Electronic / Experimental
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イギリス・ロンドンを拠点に活動する、Blackwaterのメンバーの一人によるソロ活動であり、フィールドレコーディングや環境音を素材に、コーンウォールの海辺や鉄道沿線など、場所や記憶にまつわる感覚的な音響世界を構築する作風で知られるThe Dengie Hundredの、過去のフィールドレコーディングや未使用の音素材を再構築し、記憶の断片を音で辿るようなアンビエント/実験音楽作品『Remnants』。環境音やテープの歪み、微細なノイズが織り込まれた音響は、明確な旋律やリズムを持たず、聴く者の感覚に委ねる流動的な構成をとり、アンビエント、エレクトロ・アコースティック、実験音楽の要素が混ざり合い、静かに深く響く。録音素材の経年変化や偶然性をそのまま取り込みながら、時間の層や空間の揺らぎを感じさせるサウンドスケープが展開され、タイトル通り「残されたもの」から新たな意味を紡ぎ出す詩的で内省的な音楽的探求の痕跡。
Visible Cloaksのスペンサー・ドーランによる「不確定性室内楽」プロジェクト、コンポニウム・アンサンブルの初リリース。紀元前に始まる自動生成音楽の概念をバーチャルスタジオ上で発展させ、未来の音楽構想と美的基準を先取りするかのような驚くべきサイバーヒューマンミュージック作品集です。
本プロジェクトは、古代ギリシャのアルキメデスに始まり、9世紀バグダッドのバヌー・ムーサー兄弟によって発展した自動演奏楽器の長い歴史から着想を得ています。後者は水圧を利用し機械的に制御されたフルートと先見性のあるプロト MIDI 構造を持つパンチカード機構という、プログラム可能な自動演奏のコンセプトを初めて完成させていますが、この機械的な音楽制作は、千年後、筐体それ自体で自動作曲できる「コンポニウム」という機械音楽システムを発明したディートリッヒ・ニコラス・ウィンケルによって偶然性の原理を用いて拡張されました。ドーランは《コンポニウム・アンサンブル》でこの系譜をさらに発展させ、デジタル技術で膨大な数の仮想楽器を自動化し不確定性の要素を導入する機能を活用することで、人間の衝動や恣意の限界を超えた仮想演奏者という「新たな形態の出現」に扉を開いています。このサイバーヒューマン・ミュージックともいえる形態の先駆者であるノア・クレシェフスキーに捧げられた『八つの自動作曲作品集』は、プリペアドピアノ、ハープシコード、チェレスタ、バスクラリネット、フルート、チェロ、バリ島のティンクリックなど、多岐にわたる楽器を複数の仮想アンサンブルで演奏しています。一見難解にみえる理論的基盤にもかかわらず、その音楽は聴きやすくかつ魅力的で、想像を超える広がりと新鮮さを持っています。軽やかなタッチと洗練された旋律感覚は、ポップスファンとクラシック/コンテンポラリー音楽のリスナーの双方に響くことでしょう。音源はドーランの長年のコラボレーターであるジョー・ウィリアムズ(Motion Graphics、Lifted)がミキシングを行い、音楽を視覚面から解説するハイパーリアリスティック・アートは日本のビジュアルアーティスト/グラフィックデザイナ ー、吉澤風生(Kai Yoshizawa)が担当。10インチ・レコード/CD/デジタルのリリースで、CDエディションにはカール・ストーンによるリミックスがボーナストラックとして収録されます。
=作品仕様=
+ DLコード付き
+ シュリンク封入、ステッカー
+ 解説:スペンサー・ドーラン、英語・日本語併記
TRACKS:
A1. ブロック(三台のプリペアド・ピアノと室内アンサンブルのための)
A2. エフロレッセンス(三台のボウ・チェンバロ、二本のバス・クラリネット、フルートとチェロのための)
A3. オートマタ(チェレスタ、グロッケンシュピールとスプリングタンク・ギターのための)
A4. ロージン(四本のギター、五本のチェロ、クラリネット、オーボエとボウ・ピアノのための)
B1. ダイニーマ(フルート・アンサンブル、ピアノとティンクリックのための)
B2. インスタニテイション (三台のプリペアド・ピアノ、弦楽四重奏と金管アンサンブルのための)
B3. エア(三本のバスクラリネット、一本のトランペットとスティールドラムのための)
B4. カイト(弦楽四重奏とティンクリックのための)

