NEW ARRIVALS
1043 products

エストニア・アンダーグラウンドの象徴Ajukajaと、変幻自在のボーカリスト、パフォーマーMart Aviによる、13年にわたる制作期間を経て完成した異形のダブル・アルバム『Death of Music』。収録された楽曲は、ポップ、クラブ、アンビエント、ポストR&B、実験音楽が縫い合わされた万華鏡的構成で、Ajukajaのオーガニックで奇妙に歪んだ電子音と、Mart Aviの変幻する声が絡み合い、曲ごとに世界が激しく変容する。ノイズ、歪み、静寂、甘いメロディが交互に現れ、メロディは美しいのに、どこか歪んでいて、常に不安定な揺らぎがある。美しさと奇妙さが同居する、ポップの死骸を縫い合わせたような奇妙なポップネスは、音楽が壊れながら進化していく瞬間をそのまま封じ込めたよう。

エチオピア音楽の黄金期を記録した名シリーズ「Ethiopian Hit Parade」の中でも特に評価の高い第2巻が、〈Heavenly Sweetness〉により世界初の正規リイシュー。〈Amha Records〉が1972〜73年にリリースしたシングル音源をまとめたコンピレーションで、Mulatu Astatke、Alemayehu Eshete、Teshome Mitikuなど、エチオピア音楽史を代表する名手が一堂に会する豪華な内容。エチオ・ジャズ、ソウル、ファンク、伝統音楽が自然に溶け合う70年代アディス・アベバの熱気そのもので、ホーンのうねり、独特のスケール感、ブルージーな歌声が絡み合い、哀愁と高揚が同居する。録音を含めた粗さも魅力で、現代の洗練された音楽にはない生々しさが、当時の街の空気をそのまま伝えてくれる。黄金期の輝きを凝縮した歴史的コンピレーション。
〈R=A〉や〈BREW〉からのリリース、Montel Palmerのメンバーとしても知られるケルン拠点のプロデューサーTBZが、最新12インチ『NEW』を自主リリース。ローファイ・ダブとデジタル・ビートの境界を押し広げるような、TapesやJahtariの系譜を思わせるチップチューン的ダブの軽さと、TBZらしい湿ったローエンドが同居する、完全自主制作ならではの自由度の高い作品。丸く歪んだキック、湿り気を帯びたベース、ヨレたループ。どの曲も古いサンプラーが息をしているような温度感があり、デジタルの非現実感と宅録の親密さが絶妙に混ざり合う。ダブ、ゲットー・エレクトロ、ローファイ・ビーツが自然に交差し、夜の部屋で一人遊びしているような、じわじわとクセになる宅録ダブの魅力が詰まった一枚。
John T. Gast主宰レーベル〈5 Gate Temple〉から届いた、Sister Marionのミステリアスな7インチ。A面にはBabyfatherのメンバーとしても知られるJames Massiahをフィーチャーし、乾いたスポークンワードとミニマルなビートが絡む、ロンドン深夜の空気をそのまま封じ込めたような1曲を収録。B面には John T. Gast自身によるダブ・ヴァージョンを収録。電脳空間の奥で反響するような、独特の空気感を持つ独特のミックス。UKアンダーグラウンドの現在形を凝縮した1
枚。
『Acid Mt. Fuji』『Zen』など、90年代に独自の美学を確立した横田進。その黄金期に録音されながら未発表のまま眠っていたDAT音源を復元したアーカイブ作品が、〈Transmigration〉から2LPで登場。Ray Castleに贈られたテープが偶然の再会によって発掘され、没後10年という節目にようやく世に出た奇跡のリリース。収録された8曲は、湿度を帯びたアシッドライン、幽玄なアンビエンス、スピリチュアルな浮遊感が交差し、当時の彼が持っていた柔らかいサイケデリアが鮮やかに蘇る。A面のダウンテンポ寄りアシッドから、B面の浮遊感、C面の儀式的なグルーヴ、D面の宇宙的な余韻まで、名義を横断していた時期ならではの多層的な世界観が広がる。90年代の横田進の核心を捉えた、電子音楽史的にも重要な発掘盤。
アートとクラブの境界を自在に往復するフランスのプロデューサーLow Jackが、Bambounou主宰レーベル〈Bambe〉から最新7インチをリリース。鋭く跳ねるビートとざらついた低音が牽引する、バイレファンキやゴム、インダストリアル、エレクトロが混ざり合うハイブリッドな質感。都市の雑踏が歪んで聞こえるような幻覚的スピード感があり、アート作品由来の抽象性とクラブ・トラックとしての強度が同居している。A面には原曲のラジオ・エディット、B面にはBambounouによるリミックスを収録。

