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BonoboやBat For Lashes、Mica Leviを始め、数々のビッグネームと共演している英国のチェリストであり作曲家、Lucy Railtonによるソロ・チェロ作品として初のリリースとなる40分の作品『Blue Veil』がStephen O'Malley主宰の〈Ideologic Organ〉よりリリース!!パリのサン・テスプリ教会で録音された本作は、8つの楽章からなり、レイルトンが長年関心を寄せてきた微分音と和声の知覚を探求している。レイルトンが遊び心たっぷりに「シング・アロング・ミュージック」と呼ぶ、「一緒に聴く」という能動的なリスニング・モードで、チェロの中で持続し、最後にはレイルトンの一瞬の存在に溶け込んでいくような、心と音との即時的な出会いのための空間を開くような内容。キャサリン・ラムやエレン・アークブロの音楽、マリアンヌ・アマッハーやモートン・フェルドマンなどの作品の解釈の実践に影響を受けながら生まれた作品。プロデュースにKali Malone & Stephen O’Malleyという布陣も最強です。

〈Shelter Press〉を主宰する、フランスの現行地下シーン最大のアイコンと言っても過言ではない重要人物にして、昨年の〈Portraits GRM〉からのRichard ChartierとのスプリットLPも秀逸だった鬼才Félicia Atkinsonによる24年度最新アルバム『Space As An Instrument(楽器としての宇宙)』。自身の囁き声を交えた、哀愁と追憶のモダン・クラシカル秀逸作品!ピアノを主軸に置いた本作では、抑制された反復的な旋律を通じて語られる直線的な物語が、音楽の端々にある電子音や、発音される子音のかすかな響きと絡み合い、孤高の響きを生んでいます。
オーストラリアが世界に誇るシネマティック・ソウル・グループ、Surprise Chefのニューアルバム『Superb』が前作に引き続き、El Michels Affair、Brainstory、Holy Hive、Bobby Orozaなど、現行ビンテージソウル最重要レーベルであることが明らかな<Bic Crown>よりリリース!!このアルバムでは、ハイレベルな音楽性は相変わらず前面に出ているものの、綿密なライティングとレコーディング・テクニックというよりは、よりルーズで自然発生的なアプローチで制作に取り組んでおり、よりエネルギッシュで楽しいサウンドが聞かれる。甘いソウル・トラックのように始まったかと思うと、一転してダークで呪術的なサウンドになり、そのうちには美しく幽玄なトラックによるバラードに浸らせられる。アンダーグラウンドで最も愛されているバンドから有名なバンドへと変貌を遂げる瞬間を目にするかのような一枚!

エチオピアの伝説的な作曲家エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゲブルの作品を、初めてピアノと弦楽アンサンブルで演奏した『Emahoy Tsege Mariam Gebru
played by Maya Dunietz & String Ensemble, Live in Paris』が〈LATENCY〉より登場!本作は、彼女の「ピアノだけでなく、もっと広い解釈で自分の音楽が演奏されてほしい」という願いを叶えるかたちで実現したもので、企画を主導したのは、エマホイと親交のあったイスラエルの音楽家マヤ・ドゥニエッツ。2005年にロンドンのレコード店で『Éthiopiques』シリーズの一枚を偶然手に取り、興味を持ったことがきっかけで、彼女と指揮者イラン・ヴォルコフはエマホイを探し出し、エルサレムの修道院で対面。その後エマホイ本人から、何百もの楽譜を託され、世界に広めてほしいと頼まれるようになる。このプロジェクトは、楽譜集の出版(2013年)や国際的な演奏活動として広がり、エマホイが生前に語った「自分の曲をオーケストラで聴いてみたい」という夢も受け継がれる。今回のアルバムはその夢の延長線上にあり、2024年4月、パリのブルス・ド・コメルスで行われた2公演の追悼コンサートで録音された。元々エマホイの音楽は、静かでミニマル、それでいて感情の深みを湛えた独特の響きを持っているが、今回のアレンジではより広がりのある音の空間として再構築されている。あくまでエマホイの音楽の核心──孤独、信仰、そして遠い記憶のような郷愁──を崩さないように細心の注意が払われており、沈黙や余白を大切にした祈りや瞑想に似た時間感覚をそのままに保った静かな再解釈。彼女の音楽に新たな光を当てながらも、決して眩しすぎず、ただそこにそっと在るような響きが素晴らしい。
シカゴの作曲家・即興演奏家・民俗音楽家ベン・ラマー・ゲイの最新アルバム『Yowzers』が〈 INTERNATIONAL ANTHEM〉より登場!本作では彼のキャリアで築かれた音楽的語彙と共演者たちとの信頼関係がアルバム全体を通して強く感じられ、民話が語られているのを聞くかのような、リズムとメロディの物語性に満ちた意欲作。本作の中心は彼のカルテット(トンマーゾ・モレッティ、マシュー・デイヴィス、ウィル・ファーバー)で、長年にわたる共演を経て築かれた即興的かつ緻密な音楽言語が展開される。民俗的なメロディや物語を核に、ジャズ、ゴスペル、エレクトロニカ、フォークなどを自在に横断、楽曲の多くはシカゴでライブ録音され、その場の空気感や身体性が濃厚にパッケージされている。またカルテット外のゲストとのスタジオ制作も加え、サウンドの幅を拡張している。物語の語り部として、過去のフォークロアやブルースの精神を未来へと受け渡すような構成になっている。『Yowzers』は、混沌とした今という時代の空気をとらえつつ、音楽を語ることとして捉え、希望と継承のメッセージを静かに伝えるような一枚。新しさと懐かしさ、即興と構築が共存する、現代の真のフォーク・ミュージック!

