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これは未体験の方は是非!まさに金字塔です。1997年に大名門〈Warp〉より発表、今も多くの聴衆を魅了し続けている、鬼才Aphex Twinの名作『Come to Daddy』。アグレッシブにして複雑、混沌としてユーモラスなドリルンベース/IDM史上に残る歴史的な大傑作!

(数量限定/日本語帯付き/解説封入/ブラック・ヴァイナル)
リリースから10年...異色の天才音楽家が5年もの歳月を費やした
珠玉のデビュー・アルバムが日本語帯付きLPで発売!
電子音楽、ジャズ、クラシック、現代音楽など幅広い要素を丁寧に
編み込んだ美しい一大音楽抒情詩がここに。
エレクトロニック・ミュージック・シーン随一の頭脳派として知られ、フォー・テットやボノボ、カリブーと言ったアーティストとも並び称されるプロデューサー/トラックメイカー/DJのフローティング・ポインツことサム・シェパード。賞賛を集めた2019年のアルバム『Crush』以降、ファラオ・サンダースとのコラボ作品『Promises』やバレエ作品『Mere Mortals』など、活動の幅を広げている。
電子音楽の作曲家、演奏家としての真価を十二分に発揮した2015年リリースの本デビュー・アルバムには、トム・スキナー(スマイル)、レオ・テイラー(ジ・インヴィジブル)他、ゾンガミンとしても活動する在英ベーシストのススム・ムカイ、ハーバートのバンドのヴォーカルも務めるラヘル・デビビ・デッサレーニなど実力派ミュージシャンたちが参加。その楽曲群は聴くものに神的で美的イマジネーションを掻き立てる。ジャケットのアートワークには自ら製作したハーモノグラフを使い、モジュラー・シンセと同期させた光ファイバー・ケーブルの光線で描いたドローイング・アートを使うなど、アルバム全体が一つの総合芸術作品として楽しめる傑作。

