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ペルーのフィールドレコーディング作家・映像作家Hánkel Bellidoによる、アマゾンの深奥から届いた音響記録『Yavireri: Los que viven en lo profundo』が〈Death Is Not The End〉より登場。本作はペルー南東部ウルバンバ川下流域のマツィゲンカ族のコミュニティと、Hánkel Bellidoが2年間にわたり共存しながら録音したフィールドレコーディング作品。夜明けの歌、子守唄、鳥との対話、死者への別れの歌、神への祈りなど、日常の営みと霊的な感覚が音として記録されており、民俗音楽の再現ではなく、生活そのものの音の証言となっている。アマゾンの深奥で精霊と暮らす音であり、耳を澄ませば、森の奥で生きる人々の時間と空気が、静かに語りかけてくる一本。

イングランドはシュロップシャーとミッド・ウェールズ周辺で受信された謎めいた秘密の短波放送=ナンバー・ステーションの断片を収録した音響ドキュメント『Recordings of Covert Shortwave Radio Stations』が〈Death Is Not The End〉より到着。録音者Eric Loveland Heathが数年にわたり収集した19の放送断片を編集して収録しており、冷たい声による数字の羅列、モールス信号、電子ノイズ、断片的なメロディなどが、まるで幽霊のように空間を漂う。かつてラジオハムたちは短波を通じて世界中の仲間と交信し、時には暗号めいたナンバー・ステーションに遭遇することもあった。これらの放送の真の意味や発信者は不明のままだが、その非常に曖昧な実態や奇妙な音声構造や反復性のある音響は、今もなお現代の謎とロマンを秘めた存在として、ある人々を惹きつけ続けている。Heathはその痕跡を地元で拾い集め、音響的に再構築することで、謎の音そのものが不気味で魅惑的な空白を生み出し、聴く者を見えない世界へと誘う作品へと昇華させている。
非常階段の結成メンバーであり、国産サイケデリック・ロック最高峰の伝説的アクト「渚にて」の一員。仄かで淡い、感情を揺さぶるサウンドと深い内省、そして、青々とした季節の情景をサイケデリックというプリズムを通じて屈折させる、ヒューマニティに溢れた音楽性が唯一無二であり孤高な関西地下シーンの重要人物=頭士奈生樹。
日本のサイケデリック・アンダーグラウンドを代表する名門〈P.S.F. Records〉を主宰したモダーン・ミュージック店主の故・生悦住英夫氏が最大級の賛辞を寄せた、柴山伸二らとの伝説的サイケデリック・バンド「ハレルヤズ」や「Idiot O'Clock」にも参加。地下音楽の聖地として高名な京都のロック喫茶「どらっぐすとうあ」の住人のひとりであり、あの非常階段の結成メンバーとしても名高い頭士奈生樹。柴山主宰の〈オルグ・レコード〉から発表された本作『III』は、キャリア中でもカルト人気の高い作品の一つであり、海外からブートレグLP再発が行われるなど、ファンやコレクターの間でも公式再発が熱望されていた作品である。
頭士が単独でのプロデュースを務め、ヴォーカル、ギター、その他の楽器の演奏を担当した『III』では、ベースで柴山が、ドラムで竹田雅子(渚にて)がゲスト参加し、98年から05年にかけてStudio Nemuにてレコーディングされた。13分にも渡り、最愛への儚い想いや追憶を静かに独白する、幻想的であり親密な美しさに満ちたドリーム・フォークの名曲「最後に」、この続編的な楽曲か、ゆったりとした暖かなアルペジオと頭士の囁き声による心洗われる旋律を聞かせながら、記憶や想い出の奥底へと独り還っていくような、微睡みを誘う耽美なナンバーである「花の憧れ」、ここまで紡いできたフォーキーで夢見心地な世界観とサウンドを、よりサイケデリックな方向へと発展させつつ、日本的な土着の要素、仄暗くノクターナルな空気、寂寞や憂いを含ませた哀愁のサイケデリック・ブルースへと昇華した「窓」、精神世界へと深く没入した内容であり、Dittoや越智義朗などによる内省的な空想民俗音楽/ミニマル・ニューエイジ作品を彷彿とさせる18分にも及ぶ大曲「もう一度会えたなら」(『現象化する発光素』での「プララヤ」の姉妹楽曲と言えるだろう)、シューゲイズ的に展開する美しく幻想的なサイケデリック・ギターと暖かなアルペジオに、折り重なる頭士の消え入るような歌声が天上世界を描く「Spirit In My Hair」でのクロージングにいたるまで、頭士によるアーティスティックな世界観や方向性の模索が結晶した実験的で素晴らしいマスターピースといえる作品。
今回のリイシュー盤では、先述したオリジナルの6曲と地続きであり、同氏の追求する精神世界へのアプローチが落とし込まれた13分にも及ぶボーナス・トラック「六月の月夜にて」が追加収録されている。
水辺での生き物達の声や営みの様子を余す所なく捉えた躍動感に溢れるフィールド・レコーディングを中心として紡がれる楽曲である。その様子は、彼岸や天上風景を想起させるようでもあり、ミニマル/サウンド・アート作品としても極めて高純度の内容である。終盤からは、風鈴やチャイムのような優美な音や、牧歌的な鳥の鳴き声が徐々に挿入され始め、これらと優しく調和するように、頭士氏による親密で白昼夢的なギター演奏が幕を開ける。聞き手を微睡みへと誘う暖かな安らぎに満ちた逸品でありつつ、意識の変容を描いたというこの楽曲もまた、同氏のヒューマニティに立脚した、オープン・マインドで静謐な響きに満ちた素晴らしい作品となっている。

