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カリフォルニアを拠点に、ゴス、インダストリアル、ベッドルーム・ポップ、ポスト・パンクを独自のダークな感性で交差させるマルチ・アーティスト、Evanora Unlimitedが完全自主制作で発表したパーソナルでコンセプチュアルなアルバム『Portraits from Memory』。英語・スペイン語・クロアチア語が混ざる多言語の歌詞、退廃的で耽美なエレクトロニック・サウンド、Thoom、Alles Catalan、Ushkoなどの豪華かつカルトなゲスト参加が、アルバム全体に記憶の断片をつなぎ合わせた夢の劇場のような独特の物語性を与えている。ポップ・ミュージックのフォーマットを借りながら、自らの内傷的な記憶やアイデンティティの亡霊を召喚するような、耽美で歪んだエクスペリメンタル・ポップの怪作。
USアンダーグラウンドの異才Evanora Unlimitedの破壊的ポップの原点をもっとも荒々しい形で体験できる初期作品『Lustful Expanse』。全曲1〜2分台というスピード感の中で、金属的なビート、ざらついたノイズ、歪んだシンセが一気に押し寄せる。インダストリアルの攻撃性とパンクの衝動が直結した、破裂するようなエネルギーがアルバム全体を貫いている。Evanoraのヴォーカルは、囁き、語り、叫びが混ざり合い、感情がそのまま音になったような生々しさを持つ。ゲストとしてHiHelgaが参加する「Willow’s Perception」は、荒々しいノイズの中にメロディの影が差し込む異質な存在。破壊的な音像の中にふと現れる静けさが、アルバムの緊張感をさらに高めている。後半には全曲のインスト版を収録し、ビートの骨格やサウンドデザインの細部がより鮮明に聴こえ、プロダクションの鋭さと精密さが際立つ。二層構造によって、作品の奥行きがより深く感じられるアルバム。

Bound By EndogamyとFelix Kubinが、偶然の出会いとセッションを経て完成させた、電子ポストパンク、ミニマル・シンセ、アヴァン・ポップが濃縮されたコラボ7インチ『Stück I / Stück II』。金属的なシンセの反復とぎこちなく揺れるリズムを中心に、冷たい電子音の中に、Bound By Endogamyの声が響く。Felix Kubinの奇妙な未来感と、BBEの湿った身体性が自然に交差する仕上がりの「Stück I」。農薬を讃える祈りという倒錯したコンセプトで、祈りのように反復するフレーズと、ざらついたアナログ電子音がゆっくり波打ち、祝祭と汚染が同じ場所に置かれているような音像が広がる「Stück II」を収録。ユーモラスで奇妙な未来性と、暗く湿ったエネルギーが刻まれた一枚。
ボルチモア発のエクスペリメンタル・ロック・カルテットHorse Lordsが、ロックの枠を越えて進化し続ける最新作。ギター、サックス、ベース、ドラムがそれぞれ独立した周期で動きながら、ひとつの巨大な構造物として立ち上がる独特のアンサンブルは健在で、今作ではそこに初めて本格的なヴォーカルが加わることで、音の層に新しい呼吸が生まれている。反復するフレーズが少しずつズレ、絡み合い、やがてトランス感を生むプロセスは、ミニマルミュージックとポストパンクの鋭さが同時に走るような感覚。バスクラリネットやトロンボーンの低音が加わる場面では、音響的な厚みが増し、複雑な構造にもかかわらず強烈に身体を揺らすグルーヴが生まれている。知的でありながら、ライブバンドとしての生々しさも失わない、Horse Lordsの現在地を鮮やかに示す一枚。
UKボーンマスのプロデューサーOverlookが、別名義Lucid Dreamsによる、ポスト・パンク、トリップホップ、アンビエント、ドローンを横断する世界観を、2LPというスケールで丁寧に構築したフルアルバム『Mesmerism』。薄暗い部屋に差し込む光のようなアンビエントの揺らぎと、トリップホップの湿度、ポスト・パンクの冷たさが同居する独特の空気。音の配置が非常に繊細で、一音一音が場面転換のように機能しているのが印象的。OverlookのルーツであるD&Bの影は前面には出ないものの、曲によっては奥底に硬質なリズムの名残が潜み、微かな躍動を与えている。現実と幻想の境界を歩くようなダーク・サウンドスケープがアルバム全体を貫く、David Lynch的な映像世界を想起させる一枚。
