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NTS Radioでの長年の活動を通じカルト的な支持を集めるロンドン拠点のデュオTime is Awayによるミックステープ『Ballads』が、名門〈A Colourful Storm〉の「Fleetway Tapes」シリーズから登場。徹底したディグと詩的なストーリーテリングを美学に、バラッドという普遍的な歌構造に着目し、時代や国境を越えた希少音源群を精緻に紡ぎ上げている。ジャズの繊細なロマンティシズムやトラッド・フォークの記憶、異国の言葉で紡がれる儚い歌声、さらには13分におよぶ現代クラシックのドローンまでがシームレスに交錯。トラックリストの全体像を容易には掴ませない神秘性を保ちながら、時代や国境を越えたひとつの物語として編み上げている。詩の朗読や余白の静寂をアクセントに、白昼夢のような幻想的空間を描き出す、ロマンとディープな叙情性に満ちた好内容!
ヴィンテージ音源の妙味を伝える〈Death Is Not The End〉より、ウインドラッシュ世代の移民カルチャーが生んだ東ロンドンの老舗サウンドシステムJah Massagan Soundの秘蔵音源集『Mass-Studio Dubs!』が登場。創始者Lloyd Massの息子Eljayが父の膨大なアーカイブを掘り起こし、70年代半ばから80年代初頭のルーツ全盛期に刻まれた激レアな1枚物ダブプレートや45回転盤を全1時間にわたり編み上げたもので、King TubbyやLee Perry、Channel One、Joe Gibbsら伝説的エンジニアたちのスタジオでカットされた音源群は、擦り切れたアナログ盤特有のノイズ感を伴いながら重厚かつダスティな重低音を響かせる。既発の商業盤にはない生々しい音響効果と、後のUKベース・ミュージックの原点となったDIYサウンドシステムの熱量がダイレクトに伝わる、一級品のルーツ・ドキュメント!

ヴィンテージ音源の発掘で絶大な信頼を得る〈Death Is Not The End〉より、ポルトガルの伝統歌謡ファドの初期スター歌手Ercília Costaが1920〜30年代にマドリードで録音したアーカイブ集『My Torment』。ポルトガル移民コミュニティに向けて最初にファドを国外へ届けた先駆者であり、ファド・ギターの名手Armandinhoが伴奏を務めた15曲を収録。ムーア人の弦楽器音楽や古の交易路の記憶にルーツを持つファド特有のサウダージを体現する、気品に満ちた切なくも力強い歌声。Armandinhoの繊細で流麗なギターの響きとSP盤時代のヴィンテージな空気感が交錯し、聴く者の心を深く揺さぶる。100年の時を超えて響き渡る、極上のエレガンスと儚さを湛えた珠玉の一本!

「マルチメディア・シアターの父」と称され、照明や衣装、身体表現を一体化させた革新的な抽象ダンス劇を創造したコレオグラファーであり作曲家Alwin Nikolais。1964年にロバート・モーグから世界で初めてMoogシンセサイザーの初号機を購入した人物でもある彼が、1966年から1989年にかけて遺した非常に貴重な電子音響コンポジション21曲を網羅した作品『Electronic Dance Music, 1966-1989』。初期Moogのうねるアナログ波形や、70年代以降に重用されたSynclavierによる先鋭的なサンプリング/シンセサイズを駆使し、人間の動きや身体性に連動する躍動的なサウンドを展開。抽象的でありながら生命感あふれる電子音響は、舞踊の伴奏という枠組みを飛び越え、20世紀アメリカ実験音楽、エレクトロニクスの礎として圧倒的な存在感を放つ。電子音楽史の黎明期を紐解く重要音源!
〈Ostinato Records〉からの名コンピ『Synthesizing the Silk Roads』を手掛け、中央アジアの音響考古学者として異彩を放つウズベキスタンのプロデューサーAnvar Kalandarovによる、1980〜90年代の中央アジアに存在した知られざるシンセポップやディスコ、電子音響実験を編み上げたミックステープ『Central Asian Synthesizers』。ソビエト後期の近代化の波とシルクロードのオリエンタルな伝統美学が交錯し、ウズベク・ディスコやタジク・シンセポップのチープかつエキゾチックな旋律が脈打つ独特の音世界。希少なアナログ盤や個人所有のプライベート・アーカイブから掘り起こされた怪しくも煌びやかな音源群が、未知なるレトロフューチャーな近未来像を浮かび上がらせる極上ミックステープ!

