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作家本人の自主リリースCD版。独学でチェロを学び、関西を中心に活動しながら即興演奏から舞台音楽、現代美術家への音源提供などなど多岐に亘る活動を行い、近年は日野浩志郎(goat、YPY)とのDUOプロジェクト「KAKUHAN」や、オーストラリアのユニット「CS+Kreme」のアルバム『The Butterfly Drinks The Tears Of The Tortoise』にも参加するチェリスト、中川裕貴が発表する最新作『Stills and Remains』。すべての音をチェロ1台のみで構築した徹底した作品で、弓の摩擦、打楽器的ノイズ、深いドローン、微細な倍音という、チェロという楽器の枠を越え、電子音楽にも聴こえるほど多彩なテクスチャが立ち上がる。演奏者の身体の近さがそのまま音像に刻まれ、演奏という行為そのものを聴かせるような生々しさが印象的。楽器へのフェティッシュなまでの探求と電子音楽的な構成力のバランスが絶妙な極限のチェロ・ドキュメント。マスタリングはStephan Mathieu、録音は甲田徹が担当。微細な音の粒子までを逃さない本作のストイックな音響設計を補完する、完成度の高い一枚。

NY拠点のプロデューサーK Wataによるデビュー作『Give U Space』。Sustain Release 2025のライブ用トラックを起点に、スタジオで再構築された楽曲をまとめた作品で、〈Short Span〉が提示する広い空間と深い低域の美学を鮮やかに体現している。丸く沈むベースと控えめなキックがゆっくりと空間を押し広げ、微細なクリック音や柔らかいシンセが漂うことで、アンビエントとダブ・テクノが自然に重なる独特の音像が生まれている。ディレイやフィードバックの量が極端に丁寧に調整されていて、音の配置そのものが作品の魅力になっている。長尺のダブ処理が少しずつ形を変え、静けさとクラブの低域の圧が同じ速度で進む構造は、Rhythm & Sound以降のダブ・テクノを現代的に解釈したかのよう。アンビエント、ダブ、UKベースにまたがる充実作。
メキシコ出身のプロデューサーDebitが、〈N.A.A.F.I.〉に帰還して完成させた最新作『Potpourri』。ラテン・クラブの身体性と、アシッド・テクノの鋭い構造を大胆に融合させており、TB-303の荒れた倍音、乾いたパーカッション、跳ねるguarachaのステップが絶えず形を変えながら進み、クラブ・トラックの反復構造をあえて崩すことで、リズムが変形する瞬間の緊張感を前面に押し出している。Ziúrのミックスが加わることで、電子音楽的な鋭さとラテン・クラブの熱気が共存する独特の音像が生まれている。複数の文化・歴史・リズムを寄せ集めるのではなく、ひとつの器の中で強くかき混ぜるようなアプローチが印象的。ラテン・テクノの新しい形を提示する重要作。
コロンビア太平洋岸の伝統音楽を担うNidia GóngoraとCanalón de Timbiquí、そしてフランス拠点のトリオReco Recoが手を組んだ新プロジェクトNuevos Ríosによる、アフロ・コロンビアのルーツと現代的な電子音、アンプリファイド・サウンドを融合させたアルバム。アフロ・コロンビアの古層に息づくマリンバやパーカッション、コール&レスポンスの歌唱を核に、キーボード、ギター、ベース、ドラムが溶け合い、伝統と現代性が自然なかたちで交差。西アフリカからカリブ海、そしてヨーロッパのクラブ・カルチャーへと連なるリズムの系譜を感じさせながらも、祖先から受け継がれた儀式性と共同体の記憶を携えながら、新たな生命を宿した”川”のように流れ続ける、力強く催眠的なサウンドが広がります。
オリジナル・メンバーであるJ Mascis、Lou Barlow、Murphの再結成後、第3作目となる『I Bet on Sky』。1985年のデビューから四半世紀以上を経た彼らが、なお衰えることなく円熟と初期衝動が見事に同居した、Dinosaur Jr.屈指の名作。再結成後の作品群の中でも特に完成度の高い一枚であり、Dinosaur Jr.の長い歩みを象徴する現代的クラシックです。
民クルより愛をこめて。世界へ届ける民謡ラブレター。 国内外から強力ゲストを招いた、3年振り待望のニュー・アルバム!
福生の米軍ハウスで産声をあげ、日本の民謡とラテン・リズムの融合で新たな境地を切り開き、日本のみならずNPR、ザ・ガーディアンなど海外でも高い評価を受けている民謡クルセイダーズ。ライ・クーダーをして「これまで見た中で最高のバンド」と言わしめ、イギー・ポップもお気に入りのバンドとして名前を挙げている。
そんな彼らの3年振りとなる新作『日本民謡より愛をこめて』(英題:From Japan with Love)が到着。北米では名門ブルーノートからリリースされる。その名の通りバンドの民謡に対する「愛」がコンセプトとなった本作では、「北海盆唄」や「花笠音頭」、「しげさ節」、「伊予万才」など、全国各地の民謡で歌い継がれてきたかつての大衆の想いを、サルサやクンビア、アフロビートなど各国のビートと日本民謡を融合させた民クル節で熱くよみがえらせている。
さらに今作には初めてゲスト・アーティストが参加。日本からは元ちとせと朝倉さやが、そしてコロンビアからは盟友Frente Cumbieroがフィーチャリングされている。お互いが相乗効果を生みまくったサウンドはバンド史上最大級の拡がりを見せ、世界中で日本民謡を布教してきた民クルの面目躍如たる仕上がりとなっている。
NPR「Tiny Desk (home) Concert」への出演、ドキュメンタリー映画『ブリング・ミンヨー・バック!』の公開、そして2022年以降で20か国60公演以上を行ってきた海外ツアーなど、国内外で日本民謡という名のラブレターを送り続けてきた民謡クルセイダーズ。もはやゾーンに入ったといっても過言ではない民クルが、愛で世界をYOI YOI踊らせる!
蓮沼執太、石塚周太、itoken、尾嶋優、斉藤亮輔から成る蓮沼執太チームが、結成17年を経てリリースした初めてのスタジオアルバムをクリアヴァイナルでリリース!
ツインギター、ツインドラムのベースレス編成による蓮沼執太チームは、これまでライブパフォーマンスを主軸に不定期ながら継続的な演奏を重ねてきました。『TEAM』は、そうした時間の蓄積の中で得た手応えを一過性の体験に留めず、音楽として記録することを目的に制作されたものとなっています。ポストロックバンドTortoiseの楽曲"Seneca"のカバーや、蓮沼執太フィルの代表曲"ZERO CONCERTO"を再構築したセルフカバーなど全7曲を収録。録音は葛西敏彦、ミックスはTortoiseのJohn McEntire、マスタリングはDave Cooley、アート・ディレクションは前田晃伸が担当。蓮沼執太チームの現在地を確かに刻む一枚となっています。
Artwork 00740 by SERRAGLIA, courtesy of the Artist and Galleria Heino (Helsinki)
■収録曲目:
SIDE A
1. TEAMWORK
2. United Tee
3. Seneca
4. Gakona
5. Triooo - VOL
SIDE B
1. ZERO CONCERTO
2. BLACKOUT

