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スピリチュアル・ジャズの命脈へと連なる生ける伝説Pharoah Sandersが、Impulse!在籍末期に残した重要作『Elevation』。1973年のライブ録音を中心に構成され、アフリカン・パーカッションや民族楽器を多用した、彼の祈りの音楽が最も生々しく刻まれたアルバムで、18分に及ぶタイトル曲は、Joe Bonnerの反復するピアノと多層的なパーカッションがトランス感を生み、サンダースのテナーが空間を切り裂くように高揚していく儀式的な圧巻の演奏。静謐なドローンが漂う「Greeting to Saud」、荒れ狂うインプロが展開する「The Gathering」など、静と爆発が交互に訪れるダイナミクスが本作の魅力を際立たせている。『Karma』『Thembi』と並ぶ名盤であり、深い祈りと野性的なエネルギーが同居する、Pharaoh Sanders、そして70年代スピリチュアル・ジャズの核心に触れられる1枚。
5月下旬再入荷。Adam Rudolph率いるHu Vibrationalによる、トランス的なグルーヴとスピリチュアル・ジャズを融合させた作品『Vibe Ride』。Go: Organic OrchestraやMoving Picturesなど長年のコラボ経験を持つメンバーが参加し、共通の音楽言語を共有した有機的なアンサンブルに、ファラオ・サンダースやドン・チェリーとの共演経験を持つルドルフならではのスピリチュアルな音響世界が映える。アダム・ルドルフが提唱する円環的・曼荼羅的な音楽構造を最も完成度高く体現した作品。
7月上旬再入荷。幾何学模様のドラマー、シンガーであり、〈Guruguru Brain〉の創設者でもある Go Kurosawa による初のソロ・アルバム『Soft Shakes』。2024年初頭から半年間、オランダ・ロッテルダムに設立したGuruguru Brainスタジオで行われたひとりジャムセッションを経て制作され、演奏からプロデュースまですべてを自身で手がけている。即興性に基づいた柔らかな遊び心と、音が自然に流れていくような開放感が全体に溢れており、クラウトロックやスペースロック、アジアン・サイケ、レゲエ、ボサノヴァなど多様な音楽的エッセンスが、ポリリズムやシーケンサーによるリズム、レイヤードされたテクスチャーの中に溶け込み、ジャンルを超えた独自の音響世界を形作っている。制御された精密さよりも、音そのものの流れを追いかけるような姿勢が貫けれており、個人的で親密な音楽でありながら、自由で、時間や空間を超えた旅へと導く普遍的な内容になっている。
テキサスが生んだスロウ・クラウトの旗手The American Analog Setの第2章にあたる時期のスタジオ録音を完全収録した〈Numero Group〉渾身の6枚組ボックスセット。『Know By Heart』『Promise Of Love』『Set Free』の名作3タイトルに加え、EP『Everything Ends In Spring』、さらにシングル、B面曲、別テイク、アウトテイクを収めた2枚の追加ディスクを含む完全版。付属の36ページ・ブックレットには、ポストY2K期の写真や手書きメモがあふれんばかりに掲載され、当時の空気感をそのまま封じ込めている。淡いギターのアルペジオ、囁くようなボーカル、ミニマルな反復が生む静謐なサウンドは、スロウコア/ドリームポップの美学を凝縮したThe American Analog Setの真骨頂。
6月下旬再入荷。カリフォルニアを拠点に活動するマルチ奏者、プロデューサー Mitchum Yacoub による生演奏の温かさと、ダブ的な空間処理が共存する心地よいインスト・アルバム『A Way In』。レゲエ、ダブ、アフロビート、エチオジャズ、ラテン、ソウルなど多様なルーツ音楽を独自にブレンドするスタイルで知られ、本作でも、ルーツレゲエの深いベースやダブを軸にしたオーガニック・グルーヴに、ホーンセクションのアフロ的アプローチ、エチオピア音楽に通じるメロディの哀愁、ウォームかつメロウな鍵盤やギター、70年代ソウルの柔らかい質感と多様な要素が自然に溶け合っている。地球規模のルーツ・ミュージックのような、気持ちよさとプロダクションの洗練が両立した上質なアルバム。
1982年、オランダのカセット・レーベル〈Trumpett〉が残した、当時のアンダーグラウンドで録音されたミニマル・ウェイヴ、DIYシンセ、実験電子音楽の核心を収録した伝説的コンピレーション『Colonial Vipers』がついにLP化。収録されているのは、Van Kaye & Ignit、Ende Shneafliet、Nine Circles、Doxa Sinistraなど、オランダのホームテーピング文化を象徴するアーティストたち。安価なシンセやドラムマシンを駆使し、自宅録音ならではの生成りの荒さと創造性がそのまま刻まれている。Jos Smoldersによるリマスタリングで、当時のテープ特有の質感を残しつつも音像がクリアに蘇っているのもポイント。冷たく反復するシンセ、乾いたビート、無機質な声やノイズ。ポストパンクの緊張感と、80年代初頭の手探りの未来感が同居し、今聴いても驚くほどフレッシュ。ミニマルウェイヴ、コールドウェイヴ、DIY電子音楽の源流を知るうえで欠かせない資料性と、純粋な音の魅力が共存した一枚。
ハワイの名門〈Aloha Got Soul〉のサブレーベル〈Roots Run Deep〉から登場した、Small AxeとJahtomicによる最新7インチ『Love Attack』。2024年にデジタル公開され、ミュージックビデオが 800万回再生を突破した話題曲がついにアナログ化。マウイ島出身のシンガーSmall Axeの柔らかくソウルフルな歌声と、プロデューサーJahtomicの温かくメロウなレゲエ・プロダクションが溶け合い、ハワイ特有のトロピカルな空気感をまとった現代ラヴァーズロックの決定版といえる仕上がり。A面のオリジナルは、海風のように軽やかなグルーヴと切ないメロディが心地よく、B面のVersionはダブ処理が効いたインスト。ローカルの温度感と洗練されたモダンレゲエがしっかり息づいた幅広い方におすすめできる一曲。
アイルランドのシンガーソングライターDavid Kittが、2001年の名盤『The Big Romance』を 全曲セルフ再録音し、さらに新曲を加えて再構築した“Kittser’s Version”が2LPで登場。オリジナルの権利問題により再発が難しかった作品を、本人が完全にコントロールできる形で再生させた25周年記念盤。プロデュースは当時と同じKen McHugh。ベッドルーム・フォークとエレクトロニカが溶け合う独特の質感はそのままに、2026年版はよりクリアで空間的なサウンドへアップデート。アコースティックの温度感と、繊細な電子音の粒立ちが共存する、成熟したBig Romanceと言える仕上がりになっている。収録曲はオリジナルの再録10曲に加え、ファン人気の高い「Saturdays」、そして新曲5曲を追加した全14曲構成。青春のきらめきを湛えたメロディに、25年の時間がもたらした深みと静けさが重なり、懐かしさと新しさが同時に立ち上がる特別な音盤。

