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Tortoiseによる1998年にリリースのあまりにも有名な3rdアルバム『TNT』がリプレス!Pro Toolsを駆使した緻密な音響構築が特徴で、ジャズ、ダブ、クラウトロック、ミニマリズムなど多様なジャンルを横断しながら、流麗で繊細なインストゥルメンタルを展開。ジェフ・パーカー加入後初の作品であり、ジャズ的な即興性と繊細なフレージングが加わったことで、バンドの音楽性が大きく広がっている。各楽曲はメロディよりも質感や空間性を重視したサウンドで、録音と編集のプロセスが創作の中心にあり、スタジオを楽器として扱う姿勢が明確に表れている。リズムの変化や音の配置が緻密で、聴くたびに新たな発見があるような構造を持つ、ポストロックの金字塔として今なお高く評価される名作。
シカゴの〈River North Recorders〉でBrian Paulsonによってプロデュースされ、1991年4月に〈Touch and Go Records〉からリリースされたSlintの2枚目にして最終作となったポスト・ハードコア/ポスト・ロックの伝説的アルバム『Spiderland』。不気味でありながらも今では象徴的な4人のメンバーの頭が水面を割っている白黒のジャケット写真は、彼らの友人Will Oldhamが撮影したもの。ポスト・ロックと呼ばれる全く新しいジャンルを生み出した、過去30年間で最も重要で影響力のあるアルバムの一角!Slintは『Spiderland』がリリースされる直前に解散し、メンバーはその後Yeah Yeah YeahsやInterpol、Tortoise、The Breedersといった名バンドでも活躍しています。

エイフェックス・ツインも惚れ込む逸材
エレクトロニック・ミュージックと実験的ギター・ミュージックの
交差点に位置する存在として唯一無二の存在感を放つSeefeel
15年ぶりとなる最新作をリリース!
1990年代初頭に登場し、シューゲイズ、ダブ、テクノ、アンビエントを横断する独自のサウンドで注目を集めた英国のバンド、シーフィール。デビュー作『Quique』で高い評価を獲得し、その後〈Warp Records〉と契約、同レーベルにおいて初めて“ギターを用いるアーティスト”として迎えられた存在でもある。ダンス・レーベルの文脈にありながら、サンプラーやエフェクトを駆使してギターの質感を再構築し、エレクトロニック・ミュージックと実験的ギター・ミュージックの境界を曖昧にする表現を確立した彼らが、15年ぶりとなる最新アルバムをリリース!
15年ぶりのフルレングス・アルバム『Sol.Hz』は、これまでの歩みの延長線上に位置する重要作である。霞がかったテクスチャー、断片化されたメロディ、深くうねる低音が幾層にも重なり合い、小音量ではアンビエントに近接しながら、大音量ではダブ的な音響構造が立体的に立ち現れる。Mark Cliffordによる緻密な音像設計は、時間感覚や定位感を揺さぶりつつも、冷たい実験性へと傾きすぎることはない。Sarah Peacockの加工されたヴォーカルが確かな人間的気配を宿し、処理されたギター・ループの残響の中から旋律の断片が浮かび上がる。実体と空間、形と溶解のあわいを往還するその音響体験は、Seefeelというバンドの本質をあらためて提示するものであり、彼らの現在地を鮮明に示す一作となっている。
アメリカ西海岸の5人組グループSMLによる実験的ジャズ作品『How You Been』が〈International Anthem〉から登場。メンバーはJosh Johnson(sax, electronics)、Anna Butterss(bass)、Jeremiah Chiu(modular synth, live sampling)、Booker Stardrum(drums, percussion)、Gregory Uhlmann(guitar, effects)という、各々が作曲家やプロデューサーとしても活躍する精鋭たちで、このアルバムは、2024年から2025年にかけて行われたライブ演奏を録音し、それを素材にしてスタジオで再構築したもの。事前の打ち合わせなしに即興で始まった演奏を、後から丁寧に編集・加工することで、ライブの生々しさとスタジオ作品としての完成度を両立させている。前作『Small Medium Large』で見られた、メンバー全員が対等にアイデアを出し合いながら、細部までこだわって音を作り上げるスタイルが、さらに洗練された形で実現している。音楽的には、ジャズを軸にしながらも、アフロビートや電子音楽、ポストロック、アンビエントなどが混ざり合っており、即興演奏の自由さとスタジオ編集の緻密さが融合した、現代ジャズの新しいかたちを提示する作品として、聴くたびに異なる側面が立ち上がるような奥行きのある一枚となっている。
かなり凄い内容です。デンマークの作曲家、ML Buchが自身のレーベルと思われる〈15 love〉より2023年にデジタル・リリースしていた2枚目のアルバムにして、昨年各所で話題を呼んだ大変素晴らしい作品が、今年度遂にアナログ化されました!明らかに逸していると言えるほどに鮮やかなギター。エレキギターとレイヤーされたヴォーカルの領域にさらに踏み込む事で、新しい楽器表現を模索した、これぞ、20年代標準と言いたい破格のネオ・サイケデリア/ドリーム・ポップ名作!