10月中旬再入荷。美術家・大竹伸朗が、その美術家のキャリアを始める以前にやっていた音楽ユニットJUKE/19.の全作品アナログ・リイシューは各方面で話題になりましたが、続いてこの夏、大竹伸朗の稀代の音楽作品、ダブ平&ニュー・シャネルの新作を発表することになりました。この演奏は、2022年国立近代美術館から始まった大竹伸朗展の巡回最終日、富山県美術館館内で行われたダブ平&ニュー・シャネルの演奏をアナログ3枚、CD2枚に収めたものです。
ダブ平は1996年にデストロイ・オール・モンスターズの来日公演でパズル・パンクス(ヤマタカEYE+大竹伸朗)が共演した際に初登場した遠隔操作無人ギタリストで、その後、「新生バンドメンバーに、廃棄品の按摩器モーターと組んだ改造ベース(ボブ)、ギア・モーターによる2ndギター(エイジ)、排水用噴射ポンプ+滑車と複数のマッサージ器と連動するドラムス(アダム)を加えた「ステージ一体型4人編成ロックバンド」としてパワーアップ、1999年の「時代の体温展」で”ダブ平&ニューシャネル”として登場以来、さらに無人遠隔操作メンバーを加えながら発展し、大竹音楽作品を代表する存在として知られています。
今回の演奏では大竹とJUKE/19.をやっていた遠山俊明が自作の改造楽器を持ち込み、ダブ平&ニューシャネルの演奏に乱入し、その演奏はそれまでのダブ平&ニューシャネルだけではありえない、驚愕の音世界に突入。JUKE/19.から始まる大竹音楽の歴史が一気に凝縮され異次元に突入したような強烈なものになりました。この日のライヴをJUKE/19.リイシュー・チーム(監修:湯浅学+円盤、リマスタリング:宇波拓)でさらにパワーアップしたのが本作です。
装丁も内容もアナログとC Dでは異なったものになっています。アナログの装丁は前代未聞、B倍版ポスターを3つに裁断、それぞれ手刷りのシルク多色刷りデザインを施したものに、3枚のレコードをそれぞれ収納し、クリア・ケースに収納するというとんでもないものになります。すべてをつなげるとB倍版の大竹シルク・ポスターになります。CDも箱ケースに多数のカードが収録されたものになります。
アナログでは、ポータブルとか軽いプレイヤーだと針が吹き飛ばされていいから低音爆音ぶっ込んでくださいと依頼。CDではアナログとは特性の違う超低音、超高音も。とにかく今時こんなもの作らない、驚愕の音に仕上がりました!ブツも音も! 音盤作品としては高価なものになりましたが、これでもギリギリまで押さえ込んだ価格です…。音楽作品+美術作品として、それだけのものには仕上がっておりますのでよろしくお願いします。家宝に、ぜひ!

