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スウェーデン人プロデューサー、Henrik JonssonがPorn Sword Tobacco (PST)として名を馳せる以前、Stress Assassin名義で2002年にCDで発表したトランス・ダブの秘宝的名作が、20年以上の時を経て初のヴァイナル・リイシュー。本作は、ヘンリク・ヨンソンがヨーテボリの屋根裏部屋で制作した初期の作品であり、ミニマルなビートとスペーシーなシンセが織りなす音響空間は、アンビエント、ダウンテンポ、トランス、エレクトロニカ、そして深遠なダブの要素が融合し、静謐でありながらエモーショナル。チルアウトとトランスの境界を曖昧にするような深い没入感と浮遊感のなか、メロディアスなベースラインと、澄み切った透明度の高いハーモニーを基調としつつ、フィールドレコーディングされた音やテープヒス、浮遊する声などが混じり合う。Harold BuddやTangerine Dreamからの影響を感じさせつつも、Lee "Scratch" PerryやMoritz von Oswaldといったダブの巨匠たちからの手引きも見受けられ、スモーキーで優美なビートと空間を漂うような音響処理が織りなすサウンドスケープは、まるで夢の中で聴くダブ・ミュージックのよう。2000年代初頭のスウェーデン地下シーンから生まれたこの作品は、今なお色褪せることのない、アンビエント/ダブ/エレクトロニカの交差点に立つ静かな金字塔!

エストニア・タリンを拠点に活動し、レフトフィールド・ハウスやアンダーグラウンド・クラブ・ミュージックの文脈で知られるDJ、音楽家のRobert Nikolajevによる限定150部のLP作品『Transplant Rejection』がウクライナのレーベル〈Muscut〉から登場。本作ではクラブ志向とは異なるローファイで粒状の質感とセピア調のノスタルジアが印象的な、ダーク・アンビエント/エレクトロニカを展開しており、より個人的で静謐な側面が表れている。音の構成は、ぼやけたシンセのレイヤー、微細なノイズ、断片的なメロディが交錯し、まるで記憶の中の風景を手探りで辿るような感覚を呼び起こす。Nikolajevが丁寧に編み上げる孤独と記憶のための音楽にリズムはほとんど存在せず、時間の流れさえ曖昧になるような構造の中で、聴くものは音の余白に身を委ねる。永遠の冬を予感させる秋のメランコリーを体現したような、内省的で物悲しい雰囲気を持つ、架空のサウンドトラック的な作品集。

Mark FellがExplore Ensembleと共に制作したコンピュータによる構造とアコースティックの融合による緻密で抽象的な室内楽的音響作品『Psychic Resynthesis』が〈Frozen Reeds〉より登場。本作は、Mark Fellがアルゴリズムで生成した楽譜をアンサンブルが演奏するという実験的手法を採用しており、全10曲は「Combination #1〜#10」と題され、それぞれ異なる数値パターンで構成。電子音楽の思考法をアコースティック室内楽に転写する試みであり、その独自の構造によって、電子音響を用いずとも電子音楽的な設計思想が全編に貫かれた内容となっている。各曲は異なるリズムパターンや音の配置によって構成され、弦を弾く音や擦過音、沈黙も交えながら、録音空間の響きも音楽の一部として取り込んでいる。電子音楽特有の精緻なリズム構造に生楽器の持つ微妙なゆらぎやテクスチャが加わった、数学的な決定性と演奏家の柔軟性が拮抗する知的な音響探究!
フランス出身、ギリシャ在住の異端DJ、OKO DJによる、原始的なDIYテープモンタージュから現代のホームスタジオ技術まで、幅広い手法を用いて、ダウンテンポ、トリップホップ、実験シンセポップ、ダブという多様な要素が混ざり合ったアルバム『As Above, So Below』。スピリチュアルな語り、テープノイズ、フィールド録音的な要素が交錯し、夢幻的なサウンドスケープを構築。トラックには「Exolition」「La Colline au Ciel」「είμαι ή δεν είμαι(feat. onarrivenow)」など、多言語・多文化的なタイトルが並び、地理や時代、ジャンルを越えた感覚を誘う。レーベルによる紹介文では、「コミューン出身の女ゲリラたちがボウリングに行く」という奇妙な物語が語られ、幻想的で詩的なナラティブが音楽と並走しており、〈STROOM〉の共同的な美学とも共鳴して聴き手の想像力を刺激する、聴く体験そのものが拡張されるような詩的でコンセプチュアルなアルバム。
インドネシアのミュージシャン兼プロデューサー、Bambang Pranotoによるプロジェクト、Banjar Teratai Capungによるオリジナルは2003年CDでリリースの静謐なアンビエント傑作『Tunggak Semi』がリマスター、初のヴァイナル・リイシュー!自然への瞑想的なまなざしをテーマに、アコーディオン、アコースティック・ギター、フルート、パーカッションなどを用いた穏やかで詩的なサウンドで、東洋と西洋の記譜法が交差する独自の作曲スタイルで、ジャンルを超えた世界のあいだの世界を描いている。DIY的なスタイルで制作され、物悲しくも懐かしい旋律と自然の美しさと喜びを反映したハーモニーが、深いノスタルジーをもたらす。ドン・チェリーやジョン・ハッセル、モノ・フォンタナなどの精神性とも共鳴する、静かで深い音の旅へと誘割れる一枚。

