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ほぼ無名ながらフジロック・フェスティバル2025への出演で日本のオーディエンスにも強烈な印象を残したニューヨーク拠点の4人組、YHWH Nailgun(ヤハウェ・ネイルガン)が、名門〈4AD〉移籍第1弾作品となるアルバム『Magazine』をリリース。
YHWH Nailgun(ヤハウェ・ネイルガン)は、ザック・ボルゾーン(vo)、サム・ピカード(ds)を中心に2020年に結成。その後、サグイヴ・ローゼンストック(g)、ジャック・トビアス(key)が加わり現在の4人体制となった。
彼らの音楽はしばしばノイズ、パンク、フリージャズ、インダストリアル、エクスペリメンタルといった言葉で語られる。しかし、そのいずれのジャンルにも完全には属さない。激しくぶつかり合うリズム、切り裂くようなギター、異様な存在感を放つシンセサイザー、そして獣の咆哮にも祈りにも聴こえるザック・ボルゾーンのヴォーカル。YHWH Nailgun(ヤハウェ・ネイルガン)はジャンルを横断するバンドというよりも、むしろ音楽を定義しようとするあらゆる試みそのものを拒絶する存在として注目を集めてきた。
2025年に発表されたデビュー・アルバム『45 Pounds』は、その圧倒的な緊張感と破壊力によって各国メディアから高い評価を獲得。ニューヨーク・アンダーグラウンド・シーンにおける最重要新世代のひとつとして認識されるきっかけとなった。そして今回、コクトー・ツインズ、ピクシーズ、ボン・イヴェール、ビッグ・シーフらを擁してきた〈4AD〉への加入によって、その活動は新たな局面を迎えることになる。
『Magazine』は全10曲ながら収録時間わずか11分という異例の作品だ。しかし、この11分という長さは単なる実験的なアイデアではない。アルバムはオープニング曲「Ghost of Love」のフェードインから始まり、まるでどこかで鳴り続けている音の断片を偶然切り取ったかのような感覚を生み出す。バンドは本作を、始まりと終わりが存在する従来のアルバムというよりも、終わりなく続く音楽世界の一部分として捉えている。
そのサウンドは前作以上に研ぎ澄まされている。サム・ピカードによる無駄を削ぎ落としたドラム、サグイヴ・ローゼンストックの剥き出しのプロダクション、空襲警報を思わせるジャック・トビアスのシンセサイザー。そして何より印象的なのは、これまでリヴァーブやディレイの奥に隠されていたザック・ボルゾーンのヴォーカルが、かつてないほど明瞭に前面へ押し出されていることだ。
血、蛇、神、悪魔といった宗教的かつ象徴的なイメージに満ちたリリックは、これまで以上に鮮烈な存在感を放つ。YHWHというバンド名自体、ヘブライ語における神の固有名に由来しており、その神秘的な世界観は『Magazine』においてさらに深く掘り下げられている。
YHWH Nailgunは、自らの音楽を何かへの反発やカウンターとして捉えてはいない。流行への迎合も拒絶もせず、ただ直感と即興から生まれる一瞬の閃きを追い求める。彼らが築こうとしているのはジャンルではなく、自律したひとつの世界そのものだ。『Magazine』は、その独自の創造世界をさらに先鋭化させた作品として、多くのリスナーに衝撃を与えることになるだろう。

ニューヨークの作曲家Mikel Rouseを中心に活動したプロジェクトTirez Tirezの代表作のひとつとして語られる、ベルギーの名門〈Les Disques du Crépuscule〉から1983年にリリースされた『Story of the Year』。Tirez Tirezは、Steve ReichやPhilip GlassなどNYミニマリズムの流れと、ポストパンク以降のアートロックを独自に接続した稀有な存在で、本作でも、反復するギター、シンセのミニマルな構造、乾いたドラム、抑制されたボーカルに、〈Crépuscule〉らしいヨーロッパ的な冷たさと洗練が加わり、NYのアート感覚とベルギーのポストパンク美学が交差する独特の空気が漂う。メロディよりも 質感・構造・反復が前面に出るミニマル・ポップの魅力が際立っており、Talking Headsや80年代前半NYのアートロックと共振しつつ、よりストイックで知的なアプローチが貫かれているのが印象的。

