NEW ARRIVALS
1328 products
京都木屋町のレトロゲームカフェ「cafe la siesta」店主であり、チップチューン界の重鎮として長年シーンを牽引するDJ/プロデューサーMaster Kohtaが〈KUMARU Records〉より発表した待望のアナログ7インチ『Mr. Maxmetal』!「Chiptune + Footwork = Chipwork」というコンセプトを掲げ、ゲーム音楽とシカゴ発祥の高速ダンス・ミュージックのまさかの融合を提示する注目作。
実験ギター界の重鎮Loren ConnorsとElliott Sharp、そして新世代の音響探求者Michael Valleraによる、共同即興を実践し、ギターという楽器の輪郭を溶かし合いながら、ひとつの巨大な音響体を形成していく初共演ライブを収めた『When The Moon Is New』。Connorsのブルース由来の揺らぎ、Sharpの複雑なプラック、Valleraのテクスチャー的な音の層が、判別できないほど自然に絡み合い、音は個々の演奏ではなく集合体としての振る舞いを見せる。微細なノイズ、倍音の尾、擦過音が空間の奥行きを描き、広がりのある音響がゆっくりと立ち上がる。緊張と静けさが同時に存在し、3人が互いの動きを聴きながら音を置いていく慎重な姿勢が、演奏の密度を高めている。ギターの可能性を拡張してきた3人が、世代を越えて作り上げた抽象音響の記録。個々の声部が溶け合い、新しい第四の思考が生まれる瞬間を捉えた、現代即興ギターの重要作。

ポストロックの象徴的存在Tortoiseが2001年に発表した4作目『Standards』。複雑なリズム構造と緻密なアンサンブルが、よりシャープでモダンな音像へと進化。冒頭「Seneca」では、二人のドラマーが織りなすポリリズム的な推進力が一気に空気を変え、ギター、ヴィブラフォン、シンセが立体的に絡み合う。「Eros」「Benway」ではミニマル・ミュージックのような反復がジャズ的な柔軟さと結びつき、音が形として浮かび上がるような構築美が際立つ。後半の「Monica」「Speakeasy」では、電子音のテクスチャと生演奏の温度が自然に交差し、都市的でクールなムードが漂う。Tortoise が2000年代初頭に到達した精密さと大胆さのバランスを示す、ポストロックの枠を超えた、今聴いても新鮮なモダン・アンサンブルが詰まった一枚。

2026年リプレス!〈Thrill Jockey〉からの当時盤アナログは現在激レアな一作が遂に再発。これぞ、まさにエクスペリメンタルの一つの頂点。ロックからダブ、ジャズ、エレクトロニカにいたるまでの要素を呑み込みながら、約30年もの長きにわたり、ロックの定義を拡張してきた名バンドTortoiseが1995年にリリースした傑作『Rhythms, Resolutions & Clusters』が待望のアナログ復刻!90年代後半のリミックス作品の先駆けとなった一枚。リミックスにはJohn McEntire、Steve Albini、Jim O’Rourke、Mike Watt (Minutemen)、Brad Wood (Liz Phair)といった豪華面々が参加。トータス初期の代表的な楽曲の極上なRemixが満載。デラックス・チップオン・ジャケット仕様。

