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Jean-Claude Eloy - Shânti (2CD)
Jean-Claude Eloy - Shânti (2CD)Hors Territories
¥3,869

1972年から73年にケルンのWDR電子音楽スタジオで制作された、Jean-Claude Eloyによる、精神性、政治性、宇宙観を電子音とコンクレート音で扱ったという代表作『Shânti』。1979年LP版では収録されなかった素材を大幅に追加した完全版で、全141分にわたる長大な音響ドラマ。厚みのある持続音やゆっくりと回転するノイズの渦が、長時間にわたって緩やかに変化し続ける中に、政治スローガン、戦場録音、インタビュー、儀礼的な声といったコンクレート素材が浮かび上がる。静けさの音楽ではなく、精神の内部で起こる葛藤、祈り、記憶、闘争を音で構築する儀礼的電子音響という印象が強い。作品全体が作曲者自身の精神的旅路としての性格を保ちながら、同時に政治性を扱う、欧州前衛電子音楽の文脈にありながら特異な位置を占める歴史的タイトル。

Ashra - Correlations Complete (5CD BOX)
Ashra - Correlations Complete (5CD BOX)MG.ART
¥7,539

Manuel GöttschingがAsh Ra Templeを発展的解消したのち、新たなメンバーを迎え、”Ashra”名義で発表した傑作『Correlations』に大量の未発表音源を追加収録した5枚組ボックス・セットが〈MG.ART〉より復刻リリース!1枚目は、1978年にフランクフルトの〈Panne-Paulsen Studio〉にてMick Glossopが録音/ミックスし、1979年に〈Virgin〉から発表された『Correlations』の90年同レーベルCDリイシュー盤のリマスター盤。2枚目は、Manuel GöttschingとUdo Arndtが1978年に録音/ミックスしたオリジナル盤を部分的に再録音し全面的にリミックスした『Phantasus』の初リリース盤。3、4、5枚目に未発表音源満載の『THE MAKING OF』を収録しています。

Cold Diamond & Mink - Organ-ized (CD)
Cold Diamond & Mink - Organ-ized (CD)Timmion Records
¥1,946

8月28日発売。フィンランドの名門〈Timmion Records〉を支えるハウスバンドCold Diamond & Minkが、Emilia Siscoのデビュー作『Introducing』の楽曲をオルガン主体のインストゥルメンタル・ソウルとして再構築した企画盤『Organ‑ized』。テンポは全体的にゆったりめで、ギター、ベース、ドラムは控えめに支え、Jimmy SmithやJimmy McGriffの系譜を継ぐオルガン奏者Mr. Sophisticated Fingersのオルガンが主役としてメロディを歌う。歌がないのに、恋愛ソウルの情感がしっかり伝わる語るようなインストになっているのが面白く、Emilia Siscoの原曲が持つ甘さや切なさが、映画のサウンドトラックのような落ち着いた世界観へと変換されている。部屋で静かに流しても、じっくり聴き込んでも楽しめる、ネオ・ヴィンテージ美学をそのまま体現した、温かくメロウなオルガン・ソウル集。

Yara Asmar - everyone I love is sleeping and I love them so so much (CD)Yara Asmar - everyone I love is sleeping and I love them so so much (CD)
Yara Asmar - everyone I love is sleeping and I love them so so much (CD)SOUND SHAPE
¥2,765

ベイルートを拠点に活動し、戦争や社会的緊張の中で「日常の音」を音楽に昇華してきたYara Asmarによるフィールドレコーディングと即興演奏を融合させた幻想的な作品『everyone I love is sleeping and I love them so so much』。アコーディオン、トイピアノ、シンセサイザー、即興的な打楽器に、鳥の声やベイルートの日常の環境音を取り込み、自然と音楽が溶け合った夢のように儚く、親密で内省的な音楽。金属の響きへのこだわりが強く、弓で擦る、爪弾く、こする、打つなど多様な方法で振動を引き出し、柔らかいきらめきと微かなざらつきが同時に立ち上がる。オルゴールやトイピアノの短いフレーズは、古い家の引き出しをそっと開けたような空気を運び、家族の声の断片は、誰かがそこにいた時間を静かに照らす。John Murchison、Gideon Forbesもゲスト参加し、音に厚みを加えている。聴く者を眠りと覚醒の間に誘うような現代的な音像。