版元完売につきお見逃しなく。名古屋を拠点に活動する音楽家、Shawn Seymourによるユニット、Lullatoneが届けるこのアルバムは、植物をテーマにしたアンビエント・コレクション。日常の中でひっそりと流れる空気のような楽曲群は、儚くも美しい旋律で構成されており、さながら音で綴るボタニカル日記のよう。ギターやトイピアノ、アナログ・シンセやカセット特有のノイズといった要素が、音の一粒一粒を大切に、繊細に編まれており、曲は短く、どれも1~2分程度だが、それがかえって一瞬の美しさを引き立てている。名古屋の花屋「Tumbleweed」で定期開催されているイベント「Flower Listening」のために作られた楽曲を基に構成されており、Shawnはこのイベントのために何曲も書き下ろし、それらが日常の他の場所や時間でもふと寄り添うような音楽へと育っていったという。音の質感はGigi Masinや吉村弘を思わせるが、Lullatoneならではのチャーミングなトーンが全体を包んでおり、シリアスすぎず、全体を通して穏やかな物語のような流れを感じさせる。日記風でもあり、ドリーミーでもある、植物と暮らす日々のための小さなサウンドトラック。

ロンドンを拠点とするコロンビア人アーティスト、OKRAAことJuan Torres Alonsoによる、エレクトロニックを基盤に、アンビエント、ダウンテンポ、ブレイクビーツ、さらにはラテン系の実験的な要素までを広く包含したアルバム『La Gran Corriente』が〈A Strangely Isolated Place〉より登場。多様な要素を取り込みながら、緻密なサウンドデザインによって統合されており、スペイン語で「大いなる流れ」を意味するアルバムのタイトル通りの領域横断的な独自の探究の成果が現れた一枚となっている。Taylor Deupreeがマスタリングを担当するなど、音質へのこだわりも感じられる作品。

ポートランド拠点のサウンド・アーティストwndfrmことTim Westcottによる、マイクロ・リズミックなIDMを探求したアルバム『WVLT』。音を、従来の最小単位である16分音符や32分音符よりもさらに細かい、聴き取れるかどうかの境界線上にある数ミリ秒単位の音の粒子に分解し、それらをランダムまたは緻密に再配置することで、パルス感やザラザラしたテクスチャ感を生み出し、また、完璧なタイミングではなく、意図的に不規則な揺らぎを加えることで、機械的でありながら有機的で複雑なグルーヴを作り出している。リズムは駆動力というよりも「震え、崩壊し、再構築される」ように展開し、緻密なコントロールとそこから逸脱する即興性の絶妙なバランスにより、ミニマルでありながら濃密な音響空間を創出している。〈A Strangely Isolated Place〉らしい、アンビエントとエレクトロニカの間の静謐で緻密な世界観を提示する作品。
アメリカ・ポートランドを拠点とするKevin Hayes、Kirk Marrison、Clark Rehberg IIIによるトリオKILNの〈A Strangely Isolated Place〉から通算8作目となるアルバム『Lemon Borealis』。彼らの30年以上にわたる長きにわたる活動の集大成であり、アンビエント、エレクトロニカ、IDM、ダウンテンポの境界に位置する独自の音世界を展開。ライヴ・パフォーマンスによる即興性の高い演奏、緻密なビートメイキング、音の波形そのものを細かく加工・変形して、独自の音色やテクスチャを創り出す複雑な音響効果を凝縮し、有機的なテクスチャ、微妙なメランコリー、鮮やかなリズムを織り交ぜた、色彩豊かで没入感のあるサウンドスケープを提示している。ハイ・ファイとローファイの境界を行き来しながら、キャッチーなメロディと実験的な音響レイヤーが見事に均衡した、ジャンルの枠を超えた独自の美学を確立した一枚!
ロサンゼルスのビートメイカーとして、〈Stones Throw〉〈Brainfeeder〉〈All City〉〈Hyperdub〉など数々の重要レーベルから作品を発表してきた Samiyamが、自身のもう一つの情熱であるデスメタルに捧げた異色の作品。SAMIYAMは過去5年間でデスメタルとホラー映画に傾倒しており、古典的なバンドを掘り下げる中で生まれたアイデアを、ドラムプログラミングやサンプリングに取り込み、メタル的な重厚感をヒップホップの感覚で再構築。収録された13のビートは、ラフで荒々しくも緻密に仕上げられ、彼の持ち味である硬質なグルーヴと異形のギター的質感に加工されたサンプルやノイズが融合することで、これまでにないダークでユニークな音世界を生み出している。ヒップホップ・ビートとメタルの質感が激しく交錯する実験的なアルバムでありながら、単なる実験にとどまらない深みを備えており、サンプルを歪ませ、反転させ、ノイズと絡めながら構築されたトラック群は、従来のSamiyam のイメージを裏切りつつも、その根底にある ビートへの執着 をより強調するものとなっている。そのサウンドは、デスメタルの攻撃性とホラー映画的な不穏さを抱えつつ、あくまでビート・アルバムとしての機能性を失わず、ヘヴィなリフの残響や、ノイジーな音響処理が織り込まれた中で、独特のグルーヴが絶えず脈打ち、新しい形のビート・アートを提示している。寡作ながら常に注目を集める彼のキャリアの中でも特に挑戦的で刺激的な一枚。


