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1988年、デビュー作『Tracy Chapman』が世界的ヒットを記録し、社会派フォークの新しい象徴として注目を集めていた時期、その絶頂期に行われたモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライブを収めたFM放送音源。アコースティックギターと声だけで観客を静まり返らせる、若きTracy Chapmanの剥き出しのフォーク・ソウルがそのまま刻まれている。「Fast Car」「Talkin’ ’Bout A Revolution」「Behind The Wall」など、初期の代表曲が切実に響き、社会問題を真正面から歌う彼女のメッセージが生々しく伝わる。派手なアレンジは一切なく、声・ギター・言葉のみから鮮明に浮かび上がるChapmanの本質。

個人的にもし新譜だったとしたら絶対年間ベス一位に入れるくらいには凄まじい一枚です!〈Pitchfork〉の「The 50 Best Ambient Albums of All Time」にも選出された1975年の唯一作『Neighborhoods』を残した人物。B.B. KingやDizzy Gillespieの作品にも参加するマルチ奏者Bill Hoodの兄弟であり、ポートランドを拠点にジャズ・ギタリストとして活動していたものの20代後半に病のために有望だったキャリアを断念した知られざるニューエイジ・ミュージックのレジェンド・Ernest Hood。1972年から1982年にかけてオレゴン州西部で録音された未発表作品であり、長年行方不明となっていた幻の音源『Back to the Woodlands』がアナログ・リリース!版元は『Neighborhoods』を掘り起こした重要発掘レーベルであり、〈RVNG〉傘下にPete Swanson (Yellow Swans)が運営する〈Freedom To Spend〉。フィールド・レコーディング、チター、シンセサイザーの幻想的な組み合わせにより、ほぼこの世のものではないあちら側の美しさを描き出した珠玉のアンビエント/ニューエイジ・ジャズ大傑作!
T. RexのMarc Bolanとの活動でも知られるシンガーGloria Jonesが、1973年に〈Motown〉から発表、当時は十分なプロモーションが行われず埋もれてしまったが、後年モータウンの隠れた名盤として再評価が進んだセカンド・アルバム『Share My Love』。Paul Riserら名アレンジャー陣によるストリングスやホーンのアレンジが美しく、70年代モータウンの洗練と熱量が同時に息づいている。タイトル曲「Share My Love」は高揚感あふれるナンバーで、Gloriaの力強く情感豊かなヴォーカルが全編を牽引。バラードでは切実さが際立ち、アップテンポではソウルフルな推進力が光る。ファンク寄りの楽曲からドラマティックなソウル・バラードまで、70年代ソウルの多様性を一枚に凝縮したような内容。
親日フランス人2人組 (片方はDaft PunkのThomas Bangalterの実父)が1971年、ベルギーの名プロデューサーJean KlugerとDaniel Vangardeが手がけた、奇想天外なスタジオ企画盤『Le Monde Fabuleux Des Yamasuki』。子ども合唱団のコーラス、柔道の掛け声、辞書を片手に作られたインチキ日本語の歌詞、それらがサイケデリック・ポップ、ファンク、サンバ、バブルガムの上で渦を巻く、世界でも類を見ないカルト・ポップ作品。代表曲「Aieaoa」は後にBlack BloodやBananaramaによって再解釈され、ワールドカップ公式曲にまで発展したメロディとして知られるなど、ポップカルチャーへの影響も大きい。ふざけているのに異様に完成度が高いという矛盾が魅力的で、50年以上経った今でもジャンル不明のまま輝き続ける一枚。

ロンドン地下シーンの要所〈SELN Recordings〉から、共同設立者Conrad Packが久々に放つ、ステッパーズの強靭なキックとイタル・ベースを軸にしながら、ダブ、インダストリアル、DIYエレクトロニクスが混ざり合う、ロンドンの今をそのまま刻んだようなEP。タイトル曲「Praise」は鋭いメロディと重心の低いビートが交差し、ステッパーズの枠を越えてUKドリルの感覚にも触れるハイブリッドな仕上がり。続く「Guidance」はより深く沈み込むダブ空間を描き、「Grotto」は、アートスペースの展示のために制作された楽曲を再構築したもので、他の2曲より抽象度が高く、音の奥行きや揺らぎが際立つ。全体を通して、サウンドシステム文化の伝統と、ロンドンのDIY精神が自然に溶け合い、粗削りなのに洗練された現場の手触りが強く残る一枚。
