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マーク・オランデル率いるベルギーのチェンバー・ロック・バンド、アクサク・マブールの1977年発表のデビュー作。エリック・サティやZNR等に通じる、アコースティック楽器とエレクトロニクスが不思議に融合する摩訶不思議な空間。今、チェンバー界の古典として歴史に残る名盤。
直販限定クリア・ヴァイナル仕様。1987年10月、批評家から絶賛を浴びたLP『Sister』の発売から4か月後、シカゴの〈Cabaret Metro〉でその最新作を熱烈なライブで披露したSonic Youth。このコンサートの様子を収めた音源は、Big BlackのSteve Albini(当時は会場から出入り禁止だったとの事)によって友人の音楽ライターByron Coleyへ紹介された事で彼のレーベルである〈Goofin'〉から半公式の海賊盤として発表される事に。未だに熱烈な支持を受ける傑作ライブ・アルバム『Hold That Tiger』が、〈Superior Viaduct〉より待望のアナログ・リイシュー!Sonic Youthの最初の数枚のリリースにとって、ラモーンズの最初の3枚のLPにとっての『It's Alive』に匹敵する存在であると言っても過言ではない名作。開花しつつあった、バンドの絶頂期を捉えた、野性的かつ解放的であり、ワイルドでカタルシスに満ちた、熱狂的なスナップショットといえる一枚です。

ハードコア・パンクというジャンルにおいて初のアフリカ系アメリカ人バンドとして知られ、音楽的にも文化的にも非常に重要な存在でもある、ワシントンD.C.の伝説的ハードコア・バンドBad Brainsの代表作で、ハードコア・パンクにレゲエやメタル、ファンクを融合させた革新的な1986年作『I Against I』。特筆すべきは、真の意味でジャンルを横断する多様性で、ギターはメタル的なリフとファンクのカッティングを行き来し、ベースラインは跳ねるようなファンクの要素を持ちつつ、ドラムはジャズ的なフィルやレゲエの裏打ちを織り交ぜる。ヴォーカルのH.R.は、怒りとスピリチュアリティを同時に表現するような独特のスタイルで、シャウト、メロディ、語りを自在に使い分けている。アルバム全体を通して、ジャンルの境界を越える実験精神が貫かれており、音楽的価値だけではなく「パンクとは何か」「黒人アーティストがロックをどう再定義するか」といった文化的問いにも応える、思想性の面でも後世に大きな影響を与える重要作。

4月中旬再入荷。オリジナルは1983年に発表の、Bad Brainsによるセカンド・アルバム『Rock for Light』。「Sailin’ On」「Banned in D.C.」といったデビュー作の代表曲を再録したものから、新曲の「Coptic Times」「At the Movies」などまで幅広く収録されているが、やはり目玉は猛烈なスピードのハードコア曲と、深いグルーヴを持つルーツ・レゲエ曲がシームレスに共存している点。テンポ感の極端なコントラストがバンドの個性をさらに際立たせている。プロデュースを手がけたRic Ocasek(The Cars)の手腕もあって、前作より音の輪郭がはっきりしていて、ラフで爆発的だったデビュー盤に比べると少し整理された印象がある。前作以上に、演奏力の高さと切れ味が際立っていて、Dr. Knowのギターはより鋭く、リズム隊はさらにタイトに進化。HRのヴォーカルもシャウトとメロディを自在に行き来しながら、バンドのエネルギーを前面に押し出している。1stの衝動を受け止めつつ、より洗練された形で提示したBad Brainsのもう一つの代表作。

