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ブラジルの学際的アーティストJoão Machadoによる、針を持たない蜂のフィールド・レコーディング音源のみを電子処理・加工して制作されたデビュー作『Meliponica』。大英図書館やベルリンの動物音響アーカイブにも収蔵される学術的価値の高い蜂のコミュニケーション音源を極限まで解体・再構築し、先鋭的な電子音楽へと昇華。蜂の微細な羽音や振動といった原音のポテンシャルを余すところなく引き出しながらも、単なるアヴァンギャルドな実験音響にとどまらない躍動的なグルーヴを創出。複雑でパーカッシブなポリリズムから、宇宙の深淵を思わせるアンビエント、そして静けさの中に漂うエモーショナルな旋律までがシームレスに交錯し、有機的な生命の息吹と緻密な電子美学が同居した異次元の音響空間を構築している。ミクロな自然音のテクスチャーが有機的なダンス・グルーヴや幻想的なメロディへと姿を変える、生命の神秘と電子音楽の合一。
〈Hive Mind〉が、Raïの発祥地として知られるアルジェリア・オランの名門〈Édition Ahlem〉とタッグを組み、伝統と現代電子音が融合を果たした21世紀のガスバ音楽を編纂したコンピレーション『My Heart is Dust Before Him』。ベドウィンの伝統儀式や婚礼で奏でられてきた葦笛ガスバの響きが、地元のカセット文化を経て最新のストリート・サウンドへと進化した、現代アルジェリアの生々しいストリート・ソウルを捉えた全10曲を収録。催眠的な旋律を紡ぐガスバの音色に、荒削りなリズムマシン、うねる重厚なシンセベース、そしてオートチューンを纏ったエモーショナルな歌声が絶妙に交錯。ベドウィン・フォークの古風な詩情を残しながらも、強烈なシンセ・ライのリズムやR&B譲りの低速グルーヴと結びついたサウンドは、異次元の熱量と北アフリカ特有の泥臭いディープネスを放出している。ポップ・ライの影で密かに発展を遂げてきた、現代アルジェリアの生々しくリアルな音楽ドキュメント。
Miles Davis名盤『Aura』の作曲や数々のECM名作で知られるデンマークの至宝、Palle Mikkelborgが実に25年ぶりとなるソロ・アルバム『Light』を〈Loveland Music〉よりリリース!ツアー活動からの引退を経て、盟友Jakob Broとともに膨大な未発表音源やキャリアの軌跡を再検証し、彼自身の純粋な音像とスピリットに焦点を当てて完成させた遺産的とすら言える壮大な一作。自作の管弦楽作品をはじめ、現代音楽家Per Nørgaardらの楽曲を、ソロ・ピアノ、澄み切ったトランペット、フリューゲルホルンによる瞑想的なアプローチで静かに再解釈。北欧ジャズ特有の抒情的な静寂のなかに、グランド・ピアノの重厚な響き、荘厳な合唱的音響、そして繊細な電子音響やサウンドスケープが折り重なり、光と透明感に満ちた静謐な美しさを創出している。心に深く染み渡る一枚。
SNDのメンバーとしても知られる電子音響最高峰Mark Fellの最新12インチ『Servitude In Context』!80年代シェフィールドの電子音楽勃興からレイヴ・カルチャーを身をもって体験してきた巨匠が、30年に及ぶキャリアを結集し、ダンスのためのコンピュータ・ミュージックを最新次元へと更新したもので、シカゴのフットワークからタンザニアのシンギリまで、世界各地のハイパーモダンなクラブ・サウンドを独自のアルゴリズムへ昇華。劇的な加速と減速、噛み合わないアシンメトリーな構造、そして極限までソリッドに制御されたデジタル・パーカッションが交差する。ガムランに通じる微細な音響旋律や、まるでAI同士がリアルタイムでチェスを打ち合うかのような雰囲気が、脳内を激しく揺さぶり翻弄する。デジタル・クラブ・ミュージックの概念を大胆に拡張した無二の変則ポリリズミック音響。