1972年、シアトルのローカル・シーンから突如現れた一発屋バンドGrand Theftが残した唯一のアルバムが、〈Ancient Grease Records〉から待望の正規リイシュー。オリジナルは自主制作1000枚のみという超レア盤で、当時の若者たちの勢いと混沌をそのまま封じ込めた、ヘヴィ・サイケの秘宝。Led Zeppelin直系の荒々しいリフと、 ガレージ・サイケの粗暴さが混ざり合った原始的なエネルギーにあふれ、録音も一度きりの混沌としたセッションで行われ、整えられることのない生々しいテンションがそのまま刻まれている。ローカル・バンドの悪ふざけから始まったがゆえの、無濾過無調整の唯一無二のヘヴィ・サイケ名盤。

トロント拠点の日本人音楽家・Masahiro Takahashi(髙橋政宏)。2023年発表の『Humid Sun』に続く今作では、共同プロデューサー兼エンジニアにジョセフ・シャバソンを迎え、制作のプロセスを一新。作曲の起点をAbletonから楽譜へと移し、メロディとハーモニーを楽曲の基軸に据えました。マーカー・スターリングが手がけた緻密なヴォーカルアレンジや、ドロシア・パースの瑞々しい歌声、ホーンやストリングス、ビブラフォンが重なるアンサンブルからは、ハイラマズやビーチボーイズ、フリーデザインといったポップスへの深い愛情が感じられます。録音には、トム・ギル(サム・ウィルクスのサポート)、フィリップ・メランソン(サム・ゲンデル作品に参加)など、トロントのジャズ/エクスペリメンタル・シーンの重要人物10名が参加。黒澤明の映画『夢』や荘子の寓話に着想を得た全10曲は、ジャズ、アンビエント、インディーポップ、ラウンジまでを鮮やかに横断し、色彩豊かな音楽世界を繰り広げます。

版元完売最終入荷です。John Fahey~Harry Partch、Laraajiのファンにも!弦楽器の世界的なデザイナー/ビルダーとしても知られる米国のウィリアム・イートンによって、1978年に1000枚限定で自主プレスされたファースト・アルバムにして、本邦の名門〈EM Records〉からCD化も為されている大傑作が初となるヴァイナル・リイシュー!
グラミー賞ノミネートでも知られるネイティブ・アメリカンのフルート奏者、Robert Carlos Nakaiとのコラボも知られる同氏。本作には、タイトルや情報が記載されておらず、ジャケットの隅に小さく「ウィリアム・イートンの音楽」と書かれているのみで、すべて自作の弦楽器によるほぼ即興の演奏を18篇収録。卓越した自然観を土台に、ジョン・フェイヒーら〈Takoma〉ファミリーの音楽から、ブライアン・イーノのアンビエント、北米大陸の原始のフォークロアが美しく溶け合った珠玉の一枚。
1976年に日本のみでリリースされた、Marion Brownの70年代の探求を象徴する知られざる名盤。ブラウンは60年代フリージャズ以降、より構造的でリズムを軸にした音楽へと移行しており、アフロ・カリビアン的なポリリズム、ファンクの切れ味、レゲエの揺れが、曲ごとに異なる地層のように積み重なる。アルトは、旋律を吹くというより、リズムの上を滑りながら物語を紡ぐような語りのニュアンスが強く、ギターやベースはグルーヴを前に押し出すのではなく、リズムの層に陰影を与える役割を担う。全体として、黒人音楽のリズム的遺産を抽象化し、ブラウン独自の構造としてのリズムへと昇華。鋭いアルト、豊かなポリリズム、そして集団即興の熱量が交わり、ジャズの枠を越えたコミュニティの音楽として響く一枚。
1977年に自主制作でわずか500枚のみプレスされた、日本フリージャズ史の最重要記録がついに正規再発。梅津和時、原田依幸、森順治、菊池隆という後の生活向上委員会オーケストラへつながる面々が、八王子「Alone」を拠点に活動していた時期の白熱したライブをそのまま封じ込めた一枚で、複数のアルトがぶつかり合いながらも不思議な統一感を生み、原田のピアノは旋律と打楽器の境界を彷徨い、菊池のドラムは時間を刻むのではなく場そのものを揺らす。破壊的なフリーインプロヴィゼーションと、どこか歌心のあるフレーズが自然に共存し、70年代の日本フリージャズ特有の開放感と実験精神が鮮やかに立ち上がる。都心から離れた八王子で育まれたDIY精神と、当時の現場の熱量がそのまま刻まれた、唯一無二のライブ・ドキュメント。