絶滅の危機に瀕するブラック・アメリカン・フォークロアの貴重な記録が、名門〈Death Is Not The End〉より考古学的リイシュー。白人文化のイメージが強いシェイプ・ノート合唱において、1世紀以上にわたり独自に受け継がれてきたアラバマ州南東部のアフリカ系アメリカ人伝統。その第一人者Dewey Williams率いるグループが1993年、地元の教会で残した極めて生々しいフィールドレコーディング作品『Songs From The B. F. White Sacred Harp』。1844年編纂の歴史的歌本を紐解き、伝統に則りスクエア状に座った歌い手たちが「fa-sol-la」の音名唱法から立ち上げる無骨で飾り気のない無伴奏アカペラ。黒人伝統特有の歩きながら指揮をとるスタイルが醸す独特のリズムのうねりと、熱狂の末にトランス状態へと至るソウルフルな歌声が教会の空間を満たす。人間の生の感情と祈りの熱量がそのまま刻み込まれたかのような、アメリカン・ルーツ・ミュージックの奥深さを伝えるドキュメント!
東南アジアの光景と異国情操を独自の視点で掬い上げるBodega PopのGary Sullivanによるラオス現地音源の極上コンピレーション『The Remains: Short-Run Regional Releases from the Lao People's Democratic Republic』。ルアンパバーンやビエンチャンのナイトマーケット、カフェ等で掘り起こされた1970年代から2000年代初頭の超小ロット自主制作CDR/CDから音源を厳選したカセット限定作品で、ラオスの象徴である竹製笙ケーンの素朴な響きをはじめ、水牛の角でつくられたリード楽器サナイや儀式用ゴングなど、様々な民族の伝統楽器が紡ぐ力強くもノスタルジックな音像。現地の空気感をそのまま封じ込めたかのような盤面の経年劣化や音飛びすらも美点として抱え込み、学術的な分類を越えて音の質感とリズムに導かれて編み上げた、ラオスの忘れ去られた音楽風景を旅するフォークロア集!

ソウルやロック、ハウスへと脈々と受け継がれる現代ポピュラー音楽の真の源流!黒人アカペラ・ゴスペル・カルテットの聖地であるアラバマ州ジェファーソン郡にて、製鉄所や鉱山の労働者たちによって1929年に結成された名門グループThe Sterling Jubilee Singersが、1994年に遺した貴重な現場リハーサル音源『Jesus Hits Like the Atom Bomb』。楽器伴奏をいっさい排し、長年の練磨によって培われた圧巻の4部合唱ハーモニーだけで構築される生々しく力強い歌声。祈りの言葉や厳格な儀礼、和やかな語らい、さらには会場のすぐ脇を走る列車の走行音までもがそのまま収められており、生活と信仰が地続きとなったアメリカ南部のディープなカルチャーをありのままに伝えてくれる。伝統の重みと生の歓びがそのまま刻まれているかのような、全てのルーツ、ブラック・ミュージック・ファン必携のドキュメンタリー!

