの新作”としても聴ける濃密な1枚。
オリジナルは1975年にリリースされた、オーガスタス・パブロによるアフリカをテーマにしたクラシックな名ダブ集『Dubbing In Africa』。彼は今回はメロディカではなくオルガンを担当し、Sly & Robbie(ドラム&ベース)、Bingy Bunny(ギター)、Sticky(パーカッション)、Melodic Gladdy(ピアノ)らが参加している。曲名にも「Dub In Ethiopia」「Nigerian Dub Love」などアフリカ色が感じられ、全体にスピリチュアルで陽気な雰囲気が漂う一枚。Pabloのオルガン演奏とCharles Reidのアレンジ、そしてSly & Robbieのリズム隊によるグルーヴが、とっつきやすくも奥深いダブの宇宙を描き出している。アフリカ的視座をダブに取り込んだ点で彼の他作と一線を画す作品。今回の再発では、ジャケットに本人の名前が間違って表記されているのも再現されていて、細部まで忠実に復刻されている。

(数量限定/帯・解説書付き)エクスペリメンタル、ディスコ、ガラージ、ポップ、フォーク...レフトフィールドを縦横無尽に駆け回った天才にして異端児、アーサー・ラッセル。1970〜80年代のNYアンダーグラウンドシーンで数々の伝説を残し、92年のエイズによる没後、彼の卓越した才能は改めて脚光を浴びた。前衛的かつ実験的な彼の作品は、未発表音源をはじめ、数多くの再発盤やコンピレーション音源でも見出され、更には書籍や映画に至るまで、幅広い媒体を通して彼の音楽性、ひいては人物像そのものが、現在進行形で影響を与え続けている。
本作もその例に漏れず、未発表音源に加え、2020年にカセットとデジタルのみでリリースされた音源が収録されている。そして、これらの音源がアーサー・ラッセルの代名詞的作品にして最高傑作『World Of Echo』の基盤となった2つのソロ・ライブ・パフォーマンスであるという点において、彼の審美眼に対する理解を更に追求するための必聴盤と言える作品となっている。
ミニマリズム・ドローン音楽の先駆者としても知られる、NY実験音楽の巨匠フィル・ニブロックが、アーサー・ラッセルと共に企画・プロデュースし、Experimental Intermedia(フィルがディレクションを務める、NY拠点の前衛音楽財団)にて録音が行われた本作は、アーサーが1984年に行った『SKETCHES FOR WORLD OF ECHO』と、1985年の『OPEN VOCAL PHRASES WHERE SONGS COME IN AND OUT』と題された、2つのソロ・パフォーマンスが未編集のまま収録されている。この2つのパフォーマンス音源が基盤となり、Battery Soundで録音されたスタジオ音源やヴォーカルと統合されて完成したのが、彼にとって生涯初となるフルレングスのソロ作品として1986年に発表され、現代音楽家としての評価を決定づけた『World of Echo』である。
未発表音源を含む幻のライブ・アルバムとしてリリースされる本作は、2枚組CDと2枚組LPにて、それぞれ内容、タイトル、アートワーク共に異なる形で発売。2枚組CDでは、初のCD化となる『SKETCHES FOR WORLD OF ECHO』と、初のリリースとなり、未発表音源を含む『OPEN VOCAL PHRASES WHERE SONGS COME IN AND OUT』の全パフォーマンスを収録。2枚組LPでは、CDと同じく初リリースの『OPEN VOCAL PHRASES WHERE SONGS COME IN AND OUT』全パフォーマンスが、Side1からSide3までに収録され、Side4では、『SKETCHES FOR WORLD OF ECHO』のパフォーマンスから「Changing Forest」と「Sunlit Water」を収録。
輸入盤CD、LP共にフルカラーのインサートと、アーサー・ラッセルのアーカイブを数多く手掛ける〈Audika Records〉の創設者、スティーブ・クヌーソンによるライナーノーツが封入され、さらに国内仕様盤CDと帯付仕様LPには、別途日本語解説書が封入される。
