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沖縄のジミヘンの異名を持つ登川誠仁が、琉歌の代表曲のひとつ「ヒヤミカチ節」を力強く歌い上げる名演。
映画『ナビィーの恋』(99年)『ホテル・ハイビスカス』(2002年)への出演や99年のソウル・フラワー・ユニオン、中川敬との共演で全国的に知られる沖縄民謡界のレジェンド、登川誠仁。伝統的な民謡を土台に、さまざまな先進的試みで沖縄の音楽シーンに偉大な功績を残しましたが、98年にオーマガトキよりリリースされた名盤『ハウリング・ウルフ』に収録されていた「ヒヤミカチ節」を初の7インチカット。B面には現代の沖縄民謡界の歌姫的な存在、上間綾乃の2012年のメジャー・デビューアルバム『唄者』より、ハイライトを飾る民謡「ハリクヤマク」を収録。
沖縄を代表するメロディ「ハイサイおじさん」と、でいご娘の代表曲「豊年音頭」をオリジナルのマルフクレコード音源より復刻。
喜納昌吉が13歳の頃に創作したとされる初期代表作にして、現代に至るまで沖縄を代表する旋律として甲子園でもお馴染みの「ハイサイおじさん」。ユーモラスな歌詞とメロディの裏側には終戦の傷が残る時代の沖縄の厳しい現実がありました。一般的によく知られる77年のフィリップス盤に収録されたロック調にアレンジされたバージョンではなく、72年に沖縄のマルフクレコードからリリースされた素朴で初々しさに溢れたバージョンを収録。カップリングには沖縄音楽を形成する要素の一つであるファミリーグループの代表格、でいご娘のこちらもマルフクレコード原盤の76年のヒット曲「豊年音頭」を収録。

栗原ペダル、荒木優光、DISTESTによる、2009年結成のトリオ音楽グループ「NEW MANUKE」初のアルバム。
サウンドは主にサンプリングとコラージュ、シーケンスされたビートとループされたミキサーフィードバック、それらの上で極少量のポップスと共に破壊と脱構築を繰り返す。
ライブはまったく踊れないビートによる逆トランスの誘発。それらはライブハウスやクラブ、アンダーグラウンドと場所を変えては日夜、爆音で鳴らされる。
2009年にアニメーション作家の故・相原信洋氏とのコラボレーション。相原氏より大量のアニメーションデータを預かりNEW MANUKEのライブ時にVJとして使用。この時には未発表のプリミティブな新作アニメーションもプロジェクションされた。コラボレーション時の相原氏の名義は『サイケ相原』。
2011年、自主カセットテープ「nannomondaimonainiwa」をリリース。収録曲の『Junkroad Bandass』がライブペイント集団Whole9の360°Gopro動画に使用される。
2017年、goat率いるKoshiro Hino主催レーベルbirdFriendより東京のKuknackeとのスプリットカセット『Kuknacke/NEWMANUKE』をリリース。
2018年、カセットテープ『 iPad,lick finger and swipe,grandson gets angry 』をリリース。original mix、M/D/G remix、KAZUMICHI KOMATSU remixが収録。
2025年、初のアルバム『SOUR VALLEY』をリリース。
Pedal Kurihara(sampler、guitar、drum effect)
Masamitsu Araki(sampler、voice、mixer feedback)
Distest(sampler)
マリの伝統弦楽器コラの名手として世界的に知られるBallaké Sissokoが、ベルギーの礼拝堂Sainte-Apolline Chapelにて、わずか一日で録音した8曲を収録した、極めて親密で静謐なアルバム。前作で多彩なゲストと共演した直後に制作されており、その反動のように、ここでは完全な独奏へと回帰している。礼拝堂の自然な残響を活かした録音は、コラの一音一音が空間に溶けていくような透明感を生み、オーガニックで純度の高いアコースティック・サウンドが際立つ。伝統的なマンデ音楽の旋律を軸にしながら、ミニマルで瞑想的な反復が続き、静けさの中に豊かな情感が宿る。現代アンビエントにも通じる響きを持ちながら、あくまでコラという楽器の本質とSissoko 自身のルーツに深く根ざした音楽性は、アフリカ音楽ファンから、アコースティック、アンビエント、ミニマルを愛するリスナーにも幅広く響く一枚。
アフリカの黄金の声として知られるマリの伝説的シンガー、Salif Keitaが76歳にして初めて挑んだアコースティック作品。本作は、ギターと声のみという極限まで削ぎ落とした編成で録音され、彼の歌声の深みと存在感がこれまで以上にストレートに響く。制作のきっかけは2023年の来日で、京都の禅寺の精神性などに触れ、「私はギタリストではない、ギターは作曲のためのものだ」という自身の考えを覆し、ホテルの一室でアコースティック・ギターを手にしたKeitaが、そのまま録音へと向かったという特別なアルバム。タイトル『So Kono』はマンディンカ語で「部屋の中で」を意味し、まさにその空気感がそのまま封じ込められている。ミニマルなギターのアルペジオに乗る神秘性を帯びた Keita の声。装飾を排したことで、彼の歌の力、息遣い、人生の重みがより鮮明に浮かび上がる。西アフリカの伝統音楽の深い影響も感じられ、静けさの中に豊かな情感が広がるアフロ・アコースティックの到達点といえる仕上がり。長いキャリアの集大成でありながら、驚くほどフレッシュな親密さを湛えた作品。

