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〈Jahtari〉主宰者であるdisruptと、バルセロナを拠点とするアウトサイダー・トランペッターPablo Voltによるユニット、Alien Trackersのヘビー級ダブ・アルバム『Dubs from Vortex Beach』。本作は、架空のビーチを舞台にした12のダブ・トラックで構成され、レゲエ、ダブ、ダンスホールを核としつつ、リー・ペリーのスタジオ、ブラック・アークのようなソウルフルな温かさと、デジタルダンスホールの強力なインパクト、そして〈Jahtari〉特有のサイケデリックな未来派ダブが絶妙なバランスで融合されたユニークなテクスチャが魅力的。Voltのサイケデリックなトランペットが浮遊感を添え、ほっこりとしたビートと奇妙な音響が心地よく混ざり合う、異世界のビーチで聞いているような、幻想的で酩酊感のあるインストゥルメンタル・ダブ作品。
2026年リプレス!Horace Andy『Dance Hall Style』と並び、〈Wackie’s〉の最高峰と名高いWayne Jarrettの名作『Showcase Vol.1』。1982年、NYブロンクスのWackie’s Studioで録音され、プロデュースはもちろんLloyd “Bullwackie” Barnes。収録曲は「Brimstone & Fire」「Every Tongue Shall Tell」「Magic In The Air」「Bubble Up」など全6曲。すべてショーケース形式で構成され、Jarrettの軽やかで浮遊感のある声が、Bullwackieの重いベースラインと深いエコーに溶けていく。バックはThe Chosen Brothers、Jerry Harris、Clive Huntら〈Wackie’s〉周辺の名手たちで、NYのアンダーグラウンド感とジャマイカのルーツ精神が交差し、煙に包まれたようなスピリチュアルで幻想的なルーツ、ダブが展開される。Wayne Jarrettの声と〈Wackie’s〉の美学が鮮明に刻まれたショウケース名盤。


2011年以来となるSeekersinternationalとwzrdryAVの実に15年振りの再コラボ作『Orbit Flares』。『Magnetic Haze』の続編として制作された、反転、循環、ループをテーマにしたアブストラクト・ダブ電子音楽で、wzrdryAVが描く広がりのあるドローン・スケープを、Seekersinternationalが切断し、ねじ曲げ、再構築。ピッチがわずかに歪むダブ・コードが渦を巻き、低域が液体のように揺れる。遠くのサウンドシステムが霧越しに聴こえるような距離感で、リズムは一定ではなく、揺れたり崩れたり立ち上がったりしながら、音の重力が変わる瞬間が続く。ドローン、ダブ、ループという三層構造が常に動き続けることで、Seekersinternationalのコラージュ的センスと、wzrdryAVの音響的広がりが自然に結びついたユニークな作品。

Jack DeJohnette、John Medeski、Karl Berger、Lenny White、Ben Perowskyなど、ジャズ界の重鎮が多数参加。ハードコア史に名を刻むBad Brainsの共同創設者で、ベーシスト、Darryl Jeniferによる最新インストゥルメンタル作品 『The Weather Channel』。2010年のソロ作『In Search of Black Judas』以来となる、十数年ぶりのソロ名義アルバム。ジャズの即興性と、Darryl Jeniferが持つパンク、ダブの精神性を軸にした深いグルーヴと多層的な音像がアルバム全体を貫いている。Bad Brainsのエネルギーをそのまま持ち込むのではなく、スピリットを抽出し、ジャズの言語で再翻訳したようなアプローチで、空間処理の効いたダブ、鍵盤が描くサイケデリックな感覚、デジョネットらが生み出すしなやかなリズム、それらが重なり合い、ジャズ、フュージョン、ダブ、サイケ、パンクが交差する探求的なサウンド。Bad Brainsの名曲『Sacred Love』『Re-Ignition』の再構築版を含む意欲作。
フランス出身、ギリシャ在住の異端DJ、OKO DJによる、原始的なDIYテープモンタージュから現代のホームスタジオ技術まで、幅広い手法を用いて、ダウンテンポ、トリップホップ、実験シンセポップ、ダブという多様な要素が混ざり合ったアルバム『As Above, So Below』。スピリチュアルな語り、テープノイズ、フィールド録音的な要素が交錯し、夢幻的なサウンドスケープを構築。トラックには「Exolition」「La Colline au Ciel」「είμαι ή δεν είμαι(feat. onarrivenow)」など、多言語・多文化的なタイトルが並び、地理や時代、ジャンルを越えた感覚を誘う。レーベルによる紹介文では、「コミューン出身の女ゲリラたちがボウリングに行く」という奇妙な物語が語られ、幻想的で詩的なナラティブが音楽と並走しており、〈STROOM〉の共同的な美学とも共鳴して聴き手の想像力を刺激する、聴く体験そのものが拡張されるような詩的でコンセプチュアルなアルバム。