Merzbowこと秋田昌美が1996年に録音した、彼の広大なディスコグラフィの中でもあまり知られていない一作『The Prosperity Of Vice, The Misfortune Of Virtue』。マルキ・ド・サドの小説に着想を得た演劇『悪徳の栄え/美徳の不幸』のためのサウンドトラックとして制作され、彼が映画や舞台の音楽に取り組んでいた1990年代の一端を示す作品でもある。ノイズの壁のような音から、空間的でリズミカルな構成まで、彼の音響世界を粒子レベルで解体し、普段は全体に飲み込まれてしまうような細部の表現に焦点を当てたような内容で、もともとは限定流通で出されたレア音源が、リマスター&未発表トラック1曲を追加してこの度めでたくリイシュー!彼のもう一つの顔が垣間見える貴重な記録。
ヴァイオリンの即興演奏と電子音響による金沢在住の島田英明によるソロ・プロジェクト、Agencement。そして徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbowによるコラボレーション作品。
Agencement名義にて、Merzbowとのコラボレーションアルバムをリリースしました。永らく連絡を取っていなかった秋田昌美さんと、数年前から検討していたコラボレーションアルバムのレコーディングを昨年秋に完了し、ようやくCDをリリースしました。本アルバムはデジタルのみのリリースではありません。ぜひ、CDをお手に取って聴いてください。
2025年リプレス!Nurse with Wound list掲載の裏アンビエント超名盤。1967-79年の音源を集めた79年リリースのRobert Ashleyの初期音源集が遂に待望のアナログ・リイシュー!ASMR的な側面からもレコメンドできそうな一枚。カットアップされる電子音、電子変容した人声、浮かび上がってくる微かなメロディによって、静謐で深遠な音響が淡々と縁取られていきます。細微な変化や経過の様子は間違いなくフェチズムを擽ることでしょう。
2025年リプレス!米国現代音楽史にその名を刻む孤高の作曲家、Robert Ashleyが1977年に残した天上美ミニマル・ポエトリーな名盤!アルヴィン・ルシエ、デイヴィッド・バーマン、ゴードン・ムンマと共に伝説的エクスペリメンタル・ミュージック・コレクティブ、Sonic Arts Unionとしても活動したアシュリーのキャリアの中でも最も重要とされる名盤。1977年にミルズ・カレッジのCenter for Contemporary Musicでの録音で、Lovely Musicにも多くの作品を残している名演奏者、”Blue" Gene Tyrannyによるピアノやポリムーグ、クラビネットの澄み渡る調べに乗せて、Krishna Bhattのタブラが流暢に鳴り響き、アシュリーの霊性溢れるポエトリーが淡々と重ねられていく至極美しい天上ミニマル・ニューエイジ大傑作。
既に版元完売、お見逃しなく。ギターとコンピューターで無二のエレクトロニック・サウンドを創出するフェネス、約5年半ぶりのニュー・アルバム『モザイク』。おそろしいほど精緻に構築された音像が途方もなく美しい無比の傑作
これはフェネスのこれまででもっとも内省的なアルバムである。2023年末に作曲・録音され、2024年夏に完成した。フェネスはこの4年間で3つ目となる新しいスタジオ・スペースを開設した。さしあたっての構想はなく、今回は厳格な作業ルーティーンでゼロからスタートした。朝早く起きて正午まで作業をし、ひと休みしてまた夕方まで仕事をした。最初はアイデアを集め、実験し、即興で演奏するだけ。その後、作曲、ミキシング、修正。しかし、タイトルは早くから決まっていた。『モザイク』だ。それは、要素をひとつずつ配置して全体像を構築するという、ピクセルが一瞬でそれを行うようになる以前の、旧式の画像作成技術を反映したものだった。
『モザイク』は、その名前が示す通り、繊細かつ複雑なアルバムで、音の断片をつなぎ合わせて広大で没入感のあるものにしている。まるで忘れられた記憶を復元するかのように、あるいは、音のモニュメントを構築するかのように、フェネスは細心の注意を払い、ほとんど瞑想のようなプロセスでこの作品を一層一層、組み立てた。
『モザイク』は、多様な影響と、リスナーによって探求される複数の可能性を備えた、映画的で非常に魅力的で美しいスコアである。
『モザイク』でフェネスは、彼が単なるミュージシャンではなく、音の建築家であることをふたたび証明した。たとえ一瞬であっても、エーテルに溶け込む前に、われわれが生息するための世界を作り上げている。科学と夢が出会い、精密さと詩が出会い、音そのものがわれわれを再発見へと誘う古代の言語となるアルバムだ。まさに珠玉だ!