2005年以来、20年ぶりのヴァイナル・リイシュー。2025年にはEU&USツアーを予定。
進化し続けるエレクトロニック・ミュージックの先達であり、孤高の存在としてその動向が常に注目され続けるオウテカ。
枯渇することのない無限の才能と、変わることなき探究心。
いまだかつて誰も到達しえなかった美しき超絶音。
アンタイトルド(untitled)ではなくて、アンティルテッド(untilted)である。 いかにもオウテカらしいタイトルだ。「いつものよう に、タイトルに意味はない」 と彼らは言うけれど、ちょっとした心理の虚を突いたり、条件反射的な連想を逆手に とって文脈をすげ替えてしまったりする術 に、彼らは実に長けている。オウテカは 独創的で挑戦的な革新主義者ではあるけれど、同時に遊び心も備えた観察者でもあっ て、字面だけで安易に判断して 「あ、次のアルバムのタイトルは“アンタイトルド” なのね」と素直に思い込んでしまっていた筆者のような勘違い野郎のことを、影できっ とにやにやしなが ら見ていることだろう。二枚前のアルバム『コンフィールド』で、 オウテカのサウンドはずいぶん変わったといわれているけれど、そういう意味では根 本的な 部分は、まったく変わっていない。むしろこの8枚目のフル・アルバムは、彼 らに拭い去れない影響を刻みつけてきた音楽を、『コンフィールド』以降の地平の中 で、再びはっきりと浮かび上がらせるような作品である。つまり、エレクトロやアシッ ド・ハウスなんかの、ファンキーなエレクトロニック・ミュージックのことだ。
(中略)
中でもとりわけ、オウテカとヒップホップを巡る議論は未だ絶えることのない話題 のひとつだ。この『アンティルテッド』にも、アルバム冒頭の「LCC」や15分以上に 渡る大作「Sublimit」などに、その有効な答えがちらちら覗いている。時にはヒップ ホップと自分たちとの距離感覚を、はぐらかすこともあったりした彼らだが、『アン ティルテッド』に関してはルーツに対する愛情を包み隠そうとはしない。言葉に力を 込めてショーンはこう答えている。「“Tour De France”に“Hip Hop Bee Bop”や “The Message”“Step Off”。今でも本当に大好きだよ。タイムレスなのか、ノス タルジアなのか分からないけど、とにかく好きなんだ。僕らがビートを作る時は、そ の要素が必 ず無意識に入ってるんじゃないかな。僕らの音楽からそれが聞こえてこ ない時なんてないくらい」
(中略)
さて、とはいえ『アンティルテッド』は、もちろん懐古的なものでない。決して 『キアスティック・スライド』に戻ってしまったわけでもないし、あの『lp5』や 「ep7」のパート2でもない。『コンフィールド』はオウテカの新たな出口だった。 『lp5』と「ep7」で確立した評価の高みに甘んじることなく、そこから踏み出すこと が試みられていたもので、このアルバムもまた、過去のオウテカを振り切ろうとしている。
(中略)
『アンティルテッド』は、『ドラフト7.30』と『コンフィールド』を踏まえた上で、 アレンジの面でより自由度を増して制作されたものだ。(中略)なにしろこのアルバム には、MPCで走らせたシーケンスさえもが埋め込まれていて、「実は、ライヴでラッ プトップを使うのは好きじゃないんだ。もっと言うと、ラップトップを音楽で使うの もあまり好きじゃない(笑)」などと冗談めかしたセリフがショーンの口から出るく らいで、もともと使えるものは何でも試してきた彼らであるということを差し引いて も、大幅な変化が環境面に導入されている。しかし(中略)彼らは機材のダウングレー ドを計っているのではない。それを使ってサウンドを、次に進めることが重要なのだ、 とうぜん。アルバムでの、『コンフィールド』以降彼らが推し進めてきたシフトチェ ンジである先の、“複雑さへと向かうベクトルの変化”によって導かれたディティー ルへの執拗なこだわりはもはや圧巻で、成果はこそかしこに溢れている。だが、エレ クトロやMPCなんかのキーワードが再浮上してきたからなのかどうか、しかしそれ以 上に『アンティルテッド』には、非常にうっすらとだがどこか楽しげで何故だか軽や かな感覚さえあるのだ。
(後略)
text by 西山伸基(Headz/Fader)
日本盤アルバム封入のライナー・ノーツより一部抜粋、加筆。
ストックホルムを拠点に欧州各地で楽曲制作に取り組んでいる実験的インディ・ロック・ユニット Horse Visionによる最新アルバムが〈Scenic Route〉よりアナログ・リリース。ポップ/インディー的な感性とドリーミーな電子アンビエントの交差点に位置しながら、「日常の揺らぎ、記憶と感情のすり替わり」をテーマに静かに染み入る作品。夜明け前の静けさや、都市の灯りがまだ揺れている時間に寄り添うような、ポスト・ロック~エモ影響下の親密かつ内省的なサウンドが大変優美。余韻と曖昧さの中に豊かな情景が立ち上がる、聴く者の心の隙間を埋めるような一枚です。



バンコク生まれながらカナダ・バンクーバーを故郷として、そのアンダーグラウンド・シーンで活動していた知られざるレジェンド、Hussain Bokhariによるデビュー・アルバムがご当地アンビエント・ダンス・シーンの一大名門〈Mood Hut〉より堂々リリース!ベッドルーム・ポップとローファイ、バレアリックなギター/シンセの混ざりが絶妙な作品。"Pull Me Up"のふかふかした質感、 をBangkok Boyをのタイ語ヴォーカルが過去と場所を跨ぐノスタルジーを呼び起こすかのようです。静かな時間の背景で、自分自身と都市/記憶のあいだを漂わせるサウンドスケープが秀逸な逸品!
USED NM/NM Brian Enoとの共作Ambient 3で最も知られていますが、最近ではSun Arawとのコラボレーションや再発によりニューエイジ界以外でも再評価が進むLaraajiが1984年に子供の分娩時のBGMとして制作しカセットのみ私家版としてリリースされていた幻の音源を、ニューエイジ道を果敢に挑むまたもやLeaving Recordsが彼のシンボル色でもあるオレンジ・カラーヴァイナルで再発!
テリー・ライリーとのコラボで知られる、2024年に惜しくも亡くなったイタリア出身の名歌手アメリア・クーニの声を中心に据えた作品。インドの伝統的な声楽ドゥルパドの探求と現代実験音楽が見事に融合しており、A面の「Melopea」では、ベルリンでの録音をもとに、ヴァイオリニストのシルビア・タロッツィとチェリストのデボラ・ウォーカーが、クーニの歌声と重ね合わせながら、伝統のドローン音から解き放たれた不安定で複雑な響きを紡ぎ出す。まるで音の細かな倍音を追い求めるように、ゆったりとしたグリッサンドと繊細な音程操作が織り成す歌唱は瞑想的で、聴く者を静かな深みへと誘う。「Bhoop-Murchana」では、ソプラノサックス奏者のヴェルナー・デュランドとチェリストのアンセア・キャディが、クーニが歌うラーガの構成音を丁寧に選び、新たな旋法を探求しており、彼らの純度の高い音色と浮遊感のある長い響きは、クーニの声やタンプーラの繊細な音と溶け合い、まるで温泉につかるかのよう。パンデミックの時期に非同期で行われたコラボレーションから生まれたこの作品は、クーニの芸術への敬意を表すとともに、初めて彼女の世界に触れる人にとっても理想的な入門盤となっている。

