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ブエノスアイレスの電子音楽家Entidad Animadaによる、環境音楽や初期電子音楽からの影響を出発点にしつつ、ループ素材を編集・凝縮して6曲にまとめ上げたカセット作品『Pequeño clima doméstico』。フィールドレコーディングや加工されたテクスチャーが随所に散りばめられ、電子音と生活の気配が自然に溶け合う。曲はどれも閉じた楽曲というより、空間や気分をそっと変えるための装置のようで、聴くほどに部屋の空気がゆっくりと変わっていく。柔らかい電子音のレイヤーが静かに揺れ、外の空気が窓から入り込むようにフィールド音が漂い、アンビエントともBGMとも違う、生活のリズムを整えるための音楽としての魅力が詰まっている。日常の中で気分や、部屋の雰囲気を変えたいときにそっと寄り添ってくれる一本。

民族音楽学や人類学、宗教、歴史を専門に研究、人間の文化的な多様性、またその重要性を記録し独自の発信を行なってきたオランダの出版社Sound Reporters。ここより1988年にカセットフォーマットにてリリースされた、エーゲ海キクラデス諸島の一つであるギリシャ領”アモルゴス島"のフィールドレコーディング。数年間現地に居住していた画家Harry Van Essenがサウンドスケープを収集、Sound Reportersの創設者であり民族音楽学者のFred Galesがミックスを担当した共同作品。島の北東部に位置する港”エギアリ”近辺のサウンドをスケッチ的に結合、前半部では海の音と大衆音楽が交互に流れ、詩の朗読、漁船の音、ボードゲームを楽しむ人々、祝宴の会場と、人々の生活に根差した音風景が展開。村を通り抜け山へ登る後半部では人々の日常風景に加え、コオロギの鳴き声、ミツバチの羽音、放牧された大量のヤギが奏でるカウベルなど、島本来の素朴な環境が現れる。
リマスタリングはGiuseppe Ielasiが担当。

Celerの初期代表作として長く愛されてきた2009年作『Engaged Touches』が、未発表素材を大幅に追加したExpanded & Remastered仕様で〈Two Acorns〉から再登場。今回のExpanded版では当時の録音素材を細分化・再編集し、全20曲、約2時間40分に及ぶ完全版として再構築。淡い光に包まれたドローンがゆっくりと重なり合い、時間が止まるようで、静かに流れ続ける、Celer特有の感覚を生み出す。フィールド録音のざらつきや、テープの質感がほのかに滲むことで、記憶の奥に沈む風景を覗き込むようなアンビエンスが広がる。名匠Stephan Mathieuによるリマスターが施された今回のエディションでは各パートの表情がより鮮明になり、静寂の中に潜む変化が立体的に浮かび上がる。Celerの初期美学を最も純度高く体験できる決定版。

石橋英子&ジム・オルーク参加、記憶と環境音を再構築する実験音響/フィールドレコーディング作品。
ピエール・シェフェールとともに音と映像の関係性を探求してきたブルンヒルド・フェラーリによる作品。本作は、日常の中で無意識に捉えられた音の断片や記憶を再構成したミックステープ的アプローチによって制作され、磁気テープに記録された“耳の記憶”を呼び起こすようなサウンドが展開される。そこに石橋英子とジム・オルークが演奏で参加し、繊細かつ即興的な響きが作品に新たな層を与えている。実験音楽、ラジオアート、フィールドレコーディングの要素が交錯する本作は、個人的な記憶と音響芸術が静かに交差するユニークな試み。長年ルック・フェラーリと活動を共にし、その遺産を継承してきた彼女ならではの視点が反映された、時間と記憶をめぐる音のコラージュ作品である。