デンマークの作曲家MK VelsorfとAase Nielsenによる、ハリウッドの小劇場「New Theater Hollywood」のオープニング・ガラのために作られたインストゥルメンタル作品集『Opening Night』が登場。本作はエレキギター、エレピ、バックトラックを用いたミニマルな楽曲群で、ドレスリハーサルや来場者の到着時、スピーチの合間など、実際の舞台上バルコニーでライブ録音されたもの。音楽はミニマルかつグルーヴィーで、ギターの反復フレーズやドラム/シンセのループを軸に、陽光を浴びた夢、環境への不安、終わらない期待感といった感覚を呼び起こす。エリック・サティの家具の音楽やアーサー・ラッセルの儚さ、退廃的ムードにも通じるものがあり、意識に溶け込むような軽やかさと、妙な引力を併せ持ち、日常の空虚さや快楽的な解離感、奇妙な反復の中にリスナーを誘う作品。ピアノにはLaurel Haloがゲスト参加。
DeepchordことRod ModellとStephen Hitchellからなるダブ・テクノ/アンビエントのレジェンドcv313が2001年にデトロイトで行ったライヴが、幸運なことに録音されていた。デトロイトで行われたGlass City Record Storeのリリース・パーティーでのパフォーマンスから未発表のライブを収録した『Live Excursions』が入荷できました!本作では、16チャンネルのMackieミキサーから録音され、アナログ/デジタル・ハードウェア、サンプラー、シーケンサーのみで演奏され、驚くべきことにコンピューターは一切使われていない。初期のcv313の定番音源が多くフィーチャーされており、ディレイとリバーブに浸された、タイトにループした魅惑的なグルーヴに重点を置いており、暖かくファジーなテクスチャーとソフトでスルー・ザ・ウォールのビートワークが、心地いい。
DeepchordことRod ModellとStephen Hitchellからなる大人気ダブ・テクノ/アンビエント・ユニットcv313。2014年作のアルバム『Dimensional Space』のデッドストック入荷です!洪水で文字通り海中を漂流していたらしい4年分の老朽化したマスターテープから救出され、愛情を込めて再構築された本作は、シャープな切れ味のあるビートとスモーキーな霞んだサウンドによるディープなダブ・テクノ、ビートが緩んだアンビエント寄りのトラックなど、濁った、深く瞑想的な美学を探求するような一枚!

Andrewと私が一緒に作った最初のアルバム「The Days After」は、2003年にThree Poplarsからリリースされ、その後2007年に2曲目の「Flaxen」を新ヴァージョンに差し替えてFaraway Pressから再発されました。
昨年の秋、過去のアーカイブを整理する過程で「The Days After」の最初期ヴァージョンを発見しました。そこには、創造的なプロセスにおいて何かが始まる時に生まれる興奮と、今となっては再現できないアイデアの輝きがありました。私たちは公式にリリースすることに合意し、誰よりも信頼するマスタリング・エンジニアであるDenis Blackhamにアルバムに新たな命を吹き込んでもらうよう依頼しました。Denisの素晴らしいスキルにより、アルバムは本来あるべき姿に生まれ変わりました。
あれから23年、私たちは常に一緒に長い道のりを歩んできました。このアルバムのタイトルが「The Years After(数年後)」となったのはそんな理由です。本当は「23年後」なのですが、それは個人的な話です。(Siren Records)
1987年10月、批評家から絶賛を浴びたLP『Sister』の発売から4か月後、シカゴの〈Cabaret Metro〉でその最新作を熱烈なライブで披露したSonic Youth。このコンサートの様子を収めた音源は、Big BlackのSteve Albini(当時は会場から出入り禁止だったとの事)によって友人の音楽ライターByron Coleyへ紹介された事で彼のレーベルである〈Goofin'〉から半公式の海賊盤として発表される事に。未だに熱烈な支持を受ける傑作ライブ・アルバム『Hold That Tiger』が、〈Superior Viaduct〉より待望のアナログ・リイシュー!Sonic Youthの最初の数枚のリリースにとって、ラモーンズの最初の3枚のLPにとっての『It's Alive』に匹敵する存在であると言っても過言ではない名作。開花しつつあった、バンドの絶頂期を捉えた、野性的かつ解放的であり、ワイルドでカタルシスに満ちた、熱狂的なスナップショットといえる一枚です。