ベルリン市民の1日を24時間ドキュメントしたTVプログラム24h Berlinのサウンドトラック用に制作された楽曲を中心にまとめられたベルリン・アンビエントダブ作品。コンパクトの創始者、ウォルフガング・フォイトや、ベーシック・チャンネルのモーリッツオ共にドイツのミニマルテクノシーンに多大な影響を及ぼしながら今なお現役で活動を続けるテクノ界のカリスマ、トーマス・フェルナンの最新アルバムが完成。ベルリンの日常を切り取るドキュメンタリーフィルムのサウンドトラックとして制作された本作は正にテクノミュージックが生活に溶け込むベルリンという街を彩るウォームフルで美しく、ダビーなアンビエントテクノアルバム。
壮大な宇宙観と繊細なディティールを兼ね備えた情熱的スペース・ロック/コスミッシェ・インプロヴィゼーション作!James RushfordやJudith Hamannといった豪華面々も参加。Ricardo Villalobosや灰野敬二、ジム・オルーク、AMM、Charlemagne Palestine、Alvin Curranなどを始めとして凄まじい面々による作品を手掛けてきた豪州拠点の実験/前衛音楽の世界的な聖地〈Black Truffle〉。その主将こと同国屈指の実験音楽家であるOren Ambarchiが2012年に今は亡き偉才Pitaが率いた大名門〈Editions Mego〉から発表し、現在レア化していた傑作『Sagittarian Domain』がCD/アナログ復刻。ギターとベースが延々と脈打つ中に、電子パーカッションや灰野さんとの仕事でもよく登場する轟音モーター系ドラムが織り交ぜられた破格のグルーヴを発揮。まるで、Faustが70年代の刑事番組のテーマをカバーしたかの如し、ブードゥーのグルーヴと催眠的な反復にロックされた一枚!
Cornelius Cardew、Eddie Prevost、Lou Gare、Keith Rowe、Lawrence Sheaf...インプロ猛者がつどった伝説的グループ、AMMの記念すべき66年1stが初のLPリイシュー!!
ノイズもロックも現代音楽も枠をこえてただただ格好いい、爆裂の軋み音が鳴りひびく歴史的な記録です。Nurse With Wound List掲載。アートワークはオリジナルLP版に戻ってます。Rashad Beckerマスターでアートワークのデザインは新たにStephen O'Malleyが担当。

あまりに独特な音楽性で知られるジャワ島バンドン出身のマルチ奏者テスラ・マナフと打楽器奏者リオ・アブロールによるデュオKUNTARIによるアルバム『MUTU BETON』が登場。本作は、伝統音楽、スラッジメタル、ノイズ、ジャズ、ミニマル、ダークアンビエントなどを大胆に掛け合わせ、動物の鳴き声や民族打楽器、微分音による響きを取り入れた、野生的で大地に根ざした音楽。現地楽器を用いたゾウやオランウータンの鳴き声のような音、ポリリズムと動物的なうめき声、インダストリアル・ノイズ、地元のトランス儀式を再現するような呪術的雰囲気とグラインドコア風のギターとの交錯など、歴史・土地・民族・動物・宗教・テクノロジーといった要素をひとつの身体的かつ精神的なサウンド体験として統合した異形の傑作。