9月上旬再入荷。際立ったダンス観から未だ魅了者を増やし続けるNYポスト・パンク/ノーウェイヴ伝説、Liquid Liquidの名曲の新ヴァージョンを搭載した12インチ・シングル盤がダンスパンク聖地〈DFA Records〉からアナログ・リリース。James MurphyとTim Goldsworthyによって録音およびプロデュースされた”Bellhead”の激しいアレンジにして、史上最高のパーカッション・ワークアウト(もともとは〈DFA〉の『Compilation #2』に収録)と、これまで未発表だった”Optimo”のインストゥルメンタル・リミックス(グラスゴー出身のデュオ、Optimoによってリミックス)を収録したものとなっています。
ベルリンの〈MISS YOU〉が1980〜1985年の日本のニューウェイヴ、ポストパンク、実験音楽から、ダブの手法を取り入れた録音だけを選び抜いた発掘コンピレーション『Japanese New Wave On Dub 1980–1985』。当時のアンダーグラウンドを横断するアーティストが参加し、自主制作カセットや小規模レーベルに埋もれていた音源が初めて体系的にまとめられている。ニューウェイヴ特有の硬質なギターやシンセの質感に、深いエコーや残響が重ねられ、都市的な乾いた音とダブの空間処理が自然に交差する。リズムはミニマルで、反復の中で音が少しずつ形を変えていく構造が多く、ジャマイカのものとは異なる日本的な抽象性が前面に出ている。DIY録音ならではのざらつきや機材の癖がそのまま残り、80年代の現場の空気が生々しく立ち上がるのも魅力。日本の知られざる音楽史の一側面を改めて示す重要な再発。
【track list】
A-1. Chinggis Chan Dread - Yattane Babylon
A-2. The Air Music International - Hot Steppers In A Dub
A-3. So-Do - Nothing
A-4. Momoyo & Lizard! - Sa·Ka·Na
A-5. EP-4 - dB
A-6. Pablo Picasso - Tsun
B-1. Bananarians - Suna No Atama
B-2. Pressure - Goouder
B-3. Pineapple 4.9 - Yoruni
B-4. Concretes - Watch The Moon
B-5. Masumi Hara - Looks Like An Angel
B-6. Business - Minato No Cafe
The Pop Group、The Slits、New Age Steppersなどで知られるドラマーBruce Smithを中心に、初期On-U Soundの精鋭が集結したコレクティヴPlaygroup。その唯一作にして、ジャマイカン・ダブを英国流に再解釈し、ポストパンクの硬質さと産業的ノイズ感を混ぜ合わせた1982年の異形ダブ作品『Epic Sound Battles Chapter One』。Crucial Tony、Sean Oliver、Style Scott、Eskimo、Bonjo IといったCreation Rebel、African Head Charge、New Age Steppersの面々が参加し、On-U Soundのスタジオ魔術を背景に制御された混沌が立ち上がる。タイトで鋭く、複雑に絡む、立体的な音像。儀式的な雰囲気と暗いユーモアが全体に漂い、緊張感と遊び心が同居する独特の音像が魅的。Adrian Sherwoodが全面プロデュースの初期On-U Soundの精神を象徴する重要作であり、UKアンダーグラウンドの歴史的アーカイブとしても価値のある再発。