6月12日入荷予定。現代UKジャズの最高峰として、シーンの最前線を更新し続ける存在、シャバカ (・ハッチングス)が、ソロ名義として3作目となる最新アルバム『Of The Earth』をリリース。本作は、自身が新たに立ち上げたレーベル〈Shabaka Records〉からリリースされる初のアルバムとなる。
『Of The Earth』は、全編にわたってシャバカ自身が作曲・プロデュース・演奏・ミックスまでを手がけた、極めてパーソナルな作品だ。本作では、サンズ・オブ・ケメットやザ・コメット・イズ・カミングで展開してきたダンス志向/リズム重視のアプローチと、近年のソロ作品(『Perceive its Beauty, Acknowledge Its Grace』『Afrikan Culture』)で追求してきた、緻密でテクスチュラルなサウンド世界とを有機的に結びつけながら、インストゥルメンタリスト/プロデューサーとしてのシャバカの新たな輪郭を明確に提示している。
ツアー移動中にポータブル機材で制作されたビートやループが楽曲の基盤となり、その上を合唱的なフルートの旋律が大きく舞い上がる。電子的なリズム・シークエンスは、ディアスポラ的な歩みの物語を描き出す。またシャバカは、本作でラップにも挑戦しており、次のように語っている。
『アンドレ・3000が恐れや気負いなく、誠実に新たな次元を探求していく姿勢に刺激を受けた。だからこのアルバムで、自分自身の声を見つけようと決めたんだ。- Shabaka』
2025年半ば、シャバカは南アフリカのドラムの巨匠ルイス・モホロの追悼コンサートでのパフォーマンスをもって、自らに課していたサックス演奏の休止期間に終止符を打った。『Of The Earth』は、約1年半にわたってサックスを演奏しなかった期間を経て制作された最初のレコーディング作品であり、フルートを中心に向き合ってきた時間が、今後の楽器との関係性にどのような未来をもたらすのかを見つめ直す、ひとつの総括でもある。
ディアンジェロの『Brown Sugar』は、私が初めて買ったCDで、セルフ・プロデュース/セルフ・パフォーマンスによるアルバムが持ちうる感情的な可能性について、長く続く好奇心を呼び起こしてくれた。この作品は、創造的な自己表現における自由を祝福するためのレコードなんだ。コロナ以前の私は、クラリネットとサックスしか演奏できず、音楽制作やフルートの演奏方法についても何も知らなかった。だからこれは学びの旅であり、その結果として生まれた音楽を振り返る作品でもある。
- Shabaka

