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デトロイトの〈Echospace〉を率いるcv313と、アナログ質感の精密なダブ処理で知られるFedersenが組んだ、デトロイト・ダブテクノの深層と、現代的なミニマル・ダブの精度が交差する12インチ『Altering Dimensions Part Two』。重いサブベースと泡立つパーカッションがゆっくり沈み込み、霧のようなエコーが層を作り、空間そのものが呼吸しているようなダブ処理が重なる。ビートレスな楽曲も収録し、4つの「次元」をそれぞれ異なる角度で描く構成も魅力的。cv313の多層的で深い空間処理と、Federsenのアナログ的な質感が自然に融合した、2026年ダブテクノの中でも特に完成度の高いコラボ作。

パプア・ニューギニアでのバンブー・フルートの名録音でも知られる録音技師のRagnar JohnsonとRalph Harrissonが1971年にエチオピア各地を巡りながら録音したフィールド音源を、丁寧なリマスターを施しまとめたアーカイブ2LP『Ethiopian Musics 1971 - Recorded by Ragnar Johnson and Ralph Harrisson』。Addis Ababaの猥雑なバーでの民謡演奏から、エチオピアン・ハープによる正教の宗教歌、Afar砂漠のチャント、Anuakのサンザ、Nuerのハープとダンス・ドラムまで、都市・砂漠・国境地帯の音が幅広く収録されている。深い祈りや民謡の生命力、旋律というより風と同化しているのかのようなフルートなど、どの録音にも、当時の空気、土地、人々の実態がそのまま刻まれている。50年以上前の録音ながら、リマスターによって細部の質感が鮮明に立ち上がり、エチオピアの多民族文化が音の地層として積み重なる重要な再発。

Bound By EndogamyとFelix Kubinが、偶然の出会いとセッションを経て完成させた、電子ポストパンク、ミニマル・シンセ、アヴァン・ポップが濃縮されたコラボ7インチ『Stück I / Stück II』。金属的なシンセの反復とぎこちなく揺れるリズムを中心に、冷たい電子音の中に、Bound By Endogamyの声が響く。Felix Kubinの奇妙な未来感と、BBEの湿った身体性が自然に交差する仕上がりの「Stück I」。農薬を讃える祈りという倒錯したコンセプトで、祈りのように反復するフレーズと、ざらついたアナログ電子音がゆっくり波打ち、祝祭と汚染が同じ場所に置かれているような音像が広がる「Stück II」を収録。ユーモラスで奇妙な未来性と、暗く湿ったエネルギーが刻まれた一枚。

モーリタニアの名門音楽一家Ahl Nanaの中心人物、Yassine Nanaが1984年から1989年に残したカセット音源を丁寧に復刻したコンピレーション『Modern Pop from Mauritania (1984–1989)』。砂漠の伝統音楽と80年代の電気化が交差する変革期のモダン・ポップを鮮やかに伝えるもので、乾いたギターのトーン、素朴で温かいシンセ、軽やかなドラムマシンのステップが重なり、サハラの旋律感とレゲエ、ソウル、ニューウェイブの影響が自然に混ざり合う。反復するメロディの中に 旅の途中で聴こえる歌のような郷愁が漂い、家族の声が重なるコーラスはローカルな温度をそのまま運んでくる。電気化の導入がまだ新しかった時代の手探りのモダニティが、どの曲にも刻まれている。地域内だけで流通していたカセット音源を現代的な音質で聴ける貴重な復刻盤。伝統と電気化、パン・マグレブ的交流が同じフレームに収まった、80年代モーリタニア・ポップの重要な記録。

モーリタニアの名門音楽一家Ahl Nanaの中心人物、Yassine Nanaが1984年から1989年に残したカセット音源を丁寧に復刻したコンピレーション『Modern Pop from Mauritania (1984–1989)』。砂漠の伝統音楽と80年代の電気化が交差する変革期のモダン・ポップを鮮やかに伝えるもので、乾いたギターのトーン、素朴で温かいシンセ、軽やかなドラムマシンのステップが重なり、サハラの旋律感とレゲエ、ソウル、ニューウェイブの影響が自然に混ざり合う。反復するメロディの中に 旅の途中で聴こえる歌のような郷愁が漂い、家族の声が重なるコーラスはローカルな温度をそのまま運んでくる。電気化の導入がまだ新しかった時代の手探りのモダニティが、どの曲にも刻まれている。地域内だけで流通していたカセット音源を現代的な音質で聴ける貴重な復刻盤。伝統と電気化、パン・マグレブ的交流が同じフレームに収まった、80年代モーリタニア・ポップの重要な記録。