3月上旬再入荷。Jana Irmert と 7038634357 によるスプリット作 『Portals / Rope』。Irmert の「Portals」は、ブラジルとコロンビアのアマゾン熱帯雨林で録音された音だけを素材に構成された作品で、人間の耳には届かない超音波や水中の響き、無数の昆虫やカエル、コウモリやイルカの活動音を使用し、森の奥に潜む見えない世界を音楽として提示している。耳を澄ませば、森の奥底に広がる異界的な音の網が浮かび上がる。Irmert の手つきは博物学的でもドキュメンタリー的でもなく、あくまで個人的かつ詩的に自然界の音を再構成してゆく。7038634357 の「Rope」は、タイトル通りロープをイメージの軸にしている。ロープが撚り合った繊維で張力を保つように、音も複数の層やテクスチャが組み合わさり、緊張感と支え合う構造を作り出している。結び目や摩擦がロープを支えるように、旋律や音のアクセントが聴き手の感覚に引っ掛かりを与え、全体の張り詰めたけれど崩れない空気を生んでいる。

レーベル設立11周年を記念して〈INTERNATIONAL ANTHEM RECORDING COMPANY〉の初期カタログから重要な作品を新たな装丁で再リリースする特別な再発シリーズ「IA11 Edition」として2022年発表の傑作盤が再登場。Brian Eno、坂本龍一、Terry Riley、Jon Hassellが好きな方にも激激レコメンド!コミュニティ・オーガナイザー、グラフィック・デザイナー、シンセシスト、教師といった多彩な顔を持つLAのアーティスト= Jeremiah Chiu、そして、同地のバイオリニスト、Marta Sofia Honerの2名による待望の初コラボ・アルバムが、シカゴの現代ジャズ一大聖地〈International Anthem〉から登場です!Chiuの繰るモジュラー・シンセとHonerのヴィオラの即興演奏が、バルト海のオーランド諸島で録音されたフィルレコ素材と折り重なり、美しくきらびやかでピースフルなサウンドスケープが大いに生まれた傑作アルバム!憂いと影と静かに揺れる、深遠なアンビエント・ジャズ。