アメリカ中西部のカジノを舞台に、スロットマシンの音響を生々しく捉えたAdrian Rewによるカルト的名作フィールドレコーディング集『Slot Machine Music, Vol. 1 & 2: Field Recordings from Middle American Casinos』。厳重な警備の目を盗み、コートのポケットに潜ませたレコーダーで2013年から現地に通い詰めて密かに録音されたもので、ゲームデザイナーがハーモニーの調和を図るためにハ長調にチューニングしたという無数のスロットのチャイムや電子音が、意図せずしてニューエイジやJoe Jonesによる瞑想音楽を思わせる優美なドローンとして立ち現れる。警備員とのやり取りや利用者の生々しい歓声、深夜の屋外の虫の鳴き声や貨物列車の轟音までがそのまま収められ、美しさと背中合わせにある狂気と寂寥感を浮き彫りにする極上のサウンドスケープ!
現行エクスペリメンタル/ドローンのアイコン的アーティスト、スウェーデンの作曲家/オルガニストAnna von Hausswolffが2020年に発表した、声もバンド編成も排し、巨大なパイプオルガン一台のみで構築された、彼女のキャリアの中でも特異な位置を占める作品『All Thoughts Fly』。録音はヨーテボリのGOArt Organ Centerに設置された北欧最大級のパイプオルガンを使用。歴史的オルガンの構造を研究し再現した特別な楽器で、その複雑な倍音と空間共鳴が作品全体の核となっている。イタリア・ボマルツォの奇怪な彫像と迷宮的な庭園のあるSacro Boscoをインスピレーション源として、低音の重厚なうねりと、高音の澄んだ響きがゆっくりと交差しながら進む。ミニマルな反復が少しずつ形を変え、石造建築の中を歩くようなスケール感が広がる。歌はないにもかかわらず、フレーズの運びや呼吸がどこか人間的で、声なき歌としてのオルガンが強く印象に残る。静けさの中に強いドラマを宿した、スピリチュアルな一本。

ブラジルのサウンドシステム文化におけるカリンボス=スタンプとヴィニェタ=イントロと呼ばれる、曲の前に鳴る派手な音響演出だけを集めた、前代未聞のミックステープが登場。GG Albuquerqueが1980年代から2025年までの素材を横断し、Akira Umedaがミックスとしてまとめ上げた本作は、バイレファンキのストリート精神をそのまま音にした強烈なアーカイブ。内容は、曲の前に鳴る爆発音、DJドロップ、広告、煽り、スター・ウォーズの引用、ピッチの狂った声、音楽の断片などがノンストップで連打される30分のコラージュ。常にクライマックスが続くような構造で、巨大なストリートパーティーの断片を高速で切り貼りしたような聴感。1980年代のローファイな素材と、2020年代SNS時代の過剰な音響が同じテンションで並び、ブラジルのファンク文化40年分の記憶が圧縮されたような濃度。ユーモア、勢い、地域性、悪ノリ、猥雑さ。バイレファンキの音の言語がそのまま詰め込まれている。

Roman Norfleet率いる流動的でオープンなプロジェクトBe Present Art Groupと、Roman Norfleet、Harlan Silverman、Kennedy VeletteによるMeditationsでも大人気のポートランドの偉大なるブラックミュージック最高の実践者The Cosmic Tones Research Trioによる三部作のカセット作品『The Spiritual-Sonic Research Series』にVol.2が登場。2023〜2025年に行われた3つの公演が収録され、アフロ・スピリチュアル音楽の現在形をそのまま封じ込めた内容。ジャズ、ゴスペル、即興、儀礼的パーカッションがゆっくりと重なり、サックスや鍵盤が長い呼吸で空間を支えながら、声による祈りやコール&レスポンスが場の空気を変えていく。ときに荒々しい打楽器や、ときに柔らかいハーモニーには、精神的なテーマを扱うライブならではの場の変化が音として記録されている。Angel Bat Dawidが参加した公演も収録した、今回も充実の3本組!

