Electronic / Experimental
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「たとえば、みんな車のなかで聴いたり家で聴いたりすると思うけれど、より良い音でより良いテクスチャーでその音を体験できる時代がいまはある。それがニューエイジだと、私は思っているよ。」Brian Enoや細野晴臣とのコラボレーションでも知られるニューエイジ・ミュージックを代表する偉才、Laraajiの1978年デビュー作品『Celestial Vibration』からの選りすぐりの楽曲と当時のスタジオセッション6曲を収録した編集盤が〈Numero Group〉からアナログ・リリース。発見と驚きに満ちた『Glimpses of Infinity』は、ニューエイジで最も伝説的なアーティストの奇跡の年代記。完売した2023年の4xLPボックスセットの凝縮版となります。ニューエイジ・リバイバルにひらかれた全ての音楽好きの方へと手放しでレコメンドしたい一枚です!

各所で話題をさらった劇薬!ナイロビのアンダーグラウンド・メタル・シーンで長年活動してきた名アクトにして、Martin Khanja (Lord Spikeheart)とSam Karuguから構成されるケニアのグラインドコア・バンド、Dumaが、東アフリカ・ウガンダ拠点の先鋭的音楽フェスティバル/レーベル〈Nyege Nyege Tapes〉より、世界デビュー作として2020年に発表した名作。
ダンス x エクスペリメンタルを軸に尖鋭的な音楽をキュレーションしてきた名フェスティバル〈CTM〉にも出演。現地の言語では「闇」を意味するというその名を忠実に反映した、ダークサイドに根ざすエクストリーム・サウンドとアウトサイダー的なエネルギーを大放出、これは滅茶苦茶面白いです!〈Dubplates&Mastering〉でのマスタリング&カッティング。発売当時は即完売だったので、この機会を絶対にお見逃しなく!


ヴァージニア州、メヘリン川沿いに残る18世紀の酪農農場。2023年9月、この場所にノースカロライナ周辺の音楽仲間9人が集まり、家の居間と食堂を即席スタジオに仕立てて録音したアルバム『Diamond Grove』。Weirsは固定したメンバーを持たず、オールドタイム音楽とDIYノイズを自由に横断する共同体的な集団で、ここではSluiceやMagic Tuber Stringbandの面々を含む編成で、夜が更けるまで古い歌や旋律に取り組んでいる。彼らは、忘れ去られそうな古い楽曲を収集し、Guided by VoicesのようなインディーロックからJean Ritchieのようなフォークまで、幅広い影響を融合させており、その音楽は伝統を保存するのではなく、伝統をどう生かすかを問い直すもので、古い賛美歌をMIDI化してiPhoneスピーカー越しに鳴らし直したり、ゴスペルを納屋の残響ごと封じ込めたりと、音の場そのものを演奏と同等の要素として扱っている。その結果、古い旋律は再現されると言うよりも、今この瞬間にふっと立ち上がって、リスナーの前に姿を現すのように響く。本作は、農場の古い建物、土地の記憶、夜の虫の声までが音楽の一部になっており、トラッド/フォークの純粋性を疑いながら、それでも歌の命脈をつなぎ、今日の耳にどう届きうるかを模索している。その本質はフォーク・リヴァイヴァルよりもむしろミュジーク・コンクレートやローファイ実験音楽の感覚に近いもので、アウトサイダー・フォークの系譜にありつつ、地域性と現代感覚を交差させたユニークな一枚。
1968年、18歳のGenesis P-Orridgeが地元ソリハルの実家の屋根裏で、学校の友人たちと録音した初期音響実験の記録《Early Worm》が発掘、復刻!!当時アセテート盤で1枚だけプレスされたロウでフィルターのかかっていないサウンドスケープは、後のCOUMトランスミッション、スロッビング・グリッスル、サイキックTVへと続く創作の原点とも言える作品で、ノイズ、即興、テープ操作などを通じてサイケデリック、フルクサス、ジョン・ケージ、ビートニク・ボヘミアンからの影響を露わにしている。長らく行方不明だったが、近年アーカイブ整理中にRyan “Gelik” Martinによってマスターテープが発見され、オリジナルのオープンリールテープから直接マスタリングして限定アナログ盤でリリース。P-Orridge自身による60年代UKアンダーグラウンドの空気を綴ったライナーノーツ付き。「少なくとも、P-Orridgeの音楽へのアプローチは最初から大胆で異端だったことを示している。インクレディブル・ストリング・バンドのようなサイケデリック・フォークをより混沌としたようなサウンドだった」と評された、カオティックな宅録実験。Genesis P-Orridgeの愛好家や研究者たちにとって、その重要な構造的なテーマと音響的質感を明らかにする、失われたリンクのような重要作!