Burnt FriedmanやMax Loderbauer、Pierre Bastien、Valentina Magalettiといった豪華面々を送り出してきたMeditationsでもおなじみの屈折的ダブワイズ音響実験の聖地〈Marionette〉。レーベルオーナーであるgrimwigことAli Safiが、〈Good Morning Tapes〉からリリースした90分間にわたるサイケデリックで瞑想的なミックステープ。アンビエント、フォース・ワールド、フィールドレコーディング、フルートやシタール、会話の断片などがシームレスに織り合わさり、聴く者を非現実的な夢の世界へと誘います。インド古典音楽やコズミッシェ・ミュージック(ドイツの電子音楽)から影響を受けつつも、アシッドな西海岸の感覚や、浮遊感のある未来的なサウンドを融合させている。
テキサス・サンアントニオの女性ミュージシャンであり、対象物とその潜在的な音を用いて、クィアネス、人間関係、自己認識を探求している、要注目作家、Claire Rousayのニュー・アルバム『sentiment』が〈Thrill Jockey〉よりアナログ・リリース。実験音楽やアンビエント音楽の形式における慣習に挑戦する、唯一無二のアーティスト、Claire Rousay。彼女の音楽はキュレーション的で細部まで緻密であり、感情に訴える作品として巧みに形作られており、本作では、孤独や郷愁、感傷、罪悪感、セックスといった、心を打つ感情の領域を瞑想した、生々しくも親密なメタ・アンビエント・ミュージックを送り届けています。アンビエント・フォークの名手Andrew Weathersによるマスタリング仕様。
Sontag Shogunとフィンランドの作曲家Lau Nauによる『Päiväkahvit』は、2021年作『Valo Siroutuu』の姉妹編にあたる作品。どちらも2019年、フィンランドのキミト島でのセッションから生まれたもので、Lau Nauの自宅で過ごした穏やかな日々から紡がれた音の親密さや静けさが、その後の世界の変化を経てより深い響きを持つようになったと感じられる。本作には当時のセッションからこれまで未発表だった9曲に加え、Amulets、Fadi Tabbal、Post-Dukes、Jeremy Youngらによるリワークが収録。雨音や鳥の声、さざ波のリズム、温かいピアノやアコースティック・ギター、そっと滲む電子音が、ひと続きの流れの中で溶け合っていく。音はときに霧のように漂い、ときに小さなきらめきとして現れ、聴き手を穏やかで光に満ちた時間へと聴き手を招き入れる。Lau Nauはアコースティック楽器、リール・トゥ・リールテープ、電子音響を自在に行き来し、Sontag Shogunはノスタルジックなピアノと自然素材の音、そしてライブプロセッシングを組み合わせ、二人の響きは、何かを目指す旅というよりも、音とともに漂う感覚的な旅路のよう。静けさの奥に温もりがあり、温もりの奥にかすかな寂しさがある、そんな揺らぎをそのまま封じ込めた作品。

Andrew Peklerによる幻想的な音響世界を深く探求する作品『New Environments & Rhythm Studies』が〈Faitiche〉より登場。長尺で没入的なコンポジションと、短く断片的なスケッチ風トラックに分かれ、人工的なフィールドレコーディング風の音響や滑らかな電子音テクスチャ、ゆらぐパーカッション、そして穏やかな旋律を自在に交差させている。この作品の核心にあるのは、自然と人工の音の関係性で、たとえば「Globestructures」や「Cymbals In The Mist」などでは、生態音のように聴こえるが、実際は完全にシンセサイザーで構築された音響環境。一方で、「Cumbia Para Los Grillos」や「Fabulation For K」では、コオロギや昆虫の音を録音・ループしてリズムのトリガーとして使い、そこにメロディーを重ねることで、有機的でありながらどこかズレたビートを生み出している。収録された6つの「Rhythm Studies」もまた、自然音と電子音の境界を遊ぶようなアプローチで、音楽とフィールドレコーディングの区別を曖昧にしている。全体としてこのアルバムは、エキゾチカや民族音楽学といった、西洋的な視点から他文化を“再現”しようとした過去の音楽スタイルを、あくまで想像の産物として再描写しようとする試みだとも言えて、実在しない場所の音、存在しない環境のリズム。それらを丁寧に、しかし大胆に構築し直したサウンドは、想像力と耳を刺激する作品になっている。