植物の成長をテーマにした人気シリーズMusic To Watch Seeds Grow Byの第10作目。KiF Productionsによる本作『Music To Watch Seeds Grow By 010: Passiflora』は、トケイソウの種子の休眠から発芽、光への伸長、開花、受粉、結実、そして土へ還るまでのライフサイクルを音のレイヤーで丁寧に描いたアンビエント、サウンドコラージュ作品。フィールド録音、柔らかなシンセ、木管、チャイム、民族的な声、短波ノイズなど多様な素材が静かに重なり、自然物の時間軸で進むような音響環境をつくり出している。音は急がず、ゆっくりと形を変えながら進み、微細な変化が積み重なることで成長が音として立ち上がるようで、鳥の声や風の気配が電子音と有機的に溶け合い、コラージュの多層性が作品に奥行きを与える。劇的な展開ではなく、静かな変化を見守るような聴き心地が特徴で、シリーズの中でも特に完成度の高い一本。

人気作リプレスです!韓国・ソウルを拠点に活動するデュオSalamandaが、植物にまつわる大人気シリーズMusic To Watch Seeds Grow Byに登場。第8弾となる本作は窓辺のバジルの一日を描いた、ミニマルで親密なアンビエント。水滴の落ちる音、時計の針のような反復、植物のゆっくりとした脈動を思わせるビート。Salamanda特有の柔らかい電子音と、生活の延長にあるような小さな音の粒子が重なり、光合成や吸水のスピードに同期したような、独自のタイムレスな感覚が光る。Salamandaの二人が実際に自宅で育てているバジルから着想を得たという背景もあってか、バジルの周囲で起こる小さな出来事を音で描写しつつ、「バジルは自分が食べられる運命を知っているのか?」という哲学的な問いも作品の奥に潜み、穏やかで可愛らしいだけでなく、どこかファンタジーと深い思索が同居する奥深い魅力も併せ持っている。単なるBGMとしてのアンビエントではない、つい忘れてしまう、植物という隣人との静かな対話ともいうべき一本。今回も種、付いてます。

植物の成長や生態系の営みをテーマにしたシリーズ『Music To Watch Seeds Grow By』の第9作目にPatricia Wolfが登場。2024年夏にロッキーマウンテン生物研究所で行われたアーティスト・イン・レジデンスを起点に、植物生態学者との共同調査やフィールド録音を取り入れながら、植物の生命プロセスを音で描いたコンセプト作。柔らかいシンセの層がゆっくり広がり、風や土の湿り気を思わせる微細なフィールド録音が静かに寄り添う。音の成長が聴こえるような構造で、ひとつのモチーフが少しずつ膨らみ、新しい層が自然に加わる。静けさの中に有機的な動きがあり、植物の生命を音で観察するような、静かで有機的なアンビエント作。B面には、現地で録音したフィールド録音に加え、インスピレーション源となった生態学者Paul CaraDonna博士によるガイド付きメディテーションを収録し、自然の営みに耳を澄ませる。

コロンビアのアーティストEzmeraldaによる、ラテンアメリカのアンビエント感覚と北欧のレーベル〈Blundar〉の電子音響美学が交差するカセット作品『Untitled』。伝統的クンビアのリズムを直接引用するのではなく、その空気だけを抽象化して音のテクスチャに溶かし込むスタイルで、音は水彩画のように境界が曖昧で、柔らかく発光するシンセの奥で細かな粒子が漂う。反復は機械的ではなく、手触りのあるループとして響き、時間がゆっくり折り重なるような感覚を生む。ラテン的な温度感は控えめながら、色彩や湿度感として作品全体に残り、アンビエントの静けさと人間的な温度が自然に共存している。風景としての電子音ともいうべきもので、静かに広がるテクスチャが心地よい一本。