版元完売。ベルギー版〈Music From Memory〉的なラインナップの再発レーベルから、一癖も二癖もあるカルト的なキュレーションに舵を切った実験的レーベルである〈STROOM.tv〉からの新タイトル!オランダのヴォーカリスト、Noa Kurzweilによるソロ・プロジェクト体制へ移行したVoice Actorと、英国のプロデューサーSquuによるコラボ・アルバムが登場。UKベースやアンビエント・ダブ、サウンド・コラージュなどの要素やレフトフィールドな音楽性を、白昼夢的で甘美な微睡みの感覚へ巧みに落とし込んだ、今年度のヒプナゴジック・ポップでもかなりの怪作!

フランスのディガー/DJ、Switch GrooveことArnaud Simetiéreによるフレンチ・カリブからパリ郊外までを結ぶオルタナティヴな珠玉のコンピ『Archipelago – Cosmic Fusion Gems from France (1978–1988)』が〈Isle of Jura〉から登場。Francis BebeyやCécilia Angeles、Dennis Bovellのダブ・リミックスなど、長らく埋もれていたフランス産のコズミック〜フュージョン〜レフトフィールドな音源を掘り起こしたもので、1978年から88年のあいだに、シンセやドラムマシン、ホームスタジオといった新しいツールを手にしたミュージシャンたちがジャンルの境界を越えて自由に鳴らしたローカルであると同時に驚くほどグローバルな音の数々が収録されている。いわゆる「フランスらしさ」と「国籍不明なサイケ感」が同居してる独特のトーンで、モンド、ディスコ、ダブ、エスノ、そしてアンビエントまでもが、古いレコードの溝から奇跡的に浮かび上がってくる本作は、クリスティアン・カイトワールによる白いキャンバスのジャケットが象徴するように、まさに“島々(Archipelago)”のように点在する奇跡の断片を一つの地図にまとめたような一枚。なんだか夢とロマンがたっぷり詰まった、ジャンルを越えたコズミック・フュージョン探検記。
Brian Auger's Oblivion Expressによる1974年発表のジャズ・ファンク/フュージョン作品『Straight Ahead』。エレクトリック・ピアノとグルーヴィーなリズムが際立ち、洗練されたアンサンブルと即興性が融合しており、ヴォーカルとインストゥルメンタルがバランスよく配置され、都会的でスピード感のあるサウンドが展開。ジャズ・ロックからファンクへの移行期を象徴する、彼らの代表的アルバムのひとつ。

オルガン奏者ブライアン・オーガー率いるBrian Auger & The Trinityによる1968年発表のジャズ・ロックの名盤『Definitely What!』。ジャズ、ロック、サイケデリックが融合したサウンドに加え、ビートルズ「A Day In The Life」の大胆なカバーも収録。 荒々しくもグルーヴィーな演奏が光る、英国ジャズ・ロック黎明期を代表する一枚。