フランスのレフトフィールド名門〈Antinote〉から届いた、Klein Volk の7年ぶりとなるセカンド・アルバム。Marie Baeke、Timo Bonneure、Wesley Buysseの3名によるユニットで、前作『Gulden Onversneden』から続く素朴さと遊び心を軸にしながら、今作ではより深く日常の余白に耳を澄ませている。柔らかいシンセと軽やかなアンサンブルが織りなす牧歌的な電子音楽は、ミニマルでありながら感情豊かで、小さなフレーズが反復し、ふとした瞬間にメロディが光を差し込ませる。アンビエント、ニューエイジ、レフトフィールド、ジャズ、シンセ・ポップが自然に混ざり合い、春先の光や夕暮れのような移ろいを感じさせる。深刻さに覆われた時代の中で見落とされがちな、ささやかな瞬間の美しさをそっとすくい上げるような静かで温かいエレクトロニック作品。

6月下旬再入荷。L.A.を拠点に活動する中国系アメリカ人3名によるユニットSY3のデビュー作が〈Music From Memory〉より登場。香港ニューウェーブ映画、広東ポップス、2000年代初頭のダウンテンポを背景に、柔らかい電子音と語り、淡いメロディが溶け合うノクターナル・ポップ。広東語のスポークンワード、霞のように漂うシンセ、淡いギター、ゆるやかなビートが、夜の都市を夢遊するようなムードをつくり出す。フェイ・ウォンや周迅の00年代中華ポップ、砂原良徳『Lovebeat』の影響を感じさせつつ、アンビエント・ポップの透明感も共存。湿度とネオンの光、深夜の静かな孤独と甘いノスタルジー満ちた一枚。
NYブルックリンのコンポーザー、パペッティア Tristan Allen が、4年をかけて制作した神話三部作の第二章となるアルバム『Osni the Flare』。前作『Tin Iso and the Dawn』に続く物語で、火の発見を通じて人間が神へと変容していくというテーマが全4幕構成で展開される。言葉を持たないボーカル、オルガン、オカリナ、トイ楽器、フィールド録音など、非常に多様な音素材が使われ、ファンタジックでシンフォニックな音世界を構築している。トイ楽器や素朴なメロディが童話のような質感を生んでおり、神話的なテーマと結びつき、フォークの原初的な雰囲気も感じさせる。自宅で録音された手触りのある音像は、聴く者を静かに包み込み、まるで一冊の神話絵本を音だけで読んでいるかのよう。物語の持つ力と共鳴して、Tristan Allen の創造性がさらに豊かに開花した作品。

アンビエント、インダストリアル、実験音楽といったジャンルで活動するイタリアのギタリストEraldo Bernocchi、ブラジルのヘヴィメタルバンドSepulturaの元ドラマーとして世界的に知られるIggor Cavalera、そしてご存じMerzbowという、一見すると異質な3者のコラボレーションから、熱帯雨林の夜をテーマに予測不可能なサウンドを生み出した作品が〈PAN〉より登場。Bernocchi が手がける重層的なギターと電子処理が土台を形作り、Iggor Cavalera が肉体的で原始的なリズムを叩き込む。さらに Merzbow がノイズの嵐を注ぎ、全体を圧倒的な音響体験へと押し上げている。激しいインダストリアル・ドローンや環境音的テクスチャーの中に、時折ジャングルを思わせるプリミティヴな打楽器の呼吸が浮かび上がるそのサウンドは、単なる轟音ではなく、森の闇に包まれるような没入感と儀式的な高揚を兼ね備えている。深夜に聴くと、音の密林に迷い込むようなトリップ感のある一枚。