オリジナルは1960年録音、1965年リリースのSun Raのシカゴ時代最後期のアーケストラを捉えた作品『Fate in a Pleasant Mood』が〈PAROLE〉より再発。10年以上過ごしたシカゴに見切りをつけ、モントリオールを経てニューヨークへ拠点を移す直前の録音で、まさに転換期のサン・ラーを象徴するような一枚。内容的には、バラードからビバップ、フリージャズ、デューク・エリントン的ハーモニー、12小節ブルース、さらにはクライム・ジャズやチャチャまで幅広くスタイルがめまぐるしく行き交う万華鏡的な構成だが、それでいて、当時のサン・ラー作品の中では比較的とっつきやすい一枚となっている。とりわけ印象的なのは「Space Mates」におけるジョン・ハーディと思われる控えめで創造的なドラムソロで、宇宙的な空間とリズムの余白を強調するようなアプローチが新鮮。続く「Kingdom of Thunder」では、マーティン・デニーやアーサー・ライマンのエキゾチカを彷彿とさせる音作りが登場し、いわば土星風エキゾチカとでも言いたくなる不思議な味わいを放っている。サン・ラーがまだ“地球に片足を残していた時代”の最終章として魅力的なアルバムで、混沌としたジャンル越境が同居しながらも、どこかリリカルで親密な一枚。
Prince Far I のセルフタイトル・デビュー作『Psalms For I』が〈Lantern Rec.〉より再発!本作は、1976年にプロデューサー Lloydie Slim のもと、名門 Randy's Studio で録音された一枚で、ほとんど朗読といってもいいような独特のトースティング・スタイルと、カリスマ的なダミ声を武器に、彼の存在感を世に知らしめた重要作。収録された9曲はタイトルは全て讃美歌で、内容は詩篇や「主の祈り」をもとにしたもの。多くのリズム・トラックはThe Aggrovatorsによって演奏されている。中でも「Psalms 53」は、Lee "Scratch" Perry が手がけた「Mighty Cloud Of Joy」のリディムを使用。瞑想的かつスピリチュアルな空気をたたえたこのアルバムは、Prince Far Iの名を確固たるものにした傑作。なお、今回の再発は完全ライセンス取得済で、500枚限定プレス。お見逃しなく!
オーネット・コールマンが1972年に発表したアルバム『Science Fiction』が〈ENDLESS HAPPINESS〉より再発。本作は彼の創造的再出発とされる重要作で、チャーリー・ヘイデン、ビリー・ヒギンズとエド・ブラックウェルとの共演により、伝統的なサウンドと未来のサウンドを融合させた異世界的でエネルギッシュな作品になっている。スペーシーで長尺の旋律やリズムを基調に、インド人シンガーのアーシャ・プスリが参加した2曲は別の宇宙のポップスとでもいったような仕上がり。アラブのダブルリード楽器“ミュゼット”が登場する「Rock the Clock」など、実験性に富んだ内容。
1964年にジャマイカのローカル・レーベルである〈Soulsville Center〉からひっそりとリリースされていた幻のコンピレーション『Fly Flying Ska』が、イタリアを拠点とし、主に1960年代から1980年代にかけてのレアなジャマイカ音楽のリイシューを手掛ける〈Kids Of Yesterday〉より待望のリイシュー!!本作は、スカ黄金期を象徴するアーティストたちが一堂に会した貴重な音源集で、中心を担うのは、Prince Buster。彼の未発表曲を含む5曲が収録されており、彼の独創的なプロダクションとグルーヴが存分に味わえる。加えて、The Maytals、Don Drummond、Roland Alphonso、The Skatalites、Millie Small & Roy Panton、Owen Grayら、名実ともにジャマイカ音楽史を彩った名手たちが名を連ねる豪華な内容となっている。
1970年代後半にルーツレゲエからダンスホールへの移行を促した重要人物Nkrumah Jah Thomasが自身のレーベル「Midnight Rock」の40周年を記念して2021年に制作した傑作コンピレーション『Midnight Rock's Secret Tapes LP』が〈Radiation Roots〉よりめでたくリイシュー!Jah Thomasは2000年代以降も精力的に活動し、Channel OneのRoots Radicsの曲をリメイクしたり、King Jammy'sやBlack Scorpio、Mixing Labなどのスタジオで新しい作品を制作している。本作では過去のテープから未発表の10曲を発掘し、オリジナルボーカルや新たなゲストを迎えた作品を作り直した。ルーツ・メッセンジャーのルチアーノやダンスホールの大御所スーパーキャット、甘い歌声のコートニー・メロディ、そしてJah Thomas本人も参加。さらに、ピンチャーズとジョジー・ウェールズのコラボ曲や、ブジュ・バントンが共同プロデュースしたトニー・カーティス、ゴースト、ミッチの曲も収録。ダンスホール好きにはたまらない豪華な顔ぶれが揃っている。
ノルウェーのアンビエント・デュオ、Deaf Centerが長い沈黙を経てリリースする新作『REVERIE』が〈SONIC PIECES〉より登場。今回は、2024年10月にベルリンのMorphine Raumで行われたライブ音源を収めた2曲入りの作品で、ピアノのOtto A Totlandと、ギター/チェロ/エレクトロニクスのErik K Skodvinによる即興演奏で、約5年ぶりの共演となった。「Rev」は、深くエフェクトがかかったピアノの反響音がループと電子音の中で変化しながら広がっていく、陶酔的で幻想的なサウンドスケープ。一方「Erie」は、ピアノとチェロによる静かなデュオから始まり、やがて重厚なオルガン・ドローンへと移行。終盤には再びピアノの旋律が現れ、静かな哀しみに沈んでいく。全体として、Totlandの叙情的な旋律とSkodvinの抽象的な音響処理が対比しながら溶け合い、「光と影」「静と動」の緊張感を生み出している。Deaf Centerの次なる章を予感させる一枚!
