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1996年、南條麻人主宰の〈La Musica Records〉から、手作業で組まれた超限定カセットとしてひっそりと現れた Neanの唯一作『Doo Dah Nean』。長らく幻のアウトサイダー音源とされてきたこの作品が、〈Black Editions〉よりヴァイナル・リイシュー!Yui(ベース/エレクトロニクス)、Non(ドラム)、そしてNaoko(声)の3人によるトリオで、生み出す音楽はロリータ・サイケ、フリージャズ、ノイズ、即興が無邪気に混ざり合う、90年代日本アンダーグラウンドならではの混沌そのもの。歌とも語りともつかない囁き、呪文のようなフレーズ、息遣いのNaokoの声が中心にあり、無垢さと狂気が同居した、プロトASMR的な存在感が、音全体に奇妙な重力を与えている。Nonの酔ったようでシャーマニックなドラムと、Yuiの形を持たない低音、電子音が絡み合い、儀式的ですらある生々しさがある。ジャンルの外側で生まれた音が、偶然にも強烈な魅力を放ってしまった、日本アンダーグラウンドの深部に埋もれていた宝石。
Pitchforkでは「8.1」点の高スコアを獲得していた、Grouperの通算7枚目となる2011年発表の傑作。Pitchforkのベスト・アンビエント・アルバムの21位にも選出されている不朽の名作で、朧げに揺らめく空間的に広がるギターやピアノ、リズ・ハリスの天上な歌声が、白昼堂々と神秘の音世界を建立するディープで果無く美しい世界観が打ち出された一枚。

ベルリンを拠点に活動するサウンドアーティスト Jasmine Guffond による、商業空間で流れる作業効率を上げる音楽、ミューザックを逆手に取り、生産性を下げるための音楽として再構築した実験的アンビエント作品『Muzak for the Encouragement of Unproductivity』。電子音の揺らぎ、低周波のドローン、ざらついたノイズ、そして微細なリズムの断片がゆっくりと浮かんでは消え、何かが起きそうで起きない時間が伸び縮みする。あえて集中を妨げるような、曖昧で揺らぐ音の構造で聴くほどに思考がほどけていくような感覚を覚える。深夜の作業中にふと流れてきた謎の音楽のような一枚。

