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80sノイズ/インダストリアル・ミュージック黄金期のリスナーから昨今のエクスペリメンタル・テクノ・フリークまで魅了。ルーマニア出身で現在はLAを拠点とする女性音楽家アレキサンドラ・アトニフは、東西冷戦時代に一世を風靡した建築様式「ブルータリズム」にインスパイアされた音楽「リズミック・ブルータリズム」を提唱。
彼女はヴィンテージなシンセサイザーや高額な機材を一切使わず、フリーウェアを駆使して正に剥き出しのコンクリートのごときビートを放出。その装飾を削ぎ落としたトラック群はエスプレンドー・ジオメトリコら偉大なる先人たちを彷彿とさせる凄みを既に漂わせる。ミニマル・テクノの機能性を保ちつつ、クラブ・ミュージック通過後のノイズ/インダストリアル・ミュージックが失ったヴァイブス、凶暴性を感じさせる唯一無二のサウンドは、既存のインダストリアル・テクノとは一線を画している。
今作『リズミック・ブルータリズム 第2集』は、より抽象的で電子音楽寄り最近作をまとめたもの。『第一集』から早くも大きく変化を見せ、全編に作家のブルータリズムがみなぎる激烈内容。ブリン・ジョーンズも草葉の陰で頷いてくれるに違いない!
彼女が支持されたのは見た目の可愛いさ派手さだけでは決してなく、歌の良し悪しが第一だった時代にデビューし、伝説的モーラム歌手の間で芸をもまれ、歌の巧さでも人々を魅了した才色兼備の歌手だったからだ。それもそのはず、モーラムの古典的な徒弟制下で学んだバーンイェンの歌唱力は折り紙付き。今や国を代表する歌手の一人である(日本のタイ・フェス出演経験もあり)。
今回は彼女が最も猛威を振るった70 年代の革新的モーラム&ルークトゥン作品をコンパイルし、ド派手でアップな曲からしっとり歌い込む渋い曲までバランス良く配分。バーンイェンの生来の才能である歌の巧さに焦点を当てた「聴き込める」ベスト盤だ。選曲・解説・装丁はもちろんSoi48!
魅力的なひびきをもつ「インディアン・ジャズ(もしくはインドジャズ)」は、60年代において欧米に出現したが、実のところ、西洋ジャズのアンサンブルに楽器としてシタールを加えただけのものがほとんど。つまり、少しインドっぽい響きのする、エスニックな香りのするモダン・ジャズの域を出なかった。
しかし!それを吹き飛ばすとんでもない作品があった!ここに紹介するT.K. ラマムーシーの1969年発表のアルバム『ファビュラス・ノーツ&ビーツ・オブ・ジ・インディアン・カルナーティック・ジャズ』は、南インドの古典音楽であるカルナーティック音楽の厳格な音楽形式をそのまま用いつつ、インドの音楽が果たしてジャズになるのか?と問うた前例のない実験作品。西洋楽器とインドの打楽器・弦楽器を混合し、全員インド人で演奏した(楽器を手に床に座ってジャズを演奏している風景を想像してほしい!)その成果は唯一無比、形容し難い独特のものであり、新しい音楽ジャンルすら要求できそうな怪作となっていた。
ザキール・フセインやL. シャンカールらが登場し、インド人によるジャズへのアプローチが世間の注目を浴びるのはこの試みのずっと後のこと。本作はインド以外でほとんど誰も知らなかった「インド人によるインドのジャズ」探求の源流で、異なる音楽が折衷・融合し、奇怪で突拍子もないが異様なクールさを兼ね備えたこの器楽曲は、カルナーティック音楽に聞こえるかと思えばジャズにも聞こえ、変幻自在のマジックのようだ。また、種々の音階(スケール)の使用で、モーダル・ジャズにもなり不意にエチオピアン・ジャズのようにも響くこの摩訶不思議さ!
