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日本を代表するアンビエント/ドローン·ミュージック・シーンを牽引する存在となったChihei Hatakeyamaこと畠山地平が、この度ジャズ・ドラマーの石若駿とのコラボレーションを発表した。
ラジオ番組の収録で出会って以来、ライヴ活動などでステージを共にすることはあった2人だが、作品を発表するのは今回が初めて。『Magnificent Little Dudes』と名付けられた今作は、2部作となっており、2024年5月にヴォリューム1が、同夏にヴォリューム2がリリース予定となっている。
「その場、その日、季節、天気などからインスピレーションを得て演奏すること」をコンセプトに、あえて事前に準備することはせず、あくまでも即興演奏を収録。ファースト・シングル「M4」には日本人ヴォーカリストHatis Noitをゲストに迎えた。ギター・ドローンの演奏をしているとその音色が女性ヴォーカルのように聞こえる瞬間があることから、いつか女性ヴォーカルとのコラボレーションをしたいと思っていた畠山。「今回の石若駿との録音でその時が来たように感じたので、即興レコーディングの演奏中、いつもは使っている音域やスペースを空けてギターを演奏しました。ちょうどこのレコーディングの3週間くらい前に彼女のライヴ観ていたので、Hatis Noitさんの声をイメージしてギターを演奏しました」と話す。
世界を股にかけて活動する日本人アーティスト3組のコラボレーションが実現した『Magnificent Little Dudes Vol.1』は、日本国内外で話題となること間違い無いだろう。
![Nora Guthrie - Emily’s Illness / Home Before Dark [2025 edition] (7")](http://meditations.jp/cdn/shop/files/177653192_5bb667dd-0b0b-4d98-bdaf-b17f858c5532_{width}x.jpg?v=1706774655)
アメリカのフォーク・ミュージシャン、ウディ・ガスリーの娘で、SSWのアーロ・ガスリーの妹、また、著名なイディッシュ語詩人アリーザ・グリーンブラットの孫であるノラ・ガスリーが、1967年、17歳で発表した唯一の、そして宝物のようなシングル。「Emily’s Illness」はビーチボーイズ『 Pet Sounds』のような音像と、耽美的サイケデリア/アシッドフォーク感覚が併存した奇跡のような曲として60年代音楽マニア界隈を越えてきき継がれる美しき傑作だ。
「 Emily’s Illness」の題名と歌詞内容は19世紀の詩人エミリー・ディキンソンへあてたオマージュといわれ、装丁に使ったノラの当時の写真もディキンソンの時代世界を思わせる。この曲を書いた当時18歳のエリック・アイズナーは彼女のボーイフレンドで、フィフス・アヴェニュー・バンドの前身となるストレンジャーズというバンドでピーター・ゴールウェイと一緒に活動していた。エリックとノラは当時ジョアン・ジルベルト(とその歌い手のアストラッド)に夢中で「Emily’s Illness」にも「Home Before Dark」にもその影響を聞き取ることができるが、何よりも歌手として全く素人のノラを歌わせたことで別のミラクルが発生。録音面では職業音楽家のアーティー・シュロックが印象的なハープシコードや弦楽器を入れてメランコリックな世界を演出した。(なお、その後エリック・アイズナーがハウディームーンに提供した「Nora Lee」とはノラ・ガスリーのこと。)

「ホーム・ビフォア・ダーク」はエム・レコードの再発で知った大好きな曲。この曲を、大好きなバンドゑでぃまぁこんがカバーしたら最高だろうな、と思っていたらやはり最高!夢が叶いました。」(坂本慎太郎)
ゑでぃまぁこんが、ノラ・ガスリーの名曲を、坂本慎太郎とゑでゐ鼓雨磨の共作オリジナル日本語詞でカヴァーした、良き出会いの繋がりが生んだ二重三重の夢の結晶。トルソ(TORSO)によるドリーミー管弦楽リコンポジション版をカップリングした夢のWサイダー。(ポップスの神様はまだ日本にいらっしゃいました。)
