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Dennis Bovellが手がけた匿名的プロジェクト4th Street Orchestraによる、1977年ロンドンのサウンドシステム文化をそのまま封じ込めたルーツ・レゲエ/ダブの重要作『Yuh Learn!』。ジャマイカの温度感を保ちながら、UK特有の乾いた質感と硬いリズムが重なり、街の空気感漂うリアルな音像が魅力。Bovellの精密なダブ処理は、エコーやディレイが絶妙に配置され、動く空間をつくり出す。参加メンバーには、Dennis BrownやAswadを支えたJohn Kpiaye、Rico Rodriguezとも共演したEddie “Tan Tan” Thorntonなど、UKレゲエの歴史を形づくった名手が多数参加。ホーンは温かく、リズム隊はタイトで、サウンドシステムの現場で鳴らすことを前提にした強度を持つ。社会的背景が滲む「The Grunwick Affair」に象徴されるように、当時の移民コミュニティの現実や労働争議の空気が音の奥に宿り、レゲエがコミュニティの声として機能していた時代の息遣いが感じられる。UKレゲエの深部を知るうえで欠かせない一枚。
Barry Brownの黄金期ルーツ音源をまとめた決定盤『Can’t Stop Natty Dread』。プロデュースとアレンジはLinval Thompson、演奏はRoots Radics、ミックスはKing Tubby。Channel Oneの太いリズムとTubbyの深い残響処理が重なり、70年代末から80年代初頭のジャマイカ音楽が持つ力強い質感がそのまま息づいている。Barry Brownのヴォーカルは語りかけるような素朴さと芯の強さが共存し、社会的テーマの曲でも過度に重くならず、自然な説得力を保っている。Roots Radicsの演奏は、太いベースと乾いたドラムを軸に、ルーツレゲエの王道の鳴りを安定して支え、曲ごとに微妙なニュアンスの違いを生み出す。〈Thompson Sound〉の再発らしく、当時の空気を保ったままの質感で、黄金期の手触りがしっかりと残っている。
Linval Thompsonがプロデュースした黄金期ルーツ・レゲエを体系的にまとめたコンピレーション『Linval Thompson & Friends Vol.1』。Channel OneとKing Tubby’sの音源を軸に、Cedric “Congos” Myton、Horace Andy、Freddie McKay、Junior Delgado、King Kong、U Brownら、70年代後半から80年代初頭を代表するシンガー、DJを一枚に収めたもので、バックはSly & RobbieとRoots Radicsが担当。太いベースラインと乾いたドラムが、当時のジャマイカ音楽の力強い質感をそのまま支えている。Linvalのプロデュースは、リズムの芯を太く保ちながらヴォーカルの存在感を前に出すバランスが特徴で、各アーティストの個性が自然に立ち上がる。Horace Andy「River」や U Brown「Roots Is Roots」といった未発表音源も収録され、黄金期の空気が新たに発掘されたような新鮮さを添えている。Linval Thompsonのプロデューサーとしての重要性を再確認できる一枚。
1978年にリリースされたLinval Thompsonの代表作であり、Channel Oneで録音され、King Tubbyのスタジオでミックスされた、ジャマイカ音楽の黄金期を象徴するクラシック『I Love Marijuana』。Bunny Leeのもとでキャリアを始めたLinvalが、シンガーとしての存在感を確立した作品で、当時のトップ・ミュージシャンであるFamilyman Barrett、Robbie Shakespeare、Sly Dunbar、Chinna Smithらが参加し、ルーツレゲエの重心の低いグルーヴをしっかりと支えている。ヴォーカルは硬派なルーツの質感だけでなく、ラヴァーズ寄りの柔らかさも持ち合わせており、社会的テーマの曲と日常的な曲が自然に並ぶ構成が特徴。King Tubbyのミックスは過度に派手ではなく、必要な場面で空間を広げるような残響処理が施され、曲の流れに奥行きを与えている。ルーツからラヴァーズ、初期ダブの魅力をストレートに味わえるクラシック。