版元完売。徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbow。イタリアの〈Urashima〉からデラックス・木製ボックスセットをリリース。ハンドナンバリング入り、限定99部。

版元完売。徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbow。イタリアの〈Urashima〉からデラックス・木製ボックスセットをリリース。ハンドナンバリング入り、限定99部。

版元完売。徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbow。イタリアの〈Urashima〉からデラックス・木製ボックスセットをリリース。ハンドナンバリング入り、限定99部。

版元完売。徹底したアヒンサーを提唱実践、「ノイズ」の枠を超越したオルタナティヴな表現を試み続けるジャパノイズ伝説、Merzbow。イタリアの〈Urashima〉からデラックス・木製ボックスセットをリリース。ハンドナンバリング入り、限定99部。
フランスの伝説的フリージャズ・ピアニスト、François Tusquesが1970年代に結成したIntercommunal Free Dance Music Orchestraは、その名の通り様々な地域、コミュニティの文化を取り入れた独自の音楽を探求してきたが、テュスク自身がよく知るブルターニュ地方の伝統音楽に挑戦したアルバム『Après La Marée Noire - Vers Une Musique Bretonne Nouvelle』が〈Souffle Continu Records〉よりCDでも登場!バグパイプやボンバルドといったブルターニュの伝統楽器が、ジャンルを超越したフリージャズと合流し、そこにサミュエル・アテバやキリクスらによるパーカッションが加わることで、どこか霊的で土着的なサイケデリック・ダンス・ミュージックに変貌。バルカンやアフリカの音楽、ブルースやワルツ、スウィングまでを巻き込んだ、混沌としたアンサンブルが展開されているが、とはいえ、ここで鳴っているのはあくまで「ブルターニュから生まれる新しい音楽」。テュスクの自由な精神と土地への愛情が形になった、境界を越えた祝祭の音楽と言うべき一枚!

2016年に発表後、入手困難でレア化していた中で嬉しいリプレス!Meditationsでもベストセラーな1960年代から活動するエチオピアの女性ピアニスト、Tsege Mariam Gebruの1960年代の秘蔵音源。
Erik Satie, Debussyなどの西洋音楽のエッセンスとエチオピア教会音楽の悠久の歴史が物語る神聖美が邂逅し、アフリカの約束の大地の上にて魂の脈打つ鼓動と瞑想の響きが混ざり合った孤高の音楽であり、女性版Dollar Brandとも言える感動的なモダン・クラシカル。ピアノのみの純粋な音楽性とレトロな音質がたまりません。スピリチュアルな音源がお好きな方は当然マストですが、幅広い音楽ファンへとお薦めしたい果てなき霊性漂うマスターピース。

ドイツのエレクトロニック・シーンを長年に渡って牽引してきた名門〈Kompakt〉からは、そのボスであるWolfgang Voigtの大人気名義”GAS”の最初のセルフタイトル・アルバムがアナログ・リイシュー。1996年に聖地〈Mille Plateaux〉から最初にリリースされて以来、オリジナルの形では入手出来ないでいた本作が、Wolfgang Voigtの最も謎めいた、奇抜なプロジェクトのデビュー・フルレングスとしてこの度完全復刻リリース。90年代中盤の、ダブ・テクノの全盛期で産み落とされた、果てしなく広大であり瞑想的な力に満ちた、チルアウト・ミュージックの極点と呼ぶべきアンビエント名作!
オリジナル・テープ素材からの復元&リマスター仕様。サハラ砂漠以南のオブスキュア過ぎる音楽の数々を掘り起こしてきた名レーベル、Sahel Soundsからは、西アフリカに位置するニジェール共和国のアウトサイダー・ミニマル・エレクトロニクスの一大秘宝、Mammane Saniがカセットでリリースしていた実験電子音楽作品の再発盤!ニジェールの国営ラジオで1981年に録音された自主制作カセット作品ながら、商業的には失敗に終わっており、ほんのひと握りだけが流通したとされています。しかしながら、録音は成功し、その後彼の音楽は30年間国営ラジオのテーマに採用され、ニジェールのエレクトロニック・ミュージックのパイオニアとして認知されるに至っているようです。本作は、西アフリカへと伝わる伝統音楽由来の珍妙なグルーヴ+電子オルガンの催眠術の如し響きの神秘的融合。ニジェールの民俗音楽を土台に、脳髄をも蕩けさせにかかる抜群の脱力感を発揮した珍盤中の珍盤です!