Julius EastmanやArthur Russell、Ellen Fullmanらとともに80年代ニューヨーク・ダウンタウンのアヴァンギャルド/ミニマリズム・シーンを切り拓いた重要作曲家Mary Jane Leachによる、1989年の傑作『Pipe Dream』に続く、パイプオルガン探求の最新録音『Pipe Dreams II / III』。ベルギー・ヘントのホールとドイツ・ケルンの聖ペテロ教会にて録音された本作は、極限まで伸ばされた持続音とストップの精緻な切り替えが織りなす極上のドローン/サイコアコースティック作品。身体を揺らす重低音の脈動と高域できらめく倍音群が交差するアンサンブルは、音高の追及というよりも音響現象そのものをダイナミックに捉え直した神秘的な響きを提示。巨大な楽器と建築残響が共鳴し合い、多次元的な立体音響空間を立ち上げる圧巻の一枚!
グラミー受賞歴を持つSP盤コレクターであり、研究の第一人者Christopher Kingの徹底的な調査のもと、1929年から1931年に録音されたギリシャ・エピロス地方の伝説的クラリネット奏者Kitsos Harisiadisの超希少SP盤音源を極上復刻した『Lament in a Deep Style 1929-1931』。78回転盤から直接リマスターされた音源には、むせび泣くような旋律と神秘的な装飾音、そして独特のピッチベンドが織りなす孤高のクラリネット演律が刻まれている。ギリシャ伝統音楽の骨格を成す端正な器楽表現でありながら、静寂と狂気が交錯するその音響は、現代のミニマル・ミュージックやアンビエントにも通じる異次元の空気感を醸し出している。長らく忘却の彼方にあったアフロ・ユーラシア辺境音響の奇跡的な発掘ドキュメント。ビックス・バイダーベックにも通じる孤高の音楽。
Jack White主宰の〈Third Man Records〉が、50〜60年代テネシー州ナッシュビルのローカル・シーンを支えた名門〈Nashboro Records〉の黄金期シングル群を掘り起こした『Give Me My Flowers』。ジャーナリストのMike McGonigalとコレクターKevin Nuttが貴重なオリジナル45回転盤から直に復刻した、多くが初再発となる貴重なもので、軽やかなリバーブとクリアな音響設計で捉えられたサウンドは、アイロニーやかけひきとは無縁の圧倒的な情熱と魂の叫びそのもの。ソウルやR&B、初期ロックンロールの原点とも言えるエクスプロシヴなシャウト、天上的なヴォーカル・ハーモニー、そして躍動感あふれるリズム・セクションが、溢れんばかりの躍動感とともに鳴り響いている。ナッシュビルのアンダーグラウンド・インフラを築いた偉大なソウル/ゴスペル・シンガーたちの圧巻のパフォーマンスを凝縮したソウルフル・ヴィンテージ・ドキュメント!
10月中旬再入荷。Amy WinehouseやBruno Marsらのバックを務めてきたブルックリンの最高峰ソウル・ドラマーHomer Steinweissと、繊細なファルセットを持つフォーク・シンガーPaul Springを中心に結成されたHoly Hiveによる、ソウルのタフなグルーヴとフォークの静廉な詩情を見事に融合させたフォーク・ソウルの決定盤『Float Back To You』。Homerの手による太く骨太なドラム・ボトムと、Paulの儚くも流麗なファルセット・ボーカルおよびアコースティック・ギターが交差するアンサンブルは圧巻。ハープ奏者Mary LattimoreやThe RootsのDave Guyら豪華客演陣を交えつつ、古代ギリシャ詩の引用やアイルランド伝統曲の現代的解釈、甘美な日常の情景を描いた親密なメロディがヴィンテージな温もりとともに広がっていく。聴き込むほどに深い味わいを醸し出す洗練された楽曲群と、研ぎ澄まされたアレンジが結実したタイムレスな傑作。