ブラジル出身の名ギタリストFabiano Do Nascimentoと、トロンボーン奏者Vittor Santos率いる16人編成オーケストラによるアルバム『Vila』。リオのスタジオで録音された本作は、Fabianoの指弾きによる繊細なフレーズと、オーケストラの豊かな響きが溶け合うシネマティックなブラジリアン・ジャズ。Fabianoのギターは常に語り手として中心にあり、オーケストラと対話するように旋律を紡いでいく。サンバ・ジャズ、ショーロ、ボサノヴァの伝統を軸にしながら、スケール感と情景を想像させるようなムードに満ちた、現代ブラジル音楽の洗練と、伝統の深みが見事に融合した上質な一枚。
まるで70年代からタイムスリップしてきたような風貌の5人組、幾何学模様。
これまで10年に渡って海外を中心に活動し、クルアンビンやキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードといった現在のインディーシーンの先頭を走るアーティストたちとも親交が深く、世界各国でソールドアウト公演を連発、先日にはフジロック2022への出演も発表され話題となっている。
そんな彼らが前作『Masana Temples』からおよそ4年ぶりの新作『クモヨ島 (Kumoyo Island)』を自身のレーベル〈Guruguru Brain〉からリリース。
レコーディングは、彼らが活動初期に使っていた浅草橋のツバメスタジオにて行こなわれた。ロックダウンやパンデミックによるツアー活動停止の間の拠点としてアムステルダムを選んでいた彼らは、下町もしくは故郷の町の古い繁華街に帰ってきたことで、自由な感覚が再燃したのを感じたという。東京に滞在していたおよそ1ヶ月半の間、これまでストックしていたアイデアの断片を洗い出し、それらをスタジオで構築することにより本作を完成させたのだ。
まるで60年代のプログレッシヴロックのような壮大なオープニングから一転、「モ、ナ~カ、ナカナカノ」と語感の心地よさにフォーカスしたようなユニークな歌詞を耳元でささやく冒頭曲「Monaka」や、クルアンビンを彷彿とさせるワウギターが、コロコロ転がるリズムの上で軽やかに舞う「Dancing Blue」。
ジェットコースターに乗って時空を駆け抜けていくような前半と、ビートルズの「Tomorrow Never Knows」を思わせるサイケデリックな後半、その落差が圧巻の「Cardboard Pile」や、擦り切れたテープを再生しているようなローファイチューン「Gomugomu」、ボーズ・オブ・カナダへ愛が炸裂したかのような「Daydream Soda」、変拍子とギターリフの絡みが麻薬的にループする「Field of Tiger Lilies」など、曲ごとに全く異なるアプローチをしていながらどの曲も幾何学模様としか言いようのない、強烈なオリジナリティを放っている。
美しいアンビエントソング「Maison Silk Road」の余韻とともに、アルバムは幕を閉じる。
『クモヨ島』と名付けられた本作『Kumoyo Island』は、帰国の途に着く彼らが上空から垣間見た、雲越しの島国、日本の姿にインスパイアされて付けたのだろうか。真意のほどは直接本人たちに確かめる他ないが、世界中どこにいても「オルタナティブ」であることを貫いてきた彼らにしか到達し得ない地平が、ここには広がっている。
EYE名義でも知られるLaurène Expositoと、Parasite Jazzなどで活動するThéo Delaunayによるフランス・ブレストを拠点とするデュオDiagonale des Yeuxが、アムステルダムは〈Knekelhuis〉からリリースするデビュー作『Madeleine』。1980年代フランスのアンダーグラウンド・ポップから現代のローファイ感覚までを横断する、DIY精神あふれるアヴァン・ポップ。歌詞はフランス語・ドイツ語・英語・スペイン語が入り混じる多言語構成で、トイミュージック風のメロディ、猫の鳴き声、奇妙に揺れるシンセ、ポストパンクのざらつきが同居し、The ResidentsやCindy Leeを思わせる周縁のポップが生まれている。
7月上旬再入荷。2026年リプレス!アート・ポップ/モダン・クラシカル作品の最高峰!デンマークの作曲家Astrid Sonneの3枚目のフル・アルバム『Great Doubt』が、IceageやLissなどのリリースも知られる同国のインディペンデント・シーンを代表する名門〈Escho〉から登場。高く評価されているそのディスコグラフィーを通して、電子楽器とアコースティック楽器の試みを通して、様々なムードを注意深く作り上げてきた人物。本作では、これらのスキルがより洗練された事で、今度は作曲者自身のボーカルが前面にはっきりと現れたものとなっています。
