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北フランスのノルマンディーに生まれ、パリに移ってからはフランスの伝統的な民族音楽に関心を抱いた女性ミュージシャン、Veronique Chalotが1979年に伊版〈Rough Trade〉的大名門〈Materiali Sonori〉に残した初めてのスタジオ作品『J'ai Vu Le Loup』が、イタリアの発掘レーベル〈Bonfire Records〉より久々のアナログ再発!実に過去30年以上にわたって、何百ものコンサートを開き、フランスとイタリアの伝統的な民謡のレパートリーを紹介し、古典的なメロディーとダンスのリズムという魅力的なサウンドを広めつつ、惜しくも2021年7月3日にこの世を去った偉才によるフランス産アシッド・フォークの大名作。180g重量盤。限定500部。

Dennis Taylorによる、1983年に300枚のみ自主制作された幻のソロギター作品『Dayspring』。60〜70年代にガレージロックやジャズ、フォーク・フュージョンで活動していたTaylorが、Leo Kottkeとの出会いをきっかけに10年以上かけて書き溜めた楽曲を、全曲ワンテイクで録音したというストイックな一枚。John Fahey、Leo Kottkeの流れを汲みつつも、より柔らかく、朝の光のように澄んだ音像が印象的で、フィンガーピッキングの美しさと間の感覚が際立ち、それぞれの楽曲は風景を見るようにイメージが広がる。フォークロアな実験精神とニューエイジ的な透明感が自然に溶け合い、アメリカン・プリミティヴとアンビエントの境界を漂う独自の世界観を形成している。

20世紀アラブ音楽を語るうえで欠かせない巨匠Farid El Atrache。シリア生まれ、レバノンで活動し、歌手・作曲家・俳優、そしてウードの名手として数百曲を残した彼の1930〜40年代の初期録音をまとめたコンピレーション『The Early Years』。「Eel Youm Dah Youm Eltekana」「Gamil Gamal」「Wayak Wayak」など全8曲はいずれも黄金期アラブ歌謡の原型ともいえる名演で、深く伸びる歌声としなやかなウードの旋律が、シンプルな編成の中で鮮烈に響く。初期録音ならではの親密な空気感があり、旋律の美しさと声のニュアンスがそのまま立ち上がる。アラブ古典歌謡、ウード音楽、ヴィンテージ録音の魅力を凝縮したような一枚で、Farid El Atracheの原点に触れられる貴重なアルバム。

エチオピア音楽の黄金期を記録した名シリーズ「Ethiopian Hit Parade」の中でも特に評価の高い第2巻が、〈Heavenly Sweetness〉により世界初の正規リイシュー。〈Amha Records〉が1972〜73年にリリースしたシングル音源をまとめたコンピレーションで、Mulatu Astatke、Alemayehu Eshete、Teshome Mitikuなど、エチオピア音楽史を代表する名手が一堂に会する豪華な内容。エチオ・ジャズ、ソウル、ファンク、伝統音楽が自然に溶け合う70年代アディス・アベバの熱気そのもので、ホーンのうねり、独特のスケール感、ブルージーな歌声が絡み合い、哀愁と高揚が同居する。録音を含めた粗さも魅力で、現代の洗練された音楽にはない生々しさが、当時の街の空気をそのまま伝えてくれる。黄金期の輝きを凝縮した歴史的コンピレーション。
ポーランドのギタリスト、Raphael Rogińskiと、セルビアの伝統歌唱を軸に活動するRužičnjak Tajniが共作した、バルカンの深い伝承を思わせる響きと現代音響が交わるエクスペリメンタル・フォーク作品。強靭でストレートなバルカン歌唱が中心にあり、その倍音や揺れが音楽全体の芯をつくる。対照的にロギンスキのギターは、旋律を前に出すのではなく、ドローンや打弦、鋭い単音を組み合わせながら、独自の質感で周囲を支えている。民謡の旋律や宗教歌、オスマン帝国由来の古い歌など、バルカン半島の多層的な音文化を素材にしながら、和声や音の配置は現代音楽的で、伝統と実験が自然に呼応する独自の音響世界を形成。リズムは明確に刻まれず、呼吸や語りの間合いが時間の流れをつくり、聴き手を歌の奥にある風景へと引き込む。
ポーランドのギタリスト、Raphael Rogińskiと、セルビアを拠点に活動する、南スラヴの伝統歌唱を深く研究し、現代的な音響感覚と結びつけるトリオ・アンサンブルRužičnjak Tajniが共作した、バルカンの深い伝承を思わせる響きと現代音響が交わるエクスペリメンタル・フォーク作品。強靭でストレートなバルカン歌唱が中心にあり、その倍音や揺れが音楽全体の芯をつくる。対照的にロギンスキのギターは、旋律を前に出すのではなく、ドローンや打弦、鋭い単音を組み合わせながら、独自の質感で周囲を支えている。民謡の旋律や宗教歌、オスマン帝国由来の古い歌など、バルカン半島の多層的な音文化を素材にしながら、和声や音の配置は現代音楽的で、伝統と実験が自然に呼応する独自の音響世界を形成。リズムは明確に刻まれず、呼吸や語りの間合いが時間の流れをつくり、聴き手を歌の奥にある風景へと引き込む。限定100部。

