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ジャイルズ・ピーターソンらのサポートを受け注目を集めた、ドイツ・ベルリンを拠点に活動するインストゥルメンタル・バンド Conic Rose がベルリンのKantine Berghainで一夜に収録したライブ・アルバム『Live in Berlin』。現代的なジャズを基盤に、ポストロック的なギターやシンセ、Lo-Fi/ビート感覚を取り入れたサウンドで、前のめりのアクティブな瞬間と、陽だまりのようにゆったりと進む時間が同居するライブ感が魅力的。代表曲「Young Man」「Honeylake」など、スタジオ録音曲をライブで育て上げた成果を示す内容で、現代ジャズの新しい形を示す作品。

かつてProject Pablo名義で活動していたカナダ・モントリオールのプロデューサーPatrick Hollandによる、2015年のカルト的ハウス・アルバム『I Want To Believe』が、〈Verdicchio Music Publishing〉から初のヴァイナル・リイシュー。本作は、当時〈1080p〉からカセットとデジタルでリリースされ、〈Mood Hut〉周辺のアーティストと並び称される浮遊感あるハウス作品として高く評価されてきた。アンビエント的な空間性とバレアリックなメロディ、アナログ的な温かみのあるビートが融合し、柔らかなグルーヴを展開。代表曲「Sky Lounge」や「Movin’ Out」など、感傷的で夢見心地なトラックが並び、Patrick Hollandの初期の音楽的ヴィジョンを再確認できる一枚となっている。アナログテープレコーダーによるシンセや気の抜けたパーカッション、キーボードの繊細なフラッターが随所に散りばめられ、全体を通して感情や空間に寄り添う質感があり、クラブユースのハウスという枠を超えて、ライフスタイルに寄り添う音楽となっており、キッチンでもリビングでも心地よく響く、イージー・リスニングなダンス・ミュージック名作。

グリーンランド、ヨーロッパ、中東を旅する匿名の音響錬金術師Jaanによる、地理的・文化的断片を音響に編み込んだエクスペリメンタル・アンビエント作品『Baghali』。環境音や道端の録音、古いシンセ、壊れたテープ、フルート、ギター、パーカッションが交錯。中東の打楽器が突然ローファイなテープの歪みに溶け込み、次の瞬間には雪原のような静寂に変わる。環境音、民族楽器、ノイズが同時に鳴っており、音の密度は高いが、構造の密度は低く、全体としては静かで余白の多く、どこか錯覚めいた印象を残す。Brian Enoが砂嵐の中で壊れたテープレコーダーと夢を持って歩いているような音とも評される、記憶、神話、風景が音の中で溶け合う音響的漂流。場所と時間を超えた音の断片が、聴く者の内面に静かに語りかける。
The Trilogy Tapesを代表するユニット、メルボルンを拠点とするConrad Standish と Sam Karmel によるCS + Kremeのデビュー作『EP #1』がめでたくも2025年リプレス。全4曲、約30分にわたる本作は、ダウンビートを基調にアンビエントやローファイな質感、ドリーミーなテクスチャーを織り交ぜ、感覚を優しく包み込むようなサウンドを展開。オープニングの「Devotion」では、シンセ・パッドと静かなビートにヒンドゥスターニー風の弦楽モチーフやフルートが重なり、瞑想的な世界へと誘い、続く「Basic Instinct (Club Scene)」は、クラブ的なリズム感を持ちながらも濃密な空間処理と甘美な浮遊感が漂う。その後も、柔らかく幻覚的なサウンド・デザインが続き、全編にわたって遠くの記憶や白昼夢を思わせるもの悲しくも美しい、どこか夢見心地な雰囲気が魅力的で、HTRKやCarla Dal Forno、Laila Sakiniらと並び、メルボルンのエクスペリメンタル、ドリームポップ的潮流を象徴する作品として、今なお多くのリスナーにとって定番として愛される一枚。