T.K. ラマムーシーは南インド出身、1922年生まれで、もともとカルナーティック音楽のヴァイオリン奏者だったが、後に南インドの映画音楽の作曲家として大成。60年代よりM.S. ヴィシュワナータンと作家コンビを組み、80年代までチェンナイを拠点に実に700以上もの映画音楽を手がけた大作家である。本アルバムは作曲家である彼の腕試しの意味が強く、上向音形、下降音形、音階、ターラ(時間・拍の概念)といったラーガの厳格なシステムを守り、その上でジャズに出来るか挑戦している点で驚異的。音楽的にも聴き込むほどに深くなる作品だ。これほど南インドの映画界で活躍した彼だが、ソロ名義のアルバムはこれより他になく(?)、その意味でも非常に貴重な音源である。
グラミー賞ノミネートでも知られるネイティブ・アメリカンのフルート奏者、Robert Carlos Nakaiとのコラボも知られる同氏。本作には、タイトルや情報が記載されておらず、ジャケットの隅に小さく「ウィリアム・イートンの音楽」と書かれているのみで、すべて自作の弦楽器によるほぼ即興の演奏を18篇収録。卓越した自然観を土台に、ジョン・フェイヒーら〈Takoma〉ファミリーの音楽から、ブライアン・イーノのアンビエント、北米大陸の原始のフォークロアが美しく溶け合った珠玉の一枚。
SATURNより1970年にリリースされていた作品が再発。ドラッギーでコズミックなエコー、モダン・ジャズ、エクスペリメンタルな要素とサン・ラのモダールな演奏が入れ混ざった名作。
録音されていたものの95年になるまで世に出なかったという逸品。Black Sabbath系ブルースと"悪夢"な重いアシッド・ギターが炸裂し、おどろおどろしくも哀愁漂わせる何ともいえないこの時代独特の産物です。このバンドの美学を物語る名曲"End Of The Page"に始まり、"Having A Good Time"でロックンロール、悪魔リフのイントロで痺れる"Satan"にと、肩すかし食らう事無く丁寧に名曲が続く好盤です。ジャケットの骸骨に偽り無し。未聴の方は是非お薦めです!!!!
禅、ヒッピー、"サイケデリック"なレコードの始まりがここに。西欧に初めて東洋哲学/思想を伝え、禅を広めて探求し、ビート・ジェネレーションを中心に大きすぎる影響を世界に与えた哲学者、Alan Watts (1915~1973)。LSDを使用し、仲間とともに歌い、語り、演奏したサイケデリック史の最初のサイケ盤にして62年大本命、This Is ITが初のLP再発です!!!!
グラッグラ度合いが聴く側に直で通じるこの演奏...パーカッションと声を中心に、超自然的力の呼び起こし、全宇宙への祈り、そして意識変容&純粋な動物的サイケデリアの記録。またフレンチホルンやマリンバ、ピアノのきらっとした響きも随所で映えてます。むにゃむにゃむにゃ~とするリミッターが切れたインプロ演奏の物珍しさだけでなく、雅楽の試みや、後のニューエイジに直結する心静かな音の漂いもあり、音楽的に楽しい演奏が詰まってます。
畠山地平の主催するレーベルWhite Paddy Mountainからも作品を発表していた孤高のエクスペリメンタル・フォークシンガー、Satomimagaeの4thアルバムHanazonoが、なんと名門<RVNG Intl.>からヴァイナル・リリース!
