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アンビエント、インダストリアル、実験音楽といったジャンルで活動するイタリアのギタリストEraldo Bernocchi、ブラジルのヘヴィメタルバンドSepulturaの元ドラマーとして世界的に知られるIggor Cavalera、そしてご存じMerzbowという、一見すると異質な3者のコラボレーションから、熱帯雨林の夜をテーマに予測不可能なサウンドを生み出した作品が〈PAN〉より登場。Bernocchi が手がける重層的なギターと電子処理が土台を形作り、Iggor Cavalera が肉体的で原始的なリズムを叩き込む。さらに Merzbow がノイズの嵐を注ぎ、全体を圧倒的な音響体験へと押し上げている。激しいインダストリアル・ドローンや環境音的テクスチャーの中に、時折ジャングルを思わせるプリミティヴな打楽器の呼吸が浮かび上がるそのサウンドは、単なる轟音ではなく、森の闇に包まれるような没入感と儀式的な高揚を兼ね備えている。深夜に聴くと、音の密林に迷い込むようなトリップ感のある一枚。
UKのプロデューサーMOBBSとフランス系エジプト人アーティスト/呪術師Susu Larocheがタッグを組み、神秘的で儀式めいた雰囲気を持つニューアルバム『ZERO』を大名門〈Modern Love〉よりリリース!本作は、DJ ScrewやMy Bloody Valentineの影響を受けた、トリップホップとシューゲイザーの融合であり、CurveやCocteau Twins、Leila、Nearly Godといったアーティストの影も感じられる。MOBBSの多様な経験と、Larocheの退廃的でアンダーグラウンドな表現によって二人の音楽は、呪術的な詠唱と歪んだダブのビートが交錯し、かすかな明かりに照らているような幻想的な雰囲気を呼び起こす。彼らのサウンドは初期のMy Bloody Valentineのようなざらついた美しさを持ちながらも、ヒップホップ、ドローン、ノイズといった要素を取り入れ、過去の音楽の単なる再現ではなく、冷徹な視点を持った現代的な解釈を加えている。
エチオピア生まれ、ベトナムとスウェーデンで育ち、ジャズと作曲を背景に持つ実験声楽家 Sofia Jernbergによるソロ作『Voice』。声を単なる歌唱ではなく音の物質として扱っており、収録曲も「Multiphonic I」「Gurgle」「Mouth Synthesizer」「Throat」など、声帯・息・口腔の動きをそのままタイトルにしたような構成で、旋律や言語よりも 声の物理現象そのものが前面に出ている。金属的な倍音、破裂音、動物的なうなり、空気の摩擦音など、声の境界を押し広げる表現が連続し、聴き手は身体の内部を聴くような感覚に包まれる。Meredith MonkやMaja Ratkjeの系譜に連なりつつ、よりノイズ寄りで原初的なエネルギーを帯びた、声の前衛の最前線を示す一枚。

1996年、南條麻人主宰の〈La Musica Records〉から、手作業で組まれた超限定カセットとしてひっそりと現れた Neanの唯一作『Doo Dah Nean』。長らく幻のアウトサイダー音源とされてきたこの作品が、〈Black Editions〉よりヴァイナル・リイシュー!Yui(ベース/エレクトロニクス)、Non(ドラム)、そしてNaoko(声)の3人によるトリオで、生み出す音楽はロリータ・サイケ、フリージャズ、ノイズ、即興が無邪気に混ざり合う、90年代日本アンダーグラウンドならではの混沌そのもの。歌とも語りともつかない囁き、呪文のようなフレーズ、息遣いのNaokoの声が中心にあり、無垢さと狂気が同居した、プロトASMR的な存在感が、音全体に奇妙な重力を与えている。Nonの酔ったようでシャーマニックなドラムと、Yuiの形を持たない低音、電子音が絡み合い、儀式的ですらある生々しさがある。ジャンルの外側で生まれた音が、偶然にも強烈な魅力を放ってしまった、日本アンダーグラウンドの深部に埋もれていた宝石。