(数量限定/日本語帯付き/解説書封入)1990年から1994年の間に制作され楽曲をまとめ、1995年にリリースされた移籍後2枚目となるアルバム。初期のアンビエントやIDM、ハードコア・テクノを踏襲しながら、アシッドやノイズ、“ドリルンベース”とも形容される破綻したビートを搭載するなどエイフェックス・ツイン二面性や多様性を網羅する一枚。強烈なインダストリアル・ダウンテンポが炸裂したシングル「Ventolin」や、「Xtal」と並べて語られる名曲「Alberto Balsalm」を含む全12曲を収録。180g重量盤。
ジャマイカ音楽の深層に眠っていたスピリチュアル・レゲエ/アフロ・ジャズの名演が、〈TOTAL SOUNDS〉により、特に評価の高い音源をまとめたオリジナルLP構成に近い編集盤として復活。Cedric “Im” Brooks が率いたThe Light Of Sabaは、ルーツ・レゲエ、ナイヤビンギ、アフロ、ジャズを独自に融合した先鋭的なグループで、スピリチュアルなパーカッションとジャズ的アプローチが交差する、ジャマイカ音楽のもうひとつの可能性を示す内容になっている。収録曲には、アフロ・カリビアンの躍動が炸裂する「Sabasi」、Horace Silverの名曲をジャマイカ流に再構築した「Song For My Father」、祈りのムードが漂う「Words Of Wisdom」など、ジャンルを越境する名演が並ぶ。ナイヤビンギの霊性とジャズの自由度が溶け合い、ルーツ・レゲエの枠を超えた深い音楽性が際立つ一枚。
1970年代エチオピア音楽の黄金期を象徴する名コンピレーション『Ethiopian Hit Parade Vol.1』が、〈Amha Records〉のアーカイブから蘇る。本作は、レーベル創設者Amha Esheteが手がけたレーベル公式コンピレーション・シリーズの第一弾で、1972年当時、アディスのクラブやラジオで人気を集めたシングル音源を中心に構成され、エチオジャズ/エチオソウルの核心をそのまま閉じ込めた内容となっている。エチオピアのエルヴィス、Alemayehu Esheteのソウルフルな歌唱、ピアニスト/作編曲家Girma Beyeneの洗練されたアレンジ、Mulatu Astatkeの代表曲「Yekermo Sew」など、黄金期を象徴する名曲がずらり。五音音階を基調にした独特の旋律、ブルージーなホーン、重心の低いグルーヴが絡み合い、70年代アディスの夜の空気がそのまま立ち上がるようなムードを生み出している。