5月29日再入荷(変更となりました)。ロサンゼルスを拠点に活動する作曲家、ギタリストのGregory Uhlmannが〈International Anthem〉から発表する、静けさと温度を併せ持つ独自の音世界を描き出したソロ作品『Extra Stars』。これまでのUhlmannは、Small Dayの静謐なアンビエント、Meg DuffyとのDoubles、Dustin WongとのWater Map、Josh JohnsonやSam Wilkesとのチェンバー・ジャズ、SML名義でのトランス・ジャズなど、多彩なプロジェクトを横断してきたが、本作はその探求がひとつの形として結晶した作品と言える。全14曲から成るサウンドは、ギター、シンセ、室内楽的アンサンブル、柔らかな電子処理が重なり合い、星座のように点在するメロディが静かに輝く。打楽器はほとんど使われないのにリズムが前に出ており、また、電子的処理を多用しながらもハーモニーの深さがある。確かな構造性、複雑な音響処理とともに、アンビエントの広がり、ジャズの自由さ、フォークの素朴さ、室内楽の繊細さがひとつの流れとして結びつき、Uhlmannの音楽的アイデンティティを深く美しく映し出している。静かでありながら豊かな色彩を持つ、現代的なアンビエント・ジャズの重要作。

ベルギー発のアヴァンロック/実験音楽グループで、活動初期から ロック、ジャズ、電子音楽、バルカン音楽、ミニマルミュージックなど多様なジャンルを融合し、既存の形式を解体する美学を持っていたAksak Maboul。本作は、Aksak Maboulの結成以前、1969年から1977年にかけて録音され、長らく未発表のまま眠っていた音源をまとめたアーカイブ作品。Marc Hollanderによって編集・アセンブルされた本作には、フリー・ロックの即興性、電子音の抽象的な実験、映画音楽のためのスケッチ、未完成の断片など、多様なアイデアがそのままの形で封じ込められている。Aksak Maboulの後の作品に通じるジャンル越境の萌芽が随所に見え、粗削りな録音、自由奔放な構成、アイデア優先のスケッチが連続し、完成されたアルバムというより、創作ノートや実験室の記録を覗き込むような生々しさが漂う。Aksak Maboulの音楽的源流をたどる貴重なアーカイブであり、同時に70年代ヨーロッパ実験音楽の自由さと混沌をそのまま伝えてくれる一枚。
オリジナルは2000年にCDでリリースの、アメリカのポストロック/スロウコア・バンド Bedhead と、ガムランや東南アジア音楽を取り入れた実験的ロックバンド Macha によるコラボレーションEPが〈Numero〉より再発。ガムランを思わせる金属的な打楽器の響きと、スロウコア特有の静かで淡々としたギターの反復が自然に溶け合い、ミニマルで瞑想的な空気を生み出している。Macha の持つオリエンタルで実験的な音響感覚が、Bedhead の内省的でメロディアスなアンサンブルに柔らかく重なり、ゆっくりと波紋のように広がる独特のグルーヴを形づくる。全体として音数は少なく抑えられているのに、細部のニュアンスがじわじわと立ち上がる、2000年代初頭のポストロックでも特異な質感を持った作品。

最終入荷です。Huerco S主宰のもと、現行ダブ/アンビエントの傑作の数々を産んだ新世代のカルト的名所〈West Mineral〉在籍でも知られる米国・フィラデルフィアのアンビエント作家、もはや現代アンビエントの重要角と言っても過言ではないUllaの『Hometown Girl』が到着!木管楽器、鍵盤楽器、弦楽器、ドラム、ヴォイスが幾重にも重なり、エレクトロニクスがまばらに散りばめられ、オープン・ウィンドウのフィールド・レコーディングの香りが漂う静かな室内学的作品。まるで手書きのメモの日記をめくりながら、さまざまな感情を振り返っているような気分になる切なくメランコリックで朧げなアンビエント・フォーク12曲を収録。マスタリングはRashad Beckerが担当しており、一音一音の質感がすばらしい!

1996年、南條麻人主宰の〈La Musica Records〉から、手作業で組まれた超限定カセットとしてひっそりと現れた Neanの唯一作『Doo Dah Nean』。長らく幻のアウトサイダー音源とされてきたこの作品が、〈Black Editions〉よりヴァイナル・リイシュー!Yui(ベース/エレクトロニクス)、Non(ドラム)、そしてNaoko(声)の3人によるトリオで、生み出す音楽はロリータ・サイケ、フリージャズ、ノイズ、即興が無邪気に混ざり合う、90年代日本アンダーグラウンドならではの混沌そのもの。歌とも語りともつかない囁き、呪文のようなフレーズ、息遣いのNaokoの声が中心にあり、無垢さと狂気が同居した、プロトASMR的な存在感が、音全体に奇妙な重力を与えている。Nonの酔ったようでシャーマニックなドラムと、Yuiの形を持たない低音、電子音が絡み合い、儀式的ですらある生々しさがある。ジャンルの外側で生まれた音が、偶然にも強烈な魅力を放ってしまった、日本アンダーグラウンドの深部に埋もれていた宝石。

