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ツジコノリコが長い間人生を共に過ごし深い絆を結んだ愛猫PONへの追悼として制作された最新作『PON』。日本的な情緒を帯びたフィールドレコーディングや家庭的な音の断片が散りばめられ、色彩豊かなフォトアルバムのように彼女の内面世界が記録されている。収録曲「Knife of Yonder」はイーノ的なアンビエントから高揚感のある中盤、ブルースに寄り添うような終盤へと展開する10分超の大作。「Kikoeru Pon」では猫の声を含む生活音が溶け込み、個人的な記憶がそのまま音楽になったような親密さが漂う。個人的テーマを抱えながら、無邪気さと抽象性が交互に現れる独特の情緒を持ち、電子音は冷たさとは無縁で、柔らかい光を帯びている。ある種の子どもっぽさと深い喪失感の同居した、彼女の持ち味がさらに深化した成熟した一枚。


8月中旬再入荷。ドイツ・ベルリンを拠点とするプロデューサー N Kramer と The Zenmenn のペダル・スティール奏者 Magnus Bang Olsen によるコラボレーション・アルバム『Pastoral Blend』。本作では、Olsen のペダル・スティールによる柔らかなフレーズがKramer の手でループ、反転され、幾重にもレイヤーを重ねられることで、アンビエント・アメリカーナ的な温もりと抽象的なエレクトロニクスが溶け合った独自の風景が立ち上がる。心地いい柔らかさとFennesz、Alva Noto を思わせる粒立ちのある質感が同居した、アナログ楽器の奥深い親密さとデジタルのきらめくような音の質感やテクスチャーの繊細なバランス感が印象的で、アルバムは風景や記憶を想起させる牧歌的なイメージを喚起しつつ、それを現代的なアンビエントのレンズを通して描き出しているかのよう。現実に根ざしながらも、時間を超えて漂うような静謐で深い音世界は、馴染みがあるようで新しく、アコースティックと電子音の狭間に広がる新たな表現を提示する一枚。

Chris RosenauとNick Sanbornが長年の友情と即興の瞬間をそのまま結晶させたエレクトロ・アコースティック作品『Two』。Sylvan Essoの森の中のスタジオBetty’sで録音された本作には、森の空気や環境音までもが自然に入り込みながらギターの倍音と電子音の揺らぎが柔らかく溶け合う独特の開放感が漂う。ふたりが同じ空間で呼吸を合わせながら音を紡いでいくことで、構築よりも生まれる瞬間の楽しさ、美しさが前面に出ており、フォークの温度とエレクトロニカの透明感が静かに交差する。前作『Bluebird』の延長線にありながら、より深く、より自由で、ふたりだけの対話がそのまま音になったような、穏やかで親密な一枚。

7月下旬再入荷。メルボルンの電子音楽家 Jeremy Dower が四半世紀にわたって制作してきた未発表曲をまとめたコンピレーション『Personal Computer Music, 1997-2022』。本作は、彼が1990年代に展開したアンビエント・テクノ・プロジェクト Tetrphnm 名義の作品群と、その後自身の名義で録音されたノスタルジックなフェイク・ジャズ的トラックとを二部構成で収録。初期は Monolake や Mouse on Mars などの厳格なドイツ・テクノから影響を受けつつも、安価な90年代のサウンドカードや12ビット・サンプラー、ノイズゲートを駆使し、subtractive compositionと呼ばれる独自の即興的システムを構築。孤立した環境で生み出されたその音楽は、のちにIDMや Microhouseと呼ばれる潮流と並走しながらも、どこにも属さない独自の響きを確立していった。幅広い音楽からの影響を消化した繊細かつパーソナルなな音楽は、2018年には、オーストラリア90年代エレクトロニカを紹介するコンピ『3AM Spares』に Tetrphnm 名義の楽曲が収録されたが、本作はその全貌を掘り下げる初の決定的な一枚となっている。

郷愁と陽炎が溶け合う、幻想的サウンドスケープ。到達点ともいえる歴史的名作!
2005年発表の3rdアルバム『The Campfire Headphase』は、Boards Of Canadaが持つノスタルジックな世界観を、より有機的かつ叙情的に押し広げた名作。アコースティック・ギターや柔らかなメロディを大胆に取り入れ、これまで以上に温かく、幻想的な音像を描き出した。代表曲「Dayvan Cowboy」をはじめ、夕暮れの景色を思わせるような美しいサウンドは、アンビエント、フォーク、エレクトロニカを横断しながら独自の存在感を放つ。

