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北欧ジャズの象徴Bugge Wesseltoftと、ドイツ電子音楽の革新者Henrik Schwarzによる名作『Duo』が、Kuniyukiによるリマスタリング、Joji Nakamuraによる新アートワークで15周年復刻。ピアノとエレクトロニクスが完全即興で交わる、ジャズと電子音楽の融合における金字塔的デュオ作品。Wesseltoftの透明感あるピアノと、Schwarzの緻密な電子処理がリアルタイムで反応し合う会話性があり、ECM的な静謐さを保ちながら、ミニマルテクノ的な脈動が自然に立ち上がる。ベルリンやルクセンブルクでのライブ録音も含まれ、即興ならではの緊張感と、音が生まれる瞬間のスリルがそのまま刻まれている。ピアノのダンパーが離れる瞬間の微細な音や、電子音のレイヤーの重なりまでが鮮明になった今回のリマスターは、この繊細なデュオの魅力を再発見させる決定版。

〈Kompakt〉が毎年送り出す名物シリーズ「Pop Ambient」の最新作。Wolfgang Voigt(GAS)によるキュレーションで、2026年版はMicå、Pass Into Silence、Morgen Wurde feat. Tetsuroh Konishiなど、日本勢の存在感も大きいラインナップ。ビートレスのシンセ・レイヤーがゆっくりと揺れ、ポストクラシカルな質感のストリングスや淡いメロディが霧のように立ち上がる、純度の高いアンビエントが中心。Micåの緻密な音響、Pass Into Silenceの静謐なドローン、そしてトランペットが溶け込むMorgen Wurdeの楽曲など、透明度の高い音響美がアルバム全体を貫く。瞑想的でありながら、曲ごとに微細なドラマが潜む構成は「Pop Ambient」シリーズならではの魅力。
NYの伝説的レーベル〈Wackie’s〉が1983年に送り出した、女性デュオLove Joysの代表作『Lovers Rock Reggae Style』がリイシュー。プロデュースはもちろんLloyd “Bullwackie” Barnesの、深い残響と霧のようなエコーが漂う、〈Wackie’s〉特有のダブ処理が全編を包み込む名盤。柔らかく甘いラヴァーズ・ロックの歌声に対して、バックはWackies Rhythm Forceによる重心の低いルーツ、ダブ。この甘さと重さの組み合わせが、ジャマイカ産ラヴァーズとはひと味違う、NYアンダーグラウンドの影を帯びた都会的なラヴァーズ・ロックとしての魅力を放っている。Rita Marley「One Draw」のカバーや、Errol Dunkley「Black Cinderella」を引用した「Long Lost Lover」など、名曲も多数収録。甘くて、深くて、少しミステリアスな、〈Wackie’s〉の魅力が美しく結晶したラヴァーズ・ロック名盤。

ブルックリンを拠点に活動するピアニスト、作曲家のEva Novoaが、初のソロ・ピアノ作品『Solo (I)』を〈577 Records〉からリリース。2024年10月、NYの名門Sear Sound Studiosにて録音された本作は、すべてオリジナル曲で、ピアノを中心にしながら、フェンダーローズ、エレクトリック・ハープシコード、チャイニーズ・ゴング、パーカッション、声、口笛など多彩な音具を用い、ひとりでアンサンブルを構築するような立体的な音響が特徴。静謐な内省から、突発的なエネルギーの爆発まで、自由即興と作曲的構造が交差するダイナミックなソロ表現が展開される。音の余白や残響が空間を描き、映像が浮かぶような音像は、Eva Novoaが自身の音楽の核心をさらけ出した、深く個人的なソロ作品。
スコットランドの即興サックス奏者Raymond MacDonaldと、イタリアの民族音楽研究者、音楽家のChristian Ferlainoによるデュオ作『A Jig in the Future』。録音はすべて、機械仕掛けの彫刻が動き続けるグラスゴーのSharmanka Kinetic Galleryで行われ、彫刻の軋み、モーター音、機械音がそのまま演奏に混ざり込むという唯一無二のライブ録音となっている。サックス、バグパイプ、ベル、玩具、アコーディオン、パーカッション、声など、多彩な音具をその場で持ち替えながら、事前の打ち合わせなしの完全即興で展開。カラブリア地方のフォークロア的旋法と、MacDonaldの自由度の高い即興が交差し、民族音楽、前衛即興、機械音響が溶け合う、機械仕掛けの森の中のセッション。