ベニン音楽史の中でもひときわ謎に包まれた人物Antoine Dougbéが、ベナン最強バンドOrchestre Poly‑Rythmo de Cotonouと共に残した1977〜82年の音源をまとめた〈Analog Africa〉の発掘盤。Dougbéはベニン南部アボメイ出身の作曲家で、自身も ヴォドゥン信仰のイニシエート。悪魔の宰相と自称したことでも知られ、精霊信仰の儀礼音楽をポップへ落とし込む独自の作風を築いた。興味深いのは、彼が歌手でも演奏者でもなく、作曲家としてPoly‑Rythmoに楽曲を提供する形で作品を残した点で、歌唱はLohento EskillやAmsou Williamが担当し、バンドの圧倒的な演奏力がドゥーベの楽曲を鮮やかなアフロ・グルーヴへと昇華させている。収録曲では、コンゴ風ダンス・リズム、ルンバの軽快さ、重層的に絡むギター、熱気あふれるホーンが炸裂。アフロ・ラテン、ファンク、そしてヴォドゥン儀礼のリズムが交差するサウンドは、1970年代西アフリカ音楽の最も創造的な瞬間を捉えたものと言える。ヴォドゥンの精神文化とアフロ・ラテンの躍動が溶け合う、ベニン音楽の知られざる傑作。

テルアビブのプロデューサー/マルチ奏者Alek Leeによる、ギターの柔らかい質感と深い低音が溶け合うオーガニックなバレアリック作品『Blue Bird』。〈Isle Of Jura〉らしいアナログ感と、Alek Leeの内省的なソングライティングが融合した、静かで温かい音像。全編を通して、ゆったりとしたビート、丸みのあるベース、そしてアコースティックなギターが心地よく揺れ、昼のまどろみから夜の深みまで、バレアリックの持つ光と影を行き来する。タイトル曲「Blue Bird」にはKeren Ilanが参加し、失恋後の心の回復をテーマにした楽曲で、淡いメランコリーと柔らかな光が同居する、アルバムの中心となる1曲。歌詞に漂う砂漠のような心というイメージが、Alek Leeの乾いたギターと深いダブ処理に美しく重なる。

Kendra Morrisが、最新アルバム『Next』から人気曲「Flat Tire」を7インチでシングル・カット。60年代ジャマイカのオールドレゲエに影響を受けた一曲で、ヴィンテージ機材とTascam 388を使った温かいアナログ質感が魅力。The Black Keysでも知られるRay Jacildoがピアノ/オルガンで参加し、レトロ・ソウルとレゲエの心地よい揺らぎが溶け合う。B面には、Paul Cherryによる本格的な ダブ・ミックスを収録。60年代クラシック・ダブの手法を踏襲した仕上がりで、Kendraのボーカルは断片的に残され、音の余白がグルーヴを生むスモーキーな世界観。
ウェットでセンチメンタルな質感に富んだ、北海道を舞台に深く穏やかなサウンドに包まれる至福の名作!
MONO NO AWAREの玉置周啓(Vo.)と加藤成順(Gt.)によるアコースティック・ユニットMIZが2022年にリリースした『Sundance Ranch』は、東京から北海道までをキャンピングカーで横断しながら生まれた、全10曲のロードムービー的作品。札幌は芸森スタジオのエコールームにて100%天然のリヴァーブ成分のみでレコーディングされた深みのある音像が、彼らの優しく心地よいサウンドをより一層引き立たせています。さらに今作にはマーティ・ホロベック(Ba)、石若駿(Dr.)も参加。確かな音の広がりを感じる傑作が、多くのリクエストに応える形で待望のアナログ再発!