ベルリンを拠点に活動するサウンドアーティスト Jasmine Guffond による、商業空間で流れる作業効率を上げる音楽、ミューザックを逆手に取り、生産性を下げるための音楽として再構築した実験的アンビエント作品『Muzak for the Encouragement of Unproductivity』。電子音の揺らぎ、低周波のドローン、ざらついたノイズ、そして微細なリズムの断片がゆっくりと浮かんでは消え、何かが起きそうで起きない時間が伸び縮みする。あえて集中を妨げるような、曖昧で揺らぐ音の構造で聴くほどに思考がほどけていくような感覚を覚える。深夜の作業中にふと流れてきた謎の音楽のような一枚。
マレウレウ1st Album『もっといて、ひっそりね。』が、新たなミックス、マスタリングにより蘇る。アイヌの伝統歌を今に伝える名盤が、ジャケットも一新して初レコード化。
2010年、初作「MAREWREW」の発表を皮切りに、本格始動したマレウレウ。近年はドイツのレーベル「Pingipung」からベスト盤とリミックス盤がリリースされるなど、世界からも熱い視線を注がれる中、2012年発表のファーストアルバム『もっといて、ひっそりね。』がレコード化。全20曲のCD盤から、新たなミックス8曲を含む17曲が収録されている。ジャケットの表紙に採用されているのは、かつてMayunkikiの祖母が手がけたというアイヌの刺繍。そこにRekpoが新たにタイトル、アーティスト名を刺繍したものを組み合わせ、先人との絆が体現された仕上がりだ。インナースリーブでは、OKIとRekpoの愛娘で、2025年にマレウレウに加入したUtowaがイラストを担当するなど、アートワークにも注目すべき1枚。
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4つの声がアイヌの昔と今、未来をつなぐ。時空を越えて響くマレウレウ(蝶)の歌声。
アイヌの伝統歌「ウポポ」を現代に歌い継ぐ女性ヴォーカル・グループ、マレウレウ。アイヌは、楽譜を残さず、主に口伝で受け継ぐため、彼女たちが歌う歌は、かつて年長者から伝え聞いた歌や、資料館で自ら掘り起こし、探し当てた古い保存音源が基盤となっている。そうした先人たちのウポポに憧憬を抱きながらも、ただ真似するのではなく、「今の自分たちにしか歌えない歌」=現在進行形のウポポを追求していく。そして、それを積み重ねることで、やがて先人たちの歌に自然と近づいていくことがマレウレウのテーマだ。プロデューサーのOKIも「アイヌ文化で重要なのは“個々のスタイル”。伝統を引用しつつ、マレウレウのスタイルを入れることで伝統が様変わりして活性化していくことが大切」と語る。「みんなで一緒に歌った方が楽しい」とライブでウコウク(輪唱)を観客と合唱してみたり、「私たちのルーツ・ミュージックはこんなに素敵なのよ!」と天真爛漫にシェアしてくれる彼女たちの姿勢もまた、伝統の門戸を開く大きな魅力となっている。
このたびレコード化される2012年発表のアルバム『もっといて、ひっそりね。』は、そんなマレウレウの初期衝動が詰まったフレッシュな作品だ。メンバーのRekpoは、14年前に録音した本作の自らの歌を「同じ曲でも今と節回しが全然違う」と振り返る。アイヌのウポポは自分流の節回しが大事。昔の歌、今の歌、将来の歌。その瞬間の歌を録音物で残し続け、変化を楽しむことに意義があると言う。本作は、2020年にRim Rimが脱退する以前の録音という意味でも、この時にしか生まれ得なかった4人の声のグルーヴを堪能できる貴重な作品だ。
何百年先まで歴史に残る作品にしたい。その思いから、本盤ではOKIが新たに8曲をミックス、リマスタリングを手がけている。CD盤と聞き比べてみると、重層感、臨場感が増し、とりわけ螺旋状に追い掛け合うウコウクのパートなどは、立体感のある声の渦が恐ろしいまでに迫ってくる。CD盤発表当時から何度も聞き込んだつもりでいたが、こうして改めて聞くと、独創的なリズム、パズルのような歌の旋律構成など、もともとのアイヌの伝統歌が持つ豊かな音楽性に驚かされる。エッジーなベースのフレーズと流麗なトンコリが効いた「KAPIW UPOPO」、打ち込みのビートとキャッチーなメロディーで高揚していくダンス・チューン「KANE REN REN」など、「よけいなことをやり散らかすのが自分の役割」と言うOKIの遊び心が冴え渡るアレンジにも感服。14年の時を経ても色褪せない、むしろ輝きが増したこの音楽を讃えたい。
先人の歌と共鳴し、自身のスタイルで未来を切り拓くマレウレウの伝統の形。アナログ独自の奥行きのある音が、その真髄を浮き彫りにし、さらなる深遠なウポポの世界を見せてくれるはずだ。
文/岡部徳枝