ポストハードコア・バンドthe north endのメンバーとしても知られる、東京を拠点に活動するアーティストFeLidによる、ギターの偶発性とアンビエント、ダブの音響処理を組み合わせたソロ名義2作目となるカセット作品『Magic Hour』。即興的に鳴らされるギターのフレーズが柔らかく揺れ、夕暮れの光がゆっくり変化していくような色彩感を帯びて進む。アンビエントの静けさ、ダブの空間処理、そして、細やかな編集による透明感が重なり、都市の片隅で立ち止まったときにふと立ち現れる、どこでもない世界を思わせる音像が広がる。

長年レゲエを愛し、ラジオやサウンドシステム、Dub Camp Festivalなどを通じてシーンと深く関わってきたレーベル〈Groove Exploration Records〉が、その歩みの延長線上で実現させたプロジェクト。ジャマイカのシンガー、プロデューサーLinval Thompson、Dub Shepherdsらが築いた重厚なリディムに、レーベル主宰Nesta Egorが書き下ろした歌詞を携えて完成。
プラトンの「洞窟の比喩」をモチーフとし、物質主義や消費社会に囚われた現代人の姿を重ね合わせながら、精神的な目覚めと解放を呼びかけるメッセージが込められており、タイトルの「Rebel Up」は、権力への反抗というよりも、内なる意識を目覚めさせるためのレベルとのこと。Linval Thompsonの円熟した歌声とDub Shepherdsによる深く有機的なダブワイズが結びつき、ルーツ・レゲエが本来持っていた精神性を現代へと引き継ぐ一枚。

2000年代のベストセラーとなった新型ルーツロックレゲエ『Walatta』で一躍有名になったブレンダ・レイは、ポストパンク/ニューウェーヴ時代から活躍し た人で、リヴァプールやマンチェスターを拠点に、スリッツ、ポップグループ、ニューエイジステッパーズ(A. シャーウッドと交流があった)等と同じく、レゲエ/ダブ/ファンク/ロックのクロスオーヴァーの先端音楽をやっていた。彼女にはPOP なずば抜けたセンスがあり、80 年代半ばはソロとして英Virgin 等で作品を発表。かの『Walatta』はその「後」のブレンダのソロ・キャリア集成のようなアルバムであった。
本作『ドゥヤ・ヒア・ミー!(聞いてんの!?)』は『Walatta』以前の、初期の名作選集である。
収録曲はNaafi Sandwich / Naffi Sandwich または Naffi (ナッフィー)と名乗って活動したバンド時代の音源で、当時のリリースはもっぱらD.I.Yなカセットテープと7 インチ。彼らはライブ・バンドとして結成されたわけではなく、アイデアにまかせて作品を録音制作するユニットだった。
本コンピで聴けるのはもうひとつの『Walatta』の世界で、リズムや手法にジャマイカ音楽の影響が濃厚だが、「レゲエを演奏する気はなく、 “Dub-up”したかった(= ダブのヴァージョンをやりたかった)」という彼らの音としてのレゲエ・クロスオーヴァーを演奏する。
表題曲の「D'ya Hear Me!」はリズムボックスを使って4 トラのテレコで録ったD.I.Y 魂炸裂のPOP チューン。「Naffi Take Away」、「Krazee Music」などヘヴィーでキュートなレゲエ・クロスオーヴァー、ド・ディープでダークなルーツレゲエ風インスト「Spring Thing- Hippy Dread」、『Walatta』人気曲「Starlight」の原曲(!)「Moonbeams」、ヤング・マーブル・ジャイアンツ風の 「Everyday Just Another Dream」、未発表のオリジナル長尺版などなど。最後に今回彼女が“発掘” した「D'Ya Hear Me!」のデモを収録。ポストパンク/ネオアコ・ファンにも大推薦!!