NEU!解散後にKlaus Dingerが結成したLa Dusseldorfによる、クラウトロックの実験性をポップに昇華させたデビュー作。収録曲「La Düsseldorf」「Silver Cloud」「Time」は、反復するモータリック・ビートとシンセの煌めきによって、催眠的かつ祝祭的な空気を生み出しており、Klaus Dingerのエネルギッシュなヴォーカルとミニマルな構成の中に広がる開放感が印象的。ジャーマン・ロックの枠を越えたジャンル横断的な魅力を放ち、アートロック的な視点とDIY精神が融合したこのアルバムは、後のニューウェーブやテクノにも影響を与えた本作は、クラウトロックの進化を象徴する一枚として、今なお新鮮な輝きを放ち続けている。

10月下旬再入荷。直販限定カラーヴァイナル仕様。Charles Hayward、Charles Bullen、Gareth Williamsによる、Can、Faust、Henry Cow、Wireと並ぶ革新的存在であり、ロック以降の音楽を大きくアップデートしたと言っても過言ではない、英国アヴァン・ロック、ポストパンクの伝説This Heatが1979年に残したデビュー作『This Heat』が〈Superior Viaduct〉より再発!1979年という時代では異例ともいえるテープ編集・即興・ノイズ操作・構造実験が大胆に組み合わされており、冒頭の「Testcard」の静かなノイズから、「Horizontal Hold」の爆発的なアンサンブルへと雪崩れ込む流れは、音が一度バラバラにされて、別の形に組み直されているよう。ギターは鋭利で、ドラムは金属的、反復するリズムがテープ操作によって機械的なループへと変質する。「24 Track Loop」では、ビートとノイズが同じレイヤーで主役を張り、曲というより音響装置が稼働しているような感覚すらある。冷たい構造物の中で、人間の衝動だけが赤く燃えているようなコントラストがこのアルバムの強烈な個性を形づくっている。狂気を孕んだインダストリアルなパラノイア的空気に満ちた、金字塔。
NWW list!! DEBRIS’の1976年唯一作がヴァイナル再発!1976年にオクラホマ州チカシャから現れたDebrisは、アメリカ地下音楽史の中でも特異な存在で、土地柄もあって周囲から冷遇されながらも、トリオ編成でストゥージズやヴェルヴェット・アンダーグラウンド、キャプテン・ビーフハート、さらに英国グラムの影響を消化し、極めてラディカルな音を生み出した。地元スタジオの「10時間録音+1000枚プレス+ジャケット印刷」の格安パッケージに飛びついた彼らは、すべての曲をワンテイクで収録。偶然にもラモーンズの1stと同月に出たこの一枚は、ノイズ混じりのガレージ・パンクの衝動と、シンセや電子処理を導入した前衛性を併せ持つ作品となった。リリース直後にはCBGBやMax’s Kansas Cityから出演依頼も届いたが、バンドは結局地元を出ることなく解散。残された1枚のLPは、失われたカルト盤としてコレクターの垂涎の的となり、Nurse With Woundリストに名を連ねたことで伝説的地位を固めた。その影響はSonic YouthやThe Melvinsといった後続にまで及び、今ではアメリカ地下音楽の最重要記録のひとつとされている。
エストニアはタリンのアンダーグラウンドから現れたTapetud Rottのブラックメタルを土台にしながら、男性性の揺らぎ、奇妙なユーモアを混ぜ合わせた異形の7インチ『See Mees / Lähme Õue』。 荒々しいギターの質感とシアトリカルで皮肉めいたムードが交差する「See Mees」、パンクの衝動とブラックメタルの粗暴さが一気に押し寄せ、閉塞した都市の空気を突き破るような勢いが感じられる「Lähme Õue」を収録。攻撃的でありながら、どこか内省的でユーモラスな影を持つ独特の音像がタリンの地下シーンの空気をそのまま伝える一枚。
ボルチモア発のエクスペリメンタル・ロック・カルテットHorse Lordsが、ロックの枠を越えて進化し続ける最新作。ギター、サックス、ベース、ドラムがそれぞれ独立した周期で動きながら、ひとつの巨大な構造物として立ち上がる独特のアンサンブルは健在で、今作ではそこに初めて本格的なヴォーカルが加わることで、音の層に新しい呼吸が生まれている。反復するフレーズが少しずつズレ、絡み合い、やがてトランス感を生むプロセスは、ミニマルミュージックとポストパンクの鋭さが同時に走るような感覚。バスクラリネットやトロンボーンの低音が加わる場面では、音響的な厚みが増し、複雑な構造にもかかわらず強烈に身体を揺らすグルーヴが生まれている。知的でありながら、ライブバンドとしての生々しさも失わない、Horse Lordsの現在地を鮮やかに示す一枚。