Visible Cloaksのスペンサー・ドーランによる「不確定性室内楽」プロジェクト、コンポニウム・アンサンブルの初リリース。紀元前に始まる自動生成音楽の概念をバーチャルスタジオ上で発展させ、未来の音楽構想と美的基準を先取りするかのような驚くべきサイバーヒューマンミュージック作品集です。
本プロジェクトは、古代ギリシャのアルキメデスに始まり、9世紀バグダッドのバヌー・ムーサー兄弟によって発展した自動演奏楽器の長い歴史から着想を得ています。後者は水圧を利用し機械的に制御されたフルートと先見性のあるプロト MIDI 構造を持つパンチカード機構という、プログラム可能な自動演奏のコンセプトを初めて完成させていますが、この機械的な音楽制作は、千年後、筐体それ自体で自動作曲できる「コンポニウム」という機械音楽システムを発明したディートリッヒ・ニコラス・ウィンケルによって偶然性の原理を用いて拡張されました。ドーランは《コンポニウム・アンサンブル》でこの系譜をさらに発展させ、デジタル技術で膨大な数の仮想楽器を自動化し不確定性の要素を導入する機能を活用することで、人間の衝動や恣意の限界を超えた仮想演奏者という「新たな形態の出現」に扉を開いています。このサイバーヒューマン・ミュージックともいえる形態の先駆者であるノア・クレシェフスキーに捧げられた『八つの自動作曲作品集』は、プリペアドピアノ、ハープシコード、チェレスタ、バスクラリネット、フルート、チェロ、バリ島のティンクリックなど、多岐にわたる楽器を複数の仮想アンサンブルで演奏しています。一見難解にみえる理論的基盤にもかかわらず、その音楽は聴きやすくかつ魅力的で、想像を超える広がりと新鮮さを持っています。軽やかなタッチと洗練された旋律感覚は、ポップスファンとクラシック/コンテンポラリー音楽のリスナーの双方に響くことでしょう。音源はドーランの長年のコラボレーターであるジョー・ウィリアムズ(Motion Graphics、Lifted)がミキシングを行い、音楽を視覚面から解説するハイパーリアリスティック・アートは日本のビジュアルアーティスト/グラフィックデザイナ ー、吉澤風生(Kai Yoshizawa)が担当。10インチ・レコード/CD/デジタルのリリースで、CDエディションにはカール・ストーンによるリミックスがボーナストラックとして収録されます。
=作品仕様=
+ 通常ジュエルケース、帯
+ 8頁ブックレット
+ 解説:スペンサー・ドーラン、英語・日本語併記
TRACKS:
01. ブロック(三台のプリペアド・ピアノと室内アンサンブルのための)
02. エフロレッセンス(三台のボウ・チェンバロ、二本のバス・クラリネット、フルートとチェロのための)
03. オートマタ(チェレスタ、グロッケンシュピールとスプリングタンク・ギターのための)
04. ロージン(四本のギター、五本のチェロ、クラリネット、オーボエとボウ・ピアノのための)
05. ダイニーマ(フルート・アンサンブル、ピアノとティンクリックのための)
06. インスタニテイション (三台のプリペアド・ピアノ、弦楽四重奏と金管アンサンブルのための)
07. エア(三本のバスクラリネット、一本のトランペットとスティールドラムのための)
08. カイト(弦楽四重奏とティンクリックのための)
=CDボーナストラック=
09. ブロック(カール・ストーン Remix)
90年代前半におびただしい数の作品を発表した後、表舞台から姿を消したこのアウトサイダー作家を、メディアアートで活動を共にした沖啓介の寄稿と、その作品を果敢に送り出した八幡書店の社主かつ本邦オカルト界のフィクサー、武田崇元のインタビューを交えて検証する(作品解説は江村幸紀)。今のアート文脈から無きものとして存在を抹消されるのなら、われわれがその記録を残すのみだ。
生前、ヘンリー川原が選んでいた収録曲は、挑発的で実験色強いものから、東南アジア音楽を用いたもの、サイバー感が充満したアンビエント、スピリチュアルなピアノ曲など多岐にわたるが、そこには精神世界とテクノロジーが怪しく交錯したカウンターとしてのオカルト精神が見え隠れする。本コンピレーション収録ほぼ全曲が既発版とヴァージョンが仔細に異なる作家のフェイバリット版および未発表曲で、VINYL版はLP2枚組、CD版はCDのみボーナスディスク2枚を付けた3枚組となる。これまで知る由もなかった、本邦サイバー・オカルトと初期デジタル・メディアアートをミクストしたヘンリー川原の真相(深層)に迫る!