大阪拠点の音楽家・YPYこと日野浩志郎を中心に結成されたリズムアンサンブル"goat(ゴート)"による約8年ぶり、通算3枚目となるアルバム『Joy In Fear』がリリース!
今年結成10周年を迎える"goat(ゴート)"の新作アルバム。日野が自身が運営するレーベル〈NAKID〉からの発売。アートワークは五木田智央、録音は西川文章、マスタリングはRashad Beckerが担当。ポリリズム、変拍子、シンコペーションを巻き込む変則的グルーヴを各インスツルメントが絶えず追求、駆け引き。そして前作とも印象を変えるのがゴングや笛(フルート)が与える新たな妖艶さ。ミニマル/トライバリズムへ対する独自アプローチも感じる7曲。限定300部。
マレウレウ1st Album『もっといて、ひっそりね。』が、新たなミックス、マスタリングにより蘇る。アイヌの伝統歌を今に伝える名盤が、ジャケットも一新して初レコード化。
2010年、初作「MAREWREW」の発表を皮切りに、本格始動したマレウレウ。近年はドイツのレーベル「Pingipung」からベスト盤とリミックス盤がリリースされるなど、世界からも熱い視線を注がれる中、2012年発表のファーストアルバム『もっといて、ひっそりね。』がレコード化。全20曲のCD盤から、新たなミックス8曲を含む17曲が収録されている。ジャケットの表紙に採用されているのは、かつてMayunkikiの祖母が手がけたというアイヌの刺繍。そこにRekpoが新たにタイトル、アーティスト名を刺繍したものを組み合わせ、先人との絆が体現された仕上がりだ。インナースリーブでは、OKIとRekpoの愛娘で、2025年にマレウレウに加入したUtowaがイラストを担当するなど、アートワークにも注目すべき1枚。
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4つの声がアイヌの昔と今、未来をつなぐ。時空を越えて響くマレウレウ(蝶)の歌声。
アイヌの伝統歌「ウポポ」を現代に歌い継ぐ女性ヴォーカル・グループ、マレウレウ。アイヌは、楽譜を残さず、主に口伝で受け継ぐため、彼女たちが歌う歌は、かつて年長者から伝え聞いた歌や、資料館で自ら掘り起こし、探し当てた古い保存音源が基盤となっている。そうした先人たちのウポポに憧憬を抱きながらも、ただ真似するのではなく、「今の自分たちにしか歌えない歌」=現在進行形のウポポを追求していく。そして、それを積み重ねることで、やがて先人たちの歌に自然と近づいていくことがマレウレウのテーマだ。プロデューサーのOKIも「アイヌ文化で重要なのは“個々のスタイル”。伝統を引用しつつ、マレウレウのスタイルを入れることで伝統が様変わりして活性化していくことが大切」と語る。「みんなで一緒に歌った方が楽しい」とライブでウコウク(輪唱)を観客と合唱してみたり、「私たちのルーツ・ミュージックはこんなに素敵なのよ!」と天真爛漫にシェアしてくれる彼女たちの姿勢もまた、伝統の門戸を開く大きな魅力となっている。
このたびレコード化される2012年発表のアルバム『もっといて、ひっそりね。』は、そんなマレウレウの初期衝動が詰まったフレッシュな作品だ。メンバーのRekpoは、14年前に録音した本作の自らの歌を「同じ曲でも今と節回しが全然違う」と振り返る。アイヌのウポポは自分流の節回しが大事。昔の歌、今の歌、将来の歌。その瞬間の歌を録音物で残し続け、変化を楽しむことに意義があると言う。本作は、2020年にRim Rimが脱退する以前の録音という意味でも、この時にしか生まれ得なかった4人の声のグルーヴを堪能できる貴重な作品だ。
何百年先まで歴史に残る作品にしたい。その思いから、本盤ではOKIが新たに8曲をミックス、リマスタリングを手がけている。CD盤と聞き比べてみると、重層感、臨場感が増し、とりわけ螺旋状に追い掛け合うウコウクのパートなどは、立体感のある声の渦が恐ろしいまでに迫ってくる。CD盤発表当時から何度も聞き込んだつもりでいたが、こうして改めて聞くと、独創的なリズム、パズルのような歌の旋律構成など、もともとのアイヌの伝統歌が持つ豊かな音楽性に驚かされる。エッジーなベースのフレーズと流麗なトンコリが効いた「KAPIW UPOPO」、打ち込みのビートとキャッチーなメロディーで高揚していくダンス・チューン「KANE REN REN」など、「よけいなことをやり散らかすのが自分の役割」と言うOKIの遊び心が冴え渡るアレンジにも感服。14年の時を経ても色褪せない、むしろ輝きが増したこの音楽を讃えたい。
先人の歌と共鳴し、自身のスタイルで未来を切り拓くマレウレウの伝統の形。アナログ独自の奥行きのある音が、その真髄を浮き彫りにし、さらなる深遠なウポポの世界を見せてくれるはずだ。
文/岡部徳枝

ナンと2000万ストリーミング再生されたというしー辰屈指の人気作がリプレス&LP化!Meditationsでも大大大ベストセラーだった、Will Long名義での良好アンビエント x ハウス作品も知られる東京在住のCelerとシカゴのForest Managementという2人のアンビエント作家が、2018年にオークランドのニューエイジ/アンビエントの聖地〈Constellation Tatsu〉から発表した作品『Landmarks』が待望のカセット/アナログ再発!Paul Therouxの小説『The Mosquito Coast』と、Peter Weirによる 1986 年の同作品の映画化にインスピレーションを得た珠玉のアンビエント/ドローンを全14曲収録。

アメリカ出身でドイツ在住のマルチ奏者・作曲家 Weston Olenckiによる、バンジョーを中心としたエクスペリメンタル・フォーク作『Broadsides』。2023年にOlenckiが故郷サウスカロライナからウェストバージニア、ミシシッピ川流域へと南部を巡った旅のフィールド録音、収集した楽器や工芸品、そして各地に根づく伝統音楽との出会いを素材にして生まれたもので、水の音、虫の羽音、列車の轟音、コミュニティに息づく古い歌などが、バンジョー、ハーモニカ、オートハープ、カセットプレイヤー、振動モーターといった楽器・装置と組み合わされ、多層的な音響へと再構成されている。バンジョーの持つ鋭いアタックや倍音が長いドローンへと変質し、フィールド録音のざらつきや環境音が層を成して漂う、アメリカ南部の風景を抽象化したようなサウンド。伝統音楽の旋律が時折浮かび上がる一方で、機械的なモーター音やノイズがそれを侵食し、郷愁と前衛性が同時に存在する独特の世界。