1月中旬再入荷。メルボルンの電子音楽家 Jeremy Dower が四半世紀にわたって制作してきた未発表曲をまとめたコンピレーション『Personal Computer Music, 1997-2022』。本作は、彼が1990年代に展開したアンビエント・テクノ・プロジェクト Tetrphnm 名義の作品群と、その後自身の名義で録音されたノスタルジックなフェイク・ジャズ的トラックとを二部構成で収録。初期は Monolake や Mouse on Mars などの厳格なドイツ・テクノから影響を受けつつも、安価な90年代のサウンドカードや12ビット・サンプラー、ノイズゲートを駆使し、subtractive compositionと呼ばれる独自の即興的システムを構築。孤立した環境で生み出されたその音楽は、のちに IDM や Microhouse と呼ばれる潮流と並走しながらも、どこにも属さない独自の響きを確立していった。幅広い音楽からの影響を消化した繊細かつパーソナルなな音楽は、2018年には、オーストラリア90年代エレクトロニカを紹介するコンピ『3AM Spares』に Tetrphnm 名義の楽曲が収録されたが、本作はその全貌を掘り下げる初の決定的な一枚となっている。
$100 Bandの一員としても活動したニュージーランドの女性ミュージシャン、Maxine Funkeの〈Feeding Tube Records〉より2018年に発表した3rdアルバム。Sibylle BaierやMyriam Gendronを彷彿とさせる、仄暗くも温かい歌声とアコースティック・ギター、ベッドルーム録音のような親密さと、深い感情を引き出すシンプルな構成に、ニュージーランドのアンダーグラウンド・レジェンド Alastair Galbraith との活動を思わせる、ローファイ実験音響を織り交ぜた現代フォークの隠れた名盤。
Baby In VainのAndrea Thuesenと、LissのVilhelm StrangeによるデンマークのデュオSnuggleによるデビュー作『Goodbyehouse』。退廃的でダウナーなムードと、メロウなアシッド・フォークやドリーム・ポップ的質感が交錯。アンビエントなボイス・サンプルとダウナーなギターリフが重なり、夜明けの倦怠感を描くような「Sun Tan」、Lana Del Rey的なメランコリックな歌心を感じさせる「Woman Lake」や「Marigold」など、失恋や居場所の喪失といったパーソナルな経験が作品全体のトーンに反映されている。
ジャン=マリ・メルシメックによる、「盲目のためのロードムービー」とも言うべき、視覚ではなく聴覚で旅を描いた実験的なアルバム『Le Camion de Marguerite Duras』が〈Aguirre Records〉の企画として制作され、全300部限定、大型ポスター付きで登場!マリオン・モルとロナン・リウの二人が、フランスとベルギーを舞台に6年かけて録音した作品で、マイクロトーナルなMIDIコンポジション、フレンチ・サウンドトラック、ポストパンク風シャンソンなどを折衷した独特の音世界を構築している。音が風景を映すスクリーンとなり、楽曲は場面として構成され、サウンドデザインとソングライティングが混ざり合う。奇妙でありながらも親しみやすく、過剰な奇抜さに頼らず、あくまで人間味と温もりをたたえた作品に仕上がっている。Luc Ferrariの語りを用いた電子音楽や、Brigitte Fontaineのシュールなシャンソン、Crammed Discsの実験音楽好きにはたまらない内容。知的でありながら情感にも訴えかける傑作。
当店お馴染みの〈Numero〉から超強力物件!10年代初頭~中盤の地下カセット/ローファイ・エクスペリメンタル/ヒプナゴジック・ポップ界隈からCHICKLETTEやR U REALの姿が頭をよぎります...ミレニアル世代に捧ぐ、超スイートなスリープオーバーコア。2000年代初頭に、ジェシカ、エイデン、ジャネット、メアリーの4人娘が結成した、知られざるプレティーン・ポップ・グループ、X-Cetraによる幻の自主盤作品であり、2000年にCDrとして残されたオリジナルは入手不可能とも思われる傑作『Stardust』が『Summer 2000』と改題して奇跡のアナログ再発!まるで、ゼロ年代に迷い込んだThe Shaggsのような、アウトサイダーで狂った音源。自宅で焼いたCDrに詰め込まれたヘロイン中毒気味のトリップホップからR&B、ユーロファンク、幼き日の失恋の体験までもが練り込まれた、前代未聞で無比のカルト・キッズ・ミュージック超名作にして、プロト・ヒプナゴジック・ポップとも言うべき一枚です。