ノラ・ガスリーのたった1枚のシングル「Emily’s Illness c/w Home BeforeDark」(1967年)は、2009年の復刻リリース以来、マニアの秘匿曲を越えて内外に拡がりました。当初は、19世紀アール・ヌーヴォー的耽美をビーチボーイズ『Pet Sounds』風のサウンドで綴った美しい奇曲「Emily’s Ilness」推しだったのですが(※1)、しだいにB面曲「ホーム・ビフォア・ダーク」がミュージシャン達を魅了しはじめ(※2)、伝えられるところではエゴラッピン、ティーンネイジ・ファンクラブ、テニスコーツ & yumboがライブで取り上げて流布していった模様。しかし、まさかこのような予想もしない素晴らしい録音に出会えるとは!!本作は、もともと坂本慎太郎の発案で、ゑでぃまぁこんバンドでプライヴェート録音したもの(同氏の「P」審美眼にリスペクト)。公開目的ではなかったこの隠密録音の噂がエムに届き、長きにわたる円(縁)のループが繋がったような作品をお届けすることになりました。装丁画はゑでゐ鼓雨磨。
=カップリング曲秘話=
カップリング曲の制作は元曲を知らないトルソに打診し、ゑでぃまぁこん版のヴォーカルと旋律楽器パートを抜いたベーシックトラックを渡して、ほとんど目隠し状態でのリコンポジションを依頼(制作中はググり禁止)。当初はシンプルにOrieとKenjiの演奏を被せた合奏で……という趣旨でしたが、この無茶な実験要求に応えたトルソは、最終的にベーシックトラックをも抜きとった叛逆的かつ優雅なリコンポジションを送りつけてきて、このオリジナル曲の出来栄えに一同平伏!
注釈:
1)「Emily’s Illness」は、19世紀アメリカの詩人、エミリー・ディキンソンへのトリビュートと思われる。
2)ガスリーと作者エリック・アイズナーは当時アストラッド・ジルベルトの大ファンだった。初期アストラッドのたどたどしいボサノヴァ歌唱とノラの歌う「Home Before Dark」を頭の中でダブらせて再生してみてほしい。
=作品仕様=
+ 3 面折り込みジャケット
+ 歌詞掲載
TRACKS:
Side A - ホーム・ビフォア・ダーク
Side B - ホーム・ビフォア・ダーク(Recomposed by TORSO)

フィンランドを拠点にブックデザイナーとして活動するジョン・ハバードが、1989年に自主レーベルStrength Through Joyより限定50部で発表した伝説的プロジェクトVogelscheiß Und Seine Verrückten Krötenの唯一音源を初復刻。1988年のヨーロッパ旅行でスティーヴン・ステイプルトンに会い、その後アーヘンを訪れクリストフ・ヒーマン、アンドレアス・マーティン兄弟と共に行なった謎多きセッションの記録がここに解禁。
小杉武久やPierre Henry、Come Organisationのタイトル等も手掛けてきたJos Smoldersがリマスタリングを担当。
LP版はDLコード、インサート付。限定300部。
尺八とコンピュータで呼応する、新潟の親子が交わした「時間と音」の記録を巡る福島家の電子音響ダイアリー。
1990年代に佐渡での村松流尺八との出会いをきっかけに尺八奏者として演奏・即興を始めた福島麗秋。その彼の息子であり、リアルタイムなコンピュータ処理によって奏者との対話的かつ未知なる電子音響の可能性を探求する福島諭。今作は新潟の父と子からなる親子ユニットの記録として綴られた初の<アルバム>作品。深い息遣いをみせる身体的な尺八の演奏をコンピュータで分解・加工処理で即時応答し、現在に過去を進行形で重ね、未だ見ぬ新たなる音像を多層的に創出していく。過去と現在、身体と機械、分解と構築、間と動作、作曲と即興。相反するふたつの事象/現象を行き交い、やがてその境界線で根を張り、まるで艶やかで柔らかな花びらが開花するように、電子音響レイヤードは凛と美しく、未来へと眩しい輝きを放っているかのようである。