Chastity BeltのメンバーであるJulia ShapiroとエンジニアSamur Khoujaによる新ユニットGuest Bartender Deborah Toyotaによる、赤ちゃんが初めて音に出会うための音楽というコンセプトで制作された、乳児期の言葉や記憶が形成される前の空間を音で描くアンビエント作品『Music for Babies』。 Shapiroのメロディックな感性と、Khoujaの緻密な音響構築が交差し、子守唄とアンビエントに静かな実験精神がかすかに漂う独自の領域。柔らかいシンセ、丸みを帯びた電子音、布のように軽い音のレイヤーがゆっくりと重なり、どの曲も触れても痛まない質感で統一されている。ミニマルな構成の中で音が静かに明滅し、薄いカーテン越しの光のような柔らかさが漂う。赤ちゃんのための音楽というコンセプトを真っ直ぐに形にしつつも、大人が聴いても音の細部の美しさが楽しめる、丁寧な仕上がりの一枚。

NYのデュオNuke Watchが2024年に複数の現場で行ったライブ的セッションの断片からなる、集団即興とサイケデリック、フリーフォーム・フュージョンという彼らの現在地がもっとも生々しく記録された最新作『Fusion』。ビートは崩れたり立ち上がったりしながら、サンプルの断片、管楽器の鋭いフレーズ、電子音のざらつきが常に形を変えて絡み合う。不穏なパーカッションとサイケデリックな電子音がじわじわと変異するグルーヴを形成し、反復しながらも毎瞬違う表情を見せる。長尺の自由即興が続く部分は、精神の迷路のような音像で、ノイズ、管楽器、電子音が都市の深夜放送を切り替えるように連続する。King CrimsonやTony Williamsの精神性を参照しつつ、DIYアヴァンギャルドとフュージョンの複雑さが奇妙に混ざり合う、実験性の高い一枚。

東京拠点のプロデューサーRGLが、自身の音楽性のもう一つの側面を提示したカセット作品『Untitled』。ローファイ・ハウスやアナログ質感のダンス・トラックで知られる彼だが、本作ではビートのあるトラックと抽象的なアンビエント、ドローン が同じ地平で並ぶ。全8曲は、アナログ的なざらつきや微細なノイズが空気の中に漂うような、質感そのものを聴かせる構造が中心。ビートのある曲では、ローファイ・ハウスの温度感を保ちながらも輪郭が柔らかく、深夜の街を歩くような静かなグルーヴが続く。一方で「IV〜VI」ではビートが消え、音の粒子がゆっくりと浮遊する。都市の夜、遠くのネオンの光、そんな情景が自然と浮かぶような、RGLの質感への鋭い感覚を味わえる一本。

ポストハードコア・バンドthe north endのメンバーとしても知られる、東京を拠点に活動するアーティストFeLidによる、ギターの偶発性とアンビエント、ダブの音響処理を組み合わせたソロ名義2作目となるカセット作品『Magic Hour』。即興的に鳴らされるギターのフレーズが柔らかく揺れ、夕暮れの光がゆっくり変化していくような色彩感を帯びて進む。アンビエントの静けさ、ダブの空間処理、そして、細やかな編集による透明感が重なり、都市の片隅で立ち止まったときにふと立ち現れる、どこでもない世界を思わせる音像が広がる。

