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科学者にしてスピリチュアル教師、そして独学のピアニストだったWillem Nylandが、1960年代にニューヨーク州で私的に録音したピアノ即興演奏を収めた幻のレコード『Piano Studies 337』が、面目躍如とも言える〈Mississippi Records〉より初めて再発!オリジナルテープからリマスターされたこの作品は、George Gurdjieffの思想を継ぐ独自の精神的実践の一環として演奏・録音されたもので、演奏後に弟子たちに共有されていた。特別に調律されたピアノを用い、感情豊かで霊的な即興演奏が展開される。ピアノ音楽というより音による精神的対話と言うべき貴重な記録。写真家アンセル・アダムスにも推薦された逸品で、今回は〈Psychic Sounds〉とNylandの家族の協力により、シカゴのSmashed Plasticで高音質リプレス。Matt Marbleによる詳細なライナーノーツと、妻Ilonka Karaszによる美しいオリジナルジャケットも忠実に再現されている。

グレアム・ジョンソンによるベッドルーム・サイケ・ポップ・プロジェクト、quickly, quicklyのニューアルバムが、オレゴン州ポートランドにある地下スタジオ、ケントン・サウンドから到着!Phil Elverumの予測不可能なヴォーカル・メロディとサウンド・デザイン、Dijonの生の感情、Nick Drakeの時を超えたリズム感にインスピレイションを受けて生み出されたという本作だが、心地よいノイズで彩られたフォークアルバムはハイファイでありながら家庭的で、温かみとウィットと不協和音を伴って日常生活の輪郭を描くようなリアリティある内容。現代のベッドルームミュージックと1960年代の音楽が融合したような雰囲気がクセになりそう。

El Michels AffairやBacao Rhythmといった人気アクトが揃う〈Big Crown Records〉から2019年に発表されていた、カリフォルニア州リアルト出身の3人組バンド、”Brainstory”の傑作デビュー・アルバム。”ジャズ”という自身らのルーツを明確に打ち出しつつ、ヒップホップから70年代のファンク、60年代のソウル、そして、南カリフォルニアでの生活というものをサイケデリックで独創的な感覚の中へと取り入れ、人として/バンドとしてのあり方を探った全10曲の旅!

アルバム『horizons』は、COMPUMAが2023年7月に自身のBandcampよりデジタル限定でリリースしたEP「horizons EP」をさらに発展させて制作したアルバムとなっており、自身のルーツとなる、熊本・江津湖のほとりや、各地の様々な場所を散策時に、その景色や環境にインスピレーションを得て作られた楽曲で、ミニマルな日常の心地よさをその音へと昇華させたかのような、ゆったりとしたエレクトロニック・ダウンテンポ、 アンビエント、イマジナリーなエレクトロ環境音楽作品となっている。
電子音のうねりが澄み切った空の広がりと湖の景色を横目にゆったりと歩いていく様を表したような「horizons 1」、ヴォコーダー・ヴォイスがどこか人々の営みを彷彿とさせてくれており、歩みのなかの内省にフォーカスしたような、よりミニマルなリズムと電子音の戯れへと絶妙な塩梅で変化させていく「horizons 2」、歩きながらの思索の緩急のような、そして、アーリー電子音楽へのオマージュともとれる「horizons 3」、歩くことに没頭しているかのような、よりストイック・ミニマルなエレクトロ・ダブワイズ「horizons 4」、そして、そしてアルバム・ラストには、広大な空を眺めているかのような、まるで前半部の歩みが淡い記憶として拡張されていく様を描いているかのような、フィールドレコーディングによってそぞろ歩く水辺の気配をまとったノンビート・アンビエント・テイストの、「horizons 5」と、ときに景色と歩くことに没入し、ときに思索にふけり歩き続ける「散歩」の日々のヴァージョンを彷彿とさせる「horizons」5ヴァージョンを収録しており、幕間には「horizons Interlude」を挟んで、たゆたう湖面を彷彿とさせる、前作『A View』収録曲「View 2」のセルフ・リミックス、エレクトロ・ヴァージョン「view 2 electro」を収録した全7曲となっている。
個人的な感想を言えば、どこかクラフトワークの『アウトバーン』を思わせる作品で、かの作品はアウトバーンが走る西ドイツの田園風景をミニマルな電子音による書き割りで描いたわけだが、本作もどこか「散歩」の情景を電子音にて描いているようにも思える作品でもある。とはいえ『アウトバーン』と違うのは、歩みのなかでの内省へも踏み込んでいくような中盤の要素もあり、アルバムを通してさまざまな(心情も含めた)景色を見せる、そんな作品となっている。シーンの潮流たるマクロな視点で言えば、昨今の環境音楽リヴァイヴァルやアンビエント・ミュージックの一般化のなかでの、DJやレコード・バイヤーとして、そうした音楽を長らく紹介してきた彼の新たな回答とも言える作品でもある。
アルバムは、Deavid SoulやUrban Volcano Sound、レコーディング / マスタリング・エンジニアとしても活動する hacchiが共同で制作に関わり、マスタリングは坂本慎太郎ソロ作他、多くの名盤を生み出してきたスタジオPeace Musicの中村宗一郎が手がけている。パッケージ・アートワークは、デザイナー鈴木聖によるもの。(河村祐介)