Herrmann + Kleineとしての活動や、黄金期の〈City Centre Offices〉からのリリースでも知られる、ドイツのプロデューサー Christian Kleine が自身のアーカイヴから発掘した未発表音源集の第2弾。収録されているのは1998〜2001年の間に作られた楽曲で、サウンドは彼らしい温かみのあるメロディと柔らかい質感のエレクトロニカが中心となっている。細やかなビートに、浮遊感あるシンセやギターのフレーズが絡むスタイルで、90年代末〜2000年代初頭のエレクトロニカや IDM の黄金期を思わせる内容。優しい旋律と淡いノスタルジーが漂い、実験性よりも親しみやすさが前に出た作風はまさに90年代末〜00年代初頭の空気をそのまま閉じ込めたアーカイヴ。しかし、単なる懐古ではなく、当時のフレッシュな感覚がそのまま響いているのが面白く、いま聴くことで逆に新鮮にも感じられる一枚。

ポーランドのアーティストOlga WojciechowskaとTomasz Walkiewiczによる幻のコラボレーション・プロジェクトMonopartsの長年お蔵入りとなっていたアルバム『Soothsayers』が、傑出したアンビエント作品群で知られる名門〈A Strangely Isolated Place〉よりリリース!Olgaはこれまでモダン・クラシカル作品で知られてきたが、本作では自身のボーカルをフィーチャーしており、TrickyやMassive Attack、Martina Topley-Birdを彷彿とさせるトリップホップの幻想的な雰囲気を醸し出している。Tomaszの精巧なビートとエレクトロニクスがサウンドに深みを加え、Olgaの声をよりエモーショナルに際立たせる。さらに、サンディエゴの鬼才職人名人ASCによる端正なドラムンベースのリミックスが加わり、アルバムのノスタルジックな雰囲気を一層引き立てる。Olgaが本作について「このアルバムは、大地と一体になる感覚。木の質感を感じ、土の匂いを味わい、古代の精霊の気配を感じるような、原始的なエネルギーに満ちている」と語る、繊細で呪術的な頌歌!

ジュネーヴを拠点に活動する多国籍バンドYalla Mikuによる、ポスト・クラウト、ミュータント・フォークロア、電子トランスが交錯する強烈なセカンド・アルバム『2』。エチオピア、エリトリアなどアフリカの角の伝統音楽と、ヨーロッパのアンダーグラウンド・シーンの感性がぶつかり合い、既存のジャンルに収まりきらない、異質で予測不可能なサウンドを生み出している。Samuel AdesTesfagergshによるエチオピアの伝統弦楽器クラールのリフ、バンド全体の雑多で多層的な音響の中で、骨格として浮かび上がってくるようなLouise Knobilのベースライン、Cyril Bondiのタイトなパーカッション、Emma Souharceの荒々しいエレクトロニクス、Cyril Yeterianの改造バンジョーが織りなす音響の布は、どこか祝祭的でありながらも不穏。アラビア語、フランス語、ティグリニャ語など多言語が飛び交うボーカルも、言語の壁を越えて身体に直接訴えかけてくるようで、さまざまな要素が滑らかに融合するのではなく、ざらつきや衝突をそのまま残した音の交差点として、各楽器が独自の質感を保ちながら共存している。ジャンルや国境を越えて、混沌の中にある美しさを掘り下げた、他者性を祝福するかのようなノイズとリズムの祝祭の音楽。

アイルランド出身のエクスペリメンタル・アーティスト Olan Monk による愛、喪失、風景、記憶といったテーマを断片的でコラージュ的な音楽スタイルで描いた『Songs for Nothing』が〈AD 93〉より登場。ローファイ・シューゲイズ、サイケデリック、エクスペリメンタル・ロック、アイルランド民謡の要素が混在しており、ギターのフィードバック、ノイズ、アナログな質感のビートが、ゆったりとした民謡的メロディや語りのようなヴォーカルと交差し、冷たさや無機質さを感じさせる音の質感でありながら情緒的でもある独特なサウンドを形成している。Maria Somervilleをフィーチャーした「Down 3」や「Fate (Reprise)」など、ゲストとの共演も印象的で、アルバム全体にアイルランドの自然と精神性が深く染み込んでいる。録音はアイルランド西海岸・コナマラの自然環境の中で行われ、海藻が腐る海岸、花崗岩の丘、深い森から顔を出す古代の木々といった風景が音の中に静かに息づいているようで、ローファイな質感と自分の内に静かに沈んでいくような感覚が共存する、内面的な旅の入り口にもなりうる充実作。