フィンランドの現行スウィート・ソウル・ファンにはおなじみ、良質な音楽を発信しつづける”TIMMION”からそのハウスバンドCOLD DIAMOND & MINKと、同じくフィンランド出身の鬼才サックス/フルート奏者JIMI TENORが手を組んだアルバム『July Blue Skies』がリリース!伸びやかなアナログ・シンセのイントロで始まり、やがて甘くロマンティックな呼び声へと発展し、無限の夏空を思わせる音のキャンバスを描くアルバムの冒頭を飾るタイトル曲や、70年代のサウンドトラック風の緊張感と幽玄なソウルの要素を持ち、ヒプノティックなグルーヴの『Summer Of Synesthesia』などメロウなグルーヴからサウンドトラック・ファンクまで、ソウルを鷲掴みにする6曲が収録!

6月下旬再入荷。自国のソウル、ゴスペル、ファンクにとどまらず、ニューエイジ・ミュージック始祖ヤソスや日本からは原マスミまで、世界各地のオブスキュアなサウンドを掘り起こしてきた米国の大名門〈Numero〉から新物件!ポスト・ハードコア、スローコア、ジャズ・ロックという、ありそうでなかったジャンルの交差点にぶつかりながらも、地元ボストンで十数年間、比類ないレコーディングを制作してきた名バンド、Karateによる20年ぶりの新録を収めたアルバム。Wes Montgomeryへのオマージュ、Fugaziのダブプレート・パーティの狂熱、Lynottのリリシズムまでもが35分間の優雅な音楽世界の中で渦を巻く、新しい10の物語を収めた要注意作品!
ジャズとファンクを常に、一貫して効果的に融合するような音楽性を持つサンディエゴの9人組インストゥルメンタル・コンボ、The Sure Fire Soul Ensembleのニューアルバム『Gemini』がリリース!2021年末から2024年初頭にかけて、彼らの本拠地であるカリフォルニア州レモン・グローブのザ・キッチンIIでレコーディングされた本作は、ブレイクビーツを多用したファンク・ソウル・ジャズが彼らのサウンドの根幹であることには変わりはないが、KPMミュージックなどのライブラリー・ミュージック・レーベル、トライブやブラック・ジャズ・レコードなどのスピリチュアル寄りのジャズ・レーベル、カル・チャダーやドロシー・アシュビーなどのエキゾチカ寄りのジャズ・アーティストへの接近が感じられる。ファンキーに徹するというこだわりはそのままに、あえて今まで行ったことのないところへ行き、その結果、サウンド全体において内省的なパーティー・ミュージックとも言えるような興味深い新境地を開拓した意欲作!
1970年以降激しさを増すカンボジアの混乱前に録音された、クメール王朝の伝統を残すカンボジア宮廷音楽の貴重な記録。複数の木琴にゴング、笛や二胡などに女性たちの歌も加わり、ガムランや中国南部の音楽にも通じる、のどかでありながら美しい響き。
録音: 1966-68年…1、2、4、5(mono)
1970年…3、6、7、8(stereo) カンボジア宮廷
『清澄黒河』で日本ヒップホップに突如切り込んだラッパー、Karavi Roushi(カラヴィ・ロウシ)の待望NEWアルバム『BLADE N』。前作同様サウンドデザインをAquadab(アクアダブ)が担当、ラッパーとトラックメイカーの密な双方向性で作られた本作は二人の連名リリースであり、また、Karavi Roushiの2ndソロ・アルバムにもなる入れ子のような作品です。
Karavi Roushiは、名古屋のヒップホップ・コレクティブHydro Brain Gangの一員として、Nero Imaiのアルバム『Return Of Acid King』(2017)に参加しシーンに登場。その後、Aquadabとレーベル《Super Lights》を立ち上げ、Takara Ohashiをデザイナーに迎えて2019年に1stソロ・アルバム『清澄黒河』を発表。無名の新人ながらiTunesのHip Hop Japanアルバムで総合15位を記録し、音楽だけでなくOhashiがデザインしたCD装丁でみせたトータルアートも衝撃を与えました。また、コロナ禍に制作されたコンピレーション『S.D.S =零=』(2020)で発表された「Tokyoite」は、参加アーティスト達のフェイバリット/裏アンセムに。
この3人のチームで、ガラス細工のように繊細に作り込まれた本作『BLADE N』は、音楽面で意識的に方法論を変え、従来NGとされてきたラッパーのヴォイスやフローに干渉する対旋律を積極的に採用した楽器法、複雑に音が編まれたトラックで、ラッパーとトラックメイカーは真に対等の関係をつくり得るのかという問いを発しています。時にシンセ機材のようなKaravi Roushiの超常ヴォイスは切れ味を加え、アートワークでは、「死なないこと」とファースト・トラックで歌い出される『BLADE N』に秘められた物語世界をOhashiがヴィジュアル抽出し、『清澄黒河』同様のインパクトを与えています。
本作の注目フィーチャーにはrawbaiとの共演でも話題のKuroyagi、 Emotionalな心の機微を歌うORIVA、Nipps率いるThe Sexorcistの C.J. CALが参加し、サウンド面ではCo-ProducerとしてSyntheticが1 曲参加しています。