学生時代に参加した"グループ音楽”での先鋭的な音楽活動、また1964年からはフルクサスへ参加した事でも知られる塩見允枝子氏。1990年に招聘されたヴェネチアのフルクサス・フェスティバルは、その後の氏の活動に大きな変化を与える出来事となり、同年に創始者であるジョージ・マチューナスへの追悼を込め鎮魂曲をカセットフォーマットにて自主出版。
シンセサイザーのチェンバロとオルガンの音色で演奏した自作曲、逆再生した自身の声をテープに記録、その音源を業者に持ち込みヴェネチアの会場で録音した環境音と合成/編集を行ったテープ音楽作品。ラ・モンテ・ヤング、マリアン・ザジーラ、エリック・アンダーセン、ウィレム・ドゥ・リダー、ケン・フリードマンらフルクサスの重要作家らの声も使用、テープの特性を利用しユニークなアイデアと構造を盛り込んだ、氏の音源の中でも特殊な位置付けとなる作品。
塩見氏が本再発版の為に書き下ろした新たな解説文、会場で撮影された当時の写真資料やスコアを掲載した、A4サイズの全8ページブックレット付き(日本語/英語)。
マスタリングはGiuseppe Ielasiが担当。
※CDフォーマットは作家の意向により、オリジナルカセットのA、Bサイドを繋げ1つの楽曲としている。
実験音楽家Aki Ondaが、アメリカ前衛映画の巨匠Ken Jacobsの代表的映像作品「Nervous Magic Lantern」のために制作したサウンドトラックが〈Room40〉よりアナログ化。Onda自身が長年にわたり自身のライフワークである『Cassette Memories』プロジェクトなどのために世界各地で録音・収集してきた音源を即興的にレイヤーし、構築。テープの歪みやノイズ、日常音の断片がレイヤー状に積み重なり、抽象映像と響き合う独特の感覚のずれを作り出している。長尺曲「Brooklyn Bridge」では、ゆっくりと音のレイヤーが積み重なり、聴くほどに深く入り込み、まるで音の中を漂うような体験へと誘う。日常音と抽象音響が交錯する、サウンドアートとしての完成度が非常に高い作品。
非常階段の結成メンバーであり、国産サイケデリック・ロック最高峰の伝説的アクト「渚にて」の一員。仄かで淡い、感情を揺さぶるサウンドと深い内省、そして、青々とした季節の情景をサイケデリックというプリズムを通じて屈折させる、ヒューマニティに溢れた音楽性が唯一無二であり孤高な関西地下シーンの重要人物=頭士奈生樹。
日本のサイケデリック・アンダーグラウンドを代表する名門〈P.S.F. Records〉を主宰したモダーン・ミュージック店主の故・生悦住英夫氏が最大級の賛辞を寄せた、柴山伸二らとの伝説的サイケデリック・バンド「ハレルヤズ」や「Idiot O'Clock」にも参加。地下音楽の聖地として高名な京都のロック喫茶「どらっぐすとうあ」の住人のひとりであり、あの非常階段の結成メンバーとしても名高い頭士奈生樹。柴山主宰の〈オルグ・レコード〉から発表された本作『III』は、キャリア中でもカルト人気の高い作品の一つであり、海外からブートレグLP再発が行われるなど、ファンやコレクターの間でも公式再発が熱望されていた作品である。
頭士が単独でのプロデュースを務め、ヴォーカル、ギター、その他の楽器の演奏を担当した『III』では、ベースで柴山が、ドラムで竹田雅子(渚にて)がゲスト参加し、98年から05年にかけてStudio Nemuにてレコーディングされた。13分にも渡り、最愛への儚い想いや追憶を静かに独白する、幻想的であり親密な美しさに満ちたドリーム・フォークの名曲「最後に」、この続編的な楽曲か、ゆったりとした暖かなアルペジオと頭士の囁き声による心洗われる旋律を聞かせながら、記憶や想い出の奥底へと独り還っていくような、微睡みを誘う耽美なナンバーである「花の憧れ」、ここまで紡いできたフォーキーで夢見心地な世界観とサウンドを、よりサイケデリックな方向へと発展させつつ、日本的な土着の要素、仄暗くノクターナルな空気、寂寞や憂いを含ませた哀愁のサイケデリック・ブルースへと昇華した「窓」、精神世界へと深く没入した内容であり、Dittoや越智義朗などによる内省的な空想民俗音楽/ミニマル・ニューエイジ作品を彷彿とさせる18分にも及ぶ大曲「もう一度会えたなら」(『現象化する発光素』での「プララヤ」の姉妹楽曲と言えるだろう)、シューゲイズ的に展開する美しく幻想的なサイケデリック・ギターと暖かなアルペジオに、折り重なる頭士の消え入るような歌声が天上世界を描く「Spirit In My Hair」でのクロージングにいたるまで、頭士によるアーティスティックな世界観や方向性の模索が結晶した実験的で素晴らしいマスターピースといえる作品。
今回のリイシュー盤では、先述したオリジナルの6曲と地続きであり、同氏の追求する精神世界へのアプローチが落とし込まれた13分にも及ぶボーナス・トラック「六月の月夜にて」が追加収録されている。
水辺での生き物達の声や営みの様子を余す所なく捉えた躍動感に溢れるフィールド・レコーディングを中心として紡がれる楽曲である。その様子は、彼岸や天上風景を想起させるようでもあり、ミニマル/サウンド・アート作品としても極めて高純度の内容である。終盤からは、風鈴やチャイムのような優美な音や、牧歌的な鳥の鳴き声が徐々に挿入され始め、これらと優しく調和するように、頭士氏による親密で白昼夢的なギター演奏が幕を開ける。聞き手を微睡みへと誘う暖かな安らぎに満ちた逸品でありつつ、意識の変容を描いたというこの楽曲もまた、同氏のヒューマニティに立脚した、オープン・マインドで静謐な響きに満ちた素晴らしい作品となっている。