ジャズ、エレクトロニカ、ベース・ミュージック、アンビエントなど、さまざまな音楽的影響を現代の感性で表現した作品で高い評価を得てきたロンドンのプロデューサー、Loraine James。内なる葛藤と変化への渇望を原動力に制作された最新作『Detached From The Rest Of You』は2025年にシンガーAnysia Kymと手がけたEP『Clandestine』での制作経験を経て、よりポップなアプローチと、インストゥルメンタルを洗練された楽曲構造へ落とし込む手法を獲得し、その経験を制作に落とし込むことで完成した。
クラブ志向のサウンドや曲折的な展開から一歩進み、より明確で凝縮されたソング・フォームへとシフトしている。
プロダクションは極限まで削ぎ落とされ、Aoki takamasaやRyoji Ikeda、2000年代初頭のClicks & Cutsに着想を得たクリックやグリッチの音響空間が広がる。ミニマルな鍵盤の和音と余白を巧みに活かし、音とヴォーカルのあいだに生まれる空間が、これまでで最も自信に満ちたダイレクトな作品へと結実した。
客演には、Sydney Spann(“In a Rut”)、Alan Sparhawk(Low/“Peak Again”)、Miho Hatori(Cibo Matto/“Flatline”)、Anysia Kym(“Score”)、Tirzah(“Habits and Patterns”)が参加。さらに旧知のラッパーLe3 bLACKが、Fyn Dobsonのジャズ色豊かなドラムを従えた“Ending Us All”で再び鋭いリリックを響かせている。

日本の伝説的アーティスト、Susumu Yokotaの音楽的探求の軌跡を年代を超えて記録した、極めて個人的な作品集『Image 1983-1998』。本作は、彼の音楽キャリアにおける二つの異なる時期に制作された短い楽曲で構成されており、前半のトラックは1983年から84年にかけての、ギターやオルガンを用いたローファイなテープ実験の時代のものが収録、ポストパンクやゴーストリー・ポップの断片が垣間見える。続く後半のトラックは、これらの初期作品に触発され1997年から98年に作曲されたもので、後のアンビエントの傑作『Sakura』へと繋がる、より洗練された電子音響とメロディと抽象性が両立する作品が収録されている。音楽的自伝ともいうべき内容で、初期の脆いギターの音色と、後年の穏やかなシンセサイザーのモチーフが、アルバム全体を通して「記憶と予感」という共通のムードで結びついており、両時代が並行して存在するような不思議な感覚を覚える。彼がテクノの制作で多忙を極める中で、初期の実験への回帰と感情的なミニマリズムを追求した、音のスクラップブックあるいはデザインボードとも呼べる、アーティストの核心に迫る貴重なドキュメント。

日本の伝説的な電子音楽家、Susumu Yokotaが自身のレーベル「Skintone」を立ち上げて最初にリリースした、1998年発表の繊細かつ深遠なアルバム『Magic Thread』。ミニマル・テクノの構造を利用しながらも、ビートを推進力としてではなく、雰囲気のための足場として使用しているのが特徴的で、ゴーストリーなドラムループが漂う「Circular」は、深夜の都会の静寂に響く幽玄なハウス・ミュージックを思わせ、また「Reflux」の工場ベルトのようなビートは、音響的なテクスチャと混ざり合い、都市の広大さや静けさを感じさせる。音響設計は一見シンプルでありながら、フィールド・レコーディングやタムタムやプリペアードピアノなどアコースティックな音色が抽象的なリズムパターンに繊細に織り込まれており、本作は、彼がそれまで追求していたディープ・ハウスやテクノの躍動感と、後に確立する内省的なアンビエントの世界観とを繋ぐ「Magic Thread(魔法の糸)」というべき作品となっている。
横田進の代表作のひとつである2002年作『The Boy And The Tree』が、〈Lo Recordings〉より新装リマスターで再登場。自然や生命の神秘をテーマにした本作は、アンビエント/エレクトロニカ期の魅力が美しく結晶しており、透明感のあるメロディと柔らかな音のレイヤーが幻想的な世界を描き出す。本人が語っている通り、本作は屋久島の原生林を歩いた経験や、宮崎駿の映画『もののけ姫』の生態学的メッセージにインスパイアされており、柔らかなシンセの揺らぎ、アコースティックな質感、そして森の奥で響くようなパーカッションが重なり、自然の世界がそのまま音になったような神秘性を帯びている。彼のアンビエント作品の中でも特にメロディが際立ち、夢の中を歩くような浮遊感と、静かな感情の動きが同時に流れ込んでくる、永遠の名盤。
『Music Has the Right to Children』(1998)、『Geogaddi』(2002)、『The Campfire Headphase』(2005)という不朽の名作達に続く2013年に発表されたアルバム。作曲、レコーディング、プロデュース、そしてアートワーク・デザインまでのすべてをメンバーのマイク・サンディソンとマーカス・イオンが手がけ、『Tomorrow's Harvest』と名付けられている。