LAのトリオ Human Error Club と、アンダーグラウンド・ヒップホップ界の重鎮であるKenny Segal が組んだコラボ作品。Diego Gaeta(鍵盤)、Jesse Justice(鍵盤)、Mekala Session(ドラム)という変則編成のバンドが、Segal の自宅スタジオで自由にセッションした音を、Segal が編集・プロデュースしてアルバムに仕上げている。ベースが不在という制約を逆手に取ったこのトリオは、ジャズ、ビートメイキング、フリーなアフロ・アメリカン音楽といった多様な背景を持つメンバーが、即興を軸に探求的なサウンドを生み出しており、シンセやローズピアノの厚いサウンドに、生々しいドラムが絡み、Segal の機材や耳で磨かれた音響処理が加わっている。さらに billy woods や Moor Mother、ELUCID、Pink Siifu といったラッパーたちがゲスト参加し、バンドのサウンドに言葉の力を注いでいる。即興の勢いをそのまま封じ込めつつ、編集によって作品としてのまとまりを持たせた本作は、ジャズの柔軟さとヒップホップの強度が交差する、今のLAとNYのアンダーグラウンドを象徴するような一枚になっている。

1月中旬再入荷(12月下旬分は完売しました)。Meditationsでもお馴染みのAta Kakによる、1994年のカセット作品『Obaa Sima』以来となる、なんと新作『Batakari』が登場!あの奇妙で唯一無二な宅録カセットが、2006年にブログ「Awesome Tapes From Africa」に最初に取り上げられて以来、世界中のリスナーを虜にし、やがて2015年のリイシューを機にカルト的な人気から本格的な再評価へと広がっていった。長らく音楽活動から離れていたが、再発をきっかけに表舞台へ復帰した彼はロンドンのミュージシャンたちと共にグラストンベリーやソナーを含む世界各地でライヴを行い、世代も地域も超えた観客を魅了してきたが、本作『Batakari』の楽曲は、地元ガーナはクマシのスタジオで数年かけて制作されたもので、疾走感のあるラップや軽妙なスキャット、アカンの伝統的なハープ、そして強烈なパーカッションを自在に織り交ぜながら、以前よりもずっと緻密で重層的なサウンドを聴かせている。ヒップホップ的なラップやビートと、ハイライフ由来のリズムやメロディを組み合わせたヒップライフに、ローファイな電子ビート、シンセ、そして彼独特のスピード感あるラップやスキャットが入り混じる独特のスタイルはそのままに、より広がりのあるアレンジや多彩なハーモニーの導入によって、ワールド・ミュージック的な広がりも併せ持っており、彼の持ち味である自由奔放さと創造力の結晶と言うべき一枚になっている。

栗原ペダル、荒木優光、DISTESTによる、2009年結成のトリオ音楽グループ「NEW MANUKE」初のアルバム。
サウンドは主にサンプリングとコラージュ、シーケンスされたビートとループされたミキサーフィードバック、それらの上で極少量のポップスと共に破壊と脱構築を繰り返す。
ライブはまったく踊れないビートによる逆トランスの誘発。それらはライブハウスやクラブ、アンダーグラウンドと場所を変えては日夜、爆音で鳴らされる。
2009年にアニメーション作家の故・相原信洋氏とのコラボレーション。相原氏より大量のアニメーションデータを預かりNEW MANUKEのライブ時にVJとして使用。この時には未発表のプリミティブな新作アニメーションもプロジェクションされた。コラボレーション時の相原氏の名義は『サイケ相原』。
2011年、自主カセットテープ「nannomondaimonainiwa」をリリース。収録曲の『Junkroad Bandass』がライブペイント集団Whole9の360°Gopro動画に使用される。
2017年、goat率いるKoshiro Hino主催レーベルbirdFriendより東京のKuknackeとのスプリットカセット『Kuknacke/NEWMANUKE』をリリース。
2018年、カセットテープ『 iPad,lick finger and swipe,grandson gets angry 』をリリース。original mix、M/D/G remix、KAZUMICHI KOMATSU remixが収録。
2025年、初のアルバム『SOUR VALLEY』をリリース。
Pedal Kurihara(sampler、guitar、drum effect)
Masamitsu Araki(sampler、voice、mixer feedback)
Distest(sampler)