John Also Bennett - Στoν Eλaιώνa / Ston Elaióna (CD)John Also Bennett - Στoν Eλaιώνa / Ston Elaióna (CD)
John Also Bennett - Στoν Eλaιώνa / Ston Elaióna (CD)Shelter Press
¥1,946

10月中旬再入荷。John Also Bennettによる、2019年の『Erg Herbe』以来となるソロ作『Ston Elaióna』が〈Shelter Press〉から登場!本作は、彼が現在拠点とするギリシャ・アテネで制作され、バスフルートと純正律によるYamaha DX7iiシンセを中心にしたエレクトロアコースティック作品で、早朝の静けさのなかで録音された音は、古代と現代が交錯するアテネの空気をそのまま封じ込めたような、詩的で内省的な響きを持っている。タイトル「Ston Elaióna(オリーブの木立にて)」が示す通り、土地の風景や歴史、都市の雑音、教会の鐘、嵐、家の中の出来事といった日常の体験と環境音が深く反映された、都市のアンビエンスやフィールド録音を織り交ぜた静謐な全9曲。ミニマルで感情豊かな音世界が展開される。現存する世界最古の楽曲「Seikilos Epitaph」のカバーをはじめ、宗教的な感情やギリシャ神話、土地の記憶が静かに反響するような雰囲気で、古代と現在、外界と内面を音で結ぶ。長年の漂泊と深いリスニングの実践が、ミニマルでスピリチュアルな音世界に結晶したような一枚。

Majesty Crush - Love 15 (CD)
Majesty Crush - Love 15 (CD)Numero Group
¥1,946

10月中旬再入荷。アメリカ・デトロイト出身のシューゲイズ・バンド Majesty Crush が1993年に発表した唯一のフルアルバム『Love 15』。轟音ギターとリヴァーブに包まれたヴォーカルによるシューゲイズ・サウンドと、メランコリックで幻想的なメロディラインのドリームポップ的な浮遊感をあわせ持った、90年代初頭のUSシューゲイズの貴重な記録。デトロイトのアンダーグラウンド・シーンから登場し、短命ながらも強烈な存在感を放った彼らの音楽が、現代のリスナーにも届く重要な再発。

Orgone - New You (CD)
Orgone - New You (CD)Colemine Records
¥1,946

ロサンゼルスを拠点に活動する現行ファンク・バンドOrgone。60〜70年代のソウル、ファンクを現代的にアップデートしてきた彼らの中でも、ファンの間でカルト的名作と語れてきた作品『New You』が、〈Colemine Records〉から2LP仕様で再発。重心の低いファンク・グルーヴが全編を貫き、タイトなドラム、太いベース、切れ味のあるホーン、そして曲ごとに異なる表情を見せる女性ヴォーカル陣が加わり、70年代黄金期のソウルを思わせる熱量がしっかり息づいている。アフロビート的なグルーヴィーな曲から、シネマティックなファンク、サイケ寄りのソウルまで、ヴィンテージ感と現代的なキレのバランスが絶妙。LAの多文化的な音楽背景を反映したカラフルで濃密なファンク・アルバムでありながら、家でも自然に聴ける、現行ファンクのクラシック。 

Jean-Claude Eloy - Réminiscences (4CD)
Jean-Claude Eloy - Réminiscences (4CD)Hors Territories
¥5,587

2017〜2019年に制作された、Jean-Claude Eloyによる大規模な電子音響による連作『Réminiscences』は、代表作『Yo-In』の音響世界を再訪しながら、Eloyの過去40年の素材、録音、思想を変容、統合させて新しい音響儀礼を構築した4枚組。船舶サイレン、火山や風雨の自然音、工業ノイズ、鳥の声、金属・木・皮の打楽器など、多様な音が電子音の持続と重なり、自然音と人工音が同じ平面で共存する抽象的な音響空間を形成する。打楽器はリズムではなく、音の粒子や衝撃として扱われ、電子音の波に散りばめられることで、音の変容そのものが作品の中心に据えられている。物語性は排除され、音の現象に集中することで、聴き手の感受性が徐々に研ぎ澄まされていく構造が特徴的。Eloy が長年探求してきた、聴くことの力、音の変容、儀礼的音響が、抽象的かつ深い形で結晶した重要作。自身のスタジオで制作された、創作世界の集大成とも言える一枚。