Novisadの2001年リリースのセカンド・アルバム『Seleya』が、2004年録音の未発表ボーナストラックを追加し、Andreas LubichのLoop-O Masteringによる新たなバイナルカッティングを施され〈Keplar〉より待望の再発!Kristian Petersによるこの作品は、音楽制作ツールであるAbletonやEurorackが台頭する以前の時代に作られた13のループベースの小品で構成されており、当時の限られた機材やソフトウェアが持つクセや粗さまでも音楽的な味わいとして昇華させた名作。鋭くジャギーなトーン、静かにぶつかり合うループ、不意に訪れる微細な不協和音——それらが編み上げるのは、無機質でありながらもどこか感情を孕んだ、壊れやすい繊細な電子音による風景で、明確な構造やジャンル感に縛られず、試行錯誤の過程そのものが美として響いてくるような佇まいが魅力的。00年代初頭のデジタル音響への純粋な好奇心と、技術的な制約ゆえのユニークな表現が共存する本作は、不完全さのなかに宿る親密さと、繊細でメランコリックな空気をまといながらも自由で探究的。移り変わる時代のはざまの一瞬の美しさをそっと掬い取ったような作品。

フィンランド出身の実験的電子音楽家であり、Pan Sonicの片割れ、Ilpo Väisänenが〈Mego〉よりCDで発表していた2001年作『Asuma』が、Rashad Beckerによるマスタリングの万全仕様で、〈Editions Mego〉から初のヴァイナル・リイシュー!Pan Sonicの強烈なノイズ/ミニマル・エレクトロニクス路線から少し距離を置いた本作は、ドローン、リズム、クリック音、アンビエンス、ダブが静かに交錯する、より内省的で抽象的な電子音楽。鋭い実験精神とフィンランドの風景や静寂が音に滲み出たような自然に溶け合うような感覚が同居しているのが特徴的で、どの曲も一筋縄ではいかず、Pan Sonicの影を感じさせつつも、もっと曖昧で不可解な空間に誘われる。電子音楽の極北を探るような名盤!

音の社会的・詩的な側面に着目しながら、ジャンル横断的なアプローチで作品を制作する、アルゼンチン出身で現在はバルセロナを拠点とするNicolás Melmannの『Música Aperta』が〈Umor-Rex〉より登場!本作は、アコースティックとエレクトロニクスが溶け合う3部構成の作品で、柔らかい質感の音とザラついたテクスチャが繊細に絡み合い、ゆっくりと時間の中に沈んでいくような構成になっている。サティの影響を感じさせつつ、アルヴォ・ペルトの静謐さ、フィル・ニブロックの粗さ、リチャード・スケルトンのノスタルジックな雰囲気も重なるようなサウンド。“家具の音楽”という発想にインスパイアされた、静けさと内省を促すようなリスニング体験を作り出している。

2008年にSpencer Clarkの〈Pacific City〉からカセットでリリースされていた幻の音源が、長い時を経てようやく再発。Spencer ClarkとJames Ferraroによるスプリット作で、それぞれが別名義や多様なプロジェクトで活動していた、創造性が爆発していた時期の貴重な記録。A面はFerraroによる「Angel Snake」名義。木質の打楽器と、歪んだキーボードのレイヤーが朧げに絡み合い、ノイズに包まれた夢のようなサウンドスケープ。B面はClarkの「Monopoly Child Star Searchers」名義。霞がかったパーカッションと煌めくシンセが織りなす、彼らしい浮遊感たっぷりの音の旅。
ギリシャ・アテネを拠点に活動するサウンド・アーティスト、Panos Alexiadisによる新作『Cestrum Nocturnum』が〈B.A.A.D.M.〉より登場。喪失と再生をテーマにした静かな瞑想のようなエレクトロ・アコースティック作品で、ピアノのセルフサンプリング、断片的な声、フィールドレコーディング、儚いデジタルの痕跡などを重ねて構成されており、音のテクスチャは記憶のように層を成しながら、ぼやけた輪郭の中に余韻を残していく。全6曲、暖かくもかすかな光を湛えた音の織物のように展開し、存在の循環性や、暗闇の中にひっそりと息づく美しさを描き出す。