ロンドンとマンチェスターを拠点に活動するスポークンワード・アーティストにして詩人、哲学者、サックス奏者Alabaster DePlumeによる最新アルバム『A Blade Because A Blade Is Whole』がシカゴ拠点の現代ジャズ大名門レーベル〈International Anthem〉から登場!デプルームのこれまでの作品は、集団セッション、即興、編集から生み出されたものだったが、本作は、デプルーム自身が作曲、編曲、プロデュースを手がけてお理、そこから、マシー・スチュワート(ストリングス)、ドナ・トンプソン(バッキング・ヴォーカル)、モモコ・ギル(ストリングス&バッキング・ヴォーカル)ら奏者や共同編曲者に楽曲を提供し、彼が長年関わってきた集団芸術スペース、トータル・リフレッシュメント・センターでセッションを行った。人々は癒しを必要としている。しかし、なぜ、そして癒しとはどういうことなのだろうか?という問いかけを通じて生まれた『自分の価値を探して:刃のプロローグ』という70ページに及ぶ詩が歌詞の半分以上を占める本作は思索的で瞑想的で、全体が自分の感情と向き合うような重苦しい吐息のようであるが、同時に長い間水中に潜っていた後、水面にたどり着いたときのような感覚を覚える。なんとも深みのある作品。
ロバート・ワイアットのキャリアの中でも異彩を放つ一作『Radio Experiment Rome』が〈RAI TRADE〉よりヴァイナル・リイシュー!本作は、1981年2月、ソフト・マシーンの元ドラマーとして知られるワイアットが、ラジオ放送用に招かれ録音したセッションが収められており、商業的な完成度やアルバムとしての形にはこだわらず、自由で実験的なアプローチが全編にわたって展開されている。ピアノ、ボーカル、ハイハット、ジャウ・ハープなどが用いられており、このアルバムには、ジャズ的なサウンドスケープを展開する「Heathens Have No Souls」、美しいピアノメロディが印象的な「L'Albero Degli Zoccoli」、ボードヴィル風の実験的なヴォーカル調整を施した「Billie's Bounce」、ネルソン・マンデラの投獄を題材にした政治的なラント詩「Born Again Cretin」など、ジャンルを超えた実験的な要素が満載で、ワイアットの音楽的探求心が色濃く反映された作品となっている。
Dean BluntやVegynとのコラボ作品『Lucre』にも参加した、デンマークのバンドIceageのフロントマンElias Rønnenfeltによるソロ・アルバム『Speak Daggers』。ベッドルームで制作された親密な質感と、退廃的で詩的なムードが全編を貫き、ノイズや歪んだチャイム、フルートのきらめきなどが重層的に重なり、霧のような音響を形成。Lou Reedを想起させる退廃的な雰囲気と、繊細な美的感覚、愛、正義、世代の葛藤など、現代的で重層的なテーマが重なる現行のコペンハーゲンのシーンを象徴する先鋭的な作品。The Congos、I Jahbar、Erika de Casier、Fine など多彩なゲストが参加。
未体験の方はこの機会にぜひ!シーンの枠組みを越えて多大なリスペクトを浴びる、我らが音の錬金術師、ジム・オルークが2001年に〈Drag City〉から発表したアルバム『Insignificance』が2025年リプレス。Jeff Tweedyに、Darin Gray、Ken Vandermark、Rob Mazurek、Tim Barnesら豪華面々を引き連れて作り上げたチェンバー/アート・ロックの名作!