Death Gripsの創設メンバーとして知られ、その高速ドラミングで唯一無二のサウンドを構築する鬼才、Zach Hillがオーストラリアのノイズ/エクスペリメンタル・シーンで異彩を放つLucas Abelaによるコラボレーション・プロジェクトが〈Warp〉よりアルバムをリリース!
作品に収録された音源は、楽曲というよりも、広大でテクスチャーに満ちた音響フィールドである。ノイズは研ぎ澄まされたエネルギーに満ちた音の空間を生み出し、その激しさにもかかわらず、不思議な静謐さを宿している。HillのリズムはAbelaの持続的で断片化した倍音に屈折し、聴く者を絡め取る迷宮のような構築物を形づくっている。

(数量限定/日本語帯付き/解説書封入)ナラ・シネフロの来日公演を記念して、アンビエント・ジャズの傑作として名高いデビュー作
『Space 1.8』が日本語帯付きLPにてリリース!
米Pitchfork【Best New Music】 獲得!!〈WARP〉が惚れ込んだ新鋭 ナラ・シネフロ。ジャズの感性、ハープとモジュラー・シンセが奏でる、瞑想的なサウンドで称賛を集めるデビュー・アルバム!!
ロンドンを拠点に活動する、カリブ系ベルギー人の作曲家で、プロテューサー兼ミュージシャンのナラ・シネフロが、待望のデビュー・アルバム『Space 1.8』のCDを名門〈Warp〉からリリース。
本作は2021年9月にデジタル/ストリーミング配信、そして超限定数のみアナログ盤でリリースされ、Pitchforkが【Best New Music】に選出したのを筆頭に、主要音楽メディアがこぞって絶賛、あっという間に入手困難となっていた。
アルバムの作曲、プロデュース、演奏、エンジニア、レコーディング、ミキシングのすべてを、若干22歳のシネフロ自らが手がけ、モジュラー・シンセサイザーの他、ペダル・ハープも演奏している。
このアルバムで、彼女がコラボレートした友人たちには、サックス奏者のヌバイア・ガルシア、同じくサックス奏者でエズラ・コレクティヴで活躍するジェームス・ モリソン、ヌバイア・ガルシアも所属するマイシャからはギタリストのシャーリー・テテとドラムのジェイク・ロング、サンズ・オブ・ケメットのドラム、エディ・ヒック等、現代UKジャズ・シーンを牽引するリーダー的存在が顔を揃えている。
楽曲名の通り、それぞれの曲に吹き込まれた “スペース” は、暖かい光に満たされた部屋でレコーディングされた。アルバム制作中、彼女は、色のそれぞれ異なる周波数を引き出すために、溌剌とした色彩を思い浮かべた。それは共感覚 (ある音である色を感じるというようなこと)の世界で、それをリスナーが逃避して没入できる空間として提供している。どの楽曲も、最初のテイクで、何か食べたり、談笑したり、瞑想した後でレコーディングされている。
「Space 1」は、黄色やオレンジに光り輝くゼロ地点で、彼女が家と呼ぶ様々な場所について描かれている。それは、彼女が子供の頃によく遊んだベルギーのソワーニュの森を思い起こさせるサウンドだ。やがて曲調はもっと湿り気のある音風景に取って代わる。それは彼女の家族が住んでいたマルティニーク島のサン=ジョセフにある緑豊かな山の尾根を表現している。
黄暗青色の霞に包まれた「Space 2」は、蛹のような変化の空間で、柔らかなキーボード、キラキラと揺らめくギター、低音域と高音域の間を滑らかに歌うサックスを経て、曲の後半で鳴り響くシンセサイザーに導かれ、自由落下する至上の喜びが広がっていく。
アルバムは「Space 3」で遊びの領域に着地する。ここではドラマーのエディー・ヒックとプロデューサー兼マルチ・インストゥルメンタリストのドゥェイン・キルヴィングトンとの3時間におよぶ即興演奏が短く切り取られている。
焦げたオレンジ色を想起させる「Space 4」は、ジャン=ミシェル・バスキアの作品にインスパイアされており、純真無垢なサウンドに溢れている。
「Space 5」のパルス音は、ジェイク・ロングのドラムを加工しており、鼓動をイメージしている。
「Space 6」もまた長時間の即興セッションから生まれた。ここでは故意に調子外れにした音の効果が素晴らしく現れ、濃い青と紫が頭上で渦を巻き、下から上昇するように展開するサックスと推進力のあるパーカッション、そして後半では左右にパンするシンセサイザーが溶け合うように一つになっていく。
「Space 7」は献身と祈りのための聖域であり、夏の間の瞑想の直後、真夜中に作られた楽曲だ。金色とピンクの色調を持つこの曲は、彼女が奏でるハープと様々なシンセサイザーの組み合わせによるソロ曲となっている。
アルバムは、黄色のベルベットと新しい夜明けの幻想を包 み込むような「Space 8」でクライマックスに達する。
モジュラー・シンセを通してレコーディングしたハープ音をさらに10層と、モジュラー・シンセのサウンドを8層と、そして自ら演奏したギターを7層を重ねて完成させている。この曲は、音響心理学に対するシネフロのユニークなアプローチを基に、音の持つカタルシスを表現している。深い広がりとシンプルさの絶妙なバランスが未来的な新しい創作を示唆するサウンドは、アルバム全体にも共通している。
圧倒的な存在感を放ち続ける孤高の天才
ブリアルがダブルAサイドシングルをリリース
2006年の傑作デビュー・アルバム『Burial』、そして「今世紀の最重要エレクトロニック・ミュージック作品」として最大級の賞賛を獲得した2007年のセカンド・アルバム『Untrue』という2つの金字塔を打ち立て、未だにその正体や素性が不明ながらも、多くの音楽ファンを魅了し、また多くのアーティストに影響を与えてきたブリアル。トム・ヨーク、フォー・テットとのスプリット作品やマッシヴ・アタックとのコラボレーションでも大きな話題を呼び、最も重要な音楽家として時代やジャンルを超えて人々を魅了し続けてきた彼が、最新シングルをリリース!
そこ知れなく幽玄で深遠なサイケデリアの極地「Comafields」、タイトルが示す通り壮大なスケールとブリアル印のテクスチャーが堪能できる「Imaginary Festival」という10分越えの2曲を収録したダブルAサイド仕様。今回も両楽曲共にブリアルだけが生み出すことのできる世界観が唯一無二の仕上がり。