即完売だった人気盤!ジャマイカ出身のシンガーであり、ルーツ・レゲエの重要人物、〈ON-U SOUND〉でも活躍したBim Shermanが1988年に発表したダブ・アルバムで、King Tubby、Prince Jammy、Adrian Sherwood ら名匠がミックスを手がけたダブ黄金期の集大成とも言える作品『Ghetto Dub』。長らく入手困難だった名盤が〈Week‑End Records〉よりめでたくリイシュー!深く沈むベースと、空間を切り裂くようなエコー、ボーカルを排し、リズムと残響だけで世界を構築するストイックな美学は、80年代ジャマイカのスタジオの空気感がそのまま刻まれた生々しいダブ。名匠たちの手によるミックスが光り、Bim Sherman の静謐でスピリチュアルな世界観が結晶した一枚。Adrian Sherwood の関与により、ジャマイカ本流の温かさに、UKアンダーグラウンド特有の硬質さが加わっているのも印象的。Sly & Robbie、Style Scott、Bingy Bunny、Roots Radics ら、ジャマイカのレジェンドも多数参加。

即完売だった人気盤!ジャマイカ出身のシンガーであり、ルーツ・レゲエの重要人物、〈ON-U SOUND〉でも活躍したBim Shermanが1988年に発表したダブ・アルバムで、King Tubby、Prince Jammy、Adrian Sherwood ら名匠がミックスを手がけたダブ黄金期の集大成とも言える作品『Ghetto Dub』。長らく入手困難だった名盤が〈Week‑End Records〉よりめでたくリイシュー!深く沈むベースと、空間を切り裂くようなエコー、ボーカルを排し、リズムと残響だけで世界を構築するストイックな美学は、80年代ジャマイカのスタジオの空気感がそのまま刻まれた生々しいダブ。名匠たちの手によるミックスが光り、Bim Sherman の静謐でスピリチュアルな世界観が結晶した一枚。Adrian Sherwood の関与により、ジャマイカ本流の温かさに、UKアンダーグラウンド特有の硬質さが加わっているのも印象的。Sly & Robbie、Style Scott、Bingy Bunny、Roots Radics ら、ジャマイカのレジェンドも多数参加。

Wareikaのギタリストとして知られるHenrik Raabeが、〈Mule Musiq〉から届ける初のソロ・アルバム『LDS』。ジャズ、アフロ、ダブ、ニューエイジ、アンビエントが自然に溶け合う、ジャンル横断型のダウンテンポ作品で、生音の温度感と電子音の透明感が絶妙に混ざり合い、Studio Mule的な音響と質感を重視した佇まいを持っている。ギターは旋律を主張するのではなく、空気の揺れや残響をデザインする音響素材として扱われ、柔らかな陰影をアルバム全体に与えている。The Durutti Column、Dennis Bovell、Virginia Astleyらを思わせる、抒情的かつ夢幻的な淡いノスタルジーが漂いながら、ドイツ的なミニマリズムで引き締められたサウンドは、どこか旅の情景を思い起こさせる。地名を思わせるタイトルが象徴するように、曲ごとに風景が変わるシネマティックな構成も魅力的で、耳に優しく、心に深く染み込む一枚。

ダブの歴史の中でも最高のものの一つと言える、1979年リリースの、Keith Hudsonのダークで神秘的なプロダクションスタイルが光るアルバム『Nuh Skin Up Dub』が〈Week-End Records〉よりめでたくリイシュー!重いベースライン、エコーに包まれたドラム、幽玄なヴォーカルの断片が絡み合い、ヒプノティックな雰囲気を生み出している。未加工で実験的なサウンドで、『No Commitment』や『Ire Ire』といったトラックは、奇妙で不気味なエネルギーを放っており、リバーブとディレイの使い方が、広がりを持ちながらも圧迫感のある音空間を作り出している。聴けば聴くほど新しい音の層や隠れたテクスチャーが現れ、深く聴く価値がある一枚。また、本作はHudsonが長年共演してきた、数多くの有名なジャマイカン・アーティストのバックトラックを提供していたが、その功績は十分評価されているとは言えない伝説的なスタジオ・バンド、Soul Syndicateの重要性を初めて強調した作品でもある。