アンビエント・ポストロックの名盤として語り継がれる、TristezaのギタリストJimmy LaValleのソロ・プロジェクトThe Album Leafの2001年作2ndアルバムが、〈Numero Group〉より25周年記念盤としてリマスター再発。オリジナルはTristezaのツアーの合間に制作され、繊細なギター、淡いピアノ、柔らかなシンセ、フィールドレコーディング、控えめなパーカッションが溶け合う、内省的な作品。ギターのアルペジオやピアノのモチーフがゆっくりと重なり、環境音がさりげなく混ざり込む、穏やかな高揚を感じさせるアンビエントとポストロックの間を漂うような質感。25周年盤はオリジナルの構成を忠実に再現しつつ、Adam Gnadeによる新規ライナーノーツと未公開写真を追加したアーカイヴ仕様。


Magazzini Criminaliが1983年に〈Riviera Records〉から発表した、民族音楽や古典音楽、他人のレコード、環境音、映画音声といった異なる音源を切り貼りし、ムーグやサックスの即興演奏、Marion D’Amburgoの詩的で時に激しい声を重ねたコラージュによる作品『Notti Senza Fine』。フィレンツェのポストモダン演劇集団らしい、Musique Concrèteと実験的ロックの要素が混ざり合う独自の音響世界を形成している。劇場的な緊張感と音の断片が連続する構成は、彼らのパフォーマンス手法をそのまま音に転写したような強度を持つ。

アンビエント・ポストロックの名盤として語り継がれる、TristezaのギタリストJimmy LaValleのソロ・プロジェクトThe Album Leafの2001年作2ndアルバムが、〈Numero Group〉より25周年記念盤としてリマスター再発。オリジナルはTristezaのツアーの合間に制作され、繊細なギター、淡いピアノ、柔らかなシンセ、フィールドレコーディング、控えめなパーカッションが溶け合う、内省的な作品。ギターのアルペジオやピアノのモチーフがゆっくりと重なり、環境音がさりげなく混ざり込む、穏やかな高揚を感じさせるアンビエントとポストロックの間を漂うような質感。25周年盤はオリジナルの構成を忠実に再現しつつ、Adam Gnadeによる新規ライナーノーツと未公開写真を追加したアーカイヴ仕様。
マスロックという言葉が定着する前に、その骨格を作り上げたDon Caballeroの代表作にして1998年リリースの金字塔的3rdアルバム。2年間の活動休止を経てオリジナル・ラインナップが復帰し、ギタリストIan Williamsがエフェクト/ループを本格導入した新生Don Cabのスタート地点で、Damon Cheの怪物的ドラムがポリリズムの渦を生み、WilliamsとBanfieldのギターはリフではなく、反復フレーズを細かく変形させながら積み重ねるミニマル的アプローチで、構造そのものを組み上げるかのよう。初期の荒々しいアングラ感よりも、緻密で立体的なアンサンブルが際立ち、それでもエネルギーは失われず、制御された爆発のような緊張感が続く。怪物的ドラムと構造的アプローチが融合しした、後続のマスロック勢が参照し続ける教科書のような完成度を誇る名盤。