東京を拠点に活動する声の即興家Ayami SuzukiとギタリストRob Noyesが初めて出会い、わずか1時間ほどの即興セッションで録音されたという奇跡のデュオ作品『Classic Fevers and Chills』。事前に作曲も打ち合わせもせず、Rob Noyes自身が「ギターのチューニングだけ変えて、そのまま録った」と語っているにもかかわらず、7曲それぞれに明確な表情があり、まるで長年のデュオのような呼吸の一致が感じられる。声とアコースティック・ギターだけという最小限の編成ながら、静けさの中に濃密な緊張と温度が宿る。Ayami Suzukiの声は、言葉と息のあいだで、祈りのような響きから、風景の一部のような微細な音まで自在に変化。Rob Noyesのギターはラガ風のフレーズやタコマ系フィンガーピッキングが流れるように展開し、倍音が空間に広がる。録音は極めて生々しく、目の前で演奏しているような距離感の近さと、夢の中の民謡のような不思議な時間の流れが生まれている。
Sun Ra Arkestraの黄金期を支えたベーシストRonnie Boykinsが、1974年に録音した唯一のリーダー作『The Will Come, Is Now』。〈ESP‑Disk〉が活動休止に入る直前に残した重要タイトルで、フルート、複数のサックス、トロンボーン、コンガ、パーカッションを含むセプテットで、Boykinsの作曲家としての幅広さと、低音の重心を軸にしたアンサンブル構築が前面に出ている。Sun Raの宇宙的な和声感の名残もありつつ、演奏の骨格はより地に足がついていて、モーダルな反復から開放的な即興、集団インプロまで自然に切り替わる流れが魅力。Boykinsのベースはグルーブとメロディ性を同時に担い、フルートやサックスが色彩を変えながら重なり、コンガやパーカッションが柔らかい揺らぎを加えることで、小さなオーケストラのような厚みが生まれる。スピリチュアル・ジャズの霊性と、ミンガス的なアンサンブルの強度が同じフレームで響く、70年代前衛ジャズの中でも特異な一枚。

2011年、東日本大震災後に日本人アーティストMarterがNYのYonyを訪れた際のセッションを起点に、長い年月を経て形になったアナログ録音のダブ作品『Rhythm Matter』が、EPや未発表曲を加えたDeluxe Editionとして再構築。カセット、4トラック、リール・トゥ・リールで録られた素材をPro Toolsで丁寧に編集した制作工程が、テープ特有の丸い低域や柔らかいエコーをそのまま音像に残している。Basic ChannelやRhythm & Sound、King Tubbyへの明確なリスペクトがあり、ダブの重心とディープハウスの浮遊感が自然に重なるグルーヴが特徴。ベースは波のようにうねり、ギターやキーボードは淡い残響をまといながら空間を照らし、ライブ・ダブの呼吸がそのまま録音に刻まれたような生々しさがある。ベルリンとキングストンの系譜を理解したダブ・テクノとも評された、2018年のデジタル版で話題となった作品を、デラックスエディションとして再構成した決定版のアナログ再発。

Warm Winters、Mappa、Oscilla Soundなどで活動してきたデトロイト拠点のプロデューサーInfantによる、より深く、より抽象的なアンビエント・ダブ・テクノ作が、シカゴの新鋭レーベル〈Kino Disk〉より登場。音は常に溶け、輪郭が曖昧なまま霧状のレイヤーとして重なっていく。リズムは前へ進むというより、深夜の鼓動のようにゆっくり脈打ち、空間の奥行きが静かに変化するたびに、ダブの残響が液体のようにたゆたう。Vainqueurやechospace[detroit]の深い残響美学と、emerやTopdown Dialecticの抽象ダブの質感が自然に交差し、古典と現行のダブ・テクノが同じ温度で並ぶような音像が生まれている。音の密度は薄いのに、空間の深さは広く、深夜の静けさの中で意識がゆっくり変化していくような、静かで鋭い重要作。