+ 初版限定300部
+ ライナーノーツ:三輪眞弘
+ コメント:長嶋りかこ
+ カバー写真:吉原悠博(吉原写真館)

佐渡島の住環境に暮らす作家10組によって紡がれていくオブスキュアなサウンド・ドキュメンタリー。
現在も数多くの能舞台が各集落に残り、海山に囲まれた豊かな自然とともに能楽や鬼太鼓が今も生活に息付く佐渡島。今作は島の文化や風土を暮らしの背景に持ちながらも新たな創造の息吹を感じさせる、2025年に現存する佐渡島の音楽と人々を記録するために制作されたコンピレーション・アルバム。伝統を超え新たな地平を切り拓く太鼓芸能集団・鼓童の重要人物である「住吉佑太」と「前田順康」によるそれぞれのソロ、佐渡に自生する孟宗竹から竹太鼓を自作し独自のグルーヴを創出するグループ「サドラム」、ポップスから前衛まで多才な作曲センスを魅せる音楽家・佐藤望による「プランタール」、佐渡でレストラン<ラ・パゴッド>を営み食とアートの融合を試みるシェフ/美術家「ジル・スタッサール」、世界中の試し書きをアート作品へと昇華させる美術家であり能を題材としたアンビエント・ミックスを制作する「シャルル・ムンカ」、さどの島銀河芸術祭を先導しつつ自らも先鋭的な現代美術家として活動する「吉田盛之」、独創的な視点と美学を持った絵画や実験音楽の制作を行う「青木孝太」、90年代より音楽活動を開始し近年はラップトップを用いた新たな作曲の可能性を拡げる「福西みゆき」、ウクレレ奏者のユカとジョン・ゾーン主宰のTzadikからのリリースでも知られるベース奏者シャニール・エズラ・ブルーメンクランツによるユニット「ザ・フグ・プラン?」と総勢10組がここに大集結。更にジャケット写真には佐渡在住の写真家/僧侶である「梶井照陰」が撮影した踊る佐渡の海波を捉えた「NAMI」を起用し、ライナーノーツには美術批評家でありさどの島銀河芸術祭アドバイザーを務めている「椹木野衣」が執筆するなど、作品を構成するもの全てが佐渡ならではの人々によって制作された、佐渡の<現在>をも示す渾身の1枚。
+ 初版限定300部
+ ライナーノーツ:椹木野衣
+ カバー写真:梶井照陰
【トラックリスト】
A1 Sadrum - Kagero
A2 Yuta Sumiyoshi - Singing
A3 plantar - Subtle Whisper
A4 Gilles Stassart & La Pagode - Golden Galette
A5 Charles Munka - Holloways
B1 Morito Yoshida - Denpa
B2 Kota Aoki - Kyou
B3 Miyuki Fukunishi - From The Northwest
B4 the fugu plan? - YOSHITAYA
B5 Masayasu Maeda - 37.813, 138.270

ヘヴィ・インストゥルメンタル・ミュージックの世界で最もエキサイティングであり期待されるプロジェクトの1つと言えるフレッシュなオルガン・トリオ、Parlor Greensが〈Colemine Records〉からデビューLP『In Green We Dream』を発表!ソウル・リバイバル・シーンのベテランであり、〈Daptone Records〉の初期から数多くのレコーディング・セッションに参加しているAdam Scone (Scone Cash Players、The Sugarman 3)、インストゥルメンタル・グループのThe True LovesやDelvon Lamarr Organ Trioとともに世界中で演奏しているJimmy James、ブルース グループ GA-20 で世界ツアーを行っているTim Carmanという3人のマエストロからなる要注目バンドによる美しくソウルフルな交響曲。

エレクトロニック・ミュージックのトップ・レーベルとして世界に君臨する名門レーベル〈Warp〉の最初期から参加し、30年以上にわたるキャリアを誇る、ナイトメアズ・オン・ワックスことジョージ・エヴリンが新曲13曲を収録した最新ミックステープをリリース!