レーベル設立11周年を記念して〈INTERNATIONAL ANTHEM RECORDING COMPANY〉の初期カタログから重要な作品を新たな装丁で再リリースする特別な再発シリーズ「IA11 Edition」として2022年発表の傑作盤が再登場。Brian Eno、坂本龍一、Terry Riley、Jon Hassellが好きな方にも激激レコメンド!コミュニティ・オーガナイザー、グラフィック・デザイナー、シンセシスト、教師といった多彩な顔を持つLAのアーティスト= Jeremiah Chiu、そして、同地のバイオリニスト、Marta Sofia Honerの2名による待望の初コラボ・アルバムが、シカゴの現代ジャズ一大聖地〈International Anthem〉から登場です!Chiuの繰るモジュラー・シンセとHonerのヴィオラの即興演奏が、バルト海のオーランド諸島で録音されたフィルレコ素材と折り重なり、美しくきらびやかでピースフルなサウンドスケープが大いに生まれた傑作アルバム!憂いと影と静かに揺れる、深遠なアンビエント・ジャズ。


アヴァンギャルド・ジャズとフューチャー・ソウルで知られるコルネット奏者、Ben LaMar Gayの事実上のデビュー・アルバムである2018年作『Downtown Castles Can Never Block The Sun』が〈International Anthem〉創立11周年記念リイシュー・シリーズとして、新しい帯と、ミュージシャンであり長年のBen LaMar Gayの友人、コラボレーターであるGira Dahneeによる写真と新しいライナーノーツが掲載された4ページのインサート・ブックレットが新装されてめでたくもリイシューされました!本作は、この伝説的なシカゴの作曲家/即興演奏家/ルネッサンス・マンを世界に紹介するための試みとして、彼が7年かけて制作した(ものの、まだ実際にリリースする努力はしていなかった)7枚のアルバムからの楽曲をコンパイルしたもので、スティーブ・ライヒ風のサウンドスケープから、ドン・チェリー風のポリリズム、ベン・ホルヘ風のヴォーカルと弦楽器の調べまで、ジャンルを飛び越えるゲイの才能が発揮されている。

エチオ・ジャズの創始者、ムラトゥ・アスタトゥケが約10年ぶりに発表したスタジオ・アルバム『Mulatu Plays Mulatu』が〈Strut Records〉より登場。60〜70年代にエチオピア音楽の歴史を塗り替えた自身の代表曲を、熟練のUKバンドやアディス・アベバのジャズ・ヴィレッジに集う現地ミュージシャンと共に新たなアレンジで再演した一枚。西洋ジャズの洗練されたアンサンブルに、エチオピア伝統楽器クラール、マセンコ、ワシント、ケベロ、ベゲナの響きを重ね、豊かな質感と複雑なリズム、自由な即興で名曲たちをアップデート。ムラトゥが長年追い求めてきた「エチオ・ジャズを世界に伝える」という夢の集大成であり、近代的な音楽理論やジャズ教育を受けたわけではないけれど、古くから口承や地域の慣習の中で培われてきた伝統的なエチオピア音楽の中で独自に音楽理論や演奏法、作曲技法を基礎付けた、「エチオピアの無名の音楽科学者たち」への敬意も込めた作品。ロサンゼルスのカルロス・ニーニョ、キブロム・ビルハネら現代アーティストも参加し、伝統と現代性、エチオピアと西洋が深い次元で融合されている。巨匠!