ドイツのミュージシャン/作曲家のDaniel Rosenfeldが変名C418で残した、世界的人気ゲーム『Minecraft』の初期サウンドトラック『Volume Alpha』と『Volume Beta』を、2本組カセットとしてまとめたアーカイブ作品。エリック・サティやブライアン・イーノとも比較される繊細なピアノとまばらなアンビエントモチーフによる穏やかで幻想的なサウンドスケープが恍惚もののAlpha、よりダークで内省的な側面もクローズアップされた魅惑のアンビエント/エレクトロニック・ミュージックが収められたBeta。グリーンとレッドのカラーシェルを採用した装丁も相まって、2作を並べて聴くことで、Minecraftの光と影が立体的に浮かび上がるコレクター仕様。
中国出身、現在はロンドンを拠点に活動するプロデューサーYu Suの2ndアルバム『Foundry』が〈Short Span〉から登場。dip in the poolの甲田益也子、Memotone、Seefeelといったジャンルを横断するアーティストが参加。「Sunless」の水中に沈むようなアンビエント、「Foundry」のアシッド気味の4/4、「A Jewel」のアートポップ的な透明感など、クラブとリスニングの境界を自在に行き来する柔らかな推進力が全編を貫く。金属的なパーカッションが冷たく響いたかと思えば、次の瞬間には甲田益也子の歌声やMemotoneの柔らかな旋律が、その冷たさを優しく包み込んでいく。コラボレーターの協力も得て、Yu Suならではの「間の音楽」が広がる、現代的で美しい一枚。

〈Kompakt〉が毎年送り出す名物シリーズ「Pop Ambient」の最新作。Wolfgang Voigt(GAS)によるキュレーションで、2026年版はMicå、Pass Into Silence、Morgen Wurde feat. Tetsuroh Konishiなど、日本勢の存在感も大きいラインナップ。ビートレスのシンセ・レイヤーがゆっくりと揺れ、ポストクラシカルな質感のストリングスや淡いメロディが霧のように立ち上がる、純度の高いアンビエントが中心。Micåの緻密な音響、Pass Into Silenceの静謐なドローン、そしてトランペットが溶け込むMorgen Wurdeの楽曲など、透明度の高い音響美がアルバム全体を貫く。瞑想的でありながら、曲ごとに微細なドラマが潜む構成は「Pop Ambient」シリーズならではの魅力。