打楽器の旋律的な可能性にフォーカスした、Sarathy Korwarのパーソナルで内面的な作品『There Is Beauty, There Already』が、新たに立ち上げた自身のレーベル〈Otherland〉から登場。本作は、Peter GabrielのReal World Studiosでわずか4日間で録音され、ドラムを中心とした40分の組曲として構成されている。繰り返しに繰り返しを重ねるミニマルな構造は、インド民俗音楽の円環的なリズム、Max Roachのようなジャズ・パーカッション・アンサンブル、そしてTerry RileyやSteve Reichの現代音楽的ミニマリズムを思わせる音楽性で、タブラ、ガタム、バラフォン、マリンバなど様々な打楽器に加え、電子音が微かに重なり、常に流動し続ける川のようなリズムの旅が展開される。Floating PointsやShabaka Hutchings、Anoushka Shankarらとのコラボを経たKorwarが、キャリア10年の節目に放つ極めて純度の高い打楽器表現であり、ジャンルを越えて鳴り響く、反復と変化を讃える音による曼荼羅。

エチオピアの伝説的な作曲家エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゲブルの作品を、初めてピアノと弦楽アンサンブルで演奏した『Emahoy Tsege Mariam Gebru
played by Maya Dunietz & String Ensemble, Live in Paris』が〈LATENCY〉より登場!本作は、彼女の「ピアノだけでなく、もっと広い解釈で自分の音楽が演奏されてほしい」という願いを叶えるかたちで実現したもので、企画を主導したのは、エマホイと親交のあったイスラエルの音楽家マヤ・ドゥニエッツ。2005年にロンドンのレコード店で『Éthiopiques』シリーズの一枚を偶然手に取り、興味を持ったことがきっかけで、彼女と指揮者イラン・ヴォルコフはエマホイを探し出し、エルサレムの修道院で対面。その後エマホイ本人から、何百もの楽譜を託され、世界に広めてほしいと頼まれるようになる。このプロジェクトは、楽譜集の出版(2013年)や国際的な演奏活動として広がり、エマホイが生前に語った「自分の曲をオーケストラで聴いてみたい」という夢も受け継がれる。今回のアルバムはその夢の延長線上にあり、2024年4月、パリのブルス・ド・コメルスで行われた2公演の追悼コンサートで録音された。元々エマホイの音楽は、静かでミニマル、それでいて感情の深みを湛えた独特の響きを持っているが、今回のアレンジではより広がりのある音の空間として再構築されている。あくまでエマホイの音楽の核心──孤独、信仰、そして遠い記憶のような郷愁──を崩さないように細心の注意が払われており、沈黙や余白を大切にした祈りや瞑想に似た時間感覚をそのままに保った静かな再解釈。彼女の音楽に新たな光を当てながらも、決して眩しすぎず、ただそこにそっと在るような響きが素晴らしい。限定300部

数あるSun Ra作品の中でも特に人気のある、ファンク、宇宙的ジャズ、そして前衛的な実験音楽が見事に融合した1979年作の傑作『On Jupiter』が〈Strut〉より再発。ニューヨークのVariety Arts Studiosでのセッションで録音され、Sun Ra率いるアーケストラが持つ豊かな創造力が存分に発揮されている。メンバーにはJohn Gilmore(テナーサックス)、Marshall Allen(アルトサックス、フルート)、Michael Ray(トランペット)といった重要な人物が参加していて、それぞれの個性が絶妙に絡み合うことで独特の宇宙的サウンドが生まれている。アルバムは、ファンキーで中毒性の高い「UFO」、浮遊感あふれるタイトル曲「On Jupiter」、そしてスケールの大きい「Seductive Fantasy」など、多彩な楽曲が並び、聴く者を引き込む。時代の流行に流されず、常に自分のスタイルを進化させてきたSun Raの革新性が強く感じられる作品。

Oneness Of Jujuが約30年ぶりにリリースする新作『Made Through Ritual』が〈Strut〉から登場!アフロ・ジャズの伝説的グループが〈Black Fire Records〉創設50周年を祝う形で送り出すこのアルバムは、創設者プランキー・ブランチの息子ジャミアと、レーベル共同設立者ジミー・グレイの息子ジャマル・グレイの共同制作という世代を超えたプロジェクト。もとになるのは、ジャマルが制作したジャズ・サンプル主体のビートで、そこにプランキーが生演奏でアレンジを再構築し、サンプリングと即興、多重録音が融合した“儀式的”な制作手法が採られている。冒頭のソウル・チャント「Share This Love」から、タイトル曲「Made Through Ritual」や「In Due Time」、「Free Spirit」といったジャズの小品群、そして詩人ロスコー・バーナムの朗読をフィーチャーした黒人文化讃歌「Children Of The Drum」まで、多彩な楽曲が並ぶ。現代の象徴的アフリカン・アートを担うマキシム・マンガによるカバーアートとともに、Oneness Of Jujuの新章を刻む1枚となっている。
