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ポスト・ケージ世代のアメリカの作曲家/サウンドアーティストのデヴィッド・ダンは、音響生態学・生物音響学の第一人者で、ICCでの展覧会「サイレント・ダイアローグ」(2007)でもレクチャーを行ったその筋の最先端。そんなダンのCDデビュー作『天使と昆虫』(1992)は、超自然的な天界の天使の名前と、自然界の水中に棲む昆虫という、二つの極端な世界とのコミュニケーションに焦点を当てた驚くべき包括的なアルバムである。同時に、彼が取り組んでいる音を媒介にした自然環境・社会環境と生命体の相互作用、そのポスト・サウンドスケープの方向性もしっかり提示されている。(これを「環境音楽」と勘違いすれば100% クレーム返品!)
収録作のひとつ「49の善き天使の表」は、ルネサンス期の数学者・占星術師ジョン・ディーと霊媒エドワード・ケリーの神秘的な調査に基づく、コンピュータ処理された声のための作品。400 年前、天使の言葉というふれこみでディー博士が発明した「エノク語」をテキストにし、天使(=エイリアン)の声の音響化を試みたオカルティックな実験作で、まるで魔方陣の上で空間が裂け、声が漏れてくるかのような怪しさとカッコ良さは悶絶必至!
もう一方の「混沌と池の創発的な精神」は、水辺に棲む昆虫が発する、人間が耳にすることのできないマイクロ音をデジタルフィールド録音し、人間界での可聴音に調整して提示されたオーディオコラージュ作品。ここでも音を媒介にした異界と人間の接近遭遇が図られるが、昆虫(=エイリアン)がコミュニケーションする音は「人間が作り出したほとんどの音楽よりも複雑な順序で構成されているかのような」(解説より)凄まじいもので、それを前に人間のなす術はない。ダンの転機となる重要作でもある。
=作品仕様=
+ CD(通常ジュエルケース)
+ 24頁ブックレット(英語・日本語訳)、帯付き
+ 解説;デヴィッド・ダン
TRACKS:
「49の善き天使の表」(1991)
1. Segment 1 (4:06)
2. Segment 2 (4:05)
3. Segment 3 (4:05)
4. Segment 4 (4:00)
5. Segment 5 (4:00)
6. Segment 6 (4:05)
7. Segment 7 (4:07)
8. 「混沌と池の創発的な精神」(1991)[24:31]
2018年の立ち上げからアイルランド/ダブリンの地下実験音楽シーンを静かに育んできたレーベル〈wherethetimegoes〉からBelacquaのデビュー作。砂の上に置かれた碁盤のアートワークさながら、”Parmish”の不穏な布石から、石粒が跳ね回るような小品”Refish”、”Plaicish”の死活を賭けた攻防まで、脳波に作用するアブストラクトゲームのようなエクスペリメンタル。〈wherethetimegoes〉からの作品の多くは、ヴァイナルやカセットよりも柔軟性が高く、費用対効果に優れたデジパックCDという形でリリースされていて、求めやすい価格なのも嬉しい。
ダブ、ストリートソウル、ブギーに
豪州Melbourneのプロデューサー、Midnight Tenderness (Ryan Hunter)。タイトルトラック「Hydrosphere」で、壊れたマシンファンク、輝くシンセライン、美しい鮮明なドラムプログラミングをブレンド。Rain Vibe'では、このサウンドパレットをさらに発展させ、重厚なワブを加えている。Catamaran'はバレアリック諸島の黄金時代を彷彿とさせる曲で、オリジナルはイビサのサンセットクルーズ。パースのHame DJのリミックスには、Madchesterのようなサイケデリックな味わい。
DIY精神に満ちた自主レーベルを運営しながらロンドン市内でレコード店も営む〈World of Echo〉4周年を記念して制作された、2枚組LPで500枚限定の20曲入りの贅沢なコンピレーションアルバム。午睡を誘うような”Blackwater - Overload”までの流れから、”Komare - Blanco y Verde”から始まる寝耳に水のような、点滅するヴォイスとノイズのコントラスト、終盤の”Tara Clerkin & Sunny Joe Paradisos - Castelfields”でまた幸福で長い気怠さが戻ってくる。始まりと終曲をPat Benjaminの鎮静作用のあるピアノ曲で纏めた、とりとめがないようで巧みな楽曲構成、そして繰り返し繰り返し聴きたくなるのは、中毒性のある微量の毒素が含まれているからなのかも。
〈Buzz〉から発表された90's Technoの記念碑的コンピレーション『Virtualsex』にAcid Houseを融合させたら?というコンセプトで依頼したという実験作!さらにホームリスニング対応というテーマもある。Type 303 ”Stairway to Jupiter”、iNFO ”Dreams of Andromeda” など星に関連したタイトルはアルバムに一層コズミックな彩りと煌めきを添えている。初期シカゴハウスと303サウンド愛に満ちた〈Chicago Bee〉レーベルオーナーMark ChurcherによるA-Eno-Acid ”Greek Town Casino” のストイックな締めもいい。
アンビエント/ミニマル傑作選の常連にして、ブライアン・イーノも惜しみない賛辞を贈る名盤、ジョン・ハッセル伝説の1stが遂にリマスター再発!!