Jeff Parker率いるETA IVtetによる、2019年から2021年にかけてロサンゼルスのバー「Enfield Tennis Academy」で毎週月曜に行われていた即興セッションを記録したライブ・アルバム『Mondays at The Enfield Tennis Academy』。Josh Johnson(サックス)、Anna Butterss(ベース)、Jay Bellerose(ドラム)とのカルテット編成で、全4曲、各20分超に及ぶ長尺の演奏を収録。即興といっても、調性や構造、メロディの輪郭がしっかりと感じられ、自由な作曲とでも言うべきアプローチがとられているのが特徴的。サンプリング的手法をリアルタイムに取り入れた演奏は、ジャズでありながらも、アンビエントやポスト・ロック、ヒップホップといった多層的なジャンル感覚を持ち込んでいる。緊張感と寛ぎが絶妙に共存しており、聞き流すことも、深く聴き込むこともできる、現代的な音楽!

限定100部リプレスです。Keita Sano主宰の〈Mad Love〉より見出された東京の3人組にして、じゃがたら、キミドリ、戸張大輔、さかな、裸のラリーズ、Laraajiなどを始めとしたアーティストたちからの影響を受けているというWool & The Pantsが、〈PPU〉より発表したデビュー作!Yu Tokumo (ギター、ボーカル), Kento Enokida (ベース)、Aki Nakagomi (ドラム)から構成されるこの人たち、本当に素晴らしいです!どこまでもクセになる絶妙に"ズレ"た音のヴァイブス。脱線したポスト・パンク観からテン年代の宅録ベッドルーム/ローファイ・ムード、サイケデリック、ソウル、ダウンテンポなどが奇跡的なバランスで配合されたレフトフィールド・ポップス傑作..!!! 幅広いリスナーに推薦したい内容です!
Wilco、The Feelies、Califoneなど後続に大きな影響を与えたとされる1986年にシカゴで結成されたオルタナティヴ・カントリーのカルト的存在Souled Americanが、1996年に残した最終作『Notes Campfire』。アンビエント・アメリカーナの先駆とも思える『Frozen』に対して、本作はより素朴で土の匂いが残る、枯れたアコースティック感が前面に出ている。バンドの音楽が極限まで削ぎ落とされていく過程の終着点にあたるアルバムで、カントリーの骨格をほぼそのまま残しつつ、テンポやアレンジは徹底してミニマル。ヴォーカルもより近く、語りかけるような距離感で、ひとりの夜に孤独の中に安らぐような、生活の気配と地に足のついた静けさを持つ作品。
京都のローファイ・ファンクデュオmess/ageによる待望のフルアルバム『MESS/AGE/2』が、ワシントンD.C.拠点の〈PPU〉からインターナショナルリリース。ざらついたドラムマシン、丸みのあるベース、柔らかく揺れるシンセが絡むサウンドは、〈PPU〉らしいDIYブギー/ローファイ・ファンクの文脈と強く共鳴しつつ、京都特有の空気感や日本的な間合いが自然に滲む。収録曲には「Nandake」「House」「Anpan」「Uma Hitsuji Inu」「Street Fighter」など、日常の風景や遊び心を感じさせるタイトルが並び、生活感とファンクの軽やかなグルーヴが自然に溶け合う。

昨年発表された傑作ミニアルバムが当店でも大ヒット。今年度の日本のインディ・ミュージックの中でも最高峰の予感!ダブやネオ・サイケデリア、都会的コンテンポラリーR&B等の多彩な要素を巧みにブレンドした東京拠点のインディ・ロック・バンド、その名も"TAMTAM"による最新アルバムが〈PPU〉からアナウンス!ネオ・シティポップ以降の感性を通過しながら、アシッド感覚を帯びたダブ~ジャズ~ネオ・ソウルがなめらかに交錯する、サイケデリック・スモーキーな大変素晴らしいタイトル。浮遊するリズムと空間処理に彩られたプロダクションは、70sレゲエやUKジャズ、ブラジリアン・ミュージック、The Internet以降のネオ・ソウルにも接続しつつ、都市の黄昏を思わせる幻想的な陰影を湛えています。やわらかく歪むベースラインと揺らめくようなヴォーカル、ミスティックなギター・エフェクトが織りなす、内省的で多層的なサウンドスケープ。※入荷時よりスリーブ角にダメージございます。予めご了承くださいませ。
2026年リプレス!初の海外レーベルからのリリースとの事!〈Stones Throw〉ファンにも間違い無しなネオ・シティポップ/ドリーム・ポップの金字塔的な大傑作。今年度の日本のインディ・ミュージックの中でも最高峰の地位を獲得するであろう作品としてレコメンドします!