ヴァージニア州、メヘリン川沿いに残る18世紀の酪農農場。2023年9月、この場所にノースカロライナ周辺の音楽仲間9人が集まり、家の居間と食堂を即席スタジオに仕立てて録音したアルバム『Diamond Grove』。Weirsは固定したメンバーを持たず、オールドタイム音楽とDIYノイズを自由に横断する共同体的な集団で、ここではSluiceやMagic Tuber Stringbandの面々を含む編成で、夜が更けるまで古い歌や旋律に取り組んでいる。彼らは、忘れ去られそうな古い楽曲を収集し、Guided by VoicesのようなインディーロックからJean Ritchieのようなフォークまで、幅広い影響を融合させており、その音楽は伝統を保存するのではなく、伝統をどう生かすかを問い直すもので、古い賛美歌をMIDI化してiPhoneスピーカー越しに鳴らし直したり、ゴスペルを納屋の残響ごと封じ込めたりと、音の場そのものを演奏と同等の要素として扱っている。その結果、古い旋律は再現されると言うよりも、今この瞬間にふっと立ち上がって、リスナーの前に姿を現すのように響く。本作は、農場の古い建物、土地の記憶、夜の虫の声までが音楽の一部になっており、トラッド/フォークの純粋性を疑いながら、それでも歌の命脈をつなぎ、今日の耳にどう届きうるかを模索している。その本質はフォーク・リヴァイヴァルよりもむしろミュジーク・コンクレートやローファイ実験音楽の感覚に近いもので、アウトサイダー・フォークの系譜にありつつ、地域性と現代感覚を交差させたユニークな一枚。
1968年、18歳のGenesis P-Orridgeが地元ソリハルの実家の屋根裏で、学校の友人たちと録音した初期音響実験の記録《Early Worm》が発掘、復刻!!当時アセテート盤で1枚だけプレスされたロウでフィルターのかかっていないサウンドスケープは、後のCOUMトランスミッション、スロッビング・グリッスル、サイキックTVへと続く創作の原点とも言える作品で、ノイズ、即興、テープ操作などを通じてサイケデリック、フルクサス、ジョン・ケージ、ビートニク・ボヘミアンからの影響を露わにしている。長らく行方不明だったが、近年アーカイブ整理中にRyan “Gelik” Martinによってマスターテープが発見され、オリジナルのオープンリールテープから直接マスタリングして限定アナログ盤でリリース。P-Orridge自身による60年代UKアンダーグラウンドの空気を綴ったライナーノーツ付き。「少なくとも、P-Orridgeの音楽へのアプローチは最初から大胆で異端だったことを示している。インクレディブル・ストリング・バンドのようなサイケデリック・フォークをより混沌としたようなサウンドだった」と評された、カオティックな宅録実験。Genesis P-Orridgeの愛好家や研究者たちにとって、その重要な構造的なテーマと音響的質感を明らかにする、失われたリンクのような重要作!

1月中旬再入荷(12月下旬分は完売しました)。Meditationsでもお馴染みのAta Kakによる、1994年のカセット作品『Obaa Sima』以来となる、なんと新作『Batakari』が登場!あの奇妙で唯一無二な宅録カセットが、2006年にブログ「Awesome Tapes From Africa」に最初に取り上げられて以来、世界中のリスナーを虜にし、やがて2015年のリイシューを機にカルト的な人気から本格的な再評価へと広がっていった。長らく音楽活動から離れていたが、再発をきっかけに表舞台へ復帰した彼はロンドンのミュージシャンたちと共にグラストンベリーやソナーを含む世界各地でライヴを行い、世代も地域も超えた観客を魅了してきたが、本作『Batakari』の楽曲は、地元ガーナはクマシのスタジオで数年かけて制作されたもので、疾走感のあるラップや軽妙なスキャット、アカンの伝統的なハープ、そして強烈なパーカッションを自在に織り交ぜながら、以前よりもずっと緻密で重層的なサウンドを聴かせている。ヒップホップ的なラップやビートと、ハイライフ由来のリズムやメロディを組み合わせたヒップライフに、ローファイな電子ビート、シンセ、そして彼独特のスピード感あるラップやスキャットが入り混じる独特のスタイルはそのままに、より広がりのあるアレンジや多彩なハーモニーの導入によって、ワールド・ミュージック的な広がりも併せ持っており、彼の持ち味である自由奔放さと創造力の結晶と言うべき一枚になっている。
2020年にレースカットLPで限定50部のみ流通したCindy Leeによる秘蔵アルバム『Cat O' Nine Tails』が、〈W.25TH〉より待望の再発。『What’s Tonight to Eternity』録音直後に制作され、後の『Diamond Jubilee』に繋がる、クラシックなソングライティングとクラシカルな構成美が共存した傑作としてコアなファンの間で語り継がれてきた。アルバムは、ゴシック調の「Our Lady Of Sorrows」から幕を開け、タイトル曲の躁的なエクスペリメンタル、そしてウェスタン映画のような「Faith Restored」へと展開。映画のサントラのような構成で、特に「Love Remains」は、フリーゲルの繊細で痛々しいヴォーカルが映える感傷的なバラードで、アルバムの感情的なハイライトになっている。後半ではライヴの定番エンディング「Cat O’ Nine Tails III」、そこから名曲「I Don’t Want To Fall In Love Again」へ。親密さと異質さが絶妙に同居した一曲。ラストの「Bondage Of The Mind」まで、Cindy Leeの重要な進化の過程を刻んだような全9曲が並んでいる。ゴシック、ウェスタン、ソウル、実験音楽が溶けあう、心の奥を揺らす、「もうひとつの」60年代映画サントラ!