8月下旬再入荷。ドラマーDamon Cheの爆発的かつ変則的なドラミングでも知られる、アメリカ・ピッツバーグ出身のインストゥルメンタル・マスロックの代表的バンド Don Caballero の4作目にして、マスロック史に残る金字塔とされる名盤『American Don』。ギター2本+ドラムによる複雑なポリリズム、変拍子を多用した緻密な構造、それでいてメロディアスで開放感のあるサウンドは轟音よりも繊細な構築美が印象的で、前作までの荒々しいエネルギーから一転、より洗練されたポストロック的アプローチが際立つ作品となっている。オリジナルアルバムのリマスター音源2LPに加えセッション音源、未発表テイク、デモなどを追加収録した3LPで、ジャケットやインナーのアートワークもアップデートした作品の裏側まで丸ごと体験できる決定版。

静けさの中に満ちてくるようなTristezaの夢幻的なポスト・ロック作品『Dream Signals in Full Circles』が四半世紀の時を経て〈Numero〉よりリイシュー。1999年にリリースされた当時はあまり注目を集めなかったものの、その後静かに支持を広げ、今やジャンル内ではカルト的存在となっている。サンディエゴ出身のTristezaは、Explosions in the SkyやDo Make Say Thinkなどと並ぶインストゥルメンタル・ポスト・ロック黎明期のバンドの一つで、本作は、エコーをまとったギター、柔らかく跳ねるリズムセクション、ゆったりと空間に溶けていくようなメロディが特徴的。決して劇的ではなく、感情の波を穏やかに描くような構成で、儚くも深い余韻を残す。きらめきと哀愁が交差するそのサウンドは、今聴いてもまったく色褪せていないどころか、むしろいまにこそ沁みるものがあると思わせる一枚。
Jeff Parker率いるETA IVtetによる、2019年から2021年にかけてロサンゼルスのバー「Enfield Tennis Academy」で毎週月曜に行われていた即興セッションを記録したライブ・アルバム『Mondays at The Enfield Tennis Academy』。Josh Johnson(サックス)、Anna Butterss(ベース)、Jay Bellerose(ドラム)とのカルテット編成で、全4曲、各20分超に及ぶ長尺の演奏を収録。即興といっても、調性や構造、メロディの輪郭がしっかりと感じられ、自由な作曲とでも言うべきアプローチがとられているのが特徴的。サンプリング的手法をリアルタイムに取り入れた演奏は、ジャズでありながらも、アンビエントやポスト・ロック、ヒップホップといった多層的なジャンル感覚を持ち込んでいる。緊張感と寛ぎが絶妙に共存しており、聞き流すことも、深く聴き込むこともできる、現代的な音楽!

David GrubbsとJim O’Rourkeによるユニット、Gastr del Solの代表作であり、ポストロック/実験音楽の重要作として知られている1996年のアルバム『Upgrade & Afterlife』がめでたくリイシュー!フォーク・ミニマリズム、アヴァンギャルド、電子音響が混ざり合い、常に予想を裏切る構成が特徴的。冒頭の「Our Exquisite Replica of ‘Eternity’」では、映画音楽のサンプルやドローンを用いて、異様で感情的な風景を描き出し、アルバム全体の方向性を示す。続く曲では、弾き語りが抽象音響へ変化したり、歪んだリズムや断片的なボーカル処理などが登場し、聴くたびに新たな発見がある作りになっている。ラストはJohn Faheyの「Dry Bones in the Valley」のカバーで締めくくられ、ゲストのTony Conradのヴァイオリンが、アメリカン・フォークと前衛音楽の橋渡しをするように響く。批評家からも「フォークとアヴァンギャルドが互いを抽象化しながら融合している」と高く評価され、ジャケットに使われたRoman Signerの作品《Wasserstiefel》も含め、コンセプチュアルで不思議な魅力を放っている。実験音楽ファンにとっては聴き逃せない名作!