Jean-Claude Eloy - Anahata (3CD)
Jean-Claude Eloy - Anahata (3CD)Hors Territories
¥5,587

1980年代のEloyが、日本の声明と雅楽、そして電子音響を融合し、「打たれざる音=心の振動」をテーマに構築した大作『Anahata』が世界初の正式出版。天台、真言の僧侶による声明、篳篥、龍笛、笙の雅楽器、Michael Rantaのパーカッション、そしてEloy自身の電子音響がひとつの儀礼空間を形成する、比類なき音響作品。僧侶の声は音の柱として空間に響き、倍音がゆっくりと広がりながら電子音の持続と重なって巨大な音響の呼吸を生む。雅楽器は古代の響きを保ちながらも抽象的な音の色彩として扱われ、電子音の地層に溶け込むことで、伝統と現代が同じ平面で共存する独特の質感が生まれる。宗教音楽でも民族音楽でもない、音そのものが儀礼の役割を担う抽象的な音響儀礼として、Eloyの美学が深く結晶した重要作。

Jean-Claude Eloy Featuring - Yo-In (1980) (4CD)
Jean-Claude Eloy Featuring - Yo-In (1980) (4CD)Hors Territories
¥5,587

日本文化の「余韻」という概念を軸に、Jean-Claude Eloyが1980年に日本で制作した大作『Yo-In』が、ついに世界初の正式出版として4CDで登場。武満徹に招かれた滞在をきっかけに、響き、反響、心理的残響といった余韻の思想を深く掘り下げ、架空の儀礼のための音響劇として構築された作品。電子音の持続と反響がゆっくりと空間を形づくり、Michael Rantaのパーカッションが点描のように配置されることで、音は儀礼的な広がりを帯びていく。リズムや旋律ではなく、音の出来事が重なり、絡み、ほどける巨大な流れが中心にあり、長い時間軸の中で微細な変化が次々と現れる。Eloy自身が語るように、これは催眠的な音ではなく、意識の領域を拡張するための音響構造で、聴き手の感受性が徐々に研ぎ澄まされていく。シュトックハウゼンとの親和性を感じさせる長期的な構築美と、東アジアの響きの思想が交差する、Eloyの代表的な大作。

Eamon Sprod - Foil Void Join Avoid (2CD)
Eamon Sprod - Foil Void Join Avoid (2CD)Aposiopèse
¥3,546

Tarab名義で知られるEamon Sprodによる最新作『Foil Void Join Avoid』。都市の床、壁、天井、通路、家具、空調、紙、金属、埃といった日常の周縁にある物質を録音素材として扱い、環境そのものを音の共作者として提示する2枚組作品。自然の美しさを記録するフィールド録音とは対極にある、反自然主義的な都市音響の探求が貫かれている。ここで響く音は、場所の説明ではなく、場所が自ら発する振動そのもの。壁の反射、床の軋み、プラスチックの歪み、空調の低周波が層を成し、都市の内部構造が抽象的な音の圧力として立ち上がる。物質の触覚が強く、金属の擦過音や紙の微細な揺れが、まるで自律的に動いているように聴こえる。録音者が風景を描写するのではなく、環境が勝手に音を発し、聴き手の周囲に空間を形成していくような構造が特徴的。フィールド録音、ノイズ、サウンドアートの境界を横断しながら、都市の忘れられた場所や物質の存在感を音として浮かび上がらせる、現代都市音響。

Thomas Tilly - Birds Measuring Space (CD)
Thomas Tilly - Birds Measuring Space (CD)Aposiopèse
¥2,958

フランスのサウンドアーティストThomas Tillyが、コロンビア・リオクラロ自然保護区で録音した 洞窟性鳥類グアチャロの巨大コロニーを記録した作品『Birds Measuring Space』。鳥類では極めて珍しい可聴域でのエコーロケーションを持つ種で、その鋭いクリック音や叫び声が洞窟の壁に反射し、空間そのものを測定するような音響現象が立ち上がる。本作は編集や加工を一切施さず、現場で起きている音の構造をそのまま提示する点が特徴。数千羽が渦を巻くように集まる場面では、金属的なノイズが層を成し、自然音の美しさと暴力性が同時に現れる。さらに各トラックの間には、録音の残留ノイズやエコーロケーション信号の断片をネガとして扱った分析パートが挿入され、生物音とデジタル処理の境界が揺らぐ独特の質感を生む。鳥=美しい歌というロマン主義的自然観を批評しながら、自然環境の複雑な物理現象を音として提示する、フィールド録音と音響芸術の交差点に位置する一枚。