エレクトロニック・ミュージック史における最重要コンピ『Artificial Intelligence』が30年ぶりにヴァイナル・リイシュー!!エイフェックス・ツイン、オウテカ、リッチー・ホウティン、アレックス・ピーターソンらの貴重な初期音源を収録!!
エイフェックス・ツイン、オウテカ、スクエアプッシャー、ボーズ・オブ・カナダ、フライング・ロータス、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーら、先鋭的アーティストを数多く輩出し、衝撃的なMVやアートワークといったクリエイティブの分野においても音楽史に計り知れない功績を刻み続けているレーベル、〈Warp Records〉が30年前にリリースした伝説的コンピレーション『Artificial Intelligence』をリイシュー!
1992年にリリースされたこのコンピレーションは、エイフェックス・ツインのザ・ダイス・マン(The Dice Man)名義、オウテカ、リッチー・ホウティンのアップ!(UP!)名義、B12のミュージコロジー(Musicology)名義、アレックス・ピーターソン(ジ・オーブ)とジミー・コーティ(The KLF)などの初期の貴重なトラックを収録している。
本作は〈Warp Records〉の1992年から1994年にかけてリリースされた"Artificial Intelligence"シリーズの最初の作品で、シリーズからは続いてエイフェックス・ツインのポリゴンウィンドウ名義の『Surfing On Sine Waves』、 ブラック・ドッグ・プロダクションズの『Bytes』、B12の『Electro-Soma』、リッチー・ホウティンのF.U.S.E名義の『Dimension Intrusion』、スピーディJの『Ginger』、オウテカの『Incunabula』、そして『Artificial Intelligence II』がリリースされた。
ゲートフォールドスリーブはデザイナーズ・リパブリックによって再構築され、Ten Eight Seven MasteringのBeau Thomasによって、クラシックなブラック・ワックスでカットされている。
<Tracklist>
01.The Dice Man - Polygon Window
02.Musicology - Telefone 529
03.Autechre - Crystal
04.I.A.O - The Clan
05.Speedy J - De-Orbit
06.Musicology - Premonition
07.UP! - Spiritual High
08.Autechre - The Egg
09.Dr Alex Paterson - Loving You Live
10月下旬入荷(再度変更となりました)。初回分即完売、リプレス分入荷いたします。Akufen名義で知られるモントリオールの電子音楽家Marc Leclairが、妻と友人たちの妊娠をきっかけに制作した2005年作『Musique Pour 3 Femmes Enceintes』が待望の初アナログ化。各曲は「33e Jour」「205e Jour」など妊娠期間の日数をタイトルに持ち、胎児の成長と妊娠期の感情を音で描くというユニークな構成。Akufenのマイクロサンプリング的なダンス・トラックとは対照的なアンビエント、グリッチが溶け合う静謐なサウンドで、冷たく研ぎ澄まされた電子音がゆっくりと波紋のように広がり、水中で光が揺れるような心地よさを生み出している。クリックハウスの帝王がひそかに残した、パーソナルな胎教音楽名盤。

ジジ・マシンのサポートアクトを勤めたことでも知られるNashpaintsによる、ローファイのざらつきとベッドルーム・ポップの親密さが溶け合う、小さくて不思議な宝石のようなアルバム『Everyone Good is Called Molly』。曇ったギター、つぶやくようなボーカル、カセット録音のような柔らかい質感。すべてが誰かの部屋の片隅で生まれた音楽特有の空気をまとい、素直に心に触れてくる。ポップでありながら影があり、夢の中の断片のように淡く揺れるメロディが、アルバム全体に独特の温度を与えている。
オリジナルは1994年リリースの、Massive Attackの2ndアルバム『Protection』。前作『Blue Lines』で提示したブリストル・サウンドをさらに洗練させ、トリップホップというジャンルの輪郭を決定づけた重要作。Everything But The GirlのTracey Thornを迎えた表題曲「Protection」は、温かく包み込むようなヴォーカルと深いベースが溶け合う名曲。さらにTrickyが参加した「Karmacoma」、Horace Andyの存在感が光る「Spying Glass」など、R&B/ヒップホップ/ダブ/エレクトロニカが自然に交差する、ジャンル横断的なサウンドデザイン。全体を通して、遅いビート、深い低音、曇った音色が生み出す都会の夜の静けさのようなムードが漂い、内省的でメランコリック。その後の『Mezzanine』の暗黒的サウンドとは異なる、温かさと憂いが同居するトリップホップ成熟期の代表作。
Massive Attack が1998年に発表した3枚目のスタジオ・アルバムで、彼らの代表作。前作『Blue Lines』『Protection』のソウルフルでジャジーな雰囲気から一転、トリップホップをさらに深化させ、ポストパンクやインダストリアルの影響を強く取り入れた冷たく重厚なサウンド。〈Virgin Records〉からの180g重量盤2枚組仕様。
アイルランドのシンガーソングライターDavid Kittが、2001年の名盤『The Big Romance』を 全曲セルフ再録音し、さらに新曲を加えて再構築した“Kittser’s Version”が2LPで登場。オリジナルの権利問題により再発が難しかった作品を、本人が完全にコントロールできる形で再生させた25周年記念盤。プロデュースは当時と同じKen McHugh。ベッドルーム・フォークとエレクトロニカが溶け合う独特の質感はそのままに、2026年版はよりクリアで空間的なサウンドへアップデート。アコースティックの温度感と、繊細な電子音の粒立ちが共存する、成熟したBig Romanceと言える仕上がりになっている。収録曲はオリジナルの再録10曲に加え、ファン人気の高い「Saturdays」、そして新曲5曲を追加した全14曲構成。青春のきらめきを湛えたメロディに、25年の時間がもたらした深みと静けさが重なり、懐かしさと新しさが同時に立ち上がる特別な音盤。