HTRKが20年以上にわたり築いてきた楽曲群を、現代を代表する重要アーティストたちが再解釈したカバー/リワーク集『String of Hearts (Songs of HTRK)』。HTRK がこれまでほとんど行ってこなかった公式リワーク集で、Loraine James、NWAQ、Perila、Coby Sey、Liars、Kali Malone & Stephen O’Malley、Sharon Van Etten など、ジャンルも背景も異なるアーティストが集まり、原曲の繊細な陰影を尊重しながらも、時に微妙にずらし、時に大胆に解体。アンビエント、エレクトロニック、ドリームポップ、アメリカーナ、ノイズが自然に交差し、原曲の冷たさと温かさが、別の角度から照らされる。全体として、深夜の部屋でひっそりと聴きたくなるような、静かな没入感に満ちた一本。

アメリカ出身でドイツ在住のマルチ奏者・作曲家 Weston Olenckiによる、バンジョーを中心としたエクスペリメンタル・フォーク作『Broadsides』。2023年にOlenckiが故郷サウスカロライナからウェストバージニア、ミシシッピ川流域へと南部を巡った旅のフィールド録音、収集した楽器や工芸品、そして各地に根づく伝統音楽との出会いを素材にして生まれたもので、水の音、虫の羽音、列車の轟音、コミュニティに息づく古い歌などが、バンジョー、ハーモニカ、オートハープ、カセットプレイヤー、振動モーターといった楽器・装置と組み合わされ、多層的な音響へと再構成されている。バンジョーの持つ鋭いアタックや倍音が長いドローンへと変質し、フィールド録音のざらつきや環境音が層を成して漂う、アメリカ南部の風景を抽象化したようなサウンド。伝統音楽の旋律が時折浮かび上がる一方で、機械的なモーター音やノイズがそれを侵食し、郷愁と前衛性が同時に存在する独特の世界。
直販限定クリア・ヴァイナル仕様。1987年10月、批評家から絶賛を浴びたLP『Sister』の発売から4か月後、シカゴの〈Cabaret Metro〉でその最新作を熱烈なライブで披露したSonic Youth。このコンサートの様子を収めた音源は、Big BlackのSteve Albini(当時は会場から出入り禁止だったとの事)によって友人の音楽ライターByron Coleyへ紹介された事で彼のレーベルである〈Goofin'〉から半公式の海賊盤として発表される事に。未だに熱烈な支持を受ける傑作ライブ・アルバム『Hold That Tiger』が、〈Superior Viaduct〉より待望のアナログ・リイシュー!Sonic Youthの最初の数枚のリリースにとって、ラモーンズの最初の3枚のLPにとっての『It's Alive』に匹敵する存在であると言っても過言ではない名作。開花しつつあった、バンドの絶頂期を捉えた、野性的かつ解放的であり、ワイルドでカタルシスに満ちた、熱狂的なスナップショットといえる一枚です。
2014年にパフォーマンスアート的なデュオとして始まり、ノイズやパンク、スラッジを経由しながら、フィラデルフィアの地下シーンで長らく活動してきた nyxy nyx による、初のフルバンド編成によるスタジオ盤『Cult Classics Vol. 1』。これまでの音源は手焼きCDやDIYテープといった不安定な形でリリースされており、その都度トラックリストが変わったり、マスターが差し替えられたり、同じ曲を再録したりと、常に揺らぎの中で生きてきたバンドが、初めて恒久的な形で〈Julia’s War〉から公式にリリース。プロデューサーにDan Angelを迎え、Brian Reichertを中心に、Tim Jordan(Sun Organ)、Benjamin Schurr(Luna Honey)、Alex Ha(ex-Knifeplay)が加わり、さらにMadeline Johnston(Midwife)やJosh Meakim(A Sunny Day in Glasgow)もゲスト参加。楽曲は、崩れそうなノイズと祈りのようなヴォーカルがせめぎ合うスラッジ寄りのトラックから、幽玄なデュアルヴォーカルが漂うスローコア、あるいは粗野なパンクの反骨をにじませる瞬間まで幅広く、ライヴ同様にすべての曲を一発録りで収め、重く歪んだギターと幻惑的なスローコアの質感が共存する、圧のあるサウンドを実現している。その重さと幻惑が聴き終えても耳に残り続ける、地下に潜り続けた存在がついに残した確かな痕跡。