UKダブの総帥エイドリアン・シャーウッドが、13年ぶりとなるソロ名義での新作『The Grand Designer』をリリース!変異し続けるリズムと音響の地層が交錯するこの4曲入りEPは、〈On-U Sound〉が誇るロングラン人気シリーズ「Disco Plate」の最新章として放たれる。
タイトル曲「The Grand Designer」は、今年の夏にリリース予定のニュー・アルバム『The Collapse Of Everything』の予告編とも言える一曲。シャーウッドのエフェクトにろ過された様々な楽器音が、抗えないグルーヴと緻密なパーカッションの上で蠢く。
「Let’s Come Together」では、同じリズムが神秘的なダブへと変貌。盟友にして惜しくもこの世を去った伝説的アーティスト、リー・スクラッチ・ペリーが、常軌を逸したヴォーカルで空間をねじ曲げる。ソロ名義では久々のリリースとなるが、この十数年、シャーウッドはプロデューサーとしてジ・アップセッターズ、ホレス・アンディ、パンダ・ベア&ソニック・ブーム、アフリカン・ヘッド・チャージ、スプーン、クリエイション・レベル、ピンチらとの共作で高い評価を得てきた。
「Russian Oscillator」では、シャーウッド&ピンチ名義の作品群に最も近い空気感が展開されている。実験的エレクトロニクスと重厚なサウンドシステム感覚、そしてダンスホール的スウィングが絡み合う。
ラストを飾るのは「Cold War Skank」。灼けた砂漠のブルースにスライドギターの歪んだフレーズが滲み、シネマティックな空間を描く異形のサウンドスケープ。
本作は、グラミー賞にもノミネートされたマスタリング・スタジオ、フランク・メリットによってマスタリング&カッティングされた限定10インチ・ヴァイナルとしてリリース。〈On-U Sound〉の伝統を受け継ぐディスコ・プレート・スリーブに、Studio Tape-Echoによるコラージュ・アートが彩りを添える。
Ron Trentが2025年にグローバルツアーへ復帰するのにあわせ、過去10年にわたり録りためられてきた未発表音源を軸に構成されたアルバム『Lift Off』が〈Rush Hour〉より登場。1990年の衝撃的デビュー作『Afterlife EP』から約35年、トレントは“想像力そのものに語らせる”ことをコンセプトに、これまで自らの音楽観を形づくってきた多彩な影響を自由に行き来しながら、ダンスミュージックの現在と未来を思い描いている。リズミックかつハーモニックな豊かさ、職人技のアレンジ、そしてパーカッションや温かな鍵盤群による空間演出が、バレアリック、ジャズファンク、R&B、ニューウェーブ、そしてポスト・ディスコなど、多様なスタイルとスピード感で展開される。ロウからミッドテンポまで幅広く、単に「ダンス」へと回帰するのではなく、それを再定義しようとする姿勢が際立つ。特筆すべきは、ディスコ/ブギー界のレジェンドLeroy Burgessがヴォーカルで参加した「Let Me See You Shining」。シンセファンクとディープハウスが融合したようなこの楽曲は、80年代NYのエネルギーとトレントの現代的なプロダクションが交差する、まさに世代とジャンルを超えた邂逅だ。Ron Trentが見据えるダンスの未来を、そのまま体現するような傑作。

〈Not Not Fun〉からのリリースでも知られるBaptiste MartinことLes Hallesの新作『Original Spirit』がベルギーの〈STROOM.tv〉から登場。彼が友人たちへ送った「僕は2024年10月1日、マヨルカのSon Llàtzer病院に精神的ショックで入院した」という小説の冒頭のようなPDF形式の手紙という個人的な出来事。この出来事を経て完成した本作は、彼の内面世界を直接語る記録ではなく、むしろその混沌のなかでかすかに見えた“原初の魂=Original Spirit”の存在を信じる音のスケッチ。ヒプナゴジックなポップやアンビエント、繊細なグリッチ電子音を交えながら、“存在しなかった過去”を懐かしむような、不思議な透明感と安堵感に包まれている。まるで色彩の風景の中を彷徨う抽象的な無の気配、物質世界を超えて揺らめく“希望のさらに向こう側”の音。Les Hallesなりの再生の祈りというべき一作。