=作品仕様=
+ CD 3枚組(マルチケース/36P ブック封入/特殊アルミ紙使用)
+ 解説:沖啓介(寄稿)、武田崇元(インタビュー)、江村幸紀
+ 日本語・英語掲載
+ 装丁デザイン: 2yang
「まるで2021年のコロナ禍の世に放たれるべく秘蔵されていたかのような、ポストパンデミックな”音泉"が世紀を跨ぎ遂に御開帳!!!!!!! いま、人類にとって必要不可欠なのは、変異株にも効くワクチンの接種と、故・ヘンリー川原の源泉を両耳から魂に直接かけ流す行為だ!!!!!!!」 — 宇川直宏(DOMMUNE)
![Sheriff Lindo And The Hammer - Ten Dubs That Shook The World [2025 Edition] (LP)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/a2800642370_10_{width}x.jpg?v=1754727952)
キング・タビーにエクスペリメンタル/インダストリアル成分を注入し発展させたDUBのためのDUBミュージック元祖、リンド保安官1988年名盤『世界を震撼させた十のダブ』2025年エディション。今回は新たに発掘されたPCM録音βカム・オリジナルマスターを用いた最新リマスター、CD版には 2005年初日本盤リリース時に好評だったボーナストラックを再び収録(※2013年版ボーナスとは異なります)。
オーストラリアの実験音楽アンサンブル、ループ・オーケストラの一員、アンソニー・メイハーがシェリフ・リンド(リンド保安官)の名で、セヴァードヘッズらの助けを借りて250枚制作した伝説的1stアルバム。レゲエ・マニアの度が過ぎたそのポストパンク実験精神はキング・タビーを飛び越え、デヴィッド・カニングガム、デヴィッド・トゥープらの英実験アヴァン勢、果てはインダストリアル・ミュージックの域をも侵蝕。1981年から1988年にかけ宅録された機材とテープの実験をまとめた『テン・ダブス...』は非ジャマイカン・ルーツ・ダブの金字塔であり、ジャマイカ由来の手法「DUB」が音楽ジャンルとして自律した以降のDUB作品の原型となる歴史的重要作です。『テン・ダブス...』を制作指揮したループ・オーケストラ主宰でオーストラリア・インディー要人ジョン・ ブレイズ(2011年逝去)、セヴァードヘッズ創設メンバーでループ・オーケストラ一員、リチャード・フィールディングス、そしてリンド保安官によるクロス解説は資料としても重要!
=作品仕様=
+ 12インチVINYL
+ 最新リマスター&高音質プレス
+ インサート付き
+ 英語・日本語解説掲載(2005年版・2013年度版と同内容)
+ シュリンク封入+ステッカー
TRACKS:
1. Dub House Of Horrors
2. ! (Dub)
3. Grossly Overweight Dub>
4. Fatal Dub
5. Dub Express
6. Dread-ging The River
7. And On The Seventh Day...Dub
8. Eastern Bloc
![Sheriff Lindo And The Hammer - Ten Dubs That Shook The World [2025 Edition] (CD)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/a2800642370_10-1_{width}x.jpg?v=1754728985)
キング・タビーにエクスペリメンタル/インダストリアル成分を注入し発展させたDUBのためのDUBミュージック元祖、リンド保安官1988年名盤『世界を震撼させた十のダブ』2025年エディション。今回は新たに発掘されたPCM録音βカム・オリジナルマスターを用いた最新リマスター、CD版には 2005年初日本盤リリース時に好評だったボーナストラックを再び収録(※2013年版ボーナスとは異なります)。
オーストラリアの実験音楽アンサンブル、ループ・オーケストラの一員、アンソニー・メイハーがシェリフ・リンド(リンド保安官)の名で、セヴァードヘッズらの助けを借りて250枚制作した伝説的1stアルバム。レゲエ・マニアの度が過ぎたそのポストパンク実験精神はキング・タビーを飛び越え、デヴィッド・カニングガム、デヴィッド・トゥープらの英実験アヴァン勢、果てはインダストリアル・ミュージックの域をも侵蝕。1981年から1988年にかけ宅録された機材とテープの実験をまとめた『テン・ダブス...』は非ジャマイカン・ルーツ・ダブの金字塔であり、ジャマイカ由来の手法「DUB」が音楽ジャンルとして自律した以降のDUB作品の原型となる歴史的重要作です。『テン・ダブス...』を制作指揮したループ・オーケストラ主宰でオーストラリア・インディー要人ジョン・ ブレイズ(2011年逝去)、セヴァードヘッズ創設メンバーでループ・オーケストラ一員、リチャード・フィールディングス、そしてリンド保安官によるクロス解説は資料としても重要!
