MUSIC
6097 products
1990年から2014年まで山梨県の清里に存在した清里現代美術館。他に類例のない膨大なコレクションを常設展示した個人美術館であり、また同館はジョン・ケージを初めとする先鋭的作曲家の音楽作品の展示や蒐集も行っていた。この音楽に関する知識や情報を同館に提供していたのが、主に80年代日本の環境音楽の分野で知られるサウンド・デザイナーの広瀬豊であった。本作は氏が全面的に展示構成に協力、期間中会場内に流れるサウンドも手掛けた、同館1992年開催の"ジョン・ケージ メモリアル展”の資料を作品として再編集し復刻したものである。
広瀬が展示空間の為に制作した音源は、当時関係者にCD-Rで配布されただけであり今回が初の作品化。当時の作風としては珍しいケージの手法のオマージュや、騒音や日常の音を用いたミュージック・コンクレート、コラージュ作品など極めて先鋭的な楽曲で統一されている。
付属のA4冊子には展示に関する関係者のテキスト、広瀬豊の楽曲解説、展示風景の写真を掲載。(日本語/英語)

ベルギーのギタリストRuben Machtelinckxを中心に、Toma Gouband(パーカッション)、Frederik Leroux(ギター)、Fredrik Rasten(ギター)が参加したアコースティック即興作品『porous structures II』。本作では、3本のスティール弦ギターと繊細なパーカッションが織りなす静謐で詩的な音響の中で、音の間(ま)や残響が丁寧に扱われており、ジャンルを超えた音の対話が、瞑想的な空間を生み出している。ギターはメロディよりも質感や空間性を重視し、打楽器は自然音のようなニュアンスを加える。フォーク、室内楽、アンビエント、即興音楽の要素が溶け合い、抽象的でありながら温かみのある響きが印象的。録音はベルギーの静かな空間で行われ、音の質感にもその空気が反映されているかのよう。静かに語りかけるような音楽が、聴く者の内面に深く響く一枚。限定200部。



トータス、ヨ・ラ・テンゴ、スティーヴ・ライヒ他、多くのコラボレーションでも知られるアーティスト・作曲家、竹村延和が、米シカゴの名門インディー・レーベル、Thrill Jockey Recordsより、オリジナル・アルバムとしては2014年の『Zeitraum』以来となる約11年半振りの新作アルバム。
2016年から2024年の間にレコーディングされた珠玉の楽曲、全18曲(日本盤はボーナス・トラックを1曲追加し、全19曲収録)を収録。
このアルバムに収録されている楽曲は、アルバムのために新たに書き下ろしたものではなく、録り溜めていた過去の膨大な楽曲の中から竹村自身が厳選したものになります。
曲の構想が2000年代中頃からあったものも含まれており、レコーディングは竹村の京都にあるスタジオ(moonlit studio)で行われています。
作曲からプログラミング、演奏、レコーディング、編集まで、竹村がすべて一人で行っており、日本人シンガーdoroがゲスト・ヴォーカルとして参加しています。
スキマキ・アニメーションによるアニメーション作品『深海の虹』(2019年)のサウンドトラックも収録。
竹村によれば、
「「knot of meanings」は 直訳すると「意味の結び目」ですが、邦題の「意味のたま」は、洋裁で用いる毛糸の玉のようなもので、そこから意味が泉の様に導かれてくることを示しています。リスナーは単に多義的なものとしてジャケットのガラスの断片・ モザイクから、各自自由に全体像を描き、受け取ってもらえれば幸いです。」
とのことで、ジャケットのガラスのオブジェクトの作成や撮影も竹村本人が手掛けており、その受け取り方は(様々なスタイルの収録曲が混在した)アルバムの内容ともども、リスナーそれぞれに委ねています。
竹村が長年、“Child’s View” (子供の視点)を用いて、知的好奇心を原動力として、表現や創作活動を続けてきた結晶が、このアルバムとなっています。
常に驚きと喜びを感じられるものを作るという理念を大切にし、同じことを繰り返すことはせず(停滞や反復に抵抗し)、新たな発見のあるような独創的な作品を探求して来たことの実証でもあります。
エレクトロニック・ミュージックのゴッドファーザーであるKraftwerkの前身と言えるバンドであり、Ralf HütterとFlorian Schneider-Eslebenも在籍していたドイツのロック・バンド、Organisationによる1970年のデビュー・アルバムにして唯一作『Tone Float』がアナログ・リイシュー。ドイツのテレビ局〈EDF〉で放送されたライブ演奏を収録。
ノイズのパイオニアとして知られる Uwe Nettelbeckによって1971年に結成されたドイツの先駆的ポストロック・バンド、"Faust"。不協和音とディストーションを軸に、音楽のカット・アップやその他のミックス・ソースを用いた芸術的に極端な実験により、たちまち支持を集めた彼らが1971年にリリースしたカルト・クラシックのデビュー作が、オリジナルのクリア・プリント・スリーブ付き180gクリア・ヴァイナル仕様で再発。未体験の方は是非!