デンマーク・ポストパンクの重要人物Peter Peterが率いるプロジェクトBleederによる最新作『Marble Station EP』。1981年の名曲「Marble Station」を現代的な感性で再構築し、加えてLydia Lunch を迎えた1984年の「Boy/Girl」のセルフ・カヴァーも収録した、濃密な再解釈盤。長尺の「Marble Station」では、ざらついたギターの質感に、Majke Vossの透明な声とElias Rønnenfeltの影のあるボーカルが重なり、荒涼としたポストパンクの空気とフォーク、サイケの柔らかな幻影が同居する。「Boy/Girl」はオリジナルの退廃的ムードを保ちながら、輪郭がよりクリアになり、80年代の鋭さが、2020年代の質感で再び息を吹き返す。ポストパンクの影とフォーク、サイケのムードが交差する、北欧ロックの現在地を示す重要作。
USアンダーグラウンドの新鋭Evanora Unlimitedによる、破壊と詩情が同居する異形のポップ作品『Perfect Answer』。金属的なビート、ざらついたノイズ、冷たく歪んだシンセによるインダストリアルの硬質さと、ポストパンクの冷静な視線が交差し、短尺曲の連続が連作短編のような切れ味を生む。一方で、歌詞には海や潮、崖、光といった自然のイメージが多く、人工的な音像との対比が作品のテーマを浮かび上がらせる。また、Maria M、RockangelZ、She Diamond、Taranehら個性の強いゲスト陣が参加し、曲ごとに異なる人格が宿るような構成が、アルバム全体の奥行きを増している。全曲のインスト版も収録され、歌ものとインストの二層構造で作品世界を提示するアルバム
Thought Leadershipによる、重厚なギターのレイヤーと808の低音を軸に、ポストパンクの影とドリームポップの淡い光を交差させた、世界に沈み込むような作品『IV Of Cups』。前作の軽やかなバレアリック感から一転し、本作ではメロディアスなベースラインとエーテル的なギターが感情の波を描くように響き、ローファイな質感がその揺らぎをさらに際立たせる。不安、喜び、愛、悲しみ、安堵、後悔といった感情が曲ごとに、あるいは一曲の中で交錯し、その揺れが静かに積み重なることで、静かな高揚感を生み出している。全体として、夢の中のポストパンクのような曖昧な光と影が漂い続ける、彼の作品群の中でも特に情緒の深さが際立つ一枚になっている。
元Gasenetaの山崎春美を中心に、80年代初頭の東京アンダーグラウンドで活動した流動的パフォーマンス・コレクティブTacoの活動と美学を再提示するアーカイブ的リリース『The Alternative Counter Organization』。Tacoの活動は、楽曲というよりもその場で起きる衝突・混乱・衝動が中心にあり、ポストパンク、ノーウェイヴ、即興、パフォーマンスアートが渾然一体となった事件の記録というべきもの。固定メンバーを持たず、ライブごとに編成が変わるゲリラ的な活動スタイルがそのまま音に刻まれており、演奏の境界線が曖昧なまま、衝突と混乱が次々と立ち上がる。粗削りなギター、緊張感のあるリズム、突然割り込む声やノイズ、そのすべてが即興的でありながら、どこか鋭い編集感覚に貫かれているのがTacoの魅力。山崎春美の語りや叫びが混沌を束ね、意味と無意味が同時に立ち上がる。80年代東京のアンダーグラウンドが持っていた危険な若さとエネルギーが、今聴いても生々しく響く一枚。
約30年前のイタリアのアンダーグラウンド/ポストパンク・シーンに何が起こっていたのか、その全貌はいまだ曖昧だが、当時の空気感や断片的な記憶を手繰り寄せる手がかりとなる重要コンピレーション『Italia New Wave: Minimal Synth, No Wave, & Post Punk Sounds From The '80s Italian Underground』が待望のリプレス!1977年、イタリアでもロンドンやニューヨークの熱狂に呼応するかのように、都市の片隅で音を武器にしたDIYのムーブメントが芽吹いた。その結果生まれたのが、UK/US由来のポストパンク、ニューウェイヴ、エレクトロの影響を受けながらも、どこか内向的で官能的、そして冷たく耽美なイタリア的解釈に貫かれたサウンドたち。本コンピには、Neon、Панков、Le Masque、N.O.I.A.、State Of Art、Jeunesse D'Ivoire、Monuments、Rats、Fockewulf 190、Luc Orient、Illogico、2+2=5、La Maisonといった、国際的には無名ながらも国内ではカルト的人気を誇ったバンドたちが多数参加。ミニマルで機械的なビート、薄暗いシンセ、厭世的で耽美なボーカル、ポスト産業的な冷たさと官能の混淆。まさにヨーロッパの夜そのものが詰め込まれた一枚。