アンゴラ音楽の黄金期である、70年代のギター音楽セムバのスタイルを継承、忠実に再現するConjunto Angola 70と、現代セムバを代表するシンガーPaulo Floresが手を組んだプロジェクトTurma da Bênção。ギター・アンサンブルや軽やかなパーカッション、コーラスの掛け合いといった伝統的なセムバの魅力を、Floresの深みのある歌声が現代的な感性とともに結び直す、世代横断の音楽的対話。録音は生々しく、ギターの指のノイズやコーラスの息づかいまで感じられる現場の空気が魅力的で、磨きすぎない質感が、かつてのセムバの手触りをそのまま蘇らせている。伝統と現代性が自然に溶け合い、アンゴラ音楽ならではの祝祭と郷愁が豊かに息づく一枚。

限定'VIDEO GAME'カラーヴァイナル・エディション。『サルゲッチュ』のドラムンベースが満載の超オイシイ一枚が登場!1990年代から2000年代初頭にかけて自身のレーベル〈Far East Recording〉からリリースされた作品をHuneeのキュレーションでまとめた『Sounds From The Far East』を〈Rush Hour〉よりリリースし、再び脚光を浴びることになった、ジャパニーズ・ディープ・ハウス・レジェンド、寺田創一。そのスタイリッシュで風雅なハウス・ミュージック・プロダクションで世界的によく知られているだけでなく、ビデオゲーム・サウンドトラック制作も数多く手掛ける同氏による、プレイステーション用ゲーム『Ape Escape』(サルゲッチュ)のサウンドトラックからの6曲を集めたコンピレーションEP作品『Apes In The Net』が、自身の〈Far East Recording〉より堂々アナウンス!自身の制作してきたハウス・トラックとは一線を画すドラムンベースやジャングルに傾倒した内容であり、アトモスフェリック・ドラムンベースやブレイクコアがアンダーグラウンド・シーンを飛び越えて興隆する20年代の今の空気にもフィットした一枚。
Sunn O))) の共同創設者Stephen O’Malleyによる、パイプオルガン作品『Spheres Collapser』が〈XKatedral〉より登場。本作は2つの長尺パイプオルガン曲で構成されており、O’Malley が演奏し、Kali Malone、Puce Maryも参加。録音にはスイス・ローザンヌのÉglise Saint‑Françoisにある歴史的オルガンが使用されており、スイスの名工Johann Jakob Scherrerによる18世紀のバロックオルガンを核として、19世紀のイギリスのWalker & Sonsと、現代のスイスの名門Orgelbau Kuhnによる大規模な増築、改修を経た、3つの時代の音色が統合された巨大な複合オルガンの音響が楽しめる。2つの楽章はどちらも長尺ながら、微細な倍音の揺れ、空気の震え、残響の変化が絶えず移ろい続け、時間感覚をゆっくりと溶かしていく。音は決して劇的に動かないが、わずかな変化が巨大な空間全体に波紋のように広がり、聴く者を深い集中へと導く。

声とヴィオラを中心に、ペルシャ古典音楽・ガムラン・ミニマリズムなど多様な要素を融合した、Jessika Kenney & Eyvind Kangによる深淵で霊的なサウンドコラボレーション第2弾『The Face of the Earth』。Kenney の透明で祈りのような声は、言語を超えた響きとして空間に漂い、Kang のヴィオラやセタールはその周囲にゆっくりと揺らぐドローンを描き出す。ペルシャ詩のテキストやジャワ音楽の影響が随所に感じられながらも、全体としてはジャンルを超えた抽象的な音響作品として成立しており、静謐でスピリチュアルな実験音楽の魅力が凝縮された一枚。

SuicideのヴォーカリストAlan Vegaによる、オリジナルは1981年リリースの2作目のソロ・アルバムがリマスター再発。ブルースやロカビリーのルーツへ回帰し、ミニマルで荒削りな音作りのデビュー作の延長線上にありながら、さらに荒々しく重層的なサウンドへ進化。Suicideの電子的な攻撃性を離れ、ロカビリーやブルースのルーツをノイズ的に再構築。ストリートライフ、SF、政治、コミック、愛、宇宙の神秘など、Vegaの関心を反映した歌詞世界と、生々しい反抗心と感情の奔流を表現した、アートパンク的な緊張感を持つカルト的名盤。