旧ユーゴスラビア、セルビアの都市ニシュにて80年代初頭に結成されたAnsambl Mileta Petrovića。アコーディオン主体の伝統的なロマ・ミュージックにシンセサイザーを導入し、伝統を鮮やかにモダン化させた彼らが1986年から1991年にかけて遺した革新的トラックを厳選!バルカン〜ロマ音楽特有の変拍子や情熱的な旋律、リズムの上に、アナログ・シンセサイザーの未来的でサイケデリックなトーンが縦横無尽に交錯。「陽気なロマたち」を意味する作品名の通り、80sエレクトロニクスの浮遊感と肉体的なダンス・グルーヴが狂乱のエネルギーを生み出している。伝統音楽の泥臭さとレトロ・フューチャーな電子音響が見事に融合したコズミック・ジプシー・サウンド。

1958年にフランスから独立を果たしたギニアの初代大統領セク・トゥーレが自国の文化遺産とアイデンティティを取り戻すため推し進めた、国家主導で音楽産業を強力にバックアップした文化政策Authenticitéのもとで誕生した伝説の国営レーベル〈Syliphone〉。その黎明期にあたる1967年から1973年の貴重な音源を厳選したコンピレーション『Music For A Revolution』。国家指定の公務員ミュージシャンとして結成された精鋭オーケストラ群が、コラやバラフォン、伝承詩人グリオの歌唱といった伝統文化を近代的な合奏スタイルへとアップデート。当時アフリカ全土を席巻していたアフロ・キューバンの躍動的なリズムをはじめ、洗練されたジャズや軽快なハイライフの要素が、優美なアコースティック伝統音楽や煌びやかなエレキギターと瑞々しく交差している。レーベル創設期ならではのフレッシュな熱量と、異ジャンルが交錯する実験精神が息づく最高峰のアフロ・ヴィンテージ・ドキュメント。

1958年の独立以降、脱植民地化を目指すギニア政府が強力に推し進めた文化政策、オーセンティシテのもとで誕生した伝説の国営レーベル〈Syliphone〉。その黄金期である1970年代の音源を中心に厳選したコンピレーション『Music For A Revolution』の待望となる第2弾!全国各地に結成された国営オーケストラによる演奏は、コラやバラフォンといったアフリカ伝統楽器やグリオの歌唱を近代的なアンサンブルへ初めて組み込んだ歴史的サウンド。躍動的なアフロ・キューバンのリズムや洗練されたジャズ、そして力強い70sファンクのグルーヴが、絢爛なブラスセクションと重厚な伝統リズムの上で見事なダイナミズムを描き出している。独立国家としての誇りと圧倒的な演奏技術、グルーヴ、そして熱狂的な音楽的初期衝動が結集したヴィンテージ・アフロ・オーケストラの至高のドキュメント。