Mike Cooper - Stochastic Parrot (CD)
Mike Cooper - Stochastic Parrot (CD)Room40
¥2,487

長年、架空の土地の音楽を探求してきたMike Cooper が、さらに鮮やかな第四世界的エキゾチカを描いた新作『Stochastic Parrot』。ラップスティールの揺ライダ気配、歪むフィールド録音、断片化されたサンプルが重なり、まるで半分夢、半分記憶の風景がそのまま音になったような質感。さらにPierre BastienとMark Cunninghamのブラスが加わることで、儀式めいた気配や遠い街の影が音の中に立ち上がり、Cooperの架空の地理がより立体的に広がっていく。手打楽器、ドラムマシン、環境音が互いに衝突し、複数の夢が同時に進行するような多層のリズムが生まれるのも特徴的。ゆらめく熱気、夜の儀式の前触れのような不穏さ、ジャズ・フュージョンの亡霊がふっと現れる瞬間など、Cooperの音響世界がカレイドスコープ的に展開する不思議と心地いい一枚。

Push For Night - That Porous Line (CD)
Push For Night - That Porous Line (CD)Room40
¥2,487

Push For Nightによる、前作の重い暗さから一歩だけ外へ踏み出し、わずかな光を取り込んだ新作『That Porous Line』。その変化を決定づけたのが、長年の音の盟友David Daniellの参加。彼がもたらした有機的な美しさが、PFNの音をよりメロディックで自発的な方向へと再配置している。ギター、ベース、鍵盤、パーカッションを指で触れるリアルタイム演奏へ回帰したことで、加工の重さが少し軽くなり、音の中に柔らかい揺れや不完全な瞬間がそのまま息づく。とはいえ、PFNの核であるコラージュ的でちらつくエレクトロ・アコースティックの質感は健在で、薄暗い空間の中で幽霊のような音が動き、影が形を変えながら漂う独特の世界観が続いている。有機的な美しさとリアルタイム演奏の揺れを取り込みながら、独特の暗がりとコラージュ的質感を新たな角度で響かせた作品。

J.WLSN & Liam Keenan - Country/The Country (CD)
J.WLSN & Liam Keenan - Country/The Country (CD)Room40
¥2,487

シドニーの美術館で長く共に働いてきたJ.WLSNとLiam Keenanが、2024年末に友人のスタジオで録音した初のコラボレーション作品『Country / The Country』。ふたりが育った西シドニー〜ニューサウスウェールズ州の平野、山影、郊外という広い地形の記憶を、ギター、モジュラー、サンプルの長尺レイヤーで静かに描き出す一枚。乾いた倍音、かすかに歪んだ気配、霧のようなパッドがゆっくりと重なり、風景の空気そのものが音になったような質感。テープループの揺れやフェリックなノイズが、過去の記憶を曖昧にしながら少しずつ形を変え、時間の外側で漂う場所のスコアを作り上げていく。広い空、湿った郊外、遠くの山影が、抽象的な音の層として静かに立ち上がる。〈Room40〉の風景的アンビエントの流れにありつつ、ふたりの個人的な地理的記憶が核になった、静かで広がりのある長尺作品。

Lawrence English -  The Rest Is My Ghost (CD+BOOK)Lawrence English -  The Rest Is My Ghost (CD+BOOK)
Lawrence English - The Rest Is My Ghost (CD+BOOK)Room40
¥3,989

Lawrence Englishによる、『Wilderness of Mirrors』『Cruel Optimism』へと続く三部作の最終章として位置づけられる『The Rest Is My Ghost』。Swans、The Necks、Mats Gustafsson、Chuck Johnsonら多数の演奏者が参加し、重層的な倍音、濁りを含んだテクスチャ、声の粒子がゆっくりと積み重なり、巨大な音の風景を形成していく。美しい層の中に微かな汚れが混ざり、過去の記憶が変質していくような質感が印象的。楽器の輪郭はあえて曖昧化され、リバーブや干渉音によって誰の音か分からないが確かにそこにある幽霊的な響きが生まれる。静けさから始まり、徐々に圧力を増し、地鳴りのような質量へと変化する構造は、Englishが語る「未来の可能性を再び開くための音」の姿そのもの。政治的・文化的な批評性と、アンビエントの深い音響美が同居する一枚。