弊店でもベストセラー作家であるイタリアの音楽家Roberto Musciを、アンビエント/ニューエイジ/バレアリック新時代に歴史的遺産を提示する名レーベル〈Music From Memory〉が編集し、多数の未発表曲も収録した名盤が2026年リプレスです!
音楽を学習する為に1974年から1985年の間にインド~アフリカ~アジア諸国を放浪。その間多くの現地録音を行い、帰国後にシンセサイザーや当時の電子機器を用い、フィールドレコーディング素材から生まれる霊魂を瑞々しく昇華させた異国新世界アンビエンスを展開。どことも言えない透き通った異国の風景は匂いも色も無く、ただ頭の中で霧のように広がって異人が生活を築くような..."アンビエント"や"ワールド"を超えて移り変わる景色にただただ虜にさせられます。未発表も多数含み、これは絶対に見逃せません。
Celerの初期代表作として長く愛されてきた2009年作『Engaged Touches』が、未発表素材を大幅に追加したExpanded & Remastered仕様で〈Two Acorns〉から再登場。今回のExpanded版では当時の録音素材を細分化・再編集し、全20曲、約2時間40分に及ぶ完全版として再構築。淡い光に包まれたドローンがゆっくりと重なり合い、時間が止まるようで、静かに流れ続ける、Celer特有の感覚を生み出す。フィールド録音のざらつきや、テープの質感がほのかに滲むことで、記憶の奥に沈む風景を覗き込むようなアンビエンスが広がる。名匠Stephan Mathieuによるリマスターが施された今回のエディションでは各パートの表情がより鮮明になり、静寂の中に潜む変化が立体的に浮かび上がる。Celerの初期美学を最も純度高く体験できる決定版。

Kassel Jaeger、Stephan Mathieu、Akira Rabelais ら現代音響からサウンドアートにおける重要人物3名によるコラボレーションで、トーマス・マン『魔の山』から着想を得た聴覚による山岳巡礼『Zauberberg』。スイスの山中に残る記憶と気配を音で辿るというコンセプトで、小説の舞台であるスイス・ダヴォスの Schatzalpでフィールド録音を行い、その素材をパリのGRMスタジオで再構築している。風の流れ、建物の残響、木々のざわめき、空気の密度を閉じ込めた録音素材と遠くで誰かが弾いているような楽器の音、電子音の微細な揺らぎを重ね合わせ、現実の風景と記憶の影が溶け合うような音の地層を形作る。Jaeger の音響彫刻的な構築、Mathieu の柔らかいテクスチャ、Rabelais の幽玄で夢のような処理が自然に融合した、聴き進めるほどに、霧の中の道をゆっくり登っていくような、静かで深い没入感が広がる音響芸術。