ブラック・アーク黄金期の1977〜79年に制作された5つのクラシック・ディスコミックスを公式にまとめた〈Studio 16〉の人気シリーズ第2弾『Disco Devil Vol. 2 (6 More Classic Discomixes From The Black Ark Studio 1977-8)』。Lee “Scratch” Perryが最も創造性と狂気を爆発させていた時期の12インチ・ロングミックスを収録し、ブラック・アークの魔術的サウンドをそのまま封じ込めた決定的コンピ。「Reggae Music」の9分に及ぶディスコ・ジャムでは、太いベースと乾いたステップの上でヴォーカルとメロディカが霧のように拡散。「Words」ではナイヤビンギ的な高揚とルーツ・レゲエの静けさが同じ空間で重なる。「Vampire」はフェイズやフィルターが音像を歪ませるサイコアコースティックなダブ処理が際立ち、ブラック・アーク期の魔術が最も濃密に味わえるクラシック中のクラシック。
Mad Professorが80年代初期に開始した「Dub Me Crazy」シリーズの初期中核作品で、彼のスタジオAriwaのサウンドを確立した重要作『Dub Me Crazy 3: The African Connection 』。タイトル通りシリーズの中でも特にアフリカとの精神的、文化的つながりをテーマにしており、アフリカン・リズムやモチーフが随所に散りばめられている。Bernard Cumberbatch、Billy CrossらAriwa常連の演奏陣が参加した色彩豊かな仕上がりで、音の軸となるのは、Ariwaらしい太く沈むベースと、乾いたタッチのドラム。ディレイは短い反射を連続させるタイプで、リバーブは控えめ。空間を広げるよりも、機械的な反復や細かい揺れを強調するミックスが特徴的。そこにマリンバや軽いパーカッションのような明るい音色が差し込まれ、深い低域と対照的な質感をつくり出している。ミニマルな構造の中で、シンセの短いフレーズやエフェクトの変化が少しずつ表情を変え、手作業のダブ処理ならではの生々しさが感じられる。ルーツ調の温度と電子的な質感が自然に混ざる、80年代初期UKダブの魅力が詰まった一枚。

2000年代のベストセラーとなった新型ルーツロックレゲエ『Walatta』で一躍有名になったブレンダ・レイは、ポストパンク/ニューウェーヴ時代から活躍し た人で、リヴァプールやマンチェスターを拠点に、スリッツ、ポップグループ、ニューエイジステッパーズ(A. シャーウッドと交流があった)等と同じく、レゲエ/ダブ/ファンク/ロックのクロスオーヴァーの先端音楽をやっていた。彼女にはPOP なずば抜けたセンスがあり、80 年代半ばはソロとして英Virgin 等で作品を発表。かの『Walatta』はその「後」のブレンダのソロ・キャリア集成のようなアルバムであった。
本作『ドゥヤ・ヒア・ミー!(聞いてんの!?)』は『Walatta』以前の、初期の名作選集である。
収録曲はNaafi Sandwich / Naffi Sandwich または Naffi (ナッフィー)と名乗って活動したバンド時代の音源で、当時のリリースはもっぱらD.I.Yなカセットテープと7 インチ。彼らはライブ・バンドとして結成されたわけではなく、アイデアにまかせて作品を録音制作するユニットだった。
本コンピで聴けるのはもうひとつの『Walatta』の世界で、リズムや手法にジャマイカ音楽の影響が濃厚だが、「レゲエを演奏する気はなく、 “Dub-up”したかった(= ダブのヴァージョンをやりたかった)」という彼らの音としてのレゲエ・クロスオーヴァーを演奏する。
表題曲の「D'ya Hear Me!」はリズムボックスを使って4 トラのテレコで録ったD.I.Y 魂炸裂のPOP チューン。「Naffi Take Away」、「Krazee Music」などヘヴィーでキュートなレゲエ・クロスオーヴァー、ド・ディープでダークなルーツレゲエ風インスト「Spring Thing- Hippy Dread」、『Walatta』人気曲「Starlight」の原曲(!)「Moonbeams」、ヤング・マーブル・ジャイアンツ風の 「Everyday Just Another Dream」、未発表のオリジナル長尺版などなど。最後に今回彼女が“発掘” した「D'Ya Hear Me!」のデモを収録。ポストパンク/ネオアコ・ファンにも大推薦!!