激激高内容です。未体験の実験音楽マニアの方は是非!スウェーデンのカルトレーベル〈Discreet Music〉傘下の〈I Dischi Del Barone〉や〈Students Of Decay〉といった実験系のレーベルからも作品を発表してきた、豪州の作家Mark BarrageによるプロジェクトBlue Chemise。2017年に限定105部のプライベートリリース作品として発表されていたデビューLPであり、現在大変入手困難となっている非常に人気の高いアルバム『Influence On Dusk』が、ベルギーの〈B.A.A.D.M.〉よりアナログ再発。荘厳で神秘的なアトモスフェリック・ドローン/アンビエント・サウンドから、時には不気味なサウンドコラージュ/エレクトロアコースティックでのシュールな世界観まで、独特の音楽的サイクルを形成した、極めてミステリアスで魅惑的な逸品。Christophe Albertijn によるリマスター サウンドと最新のアートワークを起用。限定300部。

Sa Paがキャリア初期にあたる2015〜2019年にかけて練り上げた未発表音源集が、Matthew Kentの新レーベル〈Short Span〉から『Ambeesh』として登場。彼の代表作『Fuubutsushi』やデビュー作に通じる、ダブ・テクノとフィールド録音を溶け合わせた音響の詩法は健在で、大気圧の変化に身を委ねるような没入感が全編に漂っている。クラブ的実験性と親密なヘッドフォン向けリスニングとの境界を溶かし続けるSa Paならではの語法で、時間と身体にじんわり染みてくる音の手触りが魅力的。常にゆるやかに変化し続ける構造、聴覚の焦点がぼやけてくるようなガーゼ状のテクスチャ、薄明かりの中で微細に動く音粒子、音の奥行きや余白に意識が引き込まれる感覚。それらはまるで真夜中に一人歩いているときに、自分の足音だけが確かに聞こえてくるような、感覚の内側をなぞるような体験。Topdown Dialectic、Vainqueur、Chain Reaction周辺のミニマル/ダブテクノに共鳴する、極限まで削ぎ落とされた音の彫刻作品。ダンスミュージックの輪郭が溶け落ちる寸前をとらえた、静かで強烈な一作。


日本と世界の音楽を土着的な視点からクロスオーバーしてきた日本屈指のインディペンデント・レーベル<Crosspoint>主宰。独自のワールドビーツ・サウンドを確立する東京出身のプロデューサー/DJのJ.A.K.A.M.が2023年にCDリリースした名作アルバムが豪華仕様でアナログ化!
コロナが始まった2020年、インド、ケララ州で録音された密林の環境音と、
2023年に今も自爆テロが起こる混沌とした荒地パキスタンのカラチ、ラホール、ペシャワールで録音された伝統楽器を、エレクトロニクスとコラージュし、作り上げた近未来アジア音楽は、アラブ、アフリカまでもが不思議と溶け合い、アスファルトの上に生きながらも、元来の土の匂いを感じさせる唯一無二の作品に!
しっかりとモダンなダンス/クラブミュージックの様相を取りながらも、
そのビートの上で鳴り響く、現代では失われつつある伝統楽器の音色が、
リスナーをイマ、ココでは無い、失われていた記憶のどこかへと誘うことでしょう。
Modern Traditionalというテーマで制作された新たなワールド、サイケデリックミュージックの指針となるであろうこの金字塔的作品は音質にこだわり、2枚組という仕様にすることで、ディープリスナーからDJまで、そのダイナミックかつ繊細な音の渦を楽しめることでしょう!
Texts for Album Release
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1980年代の初めから終わりにかけて姿を現した新しい美を纏ったダンス・ミュージックは、世界を覆っていく運命の下にあった。それは冷戦の果てのときの裡にテクノロジーと遭遇し、うねりと共にそれまでの世界の聴き方と奏で方から離れていった。1990年代の半ばに東京のシーンに彗星の如く相剋するリズムをもって顕れたJUZU a.k.a. MOOCHYことJ.A.K.A.M.は、そのことをこの国で最も顕著に体現してきたアーティストではないだろうか。まだ多くがその音色を知らぬテクノロジー、インストゥルメント、リズム、テクスチャー、すなわち、彼の軌跡とこの作品にあるよう、新しい美の構造は必ず見慣れる風景を見出し、新しい現実を構築する。2024年にこのアルバムがリリースされたことを見逃してはならないと思う。
荏開津広(ライター)