冥丁 - 瑪瑙 (CD)冥丁 - 瑪瑙 (CD)
冥丁 - 瑪瑙 (CD)KITCHEN. LABEL
¥3,520

国際的評価を集めるエレクトロニック・ミュージック・アーティスト冥丁が、
『古風』三部作を追伸し辿り着いた最新作『瑪瑙』をリリース。
公演を重ねる中で深化し続けた楽曲の構造が再編され、鮮烈な哀愁をもって結実した。

2020年から2023年にかけて発表された三部作『古風』において、冥丁は“自明でありながらも幽微な存在として漂う日本”の印象を「失日本」と名付け、日本文化から失われつつある感覚や記憶を現代的な感性で再構築してきた。最新作『瑪瑙』は、『古風』を追伸し、進化させた作品である。
 
長い時間をかけて層を成し、圧力と沈殿を経て形成される鉱物・瑪瑙の生成過程を音楽的思考の比喩とし、粒子が積み重なり、層をなし、やがてひとつの質感となるように、冥丁は過去の作品と向き合い続けてきた。
 
本作には、『古風』三部作の楽曲を再構築・拡張した作品群に加え、新曲も収録されている。日本・欧州・アジアを巡るツアーで、ライブハウスや文化財、歴史的建造物など多様な空間で演奏を重ねる中で変化してきた楽曲の構造や時間感覚が再編成され、現在の冥丁の視座から再提示されている。環境によって息遣いや佇まいを変え、時間の流れとともに革新してきた音。その堆積が本作に刻まれている。
 
20代の頃より京都に身を置き、自転車で町を巡りながら夜の路地や寺社仏閣、池に浮かぶ月影、暮らしの奥に潜む気配を見つめ続けてきた冥丁にとって、日本とは単なる固定された様式ではなく、辺りを漂い続ける印象であった。そこで着想を得た音楽を「失日本」と名付け、誰もが感じる言葉にならない繊細な感覚を音として提示してきた。
 
『古風』三部作は、民俗、怪談、演劇、忘却された都市の記憶といった断片を素材としつつ、単なる歴史の再現ではなく、現在の視点から過去を見つめ直す試みでもあった。『瑪瑙』では、その視線がさらに内側へ向かう。過去を参照するのではなく、過去を抱えながら今を前進する姿勢が鮮明に表れている。朽ちゆく音の層を漂う声、非伝統的に用いられる古楽器、明確な終止を持たない旋律。そこには、日本的感性を問い続けてきた冥丁の現在地が示されている。
 
本作のジャケット原画は、京都・西陣の唐紙工房「かみ添」による京唐紙作品を基に制作された。京唐紙とは、版木を用いて和紙に文様を写し取る、京都に古くから伝わる装飾技法である。平安時代より、寺社や町家を彩り、日本の美意識と共に受け継がれてきた。冥丁が「失日本」という視点から日本的感性を再解釈してきたように、「かみ添」もまた伝統技法を現代の感性で再構築している。本作では、その原画をもとにアルバムのアートワークの仕様として印刷再現している。
 
タイトルの書は、冥丁が自ら台北で声をかけたBio Xieによるもの。海外公演の折に台湾で感じた、現代の日本から失われつつある時代を越えて残る記憶の残り香。そのような背景とBio Xieの漢字表現が響き合い、本作への参加が実現した。
 
ライナー写真は、前作『泉涌』のビジュアルも手がけた写真家・岡本裕志によるもの。冬の海、孤高の断崖、砕ける波。それらは、広島で過ごした十年間の内面的な孤独な葛藤を象徴している。
 
マスタリングは、Flying Lotus、Madlib、J Dillaらの作品を手がけてきたKelly Hibbertが担当。
 
『瑪瑙』は、「失日本」という視点を掲げ続けてきた冥丁が、さまざまな経験を重ねた先に見出す現在の姿。
それは、時間の堆積の中から立ち上がる、新たな音楽の結晶である。

 

【Tracklist】(*カッコ内は説明)
 