〈Ultraääni Records〉より、DJ Vera Righteousによるルーツレゲエ、ダブのミックステープ。本作はタイトル通り、A面がLOVE、B面がWARという明確なテーマで構成、A面には、ラヴァーズロックやスウィートなルーツを中心に、柔らかいメロディとソウルフルな歌声が続き、Sugar MinottやJennifer Laraのような温かい質感の楽曲が滑らかにつながる。一方で B面では、Horace AndyやYami Boloなど、社会性やスピリチュアル性の強いルーツ、ダブが並び、重いベースラインと深いエコーが聴かれる。甘く肉感的な「LOVE」と、シリアスでスピリチュアルな「WAR」という、レゲエ、ダブカルチャーが持つ二面性を対照的に配置しながらも一本の物語として流れる構成力が光る。レーベルのカタログの中でも特に人気が高く、初出時は即完売した幻の一本として知られる、小さくも濃密なミックステープ。

名匠Phill PrattがプロデュースしたChannel One渾身のDUB作品!
ライブ重視の伝説の凄腕バンドSkin, Flesh and Bones による意義深い録音!数あるダブ作品の中でも、最も貴重で価値のあるアルバムの1枚!
更にLee PerryがBlack Arkで録音したSunshot Band音源も含むボーナス・トラックを追加収録!!
シェフ、シンガー、プロデューサー、10のレコード・レーベルのオーナー、名匠Phil Prattは、ジャマイカの音楽シーンにおいてとてもユニークな存在である。60年代にロックステディ・シーンで重要な役割を果たしたPhil Prattは、「Artibell」や「My Heart Is Gone」といった大ヒット作を筆頭に、ジャマイカを代表するルーツ・ミュージックを多数生み出してきた。
Phillip FullwoodがBurning Spearの元で培ったスキルをフル活用しWinston McKenzieとBlack Arkや、Channel Oneで仕上げたダブ作品『Words in Dub』(1979)。
内容の素晴らしさと極端な希少性が相まってアルバムに対する評価も恐ろしいほど膨れ上がり、オリジナル盤は常に超高額で取引されるファンが切望し続けた作品。オリジナル・スリーヴを忠実に再現し世界初リイシュー。
Riddim Changoサブレーベル、Parallel Lineの003は英ウェールズ出身、ベルリン在住のSeverin Blackが登場。Pavel Milyakov(Buttechno)やVanessa Bedoretが参加したアルバムCountry Musicでケルティック音楽やフィードバック、ダブの要素を融合させ、前作のLord Have Mercy / Brass VIPではさらにオルタナティブなステッパーに歩みを寄せた Severin Blackの今作は、フルートのループが不穏な空気を纏うタイトルトラック "Brandy"、リチュアルなステッパー ”Yarmouth"、B面は9分半に及ぶライブテイク"Cautious (Dub)"を収録。
イギリスからベルリンに移住し、現行のオブスキュアダブ界隈への反応を見せるだけでなく、元々の実験音楽性とベルリン移住後に深まったディストーション、歪みの要素を加えたSeverin Blackの新作EPは300枚の限定プレス、2026年末には来日してのライブも予定している。
Mad Professorが80年代に展開した代表シリーズ「Dub Me Crazy」の中核タイトルで、1986年という時期は、UKダブが アナログ機材と初期デジタル処理を併用する過渡期で、Ariwa Sound Studioの特徴的な電子的ダブ処理が確立し始めた時期。本作でも、シリーズの中でもエフェクトの密度が高く、より実験的なダブ処理が前面に出ており、Mad Professorがアレンジ、ミックス、プロデュースをすべて自身で担当。Black Steel、Billy Cross、RobotiksらAriwa常連の演奏陣が参加し、80年代UKダブの過渡期を象徴する出来栄え。短い反射を連続させるディレイや、急に音が吸い込まれるようなフィルター処理が頻繁に現れ、スタジオ機材の反応そのものを音楽化したような独特の質感を生み出している。アナログの暖かみと電子的なクールさが自然に混ざり、ミニマルな構造の中で細部の変化が絶えず続く。シリーズの中でも特に動きの多いダブで、Ariwaサウンドの方向性を決定づけた重要作。80年代UKダブの魅力が凝縮された、手作業のダブ処理が光る一枚。