人気作家claire rousayとGretchen Korsmoの共作による『quilted lament』がスロバキアのレーベル〈mappa〉より登場。まどろむような夢と、現実の曖昧な感覚が溶け合うような、繊細で私的な音楽。ポラロイド写真のように色褪せたメロディと、生活の断片を拾ったフィールド録音が交錯し、まるで誰かの家の窓越しに世界を覗き見しているような、静かで親密な時間が流れる。制作はふたりが別々の場所で重ねた音源のやりとりによって行われたが、そのサウンドは驚くほど自然で、互いの感情や音楽的感性が直感的に溶け合っている。どちらの手による音なのか判別がつかないほどに、ふたりのサウンドは縫い合わされ、静かな連続性を持った小さな交響曲のように響く。かすかに揺れるピアノ、囁くようなボーカル、洗濯機の音、通りすがりの会話、誰かが桃を食べる音など、多国籍の都市や家庭で収録された環境音。日常のかけらが繊細にレイヤーされ、どこにもない風景を形作っている。感情の深さを根底に持ちながらも、不思議と穏やかで、安らいでおり、内省と親密さに包まれた、現代の実験的DIY音楽におけるささやかな宝石のような一作。

8月中旬再入荷。Pitaの死後、〈Editions Mego〉から運営を引き継いだ〈Shelter Press〉がキュレーションする、〈INA-GRM〉の遺産とその後に焦点を当てた〈Portraits GRM〉シリーズからの最新タイトル!それぞれカナダの実験的作家であるMichelle Helene Mackenzieと、Olivia Blockによる作品を収録したスプリット・アルバム。Stefan Maierらによる共作は、建設中に事故が相次ぎ廃墟となった台湾の有名なスポット・三芝ポッド シティからインスピレーションを得た神秘的な作品。Olivia Blockサイドのエレクトロアコースティック作品は、メキシコの都市、サン・イグナシオ・ラグーン(バハカリフォルニア)でのフィールド・レコーディングと合成音を駆使し、太平洋のコククジラやその他の種の生存に対する人類の脅威について考えさせる内容となっています。

イタリアはローマを拠点とするLuca Quartaroneのデビュー作『mathematical model 0010』が〈Objects & Sounds〉より登場。本作は、日本を旅した際に録音した環境音をもとに作られた、静謐なアンビエント作品。日常の音の断片を素材にしつつ、そこから抽象的で広がりのある音響世界を描き出している。アルバムタイトルは、神奈川・小田原の江之浦測候所で見た杉本博司のランドアート作品に由来しており、この作品にある「無限に収束し続けるけれど決して交わらない超曲率の金属面」のイメージと同様に、音楽もまた、日常のささやかな瞬間から無限の広がりを感じさせる。アンビエント、エレクトロアコースティックとサウンドアート的なフィールドレコーディングが交わり、静けさや余白を重視しつつ、内面の感情や記憶の風景にそっと触れるような音響構築になっている。