リーズのサウンドシステム文化に根差す彼の旅は、母親から託されたたった5ポンドの古びたスピーカーボックスを「Echo45」と名付けたことから始まった。この出会いが彼の人生を変えることとなる。そして彼は今回、その系譜をさらに推し進める──『Echo45 Sound System』という名のミックステープは、祝祭であり宣言でもある。いや、それ以上だ。ソウル、ルーツ・レゲエ、ヒップホップ、ダブ、エレクトロニックのテクスチャーを大胆に融合させた、まさに生きたサウンドシステム体験なのである。また、今作にはヤシーン・ベイ (ex. モス・デフ)、オスカー・ジェローム(Oscar Jerome)、グリーンティ・ペン(Greentea Peng)、セイディー・ウォーカー(Sadie Walker)、リアム・ベイリー(Liam Bailey)他、多彩なコラボレーター陣が参加している。
『Echo45 Sound System』にはナイトメアズ・オン・ワックスによる新曲13曲が収録されており、さらにサウンドデザインやトースティングを織り込み、海賊ラジオの放送を思わせる特別なミックスも収録されている。先行シングル「Bang Bien」は、ヤシーン・ベイ (ex. モス・デフ)を迎えた注目のコラボレーションであり、未来的なビートワークと社会的メッセージを融合させている。
本作はオスカー・ジェロームをフィーチャーし、力強くも高揚感溢れる「Echo45, We Are!」で幕をあける。その後に続くのは、深いグルーヴ、コンシャスなリリック、そして幻想的なプロダクションが入り混じるジャンルを越境した旅だ。Louis VIとの「Dive Into」はジャジーな心地よさを湛え、リアム・ベイリーとハイレ・シュプリーム(Haile Supreme)を迎えた「Desire」では、タイムレスかつノスタルジックなソウルが展開されている。
『Echo45 Sound System』全体を通して、UKシーンの重鎮やキーパーソンの声をサンプリングが編み込まれており、ジャイルス・ピーターソン、ゴールディー、Daddy G、ナターシャ・ディグス(Natasha Diggs)、モキシー(Moxie)、コリーン 'コスモ' マーフィー(Colleen “Cosmo” Murphy)ら多数が声で参加している。これらはサウンドシステム文化の文化的重みと歴史に敬意を示すものだ。また、ロンドン拠点のメンズウェアデザイナー、ニコラス・デイリーが本作のクリエイティブ・ディレクション、スタイリング、写真監修、さらにマーチャンダイズのデザインを手掛けている。こうした要素やコラボレーションはUKの系譜に深く根ざしながらも、その未来的な解釈への扉を開くものとなっている。だが、いかに多くのコラボが加わろうとも、『Echo45 Sound System』は間違いなくナイトメアズ・オン・ワックスそのものだ。


Brian Enoの『Vision of A Psychedelic Africa』にインスパイアされ、1980年代初頭からジャマイカン・パーカッショニストBonjo Iyabinghi NoahとAdrian Sherwoodがコラボしスタートさせたスタジオにおける実験プロジェクト。呪術的なアフリカン・チャントに、ナイヤビンギのリズムが美しく狂気的に絡み合う最高傑作が30年ぶりにLPリイシュー!オリジナルLPに9曲を追加収録し初2LP化!

(数量限定/日本語帯付き/解説書封入)アコースティック楽器をコンピューター制御で演奏するという実験的コンセプトを持つ、2015年にリリースされたEP。ミニマルかつ断片的な楽曲は、ピアノやドラムの物理的な響きを残しながらも人間の手では実現不可能なリズムやフレーズを描き出す。まるでロボットが奏でる即興演奏のような奇妙な音世界は、現代音楽やサウンドアートにも通じる前衛性を備えている。エイフェックス・ツインの「実験精神」の象徴として評価される重要作。
