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ウェスト・ロンドンを拠点に活動するプロデューサー、シンガーソングライターTutu TaによるEP『Violence or Violets』がUKアンダーグラウンドの気鋭レーベル〈Long Gone〉から登場。ダブ、エモ、ヒップホップ、ポストパンクなどを横断するサウンドは、本作でさらに幽玄かつ内省的に深化しており、ジャンルの境界を曖昧にしながら、都市の孤独や感情の揺らぎを繊細に描き出している。ダブ由来の空間処理とエフェクト、DIY的な制作姿勢、ジャンルに縛られず、個人の感情や都市の空気を音で表現するレフトフィールドな感性、ロンドンのストリートや地下文化の文脈を感じさせる土地との結びつきが感じられ、幽玄なヴォーカルが低音の効いたビートに溶け込む本作は、ロンドンのサウンドシステム文化の精神や美学を受け継ぎ、現代的に再解釈したような一枚となっている。DIY精神と都市的な感情の風景が交錯する現代のアンダーグラウンド・ポエトリー!
ニューヨークのディガー/ブロガーBodega Popキュレーションによる、1960〜1974年のアラブ世界のレフトフィールド音楽、風変わりなポップ、そして抗議歌を集めたミックステープ『Love Raid: Arabic Leftfield, Novelty, and Protest 45s 1960–1974』が〈Death Is Not The End〉より登場。エジプト、レバノン、イラク、シリアなど多様な地域から発掘された7インチ・シングルを中心に構成され、政治的メッセージ、風刺、実験性、そして地域性の強いポップ感覚が混在するユニークな一本で、これらは、国家主導の音楽政策が見過ごしてきたシャアビやフォーク、ヴィンテージ・アラビック・ポップの豊かさを浮き彫りにしており、Oum KalthoumやAbdel Halim Hafezといった正統派だけでは語りきれないアラブ音楽の広がりを示している。トラックリストが非公開であることも、まるで秘密のラジオ放送を聴いているような感覚を生み出し、聴く者を時代と地域を超えた音の旅へと誘う。
Zenker Brothersが主宰するモダン・ディープテクノ・レーベル〈Ilian Tape〉主要アーティストの一人であるイタリアのプロデューサー Andrea Cipolla による『Living Room』。アンビエント、ダブ・テクノ、ブロークンビートを軸に、空間性やテクスチャー、リズムを緻密に探求した作品となっており、ダブ由来の低音の重みときめ細やかなリズムの揺らぎを基盤にしながら、瞑想的なシンセ、内省的で余白を感じさせるサウンド・デザインを重ね合わせ、非4つ打ちのIDM的なリズムを展開。ビートは硬質でミニマルながらも、残響やエフェクトが深く施され、空間的な広がりが強調されており、穏やかでアンビエント寄りの曲から、ベースラインが前景化したトラック、さらに IDM 的なリズムの複雑さを前面に押し出す楽曲へと緩やかに移り変わっていく。静と動のバランスが巧みに組まれ、とりわけ、空間的なリバーブに包まれるシンセ・テクスチャーと、ダブ処理されたベース/ドラムの絡みは、成熟した味わい深い音響を生み出している。これまでのベース・ヘヴィなプロダクションから一歩距離を取り、より内面的で空間的な方向へと深化した本作は、ヘッドフォンでじっくりと聴きたくなる、リスナーを深く静かな世界へと誘う、聴き応えのある傑作。
Laura Lippie、Kim Khan、Dr Winzoらを中心とした可変的なコレクティヴ、Troubadoursの三年間のセッションを凝縮した作品『Everything Is Being Recorded All The Time』。リヨン、アベクール、ベルリン、デンパサールといった土地での自由奔放なジャムから生まれた断片を再構築したもので、トラディショナルな楽器と最新のテクノロジーを掛け合わせ、ねじれたファンク、崩れかけたヒップホップ、幻覚的なポストパンクを横断するサウンドは、恍惚と不安が同居した奇妙な高揚感を漂わせる。Cibo MattoやVoice Actorを思わせるウィスパーラップ、歪んだフルートやサズの即興演奏、ドローンやノイズを伴う儀式的な展開など、多彩な要素が雑然としながらも有機的に繋がり合い、まるで記憶の断片が音として浮かび上がるような、現実感覚を曖昧にするような音響を生み出している。フィールドレコーディングや断続的なサンプルの挿入も相まって、都市のざわめき、遠くの祭礼、誰かの独り言といった音の断片に導かれながら、音の迷宮を彷徨うような一枚。

Prince Jazzboによる1993年の隠れた名作『Goldmine』が〈333〉より初のアナログ再発。Mad Cobraのヴォーカルトラックをダブで再構築したデジタル・ダンスホール作品で、実験性と中毒性の高いビートが満載。オリジナルはジャマイカの〈Ujama〉からリリースされたが、全曲入り+ダブを収録した形はアメリカ盤CDだけだった。本作ではその“完全版”がダビーで奇妙、かつ極めて感染力のあるインスト集として蘇る。エンジニアにはJunior Chemist(Albert Thompson)と、マスタリング職人Spiderman(Delroy Thompson)も参加し、ドライでコンパクトな音像処理が、このアルバムの空気感を支えている。ジャマイカ産デジタル・ダブの奥深さとヤバさを知るには格好の一枚。ただの懐古的な再発ではなく、今の耳で聴いてこそ面白い、異形のレフトフィールド・デジタル・ダブ作品!レゲエ、ダブ好きだけでなく、エレクトロニカ、ベースミュージック、ローファイ好きまでおすすめ。