LAアンダーグラウンドを長年支えてきたラッパーOpen Mike Eagleと、billy woodsやR.A.P. Ferreira作品で知られるプロデューサーKenny Segal。20年来の盟友である二人が、ついに完成させた完全な共同フルアルバム『DOOMED!: Rap Songs About A Relationship That Ends In Every Possible Universe』。Mikeの私生活で起きた長期的関係の破局をきっかけに制作。ジャズの断片、ソウルのメロウな気配、壊れたシンセ、乾いたドラムが変幻自在に混ざり合う、曲ごとに別の世界線へ飛ばされるような、圧倒的にユニークSegalのビートに、一方のMike は、ぼそっとした語り口、鋭い観察、ユーモアと痛みの混ざったラインで、日記とスタンダップコメディの中間のようなラップを展開。重いテーマを扱いながらも、どこか軽やかで、笑えるのに刺さるという彼の真骨頂が詰まっている。ゲストにはHemlock Ernst、billy woods、Gothic Tropicらが参加。それぞれが異なる宇宙のキャラクターのように登場し、アルバムのマルチバース的世界観をさらに広げている。
〈Ultraääni Records〉より、DJ Vera Righteousによるルーツレゲエ、ダブのミックステープ。本作はタイトル通り、A面がLOVE、B面がWARという明確なテーマで構成、A面には、ラヴァーズロックやスウィートなルーツを中心に、柔らかいメロディとソウルフルな歌声が続き、Sugar MinottやJennifer Laraのような温かい質感の楽曲が滑らかにつながる。一方で B面では、Horace AndyやYami Boloなど、社会性やスピリチュアル性の強いルーツ、ダブが並び、重いベースラインと深いエコーが聴かれる。甘く肉感的な「LOVE」と、シリアスでスピリチュアルな「WAR」という、レゲエ、ダブカルチャーが持つ二面性を対照的に配置しながらも一本の物語として流れる構成力が光る。レーベルのカタログの中でも特に人気が高く、初出時は即完売した幻の一本として知られる、小さくも濃密なミックステープ。
徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbowこと秋田昌美による新作カセット。2026年イタリア公演の為に発表された記念リリースで、限定199本ナンバリング入り。
アンナ・バターズ(ベース)、ジェレマイア・チウ(シンセサイザー)、ジョシュ・ジョンソン(サックス)、ブッカー・スタードラム(ドラム)、グレゴリー・ユールマン(ギター)によるロサンゼルス拠点のクインテット、SMLが最新作『Spontaneous Music Live』をリリース!
本作は、編集されていない即興演奏による長尺の2曲で構成されており、2025年12月にロサンゼルスの会場Zebulonで行われたバンドの3夜にわたるレジデンシー公演中にライブ録音されたものである。これは、バンドのセカンドアルバム『HOW YOU BEEN』のリリースからわずか数週間後のセッションだった。録音とミックスは、ジェフ・パーカー・ETAカルテットの美しいライブ記録でも知られるエンジニア/“魔術師”ブライス・ゴンザレスによって、ステレオ・アナログテープにライブで収められている。
『HOW YOU BEEN』と2024年のデビュー作『SMALL MEDIUM LARGE』(いずれも大幅にエディットされ、ポストプロダクションが施されている)を通じて、SMLは緻密に構築されたサウンドで評価を確立してきた。そこではメディアとしての“編集”そのものが前面に出ており、最も美味しい断片が選び抜かれ、編集されることで作品が構築されている。
しかし、これら2枚のアルバムの元となった素材はすべてライブ録音であり、長く、荒々しいグルーヴを持ってうねりながら展開する即興演奏だった。さらに重要なのは、バンドのこれまでのすべての公演が、その精神に基づいた完全な即興で行われているという点である。
この二重性は、彼らの思想的な近親者とも言えるアーティストたちにも見られる。たとえば、カンの『Live in Paris 1973』における長大で奔放な演奏と、同年のよりコンパクトな『Future Days』。あるいはマイルス・デイヴィスの『Dark Magus』におけるスピード感あるファンクの混沌と、『On The Corner』や『Big Fun』に見られる徹底的に解体された構築性などがその例である。
『Spontaneous Music Live』は、こうしたキュレーション的な視点を取り払い、編集プロセスの幕を引き剥がす作品である。そこに残るのは、ロサンゼルスという土地において、その瞬間に存在し、集合的に即興演奏を行うバンドのサイケデリックなリアリズムである。完全にその場にいる状態で、発見の瞬間を掘り出していく音楽だ。そこでは音の一つ一つが、将来のSMLの楽曲になりうる断片として、集合的な混沌と統制のあいだに星のように散りばめられている。