未だにその正体や素性が不明ながらも、多くの音楽ファンを魅了し、また多くのアーティストに影響を与えてきたブリアル。「今世紀の最重要エレクトロニック・ミュージック作品」として最大級の賞賛を獲得した、2007年発表のセカンド・アルバム『Untrue』が2LP(140gブラックヴァイナル)でリイシュー。
パンクの衝動を文学の鋭さで昇華させた90年代日本ロックの隠れた金字塔!邦楽史を代表するパンクの枠を超えた伝説、現在は町田康として武蔵野大学文学部教授でもあり小説家として著名な町田町蔵が1992年にリリースした『Harafuri』。INU解散から11年後に生まれたこの作品は、80年代初頭のパンク直撃の勢いとはまた違い、文学的な成熟と毒気を帯びた歌詞を、北澤組の重厚かつモダンなバンドサウンドに乗せたもの。INU『メシ喰うな!』の頃から町田はすでに「詩人がロックをやっている」ような存在だったが、『Harafuri』ではその言葉の鋭さや比喩の豊かさがさらに深まり、社会風刺や日常の不条理をえぐるような表現が際立っている。北澤組のサウンドはハードでタイト、当時のオルタナティヴ・ロックやポストパンクの感触もあり、町田の言葉を受け止める強度を持っていた。今回は初の公式リイシューで、音源のリマスターはもちろん、歌詞の英訳も丁寧にやり直されており、町田のユーモアと皮肉を含んだ言葉遊びを国際的なリスナーにも開く試みになっている。
NEU!解散後にKlaus Dingerが結成したLa Dusseldorfによる、クラウトロックの実験性をポップに昇華させたデビュー作。収録曲「La Düsseldorf」「Silver Cloud」「Time」は、反復するモータリック・ビートとシンセの煌めきによって、催眠的かつ祝祭的な空気を生み出しており、Klaus Dingerのエネルギッシュなヴォーカルとミニマルな構成の中に広がる開放感が印象的。ジャーマン・ロックの枠を越えたジャンル横断的な魅力を放ち、アートロック的な視点とDIY精神が融合したこのアルバムは、後のニューウェーブやテクノにも影響を与えた本作は、クラウトロックの進化を象徴する一枚として、今なお新鮮な輝きを放ち続けている。

2024年11月末、冥丁は、別府市制100周年記念事業の一環として、温泉文化をテーマにした滞在制作に招かれ、別府を訪れた。
「失日本」シリーズで知られる冥丁は、忘れ去られた日本の時代や風景を音として再構築する表現で注目を集める音楽家。今回の制作では、海辺に佇む築100年の旅館「山田別荘」の蔵に約1週間半滞在し、雨水が火山岩に染み込み、癒しの湯となって地上に戻る循環に耳を澄ませた。その結果生まれた作品『泉涌』は、温泉文化の内なる精神をたどるものである。
冥丁は竹瓦温泉、坊主地獄、へびん湯、そして山田別荘の内湯や貸切湯など別府の象徴的な温泉地を訪れ、泉源の音、泥の泡立ち、噴気孔の響き、竹林を渡る風、湯を楽しむ人々の会話などの環境音を丁寧に録音した。これらのフィールドレコーディングとその深い聴取体験を楽曲の音の土台とし、立ちのぼる湯気や体感した湯加減の塩梅までも音として描き出そうと試みている。
この作品は、一連の楽曲として展開し、硫黄と火山岩の風景の中を湯気のように漂っていく。坊主地獄に潜む狂気、山田別荘の内湯に響く幽玄な残響、苔むした竹瓦温泉の風情の中で交わされる日常の語らい。そうした断片が静かに織り込まれている。そこには水の静けさや土地に宿る記憶、そして代々ここで湯に親しんできた人々への深い敬意が込められている。
『泉涌』は、失われた日本の記憶を主題とする冥丁の探求を継承しつつ、新たな領域に踏み込んでいる。別府の風土や記憶を音 で巡礼するかのように、リスナーを深い没入体験へと誘う。マスタリングはStephan Mathieuが担当。また、本作は「失日本」 プロジェクトの新章『失日本百景』の幕開けを飾る作品。このシリーズでは、現代の生活の中でひっそりと息づく「憧憬の残る場」を探求していく。
日本の古い文化をモチーフにした唯一無比のオリジナリティーで、世界のエレクトロニック~アンビエントシーンで脚光を浴びる広島在住のアーティスト冥丁が、2020年の傑作アルバム『古風』の続編をリリース!