国内盤CD(解説書封入)2025年に20周年を迎え、2026年9月にも開催が決定しているエイドリアン・シャーウッド主宰のDUB SESSIONS。今回はエレクトロニック・ミュージックの名門〈Warp Records〉の重鎮にして象徴的存在の一人、ナイトメアズ・オン・ワックスを迎えることが発表されており、ダブ〜エレクトロニック〜クラブミュージック・ファンを幅広く魅了すること間違いなし!そんな話題のイベント開催を記念し、エイドリアン・シャーウッドが、2023年にDUB SESSIONSに出演したアフリカン・ヘッド・チャージ、そしてサウス・ロンドンの新鋭ジャズ・コレクティヴ、スピーカーズ・コーナー・カルテットと組んで制作したEP『Barbican Heights』がリリース!もともとは今年2月にロンドンのバービカン・センターで開催されたDUB SESSIONSに合わせてデジタル配信されたもので、今回初めてCDでも発売される。
ウィッカー・スタジオにて、即興のセッションをベースに、たった1日でレコーディングされたという本作は、DUB SESSIONSの精神を反映されるかのように、ダブ、ジャズ、エレクトロニック、アフロビートなど、多様な音楽世界を横断。3組のアーティストに加え、昨年のDUB SESSIONSにエイドリアン・シャーウッドのバンドメンバーとして出演したプライマル・スクリームおよびファット・ホワイト・ファミリーのアレックス・ホワイトも参加。アフリカン・ヘッド・チャージの名曲「Wicked Kingdom Of This Earth」とスピーカーズ・コーナー・カルテットの「Topanga」を即興をベースにリワークしているほか、セッション中にゼロから生み出された2曲の新曲も収録されている。


長年レゲエを愛し、ラジオやサウンドシステム、Dub Camp Festivalなどを通じてシーンと深く関わってきたレーベル〈Groove Exploration Records〉が、その歩みの延長線上で実現させたプロジェクト。ジャマイカのシンガー、プロデューサーLinval Thompson、Dub Shepherdsらが築いた重厚なリディムに、レーベル主宰Nesta Egorが書き下ろした歌詞を携えて完成。
プラトンの「洞窟の比喩」をモチーフとし、物質主義や消費社会に囚われた現代人の姿を重ね合わせながら、精神的な目覚めと解放を呼びかけるメッセージが込められており、タイトルの「Rebel Up」は、権力への反抗というよりも、内なる意識を目覚めさせるためのレベルとのこと。Linval Thompsonの円熟した歌声とDub Shepherdsによる深く有機的なダブワイズが結びつき、ルーツ・レゲエが本来持っていた精神性を現代へと引き継ぐ一枚。
メロディカ奏者としてRockersサウンドを確立したAugustus Pabloと、ダブの魔術師King Tubbyが残した名演をまとめたコンピレーション『Augustus Pablo At King Tubby’s』。Bunny Leeが制作した秘蔵トラックを中心に、King Tubby’s Studioで録音された音源を収録。パブロのメロディカは、単なる旋律ではなく歌う楽器のように感情を帯びて響く。柔らかく影のある音色が、Tubbyの精密なダブ処理と重なり、深い余韻を生む。リズム隊はBunny Lee流のシンプルで強靭なルーツ・グルーヴ。余白の多い演奏だからこそ、Tubbyのフェーダー操作や残響のコントロールが際立ち、音が消えたり戻ったりする瞬間の緊張感が心地よい。メロディカの柔らかな響きと、Tubbyの静かな強度を持つダブ処理が絶妙に溶け合った一枚。
Bunny Leeプロデュース、Aggrovators演奏、そしてKing Tubbyミックスという70年代中期ジャマイカ・ダブの黄金ラインが揃ったクラシック『King Tubby Meets The Aggrovators At Dub Station』。Tommy McCookのサックスをフィーチャーした、ホーンが主役のダブとして知られており、サックスは、旋律というより空気の流れのように響く。Tubbyの丁寧なダブ処理によって霧のような残響が立ち上がる。Aggrovatorsの演奏は装飾を排したストイックなルーツ・グルーヴで、その余白をTubbyがフェーダー操作と残響のコントロールで巧みに加工。ダブの魔術が、各トラックで際立つ。派手なエフェクトよりも、じわじわと空間が揺らぐような処理が中心で、深夜のスタジオで鳴っているような静かな緊張感が漂う。黄金の時代だけに許された完璧で幽玄なダブ。