モンゴル出身の音楽家Ts Bayandalaiが、遊牧民として育った原風景と現代のポストロック、実験音楽を結びつけたフルアルバム『Wind of Oirat』。馬頭琴、ホーミー、オックスホーンといった伝統的な音色に、ギターの長い残響や控えめなドラム、環境音のレイヤーが重なり、自然の気配と構築的なサウンドデザインが重なり合っていく。草原の風、川の流れ、動物の気配といったモチーフが、電子音やミニマルなリズムと結びつくことで、独特の音像を形成。サックスや馬頭琴の倍音が空間を震わせ、どこまでも開けた自然の中に音が広がっていくような開放感と、儀式的な厳粛さ、ポストロック的なクールな構築感が自然に共存している。風景としての音楽を鮮明に体現した、アジアの伝統と現代を繋ぐ、注目すべき一枚。

D’Angelo、Erykah Badu、Portishead、Talk Talkなど、2000年代初頭のエレクトロニカやトリップホップ、ネオソウルへの愛情を軸に、曇った空気感とローファイな質感をまとったLavurnの『Baby it Cold Outside』が、Cancer Houseを発掘したL.A.のインディ・レーベル〈Motion Ward〉より登場。ざらついたビート、湿度を帯びたヴォーカル、薄いシンセのレイヤー、ときおり挟まれるテープのようにくぐもった処理が重なる曇りガラス越しの音像。歌ものとしての親しみやすさと、レーベル特有のローファイな電子音のニュアンスが自然に溶け合う、夜のポップス。

シカゴのポスト・ロック、スロウコアの伝統を現代に繋ぐ新鋭、Cancer Houseのデビュー作『The Moth』。静かな緊張感と構築美を土台に、Carolineやdeathcrashと共有する冷たさと切なさが重なり、ローファイ録音のざらつきとともに独自の陰影を描き出す。乾いたギターのアルペジオと鈍いドラムがゆっくり重なり、ストリングの影が淡く揺れることで、スロウコア特有の静かな重力が立ち上がる。声の輪郭がぼんやりと滲むヴォーカルは90年代のポスト・ロックを思わせる哀愁が漂う。セッションを重ねながら練り上げられたという楽曲群は、どれも隙がなく、細部のアレンジに確かなリスペクトが宿る。シカゴの伝統を継ぎながら、2020年代の感性で更新したポスト・ロック、スロウコアの新たな指標となる一枚。
Quiet Time期のダウンテンポ作品で注目を集めたテキサス出身のプロデューサーGi Giによる、自身の手法「downtempo sampledelia」をよりダンスフロア寄りに進化させたフルアルバム『In Lieu』。サンプリングの断片をループし、曲の中で意味が変質していくプロセスを軸に、ハウス、ダブ、ジャングル、バレアリックの要素が柔らかく混ざり合う。テキサスとオーストラリアを移動しながら書かれた楽曲群は、音は柔らかく漂いながらも、ビートは以前より締まり、ドリフトと身体性のあいだにしっかりと着地している。忘れかけたレコード棚の記憶と、現代のリスニングバーの空気をつないだような、成熟した感のある一枚。
自身は〈Ampoule Records〉を主宰し、14歳の頃から音楽を作り続けてきたグラスゴー出身のアンビエント/エレクトロニカ界の鬼才Pubによる、2000年を代表する一枚としてカルト的評価を得たファースト・アルバム。Billboard Top 100入りまで果たしながらも、その音世界はあくまで孤高。ざらっとしたビートの執拗な反復、そこに絡まる甘い白昼夢のようなシンセスケープ、シンプルなサウンドをストイックに突き詰めることで、磨かれ抜いた美へと昇華した珠玉のチル・アンビエントであり、日常を離脱したプライヴェートな宇宙空間へ没入させていく名盤。〈Dubplates & Mastering〉でのリマスタリング。Porter RicksやBoards Of Canadaのファンの方にも手放しで推薦!