SLINTやTORTOISEのギタリスト兼マルチ・インストゥルメンタリスト、David Pajoのソロ名義Papa Mでの1999年リリースの〈DRAG CITY〉からのファースト・アルバムである『Live From A Shark Cage』。Shark Cage』が入荷できました!本作は、ジョン・フェイヒーやウィル・オールダムとの活動を思い起こさせる、軽快で内省的なポストロック・アルバムで、反復されるギターによるアルペジオ、緩やかに流れていくメロディーは色褪せない魅力に溢れている。素朴で、世の中の流れたから隔絶されたところで静かに爪弾かれるような音楽は、氾濫する情報に翻弄されがちな今だからこそ響くものがあるかもしれない。

シカゴ音響派の中心にいた5人が、録音スタジオを楽器として扱いながら作り上げた1994年の革新的デビュー作『Tortoise』。 ミニマル、ジャズ、ダブ、エレクトロニカを溶かし込み、後にポストロックと呼ばれるジャンルの基礎を形作った名盤。メンバー全員がマルチ奏者として楽器を持ち替えながら、リズムと質感を中心に据えたアンサンブルを構築。Tortoiseがもともとベース2名と打楽器3名という珍しい編成で結成されたことからも分かるように、複数のベースが重層的な低音の地形をつくり、3人のドラマーがミニマルな反復とダブ的な空間処理で立体的なグルーヴを生み出す。ヴィブラフォンやパーカッションも加わり、後に開花するアフロビート志向はもとより、ジャマイカン・ダブやエチオ・ジャズの影響が強く感じられ、ヴォーカルやギターソロが無いとは思えない豊かな音像が広がる。ポストロックの原点にして、Tortoiseの美学がすでに完成していたことを示す決定的デビュー作。

2026年リプレス!シカゴのポストロックを象徴するバンドTortoiseが1996年に発表した2ndアルバムで、ポストロックというジャンルを世界的に定着させた決定的作品。冒頭を飾る20分超の大作「Djed」 は、ミニマル、ダブ、ジャズ、エレクトロニカ、クラウトロックの要素が有機的に連なり、ロックの枠を越えた構造的な音響作品として高く評価されている。新加入した元SlintのDavid Pajoを含む当時のメンバーによる緻密なアンサンブルと、John McEntireの透明感あるプロダクションが、画期的なサウンドを生み出した。静と動を往復する構築美に満ちた楽曲群は、ジャズ的な柔軟性とロックのダイナミズムを併せ持ち、今なお多くのアーティストに影響を与え続ける名盤。

ベルリンのアンビエント作家Florian TM Zeisigが、2022年から2025年にかけて、さまざまな状況で録られた複数のコラボレーターから寄せられた断片的な素材を集め、選び、並べ替え、長い時間をかけて再配置しながら、アンビエントジャズからドリームポップまでも横断させた作品『The Thinking of the World Began Pounding in Our Ears the Moment We Hit Shore』が、カルト的なキュレーションに舵を切った実験的レーベルである〈STROOM.tv〉から登場。作曲、録音、編集、アレンジ、ミックスといった工程が明確に分かれることなく、すべてが連続した作業として扱われたことで、個々の音が別々の場所から集まってきたにもかかわらず、最終的にはひとつの流れとして聴こえる構造になっている。参加メンバーにはMoreEaze名義でも知られるMariRubioをはじめ、RóisínBerkeley、DonLyons、CalFish、K、SeánBeing、JQなどが名を連ね、各曲の共同作曲クレジットも明記されている。声や電子音、環境音の断片が重なり合う静かな音像を中心にして、素材の組み替えを通して少しずつ形を変えていくような、スタジオ制作ならではの質感が作品全体を支えている。断片が集まり、時間をかけて磨かれ、別の文脈へ置き換えられながら、ひとつのまとまりへと収束していく、その過程そのものが刻まれた一枚。