TinariwenやMdou Moctar、Ali Farka Touréらへと続く砂漠の音楽の真の原点!モーリタニアの伝説的グループAhl Nanaが1971年にカサブランカで録音しながらも、約50年もの間流通せず眠っていた幻の超重要音源を、〈Radio Martiko〉がライナーノーツ付見開き仕様の2LPで世界初リリースしたもので、サハラの伝統的なフォーク・ミュージックにエレキギターをはじめとする西洋楽器を大胆に導入し、ローカルな音楽をモダンかつコスモポリタンな形態へと昇華させた歴史的サウンド。うねりを上げるサイケデリックなギター・リフと催眠的なパーカッション、そして力強いコール&レスポンスが、過酷な砂漠の生々しい熱量とロックの初期衝動を克明に描き出している。アフリカ音楽の歴史を塗り替えた革命的なルーツ・サハラン・サウンド!
モロッコはカサブランカが誇るオルガンの巨匠Abdou El Omariが70年代に残した、夜の三部作の第一章を飾る、幻のオリエンタル・サイケデリック・ファンク金字塔『Nuits D'Été』。旋回するFarfisaオルガンの妖艶な旋律と、重厚で催眠的なパーカッション、そして北アフリカ・マグレブの伝統音楽が交わったコズミックな音響空間。アラビアン・ナイトの幻想的な世界観とアフロ・フューチャリズムの精神が交差し、熱気あふれる砂漠の神秘性とサイケデリックなファンク・ジャズのグルーヴがダイナミックに広がっていく。〈Habibi Funk〉や〈Radio Martiko〉などのヴィンテージ・グローバル音源のファンはもちろん、Hany MehannaやOmar Khorshid、Ahmed Malekにもアピールするアフロ〜中東サイケデリアの真髄!
カサブランカのオルガン・キング、Abdou El Omariが手がけた夜の三部作の第二章にして、これまで一般に流通していなかった秘蔵音源『Nuits D'Été Avec Naima Samih』。前作のディープな世界観を継承しつつ、モロッコ音楽界の至宝と称される女性シンガーNaima Samihを迎えたもので、北アフリカ・マグレブの伝統的なリズムと、宇宙的な広がりを見せる現代的なキーボード・サウンドが見事に融合。Naima Samihの天上的で神聖なボーカルと、妖しくうねるオルガンの旋律が重なり合い、前作譲りのムードあふれるインストゥルメンタルと相まってドラマチックで異国情緒漂うコズミックな音響空間を作り出している。エキゾチックな歌モノから神秘的なオルガン・ファンクまでを網羅した、グローバル・レアグルーヴ名盤。
モロッコはカサブランカが誇るオルガンの巨匠Abdou El Omariによる、これまで未発表となっていた貴重な秘蔵音源『Nuits de Printemps Avec Abdou El Omari』。伝統的な北アフリカのリズムと、スペーシーでモダンな電子音響が高次元で融合した、オリエンタルでサイケデリックなヴィンテージ・ファンクの怪作。メインを張るFarfisaオルガンの煌びやかで絢爛なフレーズと、アナログARPシンセサイザーの未来的で浮遊感ある音色がめまぐるしく交錯。ファンキーなワウギターのディープなカッティングとエキゾチックな伝統ボーカル、そして重厚な打楽器のリズムが重なり合い、異質なダイナミズムと強烈なグルーヴを生み出している。伝統音楽のダイナミズムと70s宇宙サイケデリアが見事に交差する、唯一無二のヴィンテージ・サウンド。
ブラジルの至宝にして、リオデジャネイロの超名門エスコーラ・ジ・サンバであるEstação Primeira de Mangueiraの創設者のひとりであり、近代サンバの黄金期を築き上げた偉人、カルトーラが1974年に発表したセルフタイトル・ファースト・アルバム!60代半ばにして実現した遅すぎたソロ・デビュー作でありながら、ブラジル音楽MPBの歴史を語る上で欠かすことのできない不滅の金字塔。人生の機微を味わい尽くしたカルトーラの深く暖かな歌声と、端正なガット・ギターやカヴァキーニョが織りなすアコースティック・アンサンブル。過度な装飾を排した端正なサンバ・カンサォンのスタイルの中で、哀愁と気品に満ちたメロディ、そして洗練されたリズムがどこまでも素朴に、そして豊かに広がっていく。時代を越えて愛され続ける詩情豊かな旋律と枯淡の味わいが詰まった、一生モノのマスターピース。