Bitchin Bajasによる、2022年の『Bajascillators』に続く新作『Inland See』。流動的で瞑想的なサウンドスケープを描き出した本作は、ツアー中に書かれ、シカゴのElectrical Audioでライヴ録音されており、リバーブなどの後処理を一切加えず、部屋そのものの空間感を生々しく封じ込めている。リアルタイムで呼吸を合わせるトリオの一体感がじかに伝わってくるような収録された全4曲は、それぞれ独立した表情を持ちながらも、ゆるやかに繋がり合い、ひとつの大きな流れを形づくる。透明度の高い音の層が浮遊し、ミニマルな繰り返しに穏やかな推進力が宿る様子は、まるで海に身を浮かべる感覚や、風船がゆっくり上昇していく感覚にも近い。アンビエントやミニマル・ミュージックの要素を取り入れつつも、演奏の身体性が強く残った有機的で生きた響きになっており、シンプルでありながら精緻、緊張感と安らぎを同時に孕み、どこか新しい扉がひそやかに開いていくような瞬間に出会える一枚。
カリフォルニア・サンホセ出身のスロウコア/インディ・ロック・バンド、Eiafuawnが2006年にリリースした唯一のアルバム『Birds In The Ground』が〈Numero Group〉からアナログ・リイシュー。数年にわたり自宅で一人で録音された作品であり、30代、9.11以降の倦怠感を表現したアルバム。豪華チップオンスリーヴ仕様。
(数量限定/日本語帯付/解説書付)リマスター180g重量盤。1991年の2ndアルバム『loveless』は、まず音楽的に、当時発表されたどの作品よりも先進的で予想を超えるものだった。ケヴィン・シールズとバンドは、純粋な感覚に基づくサウンドを徹底的に追い求め、聴く者の五感を圧倒する作品を完成させた。1990年を代表する本作は、スタジオ録音の可能性を極限まで追求した完全無欠の傑作として評価され、ザ・ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』やマイルス・デイヴィスの『In A Silent Way』、スティーヴィー・ワンダーの『Innervisions』とも肩を並べる金字塔として賞賛されている。
・日本語帯付盤デラックス・エディションLP
(高品質チップオン・ジャケット式ゲートフォールド・スリーヴ仕様/解説書付/
1/2インチ・アナログ・テープからマスタリングされた音源を収録/180g重量盤)

〈On-U Sound〉を率いるUKダブの総帥エイドリアン・シャーウッドが、13年ぶりとなるソロアルバム『The Collapse Of Everything』をリリース!繊細かつ重層的なサウンドデザインと、ダブを基盤にジャンルの境界を越えて展開される冒険的な音響世界。マーク・スチュワートやキース・ルブランへの追悼の意も込められた本作は、シャーウッドの音楽人生と感情が凝縮された意欲作。ダグ・ウィンビッシュを中心に卓越したミュージシャン陣が集結。キース・ルブランの演奏やブライアン・イーノによる作曲を織り交ぜ、挑戦的かつドープなサウンドスケープを描き出す。
UKダブ界の名プロデューサー/ミキサーとして知られるエイドリアンだが、今回はミキシング・デスクの背後から前に出て、自身の冒険心に満ちたサウンドをこれまで以上に新たな領域へと押し広げている。そして、他アーティストのプロデュースと自身の作品との違いについて、次のように語っている。
「今まで何百枚も他人の作品を作ってきて、どれも誇りに思っている。でもソロ作品では、自分がすべての判断を下せるし、他の誰かを満足させる必要がない。今回のアルバムをライブでどう表現していくかも楽しみだし、多くの人が気に入ってくれると嬉しい。これは本当に良い作品だと思うんだ。」と。
日本のインディ・ミュージックの中でも最高峰の予感!ダブやネオ・サイケデリア、都会的コンテンポラリーR&B等の多彩な要素を巧みにブレンドした東京拠点のインディ・ロック・バンド、TAMTAMによる、アンビエント・ダブにほのかなサイケデリックの香りが漂う幻想的なシングル『花を一輪 - Hana Wo Ichirin』。柔らかなヴォーカルと浮遊感のあるシンセ、空間的なミックスが印象的。〈PPU〉からリリースのTAMTAMの国際的な展開を象徴する一枚。静けさと揺らぎの中にある美しさ。耳に残る余白と、心に染み入る音の粒子が、聴く者を静かな深淵へと誘う。

90年代ポストロックの代名詞としてシカゴから世界を震撼させた世界最高峰のインストゥルメンタル・バンド、Tortoise。『Millions Now Living Will Never Die』や『TNT』といった歴史的名盤で築いた唯一無二の音響建築は、今も多くのジャンルを越えて影響を与え続けています。そんな彼らが9年ぶりに放つ最新作『Touch』は、地理的に散らばったメンバーがロサンゼルスやポートランド、シカゴを行き来しながら制作したアルバム。プロセスは変化しつつも、その音楽はむしろ過去以上に有機的で、深く結びついていると感じられます。緻密に重ねられたリズムとマレットの揺らぎ、ギターとシンセの多層的な響きが織りなすのは、都市の夜景や見えない物語を想起させるシネマティックな音像。混迷の時代にあっても「人は適応する」と語る彼らの姿勢が、そのまま音に刻まれたような傑作です。MUST!!!!