=作品仕様=
+ 最新リマスター
+ CDボーナストラック
+ 16頁ブックレット、帯付き
+ 英語・日本語解説掲載(2005年版・2013年度版と同内容)
+ シュリンク封入+ステッカー
TRACKS:
1. Dub House Of Horrors
2. ! (Dub)
3. Grossly Overweight Dub>
4. Fatal Dub
5. Dub Express
6. Dread-ging The River
7. And On The Seventh Day...Dub
8. Eastern Bloc
CD BONUS TRACKS
9. Sky Dubbing
10. New Roots
11. Delicate Dub
12. Rolla
13. Bush Chant

ジャズとダブ・テクノの融合を追求する実験的音楽ユニットOttomani Parkerによる、ロンドンの実験音楽の聖地Cafe Otoで収録された2025年のライブ録音作品『Live At Cafe Oto』。ジャズ、ダブ・テクノ、即興演奏が交錯する音響的探求が60分にわたる濃密なセッションとして記録されており、Abraham Parkerのトランペット、Izz Karpelのサックス、Hayato Takahashiのピアノとシンセが重層的に絡み合う。リズムと残響が溶け合い、Basic ChannelやJon Hassell、Miles Davisの影響を感じさせるサウンドを捉えた録音は生々しく、観客の気配や空間の響きも含めて、演奏の即興性と緊張感をそのまま伝えている。Ottomani Parkerの音楽的ヴィジョンが、ジャンルを超えたアンサンブルによって鮮やかに立ち上がる一本。

タカオが長い月日をかけた待望のニューアルバムを携えて帰ってきた。『The End of the Brim』は、普遍的な聴きやすさを理想に掲げ、前作『Stealth』の抽象的エレメントから一転、具象的強度をもった曲、しなやかなリズム、メロディーの展開、洗練されたハーモニーに焦点を合わせている。タカオの未来を見据えたビジョンは、本作を他に類を見ないタイムレスな作品へと昇華させ、ポップミュージックの可能世界を示す。この不思議な「非絶対音楽」的アルバムを解読した柴崎祐二の解説も必読!
『Stealth』(2018年)、同作をセルフ・リメイクした『Stealth (Gold Edition)』(2021年)に次ぐ通算3作目、完全新曲では2ndアルバムとなる『The End of the Brim』は、『Stealth』発表直後に着手されました。小品を組み立てたトータルピースである『Stealth』と風景の違う、一曲一曲が強度をもち自立してもいる世界を構想したタカオは、自分にとってこれまでにない試みのため協力者を必要とし、DJのeminemsaikoをスーパーバイザーに起用。このチームでトライ&エラーを繰り返していく過程で、堀池ゆめぁ(「Music Room」)、クリステル・ベレ(「Fall」)、カラード・ミュージックの藤本敦夫(「Main Theme」)をヴォーカリストに迎え、ミツメの川辺素、細野晴臣やムーンライダーズ等の仕事でも知られるエンジニア、原口宏も加わってアルバムは精妙に彫刻されていきました。『The End of the Brim』は、形式上は音楽家の個人的なものを表明するはずの「ソロ」アルバムですが、その表明の様式は直接的なものではなく、そこには委嘱作を請け負うコマーシャルな職業音楽家へのオマージュというタカオのユニークな意志が埋め込まれています。ゆえに本作は、音楽理念を職業音楽家=客観的な遂行者という一種の概念を介して記述しようと試みた「自身が発注者でありその発注者であるところの自身を表明する標題音楽」といえるような二重・三重の手順を踏んだ重層的な作品です。皆さんの未来の密やかな愛聴作になることを願ってやみません。本作の装丁画は大谷透、デザインを坂脇慶が担当。
=作品仕様=
+ 12インチVINYL、高音質プレス
+ DLコード、インサート付き
+ 解説:柴崎祐二、英語・日本語併記
+ シュリンク封入+ステッカー
TRACKS:
Side A
1. Long
2. Mar
3. Music Room (歌詞と歌:堀池ゆめぁ)
4. ARP
5. SPE
Side B
1. Images
2. Fall (歌詞と歌:クリステル・ベレ)
3. CF
4. Main Theme (歌詞:川辺素、歌:藤本敦夫)
5. The End of the Brim

実験的エレクトロニック・ミュージックの先駆者として知られる伝説的バンドのSeefeel。1990年代初頭にロンドンで結成され、シューゲイズとエレクトロニックを横断する最も革新的なグループのひとつとして頭角を現した彼らは、重層的なサウンドスケープ、ミニマルなリズム、そしてアンビエントな感性で、本作『Pure, Impure』の後には、エレクトロニックやテクノを軸に多彩な作品を輩出してきた名門〈WARP〉からもリリースを残している。