ボブ・ディランの『ブートレッグ・シリーズ』や、『ニール・ヤング・アーカイブ』をモデルにした、Bon Iverが新たに始動したアーカイヴ・シリーズの第1弾として発表された本作『VOLUMES: ONE』は、2019〜2023年に世界各地で行われたライブ録音から選び抜かれた10曲を収めた、バンド初のノンスタジオ・アルバム。ロサンゼルス、ミラノ、ジャカルタ、シカゴ、アデレードなど、多様な会場の響きがそのまま刻まれ、6人編成による現在のBon Iverの姿が鮮やかに浮かび上がる。アルバム全体に溢れる温かみと歓喜、そしてライブでしか到達し得ない強靭なサウンド。Justin Vernonのボーカルは、繊細さと力強さを同時に宿し、スタジオ録音とは異なる生の呼吸を感じさせる。エレクトロニック、フォーク、ソウル、実験的アレンジが自然に溶け合い、ライブならではのダイナミクスが楽曲に新たな表情を与えている。長年のファンはもちろん、初めて触れるリスナーにも開かれた、Bon Iverの現在地を示す一枚。

ドラマー Damon Cheの爆発的かつ変則的なドラミングでも知られる、アメリカ・ピッツバーグ出身のインストゥルメンタル・マスロックの代表的バンド Don Caballero の4作目にして、マスロック史に残る金字塔とされる名盤『American Don』。ギター2本+ドラムによる複雑なポリリズム、変拍子を多用した緻密な構造、それでいてメロディアスで開放感のあるサウンドは轟音よりも繊細な構築美が印象的で、前作までの荒々しいエネルギーから一転、より洗練されたポストロック的アプローチが際立つ作品となっている。オリジナルアルバムのリマスター音源2LPに加えセッション音源、未発表テイク、デモなどを追加収録した3LPで、ジャケットやインナーのアートワークもアップデートした作品の裏側まで丸ごと体験できる決定版。

電子音楽家upsamyと打楽器奏者Valentina Magalettiがまさかのコラボ作『Seismo』。美術館の展示のために録音された即興的な打楽器の響きを出発点として、展示室を歩きながら、空間に散らばる微細な振動や残響を多数のマイクで拾い集め、それらを後に電子音響的スケッチへと構成。本作の核にあるのは、電子音とアコースティックの境界を曖昧にする美学で、マレット楽器の柔らかなアタックと、upsammyの精密なデジタル処理が溶け合っている。リズムは一定の形を保たず、断片的なパターンが反復と変調を繰り返しながら、徐々に構造を帯びていく。緊張と静けさが交互に訪れ、音が空間を描き、まるで美術館の展示室を歩き回っているかのような感覚に包まれる。音が持つ物理的な力を鮮烈に描いた現代エクスペリメンタルの最前線。
シンガーソングライターのM. Ward、Giant SandのHowe Gelb、アイルランドのマルチ・インストゥルメンタリストMcKowskiによるコラボレーション・プロジェクトのデビュー・アルバム『Geckøs』。友人の結婚式での偶然のセッションをきっかけに、そのままアリゾナ州ツーソンでのレコーディングに発展。帰国後もそれぞれの拠点でアイデアをやり取りしながら制作を継続し、最終的にアイルランド、ロンドン、ブリストルのスタジオで録音を重ね、プロデューサーのJohn Parishによるミキシングでアルバムとして完成した。音楽的には、アメリカ南西部のダスティなアメリカーナを基盤に、スペイン音楽に由来する装飾的なギター、ケルト音楽風のたゆたうようなメロディやモーダルな響きが重ね合わされている。穏やかでドリーミーな質感を保ちながらも、即興的なやり取りから生まれる予測不能な展開が随所に顔を出し、三者それぞれの個性が交差する国境を超えた魅力が漂う。叙情的な歌声と緻密で繊細なアコースティック楽器の響きが溶け合う、フォーク、アメリカーナ、ヨーロッパの民俗的な要素を横断するアルバムとなっている。