90年代ポストロックの代名詞としてシカゴから世界を震撼させた世界最高峰のインストゥルメンタル・バンド、Tortoise。『Millions Now Living Will Never Die』や『TNT』といった歴史的名盤で築いた唯一無二の音響建築は、今も多くのジャンルを越えて影響を与え続けています。そんな彼らが9年ぶりに放つ最新作『Touch』は、地理的に散らばったメンバーがロサンゼルスやポートランド、シカゴを行き来しながら制作したアルバム。プロセスは変化しつつも、その音楽はむしろ過去以上に有機的で、深く結びついていると感じられます。緻密に重ねられたリズムとマレットの揺らぎ、ギターとシンセの多層的な響きが織りなすのは、都市の夜景や見えない物語を想起させるシネマティックな音像。混迷の時代にあっても「人は適応する」と語る彼らの姿勢が、そのまま音に刻まれたような傑作です。MUST!!!!

ロンドンとマンチェスターを拠点に活動するスポークンワード・アーティストにして詩人、哲学者、サックス奏者Alabaster DePlumeによる最新アルバム『A Blade Because A Blade Is Whole』がシカゴ拠点の現代ジャズ大名門レーベル〈International Anthem〉から登場!デプルームのこれまでの作品は、集団セッション、即興、編集から生み出されたものだったが、本作は、デプルーム自身が作曲、編曲、プロデュースを手がけてお理、そこから、マシー・スチュワート(ストリングス)、ドナ・トンプソン(バッキング・ヴォーカル)、モモコ・ギル(ストリングス&バッキング・ヴォーカル)ら奏者や共同編曲者に楽曲を提供し、彼が長年関わってきた集団芸術スペース、トータル・リフレッシュメント・センターでセッションを行った。人々は癒しを必要としている。しかし、なぜ、そして癒しとはどういうことなのだろうか?という問いかけを通じて生まれた『自分の価値を探して:刃のプロローグ』という70ページに及ぶ詩が歌詞の半分以上を占める本作は思索的で瞑想的で、全体が自分の感情と向き合うような重苦しい吐息のようであるが、同時に長い間水中に潜っていた後、水面にたどり着いたときのような感覚を覚える。なんとも深みのある作品。

(数量限定/ネオングリーン・マーブル・ヴァイナル/Indie Exclusive)社会に対する不満や怒りを、DIYなパンク・サウンドとメッセージ性の強い歌詞と共に表現するスリーフォード・モッズが、アルバム『The Demise of Planet X』を〈Rough Trade Records〉よりリリース。
アンドリュー・フェーンとジェイソン・ウィリアムソンによるこれまでで最もスケールが大きく野心的な作品である本作には、俳優グウェンドリン・クリスティー(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』『ゲーム・オブ・スローンズ』)が初となる音楽作品への参加及び出演を果たし、さらにはライフ・ウィズアウト・ビルディングスの元フロント・ウーマン、スー・トンプキンスという稀少なゲスト参加に加え、〈4AD〉に所属するオルダス・ハーディング、ソウル・シンガーのリアム・ベイリー、そしてグライムMCのスノーウィーとのコラボレーションを収録。後者2人はどちらもバンドの地元ノッティンガム出身である。
「The Good Life」は、社会的な崩壊と個人的な崩壊が入り混じった感覚を描いている。アンドリュー・フェーンよる切迫感のあるビートと魅惑的なメロディに乗せて、ウィリアムソンがマシンガンのような語り口で、音楽シーンに波紋を呼んだ自身の発言の影響を描き出している。ビッグ・スペシャルとグウェンドリン・クリスティーは、その発言によって生まれた混乱の中で揺れる、彼の内なる葛藤と苦悩の声を代弁している。「“The Good Life”は、他のバンドをけなすこと、そしてそれが自分にもたらす喜びと苦しみについて歌っている。自分自身に問いかけているんだ−−なぜ自分はバンドをけなすのか?なぜそんなことをずっと続けているのか?グウェンドリンとビッグ・スペシャルは、俺の心の声を具現化してくれていて、“良い人生(=Good Life)”を楽しむべきなのか、それとも混沌に身を委ねるのかという、内なる葛藤をめぐって議論しているんだ」とウィリアムソンは語る。
『The Demise of Planet X』は、未来を予測することが非常に困難な状態の中で生きる人生、そして集団的トラウマによって形づくられた人生を表している。前作を書いたときは、停滞−−まるで死体のように息をしていない国−−についての作品だった。あれから3年、その死体は戦争とジェノサイド、そしてコロナ禍の長引く心理的影響によって切り裂かれ、SNSはグロテスクで歪んだデジタル操作の場へと変貌した。まるで廃墟の中で生きているような感覚。それは俺たちの集団的な精神に刻み込まれた、多層的でおぞましい異形のようなものだ。世界がクソみたいな状況に落ちていく中で自分を褒めるのもどうかと思うけど、『The Demise of Planet X』には本当に満足している。ただ突きつけるだけの作品じゃなくて、ちゃんとメガネをかけて中身を覗き込むように、じっくり味わう必要があるんだ。
- ジェイソン・ウィリアムソン(Sleaford Mods)