今回初めてアナログ盤としてリリースされる本作には、1993年に〈Too Pure〉より発表された「More Like Space」「Plainsong」「Time to Find Me」の3作のEPを収録。Aphex Twinによるリミックスや、未発表デモ音源「Moodswing」も含まれた全11曲入り。リマスタリングは名門Abbey Road StudiosにてGeoff Pescheが担当し、アートワークも新たに再構築されている。
1990年から2014年まで山梨県の清里に存在した清里現代美術館。他に類例のない膨大なコレクションを常設展示した個人美術館であり、また同館はジョン・ケージを初めとする先鋭的作曲家の音楽作品の展示や蒐集も行っていた。この音楽に関する知識や情報を同館に提供していたのが、主に80年代日本の環境音楽の分野で知られるサウンド・デザイナーの広瀬豊であった。本作は氏が全面的に展示構成に協力、期間中会場内に流れるサウンドも手掛けた、同館1992年開催の"ジョン・ケージ メモリアル展”の資料を作品として再編集し復刻したものである。
広瀬が展示空間の為に制作した音源は、当時関係者にCD-Rで配布されただけであり今回が初の作品化。当時の作風としては珍しいケージの手法のオマージュや、騒音や日常の音を用いたミュージック・コンクレート、コラージュ作品など極めて先鋭的な楽曲で統一されている。
付属のA4冊子には展示に関する関係者のテキスト、広瀬豊の楽曲解説、展示風景の写真を掲載。(日本語/英語)
LA拠点の実力派ベーシスト/作曲家、Sam Wilkesが、自主レーベル〈Wilkes Records〉から届ける3作目は、2022年夏、初のニューヨーク公演を記録したライヴ・アルバム。タイトルはNYアンダーグラウンドのハブ「Public Records」のことで、この録音はその名にふさわしく、観客との間に交わされた空気感を濃密に閉じ込めたドキュメントでもある。Wilkes自身が「これまででいちばんグルーヴィーな作品」と語るように、本作では、彼の持ち味である温かく流動的なエレクトリック・ベースを軸に、柔らかくスウィングするアンサンブルが展開される。演奏はジャズ、アンビエント、R&B、ビート・ミュージックの境界を軽やかに横断しつつ、身体感覚に訴えかけるダイナミズムと包容力に満ちている。時系列的には、Sam Gendelとのコラボ作『The Doober』とLouis Coleとの共演作『Nothing』の間、そしてソロ作『iiyo iiyo iiyo』の直前という時期にあたり、Wilkesの音楽的成熟がグルーヴという形で結晶化している。オリジナル楽曲に加え、カントリー界の巨人Marty Robbinsによるバラード「Just Married」のカバーも収録。

ダブリンのポストパンク先駆者Stanoとマルチ奏者David KittによるコラボプロジェクトSDKの2025年作『Going Back To The Unknown』が〈All City Records〉から登場。ギター、テープディレイ、アナログシンセ、フィールドレコーディングなどを駆使した、深く没入的なサウンドスケープは、Stanoのポストパンク的な感性とKittの多彩な演奏技術が融合し、ジャンルを超えた音響実験といった趣き。Stanoの詩的かつ即興的な語りが音楽と対話するように配置されているように、制作は偶然性と直感を重視しており、録音の瞬間に生まれる空気感がそのまま作品に反映されている。アルバム全体を通して、言葉と音が互いに呼応しながら、明確な構造を持たずに流動的に展開していく様は、まるで夢の断片を辿るよう。音と詩が共鳴しながら自然発生的に生まれていく音響の旅のような一枚。
プロデューサー、DJ、マルチ・インストゥルメンタリストの Alek Lee による、ダブ、バレアリック・ディスコ、サイケデリックなグルーヴを融合させたインストゥルメンタル作品『Cold Feet』。本作は、揺らぐシンセ、重層的なパーカッション、バレアリック風のギター・フレーズ、ダビーなホーンを巧みに組み合わせたシネマティックなサウンドスケープで、スモーキーな質感と明瞭なリズム構造が同居し、聴き手に時間や空間の感覚を拡張させるような構成となっている。ループや反復の中に微細な変化や音響的な揺らぎを配置することで、単なるダンス・ミュージックに留まらない、繊細で奥行きのある音の層を形成している。約二十年にわたるDJやライブ活動、プロダクション経験による多様な音楽的影響と技術が結実した、フロア向けの躍動感とヘッドフォンでの没入感を兼ね備えた作品であり、さまざまな要素を横断しながら、Alek Lee のサウンドの深化を示す一枚。
12月中旬発売予定。