デジタル・ダンスホールとUKアンダーグラウンド実験音楽の隙間に生まれた、オルタナティヴな音楽。英国を拠点に1980年代半ば~後半に活動。〈On-U Sound〉と契約を逃し、音源を残すことが出来なかったものの、〈Downwards〉主宰のRegisを80年代当時熱狂させていたという、伝説のポスト・パンク/インダストリアル・レゲエ・バンドReducer。ジャマイカ音楽史を変えた名リディム「Sleng Teng」を再構築した’86年ディスコ・ミックス・ヴァージョンなど全3曲のアーカイブ音源を収録した強力シングルがブリストル・レフトフィールドを代表する名門〈Bokeh Versions〉より到着。デジタル・ダンスホール黎明期を象徴するCasio MT-40のプリセット音を軸に、当時のサウンドシステム文化の空気を濃厚に呼び戻すかのような鮮烈な楽曲群!反復するリズムとローエンドの揺らぎが現代的な解釈と結びつき、オリジナルの革新性をそのまま保持しつつも、より長尺で恍惚感を増したサイケデリックな仕上がりに。デジタル革命の記念碑をアップデートした、全てのレゲエ~ダブ~ダンスホール愛好家必携の一枚です!

ジム・オルーク主宰の〈Moikai〉、〈Sonoris〉、そして〈Staalplaat〉の伝説的サブレーベル〈Mort Aux Vaches〉などなど、世界各地の名所から傑出した作品群を送り出してきたKevin Drumm の代表作にしてノイズ史に残る名作、電子音楽の一大名門〈Mego〉から2002年に発表されていた『Sheer Hellish Miasma』が2025年リプレス!オリジナルはCDで発表され、以降ノイズ、実験音楽の文脈で究極の到達点とまで評されることが多い作品。内容は徹底して妥協を許さないノイズ構築で、ギター、マイク、アナログ・シンセ、テープ操作、エフェクト、さらに控えめなコンピュータ処理まで駆使し、轟音の壁を緻密に編み込んでいる。ひたすら物理的に襲いかかる音圧でありながら、実際には極めて計算された設計が裏に潜んでいて、無秩序の中に精密なコントロールが感じられる。フィードバックやアナログ・シンセのうねりが、時間の中で少しずつ層を変えながら重なっていくさまは、作曲としか言いようのない構築感があり、音を素材とした抽象芸術として成立している稀有な一枚。20年以上経った今も生々しく、今回の2LP仕様は、作品が本来持つ強度をフィジカルに体験する意味でも重要な再発。

ベルリンの作曲家 Mark Kanak を中心にしたプロジェクト Irrflug によるデビュー・アルバム。「腐食した空気感」と「リズムの研究」をキーワードに、金属的なノイズ、ざらついたテクスチャ、崩れかけたビートが交差し、インダストリアルとアヴァンギャルドの中間にある独自の音像を形成する。音はミニマルでありながら鋭く、リズムは一定の形を保ちながらも、常にどこか歪み、揺れ、崩れ、リズムなのにリズムとして機能しない、リズムそのものを素材として解体するようなアプローチが貫かれている。整った構造を拒むような荒々しさと、音の粒子を精密に配置する冷静さが同時に存在し、本作を単なるノイズやインダストリアルの枠に収めない異物感が生まれている。ベルリンの地下シーンの空気をそのまま吸い込んだような、生々しくも美しい一枚。

ジャパノイズ伝説Merzbowが、1994年にスイスのThe Releasing EskimoからCDでリリースしていた名盤が、Hospital Productionsより未発表音源を追加してリマスター2CD再発。爆音と共に高速で動く音の渦が、世界が崩れ落ちた後の虚無ゾーンを感じさせてくれる重厚なシュルレアリスム・ノイズ傑作。これは覚醒してます。エンボスで箔を押したゲイトフォールド仕様、ミニ・ポスター付属、アートワーク共々最高です。
ノルウェーの異端アーティスト Gaute Granli による、歪んだギター、変則的なリズム、奇妙な発声が渦を巻く、異形のエレクトロニック・ロック作品『Rosacea』。ローファイでざらついた録音の中に、原始的で身体的なエネルギーがむき出しになり、ロックの形を借りながらも完全に枠を逸脱したサウンドが展開される。ギターはメロディとノイズの境界を行き来し、ビートは安定せず、ボーカルは歌というより発声、もしくは叫び。その不安定さと奇妙さが、どこか呪術的でクセになる世界観を生み出している。粗く、野性的で、しかし妙にユーモラスな唯一無二の作品世界。