〈Jahtari〉の中心人物Disruptが、レーベルのゲーム音楽的ルーツとダブの美学を61分にまとめ上げたミックステープ『Secret Level mixtape』。particle.fmのラジオ番組 Secret Level用に制作されたミックスをベースに、未発表デモ、Game Boyリワーク、ライブ用のダビーな素材、そしてJahtariのクラシック曲を再編集した内容で、レーベルの裏側を覗くような構成。ピコピコした電子音やメロディが、深いエコーやテープディレイと重なり、レトロゲームの世界観がダブ処理によって拡張されていくような音像。軽やかなチップチューン的リズムと、Jahtariらしい重心の低いベースが自然に共存し、ノスタルジーとクラブ感が同時に立ち上がる。フェーダーやエコーなど、ライブ的な手触りがミックス全体を動かし、ゲーム音楽の記憶をダブで再構築するJahtari の美学がストレートに表れている。8bitとダブのハイブリッドを濃厚に体験できる、レーベルの魅力を凝縮したミックステープ。

鍵盤奏者/プロデューサーMarco Beneventoによる、ジャズを軸にしながら、イタリア映画音楽、レゲエのローエンド、サイケポップ、ドリームポップまでを軽やかに横断するシネマティック・ジャズアルバム『Glera』が〈Big Crown Records〉より登場。3年にわたり書き溜めた個人的なスケッチを発展させた作品で、スタジオを楽器として扱うというプロデューサー的視点がより明確に結実しており、曲ごとに異なる場面が立ち上がる映画的構成が魅力的。ホーン、ハープ、環境音、声の断片が緻密にレイヤーされ、音の質感そのものが物語を運んでいく。祝祭感と哀愁が交互に押し寄せる情緒の振れ幅、ジャズの即興性とソウル/レゲエの重心の低いグルーヴの共存。Beneventoのキャリアの中でも最もカラフルで、ジャズ、ソウル、ビートミュージック、サイケの境界を越えて楽しめる注目作。

東京拠点のプロデューサーRGLが、自身の音楽性のもう一つの側面を提示したカセット作品『Untitled』。ローファイ・ハウスやアナログ質感のダンス・トラックで知られる彼だが、本作ではビートのあるトラックと抽象的なアンビエント、ドローン が同じ地平で並ぶ。全8曲は、アナログ的なざらつきや微細なノイズが空気の中に漂うような、質感そのものを聴かせる構造が中心。ビートのある曲では、ローファイ・ハウスの温度感を保ちながらも輪郭が柔らかく、深夜の街を歩くような静かなグルーヴが続く。一方で「IV〜VI」ではビートが消え、音の粒子がゆっくりと浮遊する。都市の夜、遠くのネオンの光、そんな情景が自然と浮かぶような、RGLの質感への鋭い感覚を味わえる一本。

ポストハードコア・バンドthe north endのメンバーとしても知られる、東京を拠点に活動するアーティストFeLidによる、ギターの偶発性とアンビエント、ダブの音響処理を組み合わせたソロ名義2作目となるカセット作品『Magic Hour』。即興的に鳴らされるギターのフレーズが柔らかく揺れ、夕暮れの光がゆっくり変化していくような色彩感を帯びて進む。アンビエントの静けさ、ダブの空間処理、そして、細やかな編集による透明感が重なり、都市の片隅で立ち止まったときにふと立ち現れる、どこでもない世界を思わせる音像が広がる。