アルジェリア出身の名歌手Lili Bonicheが1958〜60年に残した録音をまとめた、ユダヤ・アラブ音楽の黄金期を凝縮したコンピレーション。収録曲は「Ana El Owerka」「Ma Bine Eih」「Guitarra」「Inchallah Terbah」「Bambino」「Alger Alger」など、アルジェの街角の空気をそのまま閉じ込めたような名唱揃い。アラブ旋法のメロディに、ベルベルのリズム、フレンチ・シャンソンの叙情性が自然に溶け合い、Bonicheの柔らかく艶のある声が地中海世界の多文化性を鮮やかに描き出す。後のchaâbiやraïの発展にもつながるタンゴやジャズの要素をアラブ音楽と融合させた独自のスタイルも垣間見え、北アフリカの伝統音楽に都会的な洗練を加えた、アルジェの夜を思わせる洒脱なムードに満ちている。豪奢なストリングスと素朴な民謡的グルーヴが同居し、時代と文化を越えて響くユダヤ・アラブ歌謡の宝物。

Antonio Infantino e i Tarantolati di Tricarico による、南イタリア・バジリカータ地方に根づく伝統儀礼や民間信仰を、現代へと蘇らせたアルバム『Follie Del Divino Spirito Santo』。Infantino は詩人・音楽家・文化研究者として知られ、本作では古い農村文化に残るトランス的な儀礼音楽を掘り起こし、ロックや実験音楽の感覚と結びつけて独自の民俗アヴァンギャルドを築いた。タランテラの反復するビート、素朴で力強いパーカッション、呪術的な集団の掛け声、祈りにも似た詠唱が渦を巻き、祝祭と陶酔のあいだを行き来するような音世界が広がる。電気的な加工や派手なアレンジはほとんどなく、むしろ土の匂いがするような生々しい音の質感が前面に出ているのが印象的。伝統音楽の再現ではなく、土地の精神性そのものを汲み取り、再構成するようなアプローチで、宗教的な熱気、共同体のエネルギー、そして「神聖な狂気」というタイトルが示すテーマが一貫して流れている。民俗音楽・実験音楽・スピリチュアルなリズム文化の交点に立つ作品。
Antonio Infantino e i Tarantolati di Tricarico による、南イタリア・バジリカータ地方に根づく伝統儀礼や民間信仰を、現代へと蘇らせたアルバム『Follie Del Divino Spirito Santo』。Infantino は詩人・音楽家・文化研究者として知られ、本作では古い農村文化に残るトランス的な儀礼音楽を掘り起こし、ロックや実験音楽の感覚と結びつけて独自の民俗アヴァンギャルドを築いた。タランテラの反復するビート、素朴で力強いパーカッション、呪術的な集団の掛け声、祈りにも似た詠唱が渦を巻き、祝祭と陶酔のあいだを行き来するような音世界が広がる。電気的な加工や派手なアレンジはほとんどなく、むしろ土の匂いがするような生々しい音の質感が前面に出ているのが印象的。伝統音楽の再現ではなく、土地の精神性そのものを汲み取り、再構成するようなアプローチで、宗教的な熱気、共同体のエネルギー、そして「神聖な狂気」というタイトルが示すテーマが一貫して流れている。民俗音楽・実験音楽・スピリチュアルなリズム文化の交点に立つ作品。
フランスはノルマンディー出身のトラディショナル・フォーク歌手Véronique Chalotによる1982年のセカンド・アルバムで、中世音楽とフレンチ・トラッドを融合させた幻想的な作品『A L'Entrée Du Temps Clair』。ギター、ダルシマー、ハーディ・ガーディ、エピネット・デ・ヴォージュなどの古楽器にバグパイプ、クルムホルン、ホイッスルなどの管楽器も加わり、幻想的で郷愁感あるアンサンブルを形作っている。くぐもったヴォーカルと浮遊感あるアレンジが、アシッド・フォーク的な魅力を放っており、オリジナル曲と伝承曲が違和感なく融合。中世と現代、伝承と創作が交差する、ひっそりと輝く宝石。
アフリカの黄金の声として知られるマリの伝説的シンガー、Salif Keitaが76歳にして初めて挑んだアコースティック作品。本作は、ギターと声のみという極限まで削ぎ落とした編成で録音され、彼の歌声の深みと存在感がこれまで以上にストレートに響く。制作のきっかけは2023年の来日で、京都の禅寺の精神性などに触れ、「私はギタリストではない、ギターは作曲のためのものだ」という自身の考えを覆し、ホテルの一室でアコースティック・ギターを手にしたKeitaが、そのまま録音へと向かったという特別なアルバム。タイトル『So Kono』はマンディンカ語で「部屋の中で」を意味し、まさにその空気感がそのまま封じ込められている。ミニマルなギターのアルペジオに乗る神秘性を帯びた Keita の声。装飾を排したことで、彼の歌の力、息遣い、人生の重みがより鮮明に浮かび上がる。西アフリカの伝統音楽の深い影響も感じられ、静けさの中に豊かな情感が広がるアフロ・アコースティックの到達点といえる仕上がり。長いキャリアの集大成でありながら、驚くほどフレッシュな親密さを湛えた作品。

アメリカ出身でドイツ在住のマルチ奏者・作曲家 Weston Olenckiによる、バンジョーを中心としたエクスペリメンタル・フォーク作『Broadsides』。2023年にOlenckiが故郷サウスカロライナからウェストバージニア、ミシシッピ川流域へと南部を巡った旅のフィールド録音、収集した楽器や工芸品、そして各地に根づく伝統音楽との出会いを素材にして生まれたもので、水の音、虫の羽音、列車の轟音、コミュニティに息づく古い歌などが、バンジョー、ハーモニカ、オートハープ、カセットプレイヤー、振動モーターといった楽器・装置と組み合わされ、多層的な音響へと再構成されている。バンジョーの持つ鋭いアタックや倍音が長いドローンへと変質し、フィールド録音のざらつきや環境音が層を成して漂う、アメリカ南部の風景を抽象化したようなサウンド。伝統音楽の旋律が時折浮かび上がる一方で、機械的なモーター音やノイズがそれを侵食し、郷愁と前衛性が同時に存在する独特の世界。