2024年3月に公開されたマヒトゥ・ザ・ピーポーの初監督作品『i ai』は、赤い色彩に彩られた異形の青春映画であった。
舞台は兵庫の明石と神戸。主人公となる新米バンドマンのコウ(富田健太郎)と、コウが憧れるヒー兄(森山未來)を中心に、生を死をめぐるストーリー
が展開される。それはマヒトの実体験を土台にしたものでもあり、現実とフィクションが二重写しになりながら、やがてその境界線はじわりじわりと融解し
ていく。共演はさとうほなみ、堀家一希、吹越満、永山瑛太、小泉今日子、K-BOMB、大宮イチなど個性的な面々。写真家の佐内正史による透明感あふれる
映像がこの作品に特別な情感を与えていたことも特筆すべきだろう。
映画のセオリーに囚われることのないその作品には、「壊れゆく社会のなかで他者と関わりながらどのように生きていくことができるのか」という、近年
のGEZANの作品やマヒトの文筆活動にも共通するテーマが投げかけられていた。私たちは決してひとりで生きていくことはできない。だが、他者と生きるこ
ともまた決して楽なことではない。世界の分断が極限まで進んだこの時代を私たちはどのように乗り越えることができるのだろうか?
監督のみならず、脚本や劇中音楽までマヒトが手がけたこの作品のなかで極めて強い印象を残していたのが、「i ai」と題されたメインテーマ曲だった。
GEZANの新曲でもあるこの曲は、ここ数年のGEZANの取り組みの延長上にあるもの。この12インチシングルはその「i ai」を収録しており、初のアナログ
リリースとなる。
柔らかなギターのアルペジオに導かれ、少しずつ熱を帯びていくその楽曲には、静けさと激しさを内包した映画のムードが凝縮されている。言葉にならな
い複数の声を束ねた合唱は、社会からこぼれ落ちた嘆きのようにも、歓喜の叫びのようにも聞こえる。GEZANは総勢15名のコーラス隊Milion Wish
Colectiveとの活動も展開してきたが、ここにはその活動で培われた感覚が活かされている。
また、この曲は9分8秒にわたるゆったりとしたダンストラックと捉えることもできるだろう。南米など各地で生み出されているオーガニックなダンスト
ラックと共通するものがあり、世界各地のグローカルミュージックを扱ってきたGLOCAL RECORDSから、それも12インチシングルというDJフレンドリー
な形でリリースされることにも意義がある。
B面にはGEZANとの縁も深いCOMPUMAによるリミックスを収録。アフリカ的なパーカッションで始まり、途中では親指ピアノなどを挟みつつ、ふたた
び印象的なあの合唱へと戻る。めまぐるしく起承転結が入れ替わる、18分18秒のショート・ムーヴィー。そんなドラマチックなリミックスである。
カッティング&マスタリングを手がけたのはDJとしても活動するTOREI。アートワークを手がけたのは東京在住のヴィジュアルアーティスト/グラフィッ
ク・デザイナー、jvnpey。彼らの愛情あふれる仕事ぶりもこの12インチを特別なものにしている。
「分断」という言葉の対義語をAIに問うてみると、「統合」「連結」「統一」「団結」「融和」という言葉が次々に表示された。どの言葉もどこか白々しく、
こそばゆいが、「i ai」という楽曲に鳴り響く蜃気楼のような合唱は、「分断」の対義語となる新しい言葉を探り当てようとしているようにも思える。映画
『i ai』では「エンドロールが終わった後も共に生きよう」というメッセージが投げかけられていたが、この12インチからは「音が止まったあとも共に生き
よう」というメッセージが浮かび上がってくるのである。
文・大石始(文筆家)
心理的緊張や不安をテーマにした、イタリアの作曲家Alessandro Alessandroniが1975年に手がけたライブラリー音楽アルバム『Angoscia』。タイトルの「Angoscia(苦悩)」が示す通り、陰鬱で内省的なムードが全編に漂っていて、 短く構成された楽曲群は、映像音楽のような雰囲気を持ち、場面ごとの感情を巧みに描写。イタリアの鉛の時代と呼ばれる政治的混乱期の空気を反映しているとも言われ、不協和音やミニマルなフレーズ、不穏なストリングスが、聴き手に不安感を与える。ギター、鍵盤、管楽器など多彩な音色を通じてAlessandroniの多面的な作曲技術が光り、商業音楽とは一線を画す芸術性の高いライブラリー作品として評価されており、映画やテレビのサスペンス・シーンにぴったりな音楽が詰まった、静かに不安を忍び寄らせるような緊張感に満ちた一枚となっている。