1. 覇王(未発表新曲)
2. 新花魁(古風 2020年「花魁Ⅰ」再編成)
3. 新貞奴(古風 2020年「貞奴」再編成)
4. 新和蝋燭(古風Ⅲ 2023年「和蝋燭」 再編成)
5. 旧劇(古風Ⅱ 2021年「忍」「黒澤明」再編成)
6. 新花魁Ⅱ(古風 2020年「花魁Ⅱ」再編成)
7. 新江戸川乱歩(古風Ⅲ 2023年「江戸川乱歩」再編成)

V.A. - Archives GRM (5CD)
V.A. - Archives GRM (5CD)INA-GRM
¥6,469

フランス電子音楽の中心機関〈INA‑GRM〉が、創設30周年を機にまとめ上げた5枚組CDボックス『Archives GRM』。〈GRM〉から〈INA‑GRM〉へ改称した1974年から30年後の2004 年に編纂、ミュージック・コンクレートやエレクトロアコースティックの発展に決定的な役割を果たしてきた膨大なアーカイブから、GRM系重鎮作家の音源を収録。収録作家は、Luc Ferrari、Pierre Boulez、Bernard Parmegiani、Edgard Varèse、Iannis Xenakis、Philippe Arthuys、Ivo Malec、Dieter Kaufmann、Francis Dhomontなど、電子音響史を語る上で欠かせない巨匠がずらり。〈GRM〉が追求してきた音の研究の多様性と深さを一望できる構成に加え、80ページに及ぶブックレットに加え、各ディスクにも詳細な解説冊子が付属する、音響実験の歴史を体系的に辿れる決定版。

Byard Lancaster - Funny Funky Rib Crib (CD)
Byard Lancaster - Funny Funky Rib Crib (CD)Souffle Continu Records
¥3,486

1974年、パリで録音されながら長らく未発表だったByard Lancasterのファンク寄りセッション『Funny Funky Rib Crib』が、〈Souffle Continu〉により初の公式リリース。多楽器を自在に操るLancasterと、Keno Spellerのパーカッションが組み合わさり、〈Palm Records〉期の実験性とファンクが同じ軌道で響く。サックスは熱量を保ちながら、ファンク的な反復リフとフリージャズ的な飛翔を行き来し、フルートやバスクラリネットは柔らかい陰影をつくる。ピアノやオルガンは骨格を支えつつ、時にスピリチュアルジャズ的な高揚を生み出す。さらに電子処理が加わり、独特の質感が立ち上がる。Keno Spellerのパーカッションは儀式的な反復と跳ねるグルーヴを同時に生み、タイトルのFunny、Funkyが示す遊び心をしっかり支えている。フリージャズとスピリチュアル、ファンクの濃密な交差点。

Annea Lockwood - World Rhythms (CD+Book)Annea Lockwood - World Rhythms (CD+Book)
Annea Lockwood - World Rhythms (CD+Book)Room40
¥3,954

1975年に制作され、長らく入手困難だったAnnea Lockwoodの代表作『World Rhythms』が、〈Room40〉によって再構築・再発。5台のリール・トゥ・リールデッキと巨大なゴングを用い、自然界の音を多層的に重ねたマルチチャンネル・フィールド録音の最初期作品で、火山の轟き、波のうねり、カエルの合唱、沸騰音、鳥の声、遠くの機械音など、環境音を素材ではなく世界の脈動そのものとして扱い、音がゆっくりと重なり、ほどけ、また現れる壮大な音響風景を構築する。自然音がオーケストラのように響き、時間の流れそのものを聴くような環境音楽・サウンドアートの金字塔。オリジナル37分版に加え、6つのパートに再構成された新バージョンを収録。36ページのブックレットには制作背景や資料が豊富に掲載され、アーカイブとしても決定版と言える内容。

鈴木昭男 - Analapos (CD+Book)鈴木昭男 - Analapos (CD+Book)
鈴木昭男 - Analapos (CD+Book)Room40
¥3,954