ベルリン拠点のフランス人DJ Marylouが、ブリストルの〈Accidental Meetings〉のミックスシリーズAMXに登場。本作は、ポリリズム、ポリスタイルのシリーズ屈指の越境型ミックスで、未来的クラブサウンドからヴィンテージ・ブレイクコア、フォーク、ダブ、スポークンワード、民族音楽的フィールド録音まで、本来交わらないはずの音が、Marylouの感性でひとつの流れとして再構築される。緊張と緩和、混沌と秩序が絶妙に配置され、音の迷宮を進むような感覚が続く。レーベルの自由で根源的なミックス企画という理念を鮮烈に体現した一本。

2009年にCDrでひっそりと発表され、長らく入手困難となっていたCelerの初期代表作『Poulaine』が、〈Room40〉によってついに再発。14世紀写本展のために制作されたという特異な背景を持ち、13点の写本に対応する13のアンビエント小品で構成されるコンセプチュアルな作品。制作は2007〜2009年、Will LongとDanielle Baquetがバックパックに機材を詰め込み、移動しながら録音したフィールド録音、チェロ、ヴァイオリン、ピアノ、テープループ、油絵へのコンタクトマイク録音など、多彩な素材が重ねられている。左右チャンネルの反転やリバース処理など、Celerらしいアナログ的な揺らぎの操作が施され、柔らかなドローンが生まれている。音はどれも淡く、儚く、繊細。Celer特有の夢と現実のあいだにある音響詩。

ナミビア北西部に暮らすヒンバ族の声と儀礼歌を初めて公式に記録した、〈Sublime Frequencies〉ならではのリアリティあふれるフィールド録音作品『Himba Hymn: Ghosts Of Namibia’s Skeleton Coast』。本作は、観光写真やステレオタイプなイメージで語られがちなヒンバ族を、彼ら自身の声で伝えるという目的で制作。録音はすべて現地で行われ、オリックスの角を使った伝統管楽器Cattle Gunの低く唸るような音色、手で口を覆って生まれる自然なフランジャー効果、声が連鎖していく人力ポリフォニック・エコーなど、電気的な加工を使わずに生まれる独自の音響が収められている。砂漠の乾いた空気をそのまま閉じ込めたような質感で、祈り、嘆き、語り、叫びが混ざり合う共同体の記憶そのもののような生々しさ。リズムは一定ではなく、集団の呼吸や身体の動きがそのままテンポになるような自由さがあり、フィールド録音でありながら、どこかトランス的な没入感を生む。機材を介さずとも、彼らの身体そのものがエフェクターであり、シンセサイザーであるかのような驚異的な音響。数あるカタログの中でも、文化的資料性と音響的インパクトが極めて強い一枚。