シアトルの名門〈Light in the Attic〉によるニューエイジ・リバイバルに多大な影響を及ぼした国産アンビエント集成『Kankyo Ongaku 』でも紹介された日本のアンビエント・ミュージックの先駆者、菅谷昌弘による87年の超入手困難なカセット作品『熱の風景(The Pocket Of Fever)』が、新興レーベル〈Ambient Sans〉より初のアナログ再発!小池博史設立の舞台芸術カンパニー/パフォーミング・アーツ・グループ〈パパ・タラフマラ〉の音楽監督としての舞台音楽の制作やNHKテレビ番組『中学生日記』の劇伴制作、編曲家としてのゴンチチのスタジオ・アルバムへの積極的関与、 〈GRM〉から委託された長編音響インスタレーションの制作まで、実に多岐に渡る活動を繰り広げてきた同氏。劇団のパフォーマンスのサウンドトラックとして制作され、公演で配布されていた大変希少な作品。本作収録楽曲のうち3曲は、先述の〈Light in the Attic〉から発売された菅谷作品のコンピレーション作品『Horizon, Vol. 1.』にもピックアップされています。伝統的な日本の音楽の要素と現代音楽の作曲技法、ポスト・ミニマリズムやフォーク、ラテンのフィーリングなどを独自のブレンドで折衷した、深く刺激的で親密な音の風景が広がる国産ニューエイジ大傑作!リマスタリング仕様。全国産アンビエント~環境音楽ファンマストアイテムです!

チリ出身でニューヨークを拠点とするサウンド・アーティストRafael Anton Irisarriによる、壮大さと繊細さが同居する現代のアンビエント/エクスペリメンタル音楽における金字塔的作品がリリースから10周年を記念してリマスター再発!今回の再発では、自然に囲まれた孤独な環境で制作され、内省的で深い没入感を持つ音響世界が展開される本作品が、2015年のオリジナル盤が持っていた静謐な美しさはそのままに、リマスタリングによって音の奥行きと繊細さがさらに際立ち、まるで空気の振動まで感じられるような仕上がりになっている。深く沈み込む低音と、微細に揺れるテクスチャが織りなす、圧倒的な没入感。静寂の中に響くメランコリックなメロディが美しく、聴く者の内面に静かに語りかけるような深みを持つ。新装されたアートワークも作品の世界観と呼応し、視覚的にもその静謐な美学を補完する充実の再発。

日本とも深い関わりを持つターンテーブル奏者/サウンド・アーティストdj sniffこと水田拓郎による2024年後半の即興ライブ録音を収めた作品『Turntable Solos』。 自作ソフトウェア「Cut ’n’ Play」を用いて、ターンテーブルを即興楽器として再定義する実験的ターンテーブル演奏を展開、レコード盤の物としての特性とデジタル処理が交錯することで、触覚的かつ直感的な音のコラージュが生まれている。特に本作は、前作のコンセプチュアルな深遠さから一転し、より直接的かつアグレッシブなアプローチが特徴的で、レコードの溝、針、モーターから生まれるノイズ、グリッチ、そして予想外の音響操作が、聴き手を引き込む強烈なサウンドスケープを形成している。音源の断片をリアルタイムで再構成し、演奏者の存在がそのまま音に刻まれる、ターンテーブル演奏の可能性を伝える一枚。

ドイツ・ミュンヘンの実験的音楽シーンで活躍するミュージシャンたちによる、クンビア、ダブ、フォーク、ラテンジャズ、ブラスバンドなどが融合した祝祭的かつサイケデリックなサウンドで知られるThe Alien Dub Orchestraが、孤高のダブ・アーティスト、Elijah Minnelliの楽曲集「Breadminster Songbook」をカバーしたアルバム『Plays the Breadminster Songbook』。本作でもThe Alien Dub Orchestraらしい音響世界が展開されており、ギロ、アコーディオン、スーザフォン、フルートなど多様な楽器編成による豊かなアレンジが魅力的。録音はライブ感を重視し、スタジオの枠を超えた自由な音楽表現が感じらレ、原曲のスピリットを保ちつつ、より生演奏的で有機的なグルーヴへと昇華している。ダブの空間処理とクンビアのリズムが融合し、聴く者を異国の祝祭へと誘う。Elijah Minnelliの世界観を拡張しつつ、The Alien Dub Orchestraならではの解釈が光る、ジャンルを横断する発見と驚きに満ちた作品。

大名門〈PAN〉からは、VENERAの2作目『EXINFINITE』が登場。本作は、KornのギタリストJames "Munky" Shafferと作曲家、映像作家のChris Huntによるプロジェクトの深化形で、前作で構築したシネマティックかつ多次元的な音世界をさらに進化させ、より重く、暗く、打楽器的な音像を追求している。また、ノイズやリズムの強度だけでなく、内面へと向かう神秘的・情緒的な要素も色濃く反映されているのが特徴。ノイズまみれのビート、破壊的なシンセ、ギターに、FKA twigs、Dis Fig、Chelsea Wolfeらの幽玄で情感豊かなボーカルが交錯し、ポスト・インダストリアル、ゴシック、テクノ、ノイズ、サイファイ・サウンドデザインなどが溶け合い、感情と物質の境界が曖昧になったような没入的世界を描く。ジャンルを越境しながら、闇と美しさが渦巻く、未来的で感情むき出しのサウンド!