〈Hessle Audio〉や〈Timedance〉などからのリリースでも知られるUKベース以降の音楽的探求を続けるブリストルの奇才Bruceによるダブ、アンビエント、ベーステクノを横断する3曲入り12"『The Hand』。ダークなニューウェーブ調のダブ「Golden Water Queen」、映画『DUNE』に触発された深遠なアンビエント・パッドが中心の「The Hand」、跳ねるキックとパーカッションによるフロアライクなベース・テクノ「Dham’s Jam」を収録。Bruceの音楽的成熟とDIY精神が結実した、短くも濃密な音響の旅。
UKを拠点に活動する電子音楽家で、自然環境そのものを録音対象とし、民俗的音響を融合させた作風で知られるPooleによる、スコットランドの自然環境とケルト的音響を融合した、幻影的かつ実験的なエレクトロニック・フォーク作品『Ben Beinn』。凍った峠道、嵐、花崗岩などの自然環境をコンタクトマイクやハイドロフォンで採取したフィールド録音を加工・使用し、フルート、ローホイッスル、バグパイプ、ピアノ、ストリングスなどの伝統楽器とシンセ、抽象化された声を融合。スコットランドの自然環境から採取した音を、感情的な音響テクスチャーに編み込み、場所そのものを音楽として再構築している。風景と記憶、民俗と抽象、自然と人間が交錯する音響詩。
アルゼンチンのサウンド・アーティストayluことAilin Gradによる、繊細で実験的な電子音楽が個人的な内面の葛藤とそこからの回復のプロセスを映し出す音響的探求『Fobia』。短く断続的な呼吸音や不安定なリズムから始まり、神経的な緊張感と解放感が交錯する構成で、断片的でありながら緻密に編み込まれたサウンドが感情の流れや変化、記憶、内面の風景を可視化する。断片的な呼吸音やノイズが、やがて滑らかなドローンへと変化し、徐々に明るくなる音色、安定したリズムへと変化していくプロセスを共にすることは、音楽として昇華された痛みが、聴く者の心に共鳴し癒しや共感、回復の力をもたらすよう。心の奥に静かに触れる精神的な音楽。
現行アンビエント/エクスペリメンタル・シーンを牽引するポートランドの要注目作家、Patricia Wolfによる〈Balmat〉からの2作目は、アイスランドを舞台にしたドキュメンタリー映画のためのサウンドトラック。UDO Super 6シンセサイザーを中心に据えながら、ギターやマレット、フィールド録音を交え、風景と記憶の交錯を緻密に描いたユニークな作品。ドラマティックな起伏を避けつつ、持続音の層が静かに移ろう中で、幼少期の記憶や北欧的フォークロアの気配が立ち上がる様子が美しい。Patricia Wolfの緻密な音響設計と叙情性が結びついた、彼女のキャリアを象徴する一枚と言えるでしょう。
billy woodsとELUCIDによるArmand Hammer とThe Alchemist が手を組んだ2021年作『Haram』。本作は、発表当時は名プロデューサーとの初タッグという話題性に注目が集まったが、振り返るとむしろThe Alchemist が従来のソウルやジャズをサンプリングして太いビートを組み立てるビートスタイルから外れ、Armand Hammer の複雑で比喩的・断片的なラップの響き方に寄り添ったことが要点となっていて、ドローンや歪んだリズム、言葉が漂う余地を残したプロダクション、くぐもった音や断片的なフレーズのコラージュなど、Armand Hammerの不可解さをそのまま響かせる音作りとなっている。また、同時に、メロウで陽光を感じるビートやソウルフルなフックも散りばめられており、ある意味でポップで聴きやすい瞬間が共存しているのも興味深い。ゲスト陣も強力で、Curly Castro、Quelle Chris、Amaniらの参加、Earl Sweatshirt の「Falling Out the Sky」や、KAYANAの「Black Sunlight」、Fieldedの「Aubergine」など、実験的な声の使い方も印象的。ハードボイルドな言葉遊びと実験的なビートが奇跡的に融合した、唯一無二のアンダーグラウンド・ヒップホップの到達点。