2021年作『Haram』から4年、billy woodsとELUCIDによるArmand Hammer とThe Alchemist が再び手を組んだ新作『Mercy』がbilly woods 主宰のレーベル〈Backwoodz Studioz/Rhymesayers Entertainment〉より登場!前作同様、The Alchemist が従来のソウルやジャズをサンプリングして太いビートを組み立てるビートスタイルから外れても、Armand Hammer の複雑で比喩的・断片的なラップの響き方に寄り添った音作りは今作も健在で、その延長上に、現実と寓話、日常と未来予測が入り混じったような抽象的で鋭いテーマ性がうかがえる作品となっている。今作もEarl Sweatshirt、Quelle Chris、Cleo Reed、Pink Siifu、Kapwani、Silkaなど、多彩な顔ぶれがゲスト参加しており、Armand Hammer の言語による実験と Alchemist のプロダクションと交わって、重層的で寓話的なヒップホップ宇宙が広がっている。

静寂の奥に潜む、もうひとつの世界へと導く崇高な音の儀式。ギリシャ系アメリカ人の音楽家、映像作家であり、Meditationsでも静かで深い支持を集める John Also Bennettと長年の深い芸術的パートナーシップを持つChristina Vantzouが、〈INA-GRM〉の委嘱を受け、2023〜2025年にかけて丹念に紡いだ、霊的エレクトロアコースティックの大作『The Reintegration of the Ear』。フルートやチェロ、ダブルベース、声。John Also Bennett、Oliver Coates、Roman Hiele、Irene Kurkaらが呼吸と共鳴に導かれながら織り上げる音は、形式を超え、再統合されていく意識に寄り添うように、直観と微細な気配が流れを決め、有機的に移ろい続ける。時間は直線ではなく、折れ曲がり、漂いながら、電子音、フィールドレコーディング、アコースティックの残響が溶け合い、言葉の手前にある領域へと聴き手を静かに誘う。その響きは静かで、深く、意識の底に沈む水脈のような、内なる世界の神秘をたたえている。旅先でふと出会う、どこか異なる世界へと繋がる現実の裂け目のような、神秘を受け入れた繊細かつ霊的な音世界。Eva L’Hoestによる、ギリシャ的象徴が漂う超現実的なイメージをあしらったアートワークも、Vantzouの音の霊性と共鳴し、作品の神秘性を際立たせている。300部限定。

1970年代からカルト・レジェンドとして前衛芸術の最前線を走り続けるJohn M. Bennett。1994年にカセットで発表されたサウンド・ポエトリーの代表作『BLANKSMANSHIP』を、息子であるJohn Also Bennettが運営する〈Editions Basilic〉が初めてヴァイナル化。作品にはM. Bennett自身の声、テキスト、尺八、ベルなどが用いられ、言語の意味を解体し、声そのものを音の素材として扱う彼のスタイルが極限まで押し広げられている。収録曲には「Blanksmanship I」「Leaky Toilet」「Notion’s Nulled」など、日常の断片が奇妙に歪んだタイトルが並び、声の破裂音、息遣い、ささやきがリズムや構造を生み出すことで、語りと音響のあわいを漂う。一人の声が、やがて無数の自己へと増殖していくかのように、ポリフォニックに重なり合う声が万華鏡のような音像を作り出す唯一無二の世界。

プロデューサー/作曲家/アーティストとして、これまでにデーモン・アルバーン、ソランジュ・ノウルズ、ロイル・カーナー、ヌビア・ガルシア、ブラック・コーヒー、サンファ、ティルザー、セラ・スーなど、数多くのアーティストとコラボレーションを行ってきたサウス・ロンドン育ちのクウェズ。8年ぶりに〈Warp〉へ帰還しリリースされた本作『Kinds』は、娘の誕生をきっかけに書かれた、広がりと直感性を備えた作品であり、音と色が持つ回復の力を探求している。
『Kinds』は、クウェズにとって新たな転換点となる作品であり、再び音楽という太陽系の最果てを探し求める試みでもある。燃え尽きの時期を経てリセットした後に制作された本作は、アンビエントとクラシック音楽の作曲法を融合させつつ、シューゲイズの荒々しい質感とも交錯する。短く、緻密に構築された『Kinds』はミニマリズムを受け入れている。外の世界がますます騒がしくなるなかで、本作は静けさと安らぎを生み出しつつ、音楽の新たな地平に旗を立てる作品である。