アメリカ出身でドイツ在住のマルチ奏者・作曲家 Weston Olenckiによる、バンジョーを中心としたエクスペリメンタル・フォーク作『Broadsides』。2023年にOlenckiが故郷サウスカロライナからウェストバージニア、ミシシッピ川流域へと南部を巡った旅のフィールド録音、収集した楽器や工芸品、そして各地に根づく伝統音楽との出会いを素材にして生まれたもので、水の音、虫の羽音、列車の轟音、コミュニティに息づく古い歌などが、バンジョー、ハーモニカ、オートハープ、カセットプレイヤー、振動モーターといった楽器・装置と組み合わされ、多層的な音響へと再構成されている。バンジョーの持つ鋭いアタックや倍音が長いドローンへと変質し、フィールド録音のざらつきや環境音が層を成して漂う、アメリカ南部の風景を抽象化したようなサウンド。伝統音楽の旋律が時折浮かび上がる一方で、機械的なモーター音やノイズがそれを侵食し、郷愁と前衛性が同時に存在する独特の世界。

2021年作『Haram』から4年、billy woodsとELUCIDによるArmand Hammer とThe Alchemist が再び手を組んだ新作『Mercy』がbilly woods 主宰のレーベル〈Backwoodz Studioz/Rhymesayers Entertainment〉より登場!前作同様、The Alchemist が従来のソウルやジャズをサンプリングして太いビートを組み立てるビートスタイルから外れても、Armand Hammer の複雑で比喩的・断片的なラップの響き方に寄り添った音作りは今作も健在で、その延長上に、現実と寓話、日常と未来予測が入り混じったような抽象的で鋭いテーマ性がうかがえる作品となっている。今作もEarl Sweatshirt、Quelle Chris、Cleo Reed、Pink Siifu、Kapwani、Silkaなど、多彩な顔ぶれがゲスト参加しており、Armand Hammer の言語による実験と Alchemist のプロダクションと交わって、重層的で寓話的なヒップホップ宇宙が広がっている。

静寂の奥に潜む、もうひとつの世界へと導く崇高な音の儀式。ギリシャ系アメリカ人の音楽家、映像作家であり、Meditationsでも静かで深い支持を集める John Also Bennettと長年の深い芸術的パートナーシップを持つChristina Vantzouが、〈INA-GRM〉の委嘱を受け、2023〜2025年にかけて丹念に紡いだ、霊的エレクトロアコースティックの大作『The Reintegration of the Ear』。フルートやチェロ、ダブルベース、声。John Also Bennett、Oliver Coates、Roman Hiele、Irene Kurkaらが呼吸と共鳴に導かれながら織り上げる音は、形式を超え、再統合されていく意識に寄り添うように、直観と微細な気配が流れを決め、有機的に移ろい続ける。時間は直線ではなく、折れ曲がり、漂いながら、電子音、フィールドレコーディング、アコースティックの残響が溶け合い、言葉の手前にある領域へと聴き手を静かに誘う。その響きは静かで、深く、意識の底に沈む水脈のような、内なる世界の神秘をたたえている。旅先でふと出会う、どこか異なる世界へと繋がる現実の裂け目のような、神秘を受け入れた繊細かつ霊的な音世界。Eva L’Hoestによる、ギリシャ的象徴が漂う超現実的なイメージをあしらったアートワークも、Vantzouの音の霊性と共鳴し、作品の神秘性を際立たせている。300部限定。