(数量限定/日本語帯付/解説書付)リマスター180g重量盤。1991年の2ndアルバム『loveless』は、まず音楽的に、当時発表されたどの作品よりも先進的で予想を超えるものだった。ケヴィン・シールズとバンドは、純粋な感覚に基づくサウンドを徹底的に追い求め、聴く者の五感を圧倒する作品を完成させた。1990年を代表する本作は、スタジオ録音の可能性を極限まで追求した完全無欠の傑作として評価され、ザ・ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』やマイルス・デイヴィスの『In A Silent Way』、スティーヴィー・ワンダーの『Innervisions』とも肩を並べる金字塔として賞賛されている。
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP
(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/解説書付/
1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)

フィンランドを拠点にブックデザイナーとして活動するジョン・ハバードが、1989年に自主レーベルStrength Through Joyより限定50部で発表した伝説的プロジェクトVogelscheiß Und Seine Verrückten Krötenの唯一音源を初復刻。1988年のヨーロッパ旅行でスティーヴン・ステイプルトンに会い、その後アーヘンを訪れクリストフ・ヒーマン、アンドレアス・マーティン兄弟と共に行なった謎多きセッションの記録がここに解禁。
小杉武久やPierre Henry、Come Organisationのタイトル等も手掛けてきたJos Smoldersがリマスタリングを担当。
LP版はDLコード、インサート付。限定300部。

ボーカルのZack Borzoneとプロデューサー/ドラマーのSam Pickardを中心にフィラデルフィアで結成され、のちにニューヨークに移ってからJack TobiasとSaguiv Rosenstockが加入した4人組バンドYHWH Nailgunのデビューアルバム『45 Pounds』がロンドンの大名門〈AD 93〉から登場。ポストパンク、ノイズロック、実験音楽を融合させたサウンドが特徴的で、バンド名はヘブライ語の「ヤハウェ」を意味するが、その音楽性はむしろ俗世的で、混沌とした暴力的なサウンドにこそ本質がある。宗教的というよりも、人間的な激情や混乱を表すために、聖書的なイメージや象徴を借用している。Pitchforkが「このデビュー作は、わずか21分で実験音楽とアヴァンギャルドの世界を再構築する」と評したように、圧倒的なテンションで、ギターは軋み、ドラムは暴れ回り、すべての音が過剰で、歪んでいて、それでいて妙に中毒性がある。ロックというフォーマットに内在する衝動や混乱を最大限に引き出した、ある種の"破壊と再構築"の儀式とも言えるとんでもない一枚!

Death Gripsの創設メンバーとして知られ、その高速ドラミングで唯一無二のサウンドを構築する鬼才、Zach Hillがオーストラリアのノイズ/エクスペリメンタル・シーンで異彩を放つLucas Abelaによるコラボレーション・プロジェクトが〈Warp〉よりアルバムをリリース!
作品に収録された音源は、楽曲というよりも、広大でテクスチャーに満ちた音響フィールドである。ノイズは研ぎ澄まされたエネルギーに満ちた音の空間を生み出し、その激しさにもかかわらず、不思議な静謐さを宿している。HillのリズムはAbelaの持続的で断片化した倍音に屈折し、聴く者を絡め取る迷宮のような構築物を形づくっている。