ブルックリンを拠点に、フォーク・ミュージックの最も静かな形を追求するシンガーソングライターIvy Knightによる、50〜60年代のオールド・フォークやカントリーが持つ郷愁を、現代のミニマリズムで再解釈するデビュー・アルバム『Iron Mountain』。アコースティックギター、淡いシンセ、ささやくような歌声だけで構成された極限まで削ぎ落とした音数が特徴で、「Headlamp」「Red Rock」「Canyon」など曲名からも感じられるように、乾いた空気、岩肌、夕暮れの影といった、彼女が旅したアメリカ南西部の風景が音の余白とともに立ち上がる。Ivyの歌は語りのように親密で、過去の記憶や旅の断片が淡いフィルム写真のように重なっていく。ミニマルで親密、そして風景的。たった一人で静かに耳を傾けたい、旅の途中で感じる静かな孤独を共有するかのような一枚。
中村としまるとのコラボ作でも知られるリトアニア出身の作曲家Gintė Preisaitėによる、ピアノ、ギター、アコーディオン、クラリネット、トランペット、弦楽器など多数の演奏者を巻き込んだマルチ・インストゥルメンタルなエレクトロアコースティック作品『Instruments of Forgetting and the Singing Bone』。声、楽器、電子音が同じ距離で存在するような配置が全編にあり、近接録音の息づかいと、遠くの群衆ノイズが同じ空間に置かれることで、現実と夢の境界がゆっくり揺らいでいくかのよう。まばらなピアノは水滴のようで、その隙間に電子音の粒子が漂う。サンプルのサイケデリア、持続ドローン、ノイズの爆発、そして小さなポップの断片までがひとつの流れとして自然に連なる。音の質感は常に変化しながらも、忘却というテーマが静かに通奏低音として響く幻想的な音世界。
オリジナルは1999年にドイツの音響ミニマル名門〈~scape〉からリリースの、Kit Claytonのデビュー・アルバムにして、ミニマル・ダブ/クリック&カッツの金字塔的作品『Nek Sanalet』。カリフォルニアの電子音楽家Joshua Kit Claytonが、当時のベルリン音響シーンとUS西海岸のエクスペリメンタル感覚を接続した重要作で、深く沈み込むような低音、湿度を帯びたダブ処理、微細なクリックノイズが立体的に配置された音響空間。ビートは控えめで、音の粒がゆっくりと漂いながら沈んでいく深海アンビエントのような質感があり、メロディを排した霧のようなシンセが揺らぎを生み、音に包まれて「今」へとゆっくりと溶解していく。冷たい音響の中に微かな温度が差し込む、アナログ的な揺れやノイズの人間味も魅力。音の配置、空間の扱い、低音の質感が極めて精緻で、タイムレスな魅力を放つ最良のダブ・ミニマルの一つ。

デトロイト出身の作曲家でありドラマーのEric Hoegemeyerによるソロ名義Stardust Multiplierの最新作『Convergence』。ガラスマリンバ、フルート、アナログシンセを中心に構成された本作は、儀式的な静けさと、身体の奥に染み込むような深い共鳴を持つアンビエント。制作背景には、Hoegemeyerが経験した重い病気と長期入院があり、病室で聴こえる機械音や環境音、聴覚が再調整されていく感覚がそのまま音楽の構造に反映され、極めてミニマルで、微細な変化が大きな意味を持つサウンドへと結晶している。ガラスマリンバの硬質な響き、フルートの息遣い、アナログシンセの柔らかな音が重なり、自然音と電子音の境界が曖昧になるような音像が広がる。旋律は霧の中からゆっくりと立ち上がり、朝の儀式”のような静謐さと、回復のプロセスを思わせる解放が同居している。深い呼吸を取り戻すような、静かで力強い一枚。