横田進の代表作のひとつである2002年作『The Boy And The Tree』が、〈Lo Recordings〉より新装リマスターで再登場。自然や生命の神秘をテーマにした本作は、アンビエント/エレクトロニカ期の魅力が美しく結晶しており、透明感のあるメロディと柔らかな音のレイヤーが幻想的な世界を描き出す。本人が語っている通り、本作は屋久島の原生林を歩いた経験や、宮崎駿の映画『もののけ姫』の生態学的メッセージにインスパイアされており、柔らかなシンセの揺らぎ、アコースティックな質感、そして森の奥で響くようなパーカッションが重なり、自然の世界がそのまま音になったような神秘性を帯びている。彼のアンビエント作品の中でも特にメロディが際立ち、夢の中を歩くような浮遊感と、静かな感情の動きが同時に流れ込んでくる、永遠の名盤。
英国のインストゥルメンタル・トリオHaiku Salutと、映画音楽でも活躍するピアニストMeg Morleyが手を組み、1930年のサイレント映画『People on Sunday』のために制作した再構築スコアが12インチで登場。Flatpack Festivalでのライブ上映+生演奏をきっかけに生まれた音楽を、5年の時間をかけて丁寧にスタジオ録音として仕上げた作品。柔らかなピアノの旋律を中心に、電子音がきらめき、アコーディオンやギターなどのアコースティック要素が重なり、ネオクラシカルとエレクトロニカ、室内楽が溶け合う。サイレント映画の情景を想起させながらも、現代的な透明感と温度を併せ持つ。1曲ごとに異なる短編映画のような展開が続き、アルバム全体がひとつのシネマティックな旅として流れていく静かで美しい一枚。

日本の伝説的アーティスト、Susumu Yokotaの音楽的探求の軌跡を年代を超えて記録した、極めて個人的な作品集『Image 1983-1998』。本作は、彼の音楽キャリアにおける二つの異なる時期に制作された短い楽曲で構成されており、前半のトラックは1983年から84年にかけての、ギターやオルガンを用いたローファイなテープ実験の時代のものが収録、ポストパンクやゴーストリー・ポップの断片が垣間見える。続く後半のトラックは、これらの初期作品に触発され1997年から98年に作曲されたもので、後のアンビエントの傑作『Sakura』へと繋がる、より洗練された電子音響とメロディと抽象性が両立する作品が収録されている。音楽的自伝ともいうべき内容で、初期の脆いギターの音色と、後年の穏やかなシンセサイザーのモチーフが、アルバム全体を通して「記憶と予感」という共通のムードで結びついており、両時代が並行して存在するような不思議な感覚を覚える。彼がテクノの制作で多忙を極める中で、初期の実験への回帰と感情的なミニマリズムを追求した、音のスクラップブックあるいはデザインボードとも呼べる、アーティストの核心に迫る貴重なドキュメント。

ジョージアの新鋭 Anushka Chkheidze と、ドイツ実験音楽のベテラン Robert Lippok が共作した、思考が静かに流れ、形を変え、また沈んでいく、その内側の動きを電子音で描いた作品『Uncontrollable Thoughts』。Chkheidze の透明感あるシンセや淡いメロディの影が、感情の粒子のように浮かび上がり、Lippok のミニマルなパルスや緻密な音響処理が、構造を精密に刻む。音は決して大きく語らず、むしろ内側へ沈む方向へと導かれ、静けさの中に微かな緊張が走る独特の空気が全編を包む。アンビエントの柔らかさと、エレクトロニカの構造美が自然に溶け合い、音の粒子がゆっくりと漂いながら、聴く者の内面に静かに触れてくる。