インディアナポリスのプロデューサーEustressによる、アンビエント・ダブとダブテクノの“静的な側面”を徹底的に掘り下げた12インチ『Exit』。6曲はそれぞれ独立したトラックでありながら、連続して聴くとひとつの長い路地を進んでいくような感覚が生まれる構成で、リズムよりも低域の揺らぎと残響の広がりが主導する。キックが前面に出るタイプではなく、音の余白と倍音の消え際まで設計されたミニマルな音響が印象的。低音の塊がゆっくりと脈打ち、その周囲に薄いアンビエント層が重なることで、静かな圧力と広がりが同時に立ち上がる。ダブ処理は控えめだが深く、音の輪郭をわずかに滲ませることで空間の奥行きを作り出す。大きめのスピーカーで聴くと構造の精密さがより明確に浮かび上がりそうな、〈Kino Disk〉らしいストイックな一枚。
80年代フランスのエスノ・インダストリアル、アンビエントのカルト・ユニットVox Populi!のアーカイブ音源を、現代パリの4組のプロデューサーがダブの視点で再構築した12インチ。〈Emotional Rescue〉の15周年企画として制作され、原曲が持つ民族音楽的な質感やポスト・インダストリアルのざらつきが、低域のうねりやエコー処理によって新しい輪郭を与えられ、電子ダブ、アンビエント・ダブ、ステッパーズなど、各プロデューサーの個性がはっきりと表れている。空間処理の細かさが際立ち、倍音の散らばり方や残響の伸びが曲ごとに異なるため、部屋でじっくりと聴いても楽しめる内容。Vox Populi!のアヴァンギャルド性を保ちながら、現代ダブの感覚で未来へと翻訳したような一枚。
ジャマイカの巨匠ヴォーカリストJohnny Clarkeと、当時新進気鋭のプロデューサーだったMad Professorが1983年にタッグを組んで発表したUKダブ史の金字塔的名盤『Yard Style』。UKの名門レーベル〈Ariwa Sounds〉が初めてジャマイカ人アーティストをフィーチャーした記念碑的作品であり、70年代ルーツ・レゲエの黄金期と80年代以降のUKデジタル・ダブを結ぶ重要な架け橋となった歴史的作品で、電子キックドラムの無機質な打撃と極太のベースライン、そしてマッド・プロフェッサーの代名詞である歪んだデジタル・エコーや巧みなエフェクト処理が見事に結実。過激でサイケデリックな音響実験が繰り広げられる立体的な音像のなかで、Johnny Clarkeの甘くソウルフルなヴォーカルが凛と響き渡り、伝統的なルーツのグルーヴと未来的なエレクトロニクスが見事な融合を果たしている。歴史的価値と中毒性を兼ね備えた大傑作!!
ミステリアスな音響作家aisieによる、マニアックな教育系科学番組の音声、怪電波や乱数放送、擦り切れたレコードの盤面ノイズ、引き伸ばされた極小のフィールドレコーディングなど、異質なサンプリング源のみで構築された深遠な音響作品『Black Fire Dream』。人間の息づかいを感じさせない、AIや機械が密かに自己同期して処理を実行しているかのような不気味で夢幻的な世界を構築。細分化された細やかなリズムと霞んだメロディの断片が生成と霧散を繰り返し、初期Actressの澱んだ質感やCivilistjävel!の静謐な冷たさ、さらにはTopdown Dialecticをスクリュー処理したかのような密室的で茫洋とした音像へと誘っていく。無造作に切り取られたノイズや未知の音源が、魔法のようなコラージュの手法によって幻想的な影絵のように明滅するカルト・エレクトロニクス逸品!!
〈Raster-Noton〉の創設メンバーとして知られるマイクロ音響のパイオニア、Frank BretschneiderがKomet名義で2000年に名門〈12k〉から発表した傑作『Rausch』が初のアナログ化!のちのレーベルのシグネチャーとなる低音パルスと極限のミニマリズムの原型を示したもので、リリースから四半世紀を経た今なお一切の古さを感じさせない圧倒的な普遍性を誇る。澄み切った純粋なサイン波と微細な空気感をベースに、緻密に計算されたポリリズミックなマイクロビートと繊細なダブの美学が絶妙なバランスで融合。無機質なデジタル・グリッチの佇まいでありながら、微かに漂うメロディの余韻や重厚な低音のパルスが有機的な躍動感を生み出し、空間の余白そのものを躍動させるかのような静謐なグラデーションを描き出している。初期グリッチ、デジタル・ミニマリズムの極致にして、エレクトロニック・ミュージック史における真のブループリント。