Alternative TVのフロントマンにして、UKパンク黎明期の象徴的な自主制作のミニコミ誌Sniffin’ Glueを創設したMark Perryが、1980年に発表した初ソロ作『Snappy Turns』。ATVの攻撃的なパンク性から距離を置き、より個人的でアートロック、ポストパンク寄りの表現へと踏み出した作品で、Grant Showbizが手がけた曇ったプロダクションが全体の空気を形づくる。Perry自身が多楽器を重ねることで生まれる壊れかけのポップの質感は、ポストパンクの陰影とDIY的な粗さが自然に同居したもの。語りと歌は静かに歪んだ視点を持ち、曲の奥にある不安や皮肉を浮かび上がらせる。特にテープループやヴァイオリンを用いた音像は、Throbbing GristleやPsychic TVの系譜を思わせるもので、Nurse With Woundリストに並んでも違和感のない独特の世界観をつくっている。パンク、アートロック、インダストリアルの影響が交差し、80年代UKアンダーグラウンドの曖昧で不穏な空気をそのまま封じ込めた一枚。

2000年代のベストセラーとなった新型ルーツロックレゲエ『Walatta』で一躍有名になったブレンダ・レイは、ポストパンク/ニューウェーヴ時代から活躍し た人で、リヴァプールやマンチェスターを拠点に、スリッツ、ポップグループ、ニューエイジステッパーズ(A. シャーウッドと交流があった)等と同じく、レゲエ/ダブ/ファンク/ロックのクロスオーヴァーの先端音楽をやっていた。彼女にはPOP なずば抜けたセンスがあり、80 年代半ばはソロとして英Virgin 等で作品を発表。かの『Walatta』はその「後」のブレンダのソロ・キャリア集成のようなアルバムであった。
本作『ドゥヤ・ヒア・ミー!(聞いてんの!?)』は『Walatta』以前の、初期の名作選集である。
収録曲はNaafi Sandwich / Naffi Sandwich または Naffi (ナッフィー)と名乗って活動したバンド時代の音源で、当時のリリースはもっぱらD.I.Yなカセットテープと7 インチ。彼らはライブ・バンドとして結成されたわけではなく、アイデアにまかせて作品を録音制作するユニットだった。
本コンピで聴けるのはもうひとつの『Walatta』の世界で、リズムや手法にジャマイカ音楽の影響が濃厚だが、「レゲエを演奏する気はなく、 “Dub-up”したかった(= ダブのヴァージョンをやりたかった)」という彼らの音としてのレゲエ・クロスオーヴァーを演奏する。
表題曲の「D'ya Hear Me!」はリズムボックスを使って4 トラのテレコで録ったD.I.Y 魂炸裂のPOP チューン。「Naffi Take Away」、「Krazee Music」などヘヴィーでキュートなレゲエ・クロスオーヴァー、ド・ディープでダークなルーツレゲエ風インスト「Spring Thing- Hippy Dread」、『Walatta』人気曲「Starlight」の原曲(!)「Moonbeams」、ヤング・マーブル・ジャイアンツ風の 「Everyday Just Another Dream」、未発表のオリジナル長尺版などなど。最後に今回彼女が“発掘” した「D'Ya Hear Me!」のデモを収録。ポストパンク/ネオアコ・ファンにも大推薦!!
日本のジャジー・ニューウェーブ、パンク・ユニットHIP-SEE-KIDが1986年に残したミニアルバム『Romancing The Music』が再発。北山和可とケン山崎によるプロデュースで制作された本作は、中毒性のあるリズム、魅惑的なメロディ、繊細なサウンド、生々しい感情表現が混ざり合う、80年代日本のアンダーグラウンド・ニューウェーブの隠れた名作。ポストパンクとニューウェーブを軸にしながら、ジャズやソウルの要素が断片的に入り込み、当時のシーンの雑多なエネルギーをそのまま封じ込めたような内容で、ギターは鋭く、ベースはファンキーに跳ね、ドラムはやけくそと紙一重に突き進む。その上を、都会的で少し気怠いヴォーカルと、ジャジーなコード感が滑り込むことで、パンク、ファンクの熱気とニューウェーブの冷たさが同居する独特のサウンドが生まれている。短い尺の中に多彩なアイデアが詰め込まれており、ミニアルバムながら密度の高い聴き応えを持つ一枚。
