ロサンゼルスのビートメイカーとして、〈Stones Throw〉〈Brainfeeder〉〈All City〉〈Hyperdub〉など数々の重要レーベルから作品を発表してきた Samiyamが、自身のもう一つの情熱であるデスメタルに捧げた異色の作品。SAMIYAMは過去5年間でデスメタルとホラー映画に傾倒しており、古典的なバンドを掘り下げる中で生まれたアイデアを、ドラムプログラミングやサンプリングに取り込み、メタル的な重厚感をヒップホップの感覚で再構築。収録された13のビートは、ラフで荒々しくも緻密に仕上げられ、彼の持ち味である硬質なグルーヴと異形のギター的質感に加工されたサンプルやノイズが融合することで、これまでにないダークでユニークな音世界を生み出している。ヒップホップ・ビートとメタルの質感が激しく交錯する実験的なアルバムでありながら、単なる実験にとどまらない深みを備えており、サンプルを歪ませ、反転させ、ノイズと絡めながら構築されたトラック群は、従来のSamiyam のイメージを裏切りつつも、その根底にある ビートへの執着 をより強調するものとなっている。そのサウンドは、デスメタルの攻撃性とホラー映画的な不穏さを抱えつつ、あくまでビート・アルバムとしての機能性を失わず、ヘヴィなリフの残響や、ノイジーな音響処理が織り込まれた中で、独特のグルーヴが絶えず脈打ち、新しい形のビート・アートを提示している。寡作ながら常に注目を集める彼のキャリアの中でも特に挑戦的で刺激的な一枚。