emerことMarija RasaとシンガーUgnė Umaによる、夢の中で出会ったような感覚から始まったと語られる、眠りと記憶のあいだに漂うようなコラボアルバム『you and me』。emerが紡ぐのは、柔らかい残響と淡いシンセが揺れる白昼夢的ダブ・アンビエンス。ビートは控えめで、音の輪郭は曖昧。時間が少しだけ伸びるよう。そこに重なるのが、Ugnė Umaのスモーキーな歌声。囁くような発声が多く、耳元でそっと語りかけられているような近さが印象的。言葉の隙間に感情が滲み、曲に温度と人間味を与えている。サウンドはアンビエント、フォーク、エレクトロニックの境界線を自然に行き来しながら、歌ものアンビエントと呼びたくなる独自のバランスを保っており、魔術的リアリズムのような世界観で、現実と夢の境界がゆっくり溶けていくような感覚が続く。全12曲、どれも短い物語のようにまとまっていて、日常の中にある小さな魔法を音で掬い取ったような一枚。
メロディカ奏者としてRockersサウンドを確立したAugustus Pabloと、ダブの魔術師King Tubbyが残した名演をまとめたコンピレーション『Augustus Pablo At King Tubby’s』。Bunny Leeが制作した秘蔵トラックを中心に、King Tubby’s Studioで録音された音源を収録。パブロのメロディカは、単なる旋律ではなく歌う楽器のように感情を帯びて響く。柔らかく影のある音色が、Tubbyの精密なダブ処理と重なり、深い余韻を生む。リズム隊はBunny Lee流のシンプルで強靭なルーツ・グルーヴ。余白の多い演奏だからこそ、Tubbyのフェーダー操作や残響のコントロールが際立ち、音が消えたり戻ったりする瞬間の緊張感が心地よい。メロディカの柔らかな響きと、Tubbyの静かな強度を持つダブ処理が絶妙に溶け合った一枚。
Bunny Leeプロデュース、Aggrovators演奏、そしてKing Tubbyミックスという70年代中期ジャマイカ・ダブの黄金ラインが揃ったクラシック『King Tubby Meets The Aggrovators At Dub Station』。Tommy McCookのサックスをフィーチャーした、ホーンが主役のダブとして知られており、サックスは、旋律というより空気の流れのように響く。Tubbyの丁寧なダブ処理によって霧のような残響が立ち上がる。Aggrovatorsの演奏は装飾を排したストイックなルーツ・グルーヴで、その余白をTubbyがフェーダー操作と残響のコントロールで巧みに加工。ダブの魔術が、各トラックで際立つ。派手なエフェクトよりも、じわじわと空間が揺らぐような処理が中心で、深夜のスタジオで鳴っているような静かな緊張感が漂う。黄金の時代だけに許された完璧で幽玄なダブ。
UKダブの重鎮TNT RootsとWinston DreadによるEarthquake Studioが1993年に残したレア盤『Dub Harder Than Steel』。オリジナルは小ロットの自主制作で、長年、高額で取引されてきた伝説的UKダブがついに本格リイシュー。音の核となるのは、極太の低域。地面を揺らすほど深く沈むベースと、乾いたキックが前へ突き進むストイックなリズムは、90年代UKサウンドシステムの現場感をそのまま伝えてくる。音数が少ないのに一音一音が異様に重く、精神性の強いダブとして響く。荒々しいエフェクトは、その粗さも含めて、UKダブが進化していく過程の生々しさが刻まれているかのよう。重量級UKダブの金字塔。
80年代、A‑Class Studioに残されながらサウンドシステム関係者のみに共有されていたDub Organiserの秘蔵ダブプレートをまとめて公式化した発掘盤『Original & Vintage Dubs From The A‑Class Studio』。A‑Class Studioらしい 乾いたドラムと深く沈むベース。80年代ジャマイカの空気をそのまま封じ込めたようなストイックな質感で、余計な装飾を排した現場のダブが生々しく響く。エフェクトは過剰ではなく、むしろ手触りの粗さが残っていて、80年代の現場感をそのまま伝えるタイプのダブで、サウンドシステムで鳴らしたときの物理的な圧を想像させる仕上がりには、Dub Organiserの職人的なミックスが光る。
UKダブの重鎮TNT Rootsが〈Earthquake Studio〉に残していた未発表ダブプレート音源が公式12"化。A面「Time And Space」は、TNT Rootsらしい地を揺らすほどの低域が圧倒的。太く沈むベース、乾いたキック、ざらついたエコーとディレイが空間を切り裂き、デジタル的な硬さとアナログ的な揺らぎが交差。一方B面「Righteous Vibration」は、より霊性を帯びたムードが強く、反復するベースラインが儀式的な高揚を生む。荒々しいエフェクト処理が逆に祈りの強度を際立たせるタイプのダブで、TNT Rootsの精神性がより直接的に響く