1月中旬再入荷。(12月下旬分は完売しました)。Armand Hammer(with Elucid)の片翼として知られるbilly woodsが久々に放つソロ・アルバム『GOLLIWOG』。現代アメリカの黒人経験を、暗く歪んだ夢のような音像で描いた怪作で、プロデューサー陣にはEl-P(Run The Jewels / Company Flow)、Shabaka Hutchings(Sons of Kemet / The Comet Is Coming)、The Alchemist、Kenny Segal、DJ Haram、Ant(Atmosphere)、Conductor Williamsなど、ヒップホップとジャズ、アンダーグラウンドと実験音楽を横断する重鎮たちが勢ぞろい。その多彩な布陣が織りなすのは、不穏でサイケデリック、そして異様に鮮明な悪夢のような音世界。「英語そのものが暴力だ」と言い放つwoodsのリリックは相変わらず鋭く、皮肉と哲学が交差する。全体を通して現実という感覚そのものがぐらつく構成になっており、単なる社会批評ではなく、現代における意識そのものをテーマとしているよう。billy woods流のダーク・アメリカーナとも言うべき一枚。
LAを拠点に活動する電子音響音楽の作曲家・演奏家Sarah Davachiが、モントリオールを拠点とする実験音楽の弦楽四重奏団Quatuor Bozziniとコラボレーションした長編作品をリリース!!
ニューヨーク近代美術館MoMAでもレジデンシーを務めた電子音響音楽家Sarah Davachiが、モントリオールを拠点とする実験音楽の弦楽四重奏団Quatuor Bozziniとコラボレーションした長編作品『Long Gradus』を11月3日、自身が立ち上げ、<WARP>の傘下レーベルでもある<Late Music>よりリリース。今回のリリースでは、CD/2LPに収録されたバンクーバーのWarehouse Studioで録音された弦楽合奏バージョンに加えて、4CDにのみベルリンとロサンゼルスで録音された3つのアレンジメント(木管楽器、金管楽器とオルガン、合唱とエレクトロニクス)の計4編を収録。「Gradus」は、ラテン語で「過程」や「歩み」を意味しており、『Long Gradus』では、聴き手と演奏者の認知的な動作を大幅にスローダウンすることにより、瞬間と瞬間の関係性にフォーカスするよう設計されている。絶え間なく移り変わり、その都度変化する豊かなハーモニーの風景を体験し、音響心理学的な空間と時間の静けさに浸ることを目的とした実験的作品。
*電子音響音楽:音楽の三要素(メロディー、ハーモニー、リズム)がほとんど存在しなく、音楽を構成する音の素材が多様な音楽。