ジュウさんはいつも裏切らない。ヒップホップの、ポップミュージックの「ローカル」と「グローバル」について、タイから届いた満額回答!『ニュー・ルークトゥン』『馬鹿世界』に続くJUU4Eの3rdアルバム『イズ』は、ジャージークラブやドラムンベース、ドリルなど多彩なリズムと仏教の世界観に基づいた歌詞が渾然一体となって駆け抜ける、悟りと踊りが詰まった快作!
グローバルなポップミュージックの地位を確立して久しいラップ・ミュージックだが、ラップは英語(アメリカ英語)でなければ米国でヒットすることは難しい。これはK-POPの戦略を見ても自明のことだと思う。アメリカ英語を練習して巧みに操り、ラップ・ミュージックの「アジア」の枠に花を咲かせている韓国のアーティストが多数いる一方で、ローカルの意味を音とリリックに落とし込み、ヒップホップを完全な地元の味に調理してしまう「アジア」のアーティストも存在する。タイのJUU4Eはまさしくその代表的な存在だ。
タイのヒップホップ・シーンにおいてOGとしてリスペクトを受け、独自の位置を確立しているラッパーJUU4E。ファースト・アルバム『ニュー・ルークトゥン』(2019年)では、stillichimiya/OMKのYoung-Gプロデュースの元、タイの雑食ゲットー歌謡ルークトゥンをヒップホップと折衷、最新のヒップホップであると同時に最新のルークトゥンでもあるという傑作を作り上げた。続く『馬鹿世界』(2021年)ではサイケデリックかつ、タイ南部の舞踊芸能ロン・ゲンや日本民謡など意識的に「アジア」の風味を取り入れたユニークな音楽を展開し、コロナ渦中の混沌とした世界を描いた。 これらの流れを継ぐ『イズ』は、コロナを乗り越えて再びパーティーが始まる、開放感に溢れたダンス・アルバムなっている。
アルバムの前半6曲は、2023年にデジタルEPとしてリリースされたもので、アップテンポのジャージークラブ、ドラムンベース、ドリルといった「グローバル」のトレンド・ビートにタイの伝統楽器であるケーンのループや「ワンカップ酒」といったローカル局所トピック、そして仏教の世界観に基づく歌詞が結び付けられ、踊りたい衝動と自分の立ち位置を問うてくるような感覚が交互に訪れる。文脈は全く違うが、デヴィッド・バーンとブライアン・イーノの『My Life in the Bush of Ghosts』と同種の感覚ではないか。後半の7曲は今回が初出となるが、前作『馬鹿世界』収録の「トンブリー丼」のドープな別バージョンや、めでたくタイで解禁されたガンジャをドリルのビートで讃える「タイは吸う」など、前半と同じく開放感に溢れるチューンと独自の詞世界に溢れた内容となっている。前半6曲、後半7曲、そう、合わせて13(ジュウさん)曲!
ジュウさん曰く、このアルバムはコロナを乗り越えてみんながまた集まる楽しさを取り戻せたという喜びの感情を内蔵しているとのこと。本当にその通り。爆音でプレイしてパーティーをまたスタートさせよう!