Yungwesbsterの『II』などの作品にも参加の、シアトル拠点のプロデューサーMatryoshkaによるデビュー・アルバム『Blasé Saint』。アンビエント、ダブテクノ、ダウンテンポを横断する濃霧のような深い音像は、低く沈むビート、霞がかったシンセ、遠くで揺れる環境音が重なり、まるで夜の都市を漂うような質感。繊細な音響処理と深い空間性、Burial、Shinichi Atobe、Space Afrika、Malibuらの系譜に連なる情緒的なレイヤーを併せ持ったエーテルのようなアンビエンスが、夜の静けさを照らす。マスタリングはRashad Beckerが担当。
![山本邦山 Hozan Yamamoto - 尺八とボサ・ノヴァ [ボサ・ノヴァ日本民謡集] Shakuhachi & Bossa Nova (LP)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/ddd372-1_{width}x.jpg?v=1779359471)
日本が誇る尺八奏者、山本 邦山氏とギタリストの沢田 駿吾氏のクインテットによる1969年の国産ボサジャズの大傑作。和の情緒溢れる選曲と華麗なモーダルジャズ的演奏で奏でられる和ボサノヴァの名演の数々ですが、とにかくエレガントで奥行きを感じさせます。華麗で上品な演奏が光る60s和ボサジャズの名演「A5. 黒田節」、「B4. 関の五本松」、クールな表情が渋い「A1. さのさ」など全編素晴らしい。
○ 世界初のアナログリイシュー
○ 180g重量盤
○ ジャケットは見開きティップオン(A式)仕様 / 帯付き
○ 解説は尾川雄介(UNIVERSOUNDS / Deep Jazz Reality)氏が担当 [日本語/英語]
トラックリスト:
SIDE A
1. さのさ
2. 木曽節
3. ひえつき節
4. 小講馬子唄
5. 黒田節
6. 山中節
SIDE B
1. 佐渡おけさ
2. よさこい節
3. 五ッ木の子守歌
4. 関の五本松
5. さんさ時雨
6. 刈干切唄
![山本邦山 Hozan Yamamoto - 尺八とボサ・ノヴァ Vol.2 [ボサ・ノヴァ日本民謡集 第二集] Shakuhachi & Bossa Nova Vol.2 (LP)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/ddd373_{width}x.jpg?v=1779360824)
日本が誇る尺八奏者、山本 邦山氏とギタリストの沢田 駿吾氏のクインテットによる1969年(あるいは1970年)録音の国産ボサジャズの大傑作。和の情緒溢れる選曲と華麗なモーダルジャズ的演奏で奏でられる和ボサノヴァの名演の数々ですが、とにかく全編がエレガントで奥行きを感じさせます。興味深いのは、第二集がよりジャジーでそのクオリティも第一集に勝るとも劣らない点。エレガントな60s和ボサジャズの名演「A1. 安来節」、「B3. 斉太郎節」、「B2. 博多節」、美しくジャジーな「A2. 伊那節」など全編素晴らしい。とにかくすごい1枚です。
○ 世界初のアナログリイシュー
○ 180g重量盤 / 45回転仕様
○ ジャケットはティップオン(A式)仕様 / 帯付き
○ 解説は尾川雄介(UNIVERSOUNDS / Deep Jazz Reality)氏が担当 [日本語/英語]
トラックリスト;
SIDE A
1. 安来節
2. 伊那節
3. おてもやん
4. 相馬盆唄
5. 茶切節
6. 日光和来踊り
SIDE B
1. ソーラン節
2. 博多節
3. 来太来節
4. 郡上節
5. 三階節
6. 金比羅舟来

盟友たちの再会。それは伝説のコンボ、フリーダム・ユニティの再集結となった。グルーヴの魔術師たちが躍動する姿を捉えた歴史的名盤。
モダン・ジャズからフリー・ジャズまでこなし「良い演奏をしたいならトロンボーンはあいつを押さえろ」とまで言われた鈴木弘。日本のジャズ界で八面六臂の活躍をするが、1971年にアメリカに移住する。約4年振りとなる一時帰国の折りに録音した本作では、渡米直前に在籍したグループ、フリーダム・ユニティのメンバーが再集結した。これぞまさに伝説の第2章。鈴木弘、石川晶、村岡建、鈴木宏昌、稲葉国光とグルーヴの魔術師たちが奔放に躍動する様は圧巻。シャープな「Shrimp Dance」、ダイナミックな「Kuro To Shiro」、ソウルフルな「Walk Tall」、ディープな「Cat」、メロウな「Romance」。全曲が鮮やかなグルーヴで彩られたモンスター・アルバムである。
text by 尾川雄介(UNIVERSOUNDS/DEEP JAZZ REALITY)

Meditationsでもお馴染みの『Music for Saxofone & Bass Guitar』シリーズで知られる、Sam GendelとSam Wilkesによる人気デュオ・アルバム待望の第4弾がSam Gendelの自主レーベルより登場!今回はサックスとベースの組み合わせから離れ、ギターとシンセを中心にした新たなアプローチへと踏み出し、全8曲・約27分というコンパクトな構成ながら、短い連作による独特の世界を構築している。乾いた質感のギター、奇妙に歪んだシンセ、控えめなリズム。どの曲も大きな展開を持たず、音の手触りや配置の妙が静かに浮かび上がる。ふざけているようでいて、音の選び方は驚くほど緻密。LA実験音楽シーンらしい軽やかな奇妙さと、深夜のスタジオで録られたような密室的な空気が同居している。LPは500枚限定で、二人が自ら梱包・発送するというDIY的な制作体制も含め、作品全体にパーソナルな温度が宿る。ジャズでもエレクトロでもアンビエントでもない、「そのあいだ」にある音楽。卓越した演奏技術を持ちながら、それを引き算の美学として昇華させる、奇妙で愛おしいスケッチ集。限定500部