バンコク生まれながらカナダ・バンクーバーを故郷として、そのアンダーグラウンド・シーンで活動していた知られざるレジェンド、Hussain Bokhariによるデビュー・アルバムがご当地アンビエント・ダンス・シーンの一大名門〈Mood Hut〉より堂々リリース!ベッドルーム・ポップとローファイ、バレアリックなギター/シンセの混ざりが絶妙な作品。"Pull Me Up"のふかふかした質感、 をBangkok Boyをのタイ語ヴォーカルが過去と場所を跨ぐノスタルジーを呼び起こすかのようです。静かな時間の背景で、自分自身と都市/記憶のあいだを漂わせるサウンドスケープが秀逸な逸品!

大人気ユニット、Salamandaの片翼!韓国・ソウルを拠点に活動するプロデューサー/DJ、Yetsubyによる最新アルバム『4EVA』が、UK新興レーベル〈Pink Oyster〉の第1弾として登場。ブレイクビーツ、フットワーク、ジャングル、IDM、アンビエント、クラブ・ミュージックを自在に横断しながら、デジタル/アナログ/アコースティックの音響を緻密に編み上げた全10曲。遊び心溢れるサウンド・デザインと、内省的かつ親密なムードが共存する、Yetsubyのソロ作品として極めて完成度の高い一枚です。限定300部。


スペイン屈指の優良発掘レーベル〈Glossy Mistakes〉が快挙!2024年度でも最重要と言っても過言ではない、特大物件がアナウンス!『レコード・コレクターズ2023年11月号 日本の新名盤1970-89』でも紹介しました。先日某オークションでも4万円越えの高値を付けた国産NW最高峰な幻の一枚が奇跡の史上初アナログ・リイシュー!オリジナル・プロデューサーを務めたClä-Sickの染吾郎が主宰するDIYレーベル〈Soft〉より1984年に発表された、1980年代の日本のアンダーグラウンド・ミュージック・シーンの深淵部と言うべき大傑作コンピレーション・アルバムであり、傑出したミニマル・シンセ/テクノ・ポップ/アンビエント/ミュータント・ファンクが満載された秘宝『Soft Selection 84』が待望のアナログ再発。日本の自主盤テクノ・ポップ/ミュータント・ファンクでも最強レベルの内容にして、Picky Picnic以外ほぼ知られて来なかった幻のバンドたちによるオブスキュアな録音が満載!細野晴臣の〈NON-STANDARD〉とヤプーズとの邂逅を思わせるミステリアスな女性バンドであるLa Sellrose Can Canが残したレフトフィールドかつ特異なテクノ・ポップ"Aerobics"と"Happy Morning"がとにかく凄いので是非。オリジナル・マスターテープからの完璧なリマスタリング仕様。
オーストラリア出身の名パーカッショニストWill Guthrieによって2019年に結成。フランスのナントを拠点に活動する極めて実験的な打楽器グループであり、ヨーロッパ各地のツアーを通じて高い評価を得ているEnsemble Nist-Nahによるセカンドアルバム『Spilla』が〈Black Truffle〉から登場!欧州版ガムラン・アンサンブルを意図したものではなく、ジャワのガムランの楽器と様々な他の打楽器を組み合わせて、東南アジア各地の音楽からフリージャズ、現代のヒップホップまで、あらゆるものから影響を受けた独自の音楽を演奏するハイブリッドなパーカッション・アンサンブル。本作では、ガムラン、ドラムキット、木/金属製の打楽器、撥弦楽器に捧げられたエキサイティングな48分間の音楽を収録し、彼らが志向してきた独自の音楽性がさらに深化したものとなっています。

ニューヨークを拠点に活動するシンガー/マルチ・インストゥルメンタリスト、ピアニストのエリアナ・グラスのファースト・アルバム『E』が〈Shelter Press〉より登場!本作は、ヴォーカリストとしてクラシックの訓練を受ける前に、両親のピアノの下に座って耳で弾くことを覚えたという、グラスの幼少期の思い出を呼び起こす作品であり、カーラ・ブレイやアネット・ピーコックといったレフトフィールド・ジャズやフリー・インプロヴィゼーションの巨匠たちへの尊敬の念、シビル・ベイヤーのような儚い美しさを感じさせつつも、特有の瑞々しく自然体のサウンドによってフィルターされている。オフビートで探し求めるような質感と、詩的で畏敬の念を抱かせる音域を交互に奏でていくような、彼女自身が「日常生活の凝縮」と表現する、ほろ苦く、はかなく、まばらで瞑想的な音楽!エマホイ・ツェゲ=マリアム・ゲーブルーと彼女の2006年のコンピレーション『Éthiopiques』への物憂げなオマージュである"Emahoy"も収録!