日本のポストロック/エクスペリメンタルを代表するMONOのデビュー作『Under The Pipal Tree』が、リリース25周年を記念して〈Temporary Residence Ltd.〉から限定再発。オリジナルはジョン・ゾーン主宰の〈Tzadik〉からリリースされ、ソニック・ユース、モグワイ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニール・ヤングなど多彩な影響を受けた若き4人組が、野心的で激しいパフォーマンスを刻んでいる。MONO初期の代名詞ともいえる 静寂から轟音へと一気に駆け上がるダイナミクス、深い残響とドローンが織りなす瞑想的でサイケデリックな音像、そして後年のシンフォニック路線とは異なる 生々しいギターの熱量が魅力的。長尺の反復がじわじわと熱を帯び、ギター・フリークアウトが静寂へと溶けていく構成は、デビュー作にしてすでにMONOの核が形成されていたことを物語っている。バンドのサイケデリックな初期衝動がそのまま刻まれた、原石感あふれる作品。
シカゴのポストロック・バンド90 Day Menによる2000年リリースのデビュー作『(It (Is) It) Critical Band』の25周年記念盤が大名門〈 Numero Group〉より登場。ノーウェイヴの鋭さとヒプノティックな展開を融合させたオリジナルの8曲に加え、伝説的な音楽プロデューサー/エンジニアであるSteve AlbiniのElectrical Audioスタジオで録音された未発表アルバム『We Blame Chicago』を追加収録。未発表アルバムではより荒削りで即興性の高い演奏が展開され、バンドの初期衝動とシカゴどいう都市の持つ空気が生々しく刻まれている。2LP仕様でリリースされ、Heba Kadryによる新リマスター、Greg Normanの録音メモも付属。90年代末から2000年代初頭のシカゴ・アンダーグラウンド・シーンの熱気と緊張感を今に伝える重要な再発案件。
オリジナルは2000年にCDでリリースの、アメリカのポストロック/スロウコア・バンド Bedhead と、ガムランや東南アジア音楽を取り入れた実験的ロックバンド Macha によるコラボレーションEPが〈Numero〉より再発。ガムランを思わせる金属的な打楽器の響きと、スロウコア特有の静かで淡々としたギターの反復が自然に溶け合い、ミニマルで瞑想的な空気を生み出している。Macha の持つオリエンタルで実験的な音響感覚が、Bedhead の内省的でメロディアスなアンサンブルに柔らかく重なり、ゆっくりと波紋のように広がる独特のグルーヴを形づくる。全体として音数は少なく抑えられているのに、細部のニュアンスがじわじわと立ち上がる、2000年代初頭のポストロックでも特異な質感を持った作品。

〈Planet Mu〉や〈The Trilogy Tapes〉といったアンダーグラウンドの名門からリリースを重ねるイラン系カナダ人兄弟Saint Abdullahと〈International Anthem〉、 〈4AD〉などからの作品への参加で知られる人気ジャズ・ドラマーJason Nazaryによるコラボアルバムの第2弾が〈Disciples〉よりリリース!
2023年作『Evicted In The Morning』の続編となる本作は、サイケデリック、ドリーミーに消えては現れる実験的なサンプリングコラージュの中に規則的なリズムが時折顔を出しながらフリージャズのような展開をしていく、聴くたびに新たな発見のある作品となっている。「Here to Body Ratio」は情感溢れるサックスとギターに性急なドラミング、ストレンジに心地よい電子音が独自のバランスを生み出す作品のハイライト。
本作は、反戦デモや国家抑圧が続く新たな時代に向けた"Freedom Now Suite(自由のための組曲)”とも言うべき作品だ。ゲストにはロサンゼルスを拠点とする日系アメリカ人のマルチ奏者Patrick Shiroishi と Ryan Easter が参加している。
兄弟が「‘tellectual condition(知的病)」と呼ぶような表層的な知識が支配する時代において、アルバムはあえて遅く、複雑に、時間に逆らうことを選ぶ。ここでのサンプリングのコラージュは、ポストモダン的な遊戯ではなく、“感情の構造”なのだ。
『Wiretaps for Oral』を聴いていると、語りかけてくるのはサンプルそのものではなく、そのあいだの“隙間”だと気づかされる。信号が途切れる亀裂、ビートが抜け落ちる瞬間、その隙間に意識が宿る。意味を「与える」のではなく、それを「抱える」こと、強引に形を与えず、ただ触れること。
このデュオは、私たちに“盗聴線に耳をあて、囁きを聴け”と誘う。そうして彼らは思い出させてくれる、近くにいるということは、距離よりも「聴くこと」に関わっているのだと。