2月下旬入荷予定。幼少期からダンサーとして活動し、空間感覚や身体性を音楽に反映させる活動で知られるアメリカの作曲家/サウンドアーティストChantal Michelleによる最新作が〈Shelter Press〉からリリース。本作は、作曲=振付という独自の視点から、リバーブやディレイによる奥行きや、パンニングによる左右の動き、生楽器の響きと電子音の組み合わせによる質感のコントラストなどを用いて音を空間的に配置し、互いに関係し合いながら変化していく構造を持つ。音を時間だけでなく空間的な存在として捉え、互いの距離や動きを設計することで、立体的な聴取を生み出している。Stephan Mathieuによる高品質マスタリング、Schnittstelle Masteringでカッティングというプロダクション面でも作品の世界に存分に浸れる万全の仕様。
ルーマニアのミニマル・テクノ、アンビエントの重要人物で、ダンスミュージックと現代音楽の境界を行くPetre Inspirescuが、2015年に〈Mule Musiq〉からリリースしたアンビエント作品。ピアノ、ストリングス、管楽器などの生楽器をを取り入れ、静謐でチルアウト的な空気感のリスニング志向のサウンドで、ルーマニア語で「雨が降る」というタイトルにふさわしい、内省的で詩的な雰囲気が漂う。ダンスミュージックと現代音楽の境界を探る彼の姿勢を鮮やかに示すとともに、ルーマニア・ミニマルの新たな可能性を提示した一枚。



Mark FellとPat Thomasによる初のコラボレーションで、電子音楽とジャズ即興が交錯する、知的かつ感覚的な音響による対話『Reality Is Not A Theory』。シェフィールドの電子音楽シーン出身で、構造的抽象性を追求するMark Fellとジャズと現代音楽に精通した即興ピアニスト/電子音楽家Pat Thomasの両者のアプローチは対照的でありながら、音楽をただ流れるものではなく、構造化されたものとして捉える姿勢が共通しており、長尺のライブ即興が中心とした各楽章は、計算された構造と予測不能な展開が同時に存在する揺らぎの空間を形成している。音楽を通じて「時間とは何か」「主体とは誰か」を問い直す哲学的な実験であり、聴く者にもその問いを投げかける知覚の冒険ともいえる一枚。