かつてギリシャやアナトリアの都市に存在した、人々が集まって酒を飲みながら、哀歌や即興歌を聴く場カフェ・アマン。1911〜1935年に録音されたカフェ・アマン文化に基づく哀歌を集めたコンピレーション『Aman Aman – Greek-Anatolian Laments』が〈Mississippi Records〉から登場。ヴァイオリン、ハンマーダルシマー、ギター、ウードなど地中海の伝統楽器が伴奏し、歌の中で繰り返される「Aman Aman」という叫びは、文字通りの意味としては「慈悲」「助け」を意味するが、絶望・喜び・苦悩など多様な感情を同時に表す。移民や難民のコミュニティで広まった、都市下層の人々の感情や生活に根ざした音楽文化で、後にギリシャの都市音楽「リベティコ」へと発展する源流。Jordan McLeodによるリマスター、Stavros Kourousisによる詳細な歴史・ディスコグラフィー解説、Tony Kleinによる歌詞の詩的翻訳も収録。
南マダガスカルのツァピキ音楽を牽引してきたギタリストDamilyが、自身のルーツと現在地を最も純度の高い形で提示したアルバム『Fanjiry』。わずか3日間で一気に録音され、ギター1本と Damily自身の声だけで構成された極めてミニマルな作品で、これまでバンドの歌い手に任せていたヴォーカルを初めて自ら務めたことで、音楽が持つ個人的な温度や土地の記憶がより直接的に伝わってくる。反復するギターのフレーズは、リズム、ベース、メロディを同時に担うツァピキ特有の多層性をそのまま体現し、ギター一本であるにも関わらず、素朴なようで聴き込むほどに新たな発見のある深みのあるもの。朴訥として深みのある歌声と絡み合いながら、乾いた大地の空気や儀式の残響を思わせる独特のグルーヴを生み出している。派手な装飾を排したことで、Damilyの音楽の核にある躍動と精神性がむき出しになり、静けさの中に強い生命力が宿る。ツァピキの伝統を未来へとつなぐ、濃密で親密な作品。

南マダガスカルのツァピキ音楽を牽引してきたギタリストDamilyが、自身のルーツと現在地を最も純度の高い形で提示したアルバム『Fanjiry』。わずか3日間で一気に録音され、ギター1本と Damily自身の声だけで構成された極めてミニマルな作品で、これまでバンドの歌い手に任せていたヴォーカルを初めて自ら務めたことで、音楽が持つ個人的な温度や土地の記憶がより直接的に伝わってくる。反復するギターのフレーズは、リズム、ベース、メロディを同時に担うツァピキ特有の多層性をそのまま体現し、ギター一本であるにも関わらず、素朴なようで聴き込むほどに新たな発見のある深みのあるもの。朴訥として深みのある歌声と絡み合いながら、乾いた大地の空気や儀式の残響を思わせる独特のグルーヴを生み出している。派手な装飾を排したことで、Damilyの音楽の核にある躍動と精神性がむき出しになり、静けさの中に強い生命力が宿る。ツァピキの伝統を未来へとつなぐ、濃密で親密な作品。

Dieter Schnebelに師事したブラジルの現代音楽家であり、1980年代後半からベルリンで活動、同郷のSilvia Ocougneとともに、90年代のArnold DreyblattのOrchestra of Excited Stringsで演奏していたChico Melloと、アルト・サックス奏者Helinho Brandãoによる1984年のセルフ・タイトル作品が、Oren Ambarchi主宰の豪州の前衛レーベル〈Black Truffle〉よりアナログ・リイシュー。〈Edition Wandelweiser〉の初期の、かなり異例のリリース『musica brasileira de(s)composta』にて、MPBの名曲の急進的で陽気な解体をプロデュースしていたChico Melloが、渡欧前に残した唯一の録音作。ソロ・サックスの即興演奏から、ミニマリズム、アコースティック・サウンド・アート、そしてEdu LoboやMilton Nascimentoを彷彿とさせる哀愁漂うメロディックな感性を結びつける、緻密にレイヤーされたアンサンブル作品まで多岐にわたる全6曲を収録。