9月上旬再入荷(変更となりました)。USドゥーム・メタル ~ スラッジ ~ ストーナー・ロック系最高峰の名バンドことSleepが〈Tee Pee〉より2003年に発表していた、ヘヴィ・ロック史に捧ぐ究極の聖典ともいうべき一大傑作であり、98年3rd『Jerusalem』のロング・ヴァージョン完全版として発表された金字塔的アルバム『Dopesmoker』の〈Third Man Records〉からの2LPヴァイナル復刻盤!

スティーヴ・ライヒやグレン・ブランカ、シャルルマーニュ・パレスタイン、ローリー・シュピーゲルといった巨匠たちの名作を大胆にアップデートした『SOLO THREE』で一躍注目を集めた、現代ミニマル界の最重要アーティストErik Hall。Erik HallがMetropolis Ensemble、Sandbox Percussionと手を組み、オランダの作曲家Simeon ten Holtが生んだ、ミニマル音楽の中でも特に温かく、感情に寄り添う名曲「Canto Ostinato」を再解釈。反復するパターンが少しずつ形を変えながら進む原曲の魅力はそのままに、マレットの柔らかい粒立ち、ピアノの透明な推進力、アンサンブルの厚みが重なり、波紋が永遠に広がっていくようなミニマルの美しさがより立体的に浮かび上がる。静かに始まりながら、気づけば巨大な景色が広がっているような、ミニマル音楽ならではの時間の魔法が丁寧に描かれている。原曲の温かみ、現代的な音響とセンス、最高の演奏技術による精緻な演奏により実現した、Canto Ostinatoの新たな決定版とも言える1枚。
ドラマー Damon Cheの爆発的かつ変則的なドラミングでも知られる、アメリカ・ピッツバーグ出身のインストゥルメンタル・マスロックの代表的バンド Don Caballero の4作目にして、マスロック史に残る金字塔とされる名盤『American Don』。ギター2本+ドラムによる複雑なポリリズム、変拍子を多用した緻密な構造、それでいてメロディアスで開放感のあるサウンドは轟音よりも繊細な構築美が印象的で、前作までの荒々しいエネルギーから一転、より洗練されたポストロック的アプローチが際立つ作品となっている。

シカゴを拠点に活動した独学の作曲家で、ピアノを中心に膨大な量の楽曲を書き、自分の頭の中にある物語世界を音楽で表現していたアウトサイダー作曲家 Charles Joseph Smith。子どもの想像力と大人の作曲技法が混ざったような独特の世界観を持ち、音楽業界やアカデミックな世界の外側で誰にも知られることもなくひたすら自分の世界を作り続けた彼の、特に異彩を放つ楽曲をまとめた決定的アーカイブ『Charles Joseph Smith – Collected Works and War of the Martian Ghosts』。クラシック、SF、ミニマル、電子音楽、そして彼独自のストーリーテリングが混ざり合う非常にユニークな音楽性で、伝統的なクラシックの語法をベースにしながらも、構造は独特で、反復や奇妙なフレーズが続く。どこか懐かしく、しかし奇妙に歪んだ音の風景はどこにも属さない個人的なもの。頭の中の宇宙をそのまま音にしたような、唯一無二のアウトサイダー作品。