2009年の『Hissing Theatricals』EPで注目を集めたUKのトラックメイカーTapesによる8ビット・ゲーム音楽とデジタル・ダンスホールを融合させたユニークな作品『Photos of my Frog EP』。サウンドシステム向けに設計されたダンスホール・トラックと、一部その8ビット・バージョンを収録。カエルの鳴き声やシャッター音などのフィールド録音を散りばめた、遊び心あふれる音作りに、任天堂風のチップチューン・サウンドと重厚なベースライン、スペーシーなシンセが融合。デジ・ダブファンはもちろんんこと、ヴェイパーウェイブ、ゲームミュージック好きにもアピールする、Tapesの遊び心と音響センスが炸裂したカエルとゲームとダンスホールの奇妙で楽しい世界。サウンドシステムでも、ヘッドフォンでも、思わずニヤリとしてしまう一枚。
アムステルダム出身、現在はハーグを拠点に活動するKim David Botsによる『Instrumental Romance』。日常の断片や記憶を詩的に描写するスポークンワーズ的な語りと、アナログ感のあるシンセ、ギター、フィールド録音などが混ざり合うローファイで親密なサウンドが温かくも不思議な音世界を構築。オランダ・マース川沿いの古びた農家で暮らしながら制作し、毎朝6時に犬のMiemelと川辺を散歩。霧の中でコーヒーを飲むという日課が作品の詩的世界に反映されている。皮肉やユーモアがありつつも、どこか切ない雰囲気が漂うバランスが絶妙で、静かな時間にじっくり聴くことで、日常の中に潜む物語や感情が浮かび上がってくるような魅力のあるアルバム。

ヴァージニア州、メヘリン川沿いに残る18世紀の酪農農場。2023年9月、この場所にノースカロライナ周辺の音楽仲間9人が集まり、家の居間と食堂を即席スタジオに仕立てて録音したアルバム『Diamond Grove』。Weirsは固定したメンバーを持たず、オールドタイム音楽とDIYノイズを自由に横断する共同体的な集団で、ここではSluiceやMagic Tuber Stringbandの面々を含む編成で、夜が更けるまで古い歌や旋律に取り組んでいる。彼らは、忘れ去られそうな古い楽曲を収集し、Guided by VoicesのようなインディーロックからJean Ritchieのようなフォークまで、幅広い影響を融合させており、その音楽は伝統を保存するのではなく、伝統をどう生かすかを問い直すもので、古い賛美歌をMIDI化してiPhoneスピーカー越しに鳴らし直したり、ゴスペルを納屋の残響ごと封じ込めたりと、音の場そのものを演奏と同等の要素として扱っている。その結果、古い旋律は再現されると言うよりも、今この瞬間にふっと立ち上がって、リスナーの前に姿を現すのように響く。本作は、農場の古い建物、土地の記憶、夜の虫の声までが音楽の一部になっており、トラッド/フォークの純粋性を疑いながら、それでも歌の命脈をつなぎ、今日の耳にどう届きうるかを模索している。その本質はフォーク・リヴァイヴァルよりもむしろミュジーク・コンクレートやローファイ実験音楽の感覚に近いもので、アウトサイダー・フォークの系譜にありつつ、地域性と現代感覚を交差させたユニークな一枚。