Grouperを引き合いに出して語られることも多いどこか冷めたような歌声の弾き語りをベースにしながら、様々なエフェクトやフィールドレコーディングされた生活音などを重ね合わせる彼女のスタイルは、ホームビデオ風のミュージックビデオの雰囲気も相まって、日常のふとした瞬間が永遠に引き伸ばされるような、空想的な白昼夢のような独特の浮遊感を生み出しています。また、本作ではURAWA Hideki(ミキシング / プロデュース担当)によるエレキギターが加わることによって、彼女の内観的な感受性がより鮮明に引き立てられており、聞き応え十分の内容となっています。
Satomimagae:
東京を中心に活動しているアーティスト。ギター、声、ノイズで繊細な曲を紡ぎ、有機的と機械的、個人的と環境的、暖かさと冷たさの間を行き来する変化に富んだフォークを創造している。彼女の音楽的ルーツは中学生の時にギターを始めたことから始まる。父親がアメリカからテープやCDに入れて持ち帰った古いデルタ・ブルースの影響もあり、10代の頃にはソング・ライティングの実験をするようになる。その後PCを導入したことで、より多くの要素を加えた曲を作ることができるようになり、彼女の孤独な作業はアンサンブルへの愛に後押しされるようにななった。大学で分子生物学を専攻していた時にバンドでベースを弾いていたことから、様々な音の中にいることへの情熱と生き物や自然への情熱が交錯し、それが彼女の音の世界を育んでいったのである。この間、アンビエント音楽、電子音楽、テクノなどの実験的でヴォーカルのない音楽に没頭するようになり、聴き方の幅が広がっていった。サンプラーを手に入れ、日本のクラブやカフェでのソロライブを始めた。苗字と名字を融合させた「サトミマガエ」は、彼女の独特のフォークトロニックな考察を伝える公式キャラクターとなった。初期のアンビエント・フォーク・シンセサイザーを集めたファースト・アルバム『awa』(2012年)は、ローファイ/DIYのセルフ・レコーディング技術を駆使した作品である。2枚目のアルバム『Koko』(2014年)では、彼女は控えめでライヴ感のあるパフォーマンスと、フォークの伝統に馴染んだ温かく牧歌的なエネルギーの冷却を追求した。続いて、『Kemri』(2017)では、より豊かな和音とリズムで伝えられる人間的な感覚に触発されて、この効果をバランスよく調整している。彼女の2作品をリリースしたレーベル、White Paddy Mountainとそのディレクター畠山地平の影響を受けて、スタジオ環境の中でよりコンセプチュアルな方向に進むことができたが、彼女の作曲やレコーディングのプロセスは、自分で作ったものであることに変わりはない。そしてNYの最先鋭レーベル、RVNG Intl.へ移籍してのリリースとなる『Hanazono』では、URAWA Hidekiのエレクトリック・ギターとバード・コールが加わったことで、子供のような魅力を持つSatomiの微細なヴィジョンが融合している。Satomiの妹であり、アルバムやウェブサイトのすべての作品を担ってきたNatsumiの直感的なビジュアルが、温かみのあるものとクールなもの、手作りと機械で作られたものが混ざり合うというSatomiの夢を、彼女の別世界への窓のように機能する木版画で見事に表現している。
イタリア地下シーン最深層で活躍する同国の重要作家、日本企画盤もリリースされている、Riccardo Sinigagliaも参加。近年加速するイタリア地下シーン再評価の流れにまたしても一石を投じる再発案件!印象的なアートワークは、Domenico Maidaによるビデオ作品「Wow and Flutter」の一幕から取られたもの。二台のシンセサイザーとピアノ、サンプラー、パーカッションというシンプルな編成ながら、和やかなアンビエンスと広大なる宇宙観にただただ埋没。時空の隙間を行ったり来たり、恍惚としたサウンドにはうっとり。限定500部。
1943年生まれ、ニューヨークを拠点に現在も活動を続けるニューエイジ / アンビエントの生ける伝説、ララージ。
ワシントン・スクエア・パークで演奏する彼を見たブライアン・イーノの誘いを受け、1980年にリリースされたイーノによるアンビエントシリーズ第3弾『Ambient 3: Day of Radiance』に参加し脚光を浴びることとなった。
その後はジョン・ケイル(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)、ハロルド・バッド、ビル・ラズウェル、ファラオ・サンダース、細野晴臣、オーディオ・アクティブら様々なアーティストとのコラボレーションワークを行ったことでも知られる彼が、1992年にCDのみでリリースした代表作『Flow Goes The Universe』を初となるヴァイナル・リイシュー!
本作は、東京、大阪、ニューヨーク、イギリスの湖水地方などで行われたスタジオセッションやライブコンサートで録音され、ブライアン・イーノ、ロバート・フリップ、デヴィッド・シルヴィアンなどとのコラボレーションでも知られるギタリスト、マイケル・ブルックによって編集されている。
ララージの最高傑作とも評される深淵なアンビエントが堪能できる本作のリイシューに際して、カッティングはポールの活動名義でも知られるステファン・ベトケが行い、最高の音質を求めて2枚組LPの仕様となった。
また、LPはデヴィッド・コッペンホールがオリジナル・デザインをもとに再デザインしたゲートフォールド・スリーブに収められている。
ライナーノートには、アンドリュー・パークスによるララージへの貴重なインタビューが掲載されている。