アイルランド出身のエクスペリメンタル・アーティスト Olan Monk による愛、喪失、風景、記憶といったテーマを断片的でコラージュ的な音楽スタイルで描いた『Songs for Nothing』が〈AD 93〉より登場。ローファイ・シューゲイズ、サイケデリック、エクスペリメンタル・ロック、アイルランド民謡の要素が混在しており、ギターのフィードバック、ノイズ、アナログな質感のビートが、ゆったりとした民謡的メロディや語りのようなヴォーカルと交差し、冷たさや無機質さを感じさせる音の質感でありながら情緒的でもある独特なサウンドを形成している。Maria Somervilleをフィーチャーした「Down 3」や「Fate (Reprise)」など、ゲストとの共演も印象的で、アルバム全体にアイルランドの自然と精神性が深く染み込んでいる。録音はアイルランド西海岸・コナマラの自然環境の中で行われ、海藻が腐る海岸、花崗岩の丘、深い森から顔を出す古代の木々といった風景が音の中に静かに息づいているようで、ローファイな質感と自分の内に静かに沈んでいくような感覚が共存する、内面的な旅の入り口にもなりうる充実作。


マーキュリー賞にもノミネートされたロンドンの現代ジャズを代表する名バンド、Portico Quartetのサックス奏者Jack Wyllieが、オーストラリア人ドラマーLaurence Pikeと、セネガルのサバールとタマのドラマーKhadim Mbaye & Tons Sambeを引き連れて結成した、西アフリカ音楽影響下の要注目バンド、Paradise Cinemaによるセカンド・アルバムが、マンチェスターの大名門〈Gondwana Records〉より登場。ニューエイジ・ファンを虜にしたトライバル・アンビエント傑作の前作のセルフ・タイトル・アルバムではセネガルの音楽であるムバラックスの要素を取り入れていましたが、今作では、Jon Hassell、Terry Riley、Don Cherry、高田みどりといったレジェンドへのオマージュ、さらにより現代的な電子音楽、アンビエント、非西洋音楽などの要素や、物理学やSFからのインスピレーションも取り込みながら、より深く精神世界へと傾倒した破格の一枚に仕上がっています!
消滅の危機に瀕しているブリトン語系ケルト諸言語のブルトン語とケルトハープに子供の頃から触れ、Denise Mégevandにレッスンを受けていた人物であり、それらの伝統表現に取り組んできたKristen Nogues がブルトン歌曲の伝統の保全に取り組んできたレーベルである〈Névénoé〉より1976年に発表したファースト・アルバム『Marc'h Gouez』が〈Souffle Continu〉よりオリジナルテープからのリマスタリング仕様で公式アナログ・リイシュー!ギター、ピアノ、ヴァイオリン、フルートなどを演奏する12人もの友人たちと、ブルトン音楽ではなく、ブルターニュの音楽を演奏した作品。想像力が、社会的要求や仲間との関係といった、その時の現実と結びついた、分かち合われたフォークロアが魅力的に響く前衛的なアルバム!Meredith Monkの"Greensleeves"やBrigitte Fontaine/Areskiの初期作品が好きな方にもレコメンド!ブックレット(8ページ)が付属。ブラウンボード製アウタースリーヴ/180g重量盤仕様。