拡張された演奏時間と、熟孝された和声構造を駆使して、音色と時間との密接な複雑性に焦点を当てた作品を作り続けているSarah Davachi。そんな彼女が自身のレーベル〈Late Music〉より2枚組の最新作『The Head as Form’d in the Crier’s Choir 』をリリースする!2022年から2024年の間に書かれた本作に収録されている7つの楽曲は、ギリシア神話に登場するオルフェウスに関する資料2つを用いて制作された。1922年に発表されたリルケの詩集『オルフェウスへのソネット』と、1607年に発表されたモンテヴェルディの初期バロックオペラ『オルフェオ』である。本作は、『Two Sisters』(2022年)と『Antiphonals』(2021年)を補完するような作品となっており、彼女のホームスタジオから生み出される、定形式な電子音響音楽作品と、ゆっくりとしたテンポの、ややオープン形式の室内楽作品とのギャップを埋める試みであったという。だが、この作品では、演奏ごとに新たな構造が提示され、その繰り返しによって、新たな構成とより深い意味への道筋が提示されていったのだった。
Mark Fellが自身の新レーベル〈National Centre for Mark Fell Studies〉を立ち上げ、約10年ぶりのフロア志向エレクトロニック作品をリリース。ポリリズムと現代ダブが交錯する、前衛的かつダンサブルなマシンファンクの最前線『Nite Closures EP』。Fell特有の微細なポリメトリック構造と有機的なリズム操作、Sensate Focus名義のEP群を継承しつつ、より現代的なダブ処理と空間性を強調した音作りで、複雑な拍子の中に潜むグルーヴ感が、DJユースにも対応する仕上がりとなっている。Mark Fellが10年以上の沈黙を破って再びクラブへと回帰した重要作であり、前衛電子音楽とダンスミュージックの境界を再定義する作品。

Joachim Nordwall、Leif Elggren、Linus Anderssonによるスウェーデン発の音響芸術・詩・ノイズを融合したプロジェクトFixationの、ピアノと語りによる不穏で詩的な作品『A Guidance』が『iDEAL Recordings』より登場。Joachim Nordwallのグランドピアノと電子処理、Leif Elggrenによる語りとテキストが交錯する不穏で幽玄な音響世界。2018年にスウェーデン・ヨーテボリのElement Studioで一日で録音されたセッションを元に構成されており、Linus Anderssonによるミニマルで幽玄な音響を支える、静寂と残響のバランスの取れた録音の空間設計も相まって、音楽というより儀式に近い、深く内省的な作品。
徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbowこと秋田昌美による2025年の最新作がイタリアの名門〈Old Europa Cafe〉から限定300枚でCDリリース。ハンドメイド楽器やコンタクトマイク、ファズ、ディストーション、グリッチペダル、アナログ・シンセなどを駆使し、18〜26分超の長尺トラック3曲で構成されている。アートワークにもAI生成の画像を採用するなど視覚的な意味も含めて、実験性と音響の暴力性が際立つ、純度の高い一作。

ヴァイナルには未収録のボーナスを収録した2CD版。Pulse DemonやNoisembryoと並ぶ、ジャパノイズ生ける伝説Merzbowの90年代名盤である『Tauromachine』が、発売25周年を記念して限定リマスター・エディションで登場!リマスターは、Sunn O))), ISIS, Pelican, そしてEarth等のミックスも手掛けたJames Plotkinによるもので、深重感抜群。当時の未発表音源も追加。お見逃しなく!
ノルウェーのサックス奏者Bendik Giskeによる、世界的な評価を獲得した2023年のオリジナルアルバム『Bendik Giske』に対する、まさに選りすぐりのリミックス集が登場!Carmen Villain、aya、Hanne Lippard、Hieroglyphic Being、Wacław Zimpel、そして『Bendik Giske』のプロデューサーである Beatrice Dillonら現行実験音楽最前線のアーティストたちによる再解釈は、すべてのトラックが無駄なく、個性豊かに再構築されている。Carmen Villain は「Slipping」をダビーで微細なコンセプトのグルーヴに変換しており、Giske の息遣いや鍵盤のこすれる音が、雨夜のジャングルのようなホーンや余韻の残る断片とともに浮かび上がる。aya は同じ曲をポリリズム中心に再解釈し、ガムランのようなアルペジオで絶え間なく変化するトランス感を生み出している。締めくくりとなるBeatrice Dillon による「Rise and Fall」のリミックスも各アーティストのアプローチの違いを際立たせつつ、全体を統合するような透明感ある仕上がりとなっている。Giske のオリジナルの即興的で生々しいサックスの世界が、個性豊かな才人たちそれぞれの解釈によって鮮やかに広がるリミックス集。