1980年代の日本アンダーグラウンド・ニューウェイヴを体系的に掘り起こす、〈MAWARU RECORDINGS〉によるコンピレーション第2弾『Wa Wave vol.2』。Eiyō BoysやDUPPIなど、日本のニューウェイヴのそのまた影に隠れてきた個性的なアーティストたちを再発見できる構成。クラウトロック的な推進力、電子的なパルス、ガラス細工のように繊細な室内楽的質感、そしてアヴァンなクラブ感覚が混ざり合うサウンド。シリーズ共通のテーマである、80年代日本のアンダーグラウンドの深層をたどるという視点はそのままに、vol.2ではより実験性の強いトラックが揃い、Eiyō Boysのもはやビートと呼んでいいのかさえ危うい極めて日本的な鋭いビートや、DUPPIの奇妙な反復など、当時の世界の雑多さや閉塞感をそのまま音にしたようなトラックが並ぶ。日本特有の、前衛がどこか不思議なところに迷い込んでしまった、神秘的な世界を巡る他に類を見ない音楽の旅。
1980年代の日本アンダーグラウンド・ニューウェイヴを体系的に掘り起こす、〈MAWARU RECORDINGS〉によるコンピレーション『Wa Wave vol.1』。Gekko Imonkyaku、Popsong’s Factory、Funeral Party、Anima、D.R.Y. Project、Tōkyō Gyogyōmuなど、当時の日本のカセットテープ・シーンや自主制作盤に埋もれていた希少アーティストも多数収録。領域を横断する内容で、ポストパンクの緊張感、ミニマルの冷たさ、ノーウェイヴ的な破壊衝動、そして奇妙なユーモアが混ざり合う、ジャンルの境界がまだ曖昧だった時代の自由さが強く感じられるもの。当時の都市の混沌や空気感がそのまま伝わりつつも、日本特有の、前衛がどこか不思議なところに迷い込んでしまう、神秘的な世界を巡る、他に類を見ない音楽の旅。
オリジナルは1981年にリリースされたOn-U Sound主宰、Adrian Sherwoodプロデュースによる激ヤバコンピレーションがヴァイナル再発!タイトル通り、当時のサブカルチャーをほぼ網羅したパーティーミュージック詰め合わせで、ダブ、パンク、ニューウェーブ、エクスペリメンタル、アヴァンギャルドなど実に多様な音楽が彼の審美眼によって選ばれており、実に楽しい。ポストパンク的なヴォーカルが特徴的なダブ・アドベンチャー、London Underground”Dreams Are Better”、ドラッグまみれ確実なチキン・グラニーの その名も”Quit The Body “、神秘的なポストインダストリアルトリップとも言えるMothmen “Afghani Dub”などなど、聞き飽きるということがないです。どの曲も個性的でトリッピーなリズムがいいですね!Fully remastered、180g重量盤で500枚限定です、お見逃しなく!!
UKアンダーグラウンドの異端グループMetabolistが1980年に残した唯一のアルバム『Hansten Klork』。オリジナル音源に加えて、1979〜81年の7インチから6曲のボーナストラックを収録した決定版仕様で再発。 本作は当時から最も前衛的なアルバムのひとつと評され、ポストパンクの精神を基盤にしながら、ミニマリズム、クラウトロック、ポスト・インダストリアルへのオマージュを大胆に取り込んだ実験性が際立つ。 硬質なギターの反復、メタリックな質感のノイズ、淡々としたベースと軽やかなドラミング、時に攻撃的で神秘主義的なヴォーカルが交差し、工業的でありながらどこかユーモラスな異次元的なサウンドが展開される。鋭いテンション、ミニマルな推進力、不穏な構築感があり、どの曲もフォロワーを許さない独自性を持つ。 UKアンダーグラウンドの実験精神を凝縮したポストパンク、アヴァンギャルドの重要作。