ロンドンを拠点に活動するアーティスト、Alpha Maidによる、粒子物理学への関心と社会への苛立ちを背景として、エレクトロニック、ポストパンク、グライム、インディーロックなど多様なジャンルが交錯するオルタナティヴなサウンドが印象的なデビュー・アルバム『Is This a Queue』が〈AD93〉より登場。一見するとキャッチーなメロディラインを持ちながらも、グリッチやノイズ、非線形な音響処理が散りばめられており、予測不可能な展開を見せる。サウンドの構築においては、ドラマーのValentina Magalettiや、ロンドンのシーンで活躍するCoby Sey、Ben Vinceといった豪華なゲストが参加。彼らとのコラボレーションにより、豊かで複雑なテクスチャーが加わっている。DIY精神に満ちたAlpha Maidの感情的なボーカルと、洗練されたプロダクションが融合した、現代のロンドン・アンダーグラウンド・シーンを象徴する意欲作。
2024年3月に公開されたマヒトゥ・ザ・ピーポーの初監督作品『i ai』は、赤い色彩に彩られた異形の青春映画であった。
舞台は兵庫の明石と神戸。主人公となる新米バンドマンのコウ(富田健太郎)と、コウが憧れるヒー兄(森山未來)を中心に、生を死をめぐるストーリー
が展開される。それはマヒトの実体験を土台にしたものでもあり、現実とフィクションが二重写しになりながら、やがてその境界線はじわりじわりと融解し
ていく。共演はさとうほなみ、堀家一希、吹越満、永山瑛太、小泉今日子、K-BOMB、大宮イチなど個性的な面々。写真家の佐内正史による透明感あふれる
映像がこの作品に特別な情感を与えていたことも特筆すべきだろう。
映画のセオリーに囚われることのないその作品には、「壊れゆく社会のなかで他者と関わりながらどのように生きていくことができるのか」という、近年
のGEZANの作品やマヒトの文筆活動にも共通するテーマが投げかけられていた。私たちは決してひとりで生きていくことはできない。だが、他者と生きるこ
ともまた決して楽なことではない。世界の分断が極限まで進んだこの時代を私たちはどのように乗り越えることができるのだろうか?
監督のみならず、脚本や劇中音楽までマヒトが手がけたこの作品のなかで極めて強い印象を残していたのが、「i ai」と題されたメインテーマ曲だった。
GEZANの新曲でもあるこの曲は、ここ数年のGEZANの取り組みの延長上にあるもの。この12インチシングルはその「i ai」を収録しており、初のアナログ
リリースとなる。
柔らかなギターのアルペジオに導かれ、少しずつ熱を帯びていくその楽曲には、静けさと激しさを内包した映画のムードが凝縮されている。言葉にならな
い複数の声を束ねた合唱は、社会からこぼれ落ちた嘆きのようにも、歓喜の叫びのようにも聞こえる。GEZANは総勢15名のコーラス隊Milion Wish
Colectiveとの活動も展開してきたが、ここにはその活動で培われた感覚が活かされている。
また、この曲は9分8秒にわたるゆったりとしたダンストラックと捉えることもできるだろう。南米など各地で生み出されているオーガニックなダンスト
ラックと共通するものがあり、世界各地のグローカルミュージックを扱ってきたGLOCAL RECORDSから、それも12インチシングルというDJフレンドリー
な形でリリースされることにも意義がある。
B面にはGEZANとの縁も深いCOMPUMAによるリミックスを収録。アフリカ的なパーカッションで始まり、途中では親指ピアノなどを挟みつつ、ふたた
び印象的なあの合唱へと戻る。めまぐるしく起承転結が入れ替わる、18分18秒のショート・ムーヴィー。そんなドラマチックなリミックスである。
カッティング&マスタリングを手がけたのはDJとしても活動するTOREI。アートワークを手がけたのは東京在住のヴィジュアルアーティスト/グラフィッ
ク・デザイナー、jvnpey。彼らの愛情あふれる仕事ぶりもこの12インチを特別なものにしている。
「分断」という言葉の対義語をAIに問うてみると、「統合」「連結」「統一」「団結」「融和」という言葉が次々に表示された。どの言葉もどこか白々しく、
こそばゆいが、「i ai」という楽曲に鳴り響く蜃気楼のような合唱は、「分断」の対義語となる新しい言葉を探り当てようとしているようにも思える。映画
『i ai』では「エンドロールが終わった後も共に生きよう」というメッセージが投げかけられていたが、この12インチからは「音が止まったあとも共に生き
よう」というメッセージが浮かび上がってくるのである。
文・大石始(文筆家)