ダブやネオ・サイケデリア、アーバンなコンテンポラリーR&B等の多彩な要素を巧みにブレンドした東京拠点のインディ・ロック・バンド、その名も"TAMTAM"による最新EP『Ramble In The Rainbow』が〈PPU〉こと〈Peoples Potential Unlimited〉より堂々アナログで登場!
2024年、TAMTAMは新作EP『Ramble In The Rainbow』を米レーベルPeoples Potential Unlimitedよりリリースする。初の海外リリースとなった本作は、かつてないほど幻想的な浮遊感に包まれ、またもジャンルのボーダーを超える存在感を放っている。
歌詞は極めてプライベートな出来事をきっかけに魂や死、自然といった大きく抽象的な概念を介した寓話のように綴られる。サウンド面ではSun Ra、Lee “Scratch” Perry、清水靖晃や鈴木良雄などが影響元に挙げられており、バンドの要となるグルーヴはそのままに更にドープになった演奏が印象的。以前からの持ち味であるレゲエやソウル、ジャズ的な要素に加えニューエイジ音楽的な発想が巧みに掛け合わされた、バンドの成熟を感じさせる怪作となっている。
Wilco、The Feelies、Califoneなど後続に大きな影響を与えたとされる1986年にシカゴで結成されたオルタナティヴ・カントリーのカルト的存在Souled Americanによる、アンビエント・アメリカーナの先駆的作品とされるバンド後期の作品『Frozen』。極端に抑制されたテンポ、音数を削ぎ落としたアレンジ、そして淡く揺れる残響。どの曲も時間が止まったような静けさをまとい、深夜の風景をそのまま音にしたような独特の世界が広がる。アコースティック楽器の素朴な響きと、乾いたカントリーの骨格が基盤にありながら、ヴォーカルは前に出すぎず、楽器と同じレイヤーで淡々と歌われ、音の風景の一部として溶け込んでいく。静けさの中に深い情感が宿る一枚。
オリジナルは1983年にリリースされたアメリカのアートパンク、NYノーウェイヴ・バンド Circle X のデビュー・アルバムで、NYノーウェイヴの殺伐とした熱量とアヴァンギャルドな知性が結晶した異形の名作『Prehistory』。制御不能なノイズ、突発的に崩れ落ちるリズム、叫びにも近いボーカル、そして演奏そのものが破壊の衝動として立ち上がるかのような暴力性と、反復の構造を意図的に崩すアレンジ、音の隙間を計算して配置するミニマリズム、不協和音をあえて美学として扱うような作曲感覚の両立は、都市の地下ならではの混沌を体現しているかのよう。この時代に、まだ一般的でなかったテープ操作やDIY的な加工を駆使し、何が鳴っているのか判別できない音像を意図的に作り上げた点も特異。ポストパンクの枠を越え、実験音楽の領域へ踏み込んだ本作は、退廃的でありながらどこか神秘的な美しさを秘めた、強烈な存在感を放つ一枚。

Anthony Moore が長いキャリアの果てにたどり着いた静かで深い到達点『On Beacon Hill』。Slapp Happy や Henry Cow で培ったアートロックの感性を土台にしつつ、室内楽的なフォーク、アヴァンギャルドの緊張感、そして英国的な叙情がひとつの風景として立ち上がる。Keith Rodway 、Amanda Thompsonとのアンサンブルは密やかかつ親密で、弦楽器やピアノ、声の響きが霧の中からゆっくりと姿を現す。その音像はどこか儀式めいていて、静寂と響きのあいだに漂う緊張感が、アルバム全体を独特の気配で包み込む。老練なミュージシャンならではの間の美しさが際立つ、深い思索に満ちた作品。