SuicideのヴォーカリストAlan Vegaによる、オリジナルは1980年リリースのソロ・デビュー作がリマスターされて再発。Suicideの電子的な攻撃性を離れ、ブルースやロカビリーのルーツへ回帰。エルヴィス・プレスリーへの敬愛を反映したヴォーカルスタイルで、ミニマルで荒削りな音作りのアートパンク的な緊張感を持つ。Suicideがディスコ路線を志向する中、Vegaは個人的な音楽的アイデンティティを追求。初期ロックンロールをアートパンクのフィルターを通して再解釈したような強烈なアウトサイダー的エネルギーを放つ、アンダーグラウンド・カノンの中で重要な位置を占めるカルト的名盤。

Nick Rattigan によるソロ・プロジェクト Current Joys とブルックリンのインディバンド Beach Fossils による、90年代スロウコアの伝説的バンド Duster への深い敬意を込めたトリビュート・シングル『Cooking / Inside Out』。どちらも Duster のカバーで、Current Joys は、ざらついたローファイ録音と内省的な歌声で「Cooking”」をより親密なベッドルーム・サウンドへと昇華。Beach Fossils は、霞がかったギターと柔らかなメロディで「Inside Out」をドリーミーなギターポップ。現代インディの重要アーティストたちが Duster の精神を受け継ぎ、静かに響かせた小さな宝物のような一枚。

真夜中の12時間を描く架空のバディ・コメディ・スリラー映画「Walk Don’t Run」のサウンドトラックとして構築された、〈Numero〉ならではのコンピレーション。深夜のダイナーでの逃走劇、盗まれたウッディワゴン、ビッグ・ディッパーのジェットコースター、そして午前3時のサーフセッション、そんな物語の断片が、60年代半ばのサーフ・ミュージック崩壊期に残されたデモ音源によって彩られていく。収録されているのは、Ry-Ko社の倉庫に眠っていた未発表デモを掘り起こしたものばかり。エコーのかかったギター、ゆるやかに揺れるテンポ、どこか夢見心地のバラード。サーフ・ノワールのムードをまとった音楽が、暗闇の中で静かに波打つ。 昼の太陽の下で輝くのではなく、プライベートビーチの奥でひっそり鳴り続けるような音楽。曲順は、まるで映画のシーンが連なっていくように構成で、ざらついた録音の質感が、物語の夜の旅をよりリアルにし、気づけばこの架空映画の世界に引き込まれてしまう。