セネガルとスウェーデンの音楽家が、距離を越えて作り上げてきたプロジェクトWau Wau Collectifの三部作の最終作『Teranga』。2018年にToubab Dialawの村で始まった録音は、WhatsAppを介した音源交換を経て、2021年『Yaral Sa Doom』、2022年『Mariage』へと発展し、今回の最終作は初のヨーロッパ・ツアー中にメンバーが実際に集まりながら仕上げられた。本作には 26名の音楽家が参加し、バラフォン、ンゴニ、カラバス、ヴァイオリン、チェロ、サックス、オムニコードなど、多彩な楽器が柔らかく重なり合う。アフリカの伝統的な響きと、室内楽的な質感、そして控えめな電子処理が自然に混ざり、素朴なメロディと有機的なリズムがゆっくりと広がる音像をつくり出している。古いアフリカン・ギターを思わせる瞬間や、2000年代初期のアフリカン・ポップの軽やかさが顔を覗かせつつ、録音の配置や編集の手つきは現代的で、過去と未来が同じ地平で響くような独自の感触。実際の旅と共同作業を経て、文化の違いを越えて響き合う、〈Sahel Sounds〉らしいクロスカルチュラルな魅力が詰まった一枚。

50周年記念版!全ての色目が異なる100%再生グリーン・ヴァイナル。「植物のための、そしてそれらを愛する人々のための暖かな地球の音楽」これまで幾度となく非公式再発が為されてきた歴史的名盤が遂に公式再発!70s視点で空想未来を飛行する絶品のSci-Fi電子盤!ファンク/ディスコ脈でも大いに作品を生み出し活躍したカナダの作曲家、Mort Garson(1924-2008)の76年大傑作がなんとSacred Bonesから復刻リリース!
当時ロサンゼルス近郊でSimmons社のマットレスを購入した際に、ノベルティ用として制作されたレコードで、内容はそのタイトル通りの光合成ヒーリング・ムーグ・ポップ・サウンドスケープ集。まさかのSacred Bonesからの再発と言うのもある意味驚きですが、同レーベルの根差してきたサイケ感のルーツといったところでしょうか。1曲目から凄まじい埃の臭いと哀愁に満ちていて、空想する楽しみが豊かに息づいてます。ライブラリー音楽からコスミッシェムジークを通ってアンビエントまで直結のBGM具合です。ただただ暖かく、ある意味ニューエイジで未知の光景へ想いを馳せたくなります。モンド~エレクトロニック系のファンにも是非。

10月中旬再入荷。エクアドル系アメリカ人アーティストHelado Negroが2019年に〈RVNG Intl.〉から発表した、自身のルーツ、家族、移民としての経験を静かに見つめたパーソナルで温かなアルバム『This Is How You Smile』。柔らかなシンセとアコースティック・ギター、控えめなビート、囁くような歌声が溶け合い、ルーツであるラテンの香り漂うフォークとエレクトロニカが溶け合う音像を形成。静けさの中に深い感情が宿る楽曲が並び、まるで日記をそっと読み聞かせるような親密さがある。ポップなムードが絶妙に同居し、聴くほどに心の奥へ染み込んでいく。ジャケットもなんとも愛らしく、さりげなく柔らかい声で、重要なアイデンティティを歌い上げた名盤。

エレクトリック・ギターの音響処理を数十年にわたり探求してきたDavid Tornが、Sunn O)))やThurston Mooreの作品を手がけてきたRandall Dunnを録音、プロデュースに迎えて制作した最新作『now i imagine a place not the same』。ギター、エレクトロニクス、アンプ、空間そのものを素材として扱い、即興と作曲の境界を曖昧にする音楽が全編を貫く。液体のように滑らかな質感でありながら、ざらついた倍音やフィードバックが絶えず形を変え、音が自律的に進化していくような広がりを持つ。Randall Dunnの録音は物理的な存在感を強調し、ギターが空間の中で浮遊したり沈んだりするように聴こえる。ドローンの持続と即興的なフレーズがゆっくり折り重なり、映画音楽で培われた心理的な陰影が抽象的な形で立ち上がる。静けさの中に緊張があり、映像のように風景がゆっくり変化していく感覚が続く。音の粒子一つひとつにまで美意識が行き渡った、深い没入感をもたらす緻密な傑作。