ニューヨークのレーベル〈OST〉から登場した、ロシア出身のプロデューサーmu tateによるアルバム『life of mu』。個人的な記憶と物語を綴る私的なサウンド・ジャーナルのような作品で、友人たちによる語りが3つ挿入され、環境音、映画的サンプル、ローファイなビートが夢の断片のように浮かんでは消える。Ben Bondyを迎えた「memory of a memory」では、アンビエントの霧の中からギターと声が滲み出し、後半にはエモーショナルなノイズの高まりが訪れる。アンビエントの静けさに、IDM的なリズムやエレクトロニカの温度がそっと差し込まれる、DIYな美学と日記のような語りの親密さを併せ持った一枚。
フィールド録音とアンビエント、ミニマルの文脈で知られるSa Paが、新レーベル〈Dub Techno For Life〉を立ち上げ、その第1弾として発表した12インチEP『Girls On Tour EP』。これまでの内省的な音響作品とは異なり、クラブ向けの Sa Paを明確に打ち出した内容。10分に及ぶ「Mokira Ultra Dub」は、Mokira「Manipulation Musik」をSa Paが再構築したロング・ダブ。深海のような低域がゆっくり脈打ち、巨大な空間を往復するエコーが、Sa Paの音響処理をグルーヴィーに拡張している。「Waiting For You」は未発表曲で、柔らかいコードと軽やかなステップが心地よい、Sa Pa作品では珍しい開けた明るさを持つハウス・トラック。台北の雨夜に録音された「Modular System」は、モジュラー特有の揺れと湿度を含んだミニマル・ダブが魅力で、その場で生まれては消える音の粒子が生々しい。ダブ・テクノ、ミニマル、IDM、ハウスがSa Paの音響美学の中で再構築された、充実作。
UKアンダーグラウンドの重要人物Persianの名曲群を、若手プロデューサーMiles J Paralysisが再構築した〈Mysticisms〉の人気シリーズDubplate第12弾。90sデジタル・ダブ、ラガ、UKGのエッセンスを持つPersianの音源が、ダークでサイケデリックな現代ダブへとアップデート。A面は、重心の低いステッパーズとブレイクスの間を行き来する「Big Slide Remix」と「Breathwork Dub」。B面では、Persianのメランコリックな旋律を残しつつ、ダブテクノの深度へ沈み込む「Zatoichis Troubles」や、トリップホップの影を感じさせる「There Is No Love」など、Miles J Paralysisの黒い音響感覚がより強く表れる仕上がり。

アムステルダム拠点のNicolini、Nushin Naini、La RatによるトリオDevon Rexiと、UKアンダーグラウンドの重要人物John T. Gastによるコラボレーション作『Breathstep』。クラウトロックの反復性、ノーウェイヴ的な生々しい質感、そしてGastの深く沈み込むダブ処理が混ざり合い、有機と人工が同時に脈打つような独特の音響世界を形成。音の断片が突然現れては消えるコラージュ的構造、湿り気を帯びた重低音、呪術的に加工されたヴォーカル。どれもがダンスミュージックの枠を外れながら、身体の奥を震わせる奇妙なグルーヴを生み出している。残響や空白の扱いが異様に巧みなGastのプロダクションもあり、音が沈んでいく深度そのものを聴かせるような感触のある前衛性と中毒性を兼ね備えた1枚。

ライプツィヒ拠点の電子音楽作家TIBSLCが、デジタルな霞の中の夢世界をテーマに描いたエクスペリメンタル・アンビエント『City of Something』。霧の層のように重なるシンセは輪郭がゆっくり溶け、ボーカルは光の粒のように曲の中へふっと現れては消える。淡いメロディが浮かんでは遠ざかる、視界がぼんやり滲むようなアンビエント・ポップや、ダウンテンポ寄りの微細なグルーヴが立ち上がる、アンビエント、エレクトロニカ、ダウンテンポ、ダブテクノ、トリップホップが柔らかく溶け合うハイファイ・アンビエントの断片集。電子音の粒子が漂い続ける、都市のどこでもない場所を描いた繊細な音響設計が静かに広がる一枚。

フィラデルフィア拠点のサウンドデザイナーYakaが、水辺の世界や両生類的モチーフを軸に構築したコンセプチュアルな電子音楽作品『Dream Big』。Aサイドは荘厳なコーラスと、水面を跳ねる粒子のようなブレイクビーツ、湿度を含んだ低域、遊び心のあるメロディが次々と姿を変える。ベースは水中で形を変える塊のように揺れ、シンセは薄い膜のように重なりながら、時折光が反射するような高域が差し込む。Bサイドではクラブ的なグルーヴがゆっくり脈打ち、薄明かりのアンビエンスで作品全体の物語が静かに閉じる。水辺の生態系を電子音で描いたような音世界と、ユーモアとスピリチュアルの中間にあるメロディ感が自然に結びついた、高精細な音響作品。

2026年リプレスです(3rdエディション)!これはすごいですよ! 66年はNYCと79年はドイツでのアーケストラ公演をはじめとする膨大な未公開写真、ディスコグラフィー、クレジット、人物、レーベルのインデックスやジャケット、膨大な参加者によるエッセイ (Salah RagabやChris Cutlerの名前も!) を収録したSun Raの大辞典!! 94年の初版から20年経ったいま、豊富な資料を追加した改訂版。304ページのハードカバー仕様。