Gastr Del Solというユニットが、その独自の音楽美学と価値をはっきりと打ち出したオリジナルは1994年発表の転機の作品『Mirror Repair』がリイシュー!5曲という短い構成ながら、ギターの絡み合いに加えて、ピアノやドラム、木管楽器などが鋭く差し込まれ、強い衝動に突き動かされたような音像が広がる。音と同じくらい沈黙も重要な要素として扱われ、聴き手に深い集中を強いる。静と動、構築と解体が緊張感を保ちつつ共存していて、短い時間の中に濃密な世界が詰め込まれている。Gastr Del Solにとって小品ながら決定的な一歩であり、以後の彼らの展開にもつながる重要作。長い時間を経て再発された今こそ、改めて聴き直す価値のある一枚。
東京在住孤高のエクスペリメンタル・フォークシンガーであり旅人でもあるSatomimagaeによるアルバム『Taba』は、個人的な感覚と普遍的な気配が交錯するような小さな物語を連ねた作品。彼女が日々、自宅スタジオの外から流れ込んでくる風景や音、目に見えるもの・見えないものを静かに観察し、それらを吸収するなかで生まれた楽曲たちは、どこか記憶の揺らぎにも似た時間の中を漂っている。

米国の大人気実験作家Ullaとの昨年のコラボレーション・アルバムが大変素晴らしかった、〈Radio.syg.ma〉の共同創設者としても知られるベルリン拠点のDJ/プロデューサー、Perilaによる最新アルバムが〈Smalltown Supersound〉からアナログ・リリース。極地的環境を彷彿とさせる、荒涼として凍てつく広大なサウンドスケープが、深い内省と愁いを込めつつシュルレアリスティックに展開されていく、破格のエレクトロアコースティック/ドローン・アンビエント作品!名匠Rashad Beckerによるマスタリング仕様。

〈Tasty Morsels〉や〈1080p〉からのリリースでも知られるリヴァプール拠点の実験的アンビエント作家Andrew PM Huntのソロ・プロジェクト=Dialectによる最新アルバム『Atlas of Green』が〈RVNG〉から登場。「失われた信号と永続的な衝動がテクノロジーと時間の堆積物から発掘される、未来の夜明けの時代に活動する”Green”という名の若い音楽家」をイメージして作られたというコンセプチュアルな作品。拾い集めた遺物、そして、過ぎ去った色彩のパッチワークとなった本作は、流動的な中期未来の虹色のきらめきを通して投影された幻想的な一枚に仕上がっています。名匠Stephan Mathieuによるマスタリング仕様。〈RTI〉での高品質プレスと盤質も万全!


Dorothy AshbyとArve Henriksen、Jon HassellとHildur Guðnadóttirを繋ぐ、愛の不安、調和、不確実性を描く旅。電子音楽家でチェロ奏者のAsma Maroof、ベルリンのクラブ・シーンの中心地〈PAN〉に傑作を残すPatrick Belaga、サックス奏者、理論家、音楽家のTapiwa Svosveによる要注目コラボ・アルバム『The Sport of Love』がアナウンス。現代のロマンスの言語、競争、矛盾について考察をテーマに作り上げた作品であり、第四世界を通過したフリー・インプロヴィゼーション/アンビエント・ジャズと荒涼としたアンビエント・ドローンが溶け合うフリーフォームで破格な一枚!
自国のソウルやゴスペル、ファンクのみならず、ニューエイジ・ミュージック始祖Iasosや原マスミ、プロト・ヴェイパーウェイヴまで掘り起こし、マニアを唸らせ続けてきた大名門レーベル〈Numero〉からは、名コンピ『Eccentric Funk』や『Eccentric Disco』といった"Eccentric"シリーズの次回作『Eccentric Deep Soul』がアナログリリース。Little TonyやThelma Jones、Thelma Jones、Joey Gilmoreといったアクトたちによるディープ・ソウル・ナンバーを全13曲収録しています。

アーバン・メロウ/シティ・ポップ・フィーリング抜群!ミシシッピ川とミズーリ川の合流地点にある地下スタジオで活動していたHoward Neal率いるレーベル〈Shoestring〉に残された知られざる作品群が〈Numero Group〉の『Eccentric Soul』シリーズから奇跡のコンピレーション化。The James Family、Jimmie Green、Pete & Cheez、Carletta Sueといったアーティストたちによる宇宙的な中西部ディスコの未知なる名曲が満載。チップオンスリーヴ仕様。エッセイと豪華写真も収録。
自国のソウルやゴスペル、ファンクを始め、世界各地のマニアックなグルーヴを掘り起こし、マニアを唸らせ続けてきた大名門レーベル〈Numero〉からは、米国ヴァージニア州ノーフォークのレコーディング・スタジオ/レーベルであり、知る人ぞ知るレア_ソウルの聖地〈Shiptown Records〉にて1965年から1977年にかけて録音された最も魅力溢れる25曲をコンパイルした意欲的なコンピレーション・アルバムが登場。Ida Sands, The Soul Duo, The Anglos, Dream Team, The Grooms, Positive Soundsといった面々による貴重な楽曲の数々を一挙収録した内容となっています!