LAのシンガーソングライターDanny Garciaのソロ名義Reverend Baronによるアコースティック・インストゥルメンタル作品。父から祖父へと受け継がれ、自身の手に渡った一本のメキシコ製ナイロン弦ギターを携え、LA、メキシコシティ、ネブラスカを旅しながら紡いだ11曲を収録。録音にはほぼこの一本のギターのみが使用されており、その枯れた温かみのあるトーンが作品のアイデンティティとなっており、メキシコの伝統的ギターワークとアメリカーナの静けさが自然に混ざり合う。どの曲も短いスケッチのように風景が立ち上がり、歌がないことでかえって旅の記憶や土地の空気がそのまま音に染み込んでいるような親密さがある。山火事でスタジオを失った後に生まれた作品という背景もあり、音には語らない物語のような深い陰影が漂う。ニックドレイクにも通じるような、一本の古いギターが繋ぐ、一冊の旅日記のようなアルバム。

1970年代初頭にデトロイトで自主レーベル〈Tribe Records〉を立ち上げ、企業主導の音楽ビジネスに抗いながら独立精神を貫いた伝説的ホーン奏者Phil RanelinとWendell Harrisonが、〈Jazz Is Dead〉第16弾『Phil Ranelin and Wendell Harrison JID016』に集結!Ranelinが放つ名盤『The Time Is Now』を彷彿とさせる鋭く力強いトロンボーンと、Harrisonによる気品溢れるサックスや木管の音色が濃密に交錯。アフロ・ブラジリアンな打楽器の躍動からファズギターが唸るサイケデリックな展開、ストリングスを従えた重厚でしなやかなファンク・グルーヴまで、インディペンデント・ジャズの多様な表情をダイナミックに描き出している。熱量あふれるセッションの末に漏れ出る歓喜の笑い声が象徴するように、世代を超えたミュージシャン同士の共鳴と真摯な演奏の喜びが全編に溢れ出す、DIY精神と独自の美学を現代に継承する必聴盤!

崇高なジャズ・レーベル〈Black Jazz〉の精神的支柱であり、Stevie WonderやHugh Masekelaら数々の巨匠を支えてきた伝説的ウッドベーシストHenry "The Skipper" Franklinが、〈Jazz Is Dead〉第14弾『Henry Franklin JID014』に登場!しなやかで力強く上昇するFranklinのベースラインを中心に、Charles Mingusらを彷彿とさせる躍動的なモーダル・ジャズから、西アフリカのリズムを取り入れたアフロ・ジャズ、更にはサイケデリックなフュージョンやラテンのフレーバーまでが鮮やかに交錯。ダイナミックに吹き荒れるホーンセクションと情熱的なアンサンブルが、あたたかく重厚なビートの上で力強いグルーヴを紡ぎ出している。〈Black Jazz〉や〈Strata-East〉が誇る70年代スピリチュアル・ジャズの芳醇な美学と、現代のビート・プロダクションが見事に共鳴した名盤!

Miles Davisのエレクトリック期への参加やMizell兄弟との協働、そしてA Tribe Called Questらによる数々のヒップホップ・クラシックのネタ元として知られる伝説的アルトサックス奏者Gary Bartzが、〈Jazz Is Dead〉第6弾『Gary Bartz JID006』に登場!御年80歳を迎えてもなお衰えぬ探求心を放つ巨匠とプロデューサー陣が、完全アナログ・スタジオLinear Labsにてタッグを組んだ全8曲のオリジナル・アルバム。自身が築き上げてきた70年代スピリチュアル・ジャズやジャズ・ファンク、そしてサンプリング・ソースとしてのディープなカタログ群からインスピレーションを抽出。重厚でしなやかなボトムの上を、彼ならではの濃密なトーンと自由なフレーズを携えたサックスが縦横無尽に舞い、メロウなボーカル・コーラスや荘厳なモーダル・ジャズの質感が複雑に交錯する。サンプリング・カルチャーの源流たるブラック・ジャズのディープな佇まいと、現代のビート・プロダクションが見事に共鳴した、ブラック・ミュージックの未来へと向けてブロウし続ける巨匠の真骨頂を刻んだ一枚。