Bob Marley、Peter Tosh、Bunny Wailerのトリオ時代にLee “Scratch” Perryと組んで制作された初期レゲエの重要作『Soul Rebels』。Perryのプロダクションはホーンを排し、ギター、ベース、ドラム、オルガンだけで構成された乾いた音像。後のルーツレゲエよりも荒削りで、夜の静けさを感じさせるミニマルなリズムが全編を支配している。後年の名曲へつながるテーマ性がすでに濃厚で、Marleyのソングライティングが芽吹く瞬間がそのまま刻まれている。トリオ時代のコーラス・ワークも魅力で、素朴な民謡的温度感とストリートの荒々しさが自然に同居。Wailersが国際的なステージへ踏み出す前夜の核そのものとも言える荒削りで幽玄な初期レゲエの名作。

ヴォーカルのI Fi、プロダクションミックスのDub Shepherds、リディムを手がけるPinnacle Soundというレーベルの中心アーティストが総出で仕上げた、フランスの〈BAT Records〉が抱える人気ダブプレート『Bush Tea』が、ついに限定7インチとして正式リリース。A面「Bush Tea」は、太いベースがどっしり沈み、乾いたドラムがタイトに刻む王道ルーツ。I Fi のスモーキーな歌声が、70年代の温度をしっかり保ちながら現代的な質感で響く。B面「Bush Tea Riddim」は、ヴォーカルを外し、リディムの強度を前面に押し出したダブ・ヴァージョン。ベースの重心がさらに低く、サウンドシステムで鳴らすことを前提にした設計が明確。アナログの手触りが強く、レーベルらしい現場直結のルーツ&ダブがそのまま刻まれた一枚。

フランスのルーツ・ロックレゲエ・コレクティブPinnacle Soundによる、複数のスタジオを横断しながら録音され、Dub ShepherdsのミックスとThe Curveのマスタリングによって仕上げられた、70年代ルーツの煙たい質感を現代的に再構築したリバイバル・ルーツの重要作『Still Dread』。多国籍シンガーを迎えた構成で、Payoh Soulrebelのスモーキーな歌声、Jr. Thomasのソウルフルな表現、Les Steadiesの柔らかいハーモニーなど、曲ごとにヴォーカルのキャラクターが変わることで豊かな色彩が生まれている。70年代ジャマイカのスタジオ録音を思わせる土臭いルーツ感と、空間の奥行きが際立ち、ホーンやギターの残響がゆっくり広がる現代的なクリアに、フランス産ルーツならではの乾いた質感が心地よいコントラストを生む。4色スリーヴ仕様も含め、音だけでなく空気感や匂いまで再現する、70年代ルーツの精神を尊重しながら、その明日を創造するリバイバル・ルーツ作品。

ルーツ・レゲエのレジェンドMax Romeoが、2023年の最後のヨーロッパツアー中に録音した新作12インチ『The Time Is Now』。A面「The Time Is Now (Extended Mix)」は、成熟したMax Romeoの声がしっかりと前に出ていて、70年代の名作を思わせる土臭いルーツ感と、現代的な録音のクリアさが自然に共存する。Extended Mixならではの長尺構成で、リディムの揺れがゆっくりと広がり、声の力とリズムの深さが同じ温度で響く。B面「The Ark’s Legacy」はより精神性の深い構成。落ち着いたルーツ・ナンバーで、テーマ性のあるメロディが静かに漂う。続く「Horns in Dub」では、ホーンの残響が空間にゆっくり広がり、深く沈むベースとともにクラシックなジャマイカン・ダブを現代的に再構築した音像が際立つ。フランス録音ならではの乾いた質感が、Max Romeoの声と対照的に心地よいコントラストを生んでいる。2020年代における、現在進行形のルーツを刻んだ重要作。

イタリアのプロデューサーCrazy Hertzと、UKダブのレジェンドAlpha & Omegaが手を組んだ7インチ『Philosofy』。A面「Philosofy Part 1 (Melodica Cut)」は、Alpha & Omegaらしいメロディカが朗々と響き、深く沈むアナログベースがその背後でゆっくりと揺れる。メロディカの旋律はどこか祈りのようで、クラシックUKダブの精神性がそのまま刻まれたようなトーン。B面「Philosofy Part 2 (Dub)」は、メロディの輪郭が溶け、エコーとディレイがゆっくり波打つ深度の高いダブ・ヴァージョン。Alpha & Omegaのスピリチュアルな響きと、Crazy Hertzの現代的な空間処理が自然に重なり、夜の空気に溶けるような沈み込みの深さが際立つ。