故・阿木譲氏が主宰した聖地〈Vanity Records〉からリリースされたオリジナルは5万円越えの高値でも取引されているメガレアな一枚!関西アンダーグラウンド/ニューウェイヴを代表する実験的シンセシスト/シンガーとして過去40年以上の長きにわたり活動を展開してきたPhewの率いたAunt Sally。自由な即興演奏からポップスまで幅広いスタイルのなかで独自の道を切り拓き、坂本龍一、Can、DAF、Einstürzende Neubautenなどのメンバーとコラボレーションしてきた彼女の原点とも言える79年の伝説的なセルフ・タイトル・アルバム『Aunt Sally』が〈Mesh-Key〉より奇跡のアナログ復刻。当時まだ大学生というメンバーの若さにも関わらず、時代を超え卓越したミニマル・パンクを仕上げたジャパニーズ・ニューウェイヴ史に刻む金字塔的傑作アルバム。オリジナルのアナログ・マスターテープからリマスタリングされた完全正規リイシュー盤。オールド・スタイルなチップオン・ジャケットとなっています。
9月下旬再入荷。テン年代に生み落とされたインディ・ロックの至宝!傑作セルフタイトル・デビュー作では音の大胆さを取り入れ話題を呼んだ今は亡きカナダの名インディ・バンド、Womenが作り上げた2010年の叙情的ポスト・パンク/ノイズ・ロック金字塔的アルバム『Public Strain』が〈Jagjaguwar〉より待望のアナログ・リプレス。2枚目のアルバム『Public Strain』では、バンドはリバーブに浸った、ノイズに忠実なサウンドに磨きをかけながら、ポップな感性をより明確に浮かび上がらせています。「Locust Valley」の緊迫したクラウトロック、シンプルさによるハーモニーの実践、または「Eyesore」のほろ苦いメロディーでクライマックスまで、灰色のパレットから明るいコントラストを作り上げた大名盤!

9月上旬再入荷。心許す者、皆死んでいった。数々の傑作を送り出したオーストラリア発の名実験デュオ”HTRK” (=Hate Rock)。現在は、Jonnine StandishとNigel Yangのデュオ編成で活動する彼らの21年度5thアルバムが、ブルックリンの名門エクスペリメンタル・レーベル〈Ghostly International〉より待望のリプレス。麻薬的で夜行性のレンズを通して歪められたこのアルバムは、張りつめた美しさと長くなる影が織りなす謎めいたゴシック的カントリー・ミュージックも呼べる名作。

9月上旬再入荷。ニューヨークの作曲家Mikel Rouseを中心に活動したプロジェクトTirez Tirezの代表作のひとつとして語られる、ベルギーの名門〈Les Disques du Crépuscule〉から1983年にリリースされた『Story of the Year』。Tirez Tirezは、Steve ReichやPhilip GlassなどNYミニマリズムの流れと、ポストパンク以降のアートロックを独自に接続した稀有な存在で、本作でも、反復するギター、シンセのミニマルな構造、乾いたドラム、抑制されたボーカルに、〈Crépuscule〉らしいヨーロッパ的な冷たさと洗練が加わり、NYのアート感覚とベルギーのポストパンク美学が交差する独特の空気が漂う。メロディよりも 質感・構造・反復が前面に出るミニマル・ポップの魅力が際立っており、Talking Headsや80年代前半NYのアートロックと共振しつつ、よりストイックで知的なアプローチが貫かれているのが印象的。

日本のロック史のみならず、世界のロックの歴史に刻まれたアルバム!クラフトワークやノイ!、DAF、イーノらの傑作群を生み出した伝説のコニーズ・スタジオに、元アーント・サリーのPhewを迎えて制作されたアルバム。
●なぜあの時、世界の先鋭的なミュージシャンはコニー・プランクのもとで“音”を創りたがっていたのか? クラフトワークやノイ!、DAF、イーノらの傑作群を生み出した伝説のコニーズ・スタジオに、元アーント・サリーのPhewを迎えて制作されたアルバム『Phew』(1981年発表)。
●テクノやポスト・ロックにも多大な影響を与えるジャーマン・ロック・バンド、カンの元メンバー、ホルガー・シューカイとヤキ・リーベツァイトが参加。
●コニー・プランクの卓越したエンジニアリングと、ホルガー・シューカイがエディティングの妙を駆使したその斬新な音世界は、現在においても未だ色褪せることのない孤高の響き。