アルバム『horizons』は、COMPUMAが2023年7月に自身のBandcampよりデジタル限定でリリースしたEP「horizons EP」をさらに発展させて制作したアルバムとなっており、自身のルーツとなる、熊本・江津湖のほとりや、各地の様々な場所を散策時に、その景色や環境にインスピレーションを得て作られた楽曲で、ミニマルな日常の心地よさをその音へと昇華させたかのような、ゆったりとしたエレクトロニック・ダウンテンポ、 アンビエント、イマジナリーなエレクトロ環境音楽作品となっている。
電子音のうねりが澄み切った空の広がりと湖の景色を横目にゆったりと歩いていく様を表したような「horizons 1」、ヴォコーダー・ヴォイスがどこか人々の営みを彷彿とさせてくれており、歩みのなかの内省にフォーカスしたような、よりミニマルなリズムと電子音の戯れへと絶妙な塩梅で変化させていく「horizons 2」、歩きながらの思索の緩急のような、そして、アーリー電子音楽へのオマージュともとれる「horizons 3」、歩くことに没頭しているかのような、よりストイック・ミニマルなエレクトロ・ダブワイズ「horizons 4」、そして、そしてアルバム・ラストには、広大な空を眺めているかのような、まるで前半部の歩みが淡い記憶として拡張されていく様を描いているかのような、フィールドレコーディングによってそぞろ歩く水辺の気配をまとったノンビート・アンビエント・テイストの、「horizons 5」と、ときに景色と歩くことに没入し、ときに思索にふけり歩き続ける「散歩」の日々のヴァージョンを彷彿とさせる「horizons」5ヴァージョンを収録しており、幕間には「horizons Interlude」を挟んで、たゆたう湖面を彷彿とさせる、前作『A View』収録曲「View 2」のセルフ・リミックス、エレクトロ・ヴァージョン「view 2 electro」を収録した全7曲となっている。
個人的な感想を言えば、どこかクラフトワークの『アウトバーン』を思わせる作品で、かの作品はアウトバーンが走る西ドイツの田園風景をミニマルな電子音による書き割りで描いたわけだが、本作もどこか「散歩」の情景を電子音にて描いているようにも思える作品でもある。とはいえ『アウトバーン』と違うのは、歩みのなかでの内省へも踏み込んでいくような中盤の要素もあり、アルバムを通してさまざまな(心情も含めた)景色を見せる、そんな作品となっている。シーンの潮流たるマクロな視点で言えば、昨今の環境音楽リヴァイヴァルやアンビエント・ミュージックの一般化のなかでの、DJやレコード・バイヤーとして、そうした音楽を長らく紹介してきた彼の新たな回答とも言える作品でもある。
アルバムは、Deavid SoulやUrban Volcano Sound、レコーディング / マスタリング・エンジニアとしても活動する hacchiが共同で制作に関わり、マスタリングは坂本慎太郎ソロ作他、多くの名盤を生み出してきたスタジオPeace Musicの中村宗一郎が手がけている。パッケージ・アートワークは、デザイナー鈴木聖によるもの。(河村祐介)

米国の大人気実験作家Ullaとの昨年のコラボレーション・アルバムが大変素晴らしかった、〈Radio.syg.ma〉の共同創設者としても知られるベルリン拠点のDJ/プロデューサー、Perilaによる最新アルバムが〈Smalltown Supersound〉からアナログ・リリース。極地的環境を彷彿とさせる、荒涼として凍てつく広大なサウンドスケープが、深い内省と愁いを込めつつシュルレアリスティックに展開されていく、破格のエレクトロアコースティック/ドローン・アンビエント作品!名匠Rashad Beckerによるマスタリング仕様。
ギリシャ・アテネを拠点に活動するサウンド・アーティスト、Panos Alexiadisによる新作『Cestrum Nocturnum』が〈B.A.A.D.M.〉より登場。喪失と再生をテーマにした静かな瞑想のようなエレクトロ・アコースティック作品で、ピアノのセルフサンプリング、断片的な声、フィールドレコーディング、儚いデジタルの痕跡などを重ねて構成されており、音のテクスチャは記憶のように層を成しながら、ぼやけた輪郭の中に余韻を残していく。全6曲、暖かくもかすかな光を湛えた音の織物のように展開し、存在の循環性や、暗闇の中にひっそりと息づく美しさを描き出す。