唯一無二のドローンサウンドでカルト的人気を博すSarah Davachiによる最新アルバム『The Will of Tongues』がリリース!本作は、3枚組のLP(CDは2枚組)におさめられた2時間以上に及ぶ、これまでで最も野心的な大作となっている。作品には米国・カナダ・オランダ各地で録音されたオルガンのサウンドに加え、EMPAC(ニューヨーク)やアイルランドのLouth Contemporary Music Societyの為に制作された楽曲も含まれている。
参加アーティストはDavachi自身のオルガン演奏に加え、Whitney Johnson(viola)、Eyvind Kang(viola)、Lucy Railton (cello)、さらにはマイクロトーナル金管アンサンブルDiapasonや、スイス拠点の古楽フルート・コンソートPhaedrus、Chamber Choir Irelandなどが名を連ねている。
本作は、反復、調律理論、音色変化、長大な持続時間、垂直的和声といった彼女の作曲的探求を深化させたものであり、ミニマリズムの系譜に連なる精緻な構造を持ちながらも、より意図的で明確な構築性を備えている。各楽器・アンサンブル間でモチーフが受け渡され、時間とともにゆるやかに変容していく。
聴取そのものへの深い敬意を主題とする本作は、容易なリスニング体験を拒みながらも、音そのものと向き合う行為を促す。長大な時間軸の中で生成される音響とその精神的空間は、極めて内省的かつ没入的な聴取体験をもたらす作品となっている。

トータスの一員としても名を馳せるギタリストのジェフ・パーカーを中心に、サックス奏者ジョシュ・ジョンソン、ベーシストのアンナ・バタース、ドラマーのジェイ・ベラローズで構成されるジェフ・パーカー・ETAカルテット。メンバーの3人、パーカー、バタース、ジョンソンはレッチリのフリーのソロ・デビュー作『Honora』(2026年)に参加したことでも注目を集めている。カルテットは2016年にロサンゼルス北東部の会場ETAでパーカーが始めた週替わりレジデンシーから生まれたバンドだ。彼らによる最新作となる『Happy Today』がこれまで2作と同様シカゴの名門〈International Anthem〉よりリリースされる。
本作は、2016年にロサンゼルスの会場ETAで始まったレジデンシーから発展したバンドの2025年時点のバンドの記録を刻む一枚だ。サックスのジョシュ・ジョンソン、ベースのアンナ・バタース、ドラムのジェイ・ベラローズとともに、ミニマルでジャンル横断的な即興演奏を展開する。本作は2025年8月20日、Lodge Roomでの演奏をその場で録音・ミックスしたもので、LP片面に相当する長尺2曲を収録。エンジニアのブライス・ゴンザレスが特注機材で捉えた音像は、困難な時期の中で生まれた束の間の高揚と連帯感を鮮やかに刻む。NPR Tiny Desk出演など近年も精力的なパーカーの歩みとともに、バンドの本質である“場”と“対話”の力を体現した重要作となっている。