〈Planet Mu〉や〈The Trilogy Tapes〉といったアンダーグラウンドの名門からリリースを重ねるイラン系カナダ人兄弟Saint Abdullahと〈International Anthem〉、 〈4AD〉などからの作品への参加で知られる人気ジャズ・ドラマーJason Nazaryによるコラボアルバムの第2弾が〈Disciples〉よりリリース!
2023年作『Evicted In The Morning』の続編となる本作は、サイケデリック、ドリーミーに消えては現れる実験的なサンプリングコラージュの中に規則的なリズムが時折顔を出しながらフリージャズのような展開をしていく、聴くたびに新たな発見のある作品となっている。「Here to Body Ratio」は情感溢れるサックスとギターに性急なドラミング、ストレンジに心地よい電子音が独自のバランスを生み出す作品のハイライト。
本作は、反戦デモや国家抑圧が続く新たな時代に向けた"Freedom Now Suite(自由のための組曲)”とも言うべき作品だ。ゲストにはロサンゼルスを拠点とする日系アメリカ人のマルチ奏者Patrick Shiroishi と Ryan Easter が参加している。
兄弟が「‘tellectual condition(知的病)」と呼ぶような表層的な知識が支配する時代において、アルバムはあえて遅く、複雑に、時間に逆らうことを選ぶ。ここでのサンプリングのコラージュは、ポストモダン的な遊戯ではなく、“感情の構造”なのだ。
『Wiretaps for Oral』を聴いていると、語りかけてくるのはサンプルそのものではなく、そのあいだの“隙間”だと気づかされる。信号が途切れる亀裂、ビートが抜け落ちる瞬間、その隙間に意識が宿る。意味を「与える」のではなく、それを「抱える」こと、強引に形を与えず、ただ触れること。
このデュオは、私たちに“盗聴線に耳をあて、囁きを聴け”と誘う。そうして彼らは思い出させてくれる、近くにいるということは、距離よりも「聴くこと」に関わっているのだと。

マーク・オランデル率いるベルギーのチェンバー・ロック・バンド、アクサク・マブールの1977年発表のデビュー作。エリック・サティやZNR等に通じる、アコースティック楽器とエレクトロニクスが不思議に融合する摩訶不思議な空間。今、チェンバー界の古典として歴史に残る名盤。

フィラデルフィア出身のサックス奏者 Byard Lancaster が、スピリチュアル・ジャズの黄金期に残した最重要作のひとつ『Us』。アフロセントリックなリズム、自由度の高い即興、祈りのようなメロディが渦を巻き、70年代ブラック・ジャズの熱気と解放感をそのまま閉じ込めたようなアルバムがLPに加えて7インチも付属して再登場。アフリカン・パーカッション、反復するベースライン、祈りのようなサックス、集団としての音を重視したアンサンブルにはフリージャズの自由さと、ブラック・コミュニティの精神性が共存しており、スピリチュアル・ジャズの核心に触れる演奏と言える。70年代フィラデルフィアの熱気と土着性を凝縮したような、都市の雑多さと、アフロルーツのスピリチュアリティが混ざり合うローカル・ミュージシャンとの濃密なセッションが生々しく記録されている。