カナダの作曲家Matthew Patton によるプロジェクト Those Who Walk Away による、亡き友人 Jóhann Jóhannsson への深い哀悼を込めたポスト・クラシカル作品『Afterlife Requiem』。ポストクラシカルの巨匠Jóhann Jóhannssonのハードドライブに残されていた未完成の録音断片を素材として使用、その残響を中心に、アイスランドの Ghost Orchestra とウィニペグの Possible Orchestra、2つの弦楽五重奏団も参加し、新たな構造を編み上げている。ドローン、エレクトロアコースティック、フィールド録音、沈黙に近い音が重層的に配置され、音が現れては消え、弦の残響が霧のように漂う。深い静寂と低域のうねりが共存する幽玄な音世界は、レクイエムでありながら、どこか祈りのような温度を持っている。180g重量盤。
これは中村誠一が辿り着いたひとつの理想。鳥のように自由に飛翔するサックスが、聴く者を開放し、新たな世界へと導く。
一音一音に全身全霊を傾けていた山下洋輔トリオ時代。閃きや衝動を旋律に織り込んで力強くブロウした1970年代初頭。そして中村誠一は、本作でさらなる変貌を遂げる。自身で「みなで空間を共有し、鳥のように自由に飛翔する感じ。それが理想ですね」と語っているように、音の重なりや間が空間をふくよかに膨らませ、そのなかを中村のサックスが闊達に駆け抜ける。作家、平井和正の『ウルフガイ』シリーズにインスパイアされた、伸びやかで爽快な「Wolf’s Theme」、ゆったりとしたグルーヴに郷愁に満ちた旋律が映える「Harappa」、スタンダードを丁寧かつ艶やかに紡いだ「Body & Soul」や「I Can’t Get Started」、躍動感と開放感が気持ち良い「Viva Giappone」など、ここでは中村の理想が見事に具現化されている。大徳俊幸、高瀬アキ、古澤良治郎らが参加。
text by 尾川雄介 (UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)
複数人が集まり、五・七・五(長句)と七・七(短句)の詩句を交互に詠み連ねる、中世に流行した日本の伝統的な文芸、連歌。ガク・サトウと横川理彦による、連歌から着想を得たコラボレーション作品『Renga』。アンビエント、ジャズ、ブレイクビーツ、エレクトロニカ、環境音楽、テクノ、ライブラリー、ミュージック・コンクレートまで、多様なジャンルが直感的に連なり、ひとつの流れとして展開。各曲は前の曲の質感やモチーフを受け取りながら、新しい方向へと自然に枝分かれしていく。電子音と生音が溶け合う都会的なサウンドは、静謐でありながらシネマティック。夜の街の光や雨上がりの空気を思わせる詩的なムードが漂い、ジャンルを越えた自由な音楽性がアルバム全体を貫いている。
日野浩志郎と中川裕貴によるユニットKAKUHANとのコラボでも知られるポーランドの即興打楽器奏者Adam Golebiewskiと、メルボルン実験音楽シーンの重鎮Dave Brownによるデュオ作。ドラムとギターというシンプルな編成ながら、ノイズ、アンビエント、フリー・インプロヴィゼーションが溶け合う抽象的なサウンド。Golebiewskiのパーカッションは打撃よりも質感を重視し、擦過音や金属的なノイズが空間をざらつかせる一方でBrownのバリトン、テナーギターは旋律を避け、低い唸りや倍音の揺らぎを生み出す。ふたりの音が絡み合うことで、存在しない映画のサウンドトラックのような暗い光の世界が立ち上がる。
ポーランドのギタリスト、Raphael Rogińskiと、セルビアを拠点に活動する、南スラヴの伝統歌唱を深く研究し、現代的な音響感覚と結びつけるトリオ・アンサンブルRužičnjak Tajniが共作した、バルカンの深い伝承を思わせる響きと現代音響が交わるエクスペリメンタル・フォーク作品。強靭でストレートなバルカン歌唱が中心にあり、その倍音や揺れが音楽全体の芯をつくる。対照的にロギンスキのギターは、旋律を前に出すのではなく、ドローンや打弦、鋭い単音を組み合わせながら、独自の質感で周囲を支えている。民謡の旋律や宗教歌、オスマン帝国由来の古い歌など、バルカン半島の多層的な音文化を素材にしながら、和声や音の配置は現代音楽的で、伝統と実験が自然に呼応する独自の音響世界を形成。リズムは明確に刻まれず、呼吸や語りの間合いが時間の流れをつくり、聴き手を歌の奥にある風景へと引き込む。限定100部。

2022年発表の1stアルバムは、エクスペリメンタル・クラブシーンにおいて大ヒットを記録し各所で多大な評価を得た、日野浩志郎と中川裕貴によるユニットKAKUHANと、ポーランドの即興打楽器奏者 Adam Golebiewski による、ノイズ、即興、パーカッションのエネルギーが交錯する実験音響作品『Repercussions』。皮を擦る、金属を叩く、ドラムセットの楽器ではない部分を鳴らすなど、非伝統的な奏法を用いた音の粒子を細かく飛ばすような質感のAdam Golebiewski の拡張パーカッションと、KAKUHANによるざらついたフィードバック、微細な電子ノイズ、不規則なパルスが重なり合い、音の物質感がむき出しになる。完全な自由即興ではなく、音の配置や間が緻密に意識されており、混沌の中に奇妙な秩序が立ち上がる。KAKUHANと Golebiewski の個性が互いを増幅し、即興性と音響構築が高いレベルで融合した強烈な一枚。限定200部。