9月下旬再入荷。エクアドル系アメリカ人アーティストHelado Negroが2019年に〈RVNG Intl.〉から発表した、自身のルーツ、家族、移民としての経験を静かに見つめたパーソナルで温かなアルバム『This Is How You Smile』。柔らかなシンセとアコースティック・ギター、控えめなビート、囁くような歌声が溶け合い、ルーツであるラテンの香り漂うフォークとエレクトロニカが溶け合う音像を形成。静けさの中に深い感情が宿る楽曲が並び、まるで日記をそっと読み聞かせるような親密さがある。ポップなムードが絶妙に同居し、聴くほどに心の奥へ染み込んでいく。ジャケットもなんとも愛らしく、さりげなく柔らかい声で、重要なアイデンティティを歌い上げた名盤。
ボルチモア発のエクスペリメンタル・ロック・カルテットHorse Lordsが、ロックの枠を越えて進化し続ける最新作。ギター、サックス、ベース、ドラムがそれぞれ独立した周期で動きながら、ひとつの巨大な構造物として立ち上がる独特のアンサンブルは健在で、今作ではそこに初めて本格的なヴォーカルが加わることで、音の層に新しい呼吸が生まれている。反復するフレーズが少しずつズレ、絡み合い、やがてトランス感を生むプロセスは、ミニマルミュージックとポストパンクの鋭さが同時に走るような感覚。バスクラリネットやトロンボーンの低音が加わる場面では、音響的な厚みが増し、複雑な構造にもかかわらず強烈に身体を揺らすグルーヴが生まれている。知的でありながら、ライブバンドとしての生々しさも失わない、Horse Lordsの現在地を鮮やかに示す一枚。

Visible Cloaksが長年にわたり架け橋となってきた日本の環境音楽と現代電子音楽の対話を、さらに深く、広く押し広げた最新作『Paradessence』。80年代日本アンビエントの精神を、現代的な音響技術と抽象的なサウンドデザインで再構築した、14の精緻な音の彫刻といった趣きで、Visible Cloaksの核であるSpencer DoranとRyan Carlileに加え、尾島由郎、柴野さつき、Félicia Atkinson、LiftedのJoe Williamsら国境も世代も越えたコラボレーターが参加。彼らの存在が、作品に柔らかな有機性と、透明でハイパーリアルな電子音の両方をもたらしている。音は粒子のように生まれ、群れとして動き、空間に溶けていく。静寂すら音楽の一部として扱われ、気配として立ち上がる。Visible Cloaksがこれまで培ってきた音響的な精密さと、コラボレーターたちが持ち込む有機的な感性が交差し、デジタルでありながらどこか自然物のような質感を帯びたサウンドが広がっていく。

ラッパー、プロデューサーのIDKことJason Millsによる最新ミックスLP『Even The Devil Smiles』。自身の過去の収監経験や、早期釈放という人生の転機を背景に、生存・変容・裏切り・精神的葛藤・回復を描くもので、ハードなビートと内省的なリリックを融合。MadlibやNo I.D.といった大物プロデューサーとのコラボで、クラシックなヒップホップの質感と現代的なサウンドを併せ持っている。IDKが自身の過去と精神的葛藤を真正面から描いた個人的で内省的なヒップホップ作品。
真夜中の12時間を描く架空のバディ・コメディ・スリラー映画「Walk Don’t Run」のサウンドトラックとして構築された、〈Numero〉ならではのコンピレーション。深夜のダイナーでの逃走劇、盗まれたウッディワゴン、ビッグ・ディッパーのジェットコースター、そして午前3時のサーフセッション、そんな物語の断片が、60年代半ばのサーフ・ミュージック崩壊期に残されたデモ音源によって彩られていく。収録されているのは、Ry-Ko社の倉庫に眠っていた未発表デモを掘り起こしたものばかり。エコーのかかったギター、ゆるやかに揺れるテンポ、どこか夢見心地のバラード。サーフ・ノワールのムードをまとった音楽が、暗闇の中で静かに波打つ。 昼の太陽の下で輝くのではなく、プライベートビーチの奥でひっそり鳴り続けるような音楽。曲順は、まるで映画のシーンが連なっていくように構成で、ざらついた録音の質感が、物語の夜の旅をよりリアルにし、気づけばこの架空映画の世界に引き込まれてしまう。

声とモジュラー・エレクトロニクスを用いた映画的な作風で知られるRobert Aiki Aubrey Loweによる最新作『Manifestations In The Shadow Of An Uncertain Land』。本作は、Chris Marker『Sans Soleil』、Peter Watkins『Punishment Park』、カフカ『流刑地にて』といった映像・文学作品からの影響を明確に示し、映画音楽・政治映画・エレクトロアコースティック作品へのオマージュとして構想。政治的混乱、身体と精神に刻まれる重圧といったテーマが音の揺らぎ・沈黙・不協和として立ち上がる。低域のうねり、声の残響、ノイズの粒子が重なり、恐怖・厳粛さ・推進力が同時に存在する音響地形が形成される。Bernard ParmegianiやLigeti を思わせる質感が浮かび上がる。映像と文学の記憶を媒介に、現代の不確かさを音で測量するかのような一作。