米ピッチフォークが選ぶ歴代最高のアンビエント・アルバム50枚にも選出されている本作は、1977年に〈Lovely Music〉からリリースされたジョン・ハッセルにとって初の公式リリース作品である。同時に、西洋と非西洋の合体をコンセプトに、フィールドレコーディング、エレクトリック・ジャズ、アンビエント、ワールドミュージックを融合させた「第四世界」シリーズの第一作目としても位置づけられた実験音楽史に残る超重要作。ハッセルのトレードマークでもある、音響信号処理された不可思議なトランペットのサウンドを主役に、ブラジルが誇る世界的パーカッション奏者、ナナ・ヴァスコンセロスによるパーカッションと、バイオフィードバック音楽のパイオニアとして知られる電子音楽家、デヴィッド・ローゼンブームによるシンセサイザーを含む至高のアンサンブルが、静謐で瞑想的で独創的な音響美を生み出している。今回のリイシューにあたり、音源は、当時のオリジナルのマスターテープからリマスタリングされたものとなり、アナログ盤は実に42年ぶりに商品化されることとなる。
アルメニアの伝統的な木管楽器ドゥドゥクの名手として広く知られているアーティスト、Djivan Gasparyanのデビュー・アルバム『I Will Not Be Sad In This World』から10年後の1993年に録音されたセカンド・アルバムがリイシュー!
プロデューサーにはMichael Brookを招き入れて制作が行われた。
DLカードにはアルバム全曲に加えて、タイトル曲のMachinefabriekによるリワークをボーナスとして収録。
ウォーターメロングループの延長線上と言えるエキゾチック作品で中西俊夫、工藤昌之を中心にリトルテンポ等での活動でも知られるスティールギター奏者、田村玄一、ナチュラルカラミティーの森俊二らがバリ島に集まりレコーディングされた本作は、レーベルコンセプトに沿った一貫してスローダウンしたエキゾチック・サウンドで、今のバレアリックやチルアウトサウンドを予見したかのような先見性には驚かされる。
国産エキゾ・ミュージックの最高峰と言える作品。
1992年作品
トラックリスト:
Side A
1.BEYOND THE JUNGLE (there’s something)
2.MOON HOTEL
Side B
1.DEATH A GOOD ADVISER
2.NUHIKA
3.WHEN THE SKY FALLS
DISC 2
Side C
1.MOVING WATER (GET HOT, GET WET)
2.SLACK BABY SLACK
Side D
1.THUNDER ISLAND
2.SPACE COWBOY
3.VOICES
アフリカの民族音楽、ジョージ・クラム、伊藤貞司、ハリー・パーチ、メレディス・モンクなど幅広い作曲家への関心が彼女の音楽に反映されている。彼女とジャン・ダニエル・ボッタは、パーカッショニストのローラン・セリエスとともに、オーストリア郊外にある、Art Brut Center Guggingで暮らしたアールブリュット詩人エルンスト・ヘルベックが残した詩の断片を分解、構築。ホップスコッチ、ビザンティン数学のような宗教的声楽曲と未来的なマドリガル、R&B、イマジナリーなフォーク・ミュージック、オルゴールなど多彩な小品が並ぶ組曲のような構成。すべてドイツ語で歌われており、幼稚園で奏でられるクラウトロックのようです。
MARC HOLLANDERがキュレートする新世代アンビエント・ミュージック・コンピ!!
CRAMMED DISCSのコンポーザー・シリーズ「MADE TO MEASURE」の第47弾は、KAITLYN AURELIA SMITH、FELICIA ATKINSON、MARY LATTIMORE、CHRISTINA VANTZOU、LUCRECIA DALTら超豪華メンツが参加した新世代アンビエント・ミュージック・コンピ!!
先日、ニューアルバム『LET'S TURN IT INTO SOUND』を発表したKAITLYN AURELIA SMITHをはじめ、アンビエント / エクスペリメンタル・ハープ奏者MARY LATTIMORE、SHELTER PRESSを中心に素晴らしい作品をリリースするFELICIA ATKINSONらが書き下ろしの楽曲を提供しています。CRAMMED DISCの総帥でありAKSAK MABOUL率いるMARC HOLLANDERによるキュレートです。
建築や温度、湿度、人間の存在から影響を受けた環境音響の実験と即興に関する音楽を作り上げてきたTomoko Sauvage。彼女は10年以上にわたり、フランスの様々な州の水や、電子機器と組み合わせた水の健全性や視覚的な特性を調査してきました。本作もまた、自然音をシミュレートしたシンセサイザーとハイドロフォン(水中マイク)で増幅された視覚的サウンド・アート。絶えず変化していく要素要素、遅延される環境音がドローン状の膜のように広がり、空間ごと時間を真空パックするエコー・チェンバー。地味なようでいて、多彩な一面が顔を覗かせる圧倒的な変化と変遷が楽しめる環境音響の極北的作品。そして、Rashad BeckerによるDubplates&Masteringでのマスタリングと作品を取り巻く環境も完璧。限定500部