1980年代初頭のUKインディー・シーンから登場した、最も独創的で影響力のある伝説的ポストパンク・バンドGirls At Our Best! 1981年作『Pleasure』が〈Radiation Reissues〉よりヴァイナル再発!本作は当時の暗くて硬質なポストパンクとは異なり、明るく突き抜けた異彩を放つサウンドで、タイトルとは裏腹に、アルバム全体に漂うのはポップさと毒気の絶妙なバランス。ジョン・ピールにも支持され、彼のラジオ番組にも出演している。シンセもなく、エフェクトも最小限。それでも鮮烈に耳に残るのは、楽曲の構造と演奏のセンス、そして何より軽やかでときに皮肉を帯びたボーカルJudy Evans の存在感の強さ。『Pleasure』は、DIY精神とポップな感性の理想的な結晶のひとつであり、今聴いてもまったく古びていないどころか、ジャンルが溶けた今の耳にこそ鮮やかに響く一枚。
ニューウェイヴ/ディスコ/世界音楽な80年代ドイツの伝説的な女性デュオ、Saada Bonaire。Dennis BovellプロデュースのYou Could Be More As You Areを始め、フュージョン、アフリカ的民族風味、ニューウェイヴの軽いシンセ、ダブなど当時の込み入ったポップ手法を駆使しつつも、影の重鎮DJ Ralf Behrendtによるプロデュース、アイコン的女性2人の気怠く妖艶なイメージが、見事に独自の空気を作り出してます。なにより随所に散りばめられた音響具合がいちいち格好良い。EMIからの2曲のシングル+10曲を加えた編集盤仕様。Captured Tracksの名仕事ですね。
10月下旬再入荷。Charles Hayward、Charles Bullen、Gareth Williamsによる、Can、Faust、Henry Cow、Wireと並ぶ革新的存在であり、ロック以降の音楽を大きくアップデートしたと言っても過言ではない、英国アヴァン・ロック、ポストパンクの伝説This Heatが1979年に残したデビュー作『This Heat』が〈Superior Viaduct〉より再発!1979年という時代では異例ともいえるテープ編集・即興・ノイズ操作・構造実験が大胆に組み合わされており、冒頭の「Testcard」の静かなノイズから、「Horizontal Hold」の爆発的なアンサンブルへと雪崩れ込む流れは、音が一度バラバラにされて、別の形に組み直されているよう。ギターは鋭利で、ドラムは金属的、反復するリズムがテープ操作によって機械的なループへと変質する。「24 Track Loop」では、ビートとノイズが同じレイヤーで主役を張り、曲というより音響装置が稼働しているような感覚すらある。冷たい構造物の中で、人間の衝動だけが赤く燃えているようなコントラストがこのアルバムの強烈な個性を形づくっている。狂気を孕んだインダストリアルなパラノイア的空気に満ちた、金字塔。

(数量限定/ブラック・ヴァイナル/日本語帯付き/解説書封入)エイドリアン・シャーウッド率いる〈ON-U SOUND〉が放ったレーベル第1弾にして、ポストパンク/UKダブの歴史を超えて輝き続ける名盤『New Age Steppers』が、日本語帯付きLPで発売!さらに、ダブ・ディスクガイドの決定版、DUB入門の著者、河村祐介による解説を封入!
UK ダブの鬼才エイドリアン・シャーウッド主宰〈ON-U SOUND〉からの第1弾リリースとなるニュー・エイジ・ステッパーズのデビュー作『New Age Steppers』。本セルフタイトル作品は、まさに“異端たちの結集”を告げるものだった。プロデューサーのエイドリアンが、ポップ・グループ、スリッツ、フライング・リザーズ、レインコーツのメンバーを集め、ルーツ・ラディックスのスタイル・スコット、リエーション・レベルのクルーシャル・トニー、アスワドのジョージ・オバーンらとコラボレーションさせ、ポストパンクとダブが融合した強烈なサウンドを作り上げた。
アルバムのハイライトとなる2曲は、ジャマイカのクラシック曲を見事に解釈したものだ。ジュニア・バイルズの「Fade Away」と、ビム・シャーマンの「Love Forever」では、アリ・アップのヴォーカルが、神聖なる警告とラヴァーズ・ロックのヴァイブを、80年代初頭のロンドンのスクワットに響かせている。
その他にも、マーク・スチュワートが「Crazy Dreams and High Ideals」の初期バージョンを披露し、音楽ジャーナリストのヴィヴィアン・ゴールドマンが、シングル『Launderette』のB面としてリリースされた「Private Armies」で鋭い声を響かせている。また、奇妙なノイズやリズムの霧が曲間をつなぎ、インストゥルメンタルはChannel Oneでの深夜のセッションと、当時〈Industrial Records〉が探求していた実験的サウンドスケープの中間のような仕上がりとなっている。
ロック、パンク、ニュー・ウェイヴ、レゲエ、ダブといったカテゴリーを遥かに超えた前人未踏のサウンドを作り出し、現在でもその革新性が年々評価される名盤が日本語帯付きLPで発売!