Sarah Davachiの2015年デビューLP。Davachi自身およびサンフランシスコ・ベイエリアのミュージシャンたちが参加した、拡張されたエレクトロ・アコースティックなソロ作品と室内楽作品のシリーズであり、カナダ、カリフォルニア、ヨーロッパ各地で録音された。すべては風景の中にあり、心の位置が風景となっている。
オリジナルは2000年にリリースされた、コンシャス・ルーツの名シンガーDaweh Congoによる力強いメッセージを持つデジ・ルーツ・アンセム『Prophecy Reveal』が、ベルギーの〈Roots Vibration〉から25年ぶりに再発。スネアの効いた、少しよれながらルーズに揺れるデジタル・ドラムと分厚いサブベースに乗せて、ラスタ的な神秘思想を唱えるように歌うヴォーカルは健在。裏面には、エコーの効いたダブ・バージョンも収録されていて、よりミニマルかつ催眠的な仕上がりになっている。月明かりの下で聴きたくなるような、スピリチュアルで大地を感じる一枚!
90年代のデジダブ名曲が、ベルギーの〈Roots Vibration〉から再発。コンシャス・ルーツの名シンガーDaweh Congoによる「Fi Years」は、闘争と抵抗をテーマにした力強いヴォーカルが響くアンセムで、Mikey “Jah Son” McNeilによるプロダクションは、吹き上がるホーン、揺らめくナイヤビンギ、重厚なベースが一体となり、強靭かつソウルフルな仕上がり。B面にはダブ・ヴァージョンを収録し、ルーツ・スタイルの真髄を静かに伝える。
ヒップホップ史において最重要作品のひとつとされる、あまりにも有名な1994年のNasのデビュー作『Illmatic』。ニューヨーク・クイーンズブリッジ出身のNasが、当時わずか20歳で描いたリリックは、ストリートの現実と詩的な想像力が交錯する驚異的な完成度を誇り、プロデューサー陣にはDJ Premier、Pete Rock、Large Professor、Q-Tipらが名を連ね、ジャズやソウルのサンプリングを下地にした硬質で叙情的なビートが並ぶ。たった10曲・40分弱という短さの中に、東海岸ヒップホップの美学とリアリズムが凝縮されている。ラップという表現形式が持つ可能性を最大限に引き出した一枚であり、ヒップホップを「芸術」として確立させた決定的な証拠ともいえる作品。

Merzbowこと秋田昌美とドイツ・ケルンを拠点とするSeyfried A. Hatterことlicht‑ungとのコラボレーションによる10インチ・リミテッド・エディション作品『Merzlicht』が登場。サイケデリックでミニマルなノイズ・エクスカーション。licht‑ung による抽象的な静音と、Merzbow の強烈なノイズ爆発が対比を成しつつ融合。licht‑ung によるヴァイオリンやノイズの繊細な重層構築から、途中でMerzbowが本性を現すような爆発的ノイズへ切り替わるドラマティックな展開が印象的。双方のテクスチャを共存させる興味深いコラボレーション。限定100部につきお見逃しなく!

シーンの枠組みを越えて多大なリスペクトを浴びる、我らが音の錬金術師、ジム・オルークによるカイル・アームストロング監督作品『HANDS THAT BIND』の豪華サウンドトラックがUSインディ名門〈Drag City〉よりアナログ・リリース!広々とした大空の風景へと溶け込み、突然深い(そして不透明な)感情の海へと流れ込みながら、やがて冷ややかな全知全能へと広がっていきます。広大なミニマル・ロック・サウンドスケープ・アルバム!
限定30部ブラックヴァイナル仕様、ナンバリング入り。ドイツのインディペンデントレーベル〈Frei zum Abriss Kollektiv (FZAK)〉による、Merzbowこと秋田昌美の9インチ・ラテカット盤『Magpie』。本作は、Merzbowの新たな音響探求の一例であると同時に、レース・カット盤というアート的フォーマクリア・ヴァイナルは20枚限定というコレクターズアイテム。2024年録音という最新作にも関わらず、Merzbowの伝統的な深淵なノイズ美学を継承しつつ、秋田の自宅スタジオ「Munemihouse」で録音・ミックスの行われた、手作業ならではのぬくもりと物理的存在感を併せ持つ一枚。

「音楽ではないものを音楽として楽しむ」という観点から、ノイズを他のジャンルと同様の音楽的手段として昇華させている日本のノイズ・アートの最重要人物Merzbowこと秋田昌美の『Hatonal』が、スウェーデンの実験音楽プラットフォーム〈Blod〉と、スペインのレーベル〈Industrial Complexx〉から共同リリース。秋田昌美の音響的進化とスタイルの力強さが表れた、フィードバックと歪みに満ちたカオティックなノイズ作品となっており、電気的インパルス、金属的ノイズ、膨張する不協和音によって構成された、強烈な2トラックを収録している。限定100部、お見逃しなく!