マルコによる福音書第16章17〜18節の記述、「信じる者には次のしるしが伴う。…彼らは蛇をつかみ、また、毒を飲んでも決して害を受けることはなく、病人に手を置けば、彼らは癒されるであろう」を文字通りに解釈し、神の言葉に対する絶対的な服従を証明するため、礼拝中に、信徒はトランス状態でガラガラヘビやマムシなど毒ヘビを手に持ったり、ストリキニーネなどの毒物を飲む。主にアメリカ合衆国のウェストバージニア州アパラチア山脈周辺に存在する、孤立した一部のホーリネス・ペンテコステ派の教会で行われる宗教儀式、ヘビ取り信仰を録音した貴重なドキュメント。グラミー受賞プロデューサーのイアン・ブレナンが完全ライブ・無修正で録音した本作は、ヒルビリー・ロック・ギター、トランス的なリズム、叫ぶようなヴォーカルが入り混じる混沌と熱狂が記録されている。過激な信仰と、その音楽に表れるワイルドで抑制のないプリミティブなロックンロールの根源を捉えた、異色の音響人類学的記録。〈Sublime Frequencies〉初のアメリカ音楽リリースとしても注目の一枚。
メキシコ出身のサウンドアーティストMario de Vegaが、ポンピドゥー・センターの委託を受けて行った、世界各地から収集した笛を用いたパフォーマンス作品『El Llamado (Der Aufruf)』。A面にはスタジオで再構成された23分のアレンジ、B面にはフランスの村で行われた屋外アクティベーションを収録。大きさ、素材、文化背景の異なる笛が、合図、祈り、警告、遊びといった多様な意味を帯びながら鳴り響き、息の圧力・摩擦・破裂音まで露わにする原初的なサウンドが展開。無数の笛が重層的に響き合い、人間の呼吸が純粋な信号へと変換されるプロセスを冷徹に描写している。スタジオ録音の精密な配置と、屋外録音の風や反響、環境音がスタジオの文脈を鮮やかに破壊するドキュメント性の対比が、作品のコンセプトを立体的に浮かび上がらせる。整ったハーモニーではなく、世界中の小さな声が同時に発せられるような雑多な調和が魅力的。
ニューエイジ・リバイバル以降のダブ/アンビエント聖地〈Astral Industries〉から最新物件が到着!レーベルの常連であるSamuel van Dijk (Multicast Dynamics)とウクライナのアーティスト、Yevgen Chebotarenkoによるデュオ、Ear to Earによる、豊かな音のディテールと喚起的なジェスチャーに満ちたデビュー・アルバム『AI-36: Live Recordings』がアナログで登場!一連のライブ・レコーディング・セッションから生まれた4部構成のアルバムであり、サウンドスケープ・ミュージックの著しくダークな領域を探求した凄まじい内容の一枚!オーガニックな音のテクスチャーと実験的な緊迫感を巧みに融合させたフィルレコ/ダークアンビエント破格の傑作。
カナダ・ホワイトホースを拠点に活動するLevi BruceのプロジェクトUnknown Mobileが、〈Pacific Rhythm〉へ約5年ぶりに帰還して届けた最新作『Field Work』。本作は2025年の冬から春にかけて世界各地で採取したフィールド録音を軸に構成されており、ポルトガル、スウェーデン、アラスカ、カリフォルニア、ベルリン、そして彼の地元ユーコン準州の自然音や街の気配が、まるで旅の断片のように楽曲へ溶け込んでいる。透明なピアノのフレーズ、繊細な電子音、微細なノイズが層を成し、静かに揺れる水面のようなサウンドスケープを描く。各曲には録音場所の 緯度・経度 が記され、アルバム全体が音の地図として機能するユニークな構造。派手な展開はないが、音の細部が常に変化し続け、聴き入るほどにゆっくりと風景の中へ沈んでいく。夜明け前の静けさ、雪解けの匂い、遠くの街のざわめき。そんな時間の流れまで感じさせる、静かで深い旅の音日記。

フィンランドはカレリア地方のカンテレ奏者Iivana Mišukka(1861–1919)が、1916〜17年にワックスシリンダーへ残した貴重なフィールド録音をもとに、現代のカンテレ奏者Arja Kastinenが再構築した歴史的アーカイブ作品。古い蝋管録音のノイズや揺れをそのまま生かしつつ、Kastinenが丹念に採譜し、当時の奏法を忠実に再現した新録を重ねることで、100年前の音と現在の音が同じ空間で響き合う。収録されるのは、ポルカ、ワルツ、マアニトゥスなどの舞曲、さらには教会の鐘の音の模倣演奏など、伝統的なルノ歌から新しい舞曲へという当時のカレリアにおける音楽文化の変容を象徴する内容。1〜3分台の小品が並び、素朴でありながら神秘的なカンテレの響きが、森の奥に残る古い歌の記憶を呼び起こすように広がっていく。時間の層が折り重なるような幽玄のサウンドで失われかけたカレリアの音楽文化を現代に蘇らせる価値ある一作。