これまでに100枚以上の作品を発表してきた多作な実験音楽家Richard Youngsによるアンビエント最新作『Hidden』。本作ではMoog Grandmotherシンセサイザーによるランダム化されたアルペジオが核となっており、反復的で催眠的なパターンは、クラウス・シュルツェやタンジェリン・ドリームなどのクラシック作品を思わせる電子的質感。Richard Youngs特有の「アイデアを徹底的に追求する」スタイルが貫かれ、シンプルながら深い表現となっている。ベルリン・スクール的な電子音楽の伝統を継承しつつ、現代的で瞑想的な一枚。

オリジナルは$300以上の値を付ける激レア盤!AMMやGruppo di Improvvisazione Nuova Consonanzaと並び、世界初の実験音楽家コレクティヴのひとつであるMEVことMusica Elettronica Vivaをフレドリック・ジェフスキー達とともに66年結成、半世紀以上にも及ぶキャリアを誇る、現代の実験音楽界において最も重要な作曲家であるAlvin Curranが、Roberto LaneriやGiacinto Scelsiらとともに運営していた短命なレーベル〈Ananda〉から78年にリリースしていた名作が初となるアナログ・リイシュー!『Songs and Views from the Magnetic Garden』(1975年)、『The Works』(1980年)、『Canti Illuminati』(1982年)といったタイトルに続く、1970年代から1980年代初頭にかけてアルヴィン・カランが発表した4つのソロ・レコーディング・シリーズの第2弾に当たる作品で、ミラノの交差点をイメージし、75年の4月に〈RCA Italiana Studios〉に録音されたアルバム。フィールド・レコーディングと、シンセサイザー、様々なアコースティック楽器、声による演奏を組み合わせ、ゆったりとしたテンポで夢の様なシークエンスへとアレンジした傑作。リマスター・オーディオ仕様。Alvin CurranとFrancis Plagneによる新規ライナーノーツが付属。

1970年代末から交流を持ち、ポストパンク/アヴァン・ポップの文脈で活動してきた音楽家同士であるPeter Gordon(Love of Life Orchestra)とDavid Cunningham(Flying Lizards)による、ポストモダンな実験精神とポップの遊び心が交錯する、ユニークな音響作品『The Yellow Box』。本作は、サックス、フィールドレコーディング、電子音、語りなどが交錯する多層的な音響構造とともに彼らの過去の断片的なアイデアや未発表素材を再構成したコラージュ的アルバムであり、脱構築的なリズム、再配置されたメロディ、そしてユーモアを帯びた音響実験が展開される。各トラックは1〜5分程度の短編で構成されており、断片的ながらも全体としてひとつの箱庭的世界を形成している。タイトル『The Yellow Box』が示すように、本作は“箱”というメタファーを通じて、音の収集・分類・提示という行為そのものを問い直す作品でもあり、この箱を開けることで、ポップと実験、過去と現在、構造と偶然が交錯する音響の迷宮へと誘われるような一枚。

イタリアのエレクトロアコースティック作家Giuseppe Ielasiと、マンチェスター拠点の作曲家Jack Sheenによる初めての共作『The Vestige』が〈Black Truffle〉より登場。本作は、二人に共通する「輪郭の曖昧な音」「どこにも属さない響き」への関心を出発点として、Sheenのアコースティック音源とIelasiのギターの断片を素材に、13曲の無題トラックを構築。素材は徹底的に加工され、音の質感そのものが主役となっている。音の解像度を下げ、どこまでも曖昧にすることで、聴き手は音の意味ではなく、存在感に耳を澄ませる。電子ともアコースティックとも言い切れない、感覚の中間地帯を漂う作風は、音が音であることの深みを追求すると同時に、曖昧さの美を描くような一枚。

Keita Sano主宰の〈Mad Love〉より見出された東京の3人組にして、じゃがたら、キミドリ、戸張大輔、さかな、裸のラリーズ、Laraajiなどを始めとしたアーティストたちからの影響を受けているというWool & The Pantsが、〈PPU〉より発表したデビューEPがカセット化!Yu Tokumo (ギター、ボーカル), Kento Enokida (ベース)、Aki Nakagomi (ドラム)から構成されるこの人たち、本当に素晴らしいです!どこまでもクセになる絶妙に"ズレ"た音のヴァイブス。脱線したポスト・パンク観からテン年代の宅録ベッドルーム/ローファイ・ムード、サイケデリック、ソウル、ダウンテンポなどが奇跡的なバランスで配合されたレフトフィールド・ポップス傑作..!!! 幅広いリスナーに推薦したい内容です!ボーナストラック4曲を追加収録。