ボーカルのZack Borzoneとプロデューサー/ドラマーのSam Pickardを中心にフィラデルフィアで結成され、のちにニューヨークに移ってからJack TobiasとSaguiv Rosenstockが加入した4人組バンドYHWH Nailgunのデビューアルバム『45 Pounds』がロンドンの大名門〈AD 93〉から登場。ポストパンク、ノイズロック、実験音楽を融合させたサウンドが特徴的で、バンド名はヘブライ語の「ヤハウェ」を意味するが、その音楽性はむしろ俗世的で、混沌とした暴力的なサウンドにこそ本質がある。宗教的というよりも、人間的な激情や混乱を表すために、聖書的なイメージや象徴を借用している。Pitchforkが「このデビュー作は、わずか21分で実験音楽とアヴァンギャルドの世界を再構築する」と評したように、圧倒的なテンションで、ギターは軋み、ドラムは暴れ回り、すべての音が過剰で、歪んでいて、それでいて妙に中毒性がある。ロックというフォーマットに内在する衝動や混乱を最大限に引き出した、ある種の"破壊と再構築"の儀式とも言えるとんでもない一枚!
シカゴで最も重要かつ革新的なハウス・ミュージック・レーベルのひとつである〈Dance Mania〉、その決定的な回顧録として高い人気を誇っている2014年にリリースされた〈Strut〉による超名作コンピレーション『Hardcore Traxx: Dance Mania Records 1986-1997』がこのたびめでたく再プレスされました!!80年代半ば、〈Trax〉や〈DJ International〉といった老舗レーベルに代わる生々しいレーベルとして誕生した〈Dance Mania〉は、90年代に入ってもシカゴのストリート・クラブ・ミュージックを代表し続け、ゲットー・ハウス・サウンドのパイオニアとなった。本作は1986-1997とレーベルの全盛期からのストーリーをたどるもので、マーシャル・ジェファーソンの卓越した「7 Ways」のようなクラシックから、ヴィンセント・フロイド、ティム・ハーパーのディープなカット、DJディオン、ポール・ジョンソン、DJファンクのゲットー・ハウス・フロアバーナーまで、〈Strut〉によるこのレーベルへの究極のトリビュートとして、クラシック、ゲットー・ハウスのアンセム、隠れた名曲を綿密にキュレーションしたコンピレーションとなっている。〈Dance Mania〉の協力を得て制作され、ダフト・パンクにインスパイアされた人気のティーチャーズ・ミックスのクリエイターであるコナー・キーリングが、ランサムノートのマイルズ・シンプソンと共にコンパイルしている。レーベルの包括的な歴史、DJクリッシー・マーダーボットによるアーティスト・インタビュー、貴重なアーカイブ写真も付属。

デンマークはコペンハーゲンを拠点に活動するジャズ・ベーシストJonathan Bremerと、ピアニストのMorten McCoyによるデュオ、Bremer/McCoyによる〈LUAKA BOP>からの2019年作『Utopia』が入荷できました。冷たい風の吹く冬のコペンハーゲンで2週間かけて行われたセッションを、一切コンピューターは用いず、全てテープを使用して完全アナログで製作された本作は、一音一音、丁寧に紡がれる美しいメロディにスムースなグルーヴと、以後続いていく名作『Natten』『Kosmos』の世界を予感させる音像。ほとんどの曲が実は歌詞があったものをインストゥルメンタルとして再構築したという収録曲たちはどれもさながら無言歌のよう。ウーリッツァー、ピアノのきらめくような音とタンゴのような雰囲気を持つ暖かくゆったりとしたベースラインが好バランスな「Højder 」やヴァイオリンとダビングされた鍵盤が幽玄なグルーヴを醸し出す「Tusmørke 」など、ジャズファンからアンビエントファンまでお勧めできる好内容!

2015年の設立以来、アーカイヴ発掘からローカルな実験音楽、世界各地とのコラボレーションまで、音楽のアンダーグラウンドを自由に横断してきた〈Bongo Joe〉による、10周年を記念して編まれた『10 Years of Sonic Explorations』が登場。その多様で反トレンド的なカタログの精神を凝縮したコンピレーションで、ジュネーヴからボゴタ、イスタンブール、リロングウェまでの、ローファイなグルーヴ、生々しいヴォーカル、ひねくれたリズム、ジャンルを飛び越えるサウンドが並ぶ。Altın Gün、Hyperculte、Mauskovic Dance Bandといったおなじみの顔ぶれに加え、Alain Peters、Meridian Brothers、Madalitso Band、Derya Yıldırım & Grup Şimşekらのレア音源も収録。初期の名曲から近年の発見まで、周縁を大切にしてきたレーベルの包括的なビジョンを描いており、回顧ではなく、音楽をつながり、記憶、羅針盤として信じてきたその姿勢を改めて確認する一枚。レーベル名の由来ともなった、30年以上ものあいだ商業的な場を拒み、街角でドラム缶を叩き続けたテキサスのストリートパフォーマー George “Bongo Joe” Coleman のDIY精神と自由な姿勢は、今も〈Bongo Joe〉の根幹を支える光となっている。