なんとあのジムオルーク氏もラジオで紹介していたスウェーデンの電子音楽家Ragnar Grippeが、Terry RileyやSun Ra、Steve Reichの作品をも擁する音楽遺産級のミニマル宝庫Shandarからリリースしたミュージック・コンクレート~ポスト・モダン・クラシカルの大名盤、「Sand」がなんとこの度40年ぶりのヴァイナル再発です!
数々のアンビエント作家やミニマル音楽の意匠を受け継いだ20世紀最後のミニマリスト、Ragnar Grippeの世紀の作品がようやく21世紀にも日の目を見ました。元々はクラシック畑のチェロ奏者で、70年代初期にパリにて、Pierre SchaefferやPierre Henryにて創設された、当時の電子音楽の最先端を走ったGroupe de Recherches Musicales(GRM)にて学び、同じ頃交友を持ったLuc Ferrariから知識と機材を譲り受け、実験音楽スタジオl’Atelier de la Libération Musicale(ALM)を創設。本作は、インド出身の抽象画家、Viswanadhan Veluの作品に多大にインスパイアを受けて制作された一枚で、テープデッキ2台とギターにオルガン、カスタネットなどで構成される豊かな音色は没入感たっぷり。流れをわたる重厚なドローンの波に、おもちゃの楽隊が船を浮かべ、夢幻の空へと誘う極上インナートリップ体験。澄んだテクスチャーと童心に返る創造的な音世界に心ときめくこと間違いなしです。
Alexis Le-TanとJoakimによるプロジェクトFull Circleによるゴアトランス、ニューエイジ、初期レイヴの要素を融合した儀式的かつサイケデリックな最新作『Beyond Knowhere』が〈Good Morning Tapes〉から登場。Chris & CoseyやNu Grooveなどの影響を受けた音作りで、浮遊感あるステッパーやアシッド・ベース、ダブ処理が施された909ビートが特徴的。シタールやオーバートーン・シンギングが催眠的で身体的な高揚感を誘う「Odd Perceptions」、トリップ感のあるヴォーカル・サンプルとアシッド・ステップが融合し、クラブと精神世界をつなぐような音像を展開する「Painting Noise」、 Nu Groove風のデジ・ダブが展開され、サイケデリックな揺らぎが心地よい「Sharp Water」など多彩な内容を収録。『From Knowhere』の世界観を継承しつつ、より深い第3の場所=Beyond Knowhereへと誘う一枚。
イタリアン・ライブラリーミュージックの黄金期に生まれた、幻の逸品『Il Ponte Dell’Asia』が再発。1967年、コッラード・ソフィアによるTVドキュメンタリーのためにピエロ・ウミリアーニが制作したこの作品は、わずかにプライヴェート・プレスで流通したのみだったが、近年その評価は再燃。ミッドセンチュリーのヨーロピアン・ジャズと東洋的モチーフを融合させた、ウミリアーニの最もエキゾチックかつ映像的なサウンドスケープのひとつとして知られている。バンブー・フルートやヴィブラフォン、モーダルなメロディー、密やかなストリングス、そして淡くサイケデリックなリズム。これらが層をなして立ち上がる音像は、ヨーロッパからアジアへの旅情をたっぷりと含んでいる。旅情とアヴァンギャルドな実験性が奇跡的に交差したそのサウンドは、聴く者をまるで異国の夢に誘うような魅力にあふれている。オリジナル・テープからの高音質リマスターに加え、当時のアートワークを忠実に再現した充実のリイシュー!