デンマークのミニマル・アンサンブル、Copenhagen Clarinet Choirと作曲家Anders Lauge Meldgaard のコラボレーション・アルバム《Jeux d’eau》をリリース
《Jeux d’eau(ジュ・ドー)》は、実験的アンサンブル Copenhagen Clarinet Choir と、デンマークの作曲家・演奏家 Anders Lauge Meldgaard による探究的なコラボレーションから生まれた作品です。中心となるのは Meldgaard による作曲と、日本発の電子楽器 New Ondomo の演奏。この楽器は1920年代後半にフランスで生まれた最も古い電子楽器のひとつ オンド・マルトノ に着想を得て開発されたもので、Copenhagen Clarinet Choir の鮮やかなエネルギーと冒険心が、Meldgaard の音楽的ヴィジョンに生命を吹き込んでいます。
プロジェクトの着想源となったのは、イタリア・ティヴォリにある Villa d’Este の庭園を Meldgaard が訪れたことに始まります。この場所はかつて Franz Liszt や Maurice Ravel にインスピレーションを与え、彼らは同名のピアノ曲《Jeux d’eau(水の戯れ)》を作曲しました。本作もその系譜を受け継ぎながら、新たな音の旅へと聴く者を誘います。従来の作曲家たちが厳格な構造に重きを置いていたのに対し、Meldgaard はより開かれた形式を採用し、演奏者が即興的に関与できる余地を残しています。
こうした柔軟性が、ミニマル・ミュージック特有の反復の性質に、よりしなやかで心地よい響きを与えています。
コペンハーゲンの The Village で録音されたこのアルバムでは、クラリネット・クワイアの有機的な共鳴と、New Ondomo および電子音の予測不能なテクスチャが交錯する音響体験が展開されます。
《Jeux d’eau》は、構造と自由、前進と反復を絶妙に行き来する音楽です。Terry Riley や Steve Reich といったアメリカの古典的ミニマル・ミュージックに影響を受けながらも、単なる模倣にとどまらず、後期ロマン派的な抒情性を帯びたメロディと豊かなハーモニーにより、反復の厳格さがやわらげられています。加えて、Jo Kondo や Sueko Nagayo のような日本の作曲家に通じる繊細さと明快さも感じられます。作品全体は、躍動と静寂が交差する、遊び心と深みを兼ね備えた音世界を生み出しています。
この作品は、水への賛歌であると同時に、人間と自然の繊細なつながりに対する静かな問いかけでもあります。流れるような形とオープンな記譜法により、音楽は自然のダイナミクスを映し出す鏡のような存在となり、演奏者には即時の気づきと、協調、バランスへの配慮が求められます。水のように、音楽もまた変化し続けるものであり、私たちの環境が常に移ろいゆく存在であること、そしてそれを守る責任があることを、優しくも力強く伝えています。
庭園の黄昏 - Every Dog Has His Day」「睡眠の計画 - Plan For Sleep」に続く、初期ダムタイプ音楽作品復刻プロジェクト第3弾。 本作は、1987年に兵庫県尼崎市・つかしんホールで開催された、ダムタイプ初の大規模展覧会『Suspense and Romance』の会期中に、展示会場で行われたライヴ・パフォーマンスの音源を収録したカセットテープ作品です。
山中透がダムタイプとして初めて全楽曲の作曲・制作を手がけた本作は、サックス奏者・ハリー切手氏とのコラボレーションから生まれた音楽プロジェクトを記録しています。 “サスペンスとロマンス”というテーマのもと、ジャズやシネマティックな叙情性と、ポスト・ミニマル以降の冷たく抽象的な音響が交錯する、山中らしいコンポジションに、切手氏による印象的なサックスのフレーズ、シーケンサーやサンプラー、PCM録音を用いた音作りが重なり、その後の「S/N」まで続くダムタイプ・サウンドを象徴する音響イメージが、この時期にすでに形成されていることに気づくでしょう。
さらに、当時の貴重な写真やドローイング、メンバーによる座談会を収録した、50ページ超のブックレットが付属。カセットブック仕様でのリリースとなります。 本ブックレットは、初期ダムタイプ・メンバーらによる「Early Dumb Type Archive Project」の主導のもと制作されたもので、初期ダムタイプの活動を多角的に捉える貴重な資料となっています。
カセットブック(箱入り)
カセットテープ:全10曲・48分収録 DLコード付
ブックレット:50ページ超(写真・ドローイング・小山田徹×高谷史郎×穂積幸弘 座談会ほか収録)