crys cole & Oren AmbarchiとGiuseppe Ielasiのスプリットで指し示すエレクトロアコースティックの現在地。cole & Ambarchiの「Sparkling or Silent」は、ギターや小物音、接触ノイズ、空気の揺れのような微細な音が静けさの中にきらめくような変化を描き出す。音がほとんど動かないようでいて、耳を寄せるほど細部が立ち上がり、記憶の残像や、ふとした感覚が浮かんでは消えるようなミニマルなエレクトロアコースティック。一方、Ielasiの「unfamiliar music (paris)」は、長年ライブで蓄積してきた音の断片を再構築したもので、都市の残響や気配が折り重なるような、乾いていながら温度を感じる音響空間が広がる。どちらも派手な展開はないが、音の縁や影にフォーカスすることで、静かな深みへと引き込む力を持つ一枚。GRMの文脈にも自然に接続する、精密で静謐な電子音響作品。

1980年に自主制作でひっそりと発表され、長らく埋もれていたCathy Hamerのプライベート・プレス作品『Lady Full Of Dreams』が〈Numero〉より再発。70年代末〜80年代初頭のヒッピー文化の残り香をまとった独特の空気感が魅力的で、アコースティックギターを中心にしたフォーク、カントリー基調の楽曲は、どれも短く、日記のようでもあり、部屋録りらしい温度感がそのまま刻まれている。タイトル曲「Lady Full Of Dreams」をはじめ、シンガーソングライターの夢見心地と、カントリーの素朴さが同居する、静かで、親密で、どこか遠くへ連れていってくれるようなかけがえのない瞬間。
待望の2026年リプレスです!伝説のレゲエシンガー達を現代に召喚したMark ErnestusとMoritz von Oswaldによるドリーム・プロジェクトRhythm & Soundの2004年名盤。10インチ・シングルをコンパイルしたもので、底なしに深く響く無機質なトラックにCornell CampbellやTikiman, Love Joys等、歴代の名シンガー達の枯れたボーカルが木霊するベルリン最深瞑想的ダブ傑作。あまりにディープな内容で、今尚全くもって色褪せる事を知らないクラシック・アルバム。

英国ブライトンのサウンド、ヴィジュアル・アーティスト Paul Wilsonによるプロジェクトf.ampismのサイケデリック・ニューエイジ〜エクスペリメンタル作品『The Vertical Luminous』。全13曲の短い断片が連なりながら、シンセの揺らぎ、テープ質感のノイズ、ファウンドサウンドを用いたミュージック・コンクレート的手法が結びつき、静謐さと奇妙な好奇心が同居する独自の音世界を形づくっている。曲名に象徴されるように、月、光、身体、幻視といったイメージが音の中で立ち上がり、万華鏡のように表情を変えながら聴き手を包み込む。サイケデリックな質感を持ちながら、1〜3分台のコンパクトな構成がテンポよく移り変わり、抽象的でありながらどこか有機的で親しみやすくもある絶妙なバランス感。光の粒子が立ち昇るようなサウンドに漂う一枚。