「LOST JAPANESE MOOD」(失われた日本のムード)をテーマに、アンビエント・ミュージックやミュージック・コンクレートを融合させて、時とともに忘れ去られる日本の古い歴史の瞬間をノスタルジックな音の情景に再構築した3部作『怪談』『小町』『古風』で非常に高い評価を得てきた冥丁。前作『古風』をリリース後、冥丁は『古風』制作のために完成させたトラックがまだ47曲ほどあることに気づき、『古風』の世界観をさらに拡張しながら、より深く日本人のアイデンティティーについて思いを巡らせた本作『古風 II』を制作した。
アルバムは陽気な口笛から虫の音や和楽器などの賑やかなハーモニーで幕を開ける。続く「八百八町」(M-3)ではピッチシフトしたボーカル・サンプルやユニークなビートでかつての江戸の活気を表現し、メランコリックな雰囲気の「カヲル」(M-4)では、冥丁が亡き祖母に捧げたアルバム『小町』制作時のセッションを用いて彼女に送る最後のレクイエムを奏でている。アルバム後半の「茶寮」(M-10)では、一音一音が筆の運びのようなシンセ音の繰り返しの中に静けさを感じさせる。この曲は、冥丁が祖母の家で眺めていた水墨画からインスピレーションを得たもので、彼が以前訪れた茶室の印象と結び付けたという。「朽ち果てた土壁や色褪せた畳に感動を覚え、その小さな部屋に漂う宇宙的な時間の流れを音楽にしてみようと思った。」と冥丁は語る。また、非常にドラマチックな展開を見せる「黒澤 明」(M-11)では、日本の豊かな伝統と第2次世界大戦後の混乱を等しく描いた黒澤作品と深く共鳴している。
冥丁は長年に渡り、彼の思い描く日本らしさや日本人らしさを見つけ出そうとしてきたが、過去3枚のアルバムでその答えを求めた後、本作でさらに多くの疑問を投げかけている。過去を振り返ることで、より明確な現在を得ることができるのか?「LOST JAPANESE MOOD」をとらえた後、現代社会の中で日本はどこへ向かうのか?『古風Ⅱ』は、さまざまなムードと質感のある音の断片の中で、我々に過去との関係を見直すことを提案している。
広島在住の音楽プロデューサー。 現代的技巧と日本への深い敬意を融合させた三部作、『怪談』、『小町』、『古風』で国内外の好評を博す。
日本古来の音楽と豊かな歴史、文化の多様性を世界の国々へ伝える、近年のアンビエント・ミュージックの先駆者の一人。

ポルトガルの伝統的な労働歌のアーカイブ録音と現代アーティストによる再解釈を収めた『Leva Leva: Litanie des pêcheurs portugais』。アーカイブ録音としては、1940年代〜80年代にアルガルヴェ地方で収録された漁師の労働歌を収録。現代的再解釈にはJoão Pais FilipeやRomain Baudoinら現代の実験音楽家が参加。伝統的な「Leva Leva」の旋律を軸に、エレクトロニック、ダブ、実験的サウンドを融合している。

英国の音響作家RapoonことRobin Storeyによる1994年発表の、アフリカのパーカッションとアジアの弦楽器を融合したトライバル・アンビエントの傑作『Cidar』が未発表音源3曲を追加、リマスタリングを施されて再発。アフリカの打楽器とアジアの弦楽器をサンプリング、加工し、深い残響と民族的リズムが交錯。旋律よりも質感と空間性を重視し、見えない風景を描くようなアプローチで、フィールドレコーディングや環境音も織り交ぜて、リバーブやディレイを多用したどこか遠くから響いてくるような断片が重なる。瞑想的かつ幻視的な時間が漂うエスノ・アンビエントの金字塔。
2025年リプレス!果てしなく続くオンライン・アンダーグラウンドを彷徨い続けたヴェイパーウェイヴ伝説の秘宝がOlde English Spelling Beeよりヴァイナルで奇跡の復刻!情報デスクVIRTUALやNew Dreams Ltd.など様々な名義で数々の傑作を作り上げたVEKTROIDことRamona Andra Xavierが最もその名を知られるMacintosh Plus名義最強のアルバム「Floral Shoppe」がレコードとなって日本上陸!