1970年代からカルト・レジェンドとして前衛芸術の最前線を走り続けるJohn M. Bennett。1994年にカセットで発表されたサウンド・ポエトリーの代表作『BLANKSMANSHIP』を、息子であるJohn Also Bennettが運営する〈Editions Basilic〉が初めてヴァイナル化。作品にはM. Bennett自身の声、テキスト、尺八、ベルなどが用いられ、言語の意味を解体し、声そのものを音の素材として扱う彼のスタイルが極限まで押し広げられている。収録曲には「Blanksmanship I」「Leaky Toilet」「Notion’s Nulled」など、日常の断片が奇妙に歪んだタイトルが並び、声の破裂音、息遣い、ささやきがリズムや構造を生み出すことで、語りと音響のあわいを漂う。一人の声が、やがて無数の自己へと増殖していくかのように、ポリフォニックに重なり合う声が万華鏡のような音像を作り出す唯一無二の世界。

プロデューサー/作曲家/アーティストとして、これまでにデーモン・アルバーン、ソランジュ・ノウルズ、ロイル・カーナー、ヌビア・ガルシア、ブラック・コーヒー、サンファ、ティルザー、セラ・スーなど、数多くのアーティストとコラボレーションを行ってきたサウス・ロンドン育ちのクウェズ。8年ぶりに〈Warp〉へ帰還しリリースされた本作『Kinds』は、娘の誕生をきっかけに書かれた、広がりと直感性を備えた作品であり、音と色が持つ回復の力を探求している。
『Kinds』は、クウェズにとって新たな転換点となる作品であり、再び音楽という太陽系の最果てを探し求める試みでもある。燃え尽きの時期を経てリセットした後に制作された本作は、アンビエントとクラシック音楽の作曲法を融合させつつ、シューゲイズの荒々しい質感とも交錯する。短く、緻密に構築された『Kinds』はミニマリズムを受け入れている。外の世界がますます騒がしくなるなかで、本作は静けさと安らぎを生み出しつつ、音楽の新たな地平に旗を立てる作品である。

〈Planet Mu〉や〈The Trilogy Tapes〉といったアンダーグラウンドの名門からリリースを重ねるイラン系カナダ人兄弟Saint Abdullahと〈International Anthem〉、 〈4AD〉などからの作品への参加で知られる人気ジャズ・ドラマーJason Nazaryによるコラボアルバムの第2弾が〈Disciples〉よりリリース!
2023年作『Evicted In The Morning』の続編となる本作は、サイケデリック、ドリーミーに消えては現れる実験的なサンプリングコラージュの中に規則的なリズムが時折顔を出しながらフリージャズのような展開をしていく、聴くたびに新たな発見のある作品となっている。「Here to Body Ratio」は情感溢れるサックスとギターに性急なドラミング、ストレンジに心地よい電子音が独自のバランスを生み出す作品のハイライト。
本作は、反戦デモや国家抑圧が続く新たな時代に向けた"Freedom Now Suite(自由のための組曲)”とも言うべき作品だ。ゲストにはロサンゼルスを拠点とする日系アメリカ人のマルチ奏者Patrick Shiroishi と Ryan Easter が参加している。
兄弟が「‘tellectual condition(知的病)」と呼ぶような表層的な知識が支配する時代において、アルバムはあえて遅く、複雑に、時間に逆らうことを選ぶ。ここでのサンプリングのコラージュは、ポストモダン的な遊戯ではなく、“感情の構造”なのだ。
『Wiretaps for Oral』を聴いていると、語りかけてくるのはサンプルそのものではなく、そのあいだの“隙間”だと気づかされる。信号が途切れる亀裂、ビートが抜け落ちる瞬間、その隙間に意識が宿る。意味を「与える」のではなく、それを「抱える」こと、強引に形を与えず、ただ触れること。
このデュオは、私たちに“盗聴線に耳をあて、囁きを聴け”と誘う。そうして彼らは思い出させてくれる、近くにいるということは、距離よりも「聴くこと」に関わっているのだと。