フランスの音楽家Mauricio Amaranteと、ダンサー、パフォーマー、ライターとして活動するMarine Debilly Cerisierによるデュオ作品。〈Okraina Records〉が手がける単発の輝きを放つアンダーグラウンド作品シリーズの一環として、限定300枚でリリース。アコースティック・ギターや鍵盤、素朴なパーカッションを中心に、フランス語の語りと歌が静かに交差する。70年代初期のブリジット・フォンテーヌやアレスキ周辺の幻視的シャンソンを思わせる、語りと歌のあいだを揺らぐ独特の声の存在感が印象的。音数は少なく、沈黙や余白が大切に扱われ、まるで短編映画のワンシーンのように情景が立ち上がる。Cerisierの本業であるダンサーとしての間や呼吸の感覚が、音楽的な沈黙や余白として見事に翻訳されており、また、Amaranteのギターやパーカッションも、その身体的な揺らぎに呼応するように配置されている。単なる伴奏を超えた対話のようで、静かで親密、そしてどこか夢のような時間が流れる、美しいアコースティック・シャンソン。
![Mark Templeton - Standing on a Hummingbird [2026 Remaster] (LP)](http://meditations.jp/cdn/shop/files/a0064133326_10_{width}x.jpg?v=1774084115)
カナダのサウンドアーティストMark Templetonが2007年に発表したデビュー作が、〈Keplar〉のリバイバル・シリーズで初のアナログ化。ギターやバンジョー、アコーディオンといったアコースティック楽器の手触りをそのまま残しながら、微細な加工とレイヤー処理で抽象的な風景へと変換していく彼の代表的スタイルがすでに完成しており、Giuseppe Ielasiによる新リマスターも、音のざらつきや空気の揺れをより鮮明に浮かび上がらせ、彼の音楽が持つ触覚的アンビエントの魅力をさらに際立たせている。ポスト・グリッチの繊細さ、ドローンの持続感、エレクトロアコースティックの構築美が溶け合い、静けさの中に豊かな表情が宿る。夜の部屋で小さな灯りのそばで聞きたい繊細な音楽。

イランのテヘランを拠点とする作曲家Siavash Aminiが2014年に発表した代表作『Till Human Voices Wake Us』が、〈Umor Rex〉によるリマスターを経て限定150枚の初アナログ化。T.S.エリオットの詩を核に据え、アルバム全体がこの詩の持つ内省、孤独、現実への目覚めというテーマを音像化したもので、ギターの残響、冷たいシンセ、深いドローンが重なり合う詩的なダーク・アンビエンスの名品。静寂と緊張がゆっくりと入れ替わる10の楽章は、Aminiが単なるアンビエント・アーティストではなく、音で叙事詩を書く作家であることを示している。テヘランの憂鬱と、エリオットが描いた『人間の声が私たちを目覚めさせるまで』という時間の止まったような終わりなき内省の風景。

スコットランドの作曲家Bill Wellsが、自身の夢の記録を24の小品として紡いだアルバム。1〜2分ほどの短い曲が連なり、夜の断片をめくるように進む。前半のDreams 2024ではTeenage FanclubのNorman Blakeが、後半のDreams 2025ではAby Vulliamyが歌声を担当し、2024年と2025年という二つの夢の年を優しく描き分ける。どちらも自宅録音に近い生々しい質感で、Wellsのジャズでもポップでもクラシカルでもない、彼独自の柔らかい曖昧さが漂うメロディと静かなユーモアがそのまま息づいている。ピアノ、ギター、わずかな装飾音だけで構成され、ミニマルで内省的、そしてどこか温かい、Bill Wells のリリシズムが純度高く表れた作品。

ドイツのサウンドアーティスト Christina Kubisch が、電磁波・共鳴・周波数の調律をテーマに制作した作品『TUNING』。彼女の代表的手法である電磁誘導ヘッドフォンを使い、都市空間や電子機器が発する、人間が普段気づかない隠れた音の世界を採取し、それを音楽的な構造へと再編成している。電車の架線、照明、ATM、セキュリティゲートなどの電磁音は、ノイズではなく、ゆっくりと変化するドローンとして調律され、静けさの中に緊張と美しさが同居する独特の音空間を生み出す。フィールドレコーディング、ミニマル、音響芸術の境界を超えて、都市の裏側に潜むもうひとつの音の層を可視化するような一枚。