ヴォーカルのI Fi、プロダクションミックスのDub Shepherds、リディムを手がけるPinnacle Soundというレーベルの中心アーティストが総出で仕上げた、フランスの〈BAT Records〉が抱える人気ダブプレート『Bush Tea』が、ついに限定7インチとして正式リリース。A面「Bush Tea」は、太いベースがどっしり沈み、乾いたドラムがタイトに刻む王道ルーツ。I Fi のスモーキーな歌声が、70年代の温度をしっかり保ちながら現代的な質感で響く。B面「Bush Tea Riddim」は、ヴォーカルを外し、リディムの強度を前面に押し出したダブ・ヴァージョン。ベースの重心がさらに低く、サウンドシステムで鳴らすことを前提にした設計が明確。アナログの手触りが強く、レーベルらしい現場直結のルーツ&ダブがそのまま刻まれた一枚。

フランスのルーツ・ロックレゲエ・コレクティブPinnacle Soundによる、複数のスタジオを横断しながら録音され、Dub ShepherdsのミックスとThe Curveのマスタリングによって仕上げられた、70年代ルーツの煙たい質感を現代的に再構築したリバイバル・ルーツの重要作『Still Dread』。多国籍シンガーを迎えた構成で、Payoh Soulrebelのスモーキーな歌声、Jr. Thomasのソウルフルな表現、Les Steadiesの柔らかいハーモニーなど、曲ごとにヴォーカルのキャラクターが変わることで豊かな色彩が生まれている。70年代ジャマイカのスタジオ録音を思わせる土臭いルーツ感と、空間の奥行きが際立ち、ホーンやギターの残響がゆっくり広がる現代的なクリアに、フランス産ルーツならではの乾いた質感が心地よいコントラストを生む。4色スリーヴ仕様も含め、音だけでなく空気感や匂いまで再現する、70年代ルーツの精神を尊重しながら、その明日を創造するリバイバル・ルーツ作品。

ルーツ・レゲエのレジェンドMax Romeoが、2023年の最後のヨーロッパツアー中に録音した新作12インチ『The Time Is Now』。A面「The Time Is Now (Extended Mix)」は、成熟したMax Romeoの声がしっかりと前に出ていて、70年代の名作を思わせる土臭いルーツ感と、現代的な録音のクリアさが自然に共存する。Extended Mixならではの長尺構成で、リディムの揺れがゆっくりと広がり、声の力とリズムの深さが同じ温度で響く。B面「The Ark’s Legacy」はより精神性の深い構成。落ち着いたルーツ・ナンバーで、テーマ性のあるメロディが静かに漂う。続く「Horns in Dub」では、ホーンの残響が空間にゆっくり広がり、深く沈むベースとともにクラシックなジャマイカン・ダブを現代的に再構築した音像が際立つ。フランス録音ならではの乾いた質感が、Max Romeoの声と対照的に心地よいコントラストを生んでいる。2020年代における、現在進行形のルーツを刻んだ重要作。

イタリアのプロデューサーCrazy Hertzと、UKダブのレジェンドAlpha & Omegaが手を組んだ7インチ『Philosofy』。A面「Philosofy Part 1 (Melodica Cut)」は、Alpha & Omegaらしいメロディカが朗々と響き、深く沈むアナログベースがその背後でゆっくりと揺れる。メロディカの旋律はどこか祈りのようで、クラシックUKダブの精神性がそのまま刻まれたようなトーン。B面「Philosofy Part 2 (Dub)」は、メロディの輪郭が溶け、エコーとディレイがゆっくり波打つ深度の高いダブ・ヴァージョン。Alpha & Omegaのスピリチュアルな響きと、Crazy Hertzの現代的な空間処理が自然に重なり、夜の空気に溶けるような沈み込みの深さが際立つ。
UKダブの新世代を牽引するAshanti Selahと、サウンドシステム仕様のリディムを得意とするHark による共作『Dub & Fire』。前作『Smoke & Fire』をベースに、その楽曲群をよりタイトで現場向けのダブへ再構築したアルバムで、UKダブの硬質さとルーツの温度が同時に立ち上がる。低域は深く沈み、ベースラインがしっかりと身体を支え、乾いたパーカッションがリズムの輪郭をくっきり描く。Ashanti Selahのダブ処理は、音を大胆に削ぎ落としながら、エコーと残響で立体的な空間をつくり上げるスタイル。水面の揺らぎのような残響が漂い、静かなスピリチュアル性がにじむ。一方、Harkのトラックは現場感が強く、太いリズムの芯が前へ押し出すように響き、サウンドシステムで鳴らしたときの物理的な圧を想像させる。反復の中で少しずつ変化するフレーズが心地よく、AriwaやJah Tubbysの流れを継ぎながら、2026年のダブ・サウンドとしての新鮮さ備えたコンテンポラリーUKダブの重要作。