ボグダン・ラチンスキーからデニス・ボーヴェル、Phewに至るまで、良質なカルト音源を世に送り出してきた〈Warp〉傘下の〈Disciples〉より、ケニアの知られざるローカル・ヒーロー、故ジョセフ・カマルのコンピレーション、『Heavy Combination』の続編としてミニ・アルバム『Further Combinations』がリリースされた。前作に続き、〈Disciples〉とKamaruの孫でありサウンド・アーティストのKMRUがアーカイヴの中から収録楽曲のセレクトを担当している。
本作には、ハイライフ、70年代ファンク、フォーク、ディスコ、ゴスペルといった多彩な要素が交差する楽曲が収録されており、躍動するリズムとコール&レスポンスが特徴となっている。リマスターはオリジナル・テープから丁寧に行われ、当時の生々しいグルーヴと録音の質感を現代に再提示している。
ジョセフ・カマルについて
ジョセフ・カマル(1939 - 2018)は、アフリカの外ではほとんど知られていないが、1967年以来、母国ケニアの音楽シーンに多大な影響を与えてきた人物である。初期のヒット曲「Celina」と「Thina wa Kamaru」は、妹とともに録音したリズミカルなダンス曲であり、これがカマルをケニアでもっとも有名なベンガとゴスペルの音楽家の一人へと押し上げる礎となった。彼は母語であるキクユ語で多くの歌を歌い、政治活動家であり国民的アイコンでもあった。推定50万枚のレコードを売り上げた彼の音楽は、人生の教訓、政治、社会問題を幅広く取り上げていた。
カマルは1939年、ムランガ地区のカンゲマに生まれた。1957年にナイロビへ移り、清掃の仕事に就く。最初の正式な職は家政夫兼ベビーシッターで、その稼ぎで最初のギターを購入した。1965年に音楽活動を始め、1967年に商業的なブレイクを果たす。彼の音楽キャリアの最盛期は1975年から1985年で、カセットを数多くリリースし、その内容はキクユの民謡を題材としたものだった。1980年代後半には、当時外国人アーティストしか出演しなかったカーニボア・レストランで演奏した初のケニア人アーティストとなった。
彼の多くの曲は政治的で、政府を称賛するものもあれば批判するものもあった。当初は大統領ジョモ・ケニヤッタと良好な関係にあったが、1975年にジョサイア・ムワンギ・カリウキの暗殺を非難する曲を書いたことで対立。その後、ケニヤッタの死後に大統領となったダニエル・アラップ・モイとは親しい関係を築き、1980年にはモイ大統領の随行として日本ツアーに同行した。しかし後に、カマルが多党制民主主義を支持したことでモイの不興を買った。
カマルはVoice of Kenyaのラジオ司会者Job Isaac Mwamtoから大きな支援を受け、彼の音楽は広く紹介された。そのため「ケニアのジム・リーヴス」と呼ばれることもあった。彼は道徳や人生の教訓を扱った約2,000曲を録音し、キクユ音楽の伝説としての地位を確立、東アフリカの音楽シーンに大きな影響を与えた。
1990年代に入り、カマルは「新生」したと宣言し、長年の世俗音楽の演奏をやめることを発表(ただし後年、世俗曲を歌うこともあった)。1993年にはゴスペル音楽に転向し、旧来のグループ「Kamaru Super Sounds」を解散した。この変化は売上に打撃を与えた。彼はかつてケニア・レコード産業協会(KAPI)の会長を務め、ナイロビで教会ミニストリーを主宰、さらにレコード店を2軒経営していた。また、自身の農場にキクユ文化を保存・保護する文化施設を建設することを望んでいたが、2018年10月に亡くなるまでに実現することはなかった。彼は2人の兄弟姉妹、1人の娘、3人の息子を残して世を去った。孫であり同名のジョセフ・カマル、すなわちKMRUは現在ベルリンを拠点に活動する音楽家・サウンドアーティストである。