Fennesz参加!ケニア・ナイロビ出身でベルリンを拠点に活動するサウンドアーティストJoseph KamaruことKMRUによる最新作『Kin』が2020年の代表作『Peel』に引き続き〈Editions Mego〉から登場!フィールドレコーディングと電子音響を融合させた独自のスタイルをさらに深化させたもので、故ピーター・レーバーグとの「『Peel』の続編はどんな音になるのか」というディスカッションから始まり、2021年初頭にナイロビで制作が開始。若き日にギターで奏でた音を想起させるディストーションをテーマに、従来よりもノイジーで荒々しいアプローチを追求した本作は、レーバーグの死により一時中断を余儀なくされながらも2022年に再開され、完成へと至った。Fenneszを迎えた「Blurred」は、MEGO/Editions Megoの系譜に連なる現代エレクトロニック・ミュージックの最前線を体現し、さらに「We Are」ではAphex Twinを彷彿とさせるサウンドを展開。KMRUの進化を鮮烈に刻み込んだ作品。
ジャズからレアグルーヴのマニアまで絶大な支持を受けるWeldon Irvine が、RCA へ移籍して放った1974年の大作『Cosmic Vortex (Justice Divine)』。全編を貫くのは、クラヴィネットの鋭いアタックと、エレピやオルガンが描くスピリチュアルな広がり。ファンクの黒い推進力と、ジャズの即興性が触手のように伸びていき、音が渦を巻くように展開するコズミック・ジャズファンク。Irvine の鍵盤は、肉体的なグルーヴと精神的な高揚感を同時に生み出し、ソウルフルなヴォーカルやコーラスが加わる。ファンクの熱、ジャズの自由、ソウルの情感、それらがひとつの宇宙空間で共鳴し合う宇宙へ向かうジャズファンクの名盤。リマスター仕様。

ノルウェーが誇る映像音響作家の巨匠Kjell Bjørgeengenと、ノイズ、エクスペリメンタルの旗手Lasse Marhaugによる共作で、映像信号を音に変換する特殊デバイス「Flood Coil」を用いた純粋ジェネラティブ作品。制作方法は極めてユニーク。Bjørgeengenが生成するオシレーター駆動の映像信号を、Marhaugのエフェクトペダルに通し、再びFlood Coilに戻すことで、映像と音が互いを変形し続ける自律システムを構築。アーティストは一切手を加えず、2分間ずつ放置して録音された膨大なテイクから18曲を選び出している。音像は、Merzbow級のハーシュノイズから、Pan Sonicを思わせるミニマルなリズム断片、PITA風のクリック音響、深いドローンまで縦横無尽。各トラックは短く、2分ごとにまったく異なる世界へ飛ばされるような、音の万華鏡的構造。人間の意図を超えた機械の暴走美がそのまま刻まれている。
Incapacitantsのメンバーとして知られる日本ノイズ界の重鎮、小堺文雄が、1993年にカセットでわずか50本のみリリースした『The Warm Garden』。長らく入手困難だった作品が、本人監修のリマスターでついに再発。電子音、カシオトーン、金属板、そして加工を施したヴァイオリン。ノイズの爆音とは対極にある、静かで深く、黒いドローンがゆっくりと広がっていく。24分の「Warm Garden」は、電子音の揺らぎと残響が重なり合い、どこか目に見えない奥深くで生命が脈打つかのよう。続く「Violin Traveler」は、ヴァイオリンの倍音が空間を漂い、催眠的でゴシックなサイケデリアを描き出す長尺トラック。90年代ジャパノイズの裏側で、小堺が密かに追求していた美学が結晶した一枚。静謐な暗黒の静かなる狂気と、音響に対する冷徹なまでの誠実さ。
UKのプロデューサーMuによる、神話性と90年代ダンス・ポップが奇妙に交差した異形の12インチ。古代のエネルギーを古いDAWでチャネリングするかのように、EnigmaやDeep Forestを思わせる神秘的な声ネタと、90sダンスの快楽性が独特のバランスで溶け合う。「Flesh」は、電子的な鐘の音と僧侶の詠唱のような声が重なり、儀式音楽のようなスピリチュアルな高揚感を生む。続く「Kingdom」は、古代神殿の残響とシンセ・ポップの軽やかさが同居する奇妙な浮遊感が魅力。全体を貫くのは、時空のねじれたような、懐かしいのに新しく、神話的なのにポップ。20世紀のニューエイジの亡霊が、21世紀のダンスフロアで受肉したかのような、呪術的ポップの最前線。