1970年代末から交流を持ち、ポストパンク/アヴァン・ポップの文脈で活動してきた音楽家同士であるPeter Gordon(Love of Life Orchestra)とDavid Cunningham(Flying Lizards)による、ポストモダンな実験精神とポップの遊び心が交錯する、ユニークな音響作品『The Yellow Box』。本作は、サックス、フィールドレコーディング、電子音、語りなどが交錯する多層的な音響構造とともに彼らの過去の断片的なアイデアや未発表素材を再構成したコラージュ的アルバムであり、脱構築的なリズム、再配置されたメロディ、そしてユーモアを帯びた音響実験が展開される。各トラックは1〜5分程度の短編で構成されており、断片的ながらも全体としてひとつの箱庭的世界を形成している。タイトル『The Yellow Box』が示すように、本作は“箱”というメタファーを通じて、音の収集・分類・提示という行為そのものを問い直す作品でもあり、この箱を開けることで、ポップと実験、過去と現在、構造と偶然が交錯する音響の迷宮へと誘われるような一枚。

アイルランドはWah Wah WinoのDavy Kehoeと、Suzanne KraftことDiego HerreraによるデュオNO YOUによるセルフタイトル・デビュー作。二人がボーカルも楽器も分け合いながら、小さなスタジオで生み出した「やけにスケールの大きな」奇妙で魅力的な一枚。互いのソロ作とは少し異なり、ローファイなざらつきとメロディの親密さが同居する独特のバランスを持っている。二人の声がフィードバックの揺れとドラムマシンの荒れたビートの上で絡み合い、壊れかけのポップソングのような甘さと不安定さが同時に立ち上がる「Baby」や、デュオのより制御不能な側面がむき出しになる「Put Up A Dream」。ポップでもノイズでもポストパンクでもない、しかしそのすべてをかすめ取るような曖昧で、唯一無二の作品。
パンクの衝動を文学の鋭さで昇華させた90年代日本ロックの隠れた金字塔!邦楽史を代表するパンクの枠を超えた伝説、現在は町田康として武蔵野大学文学部教授でもあり小説家として著名な町田町蔵が1992年にリリースした『Harafuri』。INU解散から11年後に生まれたこの作品は、80年代初頭のパンク直撃の勢いとはまた違い、文学的な成熟と毒気を帯びた歌詞を、北澤組の重厚かつモダンなバンドサウンドに乗せたもの。INU『メシ喰うな!』の頃から町田はすでに「詩人がロックをやっている」ような存在だったが、『Harafuri』ではその言葉の鋭さや比喩の豊かさがさらに深まり、社会風刺や日常の不条理をえぐるような表現が際立っている。北澤組のサウンドはハードでタイト、当時のオルタナティヴ・ロックやポストパンクの感触もあり、町田の言葉を受け止める強度を持っていた。今回は初の公式リイシューで、音源のリマスターはもちろん、歌詞の英訳も丁寧にやり直されており、町田のユーモアと皮肉を含んだ言葉遊びを国際的なリスナーにも開く試みになっている。
オリジナルは1981年にリリースされた、女性だけのバンドで、妥協のない異端の存在として知られ、当時の日本のアンダーグラウンド・シーンの中でも突出した個性を放っていた水玉消防団の伝説的デビュー作『A Maiden's Prayer DA-DA-DA! 』が〈SPITTLE MADE IN JAPAN〉より再発。アヴァンギャルドなポストパンク、演劇的要素、実験性が渾然一体となった、“もうひとつの日本”を体現する鮮烈なアルバムで、フレッド・フリスもライヴを観て神楽と天鼓という対照的な二人のボーカルの絡みが特に印象的だったと語っている。カオティックで尖った音楽性を持ちながら、メンバー同士の呼吸や空気感に独特の親密さがあり、単なるノイズや過激表現を超えた、共同体としての美学と緊張感が共存するサウンド。パフォーマンス的な要素も強く、音楽というより“事件”に近いインパクトを持っていたバンドの当時の熱量を閉じ込めた貴重な記録