極上アンビエント美盤が登場、お見逃しなく!ジム・オルークや坂田明、山本達久、石橋英子といった強力な面々ともコラボレーションを行ってきたイタリアの実験作家Giovanni Di Domenicoに、その盟友として幾度もコラボレーションを重ねてきたベルギーのアーティスト、Pak Yan Lau、〈RVNG〉や〈Freedom To Spend〉といったレーベルの運営にも携わる作曲家、サウンド・デザイナー、JABことJohn Also Bennettによるトリオ作品が、Bennett主宰の〈Editions Basilic〉よりアナウンス。ベルギーの首都ブリュッセルで録音された4部構成の作品となっており、加工されたローズピアノ、陶器の焼けるような音色、液化したバスフルートが織りなす、波打つ錬金術の如しモダン・クラシカル・アンビエント作品に仕上がっています。限定300部。
1972年に英国の〈Music De Wolfe〉から発表された、オリジナルは入手困難な英国ライブラリー音楽の至宝『Great Day』が〈Be With Records〉によってついに正規アナログ再発。Simon HaseleyとPeter Renoの2人が手がけた楽曲は、ファンクを軸にしながらも、ジャズロックやソウルジャズの要素を巧みに織り交ぜ、当時のテレビや映画のサウンドトラックを思わせる迫力とスピード感に満ちている。鋭く切れ込むドラム、重心の低いベースライン、緊張感を煽るホーンやストリングスが次々と登場し、どの曲も映像的なイメージを喚起する構成になっている。特に「Hammerhead」や「Silver Thrust」などは、後年ヒップホップのプロデューサーたちにも愛され、Madlibや El‑P、The Alchemistらに影響を与えたとされるほど、サンプリング・ソースとしても評価が高い。ライブラリー音楽の機能性を超えて、純粋な音楽の喜びに満ちた、70年代英国ライブラリーの魅力を凝縮した、ジャンルを越えて愛される名盤。
1972年に英国の名門ライブラリー音楽レーベル〈Music De Wolfe〉からリリースされたコンピレーション作品『Hogan, The Hawk And Dirty John Crown』。Alan Hawkshaw、Alan Parker、Simon Haseley、Reg Tilsley など、当時の〈De Wolfe〉を代表する作曲家たちが参加。ファンク/ソウルジャズ/ジャズロックの混合サウンドで、生々しいドラムとベースによるブレイクビーツ的グルーヴ、ホーン、ストリングス、ギターが映像的に絡むアレンジが光り、特に Alan Parker や Simon Haseley の楽曲は、後年ヒップホップのサンプリングソースとしても注目されるほど、リズムのキレと音像の太さが際立っている。職人技が光り、映像的でありながら純粋な音楽作品としても高い完成度を誇る、70年代英国ライブラリー音楽の魅力を凝縮した名作コンピ。
1977年に英国〈Music De Wolfe〉系列の〈Rouge〉からリリースされた、Soul City Orchestraによる、ライブラリー系インスト作品『Meal Ticket』。オリジナルの裏ジャケットには「リズムとストリングスを強調したプログレッシブ・ロック風オーケストラ・ファンク」と記載されており、コンガを含むパーカッションが牽引するファンキーなロック・グルーヴと、ストリングスがドラマティックに絡むシンフォニック・ディスコ・ソウルの側面を併せ持っている。70年代UKライブラリー特有の洗練とブラックネスが高い次元で融合された隠れた名作。
名門〈Honest Jon's Records〉が贈る、1961年から1973年にかけてリリースされた珠玉のゴスペル・ソウルのコレクション『Life in Heaven is Free - Checker Gospel 1961 - 1973』が2枚組アナログ・リリース。〈Chess Records〉の子会社に残された名曲の数々をピックアップ。重低音と激しいドラム、ブルージーなギターとホーンなど、その生々しく荒々しいライブ感が特徴的な素晴らしいトラックの数々を収めています。ライナーノーツが付属。〈Dubplates & Mastering〉でのマスタリング、名匠Kassian Troyerの手によるカッティング仕様と盤質も万全!
ジャン=マリ・メルシメックによる、「盲目のためのロードムービー」とも言うべき、視覚ではなく聴覚で旅を描いた実験的なアルバム『Le Camion de Marguerite Duras』が〈Aguirre Records〉の企画として制作され、全300部限定、大型ポスター付きで登場!マリオン・モルとロナン・リウの二人が、フランスとベルギーを舞台に6年かけて録音した作品で、マイクロトーナルなMIDIコンポジション、フレンチ・サウンドトラック、ポストパンク風シャンソンなどを折衷した独特の音世界を構築している。音が風景を映すスクリーンとなり、楽曲は場面として構成され、サウンドデザインとソングライティングが混ざり合う。奇妙でありながらも親しみやすく、過剰な奇抜さに頼らず、あくまで人間味と温もりをたたえた作品に仕上がっている。Luc Ferrariの語りを用いた電子音楽や、Brigitte Fontaineのシュールなシャンソン、Crammed Discsの実験音楽好きにはたまらない内容。知的でありながら情感にも訴えかける傑作。
国籍も背景も異なるMola Sylla(声/伝統弦楽器)、Oscar Jan Hoogland(クラヴィコード)、Frank Rosaly(ドラム)という異色のトリオによる、伝統と実験の境界を越えて作り上げたジャンル不定形のインプロヴィゼーション作品『Mother Tongue』。セネガルのグリオ音楽、アムステルダムの実験的インプロ、シカゴ系フリージャズのドラミング、ノイズ的なアプローチが衝突しながらも有機的に融合。牧歌的な声と弦、クラヴィコードの奇妙な響き、フリージャズ的ドラムが絡み合い、世界のどこにもない新しい民族音楽のような響きは、緊張感がありながらもどこか祝祭的。
Bitchin Bajasとの共演でも知られるJoshua Abrams率いるシカゴの異能集団、Natural Information Societyによる、ジャズ、モード音楽、伝統音楽の要素が融合した35分間にわたるミニマルな音の瞑想空間。一つのテーマを35分間にわたり反復・変奏し続けることで、音の持続と変化の微細さを探求。北アフリカの弦楽器ギンブリによる反復リフがが一定のグルーヴを保ちつつ、微細に変化する中、ハルモニウムやバスクラリネットが浮遊するように絡み合い、空間的な広がりが生まれてゆく。リズムは明確な拍子を持たず、緩やかでありながらも内的な緊張感が持続しており、今ここにいるようで、どこか遠くへ漂っているような、揺らぎのある音楽空間となっている。さらに深く、音と時間の哲学的探求を進めた作品。