Judee Sillをはじめ、Milton Nascimentoなど多様な音楽ジャンルからのカバーも収録。ジャズ・トリオ、Ingaのリーダーとしても知られ、サイケデリックやアウトサイダー、メディテーティヴと評される自由でユニークなサウンドを営んできたLAのサックス奏者のSam Gendelと、同地のベーシストSam Wilkesのコラボレーションよる2024年のデュオ・アルバム第3弾『The Doober』が〈Leaving Records〉からアナログ・リリース!当店ベストセラー、大成功を収めた『Music for Saxofone & Bass Guitar』(2018年)と『Music for Saxofone & Bass Guitar More Songs』(2021年)に続く3枚目がd年越しに登場!メロディーやアレンジの完成度、自由度へと焦点を当てた内容となっている本作では、楽器編成、サウンド、レパートリーの具体的なバリエーションを記録。今回はGendelがCメロディ・サックス、WilkesがフェンダーPベースを担当した内容で、選りすぐりの素材とオリジナル曲のアレンジを収めています。

広州を拠点とするプロデューサー/DJのCOLA RENが、2023年6月にリリースしたデビューLP『Hailu』のリミックス盤が中国の〈AMWAV〉から登場!YetsubyことMandaとSala (Uman)からなるソウル拠点のアンビエント・デュオSalamanda、〈TRULE〉主宰のUK地下テクノ鬼才Al Wootton、〈Wisdom Teeth〉共同創設者としても知られるK-LONE、2018年の大人気EP『Nothing Nil』の大ヒットも記憶に新しい廈門拠点のKnopha、そして、Sam Gokuといったレフトフィールド・シーンを代表する、才能溢れる8組の作家陣がリミックスを提供。バレアリックからトライバル・ハウス、ニューエイジまで、多彩なこのリミックス・トラックが収められた本作は、人体の様々なエネルギーセンターを象徴する「チャクラ」に似た比喩的な探求として機能しています。
アゼルバイジャンやマルティニークなどの神秘的な音楽からスイスの地下音楽、フランスの電化ライまで、各地の辺境音楽を掘り起こすだけでなく、Altin GunやDerya Yıldırım & Grup Şimşekなど現代の突出した才能も紹介してきたスイスの名門〈Bongo Joe〉から新物件!Rustem Quliyevの先駆的な作品を紹介した最初のコンピレーション作品『Azerbaijani Gitara』の成功に続き、アゼルバイジャンの知られざるギタリスト、Rəhman Məmmədliを紹介した編集盤『Azerbaijani Gitara volume 2』がアナログ・リリース。音楽的実験と革新の豊かな伝統に根ざしたアゼルバイジャン・ギターラ文化。アゼルバイジャンのミュージシャンや作曲家たちが、土着の伝統と世界的な影響を融合させる手段として採用した特異なエレキギター・サウンドを堪能できる絶品サイケ盤!

地下音楽の未来。その輪郭をなぞる一枚!UKレフトフィールド・シーンの最深部を更新し続けるDemdike Stare主宰の名門〈DDS〉より、正体不明の新鋭NZOによるデビュー・アルバムが登場!荒廃した都市の残響、ポスト・インダストリアル以降のリズム感覚、儀式的とも言えるノイズの処理が交錯する、まるで異界から届いた呪術的サウンド・アーカイヴ。〈Blackest Ever Black〉や〈PAN〉の系譜に連なる亡霊音響としての強度を感じさせる、謎めいた必聴作。Rashad Beckerによるマスタリング仕様というお墨付き。

ベース・ミュージック最大級の問題作!〈Peak Oil〉や〈Sneaker Social Club〉、自身の〈Low End Activism〉などから傑出した作品群を送り出しているダビーUKハードコア・レイヴ/ミュータント・グライムの魔人、Low End Activistこと英国出身のプロデューサー、Patrick Conwayによる最新フルレングス盤『Municipal Dreams』が、12インチ・ダブルパックとカセットでそれぞれアナウンス!ウェイトレス・グライムとサスペンデッドなハードコアのミニチュアへと方向転換し、非常に半自伝的なストーリーを綴った最新アルバム。不平等とそれが労働者階級のコミュニティに及ぼす波及効果をテーマとした作品であり、音の色彩パレットを使用してムードを設定し、ストーリーを詳しく説明するために鋭いサンプルが全体に散りばめられています。盗難されたスバル・インプレッサの排気ガスをサンプリングすることで、彼のコミュニティの子供たちの一般的な娯楽と化していた自動車盗難を振り返える"TWOC"、崩壊した少年院制度をほのめかす"Just A Number (Institutionalised)"、「尊敬する人はみんな麻薬常用者か犯罪者だ」という痛烈なサンプリングを仕込んだ"Broke"など、壊滅的な緊縮財政の余波で英国の社会的分断が明らかになってきた今、より一層意味深いものに感じられる正直なメッセージが詰め込まれた波紋に満ちた一作!20pブックレット、PVCスリーブ付属。