〈Honest Jon's〉が60年代に南米エクアドル・キトで活動していた知られざるスイートスポット的レーベル〈Caife〉に残された魅力的なカタログを紐解いたシリーズから新たな発掘音源が登場!アフリカ先住民の伝統と豊かな音楽の伝統が融合した、エクアドル北端エスメラルダス州のユニークなアフリカ系エクアドル文化の素晴らしい記録を収めたアルバム『Juyungo』がアナログ・リリース。マリンバを中心に、コール&レスポンスのチャント、アンデスのギターのフィンガースタイル、パンパイプなどによる深い没入感に溢れる音楽作品を余すところなく収録。ゲートフォールド・スリーヴ仕様。洞察に満ちたメモと貴重写真が満載のブックレット(16ページ)が付属。
フィンランドのパーカッショニスト Antti Vauhkonen を中心とするジャズ・コレクティヴ Oiro Pena が、北欧のフォークローレとスピリチュアル・ジャズを静かに融合させた作品『Béke』。スタジオでライヴ録音された本作には、その場で生まれる呼吸や生々しい空気感が刻まれており、フィンランド民謡の素朴な旋律と、霊性を帯びた即興演奏が自然に溶け合っている。「Béke(平和)」というタイトルが示すように、サックスやフルート、ヴィオラ、声が柔らかく重なり合い、音楽は派手さを排しながらも深い祈りのような静けさを湛え、北欧の冷たい空気と温かみを帯びた精神性が同時に漂う独特の世界を描き出す。ミニマルな反復と儀式的な高揚感が共存する北欧スピリチュアル・フォークジャズ。
2010年夏、東京・高円寺阿波おどりを久保田麻琴による録音で発売した『ぞめき 壱』。根強い阿波おどりファンだけでなく、ワールド・ミュージック・ファンからクラブ系音楽ファンまで多くの反響を受け大ヒット。「ぞめき」シリーズはこれまで8作のCDをリリースした。
本作は、この「ぞめき」シリーズの番外編。12インチ・シングルとして初のアナログ化。
A面は、1968年に爆誕して以来、半世紀以上に渡って一拍子系の雄として阿波踊り新世代に影響を与え続けた苔作。
鉦の谷幸治連長時代の高円寺での演奏。華やかだがそのストイックな演奏は追随を許さない王者の貫禄だ。街の反響と熱狂する客たちの反応も爆音とともにしっかり録音された。
続いてB面は、去年他界した柳町春雨率いる新町橋よいよい囃子と独特のグルーブで知られる眉月連とが合同セッションしたレアなライブ音源。半世紀の間、桟敷席ではなく広場で、まるでジャマイカのダンスホールのような状態で客たちを踊りの渦に巻き込んできたよいよい囃子。一方最もディープなノリを誇る眉月連のグルーブは、ロックドラムの創始者、Earl Palmerのような躍動感と驚異の正確さだ。
ROLAND R4という録音機、それとハンドマイク、SONY ECM 999 で久保田麻琴により2010年代に録音された。行進する連と動く録音なので、時間と共にバランスが変わっていく面白さが堪能できる。
レトロなカバー写真は、今年3月、新宿オリンパスギャラリーで写真展「ぞめき」を開く気鋭のカメラマン、平良博義の2024年の作品。
■収録楽曲:
Side A
1.苔作(桃園 高円寺)
Side B
1.新町橋よいよい囃子 with 眉月連(新町橋 徳島)