フィラデルフィア出身のサックス奏者 Byard Lancaster が、スピリチュアル・ジャズの黄金期に残した最重要作のひとつ『Us』。アフロセントリックなリズム、自由度の高い即興、祈りのようなメロディが渦を巻き、70年代ブラック・ジャズの熱気と解放感をそのまま閉じ込めたようなアルバムがLPに加えて7インチも付属して再登場。アフリカン・パーカッション、反復するベースライン、祈りのようなサックス、集団としての音を重視したアンサンブルにはフリージャズの自由さと、ブラック・コミュニティの精神性が共存しており、スピリチュアル・ジャズの核心に触れる演奏と言える。70年代フィラデルフィアの熱気と土着性を凝縮したような、都市の雑多さと、アフロルーツのスピリチュアリティが混ざり合うローカル・ミュージシャンとの濃密なセッションが生々しく記録されている。
1972年に英国の〈Music De Wolfe〉から発表された、オリジナルは入手困難な英国ライブラリー音楽の至宝『Great Day』が〈Be With Records〉によってついに正規アナログ再発。Simon HaseleyとPeter Renoの2人が手がけた楽曲は、ファンクを軸にしながらも、ジャズロックやソウルジャズの要素を巧みに織り交ぜ、当時のテレビや映画のサウンドトラックを思わせる迫力とスピード感に満ちている。鋭く切れ込むドラム、重心の低いベースライン、緊張感を煽るホーンやストリングスが次々と登場し、どの曲も映像的なイメージを喚起する構成になっている。特に「Hammerhead」や「Silver Thrust」などは、後年ヒップホップのプロデューサーたちにも愛され、Madlibや El‑P、The Alchemistらに影響を与えたとされるほど、サンプリング・ソースとしても評価が高い。ライブラリー音楽の機能性を超えて、純粋な音楽の喜びに満ちた、70年代英国ライブラリーの魅力を凝縮した、ジャンルを越えて愛される名盤。
1972年に英国の名門ライブラリー音楽レーベル〈Music De Wolfe〉からリリースされたコンピレーション作品『Hogan, The Hawk And Dirty John Crown』。Alan Hawkshaw、Alan Parker、Simon Haseley、Reg Tilsley など、当時の〈De Wolfe〉を代表する作曲家たちが参加。ファンク/ソウルジャズ/ジャズロックの混合サウンドで、生々しいドラムとベースによるブレイクビーツ的グルーヴ、ホーン、ストリングス、ギターが映像的に絡むアレンジが光り、特に Alan Parker や Simon Haseley の楽曲は、後年ヒップホップのサンプリングソースとしても注目されるほど、リズムのキレと音像の太さが際立っている。職人技が光り、映像的でありながら純粋な音楽作品としても高い完成度を誇る、70年代英国ライブラリー音楽の魅力を凝縮した名作コンピ。
1977年に英国〈Music De Wolfe〉系列の〈Rouge〉からリリースされた、Soul City Orchestraによる、ライブラリー系インスト作品『Meal Ticket』。オリジナルの裏ジャケットには「リズムとストリングスを強調したプログレッシブ・ロック風オーケストラ・ファンク」と記載されており、コンガを含むパーカッションが牽引するファンキーなロック・グルーヴと、ストリングスがドラマティックに絡むシンフォニック・ディスコ・ソウルの側面を併せ持っている。70年代UKライブラリー特有の洗練とブラックネスが高い次元で融合された隠れた名作。
国籍も背景も異なるMola Sylla(声/伝統弦楽器)、Oscar Jan Hoogland(クラヴィコード)、Frank Rosaly(ドラム)という異色のトリオによる、伝統と実験の境界を越えて作り上げたジャンル不定形のインプロヴィゼーション作品『Mother Tongue』。セネガルのグリオ音楽、アムステルダムの実験的インプロ、シカゴ系フリージャズのドラミング、ノイズ的なアプローチが衝突しながらも有機的に融合。牧歌的な声と弦、クラヴィコードの奇妙な響き、フリージャズ的ドラムが絡み合い、世界のどこにもない新しい民族音楽のような響きは、緊張感がありながらもどこか祝祭的。