Meditationsでもお馴染みのAta Kakによる、1994年のカセット作品『Obaa Sima』以来となる、なんと新作『Batakari』がCDでも登場!あの奇妙で唯一無二な宅録カセットが、2006年にブログ「Awesome Tapes From Africa」に最初に取り上げられて以来、世界中のリスナーを虜にし、やがて2015年のリイシューを機にカルト的な人気から本格的な再評価へと広がっていった。長らく音楽活動から離れていたが、再発をきっかけに表舞台へ復帰した彼はロンドンのミュージシャンたちと共にグラストンベリーやソナーを含む世界各地でライヴを行い、世代も地域も超えた観客を魅了してきたが、本作『Batakari』の楽曲は、地元ガーナはクマシのスタジオで数年かけて制作されたもので、疾走感のあるラップや軽妙なスキャット、アカンの伝統的なハープ、そして強烈なパーカッションを自在に織り交ぜながら、以前よりもずっと緻密で重層的なサウンドを聴かせている。ヒップホップ的なラップやビートと、ハイライフ由来のリズムやメロディを組み合わせたヒップライフに、ローファイな電子ビート、シンセ、そして彼独特のスピード感あるラップやスキャットが入り混じる独特のスタイルはそのままに、より広がりのあるアレンジや多彩なハーモニーの導入によって、ワールド・ミュージック的な広がりも併せ持っており、彼の持ち味である自由奔放さと創造力の結晶と言うべき一枚になっている。

Meditationsでもお馴染みのAta Kakによる、1994年のカセット作品『Obaa Sima』以来となる、なんと新作『Batakari』がカセットでも登場!あの奇妙で唯一無二な宅録カセットが、2006年にブログ「Awesome Tapes From Africa」に最初に取り上げられて以来、世界中のリスナーを虜にし、やがて2015年のリイシューを機にカルト的な人気から本格的な再評価へと広がっていった。長らく音楽活動から離れていたが、再発をきっかけに表舞台へ復帰した彼はロンドンのミュージシャンたちと共にグラストンベリーやソナーを含む世界各地でライヴを行い、世代も地域も超えた観客を魅了してきたが、本作『Batakari』の楽曲は、地元ガーナはクマシのスタジオで数年かけて制作されたもので、疾走感のあるラップや軽妙なスキャット、アカンの伝統的なハープ、そして強烈なパーカッションを自在に織り交ぜながら、以前よりもずっと緻密で重層的なサウンドを聴かせている。ヒップホップ的なラップやビートと、ハイライフ由来のリズムやメロディを組み合わせたヒップライフに、ローファイな電子ビート、シンセ、そして彼独特のスピード感あるラップやスキャットが入り混じる独特のスタイルはそのままに、より広がりのあるアレンジや多彩なハーモニーの導入によって、ワールド・ミュージック的な広がりも併せ持っており、彼の持ち味である自由奔放さと創造力の結晶と言うべき一枚になっている。

DJ BeBeDeRaによる初の本格的なアンソロジー『Clássico』がリスボンの〈Príncipe〉から登場。2014年から現在までに制作された入手困難なトラックを網羅し、彼の荒削りで肉感的な、アングラ・ダンスミュージック、タラッソ・サウンドが全面的に展開されている。本作では、単発の7インチ、また〈Príncipe〉のコンピ収録などで名を知られてきた彼のプロダクションにようやくまとまったスポットライトが当たる。DJ Marfoxからも絶賛され、Low JackやSimo Cellらもプレイするなど、同時代のクラブ・ミュージックの中でも特に異彩を放つ存在。収録曲はどれも身体に訴えるフリクションと官能的なグルーヴに満ちており、強烈。金属のきしみ音、ガラクタを叩くような打音、摩耗したノイズ、スモーキーでこもった中域の音像、荒削りで生っぽい録音。まるで廃材置き場を舞台に音が鳴っているような質感をまといながら、催眠的な反復でリスナーをどんどん引き込むBeBeDeRaの音は、体感的で荒々しく、それでいてどこか哲学的な、ダンスフロアの異端的快楽。
フォークを土台にしながらも、サイケデリック、トロピカルなラテン音楽、ローファイ・ポップ、そしてヒッピー的な精神世界を溶け合わせた、とびきり自由で奔放な作品『Cripple Crow』。アシッド・フォークを21世紀にアップデートしたかのような、2005年に〈XL〉から発表されたデヴェンドラ・バンハートの名作は、「Freak Folk」や「New Weird America」といったムーブメントの先駆けとして、当時のインディ・フォークに大きな影響を与えた。今回、そのリリースから20周年を記念してデヴェンドラ自身の新レーベル〈Heavy Flowers〉から初の再発盤が登場。オリジナル2LPに加え、クリア・グリーン・スモーク仕様のボーナスLPを追加した全3枚組仕様。ボーナスLPには未発表デモ5曲、未発表ライヴ2曲、当時録音された埋もれた名曲1曲、そしてB面トラック1曲の計9曲が収録。デヴェンドラならではの子どもじみた無垢さと老成したスピリチュアリティが再び!