底知れず深い音の清流を織り上げ続ける、世界的な評価も非常に高い日本のサウンド・アーティスト、鈴木昭男。Lawrence English主宰の名音響レーベル、[ROOM40]より、その記念碑的デビュー作「Analopos」が40周年を記念し、リマスタリング仕様で待望の公式再発!オリジナルはコジマ録音の自主盤ブランド、吉沢元治や佐藤聰明、East Bionic Symphonia等々、数々の現代音楽/アヴァン・ジャズの遺産の数々が残された[ALM Records]から80年に200枚限定でリリース、某マーケットプレイスでは16万以上で取引されていたこともある鬼レア盤。1979年に名古屋アメリカ・センターで行われたパフォーマンスをレコーディングした作品で、ヴォイスからターンテーブル、ガラス・ハーモニカ、そして、自身でデザインした創作楽器「アナロポス」を用いた一連の即興作品を2曲収録。数多くの現代作家を招聘した南画廊の画廊主、志水楠男氏に捧げられた一作でもあります。コラボレーターでもある名サウンド・アーティスト、Aki Ondaを聞き手に迎えた鈴木氏の長編インタビューや同作のヒストリーを掲載したブック(28P)も付属。限定盤。音楽の深遠へとそのまま連なる表題曲”Analapos”で是非撃沈してください。

鈴木昭男 Akio Suzuki - Stone (CD+Booklet)鈴木昭男 Akio Suzuki - Stone (CD+Booklet)
鈴木昭男 Akio Suzuki - Stone (CD+Booklet)Room40
¥2,897

底知れないほどに深い音の清流を織り上げ続ける、世界的な評価も非常に高い日本のサウンド・アート先駆者、鈴木昭男。Lawrence English主宰の名音響レーベル、〈ROOM40〉より、1994年にベルリンで録音されたアルバム『Stone』が30周年を記念し、待望の公式再発。1941年に平壌で生まれた鈴木氏による最初の作品は1963年に名古屋駅でバケツいっぱいの無作為な物体を階段から投げ落とししたものであり、その後、「投げる」と「追う」というプロセスを探求してきた同氏。本作には、その「投げて追う」という実践を記録した"Hinabi"という楽曲も収録されています。オリジナル録音からのリマスタリング仕様。長年のコラボレーターとして知られるDavid Toopのエッセイも収録。

David Shea - Meditations (CD)David Shea - Meditations (CD)
David Shea - Meditations (CD)Room40
¥2,487

John Zornや巻上公一などとの共作でもおなじみ米実験音楽界の大ベテランDavid Shea。実に14歳の頃から「洞窟」と音や儀式、仏教の教えの関連性へと魅了されてきた彼が、般若心経のテクスト、アンビエント、現代音楽、フィールド録音を緻密に組み合わせた、深い内省へと沈み込む音響作品『Meditations』。古いレコードの断片、声の影、電子音の揺らぎ。それらが丁寧に重ねられ、抽象的な物語性と儀式的な空気を生み出している。静寂とざわめきがゆっくりと入れ替わる構造は、まるで呼吸のように自然で、聴くほどに精神の奥へと導かれていく。瞑想的でありながら、どこか緊張感を帯びた音の流れは、Sheaの音で映画を作るような独自の手法が最も美しく表れた瞬間。外界の喧騒から離れ、内なる深層へと静かに沈んでいくための音楽。

Helen Svoboda - Headwater (CD)
Helen Svoboda - Headwater (CD)Room40
¥2,487

フィンランド生まれ、オーストラリア育ちの作曲家、ダブルベーシストHelen Svobodaによる最新作『Headwater』が〈Room40〉から登場。16の短い断片から構成される本作は、フィンランドの歌い手Selma Savolainen、シドニーのベーシストJacques Emery、そして電子音楽家Tilman Robinsonを迎え、2本のダブルベース、2つの声、そしてエレクトロニクスを軸に、記憶や自己の輪郭が揺らぎながら形を変えていくような独自の音世界を描き出す。Svobodaの低音は、ただ支えるだけでなく語るように動き、擦過音やハーモニクスが繊細な表情を生む。そこにSelma Savolainenの透明感ある声が重なり、北欧的な響きと現代音楽的な緊張感が同時に立ち上がる。曲はどれも短く、場面が次々と切り替わるが、断片が連鎖することでひとつの大きな流れが生まれ、夢の中で記憶が浮かんでは消えるような感覚を呼び起こす。ジャズ、現代音楽、サウンドアートの要素が自然に交差し、音が空間の中でゆっくりと形を変え、聴き手の意識の奥に静かに染み込んでいくような感触のある一枚。

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