ポスト・インターネットなフィーリングでアンビエント〜ニューエイジ、ヴェイパーウェイヴを繋ぎ、拡張し、一時代を築き上げた伝説的レーベル、Beer On The Rugからデジタルで2011年にリリース、そして翌年12年カセット化。100部限定のみであったオリジナルのカセットは幾度となく今やブートレグが出回り、たまに出品されるオリジナルもマーケットプレイスでは10万円を下らない(100万円以上の値段で出品されたこともある)名実ともに究極のコレクターアイテム、そして至高の名盤として未だに威光を放つ一大傑作。新たな概念の誕生目まぐるしいヴェイパーウェイヴの世界を一躍世に知らしめたとんでもない一枚です。
いくつもの時間軸が交わる異空間を彷徨うような、そんな異質な視聴体験がこの一枚にはあります。アンビエント、ニューエイジ、ビートミュージック、インダストリアル、ファンク、エクスペリメンタル、あまりにも雑多として特定不能のサウンドが飛び交う異形の音楽。スクリューされる独特のスローモーション・ヴォイスから怒涛のサンプリング・コラージュ、ズッシリと重いビートが次々と炸裂する埋没感の極み・・・そして、Diana Ross”It's Your Move”がネタ元としても知られる大名曲”リサフランク420 / 現代のコンピュー”に至っては何度リピートしたことかと、、、そんな思い出がある人も多いのではないでしょうか。この音楽に感じるものが目新しさではなく、ノスタルジックな何かであったとしても間違いではありません。かつて大量生産され「つまらない」と思われていた過去の遺物へと新たなる価値を付与したヴェイパーウェイヴの神秘の世界を代表する一作。もちろん大・大・大・大・大推薦!お見逃しなく!

ジュネーブ民族学博物館で開催されたサウンド・エキシビションのために制作された、西洋中心的な博物館学や音楽民族学の言説を解体することを目的としたコンピレーションLP『Afrosonica』。KMRU、高田みどり、Yara Mekawei、Mo Laudiら4名のアーティストが参加し、アフリカ社会とディアスポラにおける音楽の役割を探求、サウンド・アート、フィールド録音、電子音楽、民族音楽が交差する実験的な構成で、各曲が異なる文化的視点を提示している。KMRUはケニアの都市音を素材に、環境とアイデンティティの関係性を探るアンビエント作品を展開。 Yara Mekaweiはエジプトの宗教的・政治的文脈を背景に、音の構造を通じて社会的メッセージを表現。 Mo Laudiは南アフリカのポエトリーとクラブ・ミュージックを融合し、身体性と抵抗のリズムを刻む。高田みどりは日本の打楽器と電子音響を融合し、共同体、儀式、記憶、抵抗といったアフリカ的な音楽の役割を、異なる文化圏から再解釈している。アフリカ音楽とは何か?を固定的に定義するのではなく、離散と再構築というディアスポラ的視点から音楽の意味を問い直す、現代的なサウンド・エスノグラフィーの記録。
イタリア拠点のルーツ・レゲエ/ダブ・プロジェクト IZN Anbessas による最新作『Addis Ababa』。エチオピアを新しいエルサレム=シオンの地として讃えるコンセプト作品で、伝統的なルーツ・レゲエの重厚なベースラインとダブ処理を基盤に、モダンなシンセやオルガンを加えた多層的な音響。ヨーロッパ・シーンから登場した新しい才能による、ラスタファリズムの精神を現代に伝える重要な一枚。
クラフトワークが1981年12月10日にオランダ・ユトレヒトの音楽センター〈Vredenburg〉で行ったライヴを収録した『Radio. Live Transmission: Live At Muziekcentrum Vredenburg. Utrecht. Netherlands. December 10. 1981』。『Computer World』発表直後のテクノポップの完成形とも言える時期の演奏で、スタジオ音源に近い正確さながら、ライヴならではの厚みとダイナミズムが記録されている。クラフトワークが未来のポップ・グループとして世界的に認知された瞬間を捉えた貴重な録音。
クラフトワークが1975年3月22日にケルンのサルトリー・ザールで行った伝説的ライヴを収録した『Live In Koeln Sartory Saal, March 22nd, 1975』。彼らが『Autobahn』で世界的成功を収めた直後の姿を捉えた重要な音源で、『Autobahn』の拡張版とも言える内容。スタジオ録音よりさらに長大で、モーターリックなリズムとシンセの反復が強調。クラウトロックから電子ポップへと進化する過渡期のライヴ・パフォーマンスを知ることのできる歴史的価値の高い音源。