京都を拠点に活動するプロデューサーG Version IIIが、デジダブ、ステッパーズを軸にしながら、日本的な透明感のあるシンセを融合した、新感覚のステッパーズとも言える独自のサウンド『Chapter II』を〈Good Morning Tapes〉からリリース。鋭くタイトなキック、乾いたパーカッション、浮遊するシンセ。「Livin 4」の即効性あるステッパーズ、「Queen G Theme Chapter II」の張りつめた緊張感、「An Idyll」の幽玄なハープシコード風シンセなど、硬質さと幻想性が同居するトラックが並ぶ。80〜90年代初期のUKアンダーグラウンドの霊性を、京都の空気感で再解釈したような京都発・新世代ステッパーズの現在地!限定300枚につきお見逃しなく。

リスボンのアフロ・ダンスミュージックの源流を形づくった伝説的クルー DJs Di Guetto。DJ Marfox、DJ N.K、DJ Nervosoら、後に〈Príncipe〉シーンを牽引するメンバーが10代〜20代前半だった 2007年に制作した未発表音源をまとめたアーカイブ第2弾が、ついにアナログ化。前作Vol. Iが2006年の自主制作コンピからの再編集だったのに対し、本作はほぼ全曲が当時の未発表トラック。FL Studioと一般的なPCだけで作られた、荒削りでドライ、そして異様な推進力を持つビートは、後のBatida、Kuduroのスタイルを決定づけた原石そのもの。最小限の要素で最大の衝撃を生むという美学が、すでにこの時点で完成しているのがみて取れる内容で、リスボンのゲットーから世界へ広がった 始まりの音を体験できる、歴史的アーカイブ。
10月下旬入荷(再度変更となりました)。初回分即完売、リプレス分入荷いたします。Akufen名義で知られるモントリオールの電子音楽家Marc Leclairが、妻と友人たちの妊娠をきっかけに制作した2005年作『Musique Pour 3 Femmes Enceintes』が待望の初アナログ化。各曲は「33e Jour」「205e Jour」など妊娠期間の日数をタイトルに持ち、胎児の成長と妊娠期の感情を音で描くというユニークな構成。Akufenのマイクロサンプリング的なダンス・トラックとは対照的なアンビエント、グリッチが溶け合う静謐なサウンドで、冷たく研ぎ澄まされた電子音がゆっくりと波紋のように広がり、水中で光が揺れるような心地よさを生み出している。クリックハウスの帝王がひそかに残した、パーソナルな胎教音楽名盤。

アイルランドはWah Wah WinoのDavy Kehoeと、Suzanne KraftことDiego HerreraによるデュオNO YOUによるセルフタイトル・デビュー作。二人がボーカルも楽器も分け合いながら、小さなスタジオで生み出した「やけにスケールの大きな」奇妙で魅力的な一枚。互いのソロ作とは少し異なり、ローファイなざらつきとメロディの親密さが同居する独特のバランスを持っている。二人の声がフィードバックの揺れとドラムマシンの荒れたビートの上で絡み合い、壊れかけのポップソングのような甘さと不安定さが同時に立ち上がる「Baby」や、デュオのより制御不能な側面がむき出しになる「Put Up A Dream」。ポップでもノイズでもポストパンクでもない、しかしそのすべてをかすめ取るような曖昧で、唯一無二の作品。

ジジ・マシンのサポートアクトを勤めたことでも知られるNashpaintsによる、ローファイのざらつきとベッドルーム・ポップの親密さが溶け合う、小さくて不思議な宝石のようなアルバム『Everyone Good is Called Molly』。曇ったギター、つぶやくようなボーカル、カセット録音のような柔らかい質感。すべてが誰かの部屋の片隅で生まれた音楽特有の空気をまとい、素直に心に触れてくる。ポップでありながら影があり、夢の中の断片のように淡く揺れるメロディが、アルバム全体に独特の温度を与えている。