これぞ、まさに憑依音楽。原初の人力テクノ。インドネシアは、西ジャワ州スメダン県にて2024年1月に記録された、あまりにも素晴らしいフィールド・レコーディングを収めたアルバムが〈Hive Mind Records〉からカセット・リリース!ミニマルで反復的なメロディーが徐々に爆発し、その場に居合わせる全ての参加者や聴衆を憑依の世界へ。50 分に渡って、スンダの音楽と信仰文化という2 つの側面が紹介されており、深い精神性と催眠的な魅力に溢れるトランス・ミュージックが展開されていきます。限定100部。
民族音楽老舗Ocora発、68年の出版から今なお愛され続ける大名盤!67年録音、中央アフリカはブルンジ共和国のフィールドレコーディングもの。グナワにも似た弦楽器のブンブン来る怪しげな響き、イヌイットのような独特の唱法など、日本にいてはお目にかかれない素晴らしい録音ばかり。
フランスの民族音楽名門レーベルOCORAからピグミーの決定版として名高い名録音が国内版で待望の再プレス!!
さまざまなピグミー族のなかでも特に高い音楽性を持つアカ・ピグミーは、集団の社会的・宗教的な生活と音楽が密接に繋がっており、音楽のない日はありません。この録音にも、狩りをする前の儀式の歌や、森ではちみつを見つけたことを知らせる歌、狩りの後の祝宴で歌われる歌、歴史や知識など集合的な知を口承で伝えるための神話や物語を、語りを交えながら歌われる歌、死者への嘆きの歌、などなど、CD2枚にわたってまさにタイトルの通りにアカ・ピグミーのアンソロジーといえる内容です。また、録音時期も、1972-1977年と伝統音楽のフィールドレコーディングのまさに黄金時代であり、声とリズムを主体とした非常に密度の濃いディープな演奏が充実の音質で記録されています。アカ・ピグミーのリズムと声が渾然一体となったような複雑で美しいポリフォニーは、なにものにも代え難い魅力が満ちています。日本語解説付
Disc 1
ソボコ(狩猟の出発に先立つ儀式)【キンゴ・ヤモ・エ/ワンゴ/ココラ・エフェセ/ボラ・ボソンボ】 モンゴンビ(狩の呼び声)
ンゾンビ(狩からの帰還の歌)
モンゾリ(象を殺した後の踊り)
モバンディ(蜂蜜の採集に先立つ儀式)【エパンダ/アンゴンガ ‐ エクドゥ・モセケ/エヴェテ・ケレ‐モナ・スンブ‐マ・ ナマ・ディザンバ/ンガンゲレ(嘲りの歌)/エポンガ・モ・ベヴァ・ナ・モクピナ/ロンゴコディ/エクパンドロ ‐ モンビン ヒ/モ・ボマ/ンドシ】
歌を伴う3 つの子どもの遊び【ンゼ・ンゼ・ンゼ/クル・クル/コンゴ・ベレ】 舞踊「ムベンゼレ」のための音楽【ディヴォト/アンドゥワ】
Disc 2
モコンディ
舞踊「ングボル」のための音楽 舞踊「イオンベ」のための音楽【ンドゥダ/ボバンギ】
2 つの歌物語【ニョディ(鳥)/ナンガ・ニンギ(細い体つき)】 ボイワ(死体への嘆きの歌) ボンド(占いの音楽)【ディコボ/ディエ/アポロ】 ココ・ヤ・ンドンゴ
ヤヤ
ムボラ(ヴァージョン1)
ムボラ(ヴァージョン2)

〈Spazio Disponibile〉〈 Editions Mego〉〈light-years〉等からのリリースでも知られる作曲家Grand RiverことAimée Portioliによるマルチチャンネルのインスタレーションやライブ・パフォーマンスとして発表されたこともある作品『Tuning the wind』が〈Umor-Rex〉より36分のステレオ版LPとして登場!Portioliは、ピッチを調整した風の録音を重ね、その録音された風の音にチューニングされたシンセサイザーと融合させることで、荘厳で包み込むようなサウンドスケープを作り上げた。文字通り「風を調律する」本作では、自然と音楽がシームレスに融合しており、一陣の風と楽器から生み出された音との境界は消え去る。風を題材にして、風とともに、人間の芸術性と自然のシンフォニーがひとつになる瞬間を探求するような作品。マスタリングはRafael Anton Irisarriが担当。