(数量限定/日本語帯付き/解説書付き)エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムス。若くして「テクノモーツァルト」の称号を得たエレクトロニック・ミュージック界の最高峰であり、誰もが認める〈WARP RECORDS〉の看板アーティストである彼が、ポリゴン・ウィンドウ名義で発表され、エレクトロニック・ミュージックの歴史を変えた伝説のアルバムが帯付き盤LPで待望のリイシュー決定!
1992年、〈WARP〉がリリースした革新的コンピレーション『Artificial Intelligence』の冒頭を飾ったのは、エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムスによる「Polygon Window」という楽曲だった(ただし同作ではThe Dice Man名義)。そして翌1993年、若くして“テクノ・モーツァルト”と称された彼が〈WARP〉から初めてリリースしたアルバムこそ、エイフェックス・ツインではなくポリゴン・ウィンドウ名義で発表された伝説的作品『Surfing On Sine Waves』である。当時22歳のリチャードによって生み出された本作は、エレクトロニック・ミュージックのその後の方向性を大きく変える画期的なアルバムとなった。アルバム・タイトルはリチャード自身の発言をもとにRob Mitchellが選定したもので、UKダンス・チャートでは初登場2位を記録。同年には続編としてEP『Quoth』もリリースされ、表題曲のほか、このEPで初登場となる楽曲も収録された。
そして2025年、32年の時を経て登場する『Surfing On Sine Waves (Expanded Edition)』は、オリジナル・バージョンのアルバムとEPをひとつにまとめたエクスパンデッド・エディションとしてリリースされる。
クラシック/ジャズ/アンビエントを横断
声と響きで描く繊細な音の物語。スチュアート・マードック(Belle and Sebastian)、グリフ・リース、上野紗也(テニスコーツ)ら参加!
スコットランドの作曲家/マルチ・インストゥルメンタリスト、アンドリュー・ワスリクによる最新作『Irreparable Parables』は、これまで稀だった“声”を軸に据えた意欲作。自身は歌わず、世界各地のシンガーに楽曲を託し、遠隔で録音されたヴォーカルを集めて完成させた。参加したのは、Belle and Sebastianのスチュアート・マードックをはじめ、Gruff Rhys、上野紗也(テニスコーツ)、Peter Brewisら多彩な面々。楽曲ごとに異なる歌声が、6種の小鳥としてジャケットにも象徴的に描かれている。
音楽はワスリク自身が手がけ、クラシック、ジャズ、アンビエントを横断する独自のサウンドスケープを展開。ブラスや木管、6人編成のストリングス、メロトロンやフェンダー・ローズなど多彩な楽器が織りなす音像は、郷愁や安らぎ、そして人間の脆さと回復力を繊細に描き出す。希望を模索する「Love Is A Life That Lasts Forever」と、遠くの苦しみに向き合う「Spectators In The Absence of God」が作品の核を成し、最後はピアノと弦によるインスト曲で静かな昇華へと導く。心に寄り添い、魂を支えるような一枚。

ドラマ『ストレンジャー・シングス』の音楽制作でも知られるS U R V I V Eのメイン・メンバー、Kyle Dixon & Michael Steinによる、イタリア・マチェラータの「マルケ・シンセサイザー博物館」に1週間滞在し、CRBやElkaといった今や非常に貴重なヴィンテージ機材や、かつて閉鎖されたFarfisa工場の未完のソフトウェア「MARS」などを縦横無尽に駆使して録音された壮大なシンセ・プロダクション『Marche 22』。ClusterやTangerine Dream、Morton Subotnickといったシンセサイザー・ミュージック60年の先人たちへのオマージュを散りばめつつ、脈動するリズミカルなシークエンスから物憂げでノスタルジックなトーンまで、ヴィンテージ機材ならではの気まぐれな揺らぎと生々しい質感を放つサウンドを展開。デジタルシミュレーションでは決して再現できない、人間と物理的な電子機器とのダイレクトな対話から生まれた温かな音像。遠くの列車の響きや雨の予感のような叙情性とロマンチシズムが全体を覆う、シンセ愛好家必携のレトロ・フューチャーな名盤!
ロンドン南東部出身のマルチ奏者Black Steelが、Mad Professorと手を組み名門〈Ariwa Sounds〉から1988年に発表したUKルーツ〜ダブの隠れた大名盤『Jungle Warrior』。レーベルの看板プレイヤーとして数々のヒット作を支えてきた彼が、高次の存在からのインスピレーションとJah ShakaやDennis Brownらへの敬意を胸に創り上げた作品で、ヴォーカル・パートから地続きで重厚なダブ・バージョンへと流れ込む伝統的なスタイルを踏襲しつつ、5歳から培われたBlack Steelの類まれな演奏技術とソウルフルな歌声が炸裂。Mad Professorによるクリアで緻密なミキシング、地底を揺らす極太のベースライン、そして冴え渡る空間エフェクトが美しく融合し、80年代後半のUKヘヴィー・ルーツ特有の澄んだ静寂と重厚なグルーヴを描き出している。高潔なルーツ精神と最上級のダブ音響設計が見事に結実した、UKレゲエ史に誇るべき傑作。