ソウル、ジャズ、ブルースを見事に融合させ、力強い歌声とストーリーテリングを軸に、魅惑的なサウンドのタペストリーを作り上げる、才能溢れるソウル・シンガー、Emilia Siscoと、〈Timmion Records〉のお抱えな人気ソウル・バンド、Cold Diamond & Minkによるコラボレーション・アルバム『Introducing Emilia Sisco』がアナログ・リリース。ヴィンテージソウルの世界へとスムーズに誘い込む素晴らしい作品!古典的なソウル・ミュージックからの影響と現代的な感性が見事に融合。メロウで都市的であり、ジャジーで退廃的、というこの周辺の音楽から見ても満点、と言いたくなるような鮮やかなアルバム。Emilia Siscoの音楽的な幅の広さを伺わせつつ、彼女の音楽のコアであるヴォーカルを存分に楽しめます。
1960年代後半にデトロイトで録音されながら長らく未発表のまま眠っていた音源を後年になってようやく発掘、失われたソウルの秘宝と呼ばれるアルバム『Deep Shadows』。プロデューサー Dave Hamilton のスタジオに残されていたテープから見つかったこの作品は、当時のデトロイト・ソウルの空気をそのまま閉じ込めたような、繊細で温かい質感に満ちている。繊細で柔らかく、どこか影を帯びたLittle Ann の歌声を、控えめに寄り添うストリングスやリズムがそっと引き立てる。その音楽からは、聴くほどに深い情感が滲み出し、内省的でスモーキーなムードがアルバム全体を包み込み、デトロイト・ソウルのもうひとつの側面を鮮やかに浮かび上がらせる。磨かれすぎていないラフな質感や、スタジオの空気がそのまま残ったような生々しさが、作品に独特の温度と親密さ、魅力を与えている。

7月上旬再入荷。Leila Bordreuil(チェロ)とKali Malone(オルガン)による、静謐で緊張感に満ちたコラボレーション作品『Music for Intersecting Planes』。タイトルの通り、複数の音の平面がゆっくりと交差し、重なり、ずれていくという構造を核としており、身体性のあるチェロのノイズ、テクスチャと、純度の高い倍音と持続音で空間を満たすオルガンが、対立するのではなく、平行に進みながら微細なずれや重なりを生み出し、静かだが鮮烈な音の建築物を立ち上げていく。この作品では、音そのものよりも、音が空間でどう響き、どう交差するかに焦点が置かれており、空間そのものが楽器とするかのように、残響、共鳴、干渉といった空間的な要素も音楽の一部として扱われている。音楽はほとんど動かないように見えて、実際には絶えず変化し、倍音が揺れ、空気の圧力が変わり、音の干渉が幻聴のようなハーモニーを生む。それらは劇的な変化ではなく、耳を澄ませるほどに現れる微細な現象として存在し、ドローンの没入感と現代音楽の構築性が同時に息づいている。ふたりの作曲家の美学が驚くほど自然に融合した作品。

6月下旬再入荷。トム・ウェイツ、アダム・ドライバー、ケイト・ブランシェットらも出演の、映画『Father Mother Sister Brother』へのサウンドトラック。本作は映画監督ジム・ジャームッシュと音楽家Anikaのコラボレーション作品で、もともと音楽への造詣が深く、自身もバンドSQÜRLのメンバーとして活動するジム・ジャームッシュも音楽制作に直接関与。Anikaとの共同名義でクレジットされており、作曲・演奏・プロデュースの面で両者が協働しており、 彼の詩的な感性とAnikaのミニマルな音響スタイルが融合し、映画の世界観を支える静謐で幻想的な音楽を生み出している。曲目には「Spooky」「Disorder」「The Lake」「Twins」「Emptiness」など、映画の情景を反映したタイトルが並び、Kaleidoskop弦楽四重奏団との共演によるジャクソン・ブラウンの「These Days」のカバーも収録。ジャームッシュ作品らしい静かな余韻と、アニカの音響的探求が交差する、映画と音楽の境界を越えた芸術的なサウンドトラックとなっている。
Michelle David & The True-Tonesが、温かさと力強さが同居するゴスペル・ソウルを、現代的なサウンドで描き出した『Soul Woman』。Michelle Davidのスピリチュアルに高揚するヴォーカルが中心に据えられ、ホーン、オルガン、ギターが有機的に絡み合う、タイトでありながら、どこか陽だまりのような柔らかさを持つバンドの演奏と相まって、60〜70年代のクラシック・ソウルの質感を鮮やかに呼び起こす。タイトル曲「Soul Woman」をはじめ、「Running」「Golden Sun」など、人生の季節や感情を肯定するような楽曲が並び、レトロなグルーヴと現代的な洗練が自然に共存。パーソナルなテーマを深く掘り下げながらも、聴く者を前向きに照らす光を放つ、現代ソウルの重要作。