Death Gripsの創設メンバーとして知られ、その高速ドラミングで唯一無二のサウンドを構築する鬼才、Zach Hillがオーストラリアのノイズ/エクスペリメンタル・シーンで異彩を放つLucas Abelaによるコラボレーション・プロジェクトが〈Warp〉よりアルバムをリリース!
作品に収録された音源は、楽曲というよりも、広大でテクスチャーに満ちた音響フィールドである。ノイズは研ぎ澄まされたエネルギーに満ちた音の空間を生み出し、その激しさにもかかわらず、不思議な静謐さを宿している。HillのリズムはAbelaの持続的で断片化した倍音に屈折し、聴く者を絡め取る迷宮のような構築物を形づくっている。
限定100部カラーヴァイナル仕様。実験的ラテン音楽プロジェクトで、伝統音楽を前衛的に再構築するスタイルで知られる Meridian Brothers の、2009〜2012年に地元レーベル〈La Distritofónica〉からCDのみでリリースされていた初期作品が初のヴァイナル・リイシュー!エブリス・アルバレスが電子処理や変則的リズムを駆使し、独自の音響世界を構築。ボゴタのアンダーグラウンド・シーンで生まれた奇妙でユーモラスなクンビア解釈は、アンダーグラウンド特有の熱気に満ちている。『VII』は社会風刺を強く打ち出しており、エクスペリメンタル・クンビアのユーモラスかつ鋭利な側面を捉えた重要作。
限定100部カラーヴァイナル仕様。実験的ラテン音楽プロジェクトで、伝統音楽を前衛的に再構築するスタイルで知られる Meridian Brothers の、2009〜2012年に地元レーベル〈La Distritofónica〉からCDのみでリリースされていた初期作品が初のヴァイナル・リイシュー!エブリス・アルバレスが電子処理や変則的リズムを駆使し、独自の音響世界を構築。ボゴタのアンダーグラウンド・シーンで生まれた、奇妙でユーモラスなクンビア解釈はアンダーグラウンド特有の熱気に満ちており、これまで流通が限られていた音源が、広くアナログ盤で聴けるようになった重要な再発。