ブリストルのマルチ奏者MemotoneことWill Yatesによる最新作『Warm Shadows』。Ugnė Uma、Typesun、Jabu’s guestらが参加し、声・生ドラム・電子音が影をまとって共鳴する、深い余韻の一枚。アルバム全体を包むのは、アンビエント的な静けさと、ジャズの呼吸、そして電子音の淡いざらつきの重なり合い。Ugnė Umaの歌声は東欧フォークのようなメランコリーを帯び、Typesunの生ドラムは漂う音像に微かな身体性を与えている。夜の部屋の薄明かり、湿った空気、森のざわめきを思わせるような、タイトル通りの暖かい影がゆっくりと広がるような音楽。孤独な夜にそっと寄り添い、暗闇の中に確かな体温を感じさせてくれる屈指の音響詩。

フランスとアルジェリアにルーツを持つ音楽家Sara Mokraniによる、フランス・モンミライユの森に囲まれた小さな家で、モジュラーシンセ、フィールドレコーディング、そして近隣の村で見つけた古いオルガンを組み合わせて制作された繊細極まるエレクトロニック・アンビエント作品『Bismillah』。古いオルガンが奏でる優美な持続音に、モジュラーのシーケンス、そしてDIYドラムマシンのループや微細な歪みを帯びた環境音が有機的に重なり合う音響空間。シンプルな旋律が現れては静かに消えゆくミニマルな反復のなかで、時間と空間の境界がゆっくりと溶け出し、周囲の豊かな自然と深く対話するかのような静謐なテクスチャーを生み出している。タイトルが示す「神の名において」という言葉の通り、静けさのなかに凛とした祈りとスピリチュアルな美学を内包した内省的な秀作!

Raja Kirikのメンバーとしても知られるインドネシアの自作楽器奏者Johanes "Mo’ong" Santoso Pribadiと、Scotch Rolexこと石原茂による異色デュオTakkak Takkakのセカンド・アルバム『Abu』。ジョグジャカルタ、リトアニアのシュヴェンチョネレイ、ベルリンという3つの拠点を跨ぎ、二人の精神的・身体的ルーツを融合させて創り上げた、存在しない架空の灰の火山島の音響生態系。ジャワのガムランや自作の木製打楽器、竹笛が放つ生々しく有機的な鳴りと、石原が自身のルーツに向き合い導入した和太鼓。それらが極太のエレクトロニック・キックや攻撃的なビート、さらにはドローン・メタルや歪んだシンセと激しく衝突し、古代の泥臭い儀式性と未来的なメカニズムが不気味に同居するバイオメカニカルな音響世界を生み出している。アジアン・ミニマリズムの神秘的な響きから狂騒のレフトフィールド・ダンスフロアへと変幻自在に姿を変え、アジアとヨーロッパの境界を極彩色のノイズとリズムで塗りつぶす未知の音響体験!

Nyege Nyege傘下の〈Heat Crimes〉から、トルコ出身のUtku Önalによるソロ・プロジェクト、Terskolの未発表発掘デビュー作。2017年から2021年にかけてモジュラーシンセと不調なドラムマシンのみを用い、自室で密かに構築された圧巻のサイボーグ・スラッジ、ドゥーム音響で、アナログ・オシレーターの裸の電圧と壊れかけたマシンリズム、そして重度のリバーブによって物理的な重圧と極低音域を形成。Godfleshの苛烈なインダストリアル感覚やSunn O)))の重厚なドローン、Muslimgauzeの呪術的なリズム像、さらにはKevin Richard Martinに通じる音圧が融合し、時代からも特定の地域からも切り離された極冷の音像が空気を締め付ける。大げさなパフォーマンスを排し、冷徹な電圧の蓄積とノイズの破滅的な連鎖によって静かに精神を削り取る圧倒的なリアリティ。音楽史の隙間から突如現れた漆黒のドキュメント!