ヴァージニア州、メヘリン川沿いに残る18世紀の酪農農場。2023年9月、この場所にノースカロライナ周辺の音楽仲間9人が集まり、家の居間と食堂を即席スタジオに仕立てて録音したアルバム『Diamond Grove』。Weirsは固定したメンバーを持たず、オールドタイム音楽とDIYノイズを自由に横断する共同体的な集団で、ここではSluiceやMagic Tuber Stringbandの面々を含む編成で、夜が更けるまで古い歌や旋律に取り組んでいる。彼らは、忘れ去られそうな古い楽曲を収集し、Guided by VoicesのようなインディーロックからJean Ritchieのようなフォークまで、幅広い影響を融合させており、その音楽は伝統を保存するのではなく、伝統をどう生かすかを問い直すもので、古い賛美歌をMIDI化してiPhoneスピーカー越しに鳴らし直したり、ゴスペルを納屋の残響ごと封じ込めたりと、音の場そのものを演奏と同等の要素として扱っている。その結果、古い旋律は再現されると言うよりも、今この瞬間にふっと立ち上がって、リスナーの前に姿を現すのように響く。本作は、農場の古い建物、土地の記憶、夜の虫の声までが音楽の一部になっており、トラッド/フォークの純粋性を疑いながら、それでも歌の命脈をつなぎ、今日の耳にどう届きうるかを模索している。その本質はフォーク・リヴァイヴァルよりもむしろミュジーク・コンクレートやローファイ実験音楽の感覚に近いもので、アウトサイダー・フォークの系譜にありつつ、地域性と現代感覚を交差させたユニークな一枚。