フィンランドはカレリア地方のカンテレ奏者Iivana Mišukka(1861–1919)が、1916〜17年にワックスシリンダーへ残した貴重なフィールド録音をもとに、現代のカンテレ奏者Arja Kastinenが再構築した歴史的アーカイブ作品。古い蝋管録音のノイズや揺れをそのまま生かしつつ、Kastinenが丹念に採譜し、当時の奏法を忠実に再現した新録を重ねることで、100年前の音と現在の音が同じ空間で響き合う。収録されるのは、ポルカ、ワルツ、マアニトゥスなどの舞曲、さらには教会の鐘の音の模倣演奏など、伝統的なルノ歌から新しい舞曲へという当時のカレリアにおける音楽文化の変容を象徴する内容。1〜3分台の小品が並び、素朴でありながら神秘的なカンテレの響きが、森の奥に残る古い歌の記憶を呼び起こすように広がっていく。時間の層が折り重なるような幽玄のサウンドで失われかけたカレリアの音楽文化を現代に蘇らせる価値ある一作。
Echospace/cv313のStephen HitchellがVariant名義で残した2009年の名作『The Setting Sun』が最新リマスターで2LPとして再発。ベルリンの嵐のフィールド録音、成田空港の列車音、アナログシンセやアウトボード機材を用い、コンピュータを使わずに制作されたという背景を持つ本作は、ダブテクノの文脈にありながら、より深いところへと沈み込む。冒頭「As Time Stood Still」から広がるのは、分厚い倍音がゆっくりと揺れ続ける巨大なドローンの雲。音はほとんど動かないのに、内部では微細な変化が絶えず生まれ、アナログ制作ならではの温度感やざらつきがそのまま音楽の一部となり、冷たさよりも手触りを感じるドローン/アンビエントに仕上がっている。「A Silent Storm」「Someplace Else」では、メタリックなディレイや微細なキックの残響が静かに浮かび上がり、Echospace〜Deepchord系の美学が深層で息づく。長尺構成による風景がゆっくり変わる感覚も本作の魅力で、特に終盤「Adrift」は深海へ沈んでいくような静謐さと孤独感が際立つ。
Ocora名盤再発!仏教伝来以前からといわれるチベットの古来の宗教、ボン教に伝わる儀礼のための音楽の実況録音盤。1983年初出アルバムの再発売。
01 Chant dedicated to the protective divinity Midü 守護神ミドゥのための聖詠
02 - 13 Nag-zhig’s propitiatory ceremony (nag-zhig bskang-ba) ナグ=ジグ鎮魂(贖罪)祭
14 Tea Offerings (ja-mchod)
供茶
15 Drum-beating in Praise of Shenrab (gshen-rab mchod-rgna) シェンラブを讃える太鼓
録音:1981年3月、1983年4月 チベットでの儀礼の実況録音
フランスの民族音楽名門レーベルOCORAからタントラ(悟りを実現させるための実践)の場であったギュト寺院の聲明の録音が待望の再プレス!!
何十万というチベット人が亡命を余儀なくされた出来事が起こる前の1970年代初頭、ギュト寺院の僧侶約100名がインドに亡命しました。本来、外の世界に出すものではないと思われる聲明ですが、その伝統が消されるのではないかという危機感からか、彼らはその後、外国での客演、録音を数多く行うようになりました。この録音はその最初期である1975年のパリで行われたライブ録音です。
鐘の音や禁欲的なチベットホルンの音、打鳴らされる太鼓、人間とは思えない野太い低音と宇宙的なものを感じさせる倍音が重層的に響くさまは、一聴するとあまりにも厳しい音世界ですが、深く瞑想するように聴き入っていくと、次第にあらゆる余分なものが消失してゆき、やがてそれは一つの調和として立ち現われ、一種のトランス状態に至るとんでもない内容!没入の強度と深度が違います!!
各地の伝統録音をきく方や、音楽を探求するかたにはもちろん聴いていただきたいですが、ダーク・アンビント/ドローン、インダストリアルなどがお好きなかたにも、ぜひ一度きいてみていただきたいと思います。日本語解説付
Disc 1
「秘密集会」ないし「秘密の単一」タントラ/ 文殊菩薩の忿怒の現れたるヤマーンタカの儀式における灌頂の抜粋/ 奉献の儀式、ラプネーの抜粋
Disc 2
大黒天/黄金の献酒/吉祥の祈り

アメリカのミニマリスト詩人ロバート・ラックスによる詩の朗読を中心に構成されたサウンド・ポエトリー作品『Living in the Present』。1990年代にギリシャ・パトモス島で録音された音源をもとに、電子音響とフィールド録音、トランペットが繊細に絡み合いなだら、彼の静かな語りが展開され、静けさと言葉の余白を重視した詩の世界が音と共に穏やかに広がってゆく瞑想的な空間を生み出す。言葉と音が互いに干渉せず、静けさの中で共存する構成が印象的で、今この瞬間、というテーマが、音と語りを通じて穏やかに伝わってくる。音楽というよりも詩と環境音の対話ともいうべきもので、詩の余白と音の静けさが溶け合い、聴くという行為そのものに深い気づきをもたらす、稀有な音のドキュメント。