カリフォルニアを拠点に、ゴス、インダストリアル、ベッドルーム・ポップ、ポスト・パンクを独自のダークな感性で交差させるマルチ・アーティスト、Evanora Unlimitedが完全自主制作で発表したパーソナルでコンセプチュアルなアルバム『Portraits from Memory』。英語・スペイン語・クロアチア語が混ざる多言語の歌詞、退廃的で耽美なエレクトロニック・サウンド、Thoom、Alles Catalan、Ushkoなどの豪華かつカルトなゲスト参加が、アルバム全体に記憶の断片をつなぎ合わせた夢の劇場のような独特の物語性を与えている。ポップ・ミュージックのフォーマットを借りながら、自らの内傷的な記憶やアイデンティティの亡霊を召喚するような、耽美で歪んだエクスペリメンタル・ポップの怪作。
USアンダーグラウンドの異才Evanora Unlimitedの破壊的ポップの原点をもっとも荒々しい形で体験できる初期作品『Lustful Expanse』。全曲1〜2分台というスピード感の中で、金属的なビート、ざらついたノイズ、歪んだシンセが一気に押し寄せる。インダストリアルの攻撃性とパンクの衝動が直結した、破裂するようなエネルギーがアルバム全体を貫いている。Evanoraのヴォーカルは、囁き、語り、叫びが混ざり合い、感情がそのまま音になったような生々しさを持つ。ゲストとしてHiHelgaが参加する「Willow’s Perception」は、荒々しいノイズの中にメロディの影が差し込む異質な存在。破壊的な音像の中にふと現れる静けさが、アルバムの緊張感をさらに高めている。後半には全曲のインスト版を収録し、ビートの骨格やサウンドデザインの細部がより鮮明に聴こえ、プロダクションの鋭さと精密さが際立つ。二層構造によって、作品の奥行きがより深く感じられるアルバム。

Bound By EndogamyとFelix Kubinが、偶然の出会いとセッションを経て完成させた、電子ポストパンク、ミニマル・シンセ、アヴァン・ポップが濃縮されたコラボ7インチ『Stück I / Stück II』。金属的なシンセの反復とぎこちなく揺れるリズムを中心に、冷たい電子音の中に、Bound By Endogamyの声が響く。Felix Kubinの奇妙な未来感と、BBEの湿った身体性が自然に交差する仕上がりの「Stück I」。農薬を讃える祈りという倒錯したコンセプトで、祈りのように反復するフレーズと、ざらついたアナログ電子音がゆっくり波打ち、祝祭と汚染が同じ場所に置かれているような音像が広がる「Stück II」を収録。ユーモラスで奇妙な未来性と、暗く湿ったエネルギーが刻まれた一枚。
ボルチモア発のエクスペリメンタル・ロック・カルテットHorse Lordsが、ロックの枠を越えて進化し続ける最新作。ギター、サックス、ベース、ドラムがそれぞれ独立した周期で動きながら、ひとつの巨大な構造物として立ち上がる独特のアンサンブルは健在で、今作ではそこに初めて本格的なヴォーカルが加わることで、音の層に新しい呼吸が生まれている。反復するフレーズが少しずつズレ、絡み合い、やがてトランス感を生むプロセスは、ミニマルミュージックとポストパンクの鋭さが同時に走るような感覚。バスクラリネットやトロンボーンの低音が加わる場面では、音響的な厚みが増し、複雑な構造にもかかわらず強烈に身体を揺らすグルーヴが生まれている。知的でありながら、ライブバンドとしての生々しさも失わない、Horse Lordsの現在地を鮮やかに示す一枚。
UKボーンマスのプロデューサーOverlookが、別名義Lucid Dreamsによる、ポスト・パンク、トリップホップ、アンビエント、ドローンを横断する世界観を、2LPというスケールで丁寧に構築したフルアルバム『Mesmerism』。薄暗い部屋に差し込む光のようなアンビエントの揺らぎと、トリップホップの湿度、ポスト・パンクの冷たさが同居する独特の空気。音の配置が非常に繊細で、一音一音が場面転換のように機能しているのが印象的。OverlookのルーツであるD&Bの影は前面には出ないものの、曲によっては奥底に硬質なリズムの名残が潜み、微かな躍動を与えている。現実と幻想の境界を歩くようなダーク・サウンドスケープがアルバム全体を貫く、David Lynch的な映像世界を想起させる一枚。