イタリア出身でベルリンを拠点に活動するプロデューサー Shapednoise による強烈なサウンドに、多彩なゲストを迎えたコラボレーション作『Absurd Matter 2』。荒々しいインダストリアル・ノイズにラップやビートを重ねることで、破壊的かつ革新的な音像を構築。NYのアンダーグラウンド・ヒップホップ・デュオArmand Hammer、ラッパーFatboi Sharif、ICECOLDBISHOP、電子音楽家Loraine James & Moor Mother、ケニアのクラブ・プロデューサーSlikback、モジュラー・シンセ奏者Kaitlyn Aurelia Smithという音楽性の異なる様々なコラボレーターによる多彩な音楽要素も魅力的な一枚。
Merzbowこと秋田昌美による限定盤レースカット作品『Kachouzu』。Merzbow特有の金属的で過激な音響が全面に展開するハーシュノイズの極致とも言える内容で、通常のプレス盤と異なり、ラテカット特有の荒々しい音質が迫力をさらに強調している。各パートは即興的でありながら、録音・編集によって緻密に構成されており、全体でひとつの連続した作品となっている。わずか50部のみの超限定仕様で、手書きナンバリング入り。

作曲家でありサウンド・アーティストでもあるヴィオレタ・ガルシアのソロ・チェロ・アルバム『IN / OUT』が〈Bongo Joe〉より登場!スイス、ジュネーブの地下貯水池で録音された本作は、その場所の自然な音響を作曲の不可欠な要素ととらえており、ガルシアが空間で演奏するだけでなく、空間そのものを演奏していると言える。彼女は、近くの壁や遠くの壁に反射する反響や残響に合わせてアプローチを変えながら、ミニマルな現代音楽、ダーク・アンビエント、実験的なノイズを融合させていく。ラ・モンテ・ヤング、エリアーヌ・ラディーグ、ユルク・フレイ、アルヴォ・ペルトといった作曲家からインスピレーションを得たというガルシアは、チェロの拡張奏法、微分音、オルタナティヴ・チューニングを駆使し、マルチ・チェロ・アンサンブルの深みと複雑さを感じさせる音の風景をつくりだしており、洞窟のような空間の共鳴と残響のなかで、それぞれの音が環境と有機的に相互作用しし、響くエコーや陰影のあるドローンのひとつひとつが、彼女のコンポジションの織物に注意深く組み込まれているように感じられる。深いハーモニーと没入感を伴う聴覚の世界へと誘う!
ロンドンを拠点に活動する音楽家 Alexander Tucker によるプロジェクト Microcorps の、ポストインダストリアル・テクノとアコースティック音響の融合をテーマにしたアルバム『Clear Vortex Chamber』が〈Downwards〉から登場。モジュラーシンセとチェロ、ベースギターのサンプルを組み合わせた、電子と木質の境界を探る音響実験とも言うべき一枚。収録曲には、Justin K Broadrick(Godflesh / Jesu)、Regis、日本人音楽家Phew、Elvin Brandhi らが参加し、特に「FEDBCK」や「ZONA」では、インダストリアルなノイズと断片的なヴォーカルが交錯し、空間そのものが揺らぐような感覚を生み出している。Tuckerは、1年分の録音素材を破棄した後、〈Downwards〉の助言を受けて、より明瞭で密度の高い音響構造を目指して再構築し、その結果、巨大なキック、ソナークリック、パルスドローンが交錯する、タイトル通りのクリア・ヴォルテックス・チャンバー、精神的な音響空間が立ち上がった。2020年代の音響芸術らしい意欲作。

Beau Wanzer、Lukid、Tapesによる共同作『Borez』が〈The Trilogy Tapesより登場!ジューク、2-step、レイヴ、エレクトロを解体・再構築しながら、ノイズと不穏さが渦巻く独特の音世界を描き出している。冒頭の“Point of Some Return”は、つんのめるような2-stepのリズムと断片的なサンプルが交錯する、神経質とも言えるトラック。続く“Rubber Eater”では、ざらついたリードとラフな質感が印象的で、ノイズとビートの緊張関係がスリリングに展開する。“Xylone Xylophone”は、金属的な響きと錯綜するパーカッションが絡み合う混沌の中に、奇妙なグルーヴが息づく。ラストの“Lomp”では、機械的なファンクネスとシンセのうねりが全体を包み込み、不穏さと快楽性が交錯する余韻を残して幕を閉じる。全体として、クラブ・ミュージックの定型を逸脱しながらも、その機能性や肉体性を鋭く再提示するような意欲作。混沌の中に輪郭を与える三者のセンスが、極めてラディカルな形で結実した一枚!
